JP3557940B2 - 電子部品のボンディングツールおよびボンディング装置 - Google Patents

電子部品のボンディングツールおよびボンディング装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、フリップチップのようなバンプ付き電子部品などの電子部品を基板の電極などの被接合面にボンディングする電子部品のボンディングツールおよびボンディング装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
電子部品を基板の電極などの被接合面にボンディングする方法として、超音波圧接を用いる方法が知られている。この方法は、電子部品を被接合面に対して押圧しながら電子部品に超音波振動を与え、接合面を微小に振動させて摩擦を生じさせることにより接合面を密着させるものである。この方法に用いられるボンディングツールは、振動発生源である超音波振動子の振動を電子部品に伝達させる細長形状の棒体であるホーンを有しており、このホーンに備えられた圧着子によって電子部品に荷重と振動を作用させながら、電子部品を被接合面に圧着してボンディングするようになっている。
【0003】
従来、電子部品を超音波圧接するためのホーンとしては、ワイヤボンディング装置に用いられるホーンと同様のホーンが用いられている。この種のホーンは片持ち構造であって、その先端自由端部に圧着子を保持しており、この圧着子で超音波圧接を行うようになっている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら従来のホーンは片持ち構造であるため振動状態が不安定であり、安定したボンディングを行いにくいものであった。また圧着子もホーンの先端自由端部に保持されているため振動状態が不安定であった。また圧着子にはボンディング時の負荷(荷重と振動)が作用するため、その下面(電子部品の吸着面)が摩耗しやすい。この摩耗が甚しくなると圧着子はホーンに着脱して交換せねばならないが、この交換は簡単・迅速に行える必要があり、また圧着子を交換しても圧着子の振動特性が変らないことが肝要である。
【0005】
したがって本発明は、安定した振動を行わせながら安定したボンディングを行うことができる電子部品のボンディングツールおよびボンディング装置を提供することを目的とする。また圧着子の交換を簡単・迅速に行うことができ、更には圧着子を交換しても圧着子の振動特性が変りにくい電子部品のボンディングツールおよびボンディング装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の電子部品のボンディングツールは、荷重と振動を電子部品に作用させながらこの電子部品を被接合面に圧着するボンディングツールであって、横長のホーンとこのホーンに振動を付与する振動子と、吸着孔を有し前記ホーンに着脱自在に装着された圧着子と、前記ホーンに形成され前記吸着孔に連通する吸引孔と、前記圧着子を前記ホーンに弾性的に押圧して固定する固定手段とを備えた。
【0007】
請求項2記載の電子部品のボンディングツールは、請求項1記載の電子部品のボンディングツールであって、前記圧着子が下方に向って先細状のテーパ状側面を有し、このテーパ状側面に弾性材より成る当接子を当接させた状態でこの当接子を前記ホーンに締結固着することにより前記圧着子を前記ホーンに弾性的に押圧して固定する。
【0008】
請求項3記載の電子部品のボンディング装置は、ボンディングツールにより荷重と振動を電子部品に作用させながらこの電子部品を被接合面に圧着するボンディング装置であって、前記ボンディングツールが、横長のホーンとこのホーンに振動を付与する振動子と、吸着孔を有し前記ホーンに着脱自在に装着された圧着子と、前記ホーンに形成され前記吸着孔に連通する吸引孔と、前記圧着子を前記ホーンに弾性的に押圧して固定する固定手段とを備えた。
【0009】
請求項4記載の電子部品のボンディング装置は、請求項3記載の電子部品のボンディング装置であって、前記圧着子が下方に向って先細状のテーパ状側面を有し、このテーパ状側面に弾性材より成る当接子を当接させた状態でこの当接子を前記ホーンに締結固着することにより前記圧着子を前記ホーンに弾性的に押圧して固定する。
【0010】
