JP3537749B2 - 光学活性リン化合物 - Google Patents

光学活性リン化合物

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JP3537749B2 JP2000256073A JP2000256073A JP3537749B2 JP 3537749 B2 JP3537749 B2 JP 3537749B2 JP 2000256073 A JP2000256073 A JP 2000256073A JP 2000256073 A JP2000256073 A JP 2000256073A JP 3537749 B2 JP3537749 B2 JP 3537749B2
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  • Low-Molecular Organic Synthesis Reactions Using Catalysts (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この出願の発明は、新規な光
学活性リン化合物に関するものである。さらに詳しく
は、この出願の発明は、不斉反応触媒の配位子として用
いられる光学活性リン化合物に関するものである。
【0002】
【従来の技術とその課題】近年、生体物質の多くが光学
活性物質であることが明らかにされ、体内物質の作用の
解明、医薬や農薬の開発、染料の製造等を可能にするも
のとして、生物学、医学、薬学、農学等の様々な分野に
おいて光学活性物質の合成方法の確立が重要な課題とな
っている。
【0003】光学活性物質は、光学異性体を有する。し
たがって、一種の光学異性体のみを得るためには、なん
らかの方法で光学異性体の一方を多く合成したり、光学
異性体を分離したりする必要がある。このような方法の
一つである不斉合成は、不斉誘導によって光学異性体の
一方を多く合成するものであり、光学活性物質の合成法
として不可欠である。そして、これまでにも、様々な反
応系や触媒系が研究、報告されてきた。
【0004】不斉誘導は、同一分子中の不斉中心による
場合と、不斉構造を有する試薬や触媒などによる場合、
さらには、円偏光のような非対称な物理的条件下で行わ
れる場合がある。なかでも、不斉構造を有する触媒は、
とくに、目的とする化合物に応じて立体構造、電気的性
質等を変化させ、最適条件を有するものを設計できるこ
とから、広く研究されており、種々のものが合成されて
いる。
【0005】このような不斉反応触媒のなかでも、様々
な電荷をとりうる遷移金属を中心金属として有する遷移
金属錯体は、触媒として優れているだけでなく、その触
媒能が、中心金属や配位子を変更することによって大き
く変化し、設計が比較的容易であるという点で、とくに
注目される。金属錯体触媒においては、中心金属の電荷
や電荷移動は、結合する配位子によって大きく変化する
ため、不斉合成触媒を設計、合成する上では配位子の選
択が重要であるといえる。
【0006】一方、不斉誘導を起こす不斉構造を有する
試薬としては、キラルなホスフィン(PH3)化合物や
ホスホネート(PHO3 2-)化合物などのリンに不斉を
有する化合物が知られている。これらの光学活性リン化
合物は、その置換基を変化させることにより絶対配置の
異なる生成物をつくりわけることができる試薬として報
告されており、このような光学活性リン化合物を試薬と
した様々な不斉合成反応が検討されている。
【0007】さらに、このような光学活性リン化合物に
おいて金属に配位するものは、遷移金属錯体触媒を考え
る上で配位子として重要である。
【0008】新しい光学活性リン配位子としては、例え
ば、立体的にも、電気的にも全く異なる二つのリン配位
座を有するものなどが、遷移金属錯体触媒に独特な性質
を与えるものとして期待される。
【0009】そこで、この出願の発明は、以上の通りの
事情に鑑みてなされたものであり、不斉合成触媒の配位
