JP3558094B2 - 固体電解コンデンサの製造方法 - Google Patents
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、有機半導体材料を含浸させてなる固体電解コンデンサの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、乾式箔形電解コンデンサにおいては、高純度アルミニウム箔からなる一対の陽極・陰極箔に、同じくアルミニウムからなる一対の引出端子を接続し、前記一対の陽極・陰極箔相互間にスペーサ紙を介在して巻回してなるコンデンサ素子を使用している。このコンデンサ素子は、アルミニウムの陽極箔・陰極箔の表面積を拡大させるために、表面をエッチングにより粗面化させている。さらに、陽極箔には誘電体酸化皮膜を生成させている。このようなコンデンサ素子を使用してなる電解コンデンサとして、例えば、コンデンサ素子に駆動用電解液を含浸してケースに収納し、このケース開口部を密閉するなどの外装を施してなる電解コンデンサが存在している。なお、ケース開口部を封口して密閉する手段として、従来は、一定間隔の引出端子の挿入孔が形成され、弾性を有するゴムからなる封口体が用いられている。
【0003】
しかし、上記駆動用電解液としては、例えば、エチレングリコールなどの有機溶媒にアジピン酸アンモニウムなどの有機カルボン酸塩を使用しているため、tanδ特性改善に限度があり、また、低温で比抵抗が上がり、低温特性が極度に悪化してしまうため、広域温度範囲で使用するには信頼性に欠ける。従って、駆動用電解液を使用してなる電解コンデンサにおいては、市場要求を十分に満足することは不可能である。
【0004】
そのため、近年では、駆動用電解液に代えて、TCNQ錯体からなる有機半導体を用いた固体解コンデンサが種々提案され、その一部は実用化されている。このようなTCNQ錯体からなる有機半導体をコンデンサ素子に含浸する手段として、一般に溶融含浸法、分散含浸法、更には真空蒸着法などがあるが、TCNQ錯体の特性は、いろいろな条件で変化し、極めて扱い難い物質である。このため、使用に当たっては種々の工夫が講じられている。特に、固体電解質の条件としては、コンデンサ特性としてのtanδなど等価直列抵抗に影響するそれ自体としての抵抗値が小さく、且つ広域温度範囲、特に高温下でも安定した比抵抗値があることが重要である。
【0005】
そして、コンデンサ素子に対するTCNQ錯体からなる有機半導体の含浸に際しては、コンデンサ素子の内部に、一様に必要量を浸透させることが要求される。このようなTCNQ錯体からなる有機半導体をコンデンサ素子に必要量を含浸させる工業的な手段として、従来から特許公報または技術文献によって、加熱溶融液化含浸が有効として提案されている。この加熱溶融液化含浸の具体的な手段としては、一般的に、所望のTCNQ錯体からなる有機半導体を外装ケースに入れて加熱溶融させ、これに予め加熱してなるコンデンサ素子を収納する。これにより、コンデンサ素子を構成するスペーサ紙の繊維と陽極箔の微細なエッチングピットを介して、TCNQ錯体からなる有機半導体液が素子全体に含浸されるものである。
【0006】
ここで、この工程中、外装ケースにコンデンサ素子を収納する際に、次の点に注意する必要がある。すなわち、コンデンサ素子の陽極側引出端子には、誘電体酸化被膜が生成されていない(未化成)。このような未化成の陽極側引出端子にTCNQ錯体からなる有機半導体液が付着し、この状態でコンデンサに電圧が印加されると、短絡が発生する。したがって、コンデンサ素子の陽極側引出端子に、TCNQ錯体からなる有機半導体液が付着しないようにする必要がある。このため、加熱溶融液化含浸時には、外装ケースに入れるTCNQ錯体は最小限の量に止め、ケース底面側となる素子端面からの毛細管現象を利用してコンデンサ素子全体への含浸を行っている。
【0007】
以上のように、コンデンサ素子全体に一様にTCNQ錯体からなる有機半導体液を含浸・固化させた後は、次のようにして外装ケースの開口部を封口する。すなわち、封口には、TCNQ錯体を溶解せず且つケースとの密着強度が十分となる樹脂を、開口部に充填固化させる方法が採用されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記のような従来の固体電解コンデンサには、次のような欠点があった。すなわち、コンデンサ素子がケース中心ではなく、位置がずれて収納された場合は、引出端子の引出位置もずれた位置となる。このような固体電解コンデンサでは、実装基板に装着する際に、引出端子と基板に設けられた引出端子挿入孔の位置・間隔が合わず、場合によっては電解コンデンサと隣接する他の部品との接触が発生することにもなる。
【0009】
また、従来の固体電解コンデンサでは、外装ケースの開口部を樹脂を充填することにより封口する工程で、引出端子に余分な力が加わり、陽・陰極の引出端子の間隔が狂って樹脂中に固定されることも発生する。この場合は、電解コンデンサの実装基板への装着が困難となる問題がある。
【0010】
