JP3558099B2 - 有機けい素化合物及びその製造方法並びに表面処理剤 - Google Patents
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、種々の基材に撥水性、撥油性を与えるための表面処理剤として有用な新規有機けい素化合物、その製造方法、及びこの有機けい素化合物を主剤とする表面処理剤に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
従来、分子内にフロロアルキル基と加水分解性シリル基を持つ化合物としては、特開昭58−172246号公報や特開平4−136181号公報に示されるように以下の化合物が代表例として知られている。
【0003】
【化4】
【0004】
上記のようなフロロアルキル基を含み、加水分解性シリル基を持つ化合物は、金属やガラス等の表面処理剤として用いられているが種々の問題点がある。
【0005】
例えば、式(1)〜(3)の加水分解性基としてハロゲノシリル基を持つ化合物は、金属等に処理した場合、空気中の湿気で加水分解して塩酸ガスが発生し、金属を腐食するという問題がある。
【0006】
また、式(4)〜(6)の加水分解性基としてアルコキシシリル基を持つ化合物は、金属、ガラス等に処理した場合に加水分解速度が遅いため、充分な効果が得られにくいという問題がある。さらに、式(7)の化合物は撥水、撥油性を与える表面処理剤としての効果は充分であるが、溶解する溶媒がm−キシレンヘキサフロライド等のフッ素系溶媒しかなく、一般的なベンゼン、トルエン、キシレン、ヘキサン等に溶解しないという欠点があった。
【0007】
従って、上記式(1)〜(7)で示されるような有機けい素化合物の持つ欠点を解決することが望まれていた。
【0008】
【課題を解決するための手段及び作用】
本発明者は、上記要望に応えるために鋭意検討を行った結果、下記一般式(B)で表される化合物と下記一般式(C)で表される化合物とを脱塩化水素反応させることにより、分子内にフロロアルキル基を含むと共に、加水分解性シリル基としてジオルガノアミノシリル基を含む下記一般式(A)で表される新規有機けい素化合物が得られることを見い出した。そして、この式(A)の有機けい素化合物が、従来知られている上記式(1)〜(7)で示されるようなフロロアルキル基と加水分解性シリル基を持つ有機けい素化合物の欠点を解決し得たものであり、加水分解性に富み、かつ、フッ素系溶媒に溶解するのみでなく、炭化水素系溶媒などの他の有機溶媒にも可溶であり、これを表面処理剤として使用した場合、優れた撥水性及び撥油性を与えることを知見し、本発明をなすに至ったものである。
【0009】
【化5】
(式中、R1 及びR2 は炭素数1〜6の1価炭化水素基であり、R1 とR2 は互いに同一であっても異なっていてもよい。aは1,2又は3、nは7の整数を示す。)
【0010】
従って、本発明は、
i 上記式(A)の有機けい素化合物、
ii 上記式(B)の化合物と上記式(C)の化合物とを脱塩化水素反応させることを特徴とする式(A)の有機けい素化合物の製造方法、
iii 上記式(A)の有機けい素化合物を主剤とする表面処理剤
を提供する。
【0011】
以下、本発明につき更に詳しく説明する。
本発明の新規有機けい素化合物は、下記一般式(A)で示されるものである。
【0012】
【化6】
【0013】
ここで、R1 及びR2 は、互いに同一又は異種の炭素数1〜6の1価炭化水素基であり、下記に示すような直鎖状又は分枝状のアルキル基が好ましい。
【0014】
【化7】
【0015】
R1及びR2としては、これらの中で処理後の揮発性の面からメチル基又はエチル基であることが好ましい。aは1,2又は3を示すが、特に2又は3であることが好ましい。nは7である。
【0016】
上記式(A)の有機けい素化合物の代表例としては下記のものが例示され、これらの中で特に▲1▼で示されるものが好ましい。
【0017】
【化8】
【0018】
上記式(A)の化合物は、下記一般式(B)で表されるフロロアルキル基含有クロロシランと、下記一般式(C)で表わされるジオルガノアミンとを脱塩化反応させることにより合成し得る。
【0019】
【化9】
(R1 ,R2 ,a,nは上記と同様の意味を示す。)
【0020】
ここで、上記一般式(B)で示される化合物の代表例として以下のものがあげられる。
【0021】
【化10】
【0022】
また、一般式(C)で示される化合物の代表例として以下のものがあげられる。
【0023】
【化11】
【0024】
上記式(B)のクロロシランと式(C)のアミンとを反応させる場合、クロロシランのクロル原子のモル数以上、好ましくは2モル以上のアミンを用い、室温〜120℃程度で30分〜15時間程度反応させることが好ましい。その際に、ジアルキルアミンを脱塩酸剤としても良く、また、トリエチルアミンやピリジン等の脱塩酸剤を添加しても良い。
【0025】