子として有効な光学活性リン化合物を提供することを課
題としている。
【0010】
【課題を解決するための手段】この出願の発明は、上記
の課題を解決するものとして、第1に、化学式(I)
【0011】
【化8】
【0012】(ただし、R1、R2、R3は、置換基を有
していてもよい炭化水素基を示し、R2とR3は結合して
環を形成していてもよい)で示される光学活性リン化合
物を提供する。
【0013】第2には、この出願の発明は、化学式(I
I)
【0014】
【化9】
【0015】(ただし、Phは置換基を有していてもよ
いフェニル基を表す)で示される光学活性リン化合物を
提供する。
【0016】第3には、この出願の発明は、前記の光学
活性リン化合物の製造方法として、塩基の存在下でジフ
ェニルホスフィンと次の化学式(III)
【0017】
【化10】
【0018】(ただし、Phは置換基を有していてもよ
いフェニル基を表す)で示される化合物を反応させ、さ
らにボラン−THFと反応させて得られる化学式(IV)
【0019】
【化11】
【0020】(ただし、Phは置換基を有していてもよ
いフェニル基を表す)の化合物を脱ボランする光学活性
リン化合物の製造方法を提供する。
【0021】この出願の発明は、第4には、上記の光学
活性リン化合物の製造方法において、化学式(III)の
化合物が、以下の化学式(V)
【0022】
【化12】
【0023】(ただし、Phは置換基を有していてもよ
いフェニル基を表す)で示されるアルコールを、DMA
Pおよび塩基の存在下でメタンスルホニルクロライドと
反応させて得られる上記の光学活性リン化合物の製造方
法を提供する。
【0024】また、第5には、この出願の発明は、上記
の化学式(V)のアルコールが、以下の化学式(VI)
【0025】
【化13】
【0026】(ただし、Phは置換基を有していてもよ
いフェニル基を表す)で示されるカルボン酸を還元して
得られる上記の光学活性リン化合物の製造方法をも提供
する。
【0027】さらに、この出願の発明は、第6には、上
記の化学式(VI)のカルボン酸が、1,4−ジハロゲノ
ブタンと金属を反応させた後、フェニルホスフィンおよ
びボラン−THFと反応させて得られる以下の化学式
(VII)
【0028】
【化14】
【0029】(ただし、Phは置換基を有していてもよ
いフェニル基を表す)の化合物をカルボキシ化して得ら
れるカルボン酸の異性体を分離して得られる上記の光学
活性リン化合物の製造方法を提供する。
【0030】そして、第7には、この出願の発明は、前
記第1または第2の発明の光学活性リン化合物である光
学活性リン配位子を、第8には、この光学活性リン配位
子を有する金属錯体を、そしてさらに、第9には、この
金属錯体からなる不斉反応触媒をも提供する。
【0031】
【発明の実施の形態】この出願の発明の光学活性リン化
合物は、環内にリン原子を含む5員環(ホスホラン:ph
ospholane)において、電気的性質、立体的性質の異な
る二つのリン配位中心としてホスホランのリンに結合し
たR1と、R2、R3の置換基が結合したリンをそれぞれ
有する化合物である。
【0032】
【化15】
【0033】この光学活性リン化合物において、前記の
1、R2、R3は、置換基を有していてもよい炭化水素
基であり、R2とR3は、結合して環を形成していてもよ
い。これらR1、R2、R3の炭化水素基は、同一であっ
ても、個々に異なってもよいが、これらを選択すること
によって、各リン配位中心の電気的性質や、立体的性質
を制御することが可能となる。R1、R2、R3として
は、例えば、置換基を有していてもよいアルキル基、ビ
ニル基、アリル基、アリール基などが例示されるが、好
ましくは、置換基を有していてもよいアリール基、とく
に好ましくは、置換基を有していてもよいフェニル基が
挙げられる。
【0034】
【化16】
【0035】この化合物においては、フェニルホスフィ
ンおよびジフェニルホスフィンが、電気的性質、立体的
