JP3559101B2 - 円筒状ワークの搬送装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、円筒状ワークの搬送装置に関するものであり、詳しくは、パレットに垂直に搭載されて搬送される円筒状ワークをチャック装置にて保持する際、パレット上にて円筒状ワークを定位置に位置決めすることが出来、一層正確なチャッキングを行うことが出来る円筒状ワークの搬送装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
例えば、電子写真感光体は、円筒状に形成したアルミニウム粗管を洗浄した後、その表面に浸漬塗布法などによって感光体材料の塗布液を塗布する等の工程を経て製造される。上記アルミニウム粗管や塗布液が塗布されたドラム等、いわゆる円筒状ワークは、通常、その外表面の汚染を防止するため、パレットに垂直に搭載されて工程間を搬送される。
【0003】
上記の様な電子写真感光体の製造工程において、円筒状ワークを搬送する装置としては、ワークの転倒を防止するため、盤面に突設されたピンに挿通されることによって円筒状ワークが垂直に搭載されるパレットと、当該パレットを水平に移動させるコンベヤとを含む搬送装置が使用される。そして、パレットから円筒状ワークを降ろすコンベヤの所定位置では、例えば、円筒状ワークの筒内に拘持機構を挿入するチャック装置により、外周面に接触することなくワークを保持する。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、パレットに搭載されたワークは、搬送中の振動などによって個々に位置ずれを生じる。すなわち、パレット盤面のピンに対して偏芯した状態となる。その結果、円筒状ワークを降ろす所定位置においては、チャック装置による正確なチャッキングが難しいため、チャッキング前に適宜の位置決め装置を使用する必要がある。
【0005】
本発明は、搬送装置の改良を主眼としてなされたものであり、その目的は、簡単な構造の搬送装置であって、パレットにて搬送される電子写真感光体のドラム等の円筒状ワークをチャック装置を使用して保持する際、パレット上にて円筒状ワークを定位置に位置決めすることが出来、一層正確なチャッキングを行うことが出来る円筒状ワークの搬送装置を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するため、本発明に係る円筒状ワークの搬送装置は、盤面に突設されたピンに挿通されることによって円筒状ワークが垂直に搭載されるパレットと、当該パレットを水平に移動させるコンベヤとを含む搬送装置において、パレットから円筒状ワークを降ろす前記コンベヤの所定位置には、パレットを保持する基台が設けられ、前記基台は、仰角が90°よりも小さい角度の範囲で傾転可能に構成され、その傾転によりパレット上の円筒状ワークを下方へ偏らせてピンに支持させる機能を備えていることを特徴とする。
【0007】
【作用】
上記の特定の基台は、保持したパレットを傾斜させることにより、パレット上の円筒状ワークを下方へ偏らせ、パレット盤面に突設されたピンに円筒状ワークを支持させる。
【0008】
【実施例】
本発明に係る円筒状ワークの搬送装置の実施例を図面に基づいて説明する。図1は、本発明に係る円筒状ワークの搬送装置の要部を示す平面図である。図2は、図1におけるII−II矢視図であり、パレット保持用の基台の構造例を示す側面図である。なお、本実施例においては、円筒状ワークの搬送装置を「搬送装置」と、円筒状ワークを「ワーク」とそれぞれ略記する。
【0009】
本発明の搬送装置は、図1に示す様に、盤面に突設されたピン(10)、(10)…に挿通されることによってワーク(W)、(W)…が垂直に搭載されるパレット(1)と、当該パレットを水平に移動させるコンベヤ(2)とを含む装置であり、ワーク(W)を降ろすコンベヤ(2)の所定位置には、パレット(1)を保持する基台(3)が設けられ、そして、基台(3)は、仰角が90°よりも小さい角度の範囲で傾転可能に構成される。
【0010】
図1に示すワーク(W)は、例えば、電子写真感光体の製造に使用されるドラムであり、肉厚が0.7〜3.0mm程度、直径が50〜200mm程度で長さが250〜1000mm程度のアルミニウム管である。ワーク(W)は、電子写真感光体の製造工程において、洗浄処理、感光体材料の塗布などを行う際、パレット(1)に垂直に搭載されて各工程間を搬送される。
【0011】
パレット(1)は、例えば、アルミニウム、ステンレス等によって外形を方形かつ偏平に形成された板状構造体または格子状に桁を配置したフレーム構造体である。パレット(1)の盤面(上面)には、垂直に搭載されるワーク(W)の転倒を防止するため、ワーク(W)の筒内に挿入される適当な長さのピン(1)が垂直に突設されている。ピン(1)は、搭載すべきワーク(W)の数に相当する適宜の数だけ配置される。
