JP3558126B2 - 消臭剤 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、人や動物の排泄物から発生する屎尿臭を消すことを目的とする消臭剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年における高齢化社会の到来に伴い、足腰が弱く独力でトイレに行けない老人が増加し、このような老人が寝起きする部屋の中などに置いて使用するポータブルトイレが普及している。また、介護を必要としない人でも、足腰の疾病などの理由からポータブルトイレを使用する場合がある。
【0003】
日常生活を送る部屋の中にポータブルトイレを置いて使用する場合、ポータブルトイレに排泄された大小便から発生する臭いが問題となる。その対策として、便収容器に適量の水を入れて大小便から発生する臭いを封じ込めるという方法が採られている。しかしながら、このような方法で屎尿臭を完全に封じ込めることは不可能であるため、何らかの消臭剤を利用することが望ましく、ポータブルトイレの使用説明書にもその旨が記載されている。
【0004】
このような屎尿臭に対処するため、屎尿が放つ悪臭と同等以上の芳香を発生する香料を用いるマスキング方式の消臭剤が利用され、また、悪臭を芳香の一成分として取り込むことで悪臭を感じさせないようにするペアリング消臭法が開発されている。そのほか、公知の消臭技術として、有機酸を用いた中和消臭法があり、さらに、界面活性剤や活性炭と併用することによってその効果を高めようとする試みもなされ、特開昭48−82045号公報、特開昭57−200159号公報、特開昭62−101253号公報などに開示されている。
【0005】
また、ポータブルトイレ専用消臭剤として、便収容器表面に泡の層を生じさせて悪臭を封じ込める方法も開発されている。この方法は非常に有効であり、汚物が目に触れないという副次的効果もある。しかし、体調の善し悪しを推し量る目的で血便、血尿の有無あるいは大便の状態などを確認できないので、使用者が消化器係疾患を抱える場合などは、患者を管理する観点からは不適当である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
マスキング法は臭いの根本原因に作用するものではないので、強い臭いに対抗するには、それより強い芳香を発する薬剤を用いる必要があり、このような薬剤から発生する強烈な芳香は心地よさを通り越し却って不快となることがある。また、屎尿から発生する臭いは時間経過とともに増大する傾向にあるが、マスキング法で使用される薬剤の芳香は、いかに優秀なものであっても時間経過と共に減衰し、ある値まで減衰するとそれ以降は急速に芳香が低下し、悪臭を紛らすことができなくなる。
【0007】
屎尿は単なる食べカスではなく、大便1g中から約100種類、1兆個の嫌気性バクテリアが検出されるとの知見があり、そのほか、消化器官の内壁細胞、消化液、発酵途中の種々の窒素化合物なども含まれている。また、屎尿臭の成分はインドール、スカトール、メルカプタン類、アミン類、硫化水素、アンモニアなどであるが、中和消臭法は悪臭に対して選択的な消臭方法であるため、常に過剰とも思われる添加量、配合量を設定しなければならない。
【0008】
ところが、屎尿は常に菌によって分解発酵しているため、殺菌を行わなければ過剰な添加量、配合量を設定しても不十分であり、さらに殺菌剤を添加する必要があり、非常に不経済となる。本発明者は、市販されている代表的なポータブルトイレ専用消臭剤4種類を用いて試験を行ったが、いずれも選択的消臭で個別に対応しようとする処方であり、特定の臭いに対する消臭機能しかなく、一つの消臭剤で異なる全ての臭いに対応できるものはなかった。
【0009】
一方、塩化イソシアヌル酸は総合的な消臭手段であり、その優れた殺菌能力を応用した生ゴミ用消臭剤(特開平9−168582号公報)や殺菌消毒剤(特開平8−231314号公報)などがあるほか、漂白洗浄用錠剤に応用した例などもあり、多くの試みがなされている。また、屎尿臭の除去に用いられた例もあるが、加水分解時に発生する塩素による独特の刺激臭は大きな問題であり、塩化イソシアヌル酸の有効利用を確立するには、このような塩素臭および消臭効果の持続性の問題の解決が要望されている。