本発明によれば、ホーンに着脱自在に装着され吸着孔に電子部品を真空吸着する圧着子をホーンに弾性的に押圧して固定する固定手段を備えることにより、圧着子の交換を迅速に行え、安定した固着状態をおよび振動特性を保持することができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
次に本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。図1は本発明の一実施の形態の電子部品のボンディング装置の正面図、図2は同電子部品のボンディングツールの上下反転斜視図、図3(a)は同電子部品のボンディングツールの正面図、図3(b)は同電子部品のボンディングツールの下面図、図3(c)は同電子部品のボンディングツールの分解状態の正面図、図4、図5は同電子部品のボンディングツールの部分断面図である。
【0012】
まず、図1を参照して電子部品のボンディング装置の全体構造を説明する。1は支持フレームであって、その前面には第1昇降板2と第2昇降板3が昇降自在に設けられている。第1昇降板2にはシリンダ4が装着されており、そのロッド5は第2昇降板3に結合されている。第2昇降板3にはボンディングヘッド10が装着されている。支持フレーム1の上面にはZ軸モータ6が設けられている。Z軸モータ6は垂直な送りねじ7を回転させる。送りねじ7は第1昇降板2の背面に設けられたナット8に螺合している。したがってZ軸モータ6が駆動して送りねじ7が回転すると、ナット8は送りねじ7に沿って上下動し、第1昇降板2や第2昇降板3も上下動する。
【0013】
図1において、被接合面としての基板46は基板ホルダ47上に載せられており、基板ホルダ47はテーブル48上に載せられている。テーブル48は可動テーブルであって、基板46をX方向やY方向へ水平移動させ、基板46を所定の位置に位置決めする。
【0014】
42はカメラであって、一軸テーブル43に装着されている。44はカメラ42から前方へ延出する鏡筒である。カメラ42を一軸テーブル43に沿って前進させ、鎖線で示すように鏡筒44の先端部をボンディングツール14の下面に吸着して保持された接合物としての例えばフリップチップなどのバンプ付きの電子部品40と基板46の間に位置させ、その状態で電子部品40と基板46の位置をカメラ42で観察する。そしてこの観察結果により電子部品40と基板46の相対的な位置ずれを検出する。検出された位置ずれは、テーブル48を駆動して基板46をX方向やY方向へ水平移動させることにより補正し、これにより電子部品40と基板46の位置合わせがなされる。
【0015】
図1において、50は主制御部であり、モータ駆動部51を介してZ軸モータ6を制御し、またテーブル制御部52を介してテーブル48を制御し、また認識部53を介してカメラ42に接続され、また吸引装置56が接続されている。また押圧手段としてのシリンダ4は荷重制御部54を介して主制御部50に接続されており、シリンダ4のロッド5の突出力すなわちボンディングツール14でバンプ付き電子部品40を基板46に押し付ける押圧荷重が制御される。超音波振動子から成る振動子17は、超音波振動子駆動部55を介して主制御部50に接続されており、主制御部50からの指令に従って超音波振動を行う。
【0016】
ボンディングヘッド10の本体11の下端部にはホルダ12が結合されている。ホルダ12にはブロック13が装着され、ブロック13にはボンディングツール14が固定されている。ブロック13の側部の突部13aは吸引装置56に接続されている。以下、図2、図3を参照してボンディングツール14について説明する。
【0017】
図2および図3に示すように、ボンディングツール14は横長のホーン15を主体としている。ホーン15は細長形状の棒状体であり、平面視してその両側部からセンターへ向って次第に幅狭となるテーパ面15aを有している。ホーン15のセンターには吸着部30(圧着子)が下方へ突設されており、吸着部30から等距離隔てられた4ヶ所にリブ15bがホーン15と一体的に設けられている。ブロック13への取り付けバランスを良くするために、4個のリブ15bはホーン15のセンターの吸着部30を中心として平面視して対称に突設されている。ボンディングツール14は、リブ15bに形成された貫通孔20にねじ18を螺入することにより、ブロック13の下面に着脱自在に装着されている。すなわち、リブ15bはホーン15をブロック13に装着する装着部となっている。
【0018】
