JP3558774B2 - シート状複合材料の製造法及び該製造法で得られたシート状複合材料を用いたガスケット - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ガスケット材料又はパッキン材料として、好適なシート状複合材料の製造法及び該製造法で得られたシート状複合材料を用いたガスケットに関する。さらに詳しくは、内燃機関のシリンダヘッド用ガスケット材料、内燃機関のオイルまわり、水まわり等の各接合部をシールするために使用するガスケット材料、バルブ、ポンプ、配管継手等に用いられるパッキン材料などに好適なシート状複合材料の製造法及び該製造法で得られたシート状複合材料を用いたガスケットに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来のガスケット材料には、JIS−R−3453、JIS−7S−40などに示されるようにアスベストを主に使用したアスベストジョイントシート等が使用されていた。しかし、アスベストは、人体への悪影響が叫ばれており、その使用には問題がある。
【0003】
そこで、アスベストを使用しないガスケット材料として、ニチアス技術時報、No.241、1986年3月発行に示されるように有機質及び無機質充填剤を例えばゴムなどの有機系結着剤と混練し、シート状にしたジョイントシートや、特開平2−38760号公報、特開平3−229069号公報等に示されるように、例えばステンレス鋼板、普通鋼板等の金属板等の表面にゴム層をコーティングした金属ガスケット材料が使用されている。
【0004】
しかしながら、有機質及び無機質充填剤をゴムなどの有機系結着剤と混練してシート状にしたジョイントシートは、耐熱温度が低く、かつ引っ張り強度が14.7MPa(150kgf/cm2)程度で弱いため、高温及び高荷重付加部位には使用が困難である。
【0005】
また、鋼板の表面にゴム層をコーティングした金属ガスケット材料は、ゴムの被膜厚さが5〜30μmと薄いため接合部に付着した10μm以上の傷をシールすることが難しく、さらに変形し易い低剛性フランジを使用した場合シール性は急激に低下する。またゴムは、耐熱温度が通常150℃と低いため、高温で長時間使用される部位のガスケットではゴム層が劣化して寿命が短くなり、長時間使用できないという問題がある。
そこで、従来のガスケット材料よりもシール性、耐熱性に優れたガスケット材料が求められている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
請求項1記載の発明は、耐熱性及びシール性に優れ、かつ高強度なガスケット、パッキン等に用いられるシート状複合材料の製造法を提供するものである。
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明に加えて、特に耐熱性及びシール性に優れるシート状複合材料の製造法を提供するものである。
請求項3記載の発明は、請求項1記載の発明に加えて、特に耐熱性に優れるシート状複合材料の製造法を提供するものである。
請求項4記載の発明は、請求項1記載の発明に加えて、特に高強度なシート状複合材料の製造法を提供するものである。
請求項5記載の発明は、請求項1記載の発明に加えて、特に耐油性及び耐水性に優れるシート状複合材料の製造法を提供するものである。
請求項6記載の発明は、外観、耐熱性、シール性、耐油性及び耐水性に優れ、かつ高強度なガスケットを提供するものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、シール材の一方又は両方の表面に粉末状樹脂を付着させ、該樹脂を加熱して、軟化又は溶融させた後冷却してシール材に該樹脂を固着させた樹脂付きシール材を作製し、次いでこの樹脂付きシール材に補強芯材を積層し接着することを特徴とするシート状複合材料の製造法に関する。
また、本発明は、前記のシート状複合材料の製造法において、シール材が膨脹黒鉛シートであるシート状複合材料の製造法に関する。
