JP3556685B2 - 屋外用電子機器ケース - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は屋外にて使用される電子機器のケースに関する。
【0002】
【従来の技術】
図6に示す如く内部に電子回路体収納用の空間9fを備えると共に前面が開放している本体1fと、上記本体前面の開口部を閉ざす為に上部を上記本体の上部に枢着した蓋2fとから構成され、閉蓋状態では蓋2fの上部に備えた垂下片41fと本体1fの上部に備えた立上片18fとが嵌合すると共に、本体1fに備えた上部防雨壁81の先端82が蓋2fの後面83に圧接するようにしている(例えば実開平3−6874号公報参照)。このような構成のものでは、風雨の吹付があっても上記嵌合部分によって雨水の侵入を遮ることができ、強風雨によってその嵌合部分を通して雨水が押し込まれてきても、上記の上部防雨壁81によって内部の電子回路体に向けて水滴が落ちることを阻止することができる効果がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
この従来の屋外用電子機器ケースでは暴風雨時のように強い風雨が吹き付けると、雨水は上記嵌合部分を容易に通り越して上部防雨壁81の上まで入ってしまう問題点がある。入った雨水は、後日内部点検の為に蓋2fを開けた時に水滴となって内部の電子回路体に降りかかり、故障を引き起こしてしまうという問題点があった。
【0004】
本願発明は上記従来技術の問題点(技術的課題)を解決する為になされたもので、暴風雨時のような強い風雨の吹付に対しても高い雨水侵入防止効果を発揮でき、しかもより強烈な風雨の吹付によって雨水の侵入があっても、その雨水が内部の電子回路体に降りかかることを防止できるは勿論のこと、その侵入した雨水を速やかに排出することができて、開蓋時に電子回路体に降りかかってしまう事故を防止できるようにした屋外用電子機器ケースを提供することを目的としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本願発明における屋外用電子機器ケースは、背板4と、上板5と、側板7、8とで囲まれた内部には電子回路体収納用の空間9を備えると共に前面10を開放している本体1と、上記本体1の前面の開口部10を閉ざす為に上部を上記本体1の上部に枢着した蓋2とから構成されている屋外用電子機器ケースにおいて、
上記蓋2の上部部分の構成は、閉蓋状態において上記本体1における上板5の上方を覆う為の上部板38が備わっていると共に、その上部板38の後端部からは、閉蓋状態において本体1における背板4の後側に位置させる為の垂れ片41を垂設し、上記背板4と垂れ片41との対向部にあっては、下方において、背板4の後面を雨水が吹き上げられてきても吹き上げられてきた雨水を後方に反らすように、背板4の後面から後方に向けて受止片18を突出状態で具備させると共に、上記垂れ片41の下端41aは、閉蓋状態において上記受止片18の突出部における自由端部に位置する受止面18aに対して当接可能に垂下状態に形成してあり、上下方向の中間部においては、背板4の後面から後方に向けて、水の上昇勢力を弱める為の部材19を突出状態で具備させると共に、垂れ片41の側には、上記突出状態の部材19との干渉を避ける為の凹部50を形成し、更に上方においては、上記背板4と垂れ片41との対向面に、上記受止面18aとそこに当接する下端41aとの間を通して雨水が押し込まれて上昇した場合にその雨水を溜めるための貯水空間51となる間隔を上下方向に向けて形成し、さらに上記上部板38の前後方向の中間部には閉蓋状態において上記本体1における上板5の上面21に当接して、その当接する水止壁48と上面21とで水路49を構成することによって上面21上の雨水を側方へ案内する為の水止壁48を垂設し、一方上記本体1における上板5の上面21は左右の側に向けて水勾配を持たせてあり、しかも本体1の左右の側板7、8の夫々外側には、上記上板5の上面21上を流下した水を排出する為の排水路60、60を設けたのである。
【0006】
【作用】
受止片及びそれに当接する垂れ片が雨水の侵入を遮る。それらの当接部分を通して雨水が押込まれた場合、その雨水は貯水空間に溜まり、その溜まった水が、上記当接部分から次の雨水が押し込まれることを抑圧する。上記当接部分からの雨水の押込が強く、雨水が上記空間を越えて本体における上板の上面上に至ると、そこに至った雨水は該上面と水止壁とで構成される水路を通って側方へ流れ、更に排水路を通して排水される。
