JP3557154B2 - プラズマディスプレイ装置 - Google Patents

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【0001】
【産業上の利用分野】
この発明は、プラズマディスプレイパネル(PDP)を用いたプラズマディスプレイ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
プラズマディスプレイパネル(PDP)は、例えば、多数の線状電極が所定間隔で配置された裏面側ガラス基板と表面側ガラス基板とを、前記電極が互いに直交するようにして貼り合わせ、両基板間にガスを充填した構造を有する。裏面側と表面側の各電極が直交する各箇所において放電セルが構成されることになり、この放電セル内において放電により生じた紫外線が裏面側或いは表面側のガラス基板に設けた蛍光体に当たると、この蛍光体から可視光が出射される。
【0003】
図7は、プラズマディスプレイ装置の内部構造例を示した断面図である。支持基板51の一方の面にはPDP52が取り付けられ、他方の面には電源回路53及び各種回路が搭載された回路搭載基板54が取り付けられている。支持基板51は裏面パネル55に固定され、この裏面パネル55が筐体56に取り付けられている。
【0004】
PDP52の光出射側には空冷用の空間をおいて前面フィルターガラス板57が配置される。前記空冷用の空間を通る空気は、PDP52から放出される熱を奪い、筐体56の上端部に設けられたファン60によって機外へと排出されることになる。前面フィルターガラス板57は、コントラストや色温度の調整を行うことに加え、その裏面側に有する透明導電膜(ITO等)57aによって前記PDP52から放出される電磁波放射ノイズを低減する。前面フィルターガラス板57はその四辺を金属製の支持部材58によって筐体56に固定されている。前面フィルターガラス板57は重く、しかも透明導電膜57aと金属製の支持部材58との接触電気抵抗を小さくすべくその圧接度を高めるために、多数のねじが必要とされる。
【0005】
また、PDP52における線状電極は、極めて細く形成されており、断線を皆無にすることは困難である。そこで、線状電極に断線が生じた場合には、図8に示すように、リペア処理を施すようにしている。図8の例では、列電極となる線状電極の一つに断線が生じている。線状電極の一端側は図示しない駆動回路に接続されており、この駆動回路に接続されている側の部分にリペア線61の一端を半田等によって接続する。そして、リペア線61をリペア領域(PDP非発光部分のガラス面上)において這わし、リペア線61の他端を線状電極の他端側(駆動回路に接続されていない側の部分)に接続する。これにより、線状電極の他端側にも前記リペア線61を介して駆動回路から電圧が印加されることになり、発光不能状態から回復させることができる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
プラズマディスプレイ装置は、壁掛けテレビとしての利用に有利と考えられており、軽量化や薄型化を図ることが重要課題となるが、上述したプラズマディスプレイ装置では、空冷用の空間を設けているために薄型化の点で十分ではなく、しかも、重い前面フィルターガラス板57を備えるため、軽量化の点でも十分ではないと考えられる。更に、この重い前面フィルターガラス板57を筐体に固定するためには多数のねじが必要とされ、製造工程におけるねじ留め作業数が多くなってしまうという欠点がある。
【0007】
この発明は、上記の事情に鑑み、軽量で薄型のプラズマディスプレイ装置を提供することを第1の目的とする。そして、当該軽量・薄型の構造においてリペアが容易に行える構造を提供することを第2の目的とする。また、当該軽量・薄型の構造において電磁波放射ノイズを低減するための電気的接続が容易に行える構造を提供することを第3の目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
この発明のプラズマディスプレイ装置は、透明フィルムをプラズマディスプレイパネルの表示面側に貼付するプラズマディスプレイ装置において、前記透明フィルムは、少なくともプラズマディスプレイパネル側から、透明導電フィルム、光学特性調整フィルムの順となるように透明導電フィルムと前記透明導電フィルムよりも面積の小さい光学特性調整フィルムとを貼り合わせた構成とし、前記光学特性調整フィルムの貼付されていない前記透明導電フィルムの露呈された部分をバスバー領域として装置筐体に電気的に接するように構成することを特徴とする。
【0009】
上記の構成であれば、フィルム状前面フィルターを用いる軽量・薄型の構造において、電磁波放射ノイズを低減するための装置筐体への電気的接続が容易に行えることになる。
【0010】
また、前記バスバー領域はプラズマディスプレイパネルの発光部分よりも外側で且つプラズマディスプレイパネルの縁よりも内側に形成されているのがよい。
【0011】
