JP3557029B2 - 新規ホスホン酸エステル誘導体およびその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、新規なホスホン酸エステル誘導体及びその製造方法に関し、更に詳しくは、アルデヒド類と反応させて、特に有機電子材料として有用な新規なオレフィン化合物を合成する際の中間体として重要な新規なホスホン酸エステル誘導体及びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、OPC(Organic Photo Conductor)の更なる高耐久化を目指した研究開発が行われている。特に、耐摩耗性向上の観点から、主鎖もしくは側鎖にドナーユニット(電荷輸送ユニット)を有する高分子電荷輸送材料に対する研究開発に注目が集まっている。
これまで高分子電荷輸送材料については、様々な電荷輸送ユニット、及び高分子骨格について検討が行われてきた。電荷輸送ユニットとはしては、トリフェニルアミン、テトラアリールベンジジン、スチルベン等が、また、高分子骨格としてはポリアリレート樹脂、ポリカーボネート樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂等について検討が行われている(例えば、米国特許第4,801,517号、米国特許第4,806,443号、米国特許第4,806444号、米国特許第4,937,165号、米国特許第4,959,288号、米国特許第5,030,532号、米国特許第5,034,296号、米国特許第5,080.989号、特開昭64−9964号、特開平3−221522号、特開平2−304456号、特開平4−11627号、特開平4−175337号、特開平4−183719号、特開平4−31404号、特開平4−133065号等)。
【0003】
本発明者らは、ダイマータイプのα−フェニルスチルベン誘導体(以下、オレフィン誘導体と称す)を主鎖中に組み込むことを意図し、新規な高耐久高分子電荷輸送材料の開発に着手した。そこで、この新規高分子におけるオレフィン誘導体の中間体となる新しいダイマー型のホスホン酸エステル誘導体の原料合成が必要となった。
これまで、無置換体のホスホン酸エステルは、特開平3−149560号(CA116:140079)に合成例が開示されているが、アルコキシ置換体は、原料であるハロゲン体が極めて不安定であるために、これまで合成が困難であった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、電子写真用感光体の電荷輸送材料である、新規なダイマー型のα−フェニルスチルベン誘導体合成のための新規なホスホン酸エステル誘導体中間体及びその製造方法を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、鋭意研究を重ねた結果、Arbusov反応において、新規なホスホン酸エステル誘導体の合成を極めて有利に実施できることを見い出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明によれば、下記一般式(A)で表されるホスホン酸エステル誘導体が提供される。
【化1】
(式中、R1及びR2は置換もしくは無置換のアルキル基を、R3は低級アルキル基を表す。但し、前記R 1 及びR 2 が置換アルキル基の場合の該置換基は、フッ素原子、シアノ基、フェニル基、ハロゲン原子若しくはC 1 〜C 5 のアルキル基で置換されたフェニル基から選ばれる基である。)
また、本発明によれば、下記一般式(B)
【化2】
(式中、R1及びR2は置換もしくは無置換のアルキル基を、X1及びX2はハロゲン原子を表す。但し、前記R 1 及びR 2 が置換アルキル基の場合の該置換基は、フッ素原子、シアノ基、フェニル基、ハロゲン原子若しくはC 1 〜C 5 のアルキル基で置換されたフェニル基から選ばれる基である。)
で表されるハロメチル誘導体と、下記一般式(C)
【化3】
P(OR3)3 (C)
(式中、R3は低級アルキル基を表す。)
で表される亜リン酸エステル誘導体とを反応させることを特徴とする下記一般式(A)
【化1】
(式中、R1及びR2は置換もしくは無置換のアルキル基を、R3は低級アルキル基を表す。但し、前記R 1 及びR 2 が置換アルキル基の場合の該置換基は、フッ素原子、シアノ基、フェニル基、ハロゲン原子若しくはC 1 〜C 5 のアルキル基で置換されたフェニル基から選ばれる基である。)
で表されるホスホン酸エステル誘導体の製造方法が提供される。
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明の、下記一般式(A)で表されるホスホン酸エステル誘導体は、文献未記載の新規物質であり、特に、アルデヒド類と反応させることにより、有機電子材料として有用な新規なオレフィン化合物を合成する際の重要な中間体である。
【化1】
(式中、R1及びR2は置換もしくは無置換のアルキル基を、R3は低級アルキル基を表す。但し、前記R 1 及びR 2 が置換アルキル基の場合の該置換基は、フッ素原子、シアノ基、フェニル基、ハロゲン原子若しくはC 1 〜C 5 のアルキル基で置換されたフェニル基から選ばれる基である。)
【0007】
本発明の前記一般式(A)で表されるホスホン酸エステル誘導体において、式中のR1、R2の置換もしくは無置換のアルキル基の例としては、C1〜C5の直鎖又は分岐鎖のアルキル基が挙げられ、これらのアルキル基は更に、フッ素原子、シアノ基、フェニル基又はハロゲン原子若しくはC1〜C5のアルキル基で置換されたフェニル基を含有してもよい。具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピロ基、i−プロピル基、t−ブチル基、s−ブチル基、n−ブチル基、i−ブチル基、トリフルオロメチル基、2−シアノエチル基、ベンジル基、4−クロロベンジル基、4−メチルベンジル基等が挙げられる。