【0010】
屎尿臭の除去を目的とする消臭剤においては、特に経済性が求められるほか、使い方が簡便であること、優れた消臭能力を有すること、消臭効果が長時間持続することなど、非常に高度の能力が要求されている。従来、屎尿用消臭剤に対する高い需要がありながら消臭剤の完成度が低いのは、屎尿を取り扱う際の何とも表し難い嫌悪感、周囲への影響などにより研究開発に困難が伴なうことが遠因であると思われる。
【0011】
本発明が解決しようとする課題は、人などの屎尿に対し強力かつ長時間持続する消臭性能を備え、保管中や使用中に塩素臭を発生せず、使用量も比較的少なくて済む消臭剤を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明の消臭剤は、塩化イソシアヌル酸と有機酸アルカリ金属化合物と無機酸アルカリ金属化合物とを含有することを特徴とする。ここで、塩化イソシアヌル酸は、モノクロルイソシアヌル酸、ジクロルイソシアヌル酸、トリクロルイソシアヌル酸のいずれも含む。また、有機酸アルカリ金属化合物としては、安息香酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、フマル酸ナトリウムのうちのいずれか1以上を用いることが望ましく、無機酸アルカリ金属化合物としては、スルファミン酸ナトリウムを用いることが望ましい。
【0013】
このような構成の消臭剤を人などの屎尿に添加すると、強力な消臭力で悪臭を除去することができ、その消臭性能は長時間持続する。また、保管中や使用中に塩素臭を発生することがなく、使用量も比較的少なくてすむ。塩化イソシアヌル酸と無機酸アルカリ金属化合物を組み合わせることによって、消臭効果が長続きするとともに塩素臭が発生しなくなる理由は、以下のように推測される。
【0014】
安息香酸ナトリウム、スルファミン酸ナトリウムなどの有機酸アルカリ金属化合物、無機酸アルカリ金属化合物は、水溶液として中性から弱塩基性を示す。このような液性中での塩化イソシアヌル酸の加水分解は、生成される酸が逐次中和されるので、加水分解の反応速度が遅延され、結果として消臭能力の増大につながる。また、水溶液中で無機酸アルカリ金属化合物から生じたNaイオンと塩化イソシアヌル酸から生じた塩素イオンの反応により、塩素臭が低減される。さらに、有機酸アルカリ金属化合物も同様な水和反応により塩化イソシアヌル酸の加水分解の反応速度を遅延させる働きがあり、また塩素ガスの物理的吸着力を有するものと考えられる。
【0015】
塩化イソシアヌル酸と有機酸アルカリ金属化合物と無機酸アルカリ金属化合物の割合は、塩化イソシアヌル酸を10〜60重量%、有機酸アルカリ金属化合物を20〜50重量%、無機酸アルカリ金属化合物を20〜30重量%の割合とするのが望ましい。このような割合とすることにより、一般の屎尿に対して優れた消臭機能を発揮する。塩化イソシアヌル酸が10重量%より少ないと消臭効果がなく、60重量%より多いと刺激臭が強く不快となり、有機酸アルカリ金属化合物が20重量%より少ないと消臭効果が長時間持続しなくなり、50重量%より多いと塩化イソシアヌル酸などの含有量が相対的に低下するので消臭効果が低下する。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を実験例に基づいて説明する。なお、後述する、実験例3のビーカーAおよび実験例4のビーカーA,Fが本願発明の実施例に相当し、実験例1のビーカーA〜D、実験例2のビーカーA〜D、実験例3のビーカーB〜Fおよび実験例4のビーカーB〜Eは比較例である。
[実験例1]
サイズ、形状の等しい5つのビーカーA,B,C,Dにそれぞれ排泄後の大便12.5g、排泄直後の小便30g、井戸水150gを収容し、大便は十分に撹拌して組成物がばらつくことのないように留意して調製した。この段階で各ビーカーの試料のpHは6.07であった。
【0017】