【0012】
コンベヤ(2)としては、例えば、装置構成が簡単ないわゆる往復動コンベヤが使用される。斯かるコンベヤ(2)は、パレット(1)を摺動自在に支持する平行な一対のレール(21)、(21)と、レール(21)、(21)と平行かつ並列に配設され且つ当該レールに沿って進退を繰り返す竿状の送りロッド(22)と、送りロッド(22)に一定間隔で枢着され且つ当該送りロッドが前進する際に上方に突出してパレット(1)、(1)…の後端を係止する多数のレバー(23)、(23)…とから主として構成される。
【0013】
レール(21)は、適宜な架台を利用し、断面が略L字状の一対のチャンネル材などを水平に配置して構成され、パレット(1)の下面側の両側縁および両側面を支持する。送りロッド(22)は、レール(21)、(21)の間であって、これらレールの搬送支持面よりも幾分下方に配置され、そして、当該送りロッドをその軸線方向(長手方向)に一定距離だけ往復動させるための駆動機構に接続される。斯かる駆動機構としては、シリンダ装置やモーター及びカムを利用したピストン装置などの適宜の装置が使用される。
【0014】
レバー(23)、(23)…は、パレット(1)、(1)…を間欠移動させるための押送部材であり、送りロッド(2)に対し、搬送ピッチに準じた一定間隔で多数枢着される。その場合、レバー(23)は、その一端が常に上方を向く様に、当該レバーの中央よりも偏った位置を枢支される。そして、各レバー(23)、(23)…は、その突出先端がパレット(1)の搬送方向下流側に幾分傾いた位置から前記搬送方向下流側に旋回して当該レバーが略水平になる位置までの範囲で旋回可能になされている。
【0015】
本発明の搬送装置において、パレット(1)からワーク(W)を降ろすコンベヤ(2)の所定位置では、レール(21)、(21)が適当に分断されており、斯かるレール(21)、(21)の分断部分に基台(3)が配設される。基台(3)は、図2に示す様に、パレット(1)を搭載し得る程度の大きさの方形状に形成された水平なテーブル(31)と、パレット(1)を両側面から保持するストッパーとしてのシリンダー装置(4)、(4)…とから主として構成される。シリンダー装置(4)、(4)…は、パレット(1)の搬送方向に沿ったテーブル(31)の両側縁にパレット(1)案内用のガイドと共に設けられる。
【0016】
テーブル(31)は、適宜な架台(32)の上部に取り付けられることにより、上記レール(21)の搬送支持面と同一の高さに配置される。本発明においては、テーブル(31)が所定の範囲で傾転可能に構成されていることを最大の特徴とする。具体的には、パレット(1)の搬送方向に沿ったテーブル(31)の一方の側縁近傍の底面は、蝶番(37)によって架台(32)に取り付けられる。そして、テーブル(31)は、架台(32)に備えられた駆動機構によって昇降する様になされる。
【0017】
テーブル(31)の昇降機構は、架台(32)に対してテーブル(31)の幅方向に架設され且つその一端が正逆回転可能なモーター(34)に接続されたボール螺子(33)と、ボール螺子(33)に螺着された移動ナット(35)と、移動ナット(35)とテーブル(31)の底面に各端部が枢着されたロッド(36)とからなる。テーブル(31)の傾転範囲(回動範囲)は、当該テーブルに保持したパレット(1)上のワーク(W)を落下させないため、仰角が90°よりも小さい角度の範囲でであり、斯かる角度は、上記の昇降機構の制御によって調整される。
【0018】
また、図1に示す様に、本発明の搬送装置には、コンベヤ(2)にて搬送されたパレット(1)を上記の基台(3)に供給し、または、基台(3)上のパレット(1)を前方のコンベヤ(2)に送り出すパレット移載機構(5)が備えられる。パレット移載機構(5)は、パレット(1)の後端に当接するシリンダー装置(51)と、シリンダー装置(51)をレール(2)、(2)に沿って移動させる軸型のシリンダー装置(52)とから構成される。シリンダー装置(51)のシリンダーロッドは、パレット(1)に接触する程度の高さであって、レール(21)、(21)を横断する方向に出没可能に配置される。
【0019】
本発明の搬送装置においては、コンベヤ(2)によってパレット(1)が一方向に(図1では右側から左側に)搬送される。コンベヤ(2)において、送りロッド(22)のレバー(23)、(23)…は、送りロッド(22)の前進の際に略直立状態となり、パレット(1)、(1)…の後端を係止してこれらパレット(1)、(1)…を送り出し、また、送りロッド(22)の後退の際に後続のパレット(1)、(1)…の前端(搬送方向上流側の端部)に接触して回動し、これらパレット(1)、(1)…の下面を通過する。すなわち、送りロッド(2)は、その往復運動により、複数のパレット(1)、(1)…を一定のピッチで間欠移動させる。