【0007】
【実施例】
以下本願の実施例を示す図面について説明する。図1、2に示される屋外用電子機器ケースにおいて、1は本体、2は蓋を夫々示す。3は本体1内に収納した電子回路体である。上記本体1は背板4、上板5、下板6、左右の側板7,8を備えており、内部は電子回路体3の収納空間9となっていると共に前面10が開放している。
【0008】
上記背板4について説明する。4aは主体部、11, 12, 13, 13は主体部4aの上、下、左右の縁部においてその後面側から前面側への水の移行阻止機能を発揮させる為の部分で、張出片を例示する。14はマストに対する当付部材で、周知のU字ボルト15a、蝶ナット15b、押え部材15cと共に図1、3に示すマスト15dに対する取付具16を構成している。図2に示される17は蓋2を開放状態に保持する為の係合凸部、18は後述の垂れ片41を受止める為の受止片で、図3(B)に示されるように背板4の後面から後方に向けて突出状態で具備させてある。18aは突出状態の受止片18における自由端部に備えさせた受止面で、蓋2の開閉動作時における垂れ片下端の移動を阻害せぬよう図示の如き円弧状の断面形状に形成してある。19は水の上昇勢力を弱める為の部材で、図示の如くリブ状に形成してある。図1、2、5の20, 20は蓋2の側板との嵌合片である。
【0009】
次に21は上板5の上面を示し、上板5の中央部5aにおいて最も高く左右の端に至る程低くなる水勾配を持たせてある。
【0010】
次に下板6は閉蓋時において蓋の内面を受止めるに充分な長さ(前後方向長さ)に形成してあり、図3(C)の22はその先端の受部を示す。23は貯水細隙形成部で、下板6の前端部上面に凹設したものを例示する。図1の24は蓋2の止具を受ける為の部材で、ねじ孔24aを備える。図1、3の25は伝送線例えば同軸ケーブル26を挿通する為の挿通孔、27は防水キャップ28を装着する為の装着筒、29は雨水を下方へ流下させて防水キャップ28の上端の側へ至ることを阻止する為の筒体である。
【0011】
次に側板7,8にいて図1、2、4に示す31は各側板の外面を流下する水を下方へ流し落としてしまって下板6の側へ移行することを阻止すると共に、後述の排水路への風雨の吹き込みを抑圧する為の部材で、垂下片を例示する。32は緩衝空間形成用の部分で、凹部を例示する。33は後述の排水路への風雨の吹き込みを抑圧する為の邪魔板、34は排水口を示す。35は本体上部に対する蓋上部の枢着の為の部材で、側板7,8の上部外面に一体形成した軸体を例示する。
【0012】
次に蓋2は図2、3に示すように、前記開口部10を覆う為の前板37と、上板5の上側を囲う為の上部板38と、側板7,8の外側を囲う為の側板39, 40と、防水用の垂れ片41とを備えている。前板37は開口部10と重合する主体部37a以外に下方への張出部42を備える。43, 44は風雨の吹き込み抑圧用の邪魔板、45は貯水細隙形成用の部材で、前記凹部23と対応形成した突片を例示する。46は閉蓋状態において凹部23と突片45との間に形成された貯水細隙を示す。図1の59は止具で、摘み付きのねじ棒を例示する。
【0013】
上部板38は上板5の上方を覆い尽くすに充分な大きさに形成してある。48は上部板38の下面に垂設した水止壁で、閉蓋状態において下端48aが前記上面21に圧接する高さに形成してある。また下端48aは水止壁47の全長にわたり上面21に当接するよう上面21と対応する勾配を持たせてある。図3、4の49は閉蓋状態において上面21と水止壁48とによって構成される水路を示す。
【0014】
次に垂れ片41は図3(A)、(B)に示すように閉蓋状態において背板4の上部背面と重合する高さに形成してある。41aは垂れ片の下端で、前記受止面18aとの当接部を示す。50は部材19との干渉を避ける為の凹部である。51は閉蓋状態において背板4と垂れ片41との間にできた貯水空間を示す。
【0015】
次に側板39,40は閉蓋状態において図4の如く本体1の下板6よりも下方へ張り出す張出部53を有しており、その内面には後述の排水路への風雨の吹き込みを抑圧する為の邪魔板54を備える。55は本体1の上部に対する蓋2の上部の枢着の為の部材で、前記軸体35と嵌合するよう対応形成した透孔を例示する。図2、5の56は前記嵌合片20との嵌合部、図2の57は雨水の堰止片である。図4、5(A)の60は本体1の左右の各外側に設けられた排水路を示し、例えば閉蓋状態において本体1の側板7,8と蓋2の側板39, 40との間に形成されるものを例示する。61は排水路60の途中に形成された緩衝空間を示す。