また、本発明は、前記のシート状複合材料の製造法において、粉末状樹脂が熱硬化性樹脂である前記のシート状複合材料の製造法に関する。
また、本発明は、前記のシート状複合材料の製造法において、補強芯材が金属板である前記のシート状複合材料の製造法に関する。
また、本発明は、前記のシート状複合材料の製造法において、粉末状樹脂を付着させるときの膨張黒鉛シートの密度が0.8g/cm3以下であることを特徴とする前記のシート状複合材料の製造法に関する。
さらに、本発明は、前記各シート状複合材料を所定形状寸法に加工してなるガスケットに関する。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明で用いるシール材とは、シール性を有する材料であれば特に制限はなく、フッ素ゴム、ニトリルゴム、シリコンゴム等のゴム材のシート、粒状、繊維状等の充填剤、有機系結着剤等からなるジョイントシート、無機質シート、膨張黒鉛シートなどが使用できるが、耐熱性及びシール性の点で膨張黒鉛シートを使用することが好ましい。
膨張黒鉛シートは、公知の製法で作成したものを使用することができる。例えば、天然黒鉛、キッシュ黒鉛、熱分解黒鉛等の高度に結晶が発達した黒鉛を、濃硫酸と硝酸との混液、濃硫酸と過マンガン酸カリウムとの混液等の強酸化性の溶液に浸漬処理して黒鉛層間化合物を生成させ、水洗してから急速加熱して、黒鉛結晶のc軸方向を膨張処理した虫状形で圧縮特性を有する黒鉛を冷間加工したシートが用いられる。
【0009】
本発明で用いる樹脂は粉末状であることが必要とされ、使用する粉末状樹脂は、特に制限はないが、耐熱性の点でフェノール樹脂、ニトリル変性フェノール樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、フラン樹脂等の熱硬化性樹脂が好ましく、硬化時に揮発性ガスが発生しないエポキシ樹脂、分子中にジヒドロベンゾオキサジン環を有する樹脂等の開環重合樹脂が作成するガスケットのシール性の点でより好ましい。
【0010】
ジヒドロベンゾオキサジン環を含む樹脂としては、具体的には化1に示す構造式で示される環を含む樹脂が耐熱性等に優れ好ましい。
【化1】
【0011】
前記ジヒドロベンゾオキサジン環を含む樹脂としては、化2〔一般式(A)〕及び化3〔一般式(B)〕
【化2】
(式中、芳香環に結合する水素はヒドロキシル基のオルト位の一つを除き置換基で置換されていてもよい)
【化3】
(式中、R1は炭化水素基であり、芳香環に結合する水素は、置換基で置換されていてもよい)に示す化学構造単位を含むものが揮発性ガスを抑制する効果が高く好ましく、一般式(A)/一般式(B)のモル比で4/1〜1/9で含むものが耐熱性等の点でより好ましい。これは用いる材料の比率等により調整できる。
【0012】
なお、上記一般式(A)及び一般式(B)で示される化学構造単位における、置換基については特に制限はないが、メチル基、エチル基等のアルキル基などが好ましいものとして挙げられる。また、一般式(A)において、ヒドロキシル基のオルト位の一つは硬化反応のために、水素をもつことが好ましい。
前記各化学構造単位の数は、1分子中に含まれる一般式(A)の数をm、一般式(B)の数をnとするとき、m≧1、n≧1かつm+n≧2であればよいが、数平均で10≧m+n≧3であることが硬化物の特性、例えば耐熱性等の点で好ましい。
【0013】
上記各化学構造単位は、互いに直接に結合していてもよく、有機の基を介して結合していてもよい。前記有機の基としては、アルキレン基、キシリレン基等が好ましいものとして挙げられ、アルキレン基としては、
【化4】
で示される基(但し、R2は、水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、フェニル基又は置換フェニル基を示す)、炭素原子数が5〜20の鎖状アルキレン基などが挙げられる。これは、用いるフェノール性水酸基を有する化合物(後述)の種類等により選択できる。