実験に供した大便12.5g、小便30gの分量は次のような基準に基いて設定した。一般的に知られている成人の1日当りの排泄量は100〜250gであるが、ポータブルトイレを使用するのは健常者でなく、その運動量が少ない点を考慮して100〜150gとし、平均値の1/10の12.5gをもって試験に供することとした。
【0018】
一方、成人の1日当たりの尿量は約1.5リットルであり、大便と同様にその1/10の150gを使用するべきであるが、尿単体では24時間経過しても悪臭原因とはなりにくいこと、また、尿臭のほとんどはアンモニア臭であり、然るべき有機酸の添加で容易に消臭でき、消臭技術としても公知であることなどを考慮し、1日の平均尿量の50分の1である30gを試験に供した。これによって、大便臭の除去に重点を置き、鮮明に消臭効果の比較ができるようにした。
【0019】
そして、ビーカーAには塩化イソシアヌル酸0.1gおよびクエン酸ナトリウム0.2gを添加した。ビーカーBには塩化イソシアヌル酸のみを0.1g添加した。ビーカーCにはクエン酸ナトリウムのみを0.2gを添加した。ビーカーDには何も添加しなかった。このように調製した各ビーカーのpH、臭気強度を実験開始から30時間経過するまで2時間毎に計測して表1に示す結果が得られた。なお、実験開始から30時間経過するまでの間の各ビーカーの温度変化は以下に示す通りであった。
ビーカーA:温度22.5〜26.8℃
ビーカーB:温度22.5〜26.3℃
ビーカーC:温度22.2〜27.1℃
ビーカーD:温度22.4〜27.5℃
【0020】
表1において、臭気強度を0から5までの数字で表示しているが、その判定基準は、財団法人日本環境衛生センター刊「生活と環境」(昭和61年8月号)400ページに記載されている表2−63「6段階臭気強度表示法」に準拠して設定したものであり、具体的には以下に示す通りである。
【0021】
臭気強度0:全く臭気を感知しない場合。例えば、真水を匂った程度の臭気を本実験例では0、完全無臭と定義している。
臭気強度1:何らかの臭気を感知した場合。検知閾値濃度である。やっと感知できる程度の臭気を指している。この臭気強度では屎尿臭のイメージを持つことはできない。
臭気強度2:何の臭いであるか認知できる。認知閾値濃度である。屎尿臭であることがイメージできる臭気強度。
臭気強度3:明らかに何の臭いであるか認知できる。本実験例においては明確に屎尿臭を認めることができる臭気強度である。
臭気強度4:強い臭気を感知でき、同時に臭気を発する物質の量的イメージをも持つことのできる場合。屎尿臭では、はっきりとした嫌悪感のある臭気強度である。
臭気強度5:臭気強度4を明らかに上回る臭気強度であって、「臭う」という行為さえしりごみしたくなるような強烈な臭気を指す。
【0022】
また、各ビーカーの臭気強度を実際に判定する場合は次の条件を厳守した。
条件(1):臭気判定は空気の揺らぎの少ない閉め切った室内で行う。検体容器にはコニカルビーカーを用い、判定時以外は臭気漏れのないよう、常にゴム栓で密閉しておく。
条件(2):判定誤差防止のため、検体と鼻腔との距離が一定となるよう、ビーカーを保持する手の位置を常に顎下端部とする。
【0023】
【表1】
Figure 0003558126
【0024】
表1によれば、ビーカーAはほぼ理想的な消臭効果を示しており、微臭が認められるようになったのは28時間経過以降であるが、臭気強度の判定基準そのものがかなり厳しいものであるため、実用上、殆ど問題ないレベルにある。pHは実験開始初期5.96であったものが30時間経過後、6.08と微増しているが、比較的安定している。
【0025】
ビーカーBは塩化イソシアヌル酸のみを添加しているが、加水分解して次亜塩素酸が発生するという現象のみでは消臭効果が不十分であること分かる。初期段階ではビーカーAとの格差は殆ど無いが、16時間経過以降から徐々に消臭効果が破綻し始め、26時間経過すると消臭効果がなくなり、消臭効果の持続性に欠ける。pHは初期5.93であったが、20時間経過後6.99まで上昇し、22時間経過後は臭気強度3と判定されている。アミン類、アンモニアなどの濃度が増加したものと考えられる。ビーカーCはクエン酸ナトリウムのみを添加しているが、実験開始直後から臭気強度3であり、消臭効果は無いに等しい。ビーカーDは比較のための空実験であるが、終始、強烈な臭気を放っていた。