図3(c)に示すように、吸着部30は上端部に設けられた突部33の上面をホーン15に設けられた凹部34の底面に当接させ、当接子37をボルト39によってホーン15のボルト孔35に締結することによりホーン15に着脱自在に装着されるようになっている。当接子37はピン孔36に挿入固定される位置決めピン38によって位置決めされる。
【0019】
図4は吸着部30をホーン15に装着した状態を示している。吸着部30は下方に向って次第に幅狭となる先細状であり、その両側面は傾斜の異る2つのテーパ面31A,31Bとなっている。当接子37の内端面はテーパ面31Aと対応した傾斜を有しており、ボルト39によって当接子37をホーン15側へ締結することにより、当接子37はテーパ面31Aに当接して吸着部30をホーン15に押し付ける。このとき、ボルト39の締結力により機械構造用の合金鋼やステンレス鋼などの弾性材より成る当接子37は弾性的な変形を生じ、この変形により常に安定した押圧力でテーパ面31Aをホーン15側へ押し付ける。すなわち当接子37は、吸着部30をホーン15に弾性的に押圧して固定する固定手段となっている。
【0020】
この押圧状態において、吸着部30の上面とホーン15の下面にはわずかな隙間cが設定されているので押圧力は突部33に集中的に作用し、突部33の上面は凹部34の底面に対して十分な面圧を以て押圧される。したがってホーン15の振動は吸着部30に対して良好に伝達され、安定した固着状態および振動特性を保持することが出来る。
【0021】
なお、固定手段として当接子37のような吸着部30とは独立した別部品を用いる替りに、図5に示すようなフランジ部30’aが一体的に設けられた吸着部30’を用いてもよい。この方法では、ボルト39によってフランジ部30’aをホーン15に押し付けることによる変形でフランジ部30’aの基部に発生するせん断力や曲げモーメントなどの弾性力によって吸着部30’はホーン15に対して押し付けられる。すなわちこの例では、フランジ部30’aが吸着部30’をホーン15に弾性的に固定する固定手段となっている。
【0022】
またホーン15の両側面を吸着部30へ向って次第に幅狭となるテーパ面15aとすることにより、振動子17の振動を効率よく集中的に吸着部30に付与することができ、また吸着部30を下方へ向って先細状とすることにより、吸着部30の振動を安定的なものとし、かつその下面に吸着された電子部品40に振動を集中的に強く付与できる。このように吸着部30は下方へ向って先細状とすることが電子部品40への振動付与上望ましい。吸着部30を先細状とする形状としては、テーパ面31以外にも、例えば階段状に先細状としてもよい。
【0023】
図1において、ブロック13の側面に設けられた突部13aには吸着パッド19が装着されている。図3(c)において、ホーン15には吸着部30の吸着孔32に連通する吸引孔16a,16bが形成されており、吸着パッド19はホーン15の上面の吸引孔16bに当接している。したがって吸着パッド19に接続された吸引装置56(図1)を駆動してエアを吸引することにより、吸着部30に開口した吸着孔32(図3(a),(b))から真空吸引し、この吸着部30の下面にバンプ付きの電子部品40を真空吸着して保持することができる。
【0024】
図2において、ホーン15の側端部には振動付与手段である振動子17が装着されている。振動子17を駆動することにより、ホーン15には縦振動(ホーン15の長手方向の振動)が付与され、吸着部30は水平方向a(ホーン15の長手方向)に振動する。図3(b)に示すように、ホーン15の形状は両端部からテーパ面15aを経てセンターの方向に順次幅が絞られた形状となっており、これにより、振動子17より吸着部30に伝達される経路において超音波振動の振幅は増幅され、吸着部30には振動子17が発振する振幅以上の振動が伝達される。
【0025】
次に、振動子17によってホーン15に励起される振動のモードについて説明する。図3(a)に示すように、ホーン15に励起される振動の定在波Aは、振動子17の装着面およびホーン15の中央に位置する吸着部30の位置を定在波の腹とし、ホーン15をブロック13に固定する固定部としてのリブ15bおよび吸引孔16bの位置が定在波の節となるような形となっている。すなわちホーン15各部の形状寸法、質量分布を適切に設定することにより、このような定在波をホーン15に発生させることができる。
【0026】
