JP3558207B2 - 電子機器の動力伝達機構 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、CD、DVDなどと略称される光ディスク、光磁気ディスク(以下、ディスクと称する)に記録されている情報の再生や記録または消去を行うためのディスクプレーヤーなどの電子機器の駆動モータから被駆動部に動力を伝達するための動力伝達機構に関する。
【0002】
【従来の技術】
ディスクプレーヤーの一例として図10及び図11に示すものがある。これは、ディスクDを支持するトレー1が筐体2に前後移動a,b可能に設けられ、トレー1の下方に光ピックアップ3が昇降c,d可能に設けられ、筐体2の基枠部2aに前記トレー1及び光ピックアップ3(被駆動部)を動力伝達機構4を介して移動させる駆動モータ5が設けられ、前記動力伝達機構4が、基枠部2aに立設した複数の円筒状合成樹脂製支軸4Aと、該各支軸4Aの小径部4aに回転可能に外嵌されてその大径部4b上に載置された互いに噛合する複数の合成樹脂製歯車4Bとを有し、筐体2の上端に架設した梁6の中央貫通孔6aにディスクホルダー7が上下動可能に嵌合され、光ピックアップ3のターンテーブル3aがトレー1の中央貫通孔1aを通ってディスクDに係脱可能に構成されている。
【0003】
上記構成において、前進aさせたトレー1上にディスクDを載置した後(図10仮想線参照)、駆動モータ5により動力伝達機構4を介してトレー1を後退bさせ(図10実線参照)、次に、駆動モータ5により動力伝達機構4を介して光ピックアップ3を上昇cさせて、ターンテーブル3aによりディスクDを持ち上げて、該ターンテーブル3aとディスクホルダー7とでディスクDを挟持し、続いて、ターンテーブル3aによりディスクDを高速回転させ、そのディスクDに記録されている情報を光ピックアップ3により読み取るようになっている。
【0004】
従来、前記動力伝達機構4の各歯車4Bを円滑に回転させるため、図12及び図13に示すように、各支軸4Aの小径部外周面9に各歯車4Bの内周面10を全面的に対向させ、その両面9,10間にグリスを潤滑油として充填している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来の構成では、各支軸4Aの小径部外周面9と各歯車4Bの内周面10との間にグリスが薄膜状に充填されているだけであるから、長期使用によりグリス切れが生じて、歯車4Bの円滑な回転が阻害される。また、グリスの充填量が多すぎると、前記両面9,10間からグリスが流出して周辺を汚すことになる。
【0006】
ところで、実開昭62−166358号公報に基づいて、前記各支軸4Aの外周面9に周方向所定間隔をおいて溝部を形成すると共に、前記各歯車4Bの内周面10に周方向所定間隔をおいて突起部を形成することが考えられるが、その各突起部を前記各溝部に嵌入させるようになっているため、前記両面9,10間にグリスを薄膜状にしか充填することができず、前述した従来の問題点を解消することはできない。
【0007】
本発明は、上記従来の欠点に鑑み、歯車を長期にわたって円滑に回転させることができるようにした電子機器の動力伝達機構を提供することを目的としている
。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、請求項1記載の発明は、ディスクプレーヤーの駆動モータから被駆動部に動力を伝達するための動力伝達機構であって、支軸と、該支軸に回転可能に外嵌された歯車とを有し、該歯車の内周面が、周方向所定間隔をおいて複数の油溜溝を形成した溝付き面と、油溜溝を形成していない溝無し面とに上下2つに区分され、前記歯車の内周面上端に環状凹段部が形成され、該環状凹段部の外径を前記各油溜溝の外周縁を結ぶ仮想円の外径よりも大きく設定することにより、その各油溜溝の上端開口部が環状凹段部の底面の中央部から内周縁にかけて開口され、その環状凹段部に嵌合して内周面を前記支軸の外周面に接近させることにより前記各油溜溝の上端開口部を塞ぐリング状油漏れ防止キャップが設けられていることを特徴としている。
【0009】
上記構成によれば、歯車の内周面に形成した油溜溝にグリスなどの潤滑油を供給することにより、その歯車を長期にわたって円滑に回転させることができる。
【0010】
また、油溜溝が歯車の内周面に周方向所定間隔をおいて複数形成されているので、その各油溜溝から潤滑油を支軸の外周面にほぼ均等に供給することができる。
【0011】
更に、歯車に設けた溝無し面を支軸の外周面に対向させているので、その歯車の回転を安定させることができ、これによって、歯車に設けた溝付き面の油溜溝により該歯車の回転が不安定になるのを防ぐことができる。
【0012】
また更に、歯車の内周面上端の環状凹段部に嵌合する油漏れ防止キャップより油溜溝の上端開口部が塞がれるので、歯車の回転による遠心力で油溜溝内のグリスなどの潤滑油が上方へ流出するのを防止することができる。
【0013】
しかも、油溜溝に充填したグリスなどの潤滑油によって歯車を長期にわたって円滑に回転させることができるようにしたディスクプレーヤーを提供することができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1〜図3は本発明の第1の参考例であるディスクプレーヤーの動力伝達機構4を示すものであって、歯車4Bの内周面10に、複数(この参考例では4本)の油溜溝12が周方向所定間隔をおいて該歯車4Bの軸心に沿って形成されている。上記以外の構成は図10〜図13に示す構成とほぼ同じであるから、同一部分に同一符号を付してその説明を省略する。
【0015】