上記の構成であれば、光学特性調整フィルムによって発光部分の全面を覆うようにした上、バスバー領域はプラズマディスプレイパネルの縁よりも内側にあるので、該フィルム状前面フィルターが貼付されたプラズマディスプレイパネルを装置筐体に押しつけるようにして装着することで、前記バスバー領域は装置筐体に圧接することになるから、バスバー領域を装置筐体に圧接するための圧接具を不要にし得る。
【0013】
【発明の実施の形態】
(実施形態1)
以下、この発明の第1の実施形態を図1乃至図4に基づいて説明する。図1はプラズマディスプレイ装置の斜視図(筐体内を透視的に示している)であり、図2はプラズマディスプレイ装置の断面図であり、図3はプラズマディスプレイパネルの発光/非発光領域とフィルム状前面フィルターのバスバー領域との関係を示した説明図であり、図4はフィルム状前面フィルターの詳細を示した断面図である。
【0014】
図1及び図2に示すように、長方体形状の筐体6内にプラズマディスプレイパネル(以下、PDPと略記する)2が収容されている。このPDP2の前面には、フィルム状前面フィルター7が接着されている。PDP2はその裏面側に配置された支持基板1の一方の面側に固定されている。支持基板1の他方の面側には電源回路3及び各種回路が搭載された回路搭載基板4が取り付けられている。支持基板1は裏面パネル5に固定されており、この裏面パネル5が筐体6に取り付けられる。筐体6内の上部にはファン9が取り付けられている。筐体6の前面枠6bには、PDP2の発光部分に対応した開口6aが形成されている。
【0015】
PDP2は、その詳細は図示しないが、例えば、多数の線状電極が所定間隔で配置された裏面側ガラス基板と表面側ガラス基板とを、前記電極が互いに直交するようにして貼り合わせ、両基板間にNe(ネオン)とXe(キセノン)とからなる混合ガス等を充填した構造を有する。裏面側と表面側の各電極が直交する各箇所において放電セルが構成されることになり、この放電セル内において放電により生じた紫外線が裏面側或いは表面側のガラス基板に設けた蛍光体に当たると、この蛍光体から可視光が出射される。フルカラーのプラズマディスプレイ装置とする場合には、前記蛍光体としてR(赤),G(緑),B(青)の光を発するものを一組としてこれを多数配置することになる。PDP2の外周部では線状電極は交差しておらず、当該外周部は非発光領域2aを成す。
【0016】
フィルム状前面フィルター7は、図3にも示しているように、PDP2よりも幾分大きな長方形状を有している。フィルム状前面フィルター7の外周部はバスバー領域7aを成している。このバスバー領域7aは、PDP2の外周よりも外側に位置し、筐体6における前面枠6bの裏面に設けた導体部(図示せず)に電気的に接する。PDP2から放射される電磁波は、フィルム状前面フィルター7において電流に変換され、この電流が前記バスバー領域7aを介して筐体6の導体部に流れることで、電磁波放射ノイズが低減されることになる。
【0017】
また、フィルム状前面フィルター7は、図4に示すように、透明導電フィルム71の前面に接着層72を介して光学特性調整フィルムとしての反射防止フィルム(ARフィルム)73を貼付した構造を有する。反射防止フィルム73及び接着層72は、透明導電フィルム71の外周縁部には存在しておらず、透明導電フィルム71の外周縁部は導電フィルム露呈部となって前述したバスバー領域7aを成す。透明導電フィルム71は、例えばPET(ポリエチレンテレフタレート)から成る基体シートにITO(インジウムとスズの合金酸化膜)を成膜したものである。また、接着層72としては、例えばアクリル系接着材を用いる。そして、かかるフィルム状前面フィルター7は、前記透明導電フィルム71の裏面側に塗布された接着層10によってPDP2の前面に貼付されている。接着層10は、PDP2における前述の非発光領域2a上には存在していない。従って、非発光領域2a上においては、フィルム状前面フィルター7を剥離することができる。この剥離可能領域をリペア領域とする。
【0018】
以上説明したように、PDP2の前面にフィルム状前面フィルター7を直接的に貼り付けているため、PDP2とフィルム状前面フィルター7との間には空冷用の空間は存在せず、プラズマディスプレイ装置を薄型にできる。PDP2が発する熱は、前記冷却用の空間が無いため、フィルム状前面フィルター7を伝って外へと放出されることになる。また、重い前面フィルターガラス板ではなく、フィルム状前面フィルター7を備えるので軽量化が図れるとともに、重い前面フィルターガラス板を筐体に固定する場合のように多数ねじを必要とすることもなくなる。また、前記透明導電フィルム71の裏面とPDP2の縁部の非発光領域2aとの間には前記接着層10を介在させておらず、剥離可能である。これにより、PDP2に直接的にフィルム状前面フィルター7を貼り付けつつ、PDP2の非発光部分2aの面上においては当該フィルム状前面フィルター7を剥離可能とし、この剥離可能領域をリペア領域としてリペア線(図示せず)を配置することが可能になる。
【0019】
フィルム状前面フィルター7の外周部に形成したバスバー領域7aが筐体6における前面枠6bの裏面の導体部(図示せず)に電気的に接する。これにより、フィルム状前面フィルター7を用いた軽量・薄型の構造において電磁波放射ノイズを低減するための筐体6への電気的接続が行えることになる。
【0020】
(実施形態2)