性質の異なる二つのリン配位中心となる。
【0036】この出願の発明の光学活性リン化合物で
は、前記化学式(II)におけるフェニルホスフィンおよ
びジフェニルホスフィンは、各フェニル基に置換基を有
しているものであってもよい。例えば、ハロゲンやO、
N、Sなどの原子を含む置換基を有していてもよいし、
ベンジル基、スチリル基などであってもよい。これらの
置換基を結合することにより、各リン配位中心の電気的
性質や、立体的性質を制御することが可能となる。
【0037】この出願の発明の光学活性リン化合物は、
また、金属錯体の配位子として有効に作用する。この出
願の発明は、このような配位子を有する金属錯体をも提
供するが、このような金属錯体には、不斉反応触媒とし
て好適に作用するものが含まれる。
【0038】したがって、この出願の発明の不斉反応触
媒は、前記のとおりに、配位子である光学活性リン化合
物におけるR1、R2、R3やその置換基を選択すること
により、その性質をも制御することが可能となるもので
ある。
【0039】また、この出願の発明の光学活性リン配位
子の製造方法としては、種々のものが考慮される。例え
ば、以下の化学式(III)
【0040】
【化17】
【0041】(ただし、Phは置換基を有していてもよ
いフェニル基を表す)で示される化合物を反応させ、さ
らにボラン−THFと反応させて得られる化学式(IV)
【0042】
【化18】
【0043】(ただし、Phは置換基を有していてもよ
いフェニル基を表す)の化合物を脱ボランすることによ
って化合物(II)が得られる。
【0044】このとき、反応条件や原料となる化合物
(III)の製造方法はとくに限定されない。化合物(II
I)の製造方法としては、例えば、以下の化学式(V)
【0045】
【化19】
【0046】(ただし、Phは置換基を有していてもよ
いフェニル基を表す)で示されるアルコールを、DMA
Pおよび塩基の存在下でメタンスルホニルクロライドと
反応させる方法が考慮される。もちろん、反応溶媒、温
度、時間等の条件は、とくに限定されない。
【0047】また、化合物(V)のアルコールは、どの
ような方法で得られるものであってもよいが、例えば、
以下の化学式(VI)
【0048】
【化20】
【0049】(ただし、Phは置換基を有していてもよ
いフェニル基を表す)で示されるカルボン酸を還元する
方法が考えられる。還元方法としては、ボラン−溶媒系
で還元する方法、メチルエステル化した後還元する方法
など、どのようなものであってもよい。
【0050】さらに、上記の化学式(VI)のカルボン酸
は、種々の方法で得られるが、例えば市販の1,4−ジ
ハロゲノブタンを出発物質とし、リチウムやマグネシウ
ムなどの金属と反応させた後、フェニルホスフィンおよ
びボラン−THFと反応させて以下の化学式(VII)
【0051】
【化21】
【0052】(ただし、Phは置換基を有していてもよ
いフェニル基を表す)の1−フェニルホスホラン 1−
ボランとし、これをカルボキシ化して得られるカルボン
酸を用いることができる。このとき、光学異性体が生成
するので、分離することが好ましいが、後の工程で分離
してもよい。
【0053】この出願の発明の光学活性リン化合物は、
以上のとおりの方法によって製造されるものに限定され
ず、どのような方法や手順で製造されるものであっても
よい。
【0054】以下、実施例を示し、この発明の実施の形
態についてさらに詳しく説明する。もちろん、この発明
は以下の例に限定されるものではなく、細部については
様々な態様が可能であることは言うまでもない。
【0055】
【実施例】以下の参考例および実施例において、1H、
13C、および31P NMRスペクトルは、300MHz
または400MHzのJEOL製NMRスペクトロメー
ターを用いて測定した。1Hおよび13Cでは重水素化溶
媒が用いられた。31P NMRにおける化学シフトは、
PPh3外部標準をリファレンスとして求めた。
【0056】IRスペクトルは、KBrセル上に薄膜と
