JP3556701B2 - 析出強化型ニッケル基超合金素材の熱処理方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は高強度高耐食性の析出強化型ニッケル基超合金を得るための析出強化型ニッケル基超合金素材の熱処理方法及び該熱処理方法によって得られた高強度高耐食性の析出強化型ニッケル基超合金よりなる締め付けボルト、特に火力発電用脱硫ファンの締め付け用ボルトに関する。
【0002】
【従来の技術】
火力発電用脱硫ファン締め付けなど用いられるボルト材としては、超合金のリフラクトアロイ26(37Ni−20Co−18Cr系:商品名)などが用いられている。このリフラクトアロイ26は耐食性に優れ、また高温強度・延性も優れており、脱硫ファン用締め付けボルトだけでなく、蒸気タービン用高温ボルト材としても幅広く適用されている。
ところで、近年脱硫ファンの高性能化、コンパクト化の要求が大きく、締め付けボルトの高強度化に対する要求が強くなってきている。このような要求に対して従来の熱処理方法をリフラクトアロイ26などの高耐食性超合金に施したとしても、十分な機械的強度と十分な耐食性を兼ね備えた材料は得られない。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、本発明は高強度でしかも耐食性に優れたニッケル基析出強化型超合金素材の熱処理方法及びこの熱処理方法を適用した高強度高耐食性の析出強化型ニッケル基超合金を用いた締め付け用ボルトを提供しようとするものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者は鋭意研究を重ねた結果、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は
(1)重量比で炭素:0.02〜0.08%、シリコン:0.05〜1%、マンガン:0.1〜1%、クロム:14〜21%、アルミニウム:0.4〜1.3%、チタン:1.3〜3%、鉄:1〜9%及び不可避的不純物及び残部ニッケルからなる析出強化型ニッケル基超合金素材を、950〜1050℃で0.5〜7時間保持して溶体化処理を行い、次いで850〜900℃で5〜50時間保持、710〜750℃で5〜15時間保持、600〜660℃で5〜15時間保持する時効処理を行うことを特徴とする析出強化型ニッケル基超合金素材の熱処理方法。
(2)上記(1)記載の熱処理方法を適用した析出強化型ニッケル基超合金よりなることを特徴とする締め付けボルト。
である。
【0005】
【作用】
本発明者らは析出強化型ニッケル基超合金において熱処理を限定すること及び成分と熱処理を限定することによって優れた耐食性と高い機械的強度を有する材料が得られることを明らかにした。
以下に本発明材料における成分限定理由を述べる。
C:Cは炭化物を形成し機械的強度の向上に寄与する。しかし、0.02%未満では十分な効果は得られず、また0.08%を越えると過剰な炭化物を形成し耐食性を劣化させるとともに靱性を低下させるので、0.02〜0.08%とする。
Si:Siは脱酸材として必要な元素である。また、耐食性の向上に寄与する。しかし、Siを1%を越えて加えると衝撃特性を劣化させ、0.05%未満では十分な効果が得られないので、0.05〜1%とする。
Mn:Mnも脱酸材として有用な元素である。この元素も0.1%未満ではその効果が十分でなく、1%を越えて加えると靱性を低下させるので、0.01〜1%とする。
Cr:Crはマトリックス中に溶け込んで耐酸化性を改善する。14%未満ではその効果は十分ではなく、また21%を越えると脆化をもたらすので14〜21%とする。
Al:AlはマトリックスのNiやTiとともに金属間化合物であるγ′〔Ni(Al,Ti)〕相となり、機械的強度の向上に寄与する。このため、機械的強度の観点から言えば多い方がよいが、0.4%未満では十分なγ′相の析出を得ることができず、良好な機械的強度が得られない。一方、1.3%を越えると延性や靱性が低下してしまう。このため、0.4〜1.3%とする。