【0016】
次に図1、3の電子回路体3は周知の構成のもので、回路基板64に芯線接続部65aと外部導体接続部65bから成る接続端子65やその他図示外の多数の回路素子を付設して、周知の電子回路例えばブースタ回路或いはミキサ回路が構成されている。
【0017】
上記構成にあっては、閉蓋状態において降雨があると上方から降りかかった雨水は、一部は図3の矢印71のように上部板38の上面から前板37の前面や側板39, 40の外面を伝って下方へ流れ落ち、他は矢印72のように上部板38の上面から垂れ片41、背板4の後面を伝って下方へ流れ落ちる。
【0018】
雨水が風と共に矢印73のように吹き付ける場合、垂れ片41の下端41aは受止片18の受止面18aに対して当接状態である為、そこからの雨水の侵入は遮断される。この場合、背板4の後面を矢印74で示すように雨水が吹き上げられてきても、図3(A)、(B)に示されているように背板4の後面から後方に向けて突出させた部材である受止片18は上記吹き上げられてきた雨水を矢印71のように反らし、その雨水が上記当接箇所に直接的に到達することを阻止する。従って上記雨水の侵入遮断効果が高められる。またケースの下部部分においては、前板37の後面の当部37bは受部22に当接している為、そこからの雨水の侵入も遮断される。この場合、矢印75のように吹き付ける風雨はその勢いが邪魔板43, 44により前もって弱められてから上記当接箇所へ至る為、上記雨水の侵入遮断効果が高い。
【0019】
風雨の吹付がより強くて上記受止面18aとそこに当接する下端41aとの間を通して雨水が押し込まれた場合、その雨水は先ず貯水空間51に溜まる。溜まった雨水の存在はそれ以降の新たな雨水の侵入に対する抵抗となり、その侵入を阻む。従って強風雨の吹付に対しても空間51を越えての雨水の侵入は阻止される。一方、当部37bと受部22との当接箇所においてもそこを通して雨水が押し込まれると、その雨水は貯水細隙46に溜まる。溜まった雨水は上記貯水空間51の場合と同様に新たな雨水の侵入を阻む。
【0020】
雨水の吹付が強烈で空間51を越えて矢印76の如く雨水が上板5の上面21に流入した場合、その雨水は水路49を図4の矢印77のように流れて排水路60に至る。この場合、上面21上に至った雨水は既に前記吹付の勢いが無くなっているから上面21と下端48aとの圧接部分を通して本体1の前面10の側に至ることは無い。排水路60に至った雨水は、そこを矢印78のように流下して矢印79の如く下方へ排出される。従って収納空間9への雨水の侵入は無い。
【0021】
排水路60の下端の出口付近においてはそこに風雨の吹付があっても、邪魔板54、垂下片31、邪魔板33等が排水路60への風雨の吹き込みを抑制する。又排水路60の出口から風の一部が吹き込んでも、緩衝空間61が排水路上方へのその風の伝搬を抑制する。本体1と蓋2との枢着部付近に吹き付けられた雨水が図1に符号80で示すように移行する場合、堰止片57はその雨水が本体前面の開口部の側へ進むことを阻止し、排水路60へ導く。
【0022】
次に、回路体3の点検や修理を行なう場合は、止具59を緩め、軸体35を中心に蓋2を図1及び図3(A)に想像線で示されるように開いて作業を行なう。この場合前述のように上板5の上面21においてはそこに雨水が流れ込んでもそれは速やかに排出されてしまっているから、蓋2を開いても内部の回路体3に雨水が降りかかるようなことはない。尚上記蓋2を開いた状態では、垂れ片41の下端部は係合凸部17と係合して蓋2は開放状態に保持される。
【0023】
【発明の効果】
以上のように本願発明にあっては、本体1における背板4の背面から後方に向けて突出している受止片18を具備すると共に、閉蓋状態においては、蓋2における垂れ片41の下端41aが、上記背板4の背面から後方に向けて突出している受止片18に当接しているから、まず、背板4に風雨が吹き付けても、背板4の後面下方から吹き上げられてきた雨水は、突出している受止片18によって後方に反らされる特長がある。その上、垂れ片41と受止片18との当接で雨水の侵入は遮られ、内部の電子回路体3を保護できる効果がある。