ここで、他の部品と接触することなく、確実に基板に装着可能な固体電解コンデンサとするため、駆動用電解液を使用した電解コンデンサの封口と同様に、引出端子の挿入孔を有するゴムからなる封口体を使用することも考えられる。これにより、陽極・陰極の引出端子の間隔を一定にすると共に、引出端子と基板の引出端子挿入孔の位置・間隔を合わせることができる。
【0011】
しかし、この場合、ゴムは弾性を有するため、次のような問題が発生する。すなわち、封口体外部に突出した引出端子に引張りや折曲げなどによる力(機械的外力)が加わると、これがゴムからなる封口体に加わる。この時、ゴムは弾性を有するため、機械的外力をケース内部方向に伝えることになる。この場合、ケース内部では、封口体を介して機械的外力が働くと、コンデンサ素子の誘電体酸化被膜や固体電解質である有機半導体が破壊され易くなる。この結果、漏れ電流が増大し、または、短絡不良などの問題が発生することにもなる。
【0012】
以上のように、有機半導体を用い、ゴムからなる封口体を使用した場合、従来の電解コンデンサは、基板の正確な位置に装着できるなどの効果を有するものの、引出端子に機械的外力が加わると、漏れ電流増大や短絡不良などの電子部品の信頼性を損なう要因を引き起こすという欠点があった。
【0013】
本発明は、このような従来技術の課題を解決するために提案されたものであり、その第1の目的は、基板の所定位置に正確に装着することができると共に、機械的外力がケース内部に影響することのない固体電解コンデンサの製造方法を提供することである。また、第2の目的は、コンデンサ素子の収容されるケースの気密性が向上された固体電解コンデンサの製造方法を提供することである。さらに、第3の目的は、ケースが確実且つ高い気密性により封口される固体電解コン デンサの製造方法を提供することである。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上述した課題を解決するために、請求項1記載の発明は、弁作用金属からなる陽極箔と陰極箔間にスペーサを介在すると共に、各電極箔にそれぞれ引出端子を取着して巻回してコンデンサ素子を形成し、該コンデンサ素子に、樹脂からなる円柱状の封口本体と、その外周面に設けられた弾性部材からなる円筒状の外周部とから構成され、前記コンデンサ素子の陽極及び陰極の各引出端子がそれぞれ所定位置から引出される貫通孔が形成された封口体を装着し、有機半導体を外装ケースに入れて加熱溶融させ、これに予め加熱してなるコンデンサ素子を収納して、前記コンデンサ素子に有機半導体溶融液を含浸させ、その後に冷却して有機半導体を固化したことを特徴とする。
【0015】
また、請求項2記載の発明では、請求項1記載の製造方法で用いられる外装ケースには、封口体の固定手段として加締部が設けられていることを特徴とする。
【0016】
【作用】
以上のような構成を有する本発明の作用は次の通りである。すなわち、請求項1記載の発明では、封口体を構成する封口本体が樹脂からなるため、製造過程あるいは製造後の固体電解コンデンサには、機械的外力がケース内部に伝わることがない。しかも、この封口本体には、陽極・陰極の各引出端子が所定位置から引出される貫通孔が設けられ、コンデンサ素子に封口体を取り付けた後に、コンデンサ素子を外装ケースに収納しているため、コンデンサ素子がケース中央に収容されると共に、固体電解コンデンサを基板の所定の位置に正確に装着することができる。さらに、この封口本体の外周面に弾性を有する外周部が設けられているため、封口体とケースとを密着させることができる。
【0017】
請求項2記載の発明では、ケースに加締部が設けられていることにより、この加締部が封口体を押圧することになり、封口体がケースに固定され、確実にケース開口部を封口することができる。
【0018】
【実施例】
(1)主な実施例の構成以下、本発明による電解コンデンサの一実施例について、図面を参照して具体的に説明する。この場合、図1は本発明の一実施例により製造された電解コンデンサを示す断面図、図2は同じ実施例において形成したコンデンサ素子の構造を示す展開斜視図、図3は同じ実施例における封口体を示す斜視図、図4は図2のコンデンサ素子を図3の封口体に固定して一体化した状態を示す断面図である。
【0019】
まず、コンデンサ素子6を形成する。これは、図2に示すように、アルミニウム箔表面をエッチング液で粗面化し、表面積を拡大した後、陽極酸化皮膜を生成して陽極箔1を用意する。同様に、アルミニウム箔表面をエッチング液で粗面化し、表面積を拡大して陰極箔2を用意する。これらの陽極箔1、陰極箔2間に、クラフト紙またはマニラ紙などからなるスペーサ3を介在すると共に、陽極箔1及び陰極箔2の任意の箇所に、それぞれ内部リード部4a,5aを介し、陽極及び陰極の引出端子4,5を取着して巻回し、コンデンサ素子6を形成する。
【0020】