した化合物を設置し、測定した。
【0057】融点は、ホットステージ装置上で記録され
た値を補正せずに用いた。
【0058】使用された溶媒は、すべて通常の化学実験
操作の手法に基づいて精製し、試薬は入手した状態のま
ま、精製せずに使用した。
【0059】また、反応は以下の合成スキーム(A)の
とおりの手順で行った。
【0060】
【化22】
【0061】<参考例1> 1−フェニルホスホラン1
−ボラン(化合物1)の合成 Mg屑(24.3g, 1.00mol)のエーテル(400ml)溶液の
入った500ml三つ口フラスコに0℃、Ar雰囲気下
で、1,4−ジブロモブタン(48.0ml, 400mmol)のエ
ーテル(100ml)溶液を滴下した。すべて滴下し終えた
ところで、得られた灰色溶液を室温にて3時間攪拌し
た。
【0062】このジ−グリニャール試薬をフェニルホス
フィン(54.0ml, 400mmol)のエーテル(100ml)溶液の
入った1lの三つ口フラスコに接続された滴下漏斗に、
管を通じて導入し、Ar下、0℃で約2時間かけて滴下
した。得られた懸濁液をAr下で24時間攪拌した後、
この反応液に、ボラン−THF(400ml, 400mmol)を約
1時間かけて滴下し、得られた懸濁液をさらに1時間攪
拌した。
【0063】反応を1NのHCl水溶液でクェンチし、酢
酸エチルで抽出した。
【0064】得られた有機相を食塩水で洗浄し、Na2
SO4上で乾燥した後、濾過し、濾液を減圧下で濃縮し
た。
【0065】不快臭のする残渣をクロマトグラフィー
(SiO2−E7734;EtOAc/ヘキサン=15
/85)により精製したところ、無色無臭の粘性油(2
2.0g, 31%)が得られた。
【0066】生成物の同定結果を表1に示した。
【0067】
【表1】
【0068】<参考例2> (1R*,2S*)−および
(1R*,2R*)−1−フェニルホスホリル 1−ボラ
ン−2−カルボン酸(化合物3および2)の合成 (−)−スパルテイン(7.1ml, 31mmol)又はTMED
Aのエーテル(50ml)溶液に、n−BuLi(31.0ml,
30.9mmol)を−78℃、Ar下で滴下した。
【0069】この混合液を0℃まで昇温し、さらに20
分間攪拌した後、−78℃に冷却された化合物1(4.85
g, 25.7mmol)のエーテル(50ml)溶液に滴下した。
【0070】得られた黄色溶液を−78℃でさらに3時
間攪拌した後、さらにドライアイス片を添加した。混合
液を−78℃で攪拌しながら、一晩かけて室温まで昇温
させた。
【0071】反応を1N HCl水溶液で0℃にてクェン
チした後、酢酸エチルで抽出した。有機相をNa2SO4
上で脱水し、濾過した後、濾液を真空下で濃縮した。
【0072】残渣をクロマトグラフィー(SiO2−E
7734;勾配溶出:EtOAc/ヘキサン=50/5
0〜80/20)で精製し、白色固体(86%〜92
%)を得た。
【0073】この固体をエーテル/ヘキサン(1/2)
混合溶媒に溶解し、室温でゆっくりと溶媒を蒸発させた
ところ、無色の結晶状固体(17〜33%)を得た。こ
れは、X線結晶解析より(1R*,2S*)−1−フェニ
ルホスホリル 1−ボラン−2−カルボン酸(化合物
3)であることが分かった。
【0074】再結晶前の溶液には、(1R*,2S*)−
および(1R*,2R*)−1−フェニルホスホリル 1
−ボラン−2−カルボン酸(化合物3、2)の両方が混
在していた。
【0075】表2に化合物3の同定結果を示した。
【0076】
【表2】
【0077】<参考例3> (1R*,2S*)−1−フ
ェニルホスホリル 1−ボラン−2−カルボン酸(化合
物3)の分離 化合物3(6.50g, 29.3mmol)とキニン(9.49g, 29.3mm
ol)のCHCl3(150ml)溶液を、室温で30分間攪拌
した後、Et2O(150ml)を加え、化合物3の結晶化を
促した。
【0078】得られた白色沈殿を濾過により回収し、C
HCl2(100ml)およびEt2O(100ml)を加えて結晶