【0014】
前記ジヒドロベンゾオキサジン環を含む樹脂は、例えば、フェノール性水酸基を有する化合物、ホルムアルデヒド類、第1級アミンから合成することができる。この樹脂は、加熱により開環重合反応を起こし、揮発分を発生させることなく優れた特性を持つ架橋構造を形成する。
上記各材料を用いてジヒドロベンゾオキサジン環を含む樹脂を作る方法としては、フェノール性水酸基を有する化合物と第1級アミンとの混合物を好ましくは70℃以上に加熱したホルムアルデヒド類中に添加して、好ましくは70〜110℃、より好ましくは90〜100℃で、好ましくは20〜120分反応させ、その後好ましくは120℃以下の温度で減圧乾燥することにより合成することができる。
【0015】
前記フェノール性水酸基を有する化合物としては、フェノールノボラック樹脂、レゾール樹脂、フェノール変性キシレン樹脂、アルキルフェノール樹脂、メラミンフェノール樹脂、ポリブタジエン変性フェノール樹脂等のフェノール樹脂、ビスフェノール化合物、ビフェノール化合物、トリスフェノール化合物、テトラフェノール化合物などを挙げることができる。
ホルムアルデヒド類としては、ホルムアルデヒドの他、パラホルムアルデヒド、ヘキサメチレンテトラミンのようなホルムアルデヒドを発生するもの等を用いることができる。
【0016】
第1級アミンとしては、具体的にメチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、シクロヘキシルアミン等の脂肪族アミン、アニリン、置換アニリン等の芳香族アミンが挙げられる。硬化性の点からは脂肪族アミンが好ましく、耐熱性の点からは芳香族アミンが好ましい。
各材料は、フェノール性水酸基を有する化合物、ホルムアルデヒド類及び第1級アミンを、フェノール性水酸基を有する化合物の水酸基1モルに対し第1級アミンを0.2〜0.9モル、ホルムアルデヒドを第1級アミンの2倍モル量以上の比で反応させることが、得られる樹脂の接着性等の面で好ましい。
【0017】
シール材に付着させる樹脂が、粉末状ではなく有機溶剤等の溶媒に溶かしたワニス状の場合は、乾燥により揮発する有機溶剤を回収しなければならず、作業性が悪いばかりでなく、有機溶剤の乾燥において、シール材として膨張黒鉛シートを用いる場合、膨張黒鉛シートから急激に有機溶剤が揮発し、その揮発ガスの圧力によって膨張黒鉛シート内部に空隙が発生し易いという問題が生じる。また膨張黒鉛シートのワニスを塗布した面の反対面に樹脂がにじみやすく、外観及び面粗度吸収性が低下しやすいという問題点が生じる。
【0018】
粉末状樹脂をシール材に付着させる方法については、特に制限はないが、例えば、篩によるふりかけ、静電付着等の方法をとることができる。粉末状樹脂の付着量は、常温接着強度及び耐熱接着強度の点から0.01〜50g/m2が好ましく、0.1〜10g/m2がより好ましい。
【0019】
粉末状樹脂を付着させたシール材は、該樹脂の融点以上の温度で加熱し、軟化又は溶融させた後、この樹脂の融点以下の温度まで冷却することにより該樹脂をシール材に固着させることができる。詳しくは、シール材に付着させた粉末状樹脂は、そのままの状態では該樹脂が飛散し易い為、該樹脂をいったん軟化又は溶融させる。該樹脂をいったん軟化又は溶融させることによって該樹脂とシール材を固着させることができ、該樹脂の飛散を抑えることが可能となる。また、該樹脂を軟化又は溶融させた際に、該樹脂がシール材の内部に含浸させることができ、その結果、作製するガスケットの耐油性、耐水性等の耐薬品性及びシール材層の強度を向上させることができる。シール材として用いられる膨張黒鉛シートの密度は、0.8g/cm3以下であれば膨張黒鉛シート中に該樹脂が含浸し易く、耐油性、耐水性及び膨張黒鉛シート層の強度の点で好ましく、0.5g/cm3以下であればより好ましい。下限は0.05g/cm3であることが好ましく、0.05g/cm3未満であると、シール材に含浸したとき、シール材の反対側ににじみでて、シール性が悪くなる傾向がある。なお、膨張黒鉛シートへの該樹脂の付着は、膨張黒鉛シートの製造と同時に行うこともできる。