以下、この発明の第2の実施形態を図5及び図6に基づいて説明する。図5はプラズマディスプレイ装置の断面図であり、図6はフィルム状前面フィルターの詳細を示した断面図である。
【0021】
図5及び図6に示すように、フィルム状前面フィルター8は、PDP2と同等の大きさの長方形状を有している。フィルム状前面フィルター8は、透明導電フィルム81の前面に接着層82を介して反射防止フィルム(ARフィルム)83を貼付した構造を有する。反射防止フィルム83及び接着層82は、透明導電フィルム81の外周縁部には存在しておらず、透明導電フィルム81の外周縁部は導電フィルム露呈部となってバスバー領域8aを成す。このバスバー領域8aはPDP2の発光部分よりも外側で且つPDP2の外縁よりも内側に形成されている。そして、かかるフィルム状前面フィルター8は、前記透明導電フィルム81の裏面側に塗布された接着層10によってPDP2の前面に貼付されている。接着層10は、PDP2における非発光領域2a上には塗布されていない。従って、非発光領域2a上においては、フィルム状前面フィルター8を剥離することができる。この剥離可能領域をリペア領域としている。また、筐体6における前面枠6bの裏面には、前記バスバー領域8aに対応して導体部である銅箔12が設けられている。
【0022】
この実施形態のプラズマディスプレイ装置であれば、実施形態1と同様、薄型且つ軽量を実現できるとともに、この薄型・軽量の構造においてリペア処理を容易に行うことが可能になる。そして、この実施形態では、前記フィルム状前面フィルター8はPDP2と同等の大きさに形成されており、前記バスバー領域8aはPDP2の発光部分よりも外側で且つPDP2の縁よりも内側(PDP非発光部分)に形成されているので、フィルム状前面フィルター8が貼付されたPDP2を筐体6における前面枠6bの裏面に押しつけるようにして装着することで、前記バスバー領域8aは筐体6における前面枠6bの裏面に圧接することになるから、バスバー領域8aを筐体6に圧接するための圧接具を不要にし得る。従って、かかる軽量・薄型の構造において電磁波放射ノイズを低減するための筐体6への電気的接続が一層容易に行えることになる。
【0023】
【発明の効果】
以上説明したように、この発明のプラズマディスプレイ装置であれば、プラズマディスプレイパネルの前面側にフィルム状前面フィルターを直接的に貼り付ける構造であるから、軽量で薄型のプラズマディスプレイ装置を実現できる。そして、フィルム状前面フィルターの縁部についてはプラズマディスプレイパネルに対して剥離可能としたので、当該軽量・薄型の構造においてリペア処理が容易に行える。また、フィルム状前面フィルターの縁部にバスバー領域を形成したので、当該軽量・薄型の構造において電磁波放射ノイズを低減するための筐体への電気的接続が容易に行える。更に、バスバー領域をプラズマディスプレイパネルの発光部分よりも外側で且つプラズマディスプレイパネルの縁よりも内側に形成する構成であれば、筐体への電気的接続が一層容易になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の第1の実施形態のプラズマディスプレイ装置の斜視図(筐体内を透視的に示している)である。
【図2】図1のプラズマディスプレイ装置の断面図である。
【図3】図1のプラズマディスプレイパネルの発光/非発光領域及びフィルム状前面フィルターのバスバー領域の関係を示した説明図である。
【図4】図1のフィルム状前面フィルターの詳細を示した断面図である。
【図5】この発明の第2の実施形態のプラズマディスプレイ装置の断面図である。
【図6】図5のフィルム状前面フィルターの詳細を示した断面図である。
【図7】従来のプラズマディスプレイ装置の断面図である。
【図8】リペア処理の概要を示した説明図である。
【符号の説明】
2 プラズマディスプレイパネル(PDP)
2a 非発光領域
6 筐体
7 フィルム状前面フィルター
7a バスバー領域
71 透明導電フィルム
72 接着層(第1接着層)
73 反射防止フィルム
8 フィルム状前面フィルター
8a バスバー領域
81 透明導電フィルム
82 接着層(第1接着層)
83 反射防止フィルム
10 接着層(第2接着層)

Claims (2)

  1. 透明フィルムをプラズマディスプレイパネルの表示面側に貼付するプラズマディスプレイ装置において、
    前記透明フィルムは、少なくともプラズマディスプレイパネル側から、透明導電フィルム、光学特性調整フィルムの順となるように透明導電フィルムと前記透明導電フィルムよりも面積の小さい光学特性調整フィルムとを貼り合わせた構成であり、
    前記光学特性調整フィルムの貼付されていない前記透明導電フィルムの露呈された部分をバスバー領域として装置筐体に電気的に接するように構成することを特徴とするプラズマディスプレイ装置。
  2. 前記バスバー領域はプラズマディスプレイパネルの発光部分よりも外側で且つプラズマディスプレイパネルの縁よりも内側に形成されていることを特徴とする、請求項1に記載のプラズマディスプレイ装置
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