【0008】
また、R3の低級アルキル基の例としては、C1〜5の直鎖又は、分岐鎖のアルキル基であり、具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピロ基、i−プロピル基、t−ブチル基、s−ブチル基、n−ブチル基、i−ブチル基、n−ペンチル基等が挙げられる。
以下、本発明のホスホン酸エステル誘導体の具体例を表1に示すが、本発明は、これらの化合物に限定されるものではない。
【0009】
【表1】
【0010】
本発明の前記一般式(A)で表されるホスホン酸エステル誘導体は、前記したように、下記一般式(B)
【化2】
(式中、R1及びR2は置換もしくは無置換のアルキル基を、X1及びX2はハロゲン原子を表す。)
で表されるハロメチル誘導体と、下記一般式(C)
【化3】
P(OR3)3 (C)
(式中、R3は低級アルキル基を表す。)
で表される亜リン酸エステル誘導体とを、直接、或いはトルエン、キシレン等の有機溶媒中で加熱することにより容易に製造することができる。
前記本発明の原料化合物である一般式(B)で表されるハロメチル誘導体において、式中X1、X2のハロゲン原子としては、塩素、臭素、ヨウ素等であり、好ましくは、臭素、塩素である。
【0011】
【実施例】
以下、本発明を実施例により詳細に説明する。
【0012】
合成例1
下記構造式(D)で表される化合物の合成
【化4】
M.N.Rybakova et.al.Uch.Zap.,Perm.Gos.Univ.(1968),No.178,272−278に準じ上記化合物の合成を行った。即ち、十分乾燥を行った反応容器内に乾燥THFを150ml、マグネシウム片を31.61g(1.3mol)入れ、アルゴンガスを流した。マグネシウムを撹拌羽で激しく撹拌し、反応開始剤として少量のヨウ素を入れ、これに500mlの乾燥エーテルに溶解させたp−ブロモアニソール243.15g(1.3mol)を22℃に保ったまま60分間で滴下した。滴下終了後さらに4時間撹拌を続けた。反応液を一昼夜放置した後、1000mlのTHFに溶解したテレフタルアルデヒドを60分かけ滴下した。このとき、撹拌が困難になりエーテル500mlを加えた。滴下終了後3時間環流し、グリニヤール反応を行った。反応終了後、反応容器を7℃に冷却し、冷却下で飽和塩化アンモニウム水500mlをゆっくり滴下した。さらに、1時間撹拌を行い分解を行った。そしてエーテルで抽出し水洗を行ない硫酸マグネシウムで乾燥を行った。エーテルを除去した後、シリカゲルカラムクロマト(展開溶媒:トルエン:酢酸エチル=8:5)により分離を行い、オレンジ粉末状の目的化合物を105.0g得た(収率51.25%)。
赤外吸収スペクトル図を図1に示す。該図1において、νOH:3430cm−1、νc−o:1000cm−1、1020cm−1、1035cm−1の吸収を示した。また、元素分析結果は以下の通りであった。
【0013】
合成例2
下記構造式(E)で表されるハロメチル誘導体の合成
【化5】
合成例1で得られた前記構造式(D)で表される化合物を105.0g(0.30mol)と溶媒としてクロロホルムを900ml反応容器に入れ、5℃で撹拌した。そして、クロロホルム300mlに溶解した三臭化リン81.1g(0.30mol)を120分にわたって滴下した。さらに4時間撹拌を続けた。反応終了後、約1000mlの氷水に反応物をあけ、クロロホルムで抽出後、飽和炭酸水素ナトリウム水で洗浄後、硫酸マグネシウムで乾燥した。クロロホルム溶液を濾過し、蒸発乾固し、オレンジ色オイル物を134.0g得た(収率91.4%)。この化合物は、大気中において非常に不安定であり、直ちに、次に示す実施例1のホスホン酸エステルの合成を行った。
【0014】
実施例1
下記構造式(F)で表されるホスホン酸エステルの合成
【化6】
合成例2で得られた前記構造式(E)で表される化合物を亜リン酸トリエチル149.5g(0.9mol)に溶解し、140℃で5時間加熱撹拌した。反応中、発生するエチルブロマイドを系外へ除去した。反応終了後、過剰の亜リン酸トリエチルとエチルホスホン酸ジエチルを減圧蒸留により除去した後、シリカゲルカラムクロマト〔展開溶媒、クロロホルム:THF=5:1(volume ratio)〕により精製を行い、さらにトルエン、n−ヘキサンの混合溶媒により再結晶を行ない、白色粉末物15.29g(収率8.03%)を得た。また、この物質の融点は145.0〜163.0℃であり、ブロードであった。
この化合物の赤外吸収スペクトルを図2に示す。また、元素分析結果は以下の通りであった。
【0015】
【発明の効果】
本発明により、有機電子材料として有用な新規オレフィン化合物、例えば、下記構造式(G)で表されるオレフィン誘導体を合成するための中間体として重要な、新規ホスホン酸エステル誘導体及びその製造方法が提供できる。
【化7】
【図面の簡単な説明】
【図1】合成例1で得られたヒドロールの赤外吸収スペクトル図(KBr錠剤法)である。
【図2】実施例1で得られたホスホン酸エステルの赤外吸収スペクトル図(KBr錠剤法)である。
Claims (2)
- 下記一般式(B)
で表されるハロメチル誘導体と、下記一般式(C)
で表される亜リン酸エステル誘導体とを反応させることを特徴とする下記一般式(A)
で表されるホスホン酸エステル誘導体の製造方法。
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JP4546904B2 (ja) * | 2005-02-25 | 2010-09-22 | 株式会社リコー | 新規なアリールアミン重合体 |
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