【0024】
その上暴風雨時のように強い風雨が吹き付けて、上記垂れ片41と受止片18の当接部分から雨水が押し込まれた場合には、背板4の後面から後方に向けて、水の上昇勢力を弱める為の突出状態の部材19と、上記突出状態の部材19との干渉を避ける為の凹部50の存在により水の上昇勢力は弱められ、さらに雨水が上昇したとしても、背板4と垂れ片41との間の貯水空間51に溜る。さらに背板4と垂れ片41との間の上下方向に長い貯水空間51に溜まった水によって、上記当接部分から次の雨水が押し込まれることを抑えることができ、上記強風時においても電子回路体収納空間9への侵水を防いで電子回路体3の保護を持続できる効果がある。
【0025】
更に、より強烈な風雨が吹付け雨水が上記貯水空間51を越えて本体1における上板5の上面21上に入ってきても、水勾配を持たせてあるその上面21とそこに当接している水止壁48とで構成される水路49によって上面21上の雨水を側方へ案内し、そこから排水路60を通して排水できる特長がある。このことは、該降雨時において電子回路体3への雨水の降りかかりを防止できる効果があるは勿論のこと、後日内部点検の為に開蓋した場合においても、前記従来技術の如く上方に溜まっていた雨水が落下して電子回路体に降りかかってしまうという事故の発生をもとより防止できる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】開蓋状態の斜視図。
【図2】一部破断分解斜視図。
【図3】(A)は閉蓋状態の縦断面図、(B)は(A)におけるB部分の拡大図、(C)はC部分の拡大図。。
【図4】図3におけるIV−IV線切断部端面図。
【図5】(A)は図4におけるVA−VA線切断部端面図、(B)はVB-VB線断面図。
【図6】従来例を示す部分図。
【符号の説明】
1 本体
2 蓋
3 電子回路体
5 上板
41 垂れ片
48 水止壁
60 排水路
Claims (1)
- 背板4と、上板5と、側板7、8とで囲まれた内部には電子回路体収納用の空間9を備えると共に前面10を開放している本体1と、
上記本体1の前面の開口部10を閉ざす為に上部を上記本体1の上部に枢着した蓋2とから構成されている屋外用電子機器ケースにおいて、
上記蓋2の上部部分の構成は、閉蓋状態において上記本体1における上板5の上方を覆う為の上部板38が備わっていると共に、
その上部板38の後端部からは、閉蓋状態において本体1における背板4の後側に位置させる為の垂れ片41を垂設し、
上記背板4と垂れ片41との対向部にあっては、
下方において、背板4の後面を雨水が吹き上げられてきても吹き上げられてきた雨水を後方に反らすように、背板4の後面から後方に向けて受止片18を突出状態で具備させると共に、上記垂れ片41の下端41aは、閉蓋状態において上記受止片18の突出部における自由端部に位置する受止面18aに対して当接可能に垂下状態に形成してあり、
上下方向の中間部においては、背板4の後面から後方に向けて、水の上昇勢力を弱める為の部材19を突出状態で具備させると共に、垂れ片41の側には、上記突出状態の部材19との干渉を避ける為の凹部50を形成し、
更に上方においては、上記背板4と垂れ片41との対向面に、
上記受止面18aとそこに当接する下端41aとの間を通して雨水が押し込まれて上昇した場合にその雨水を溜めるための貯水空間51となる間隔を上下方向に向けて形成し、
さらに上記上部板38の前後方向の中間部には閉蓋状態において上記本体1における上板5の上面21に当接して、その当接する水止壁48と上面21とで水路49を構成することによって上面21上の雨水を側方へ案内する為の水止壁48を垂設し、
一方上記本体1における上板5の上面21は左右の側に向けて水勾配を持たせてあり、しかも本体1の左右の側板7、8の夫々外側には、上記上板5の上面21上を流下した水を排出する為の排水路60、60が設けてあることを特徴とする屋外用電子機器ケース。
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JP13940993A Expired - Lifetime JP3556685B2 (ja) | 1993-05-18 | 1993-05-18 | 屋外用電子機器ケース |
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