Ti:TiはAlやNiとともにγ′〔Ni(Al,Ti)〕相を形成する。Tiの含有量は機械的強度や延性、靱性に大きく影響を与える。すなわち、Ti含有量が増すとそれに比例して機械的強度は向上する。しかし、延性、靱性はTi含有量の増加とともに低下する。このため、1.3〜3%とする。
Fe:Feはマトリックス中に溶け込んで延性や靱性の確保に効果がある。しかし、1%未満ではその効果が得られず、また9%を越える量を添加すると機械的強度の劣化を招く。このため、1〜9%とする。
【0006】
次に熱処理の限定理由について述べる。
析出強化型ニッケル基超合金において構造部材を製造する場合、熱処理方法によって炭化物やγ′相などの析出物の形態が変わり、機械的性質や耐食性などに大きく影響を与える。そこで本発明者らは熱処理条件について鋭意検討を行った結果、溶体化処理を行い、その後3段の時効処理を施すことによって高い機械的強度と優れた耐食性が得られることを明らかにした。
【0007】
最初に行う溶体化処理は、素材に添加されている合金元素を十分にマトリックス中に固溶させ、目的とする適正な析出物を得るために行うものである。この熱処理温度が低い場合、合金元素が十分に固溶されないために、適正な析出物を素材中に析出させることができない。このことは、本発明が対象とする析出強化型ニッケル基超合金において良好な機械的性質を得ることが不可能となることを意味する。このため、950℃以上の熱処理温度が必要となる。また、この溶体化の処理温度が高すぎる場合、結晶粒が大きくなり、常温の機械的強度が低くなってしまう。このため1050℃以下の温度での熱処理が必要となる。また、上記温度範囲の条件下において、0.5時間未満であると、ニッケルを主体とする母地の中に溶質原子が十分に溶け込むことができず、次工程での時効処理によって有効に析出物を母地に出すことができない。したがって、0.5時間以上の高温(950℃〜1050℃)の保持が必要となる。一方、7時間を超える時間高温に保持すると、結晶粒が処理時間とともに大きくなり、延性、靱性及び機械的強度を劣化させる。このため、0.5〜7時間保持することに限定した。
【0008】
次に行う1段目の時効処理は、従来の超合金の熱処理にはない新しい熱処理工程である。この工程では、高温で時効することにより結晶粒内においても十分な炭化物の析出を行うようにするものである。通常の超合金における熱処理では、本発明の2段目及び3段目の時効処理のみが採用されているが、この場合は時効温度が低いために炭化物は粒界に析出してしまうことになる。(粒界は原子の配列が乱れているために隙間が大きいので原子の拡散が起こりやすく、このため炭化物が生成しやすい。)
本発明の1段目の時効処理は従来の時効処理温度よりも高温であるため、熱活性状態となり溶質元素の拡散が粒内でも十分に速くなるため、粒内でも粒界と同じように炭化物が形成される。その結果、次工程での時効処理によって生じる炭化物の粒界での析出を最小限度に抑えて良好な耐食性を得ることが可能となる(炭化物と主にCr炭化物であるが、低い温度で時効する場合、この炭化物は主に粒界に形成される。このとき耐食性に効果のある活性な固溶Cr量は炭化物の形成に伴い粒界近傍で低下し、いわゆるCr欠乏相を形成する。このCr欠乏相は活性な固溶Crが不足する領域であるため緻密なCr酸化物による保護膜を作ることができず、耐食性が低下してしまう)。ただし、この熱処理工程では、炭化物が析出するとともに比較的大きなγ′相が析出してしまい、次工程での強度向上に効果のある微細なγ′相の析出量が減ってしまうことになる。このため、この1段目の時効処理においては時効温度を厳密におさえること、すなわち850〜900℃に保持することが必要である。また、1段目の上記温度範囲の時効処理の条件において、時効時間が5時間未満であると、粒内炭化物を十分に形成することができないため、次工程で粒界の炭化物が選択的に形成されてしまい、耐食性が劣化してしまう。一方、50時間以上の処理を行うと、この熱処理で粗いγ′相が多く析出してしまうために、次工程での微細なγ′相の析出量が減ってしまい、十分な機械的強度が得られない。このため、1段目の時効処理は5〜50時間保持することにより行う。