一方、封口体Cは、図3に示すように、円筒状の外周部7と、その内部の円柱状の封口本体8とから形成する。外周部7は、耐熱性及び弾性を有するゴムなどの材料により、外径がコンデンサ素子の収容される外装ケースの内径と同一、またはわずかに大きくなるように形成する。一方、封口本体8は、耐熱性を有するフッ素樹脂などの樹脂により、外径が外周部7の内径と同一、またはわずかに大きくなるように形成する。また、封口本体8には、2か所に、上下の端面を貫通する貫通孔9,10を設ける。この貫通孔9,10の形成位置及び相互の間隔は、引出端子4,5のコンデンサ素子6への取付部材である内部リード部4a,5aに対応させた所定位置に形成する。これらの貫通孔9,10の開口径は、内部リード部4a,5aの直径よりも僅かに小さく形成する。
【0021】
なお、円筒状となる外周部7の一方の端縁は、封口本体8を係止する係止突起7aとして内部方向に突出させる。また、円柱状となる封口本体8の一方の端面周囲には、前記係止突起7aと係合するように係止溝8aを形成する。そして、係止突起7aと係止溝8aとを係合させて、封口本体8の周囲に外周部7を密着固定し、封口体Cを形成する。ここで、封口体Cは、係止突起7a及び係止溝8aの形成されている面を上面とする。
【0022】
この後、図4に示すように、コンデンサ素子6を封口体Cに取り付ける。これは、封口本体8の貫通孔9,10に、下面側から陽極・陰極の引出端子4,5をそれぞれ挿入して、その端部を上面側の貫通孔9,10から引出す。さらに、内部リード部4a,5aがそれぞれ貫通孔9,10内部に挿入されるまで、貫通孔9,10から引出され突出した引出端子4,5端部を引っ張る。これにより、内部リード部4a,5aを貫通孔9,10内部に密着固定させる。
【0023】
次に、図1に示すように、例えばアルミニウムなどからなる上部の開口する外装ケース11内に、TCNQ錯体からなる有機半導体を必要な一定量を入れて加熱溶融し、有機半導体溶融液とする。この後、前記封口体Cに固定して一体化した前記コンデンサ素子6を、予熱状態で外装ケース11内に収納し、有機半導体溶融液をコンデンサ素子6に含浸する。この時、封口体Cは、上面が外装ケース11の上縁よりも下方となる位置まで、外装ケース内部に挿入される。これにより、封口体Cの外周面(外周部7の外周面)と外装ケース11の上部内周面とが密着する。
【0024】
そして、コンデンサ素子6に有機半導体溶融液を十分に含浸させた後、冷却により有機半導体12を固化する。この後、図1に示すように、外装ケース11には、封口体Cとの密着面の外周、及び外装ケース11の上端縁に、加締部11a,11bを形成する。これにより、加締部11a,11bが封口体Cのゴムからなる外周部7を押圧し、封口体Cが外装ケース11に密着固定される。このように、外装ケース11の開口部が封口され、電解コンデンサが完成する。
【0025】
(2)主な実施例の作用効果
以上のような電解コンデンサにおいては、封口体Cの外装ケース11と接する外周部7が、ゴムにより構成されているため、外装ケース11と封口体Cとの密閉性が優れた状態となる。これにより、外装ケース内部に外気が流入することが発生せず、コンデンサ素子が外気の水分や酸素により劣化することを確実に防止することができる。特に、封口体Cの外径となる外周部の外径がケースの内径と同一またはそれよりも大きく形成されているため、封口体Cをケース11内に圧入した場合、封口体Cがケース11に密着する。さらに、外装ケース11には、封口体Cが装着された後に加締部が設けられるため、封口体Cは確実に外装ケース11に固定される。したがって、本実施例では、封口体Cによる外装ケース11の封口に関し、長期間、高気密性を維持することができる。
【0026】
しかも、封口本体8が樹脂により構成されているため、陽極・陰極の引出端子4,5に引張りや折曲げなどによる力(機械的外力)が加わっても、この機械的外力は封口本体8で止まる。このため、コンデンサ素子に機械的外力が加わることは発生しない。したがって、機械的外力によりコンデンサ素子の誘電体酸化被膜や固体電解質である有機半導体が破壊されることは発生せず、漏れ電流の増大や短絡不良などの発生を防止することができる。
【0027】
さらに、引出端子4,5のコンデンサ素子6への取付部材である内部リード部4a,5aが、封口体Cの所定位置に形成された貫通孔9,10に固定される。これは、外装ケース11の封口を、従来のように樹脂の充填・固化させて行うことに比べ、充填時に引出端子4,5に余分な力が加わることがない。この結果、コンデンサ素子が、常に外装ケースの中心に収容されると共に、引出端子4,5が、外装ケース11の所定位置から引き出される。これにより、電解コンデンサを基板に装着する際には、他の部品に接触することや、装着ができないなどの問題は発生せず、常に所定の位置に装着することができる。また、封口体Cは予め形成しておくことができるため、樹脂の充填・固化工程が必要なくなり、電解コンデンサの製造工程を簡素化し、短時間に製造することが可能となる。
【0028】
したがって、本実施例の製造方法では、外気による劣化が防止され、漏れ電流の増大や短絡不良などの発生がなく、所定位置に装着可能な信頼性及び安全性の高い電解コンデンサを得ることができる。
【0029】