化させた。この手順を2回繰り返した。
【0079】得られたアンモニウム塩(2.95g, 18%)を
濾過により回収し、高真空下で乾燥した。
【0080】分離された化合物3の光学純度は、対応す
るメチルエステルまたは還元して得られるメチルエステ
ル(化合物3’)、またはアルコール(化合物4)とし
てキラルなカラムによるHPLCから求めた。 <参考例4> (1R,2S)−メチル 1−フェニル
ホスホリル 1−ボラン−2−カルボキシレート(化合
物3’)の製造 キニン塩からの酸−塩基抽出により化合物3(11.1mg,
50μmol)を得た。メタノール(0.5ml)に溶解し、TM
SCH22(180μl, 7.3equiv.)を滴下して、黄色溶
液を得た。この溶液に、10%酢酸水溶液を数滴加え、
TMSCH22をクェンチした。同様にしてラセミ体を
合成し、HPLC(Chiralpak AD;2−プロパノール/
ヘキサン=1/120;流速:1.0ml/min;RT:33mi
n、41min)で分離した。
【0081】得られた化合物3’の同定結果を表3に示
した。
【0082】
【表3】
【0083】<参考例5> 化合物3の(1R,2S)
−1−フェニルホスホリル 1−ボラン−2−メタノー
ル(化合物4)への転換 得られた化合物3(58.5mg, 264μmol)のTHF溶液に
0℃、Ar下で、BH 3DMS(95μl、3.7equiv.)を
添加した。得られた混合液を室温で5時間攪拌し、1Nの
HCl水溶液で反応をクェンチした後、EtOAcで抽
出した。
【0084】有機相をNa2SO4上で乾燥させ、濾過し
た後、真空下で濃縮した。
【0085】残渣をクロマトグラフィー(SiO2−E
7734;EtOAc/ヘキサン、40/60)で精製
したところ、無色の油が得られたが、しばらくすると、
固化し、白色固体となった(45.8mg, 78%)。
【0086】ラセミ体は同様にして得られ、HPLC
(Chiralcel OD;2−プロパノール/ヘキサン=1/
30;流速:1.0ml/min;RT:22min、33min)で分
離された。
【0087】表4に得られた化合物4の同定結果を示し
た。
【0088】
【表4】
【0089】<参考例6> (1R*,2S*)−および
(1R*,2R*)−(−)−メンチル1−フェニルホス
ホリル 1−ボラン−2−カルボキシレート(化合物1
2/14、11/13)の製造(光学活性体の絶対配置
の確認) 光学活性体の絶対配置を確認するために、以下の化学式
(B)に従い、化合物12/14、11/13を製造し
た。
【0090】
【化23】
【0091】化合物3(22.2mg、100μmo
l)のアルコール(15.6mg、100μmol)溶
液とDMAP(0.6mg)のCH2Cl2(1ml)溶
液の混合溶液に、DCC(22.7mg、110μmo
l)を0℃で添加し、得られた混合液を室温で30分間
攪拌した。この混合液をCH2Cl2(5ml)で希釈
し、水で洗浄してNa2SO4上で乾燥した後、濾過し、
濾液を真空下で濃縮した。
【0092】得られた残渣をカラムクロマトグラフィー
(SiO2−E7734;CH2Cl 2/ヘキサン=50
/50)で精製したところ、2種類の白色固体が得られ
た。
【0093】極性の小さい方の固体(10.1mg、2
8%)は、分離不可能な(1R*,2R*)−酸の(−)
−メチルエステルのジアステレオマー混合物(化合物1
1/13)であり(部分ラセミ化がカップリング反応中
に起こった)、極性が大きい方の固体(16.7mg、
46%)は、分離不可能な(1R*,2S*)−酸の
(−)−メチルエステルのジアステレオマー混合物(化
合物12/14)であった。
【0094】極性が高い方の化合物をEt2O/ヘキサ
ン(1/1)中で再結晶化したところ、(1S,2R)
−酸の(−)−メチルエステル(化合物14)を、無色
の結晶として得た。さらに、(1S,2S)酸の(−)
−メチルエステル(化合物13)も同様にして極性の低