【0020】
上記の方法で該樹脂を付着したシール材と補強芯材とを貼り合わせることによりシート状複合材料を得ることができる。本発明で使用する補強芯材としては、特に制限はなく、例えばステンレス鋼板、普通鋼板等の金属板、ステンレス鋼、普通鋼、銅、アルミニウム等の金属メッシュ、セルロース等の有機系の繊維、ガラス、炭素、セラミック等の無機系の繊維クロス、有機系又は無機系のフィルムなどの、シール材よりも高強度のシート状の材料を使用することができる。使用する補強芯材は、シート状複合材料の用途によって適宜選択することが可能であるが、強度の点で金属板を使用することが好ましい。補強芯材の厚さは、強度及び加工性の点で50μm〜2mmの範囲であることが好ましい。
【0021】
シール材と補強芯材との接着方法は、例えば加熱ロール、加熱プレス等の方法を用いることができる。接着は各層ごとに行ってもよく、全層を積層させてから接着してもよい。本発明になるシート状複合材料は、シール性の点で片方又は両方の表面層がシール材になるようにする。なお片方の表面層がシール材の場合は、本発明になるシート状複合材料を2枚以上組み合わせて用いてガスケットとするのが好ましい。本発明になるシート状複合材料の例としては、一層の補強芯材と一層のシール材が貼り合わされた形状、一層の補強芯材の両側にシール材が貼り合わされた三層の形状、またより多くの層(交互に四層、五層、六層、七層等)を含む形状のものが挙げられる。
【0022】
以上のようにして得られるシート状複合材料は、所定の形状寸法に加工してガスケットとすることができる。また他の形状に加工して各種パッキン材とすることもできる。
【0023】
【実施例】
次に本発明の実施例を説明する。
実施例1
エポキシ樹脂(東都化成(株)製クレゾールノボラック型、商品名YDCN−703)を振動ミルで粉砕し、平均粒径20μmのエポキシ樹脂粉末を作製した。次いで、厚さが0.19mm及び密度が0.8g/cm3の膨張黒鉛シート(日立化成工業(株)製、商標名カーボフィット)の片面に、前記エポキシ樹脂粉末を静電塗装機で5g/m2付着させた後、樹脂溶融装置で100℃に加熱して前記エポキシ樹脂粉末を溶融させ、その後20℃まで自然放冷し、樹脂を固着させた樹脂付き膨張黒鉛シートを作成した。
次に厚さが0.2mmのSUS301H(ステンレス鋼301H)の両面に、上記の樹脂付き膨張黒鉛シートの樹脂を付着させた面を内側にして積層し、熱プレスで温度180℃及び圧力2.45MPaの条件で加圧して、貼り合わせた。その後ロールを通して膨張黒鉛シートを圧縮し、膨張黒鉛シート層の厚さを0.15mm及び密度を1.0g/cm3に仕上げ、全体の厚さが0.5mmのシート状複合材料を得た。
【0024】
実施例2
(1)ジヒドロベンゾオキサジン環を含む樹脂の作製
フェノール1.9kg、ホルマリン(37重量%水溶液)1.0kg及びしゅう酸4gを5リットルフラスコに仕込み、還流温度で6時間反応させた。引続き、内部を6666.1Pa(50mmHg)以下に減圧して未反応のフェノール及び水を除去し、フェノールノボラック樹脂を合成した。得られた樹脂は、軟化点84℃ (環球法)、3核体〜多核体/2核体比92/18(ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによるピーク面積比)であった。