続いて、実際に本発明の工程に基づいて、固体電解コンデンサ(本発明品A)を製造すると共に、従来の製造方法に従い固体電解コンデンサ(従来品B)を製造した。すなわち、本発明及び従来例共に、幅3mm、長さ55mmの陽極箔を使用したコンデンサ素子を形成した。そして、有機半導体材料として、N−nブチルイソキノリニウムのTCNQ錯体を、コンデンサ素子への含浸に必要な一定量を円筒状アルミケースに収納し、加熱溶融した。この外装ケースに前記コンデンサ素子を収容し、コンデンサ素子に有機半導体材料を含浸させた。
【0030】
なお、本発明品Aにおいては、樹脂からなる封口本体の外周にゴムからなる外周部の設けられた封口体を用いて、外装ケースの開口部を封口して、定格16V−22μFの電解コンデンサを完成した。これに対し、従来品Bは、樹脂を外装ケースの開口部に充填・固化させて封口し、定格16V−22μFの電解コンデンサを完成した。
【0031】
このようにして完成した本発明による電解コンデンサ(本発明品A)と従来技術による電解コンデンサ(比較品B)について、105℃での寿命試験おける静電容量分布を調査したところ、図5に示すような結果が得られた。図5から明らかなように、従来品Bに比べ、本発明品Aの静電容量特性は、高いレベルで均一化されている。
【0032】
これは、従来品Bの場合、外装ケースと樹脂による封口部分との間に剥離が生じ、外装ケースの内部に外気が流入して、外気中の酸素や水分とコンデンサ素子とが接触し、これにより静電容量が変化している。これに対し、本発明品Aは、静電容量の変化が小さいことから、外装ケースの開口部が封口体により確実に封口されていることがわかる。
【0033】
(3)他の実施例なお、本発明は、上述した実施例に限定されるものではなく、封口体の構成は、樹脂からなる封口本体と、弾性部材としてゴム以外の弾性を有する樹脂からなる外周部から構成することも可能である。また、封口体を樹脂のみにより構成することも可能である。
【0034】
さらに、本発明は、有機半導体の種類がN−nブチルイソキノリニウムのTCNQ錯体に限定されるものではなく、N−メチル−3−nプロピルイミダゾルのTCNQ錯体、N−nアミルイソキノリニウムのTCNQ錯体、またはその他の有機半導体を使用することも可能であり、その場合にも、前記実施例と同様の優れた作用効果を得られるものである。
【0035】
また、本発明は、前記実施例の寸法及び定格を有する電解コンデンサの製造に限定されるものではなく、多種多様な寸法及び定格を有する各種電解コンデンサの製造に適用可能であり、その場合にも、前記実施例と同様の優れた作用効果を得られるものである。
【0036】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明の製造方法によって製造された固体電解コンデンサは、電解コンデンサを基板の所定位置に正確に装着することができると共に、機械的外力がケース内部に影響することがなく、静電容量や損失、漏れ電流等の諸特性を高いレベルで均一化することが可能な、優れた電解コンデンサを提供することができる。
【0037】
特に、請求項1記載の発明では、封口体を構成する封口本体に引出端子用の貫通孔が設けられているため、予めコンデンサ素子を封口体の所定位置に固定できて、電解コンデンサを基板の正確な位置に装着でき、しかも封口体が樹脂からなるため、機械的外力がケース内部に伝わることのないため、諸特性を高いレベルで維持できる優れた電解コンデンサとなる。さらに、封口体として、弾性を有していない封口本体周囲に弾性を有する外周部が設けられていることにより、封口体とケースとが密着し、外気の流入などのない高気密性となる封口が行われるため、信頼性の向上された電解コンデンサとなる。
【0038】
請求項2記載の発明では、コンデンサ素子を所定位置に固定した封口体を、ケースの加締部により確実にケースに固定することができ、長期間の使用にも優れた電解コンデンサとなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に従う電解コンデンサの製造方法の一実施例によって製造した電解コンデンサを示す断面図。
【図2】図1の製造方法において形成したコンデンサ素子の構造を示す展開斜視図。
【図3】図1の製造方法において形成した封口体の構造を示す斜視図。
【図4】図2のコンデンサ素子を図3の封口体に装着した状態を示す断面図
【図5】本発明の製造方法による電解コンデンサ(本発明品A)と従来の製造方法による電解コンデンサ(従来品B)における静電容量分布を示す特性図。
【符号の説明】
1 … 陽極箔
2 … 陰極箔
3 … スペーサ紙
4 … 陽極引出端子
5 … 陰極引出端子
6 … コンデンサ素子
7 … 外周部
8 … 封口本体
9,10 … 貫通孔
11 … 外装ケース
12 … 有機半導体
【産業上の利用分野】