【0026】
以上の実験結果より、塩化イソシアヌル酸と有機酸アルカリ金属化合物が共存すると優れた消臭効果が長時間持続することが判明した。
【0027】
〔実験例2〕
サイズ、形状の等しい5つのビーカーA,B,C,Dにそれぞれ排泄直後の大便12.5g、排泄直後の小便30g、井戸水150gを収容し、大便は充分に撹拌して組成物がばらつくことのないように留意して調製した。この段階での各ビーカーの試料のpHは6.42であった。
【0028】
そして、ビーカーAには塩化イソシアヌル酸0.1gとスルファミン酸ナトリウム0.2gを添加した。ビーカーBには塩化イソシアヌル酸のみを0.1g添加した。ビーカーCにはスルファミン酸ナトリウムのみを0.2g添加した。ビーカーDは何も添加せず比較のための空実験とした。このように調製した各ビーカーの臭気強度を実験開始から30時間経過するまで2時間毎に計測して表2に示す結果が得られた。なお、実験開始から28時間経過するまでの間の各ビーカーの温度変化範囲は以下に示す通りであった。
ビーカーA:温度18.2〜25.0℃
ビーカーB:温度18.4〜24.6℃
ビーカーC:温度18.3〜24.5℃
ビーカーD:温度18.4〜24.5℃
【0029】
【表2】
Figure 0003558126
【0030】
ビーカーAは表1のビーカーAと大幅に異なり実験開始から4時間経過後で臭気強度1と判定され、16時間目には臭気強度2と判定されており、共存させたスルファミン酸ナトリウムは消臭に対して何ら影響を与えていないのは、表2のビーカーBとの比較からも明らかである。これは、特公昭46−16110号公報で開示されているジクロルイソシアヌル酸とジクロルイソシアヌル酸ソーダを粉体で屎尿に添加した実験とほぼ同様の結果となった。前記公報では、実験開始時1230ppmあった残存有効塩素濃度が5時間経過後は0となったことが報告されている。表1のビーカーBについても同様の結果を得ており、塩化イソシアヌル酸のみでは消臭効果が長時間持続できないことを示している。
【0031】
一方、ビーカーB,C,Dに共通するのはpHの漸次的上昇であったが、これはアンモニア、アミン類の増加を示すものと考えられ、表1の場合と同様、臭気強度の判定数値とpH値とが互いに関連していることが判る。
【0032】
また、本実験では塩素ガス臭の発生の有無を確認する目的もあった。前述した実験例1のビーカーAでは塩素ガス臭の発生を確認していたが、本実験のビーカーAでは塩素ガス臭は殆ど確認されなかった。スルファミン酸がハロゲンガス捕捉機能を持っていることは特公昭60−56154号公報、特開平5−11546号公報などで言及され、特に特開平5−11546号公報では溶液内に存在する塩素や溶液内で徐々に発生する塩素を捕捉する事実が述べられている。本実験では、スルファミン酸ではなくスルファミン酸ナトリウムを使用したが、スルファミン酸に匹敵する塩素捕捉効果が得られた。
【0033】
〔実験例3〕
ビーカーA,B,C,D,E,Fにそれぞれ排泄直後の大便12.5g、排泄直後の小便30g、井戸水150gを加え、組成物がばらつくことのないよう留意しながら充分撹拌して調製した。
【0034】
ビーカーAには、塩化イソシアヌル酸34%、安息香酸ナトリウム22%、クエン酸ナトリウム22%、スルファミン酸ナトリウム22%からなる消臭剤0.4gを加えた。ビーカーBには、塩化イソシアヌル酸34%、安息香酸ナトリウム22%、クエン酸22%、スルファミン酸ナトリウム22%からなる消臭剤0.4gを加えた。ビーカーCには、塩化イソシアヌル酸44%、安息香酸ナトリウム28%、酢酸ナトリウム28%からなる消臭剤0.4gを加えた。ビーカーDには、塩化イソシアヌル酸34%、安息香酸ナトリウム22%、酢酸ナトリウム22%、スルファミン酸ナトリウム22%からなる消臭剤0.4gを加えた。ビーカーEには、塩化イソシアヌル酸34%、安息香酸ナトリウム22%、酢酸ナトリウム22%、クエン酸22%からなる消臭剤0.4gを加えた。ビーカーFには、塩化イソシアヌル酸56%、安息香酸ナトリウム44%からなる消臭剤を0.2g加えた。