この反応の際の溶媒は使用しても良く、例えばトルエン、キシレン等の芳香族系化合物やペンタン、ヘキサン、オクタン、デカン等の炭化水素系化合物等が好ましく、他の溶媒も可能であるが、活性水素を持つ化合物は不適である。また、使用する溶媒は脱水してから使用することが望ましい。
【0026】
反応終了後、生成した塩酸塩は濾過により分離しても良く、また、水洗して分離しても良い。水洗する場合にはアルカリ水で洗浄することが好ましい。
【0027】
本発明の式(A)の化合物は種々の基材への表面処理剤として有用であり、例えばガラスや鉄、アルミ、銅、亜鉛等の金属、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ナイロン等のプラスチックへ表面処理することで優れた撥水性、撥油性を与え、これらの基材に耐水性や防汚性を改良することができる。また、本化合物をガラス繊維やマイカ、タルク、クレー、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、酸化鉄、鉄、銅、アルミニウム等の無機充填材に処理することで、これらの充填材をフッ素系樹脂あるいはフッ素系ゴムに配合した場合の機械的特性や耐水性、耐熱性を改良することができる。
【0028】
本発明の式(A)の化合物を表面処理剤として用いる場合には、本化合物を適宜な溶媒に希釈して使用することができる。この場合、希釈程度は、表面処理剤中本化合物が0.0001〜10重量%濃度となるようにすることが好ましい。希釈溶媒としては、ペンタン、ヘキサン等の脂肪族炭化水素系化合物、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系化合物、m−キシレンヘキサフロライド等のフッ素系化合物、酢酸エチル等のエステル類、ジメチルホルムアミド等のアミド類、ジエチルエーテル、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類等を用いることができる。
【0029】
本表面処理剤には本化合物に加え、他のシラン系カップリング剤、チタネート系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤、染料、顔料、酸化防止剤、UV吸収剤、加水分解縮合触媒、防藻剤、防かび剤等の添加剤を添加しても良い。
【0030】
本表面処理剤の使用法は従来の表面処理剤と同様でよく、例えば、基材に対して浸漬処理をしても良く、スプレーによる塗布、ハケ塗り等によって処理しても良い。処理後は風乾するか、50〜150℃程度で乾燥しても良い。
【0031】
【発明の効果】
本発明の新規有機けい素化合物は、フッ素系溶媒のみならず、炭化水素系溶媒にも溶解し、表面処理剤として取り扱い性などの点で有利であり、また表面処理剤として用いた場合、各種基材に優れた撥水性、撥油性を与える。また、本発明の製造方法によれば、かかる有機けい素化合物を簡単に製造することができる。
【0032】
【実施例】
以下、実施例と比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。
【0033】
〔実施例1〕
攪拌機、温度計、還流冷却器、ガス導入器をとりつけた1リットルセパラブルフラスコに式Cl3 Si−(CH2 )2 −(CF2 )7 −CF3 で表わされる化合物193.8g(0.33モル)と脱水トルエン500gを仕込み、これに20℃にて(CH3 )2 NHで示されるジメチルアミン135g(3モル)をガス導入器よりゆっくり導入した。導入には5時間を要した。導入終了時には30℃まで温度は上昇した。導入終了後、窒素バブリングを行ない、過剰のジメチルアミンを取りはぶき、濾過によりアミン塩酸塩を取りはぶいた。その後、トルエンを留去したところ、183.3gの微白濁の溶液が得られた。このものを蒸留により精製したところ、無色透明な液体が162.6g得られた(収率80.4%)。沸点は127℃/9mmHgであった。このものの赤外線吸収スペクトル分析、 1H−核磁気共鳴スペクトル分析を行なった結果を下記に記すが、これらの結果より{(CH3)2N}3SiCH2CH2(CF2)7CF3であることが確認できた。なお、このもののガスクロマトグラフ分析による純度は99.5%であった。
赤外線吸収スペクトル分析結果(図1)
2794cm−1 : N−CH3
1243cm−1 : C−F
1206cm−1 : C−F
987cm−1 : Si−N
1H−核磁気共鳴スペクトル分析結果(図2)
内標 ベンゼン δ=7.24
δ=2.51ppm(s,18H):Si−N−CH 3
δ=0.77〜1.12ppm(m,2H):Si−CH 2 −
δ=1.66〜2.43ppm(m,2H):Si−CH2 −CH 2
【0034】
〔実施例2,3、参考例1、比較例1〜3〕
実施例1と同様な装置またはガス導入器を滴下装置に代えたものを用いて表1に示す原料a,bを反応させ、その後の操作は同様にして、表1に示す生成物を得た。なお、これらの生成物は、赤外線吸収スペクトル分析及び 1H−核磁気共鳴スペクトル分析により構造を確認した。
【0035】
【表1】
【0036】