本発明は、有機半導体材料を含浸させてなる固体電解コンデンサの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、乾式箔形電解コンデンサにおいては、高純度アルミニウム箔からなる一対の陽極・陰極箔に、同じくアルミニウムからなる一対の引出端子を接続し、前記一対の陽極・陰極箔相互間にスペーサ紙を介在して巻回してなるコンデンサ素子を使用している。このコンデンサ素子は、アルミニウムの陽極箔・陰極箔の表面積を拡大させるために、表面をエッチングにより粗面化させている。さらに、陽極箔には誘電体酸化皮膜を生成させている。このようなコンデンサ素子を使用してなる電解コンデンサとして、例えば、コンデンサ素子に駆動用電解液を含浸してケースに収納し、このケース開口部を密閉するなどの外装を施してなる電解コンデンサが存在している。なお、ケース開口部を封口して密閉する手段として、従来は、一定間隔の引出端子の挿入孔が形成され、弾性を有するゴムからなる封口体が用いられている。
【0003】
しかし、上記駆動用電解液としては、例えば、エチレングリコールなどの有機溶媒にアジピン酸アンモニウムなどの有機カルボン酸塩を使用しているため、tanδ特性改善に限度があり、また、低温で比抵抗が上がり、低温特性が極度に悪化してしまうため、広域温度範囲で使用するには信頼性に欠ける。従って、駆動用電解液を使用してなる電解コンデンサにおいては、市場要求を十分に満足することは不可能である。
【0004】
そのため、近年では、駆動用電解液に代えて、TCNQ錯体からなる有機半導体を用いた固体解コンデンサが種々提案され、その一部は実用化されている。このようなTCNQ錯体からなる有機半導体をコンデンサ素子に含浸する手段として、一般に溶融含浸法、分散含浸法、更には真空蒸着法などがあるが、TCNQ錯体の特性は、いろいろな条件で変化し、極めて扱い難い物質である。このため、使用に当たっては種々の工夫が講じられている。特に、固体電解質の条件としては、コンデンサ特性としてのtanδなど等価直列抵抗に影響するそれ自体としての抵抗値が小さく、且つ広域温度範囲、特に高温下でも安定した比抵抗値があることが重要である。
【0005】
そして、コンデンサ素子に対するTCNQ錯体からなる有機半導体の含浸に際しては、コンデンサ素子の内部に、一様に必要量を浸透させることが要求される。このようなTCNQ錯体からなる有機半導体をコンデンサ素子に必要量を含浸させる工業的な手段として、従来から特許公報または技術文献によって、加熱溶融液化含浸が有効として提案されている。この加熱溶融液化含浸の具体的な手段としては、一般的に、所望のTCNQ錯体からなる有機半導体を外装ケースに入れて加熱溶融させ、これに予め加熱してなるコンデンサ素子を収納する。これにより、コンデンサ素子を構成するスペーサ紙の繊維と陽極箔の微細なエッチングピットを介して、TCNQ錯体からなる有機半導体液が素子全体に含浸されるものである。
【0006】
ここで、この工程中、外装ケースにコンデンサ素子を収納する際に、次の点に注意する必要がある。すなわち、コンデンサ素子の陽極側引出端子には、誘電体酸化被膜が生成されていない(未化成)。このような未化成の陽極側引出端子にTCNQ錯体からなる有機半導体液が付着し、この状態でコンデンサに電圧が印加されると、短絡が発生する。したがって、コンデンサ素子の陽極側引出端子に、TCNQ錯体からなる有機半導体液が付着しないようにする必要がある。このため、加熱溶融液化含浸時には、外装ケースに入れるTCNQ錯体は最小限の量に止め、ケース底面側となる素子端面からの毛細管現象を利用してコンデンサ素子全体への含浸を行っている。
【0007】
以上のように、コンデンサ素子全体に一様にTCNQ錯体からなる有機半導体液を含浸・固化させた後は、次のようにして外装ケースの開口部を封口する。すなわち、封口には、TCNQ錯体を溶解せず且つケースとの密着強度が十分となる樹脂を、開口部に充填固化させる方法が採用されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記のような従来の固体電解コンデンサには、次のような欠点があった。すなわち、コンデンサ素子がケース中心ではなく、位置がずれて収納された場合は、引出端子の引出位置もずれた位置となる。このような固体電解コンデンサでは、実装基板に装着する際に、引出端子と基板に設けられた引出端子挿入孔の位置・間隔が合わず、場合によっては電解コンデンサと隣接する他の部品との接触が発生することにもなる。
【0009】
また、従来の固体電解コンデンサでは、外装ケースの開口部を樹脂を充填することにより封口する工程で、引出端子に余分な力が加わり、陽・陰極の引出端子の間隔が狂って樹脂中に固定されることも発生する。この場合は、電解コンデンサの実装基板への装着が困難となる問題がある。
【0010】
ここで、他の部品と接触することなく、確実に基板に装着可能な固体電解コンデンサとするため、駆動用電解液を使用した電解コンデンサの封口と同様に、引出端子の挿入孔を有するゴムからなる封口体を使用することも考えられる。これにより、陽極・陰極の引出端子の間隔を一定にすると共に、引出端子と基板の引出端子挿入孔の位置・間隔を合わせることができる。
【0011】