い方の化合物から得られ、X線結晶解析により、ふたつ
の化合物の絶対配置が明らかになった。
【0095】表5、6に化合物13および14の同定結
果をそれぞれ示した。
【0096】
【表5】
【0097】
【表6】
【0098】<参考例7> 化合物14からの(1S,
2R)−1−フェニルホスホリル 1−ボラン−2−メ
タノール(化合物4)の合成 上記の化合物14(13.3g, 36.9μmol)をAr下でCH
2Cl2(0.5ml)に溶解した。この溶液を−78℃まで
冷却し、DIBAL−H/ヘキサン(100μl,100μmo
l)を滴下した後、−78℃で1時間攪拌し、MeOH
および0.5Nの酒石酸ナトリウムカリウム水溶液でクェン
チした。
【0099】通常の洗浄操作とカラムクロマトグラフィ
ー(SiO2−E7734;EtOAc/ヘキサン=4
5/55)による精製を行ったところ、無色の油(6.0m
g, 78%)が得られた。
【0100】光学純度は、前記の通りの方法でHPLC
を用いて測定された(RT:33min、100%e.e.)。
【0101】また、化合物3’(105mg, 444μmol)の
還元によっても同一のアルコール(化合物4)が得られ
た(70.7mg, 77%)。 <参考例8> (1R,2S)−1−フェニルホスホリ
ル 1−ボラン−2−メチル−メタンスルホン酸(化合
物5) 化合物4(383mg, 1.84mmol)のメタンスルホニルクロ
リド(285μl, 3.68mmol)溶液とDMAP(22mg)のC
2Cl2(15ml)溶液の混合溶液にEt3N(520μl、
3.73mmol)を加えた。室温で12時間攪拌した後、混合
液を真空下で濃縮し、残渣をカラムクロマトグラフィー
(SiO2−E7734;EtOAc/ヘキサン=40
/60)で精製し、白色固体(526mg、100%)
を得た。
【0102】化合物5の同定結果を表7に示した。
【0103】
【表7】
【0104】<参考例9> (1R,2S)−2−ジフ
ェニルホスフィノメチル−1−フェニルホスホリルP,
P−ジボラン(化合物6) n−BuLi(3.30ml、5.00mmol)をジ
フェニルホスフィン(870μl、5.00mmol)
のTHF(15ml)溶液に−78℃、Ar下で滴下し
た。全量滴下後、冷却浴を除き、赤色の反応液をさらに
1時間攪拌した。
【0105】反応液を再び−78℃に冷却し、予め−7
8℃に冷却した化合物5(715mg, 2.50mmol)のTHF
(15ml)溶液に添加した後、−78℃で1時間攪拌し、
再び室温まで昇温して、さらに30分間攪拌した。
【0106】混合液を再び−78℃に冷却し、ボラン−
THF(5.0ml、5.0mmol)をシリンジで滴
下した。30分間攪拌した後、反応液を1NのHCl水
溶液でクェンチし、CH2Cl2で抽出した。
【0107】有機相をNa2SO4上で乾燥し、濾過した
後、濾液を真空下で濃縮した。カラムクロマトグラフィ
ー(SiO2−E9385;Et2O/ヘキサン=20/
80)で精製したところ、無色の油(0.68g、70
%)が得られた。
【0108】同様にして、トシレート(126mg、3
49mmol)との反応によりジボラン(106mg、
78%)を得た。
【0109】化合物6の同定結果を表8に示した。
【0110】
【表8】
【0111】<実施例1> (1R,2S)−2−ジフ
ェニルホスフィノメチル−1−フェニルホスホラン(化
合物7) 化合物6(680mg, 1.74mmol)のピロリジン(75ml)溶
液を55±5℃に加熱し、30分間攪拌した。冷却後
(<40℃)、溶液を真空下で濃縮し、残渣をカラムク
ロマトグラフィー(SiO2−E9385;Et2O/ヘ
キサン=5/95)で精製したところ、無色の粘性油
(523mg, 83%)を得た。
【0112】表9に化合物7の同定結果を示した。
【0113】
【表9】
【0114】
【発明の効果】以上詳しく説明したとおり、この発明に
よって、不斉合成触媒の配位子として有用な光学活性リ