従って、装着部であるリブ15bは、ホーン15の振動の定在波の腹に相当する位置である吸着部30からホーン15の両端側の方向へ等距離隔てられた定在波の節に相当する位置に設けられている。これによりボンディングツール14をブロック13に固定し、シリンダ4の押圧力を定在波の節に相当する位置を介してホーン15に伝達するリブ15bの位置ではホーン15の縦振動による変位は極小となり、また電子部品40を保持する吸着部30の位置では極大の振幅を得ることとなり、超音波振動を電子部品40のボンディングに最も有効に利用することができる。
【0027】
【発明の効果】
本発明によれば、ホーンに着脱自在に装着され吸着孔に電子部品を真空吸着する圧着子をホーンに弾性的に押圧して固定する固定手段を備えたので、圧着子の交換を迅速に行えるとともに、安定した固着状態をおよび振動特性を保持することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態の電子部品のボンディング装置の正面図
【図2】本発明の一実施の形態の電子部品のボンディングツールの上下反転斜視図
【図3】(a)本発明の一実施の形態の電子部品のボンディングツールの正面図
(b)本発明の一実施の形態の電子部品のボンディングツールの下面図
(c)本発明の一実施の形態の電子部品のボンディングツールの分解状態の正面図
【図4】本発明の一実施の形態の電子部品のボンディングツールの部分断面図
【図5】本発明の一実施の形態の電子部品のボンディングツールの部分断面図
【符号の説明】
14 ボンディングツール
15 ホーン
17 振動子
30 吸着部
30a 吸着孔
37 当接子
40 電子部品

Claims (6)

  1. 荷重と振動を電子部品に作用させながらこの電子部品を被接合面に圧着するボンディングツールであって、横長のホーンとこのホーンに振動を付与する振動子と、吸着孔を有し前記ホーンに着脱自在に装着された圧着子と、前記ホーンに形成され前記吸着孔に連通する吸引孔と、前記圧着子を前記ホーンに弾性的に押圧して固定する固定手段とを備えたことを特徴とする電子部品のボンディングツール。
  2. 前記圧着子が下方に向って先細状のテーパ状側面を有し、このテーパ状側面に弾性材より成る当接子を当接させた状態でこの当接子を前記ホーンに締結固着することにより前記圧着子を前記ホーンに弾性的に押圧して固定することを特徴とする請求項1記載の電子部品のボンディングツール。
  3. ボンディングツールにより荷重と振動を電子部品に作用させながらこの電子部品を被接合面に圧着するボンディング装置であって、前記ボンディングツールが、横長のホーンとこのホーンに振動を付与する振動子と、吸着孔を有し前記ホーンに着脱自在に装着された圧着子と、前記ホーンに形成され前記吸着孔に連通する吸引孔と、前記圧着子を前記ホーンに弾性的に押圧して固定する固定手段とを備えたことを特徴とする電子部品のボンディング装置。
  4. 前記圧着子が下方に向って先細状のテーパ状側面を有し、このテーパ状側面に弾性材より成る当接子を当接させた状態でこの当接子を前記ホーンに締結固着することにより前記圧着子を前記ホーンに弾性的に押圧して固定することを特徴とする請求項3記載の電子部品のボンディング装置。
  5. 荷重と振動を電子部品の作用させながらこの電子部品を被接合面に圧着するボンディングツールであって、横長のホーンとこのホーンに振動を付与する振動子と、前記ホーンに着脱自在に装着された圧着子と、この圧着子を前記ホーンに弾性的に押圧して固定する固定手段とを備え、前記圧着子が下方に向って先細状のテーパ状側面を有し、このテーパ状側面に弾性材より成る当接子を当接させた状態でこの当接子を前記ホーンに締結固着することにより前記圧着子を前記ホーンに弾性的に押圧して固定することを特徴とする電子部品のボンディングツール。
  6. ボンディングツールにより荷重と振動を電子部品に作用させながらこの電子部品を被接合面に圧着するボンディング装置であって、前記ボンディングツールが、横長のホーンとこのホーンに振動を付与する振動子と、前記ホーンに着脱自在に装着された圧着子と、この圧着子を前記ホーンに弾性的に押圧して固定する固定手段とを備え、前記圧着子が下方に向って先細状のテーパ状側面を有し、このテーパ状側面に弾性材より成る当接子を当接させた状態でこの当接子を前記ホーンに締結固着することにより前記圧着子を前記ホーンに弾性的に押圧して固定することを特徴とする電子部品のボンディング装置。
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