しかし、この場合、ゴムは弾性を有するため、次のような問題が発生する。すなわち、封口体外部に突出した引出端子に引張りや折曲げなどによる力(機械的外力)が加わると、これがゴムからなる封口体に加わる。この時、ゴムは弾性を有するため、機械的外力をケース内部方向に伝えることになる。この場合、ケース内部では、封口体を介して機械的外力が働くと、コンデンサ素子の誘電体酸化被膜や固体電解質である有機半導体が破壊され易くなる。この結果、漏れ電流が増大し、または、短絡不良などの問題が発生することにもなる。
【0012】
以上のように、有機半導体を用い、ゴムからなる封口体を使用した場合、従来の電解コンデンサは、基板の正確な位置に装着できるなどの効果を有するものの、引出端子に機械的外力が加わると、漏れ電流増大や短絡不良などの電子部品の信頼性を損なう要因を引き起こすという欠点があった。
【0013】
本発明は、このような従来技術の課題を解決するために提案されたものであり、その第1の目的は、基板の所定位置に正確に装着することができると共に、機械的外力がケース内部に影響することのない固体電解コンデンサの製造方法を提供することである。また、第2の目的は、コンデンサ素子の収容されるケースの気密性が向上された固体電解コンデンサの製造方法を提供することである。さらに、第3の目的は、ケースが確実且つ高い気密性により封口される固体電解コン デンサの製造方法を提供することである。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上述した課題を解決するために、請求項1記載の発明は、弁作用金属からなる陽極箔と陰極箔間にスペーサを介在すると共に、各電極箔にそれぞれ引出端子を取着して巻回してコンデンサ素子を形成し、該コンデンサ素子に、樹脂からなる円柱状の封口本体と、その外周面に設けられた弾性部材からなる円筒状の外周部とから構成され、前記コンデンサ素子の陽極及び陰極の各引出端子がそれぞれ所定位置から引出される貫通孔が形成された封口体を装着し、有機半導体を外装ケースに入れて加熱溶融させ、これに予め加熱してなるコンデンサ素子を収納して、前記コンデンサ素子に有機半導体溶融液を含浸させ、その後に冷却して有機半導体を固化したことを特徴とする。
【0015】
また、請求項2記載の発明では、請求項1記載の製造方法で用いられる外装ケースには、封口体の固定手段として加締部が設けられていることを特徴とする。
【0016】
【作用】
以上のような構成を有する本発明の作用は次の通りである。すなわち、請求項1記載の発明では、封口体を構成する封口本体が樹脂からなるため、製造過程あるいは製造後の固体電解コンデンサには、機械的外力がケース内部に伝わることがない。しかも、この封口本体には、陽極・陰極の各引出端子が所定位置から引出される貫通孔が設けられ、コンデンサ素子に封口体を取り付けた後に、コンデンサ素子を外装ケースに収納しているため、コンデンサ素子がケース中央に収容されると共に、固体電解コンデンサを基板の所定の位置に正確に装着することができる。さらに、この封口本体の外周面に弾性を有する外周部が設けられているため、封口体とケースとを密着させることができる。
【0017】
請求項2記載の発明では、ケースに加締部が設けられていることにより、この加締部が封口体を押圧することになり、封口体がケースに固定され、確実にケース開口部を封口することができる。
【0018】
【実施例】
(1)主な実施例の構成以下、本発明による電解コンデンサの一実施例について、図面を参照して具体的に説明する。この場合、図1は本発明の一実施例により製造された電解コンデンサを示す断面図、図2は同じ実施例において形成したコンデンサ素子の構造を示す展開斜視図、図3は同じ実施例における封口体を示す斜視図、図4は図2のコンデンサ素子を図3の封口体に固定して一体化した状態を示す断面図である。
【0019】
まず、コンデンサ素子6を形成する。これは、図2に示すように、アルミニウム箔表面をエッチング液で粗面化し、表面積を拡大した後、陽極酸化皮膜を生成して陽極箔1を用意する。同様に、アルミニウム箔表面をエッチング液で粗面化し、表面積を拡大して陰極箔2を用意する。これらの陽極箔1、陰極箔2間に、クラフト紙またはマニラ紙などからなるスペーサ3を介在すると共に、陽極箔1及び陰極箔2の任意の箇所に、それぞれ内部リード部4a,5aを介し、陽極及び陰極の引出端子4,5を取着して巻回し、コンデンサ素子6を形成する。
【0020】
一方、封口体Cは、図3に示すように、円筒状の外周部7と、その内部の円柱状の封口本体8とから形成する。外周部7は、耐熱性及び弾性を有するゴムなどの材料により、外径がコンデンサ素子の収容される外装ケースの内径と同一、またはわずかに大きくなるように形成する。一方、封口本体8は、耐熱性を有するフッ素樹脂などの樹脂により、外径が外周部7の内径と同一、またはわずかに大きくなるように形成する。また、封口本体8には、2か所に、上下の端面を貫通する貫通孔9,10を設ける。この貫通孔9,10の形成位置及び相互の間隔は、引出端子4,5のコンデンサ素子6への取付部材である内部リード部4a,5aに対応させた所定位置に形成する。これらの貫通孔9,10の開口径は、内部リード部4a,5aの直径よりも僅かに小さく形成する。
【0021】