ン化合物が提供される。また、この光学活性リン化合物
の製造方法が提供される。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特表 平6−508848(JP,A) 特表 平5−507078(JP,A) 特表2002−529374(JP,A) Tetrahedron,2000年,V ol.56,No.1,p.121−127 J.Organometallic Chem.,1998年,Vol.556,p. 129−140 J.Am.Chem.Soc.,1995 年,Vol.117,No.31,p.8083 −8089 Angew.Chem.,1993年,V ol.105,No.12,p.1846−1848 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C07F 9/6568 B01J 31/24 Z C07B 61/00 C07M 7:00 CAPLUS(STN) REGISTRY(STN)

Claims (9)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 化学式(I) 【化1】 (ただし、R1、R2、R3は、置換基を有していてもよ
    い炭化水素基を示し、R2とR3は結合して環を形成して
    いてもよい)で示される光学活性リン化合物。
  2. 【請求項2】 化学式(II) 【化2】 (ただし、Phは置換基を有していてもよいフェニル基
    を表す)で示される光学活性リン化合物。
  3. 【請求項3】 請求項2の光学活性リン化合物の製造方
    法であって、塩基の存在下でジフェニルホスフィンと次
    の化学式(III) 【化3】 (ただし、Phは置換基を有していてもよいフェニル基
    を表す)で示される化合物を反応させ、さらにボラン−
    THFと反応させて得られる化学式(IV) 【化4】 (ただし、Phは置換基を有していてもよいフェニル基
    を表す)の化合物を脱ボランする請求項2の光学活性リ
    ン化合物の製造方法。
  4. 【請求項4】 請求項3の製造方法において、化学式
    (III)の化合物が、以下の化学式(V) 【化5】 (ただし、Phは置換基を有していてもよいフェニル基
    を表す)で示されるアルコールを、DMAPおよび塩基
    の存在下でメタンスルホニルクロライドと反応させて得
    られる請求項3の光学活性リン化合物の製造方法。
  5. 【請求項5】 請求項4の製造方法において、化学式
    (V)のアルコールが、以下の化学式(VI) 【化6】 (ただし、Phは置換基を有していてもよいフェニル基
    を表す)で示されるカルボン酸を還元して得られる請求
    項4の光学活性リン化合物の製造方法。
  6. 【請求項6】 請求項5の製造方法において、化学式
    (VI)のカルボン酸が、1,4−ジハロゲノブタンと金
    属を反応させた後、フェニルホスフィンおよびボラン−
    THFと反応させて得られる以下の化学式(VII) 【化7】 (ただし、Phは置換基を有していてもよいフェニル基
    を表す)の化合物をカルボキシ化して得られるカルボン
    酸の異性体を分離して得られる請求項5の光学活性リン
    化合物の製造方法。
  7. 【請求項7】 請求項1または2の光学活性リン化合物
    である光学活性リン配位子。
  8. 【請求項8】 請求項7の光学活性リン配位子を有する
    金属錯体。
  9. 【請求項9】 請求項8の金属錯体からなる不斉反応触
    媒。
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J.Organometallic Chem.,1998年,Vol.556,p.129−140
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