実施例1〜3、参考例1にて合成した化合物及び下記式で示される比較例の化合物の溶媒への溶解性を表2に示した。
【0037】
【化12】
【0038】
【表2】
【0039】
表2から明らかなように、本化合物は芳香族系炭化水素系及び脂肪族系炭化水素に任意の濃度で溶解することが確認された。これは比較例3の化合物と大きく異なる特性であった。
【0040】
〔実施例4〜6、参考例2、比較例4,5〕
実施例1、参考例1、実施例2,3にて合成した化合物及び比較例1,2の化合物を2%ヘキサン溶液に調整し、本発明の実施例4、参考例2、実施例5、6の表面処理剤及び比較例4,5の表面処理剤とした。また、比較例3の化合物はm−キシレンヘキサフロライドに2%溶解し、比較例6の表面処理剤とした。これらの表面処理剤中に清浄なガラス板を浸漬し、風乾し、表面処理ガラス板を得た。このガラス板の水の接触角及びヘキサデカンの接触角を測定した結果を表3に示す。
【0041】
表3から明らかなように、本発明の化合物で処理されたガラス板は、撥水、撥油性の表面に改質されていることが確認できた。
【0042】
【表3】
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1で合成された化合物の赤外線吸収スペクトルである。
【図2】実施例1で合成された化合物の 1H−核磁気共鳴スペクトルである。
【産業上の利用分野】
本発明は、種々の基材に撥水性、撥油性を与えるための表面処理剤として有用な新規有機けい素化合物、その製造方法、及びこの有機けい素化合物を主剤とする表面処理剤に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
従来、分子内にフロロアルキル基と加水分解性シリル基を持つ化合物としては、特開昭58−172246号公報や特開平4−136181号公報に示されるように以下の化合物が代表例として知られている。
【0003】
【化4】
【0004】
上記のようなフロロアルキル基を含み、加水分解性シリル基を持つ化合物は、金属やガラス等の表面処理剤として用いられているが種々の問題点がある。
【0005】
例えば、式(1)〜(3)の加水分解性基としてハロゲノシリル基を持つ化合物は、金属等に処理した場合、空気中の湿気で加水分解して塩酸ガスが発生し、金属を腐食するという問題がある。
【0006】
また、式(4)〜(6)の加水分解性基としてアルコキシシリル基を持つ化合物は、金属、ガラス等に処理した場合に加水分解速度が遅いため、充分な効果が得られにくいという問題がある。さらに、式(7)の化合物は撥水、撥油性を与える表面処理剤としての効果は充分であるが、溶解する溶媒がm−キシレンヘキサフロライド等のフッ素系溶媒しかなく、一般的なベンゼン、トルエン、キシレン、ヘキサン等に溶解しないという欠点があった。
【0007】
従って、上記式(1)〜(7)で示されるような有機けい素化合物の持つ欠点を解決することが望まれていた。
【0008】
【課題を解決するための手段及び作用】
本発明者は、上記要望に応えるために鋭意検討を行った結果、下記一般式(B)で表される化合物と下記一般式(C)で表される化合物とを脱塩化水素反応させることにより、分子内にフロロアルキル基を含むと共に、加水分解性シリル基としてジオルガノアミノシリル基を含む下記一般式(A)で表される新規有機けい素化合物が得られることを見い出した。そして、この式(A)の有機けい素化合物が、従来知られている上記式(1)〜(7)で示されるようなフロロアルキル基と加水分解性シリル基を持つ有機けい素化合物の欠点を解決し得たものであり、加水分解性に富み、かつ、フッ素系溶媒に溶解するのみでなく、炭化水素系溶媒などの他の有機溶媒にも可溶であり、これを表面処理剤として使用した場合、優れた撥水性及び撥油性を与えることを知見し、本発明をなすに至ったものである。
【0009】
【化5】
(式中、R1 及びR2 は炭素数1〜6の1価炭化水素基であり、R1 とR2 は互いに同一であっても異なっていてもよい。aは1,2又は3、nは7の整数を示す。)
【0010】
従って、本発明は、
i 上記式(A)の有機けい素化合物、
ii 上記式(B)の化合物と上記式(C)の化合物とを脱塩化水素反応させることを特徴とする式(A)の有機けい素化合物の製造方法、
iii 上記式(A)の有機けい素化合物を主剤とする表面処理剤
を提供する。
【0011】
以下、本発明につき更に詳しく説明する。
本発明の新規有機けい素化合物は、下記一般式(A)で示されるものである。
【0012】
【化6】
【0013】
ここで、R1 及びR2 は、互いに同一又は異種の炭素数1〜6の1価炭化水素基であり、下記に示すような直鎖状又は分枝状のアルキル基が好ましい。
【0014】
【化7】
【0015】
R1及びR2としては、これらの中で処理後の揮発性の面からメチル基又はエチル基であることが好ましい。aは1,2又は3を示すが、特に2又は3であることが好ましい。nは7である。
【0016】
上記式(A)の有機けい素化合物の代表例としては下記のものが例示され、これらの中で特に▲1▼で示されるものが好ましい。