【0020】
パレット(1)が基台(3)の近傍まで搬送されると、当該パレットはパレット移載機構(5)によって基台(3)上に供給される。その場合、パレット移載機構(5)において、シリンダー装置(51)は、搬送されて来たパレット(1)の後端側、すなわち、搬送方向上流側に、そのシリンダーロッドを後退させた状態でシリンダー装置(52)の作動によって予め移動させられている。そして、シリンダー装置(51)は、シリンダーロッドを突出させ、シリンダー装置(52)の作動によって基台(3)側へ移動するとともに、当該シリンダーロッドによってパレット(1)の後端を押送して当該パレットを基台(3)のテーブル(31)上へ移動させる。
【0021】
パレット(1)が基台(3)に供給されると、テーブル(31)の両側縁に配置されたシリンダー装置(4)、(4)…が突出してパレット(1)を側面から保持する。そして、基台(3)に設けられた上記の昇降機構がテーブル(31)を持ち上げてこれを傾転させる。昇降機構においては、ボール螺子(33)の一方向への回転により、蝶番(37)側へ移動する移動ナット(35)がロッド(36)を介してテーブル(31)を押し上げ、例えば、テーブル(31)を約30〜80°、好ましくは45°程度傾斜させる。
【0022】
その際、パレット(1)に搭載されたワーク(W)、(W)…は、図2に示す様に僅かに斜面を落下し、これらに挿通された各ピン(10)、(10)…によって支持される。すなわち、基台(3)は、保持したパレット(1)を傾斜させることにより、パレット(1)上のワーク(W)、(W)…を各ピン(10)、(10)…に対して下方へ偏らせ、各ピン(10)、(10)…にワーク(W)、(W)…を支持させる。
【0023】
換言すれば、図1に示す様に偏芯した状態でパレット(1)に搭載されて搬送されたワーク(W)、(W)…は、図2に示す様にパレット(1)盤面の一定位置に正確に位置決めされる。従って、パレット(1)からワーク(W)、(W)…を降ろす場合には、従来公知の種々のチャック装置を使用して正確かつ簡単に保持することが出来る。
【0024】
ワーク(W)、(W)…が降ろされたパレット(1)は、昇降機構(3)の作動により、テーブル(31)の復帰によって水平状態に戻され、そして、パレット移載機構(5)により、分断された前方のコンベヤ(2)へ送り出される。勿論、他のワークを搭載して送り出すことも出来る。なお、パレット移載機構(5)のシリンダー装置(51)は、そのシリンダーロッドを後退させた状態で搬送方向上流側の最初の送り込み位置へ復帰する。
【0025】
上記の様に、本発明の搬送装置においては、他の位置決め装置などを使用する必要がなく、パレット(1)を傾斜させてパレット(1)上のピン(10)、(10)…にワーク(W)、(W)…を掛止するという簡単な構造により、パレット(1)に搭載されたワーク(W)、(W)…の正確な位置決めを行うことが出来、チャック装置などによる一層正確なチャッキングを行うことが出来る。
【0026】
【発明の効果】
以上説明した様に、本発明の円筒状ワークの搬送装置によれば、パレットを傾斜させて当該パレット上のピンに円筒状ワークを掛止するという簡単な構造により、パレットに搭載された円筒状ワークの正確な位置決めを行うことが出来、チャック装置などによる一層正確なチャッキングを行うことが出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る円筒状ワークの搬送装置の要部を示す平面図である。
【図2】図1におけるII−II矢視図であり、パレット保持用の基台の構造例を示す側面図である。
【符号の説明】
1 :パレット
10:ピン
2 :コンベヤ
21:レール
3 :基台
31:テーブル
4 :シリンダー装置
5 :パレット移載機構
W :円筒状ワーク

Claims (2)

  1. 盤面に突設されたピンに挿通されることによって円筒状ワークが垂直に搭載されるパレットと、当該パレットを水平に移動させるコンベヤとを含む搬送装置において、パレットから円筒状ワークを降ろす前記コンベヤの所定位置には、パレットを保持する基台が設けられ、前記基台は、仰角が90°よりも小さい角度の範囲で傾転可能に構成され、その傾転によりパレット上の円筒状ワークを下方へ偏らせてピンに支持させる機能を備えていることを特徴とする円筒状ワークの搬送装置。
  2. パレットの盤面には、搭載すべき円筒状ワークの数に相当する数のピンが突設されている請求項1に記載の円筒状ワークの搬送装置。
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