【0009】
2段目及び3段目の時効処理は微細なγ′相を析出させるために行うものであり、この熱処理条件が材料強度を決定することになる。γ′相の析出は730℃を中心にして生じるが、この温度よりも高い場合は比較的大きなγ′相が少量析出することになる。一方、この温度よりも低い温度で時効処理を行うと機械的強度を高めることができる比較的微細なγ′相を多く析出させることができる。本発明の熱処理では、1段目の時効処理において比較的大きなγ′相が析出しているために、機械的強度に寄与する2段目及び3段目の時効処理で析出できる微細なγ′相の量が減っており、このため2段目及び3段目の時効処理においても時効温度と時効時間を厳密におさえること、すなわち2段目の時効処理を710℃〜750℃にて5〜15時間保持することと3段目の時効処理を600〜660℃で5〜15時間で行うことが必要である。
【0010】
【実施例】
以下に実施例に基づいて本発明を説明する。
表1には本発明において対象とする析出強化型ニッケル基超合金の供試素材の化学成分を示す。
【0011】
【表1】
Figure 0003556701
【0012】
表2には表1の供試素材に対して、さまざまな熱処理を施したときの常温引張試験結果及び40%硝酸沸騰液中で24時間保持した場合の各試験材の腐食速度測定結果を示す。本発明材は比較熱処理材に比べて機械的強度が高く、0.2%耐力で89kgf/mm以上の値を示す。比較熱処理材のNo.10〜12の溶体化処理温度が本発明熱処理材と同じ980℃で保持したものについても高い機械的強度を有する。しかし、これらの材料の腐食速度は大きく、耐食性の点で問題がある。これは、1段目の時効処理温度が低いために、1段目の時効処理によって生成する粒内炭化物の量が少なく、2段目及び3段目の時効処理によって粒界炭化物が形成されて粒界の固溶したCr濃度が低下してしまうことにより生じるものである。同様にNo.22及び23は機械的強度もそれほど低くないが、1段目の時効処理を省略しているために耐食性の点で極端に劣る結果となっている。その他の比較熱処理材は耐食性の点では本発明熱処理材と同等であるが、機械的強度及び引張延性が低く、本発明熱処理材よりも劣る結果となっている。
【0013】
【表2】
Figure 0003556701
【0014】
【表3】
Figure 0003556701
【0015】
【表4】
Figure 0003556701
【0016】
【発明の効果】
本発明の熱処理方法を適用した析出強化型ニッケル基超合金は高い機械的強度を有し、優れた耐食性をも兼ね備えたものであり、腐食環境で使用される脱硫ファンなどの締め付けボルト用素材として適用できる信頼性の高い材料である。本発明により、腐食環境下で使用される構造部材のコンパクト化や高性能化が可能となり、資源の節約や環境を守る上でも有用な技術であり、産業上有益であると考えられる。

Claims (2)

  1. 重量比で炭素:0.02〜0.08%、シリコン:0.05〜1%、マンガン:0.1〜1%、クロム:14〜21%、アルミニウム:0.4〜1.3%、チタン:1.3〜3%、鉄:1〜9%及び不可避的不純物及び残部ニッケルからなる析出強化型ニッケル基超合金素材を、950〜1050℃で0.5〜7時間保持して溶体化処理を行い、次いで850〜900℃で5〜50時間保持、710〜750℃で5〜15時間保持、600〜660℃で5〜15時間保持する時効処理を行うことを特徴とする析出強化型ニッケル基超合金素材の熱処理方法。
  2. 請求項1記載の熱処理方法を適用した析出強化型ニッケル基超合金よりなることを特徴とする締め付けボルト。
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