なお、円筒状となる外周部7の一方の端縁は、封口本体8を係止する係止突起7aとして内部方向に突出させる。また、円柱状となる封口本体8の一方の端面周囲には、前記係止突起7aと係合するように係止溝8aを形成する。そして、係止突起7aと係止溝8aとを係合させて、封口本体8の周囲に外周部7を密着固定し、封口体Cを形成する。ここで、封口体Cは、係止突起7a及び係止溝8aの形成されている面を上面とする。
【0022】
この後、図4に示すように、コンデンサ素子6を封口体Cに取り付ける。これは、封口本体8の貫通孔9,10に、下面側から陽極・陰極の引出端子4,5をそれぞれ挿入して、その端部を上面側の貫通孔9,10から引出す。さらに、内部リード部4a,5aがそれぞれ貫通孔9,10内部に挿入されるまで、貫通孔9,10から引出され突出した引出端子4,5端部を引っ張る。これにより、内部リード部4a,5aを貫通孔9,10内部に密着固定させる。
【0023】
次に、図1に示すように、例えばアルミニウムなどからなる上部の開口する外装ケース11内に、TCNQ錯体からなる有機半導体を必要な一定量を入れて加熱溶融し、有機半導体溶融液とする。この後、前記封口体Cに固定して一体化した前記コンデンサ素子6を、予熱状態で外装ケース11内に収納し、有機半導体溶融液をコンデンサ素子6に含浸する。この時、封口体Cは、上面が外装ケース11の上縁よりも下方となる位置まで、外装ケース内部に挿入される。これにより、封口体Cの外周面(外周部7の外周面)と外装ケース11の上部内周面とが密着する。
【0024】
そして、コンデンサ素子6に有機半導体溶融液を十分に含浸させた後、冷却により有機半導体12を固化する。この後、図1に示すように、外装ケース11には、封口体Cとの密着面の外周、及び外装ケース11の上端縁に、加締部11a,11bを形成する。これにより、加締部11a,11bが封口体Cのゴムからなる外周部7を押圧し、封口体Cが外装ケース11に密着固定される。このように、外装ケース11の開口部が封口され、電解コンデンサが完成する。
【0025】
(2)主な実施例の作用効果
以上のような電解コンデンサにおいては、封口体Cの外装ケース11と接する外周部7が、ゴムにより構成されているため、外装ケース11と封口体Cとの密閉性が優れた状態となる。これにより、外装ケース内部に外気が流入することが発生せず、コンデンサ素子が外気の水分や酸素により劣化することを確実に防止することができる。特に、封口体Cの外径となる外周部の外径がケースの内径と同一またはそれよりも大きく形成されているため、封口体Cをケース11内に圧入した場合、封口体Cがケース11に密着する。さらに、外装ケース11には、封口体Cが装着された後に加締部が設けられるため、封口体Cは確実に外装ケース11に固定される。したがって、本実施例では、封口体Cによる外装ケース11の封口に関し、長期間、高気密性を維持することができる。
【0026】
しかも、封口本体8が樹脂により構成されているため、陽極・陰極の引出端子4,5に引張りや折曲げなどによる力(機械的外力)が加わっても、この機械的外力は封口本体8で止まる。このため、コンデンサ素子に機械的外力が加わることは発生しない。したがって、機械的外力によりコンデンサ素子の誘電体酸化被膜や固体電解質である有機半導体が破壊されることは発生せず、漏れ電流の増大や短絡不良などの発生を防止することができる。
【0027】
さらに、引出端子4,5のコンデンサ素子6への取付部材である内部リード部4a,5aが、封口体Cの所定位置に形成された貫通孔9,10に固定される。これは、外装ケース11の封口を、従来のように樹脂の充填・固化させて行うことに比べ、充填時に引出端子4,5に余分な力が加わることがない。この結果、コンデンサ素子が、常に外装ケースの中心に収容されると共に、引出端子4,5が、外装ケース11の所定位置から引き出される。これにより、電解コンデンサを基板に装着する際には、他の部品に接触することや、装着ができないなどの問題は発生せず、常に所定の位置に装着することができる。また、封口体Cは予め形成しておくことができるため、樹脂の充填・固化工程が必要なくなり、電解コンデンサの製造工程を簡素化し、短時間に製造することが可能となる。
【0028】
したがって、本実施例の製造方法では、外気による劣化が防止され、漏れ電流の増大や短絡不良などの発生がなく、所定位置に装着可能な信頼性及び安全性の高い電解コンデンサを得ることができる。
【0029】
続いて、実際に本発明の工程に基づいて、固体電解コンデンサ(本発明品A)を製造すると共に、従来の製造方法に従い固体電解コンデンサ(従来品B)を製造した。すなわち、本発明及び従来例共に、幅3mm、長さ55mmの陽極箔を使用したコンデンサ素子を形成した。そして、有機半導体材料として、N−nブチルイソキノリニウムのTCNQ錯体を、コンデンサ素子への含浸に必要な一定量を円筒状アルミケースに収納し、加熱溶融した。この外装ケースに前記コンデンサ素子を収容し、コンデンサ素子に有機半導体材料を含浸させた。
【0030】