【0035】
このような6種類のビーカーA,B,C,D,E,Fについて、各々の臭気強度を実験開始から27時間経過するまで2時間毎に計測して表3に示す結果が得られた。また、同時に使用感、ハロゲンガス臭気の有無を調べ実際の使用に適した組成を発見することも目的とした。なお、実験開始から27時間経過するまでの間の各ビーカーの温度変化の範囲は以下に示す通りであった。
ビーカーA:温度17.7〜25.0℃
ビーカーB:温度18.1〜24.8℃
ビーカーC:温度18.4〜24.9℃
ビーカーD:温度18.4〜24.7℃
ビーカーE:温度18.3〜24.8℃
ビーカーF:温度18.4〜24.9℃
【0036】
さらに、消臭剤の評価基準としては、本発明に係る消臭剤が一般のポータブルトイレでの使用を想定していることから、以下のような事項を設定した。
(1)臭気強度1以下に抑制する消臭作用が24時間、安定的に持続すること。
(2)消臭剤の保管中および使用中にハロゲンガス臭や酸臭などの異臭が感知されないこと。
(3)添加量が比較的少なくても消臭効果が得られること。
【0037】
【表3】
Figure 0003558126
【0038】
ビーカーFに添加した消臭剤は特に優れた消臭性能を示すとは言えず、およそ12時間目までは実用に供しても差し支えないが、前記評価基準には達しておらず、26時間目以降は消臭効果が破綻している。ビーカーB,C,D,Eは標準的な消臭性能を有していると考えられ、市販されている代表的な消臭剤と同等以上であると認められる。ただしビーカーB,Eは、ハロゲンガス臭が若干あった。本実験でもビーカーをほとんど鼻孔に当てながら計測する方法を採用しているため、判定は厳しいが安全性を考慮すると評価基準には未到達である。ビーカーAは極めて良好な消臭効果を示した。添加直後に若干の塩素ガス臭は感じられたが、それ以降はほとんど感知できなくなり、水道水のカルキ臭レベルにとどまっている。これも、コニカルビーカーの口を鼻孔に当てないと感知できない程度である。
【0039】
ビーカーB,Eの結果を見ると、塩化イソシアヌル酸と有機酸の共存は禁忌といえる。また、ビーカーA,F以外は酸臭、ハロゲンガス臭を強く放ち、実際の使用には不向きであることが判った。しかし、塩化イソシアヌル酸といくつかの有機酸アルカリ金属化合物の共存という形で用いることよって、その消臭、殺菌効果の発現が非常に緩やかとなり、同時に消臭効果が長時間持続することが見出された。ビーカーAについては、引き続き計測作業を行ったが実験開始後96時間を経過した時点でも臭気強度1を保っていた。
【0040】
〔実験例4〕
ビーカーA,B,C,D,E,F各々に排泄直後の大便12.5g、排泄直後の小便30g、井戸水150gを加えた。組成物のばらつきが生じないように充分撹拌して調製した。そして、ビーカーAには塩化イソシアヌル酸34%、安息香酸ナトリウム22%、クエン酸ナトリウム22%、スルファミン酸ナトリウム22%からなる本発明に係る消臭剤0.2gを加えた。ビーカーBにはS社の粉状消臭剤1g、ビーカーCにはA社の粉状消臭剤0.7g、ビーカーDにはS社の液体消臭剤2.0g、ビーカーEにはA社の液体消臭剤4gをそれぞれ添加した。ビーカーFには塩化イソシアヌル酸34%、安息香酸ナトリウム22%、フマル酸ナトリウム22%、スルファミン酸ナトリウム22%からなる本発明に係る消臭剤0.2gを加えた。なお、ビーカーB,C,D,Eに添加した消臭剤は何れもポータブルトイレ専用消臭剤として広く販売され、一般に使用されているものである。また、これらの市販消臭剤は、それぞれの使用説明書に従い実際の使用量の1/10となる分量を添加した。
【0041】
このような6種類のビーカーA,B,C,D,E,Fについて、各々の臭気強度を実験開始から26時間経過するまで2時間毎に計測して表4に示す結果が得られた。なお、実験開始から26時間経過するまでの間の各ビーカーの温度変化範囲は以下に示す通りであった。
ビーカーA:温度18.8〜22.9℃