【0017】
【化8】
【0018】
上記式(A)の化合物は、下記一般式(B)で表されるフロロアルキル基含有クロロシランと、下記一般式(C)で表わされるジオルガノアミンとを脱塩化反応させることにより合成し得る。
【0019】
【化9】
(R1 ,R2 ,a,nは上記と同様の意味を示す。)
【0020】
ここで、上記一般式(B)で示される化合物の代表例として以下のものがあげられる。
【0021】
【化10】
【0022】
また、一般式(C)で示される化合物の代表例として以下のものがあげられる。
【0023】
【化11】
【0024】
上記式(B)のクロロシランと式(C)のアミンとを反応させる場合、クロロシランのクロル原子のモル数以上、好ましくは2モル以上のアミンを用い、室温〜120℃程度で30分〜15時間程度反応させることが好ましい。その際に、ジアルキルアミンを脱塩酸剤としても良く、また、トリエチルアミンやピリジン等の脱塩酸剤を添加しても良い。
【0025】
この反応の際の溶媒は使用しても良く、例えばトルエン、キシレン等の芳香族系化合物やペンタン、ヘキサン、オクタン、デカン等の炭化水素系化合物等が好ましく、他の溶媒も可能であるが、活性水素を持つ化合物は不適である。また、使用する溶媒は脱水してから使用することが望ましい。
【0026】
反応終了後、生成した塩酸塩は濾過により分離しても良く、また、水洗して分離しても良い。水洗する場合にはアルカリ水で洗浄することが好ましい。
【0027】
本発明の式(A)の化合物は種々の基材への表面処理剤として有用であり、例えばガラスや鉄、アルミ、銅、亜鉛等の金属、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ナイロン等のプラスチックへ表面処理することで優れた撥水性、撥油性を与え、これらの基材に耐水性や防汚性を改良することができる。また、本化合物をガラス繊維やマイカ、タルク、クレー、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、酸化鉄、鉄、銅、アルミニウム等の無機充填材に処理することで、これらの充填材をフッ素系樹脂あるいはフッ素系ゴムに配合した場合の機械的特性や耐水性、耐熱性を改良することができる。
【0028】
本発明の式(A)の化合物を表面処理剤として用いる場合には、本化合物を適宜な溶媒に希釈して使用することができる。この場合、希釈程度は、表面処理剤中本化合物が0.0001〜10重量%濃度となるようにすることが好ましい。希釈溶媒としては、ペンタン、ヘキサン等の脂肪族炭化水素系化合物、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系化合物、m−キシレンヘキサフロライド等のフッ素系化合物、酢酸エチル等のエステル類、ジメチルホルムアミド等のアミド類、ジエチルエーテル、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類等を用いることができる。
【0029】
本表面処理剤には本化合物に加え、他のシラン系カップリング剤、チタネート系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤、染料、顔料、酸化防止剤、UV吸収剤、加水分解縮合触媒、防藻剤、防かび剤等の添加剤を添加しても良い。
【0030】
本表面処理剤の使用法は従来の表面処理剤と同様でよく、例えば、基材に対して浸漬処理をしても良く、スプレーによる塗布、ハケ塗り等によって処理しても良い。処理後は風乾するか、50〜150℃程度で乾燥しても良い。
【0031】
【発明の効果】
本発明の新規有機けい素化合物は、フッ素系溶媒のみならず、炭化水素系溶媒にも溶解し、表面処理剤として取り扱い性などの点で有利であり、また表面処理剤として用いた場合、各種基材に優れた撥水性、撥油性を与える。また、本発明の製造方法によれば、かかる有機けい素化合物を簡単に製造することができる。
【0032】
【実施例】
以下、実施例と比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。
【0033】
〔実施例1〕
攪拌機、温度計、還流冷却器、ガス導入器をとりつけた1リットルセパラブルフラスコに式Cl3 Si−(CH2 )2 −(CF2 )7 −CF3 で表わされる化合物193.8g(0.33モル)と脱水トルエン500gを仕込み、これに20℃にて(CH3 )2 NHで示されるジメチルアミン135g(3モル)をガス導入器よりゆっくり導入した。導入には5時間を要した。導入終了時には30℃まで温度は上昇した。導入終了後、窒素バブリングを行ない、過剰のジメチルアミンを取りはぶき、濾過によりアミン塩酸塩を取りはぶいた。その後、トルエンを留去したところ、183.3gの微白濁の溶液が得られた。このものを蒸留により精製したところ、無色透明な液体が162.6g得られた(収率80.4%)。沸点は127℃/9mmHgであった。このものの赤外線吸収スペクトル分析、 1H−核磁気共鳴スペクトル分析を行なった結果を下記に記すが、これらの結果より{(CH3)2N}3SiCH2CH2(CF2)7CF3であることが確認できた。なお、このもののガスクロマトグラフ分析による純度は99.5%であった。