上記構成によれば、油溜溝12にグリスなどの潤滑油Oを充填することにより、その潤滑油Oを支軸4Aの外周面9に供給して、歯車4Bを長期にわたって円滑に回転させることができる。また、油溜溝12が周方向所定間隔をおいて複数形成されているので、その各油溜溝12からグリスなどの潤滑油Oを支軸4Aの外周面9にほぼ均等に供給することができる。更に、歯車4Bの表面積が広がるため、放熱効果が高い。
【0016】
図4〜図6は本発明の第2の参考例であるディスクプレーヤーの動力伝達機構4を示すものであって、歯車4Bの内周面10が、複数の油溜溝12を形成した溝付き面10aと、油溜溝12を形成していない溝無し面10bとに上下2つに区分されている。なお、油溜溝12の長さが第1の参考例の油溜溝12よりも短いため、その油溜溝12の本数を増加させている(この参考例では8本)。上記以外の構成は第1の参考例とほぼ同じであるから、同一部分に同一符号を付してその説明を省略する。
【0017】
上記構成によれば、歯車4Bの内周面下側に設けた溝無し面10bを支軸4Aの小径部外周面9に対向させているので、その歯車4Bの回転を安定させることができ、これによって、歯車4Bの内周面上側に設けた溝付き面10aの油溜溝12により歯車4Bの回転が不安定になるのを防ぐことができる。また、油溜溝12の底部からグリスなどの潤滑油Oが流出するのを溝無し面10bにより阻止することができる。
【0018】
図7は本発明の第3の参考例であるディスクプレーヤーの動力伝達機構4を示すものであって、図4と比較すると、溝付き面10bと溝無し面10bとが上下逆になっており、それ以外の構成は第2の参考例と同じであるから、同一部分に同一符号を付してその説明を省略する。
【0019】
上記構成によれば、第2の参考例と同様に、溝無し面10bによって、歯車4Bの回転が不安定になるのを防ぐことができると共に、油溜溝12から上方にグリスなどの潤滑油Oが流出するのを阻止することができる。
【0020】
図8及び図9は本発明の実施の一形態であるディスクプレーヤーの動力伝達機構4を示すものであって、歯車4Bの内周面10の上端に環状凹段部13が形成され、その環状凹段部13に嵌合して内周面15aを支軸4Aの外周面9に接近させたリング状油漏れ防止キャップ15が設けられている。上記以外の構成は第2の参考例とほぼ同じであるから、同一部分に同一符号を付してその説明を省略する。
【0021】
上記構成によれば、油漏れ防止キャップ15により油溜溝12の上端開口部が塞がれるので、歯車4Bの回転による遠心力で油溜溝12内のグリスなどの潤滑油Oが上方へ流出するのを防止することができる。
【0022】
【発明の効果】
請求項1記載の発明によれば、歯車の内周面に形成した油溜溝にグリスなどの潤滑油を供給することにより、その歯車を長期にわたって円滑に回転させることができる。
【0023】
また、油溜溝が歯車の内周面に周方向所定間隔をおいて複数形成されているので、その各油溜溝から潤滑油を支軸の外周面にほぼ均等に供給することができる
。
【0024】
更に、歯車に設けた溝無し面を支軸の外周面に対向させているので、その歯車の回転を安定させることができ、これによって、歯車に設けた溝付き面の油溜溝により該歯車の回転が不安定になるのを防ぐことができる。
【0025】
また更に、歯車の内周面上端の環状凹段部に嵌合する油漏れ防止キャップより
油溜溝の上端開口部が塞がれるので、歯車の回転による遠心力で油溜溝内のグリスなどの潤滑油が上方へ流出するのを防止することができる。
【0026】
しかも、油溜溝に充填したグリスなどの潤滑油によって歯車を長期にわたって円滑に回転させることができるようにしたディスクプレーヤーを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の参考例であるディスクプレーヤーの動力伝達機構を示す縦断面図である。
【図2】同横断面図である。
【図3】同分解斜視図である。
【図4】本発明の第2の参考例であるディスクプレーヤーの動力伝達機構を示す縦断面図である。
【図5】同横断面図である。
【図6】同分解斜視図である。
【図7】本発明の第3の参考例であるディスクプレーヤーの動力伝達機構を示す縦断面図である。
【図8】本発明の実施の一形態であるディスクプレーヤーの動力伝達機構を示す縦断面図である。
【図9】同分解斜視図である。
【図10】ディスクプレーヤーを示す斜視図である。
【図11】同横断面図である。
【図12】従来の動力伝達機構を示す縦断面図である。
【図13】同水平断面図である。
【符号の説明】
1 トレー(被駆動部)
3 光ピックアップ(被駆動部)
4 動力伝達機構
4A 支軸
4B 歯車
5 駆動モータ
9 支軸の小径部外周面
10 歯車の内周面
10a 溝付き面
10b 溝無し面
12 油溜溝
13 環状凹段部
15 油漏れ防止キャップ
O 潤滑油
Claims (1)
- ディスクプレーヤーの駆動モータから被駆動部に動力を伝達 するための動力伝達機構であって、支軸と、該支軸に回転可能に外嵌された歯車とを有し、該歯車の内周面が、周方向所定間隔をおいて複数の油溜溝を形成した溝付き面と、油溜溝を形成していない溝無し面とに上下2つに区分され、前記歯車の内周面上端に環状凹段部が形成され、該環状凹段部の外径を前記各油溜溝の外周縁を結ぶ仮想円の外径よりも大きく設定することにより、その各油溜溝の上端開口部が環状凹段部の底面の中央部から内周縁にかけて開口され、その環状凹段部に嵌合して内周面を前記支軸の外周面に接近させることにより前記各油溜溝の上端開口部を塞ぐリング状油漏れ防止キャップが設けられていることを特徴とする電子機器の動力伝達機構。
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