次に合成したフェノールノボラック樹脂1.70kg(ヒドロキシル基16モルに相当)をアニリン0.93kg(10モルに相当)と混合し、80℃で5時間撹拌し均一な混合溶液を調整した。次いで5リットルフラスコ中に、ホルマリン1.62kgを仕込み90℃に加熱し、さらに前記のノボラック/アニリン混合溶液を30分かけて少しずつ添加した。添加終了後30分間、還流温度に保ち、然る後に100℃で2時間6666.1Pa(50mmHg)以下に減圧して縮合水を除去し、反応し得るヒドロキシル基の71%がジヒドロベンゾオキサジン化されたジヒドロベンゾオキサジン環を含む樹脂を得た。すなわち、上記ジヒドロベンゾオキサジン化されたジヒドロベンゾオキサジン環を含む樹脂は、前記一般式(A)と一般式(B)のモル比を前者/後者で1/2.45で含むものである。
【0025】
なお、前記フェノールノボラック樹脂において反応し得るヒドロキシル基の量は、下記のようにして算出したものである。
すなわち、前記フェノールノボラック樹脂1.70kg(ヒドロキシル基16モルに相当)をアニリン1.4kg(16モル相当)、ホルマリン2.59kgと反応させ、反応しうるヒドロキシル基の全てにジヒドロベンゾオキサジン環が導入された樹脂を合成した。過剰のアニリン及びホルマリンは乾燥中に除かれ、収量は3.34kgであった。このことから、前記フェノールノボラック樹脂において反応し得るヒドロキシル基の量は14モル反応し、ジヒドロベンゾオキサジン環化したことを示している。
【0026】
(2)シート状複合材料の製造
得られたジヒドロベンゾオキサジン樹脂を、ボールミルを使用して粉砕し、平均粒径が50μmの粉末状樹脂とした。一方、膨張黒鉛粉末を圧縮ロールで圧縮して密度が0.8g/cm3及び板厚が0.19mmの膨張黒鉛シートを得た。次いで 、この膨張黒鉛シートの片面に、前記粉末状ジヒドロベンゾオキサジン樹脂を、静電塗装機で5g/m2の量を付着させた後、樹脂溶融装置で100℃に加熱して前記粉末状ジヒドロベンゾオキサジン樹脂を溶融させ、その後常温まで自然放冷して、樹脂を固着させた樹脂付き膨張黒鉛シートを得た。
次に厚さが0.2mmのSUS301(ステンレス鋼301)の両面に、上記の樹脂付き膨張黒鉛シートの樹脂を付着させた面を内側にして積層し、熱圧プレスで温度180℃及び圧力2.45MPaの条件で加圧して、貼り合わせた。その後ロールを通して膨張黒鉛シートを圧縮し、膨張黒鉛シート層の厚さを0.15mm及び密度を1.0g/cm3に仕上げ、全体の厚さが0.5mmのシート状複合材料を得た。
【0027】
実施例3
厚さが0.3mm及び密度が0.5g/cm3の膨張黒鉛シート(日立化成工業(株)製、商標名カーボフィット)の片面に、実施例2で得た粉末状ジヒドロベンゾオキサジン環樹脂を静電塗装機で5g/m2付着させた後、樹脂溶融装置で120℃に加熱して前記ジヒドロベンゾオキサジン樹脂を溶融させ、その後20℃まで自然放冷し、樹脂を固着させた樹脂付き膨張黒鉛シートを作成した。
次に厚さが0.2mmのSUS301H(ステンレス鋼301H)の両面に、上記の樹脂付き膨張黒鉛シートの樹脂を付着させた面を内側にして積層し、熱プレスで温度180℃及び圧力2.45MPaの条件で加圧して、貼り合わせた。その後ロールを通して膨張黒鉛シートを圧縮し、膨張黒鉛シート層の厚さを0.15mm及び密度を1.0g/cm3に仕上げ、全体の厚さが0.5mmのシート状複合材料を得た。
【0028】
比較例1
厚さが0.3mm及び密度が0.5g/cm3の膨張黒鉛シート(日立化成工業(株)製、商標名カーボフィット)の片面に、フェノール樹脂ワニス(日立化成工業(株)製、商品名VP−11N)を接着剤としてスプレーで塗布した後80℃で乾燥して、樹脂付き膨張黒鉛シートを作成した。
次に厚さが0.2mmのSUS301H(ステンレス鋼301H)の両面に、上記の樹脂付き膨張黒鉛シートの樹脂を付着させた面を内側にして積層し、熱プレスで温度180℃及び圧力2.45MPaの条件で加圧して、貼り合わせた。その後ロールを通して膨張黒鉛シートを圧縮し、膨張黒鉛シート層の厚さを0.15mm及び密度を1.0g/cm3に仕上げ、全体の厚さが0.5mmのシート状複合材料を得た。
【0029】
比較例2