ビーカーB:温度18.7〜23.2℃
ビーカーC:温度18.8〜23.1℃
ビーカーD:温度18.8〜23.2℃
ビーカーE:温度18.8〜23.1℃
ビーカーF:温度18.7〜23.4℃
【0042】
【表4】
Figure 0003558126
【0043】
本実験を実施するにあたっては、市販消臭剤に関する知見をある程度得ていたので、2時間ごとの計測でも差がでることを予想していたが、その格差は予想以上に大であった。本実験でも前述した臭気強度判定基準を用いたが、この判定基準が意味をなさないほど明確な差異が認められた。24時間経過後においても消臭効果を維持している市販消臭剤は皆無であった。
【0044】
消臭剤を実際に使用する場合は、臭気強度2を維持していれば「消臭効果あり」と判断して差し支えない。ビーカーCは初期段階で「消臭効果あり」の範疇にあったが、8〜10時間位しかその消臭効果を維持していない。これでは朝の使用開始から夕方までしか消臭効果が持続しないことになる。また、夕方から使用開始すると翌朝には悪臭を放つことになり、実用上不満足である。病院や介護施設などでは数時間おきに汚物の廃棄処理を行っている場合もあるが、1,2回の排泄ごとに廃棄処理をする行為は、介護者の負担を増大させるものであり、せめて1日に1回だけの処理にとどめた方が望ましいのは当然である。このような観点に立てば、24時間以上の消臭効果持続性は必須であると考えられる。
【0045】
以上の実験結果によれば、本発明に係る消臭剤(ビーカーA,F)は、使用開始後24時間は言うに及ばず、48〜96時間経過後においても優れた消臭効果を持続できることが判明した。したがって、本発明の主用途であるポータブルトイレでの使用については理想的な消臭効果を得ることができる。
【0046】
また、1回当りの使用量を比較すると、本発明に係る消臭剤を除き、使用量が最も少なく設定されているのはビーカーCに添加した市販消臭剤の0.7gであるが、これはビーカーA,Fに添加した本発明に係る消臭剤の3.5倍の添加量であり、市販消臭剤は多量に使用する必要があることが判る。このような使用量設定は、市販消臭剤が選択的消臭方式を採用していることを示しており、このことは、包装資材の大容量化、重量増加を引き起こし、天然資源の大量消費を招くので、経済性だけでなく環境保護の観点からも望ましくない。屎尿臭除去については低費用であるべきことは誰しも承知しているが、消臭剤製造業者を取り巻く企業環境、商品開発の際の妥協点の設定などを考慮すれば、全てのユーザーを満足させる消臭剤の提供はかなりの困難を伴う。しかし、本発明に係る消臭剤はこのような問題をほとんど払拭することができ、本発明者の試算によれば、1回当りのコストは半減できるとも考えられ、本発明に係る消臭剤は介護現場における様々な問題の解決に寄与することができる。
【0047】
【発明の効果】
本発明により、以下に示す効果を奏する。
【0048】
(1)塩化イソシアヌル酸と有機酸アルカリ金属化合物と無機酸アルカリ金属化合物とを含有することにより、人などの屎尿に対し強力かつ長時間持続する消臭性能を備え、保管中や使用中に塩素臭などの異臭を発生せず、使用量も比較的少なくてすむ消臭剤を得ることができる。
【0049】
(2)有機酸アルカリ金属化合物として、安息香酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、フマル酸ナトリウムのうちのいずれか1以上を用いることにより、消臭効果の持続性が高まり、また、無機酸アルカリ金属化合物としてスルファミン酸ナトリウムを用いることにより塩素臭をなくすことができる。
【0050】
(3)塩化イソシアヌル酸、有機酸アルカリ金属化合物、無機酸アルカリ金属化合物を特定の配合割合とすることにより、人の屎尿に対して優れた消臭機能を発揮する。

Claims (1)

  1. 塩化イソシアヌル酸と、安息香酸ナトリウムと、クエン酸ナトリウムまたはフマル酸ナトリウムと、スルファミン酸ナトリウムと、を含有することを特徴とする消臭剤。
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