なお、本発明品Aにおいては、樹脂からなる封口本体の外周にゴムからなる外周部の設けられた封口体を用いて、外装ケースの開口部を封口して、定格16V−22μFの電解コンデンサを完成した。これに対し、従来品Bは、樹脂を外装ケースの開口部に充填・固化させて封口し、定格16V−22μFの電解コンデンサを完成した。
【0031】
このようにして完成した本発明による電解コンデンサ(本発明品A)と従来技術による電解コンデンサ(比較品B)について、105℃での寿命試験おける静電容量分布を調査したところ、図5に示すような結果が得られた。図5から明らかなように、従来品Bに比べ、本発明品Aの静電容量特性は、高いレベルで均一化されている。
【0032】
これは、従来品Bの場合、外装ケースと樹脂による封口部分との間に剥離が生じ、外装ケースの内部に外気が流入して、外気中の酸素や水分とコンデンサ素子とが接触し、これにより静電容量が変化している。これに対し、本発明品Aは、静電容量の変化が小さいことから、外装ケースの開口部が封口体により確実に封口されていることがわかる。
【0033】
(3)他の実施例なお、本発明は、上述した実施例に限定されるものではなく、封口体の構成は、樹脂からなる封口本体と、弾性部材としてゴム以外の弾性を有する樹脂からなる外周部から構成することも可能である。また、封口体を樹脂のみにより構成することも可能である。
【0034】
さらに、本発明は、有機半導体の種類がN−nブチルイソキノリニウムのTCNQ錯体に限定されるものではなく、N−メチル−3−nプロピルイミダゾルのTCNQ錯体、N−nアミルイソキノリニウムのTCNQ錯体、またはその他の有機半導体を使用することも可能であり、その場合にも、前記実施例と同様の優れた作用効果を得られるものである。
【0035】
また、本発明は、前記実施例の寸法及び定格を有する電解コンデンサの製造に限定されるものではなく、多種多様な寸法及び定格を有する各種電解コンデンサの製造に適用可能であり、その場合にも、前記実施例と同様の優れた作用効果を得られるものである。
【0036】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明の製造方法によって製造された固体電解コンデンサは、電解コンデンサを基板の所定位置に正確に装着することができると共に、機械的外力がケース内部に影響することがなく、静電容量や損失、漏れ電流等の諸特性を高いレベルで均一化することが可能な、優れた電解コンデンサを提供することができる。
【0037】
特に、請求項1記載の発明では、封口体を構成する封口本体に引出端子用の貫通孔が設けられているため、予めコンデンサ素子を封口体の所定位置に固定できて、電解コンデンサを基板の正確な位置に装着でき、しかも封口体が樹脂からなるため、機械的外力がケース内部に伝わることのないため、諸特性を高いレベルで維持できる優れた電解コンデンサとなる。さらに、封口体として、弾性を有していない封口本体周囲に弾性を有する外周部が設けられていることにより、封口体とケースとが密着し、外気の流入などのない高気密性となる封口が行われるため、信頼性の向上された電解コンデンサとなる。
【0038】
請求項2記載の発明では、コンデンサ素子を所定位置に固定した封口体を、ケースの加締部により確実にケースに固定することができ、長期間の使用にも優れた電解コンデンサとなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に従う電解コンデンサの製造方法の一実施例によって製造した電解コンデンサを示す断面図。
【図2】図1の製造方法において形成したコンデンサ素子の構造を示す展開斜視図。
【図3】図1の製造方法において形成した封口体の構造を示す斜視図。
【図4】図2のコンデンサ素子を図3の封口体に装着した状態を示す断面図
【図5】本発明の製造方法による電解コンデンサ(本発明品A)と従来の製造方法による電解コンデンサ(従来品B)における静電容量分布を示す特性図。
【符号の説明】
1 … 陽極箔
2 … 陰極箔
3 … スペーサ紙
4 … 陽極引出端子
5 … 陰極引出端子
6 … コンデンサ素子
7 … 外周部
8 … 封口本体
9,10 … 貫通孔
11 … 外装ケース
12 … 有機半導体
Claims (2)
- 弁作用金属からなる陽極箔と陰極箔間にスペーサを介在すると共に、各電極箔にそれぞれ引出端子を取着して巻回してコンデンサ素子を形成し、
該コンデンサ素子に、樹脂からなる円柱状の封口本体と、その外周面に設けられた弾性部材からなる円筒状の外周部とから構成され、前記コンデンサ素子の陽極及び陰極の各引出端子がそれぞれ所定位置から引出される貫通孔が形成された封口体を装着し、
有機半導体を外装ケースに入れて加熱溶融させ、これに予め加熱してなるコンデンサ素子を収納して、前記コンデンサ素子に有機半導体溶融液を含浸させ、
その後に冷却して有機半導体を固化したことを特徴とする固体電解コンデンサの製造方法。 - 前記外装ケースには、封口体の固定手段として加締部が設けられていることを特徴とする請求項1記載の固体電解コンデンサの製造方法。
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