厚さが0.25mmのSUS301Hの両面にフェノール樹脂ワニス(日立化成工業(株)製、商品名VP−11N)をスプレーで塗布した後80℃で乾燥して塗工板を作成した。この塗工板の両面に厚さが30μmのフッ素ゴム(日本ゼオン(株)製、商品名NipolCMF70)をコーティングしてゴム層を設け、全体の厚さが0.31mmのシート状複合材料を得た。
【0030】
比較例3
厚さが0.2mmのSUS301Hの両面にフェノール樹脂ワニス(日立化成工業(株)製、商品名VP−11N)をスプレーで塗布した後80℃で乾燥して塗工板を作成した。この塗工板の両面に厚さが0.15mm及び密度が1.0g/cm3の膨張黒鉛シート(日立化成工業(株)製、商標名カーボフィット)を熱プレスで温度180℃及び圧力2.45MPaの条件で加圧して、貼り合わせてシート状複合材料を得た。
【0031】
次に実施例1〜3及び比較例1〜3で得られたシート状複合材料について、外観、不凍液シール性、耐熱性(応力緩和率)及び耐不凍液性を測定して評価した。なお、不凍液シール性は、シート状複合材料を外径50mm及び内径34mmのリング状に打ち抜き、これを面粗さ10Sのフランジに挟み込み、2.94MPaの面圧で締付け、内径側に濃度が50体積%のエチレングリコール水溶液による内圧をかけていき、外径側への液の漏れの有無を確認した。耐熱性(応力緩和率)は、シート状複合材料を20.58MPaの面圧で締付け、200℃で22時間処理した後の締付け力の低下率を測定した。耐不凍液性は、シート状複合材料をASTM No.3オイル中に浸漬させ、150℃及び22時間処理した後の重量変化率を測定した。これらの試験結果を表1に示す。
【0032】
【表1】
【0033】
表1から明らかなように、本発明になる実施例のシート状複合材料は、外観は良好であり、不凍液シール性及び耐熱性(応力緩和率)に優れることが示される。また耐不凍液性についても比較例のシート状複合材料とほぼ同等の値が得られた。この結果によりシート状複合材料を所定形状寸法に加工したガスケットにおいても優れた効果が得られるものである。
【0034】
【発明の効果】
請求項1における方法により得られるシート状複合材料は、耐熱性及びシール性に優れ、かつ高強度なガスケット、パッキン等に有用である。
請求項2における方法により得られるシート状複合材料は、請求項1記載の発明の効果を奏し、特に耐熱性及びシール性に優れる。
請求項3における方法により得られるシート状複合材料は、請求項1記載の発明の効果を奏し、特に耐熱性に優れる。
請求項4における方法により得られるシート状複合材料は、請求項1記載の発明の効果を奏し、特に強度に優れる。
請求項5における方法により得られるシート状複合材料は、請求項1記載の発明の効果を奏し、特に耐油性及び耐水性に優れる。
請求項6におけるガスケットは、外観、耐熱性、シール性、耐油性、耐水性及び強度に優れる。
Claims (5)
- 膨張黒鉛シートの一方又は両方の表面に粉末状の熱硬化性樹脂を付着させ、該熱硬化性樹脂を加熱して軟化又は溶融させた後冷却して膨張黒鉛シートに該熱硬化性樹脂を固着させた樹脂付き膨張黒鉛シートを作製し、次いでこの樹脂付き膨張黒鉛シートに金属板、金属メッシュ、有機系繊維、無機系の繊維クロス、有機系又は無機系のフィルムから選ばれるシート状の補強芯材を積層し接着することを特徴とするガスケット材料及び/又はパッキング材料として使用されるシート状複合材料の製造法。
- 補強芯材が金属板である請求項1記載のシート状複合材料の製造法。
- 膨張黒鉛シートの密度が0.8g/cm3以下である請求項1または請求項2記載のシート状複合材料の製造法。
- 膨張黒鉛シートの一方又は両方の表面に粉末状の熱硬化性樹脂を付着させる際の、熱硬化性樹脂の付着量が0.01〜50g/m2である請求項1から請求項3のいずれかに記載のシート状複合材料の製造法。
- 請求項1から請求項4に記載の製造方法により得られるシート状複合材料を所定形状寸法に加工してなるガスケット。
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