赤外線吸収スペクトル分析結果(図1)
2794cm−1 : N−CH3
1243cm−1 : C−F
1206cm−1 : C−F
987cm−1 : Si−N
1H−核磁気共鳴スペクトル分析結果(図2)
内標 ベンゼン δ=7.24
δ=2.51ppm(s,18H):Si−N−CH 3
δ=0.77〜1.12ppm(m,2H):Si−CH 2 −
δ=1.66〜2.43ppm(m,2H):Si−CH2 −CH 2
【0034】
〔実施例2,3、参考例1、比較例1〜3〕
実施例1と同様な装置またはガス導入器を滴下装置に代えたものを用いて表1に示す原料a,bを反応させ、その後の操作は同様にして、表1に示す生成物を得た。なお、これらの生成物は、赤外線吸収スペクトル分析及び 1H−核磁気共鳴スペクトル分析により構造を確認した。
【0035】
【表1】
【0036】
実施例1〜3、参考例1にて合成した化合物及び下記式で示される比較例の化合物の溶媒への溶解性を表2に示した。
【0037】
【化12】
【0038】
【表2】
【0039】
表2から明らかなように、本化合物は芳香族系炭化水素系及び脂肪族系炭化水素に任意の濃度で溶解することが確認された。これは比較例3の化合物と大きく異なる特性であった。
【0040】
〔実施例4〜6、参考例2、比較例4,5〕
実施例1、参考例1、実施例2,3にて合成した化合物及び比較例1,2の化合物を2%ヘキサン溶液に調整し、本発明の実施例4、参考例2、実施例5、6の表面処理剤及び比較例4,5の表面処理剤とした。また、比較例3の化合物はm−キシレンヘキサフロライドに2%溶解し、比較例6の表面処理剤とした。これらの表面処理剤中に清浄なガラス板を浸漬し、風乾し、表面処理ガラス板を得た。このガラス板の水の接触角及びヘキサデカンの接触角を測定した結果を表3に示す。
【0041】
表3から明らかなように、本発明の化合物で処理されたガラス板は、撥水、撥油性の表面に改質されていることが確認できた。
【0042】
【表3】
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1で合成された化合物の赤外線吸収スペクトルである。
【図2】実施例1で合成された化合物の 1H−核磁気共鳴スペクトルである。
Claims (3)
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP15231495A JP3558099B2 (ja) | 1995-05-26 | 1995-05-26 | 有機けい素化合物及びその製造方法並びに表面処理剤 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP15231495A JP3558099B2 (ja) | 1995-05-26 | 1995-05-26 | 有機けい素化合物及びその製造方法並びに表面処理剤 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH08325274A JPH08325274A (ja) | 1996-12-10 |
JP3558099B2 true JP3558099B2 (ja) | 2004-08-25 |
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ID=15537821
Family Applications (1)
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JP15231495A Expired - Fee Related JP3558099B2 (ja) | 1995-05-26 | 1995-05-26 | 有機けい素化合物及びその製造方法並びに表面処理剤 |
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US7045170B1 (en) | 2002-04-03 | 2006-05-16 | Sandia Corporation | Anti-stiction coating for microelectromechanical devices |
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1995
- 1995-05-26 JP JP15231495A patent/JP3558099B2/ja not_active Expired - Fee Related
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---|---|
JPH08325274A (ja) | 1996-12-10 |
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