JP3556184B2 - ファンシュラウド - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両等の熱交換機として用いられるラジエータとそのラジエータの後方に設けられたクーリングファンとの間を覆うファンシュラウドに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、図4に示すように、車両に設けられたエンジン1の前方には、ラジエータコア3のアッパプレート3a及びロアプレート3bにアッパタンク4及びロアタンク6がそれぞれ取付けられたラジエータ2が設けられる。アッパプレート3a及びロアプレート3bの間には外気の通風方向に多重にチューブ3cが配設される。図示しないが、チューブ3cの周囲には互いのチューブ3cを接続するフィンが設けられ、ラジエータコア3の両側には、アッパタンク4及びロアタンク6を固着する一対の支持フレームがそれぞれ設けられる。
【0003】
一方、ラジエータ2の後方には、ラジエータコア3に対向するようにクーリングファン7がエンジン1のクーリングファン駆動軸7aに取付けられる。ファンシュラウド8はラジエータ2とクーリングファン7の間を覆うような筒状に形成され、その前端開口部はラジエータコア3の外形形状に相応する方形状に形成され、後部はファン7の外周囲を包囲する円筒状に形成される。このように形成されたファンシュラウド8は前述した一対の支持フレームにねじ手段によりその前端における両側部が取付けられる。一方、ファンシュラウド8の前端における上縁及び下縁に対向するラジエータ2にはねじ手段を設けることができないことから、ラジエータコア3のアッパプレート3a及びロアプレート3bとファンシュラウド8の前端における上縁及び下縁の間にはエアの流通を阻止するクッション9を設けることが行われ、このようにファンシュラウド8を取付けることによりラジエータコア3を通過した外気のみがスムーズにファン7に導かれるようになっている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、従来ファンシュラウド8は加工性及び軽量化の観点から合成樹脂を成形して作られている。このことから、ラジエータコア3に取付けられていないファンシュラウド8の前端開口部における上縁及び下縁は、クーリングファン7の回転でファンシュラウド8内部が負圧になることにより図の破線矢印のように引張られ一点鎖線で示すように内側に変形することがあった。特にエンジン1が回転中はエンジン1の周囲の温度が上昇することからファンシュラウド8のヤング率が低下するため、変形が促進される傾向にあった。このようにファンシュラウド8が変形すると、クッション9を設けているにもかかわらずラジエータコア3のアッパプレート3a及びロアプレート3bとファンシュラウド8の前端開口部における上縁及び下縁の間に隙間が生じ、その隙間から外気がファンシュラウド8の内部に侵入し、ラジエータコア3を通過する外気が減少してラジエータ2の冷却能力を減少させる不具合があった。
【0005】
この点を解消するためには、金属材料からなる補強部材を用いるか或いはファンシュラウド全体の肉厚を厚くしてファンシュラウド全体の剛性を向上させ、ファンシュラウドの内部が負圧になっても、ファンシュラウドの前端における上縁及び下縁が変形しないようにすることが考えられる。しかし、金属材料からなる補強部材を用いたり、或いはファンシュラウドの肉厚を厚くすると、車両重量が増大したり、部品点数の増加や使用する材料の量が上昇し、ファンシュラウドの単価が押し上げられる問題点がある。
本発明の目的は、前端における上縁及び下縁の剛性を向上するとともに、その上縁及び下縁のアッパプレート及びロアプレートに対する変形を有効に防止し得るファンシュラウドを提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
請求項1に係る発明は、図1に示すように、方形状のラジエータコア13のアッパプレート13a及びロアプレート13bにアッパタンク14及びロアタンク16がそれぞれ取付けられたラジエータ12とラジエータ12の後方に設けられたクーリングファン17との間を覆うように取付けられ、前端にラジエータコア13の外形形状に相応する方形状の開口部が形成されたファンシュラウドの改良である。
その特徴ある構成は、アッパプレート13aに対向する開口部の上縁にアッパプレート13aの後端縁に嵌入可能に前方に向けて開口する第1凹溝21dが形成され、ロアプレート13bに対向する開口部の下縁にロアプレート13bの後端縁に嵌入可能に前方に向けて開口する第2凹溝21eが形成されたところにある。
【0007】
この請求項1に係る発明では、クーリングファン17の回転でファンシュラウド21の内部が負圧になり、ファンシュラウドの前端開口部における上縁及び下縁が内側に引張られて変形しようとしても、第1凹溝21dはアッパプレート13aの後端縁に嵌入してアッパプレート13aの後端縁に対向する位置からファンシュラウドの前端開口部の上縁が外れるような変形を防止する。また、第2凹溝21eは、ロアプレート13bの後端縁に嵌入してロアプレート13bの後端縁に対向する位置からファンシュラウドの前端開口部の下縁が外れるような変形を防止する。
また、第1及び第2凹溝21d,21eを形成することによりファンシュラウド21の前端開口部の上縁及び下縁の剛性はこれらの凹溝21d,21eが存在しない従来のファンシュラウドに比較して高くなり、その前端開口部の上縁及び下縁がそれぞれのプレート13a,13bの後端縁に対向する位置からの変形を効果的に防止する。
【0008】
【発明の実施の形態】
次に本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1に示すように、車両に設けられたエンジン11の前方にはラジエータ12が設けられる。ラジエータ12は、ラジエータコア13とそのラジエータコア13のアッパプレート13a及びロアプレート13bに取付けられたアッパタンク14及びロアタンク16により構成される。アッパプレート13a及びロアプレート13bの間には外気の通風方向に多重にチューブ13cが配設され、チューブ13cの周囲には互いのチューブ13cを接続する図示しないフィンが設けられてラジエータコア13が構成される。アッパタンク14及びロアタンク16のそれぞれのプレート13a,13bへの取付けは同一構造であるので、アッパタンク14のアッパプレート13aへの取付けを代表して説明すると、図1の拡大図に示すように、アッパタンク14の下部開口縁外周囲には外周に膨出するフランジ14aが一体的に形成され、アッパプレート13aの外周囲はこのフランジ14aを全周に渡って包囲するように折り返される。
【0009】
アッパタンク14は、折り返されたアッパプレート13aの周囲によりフランジ14aが固定されることによりそのアッパプレート13aに取付けられる。また、ラジエータコア13の両側にはアッパタンク14及びロアタンク16を固着する一対の支持フレーム12a,12a(図3)がそれぞれ設けられ、支持フレーム12a,12aには後述するファンシュラウド21を取付ける図示しない雌ねじがそれぞれ形成される。一方、ラジエータ12の後方には、ラジエータコア13に対向するようにクーリングファン17がエンジン11のクーリングファン駆動軸17aに取付けられる。図1〜図3に示すように、ファンシュラウド21は樹脂を成形することにより、ラジエータ12とクーリングファン17の間を覆うような筒状に形成される。このファンシュラウド21の前端開口部がラジエータコア13の外形形状に相応する方形状に形成され、後部にはファン17の外周囲を包囲する円筒部21aが形成され、ファンシュラウド21は方形状に形成された前端から円筒部21aに向かって緩やかにその円筒部21a連続するような筒状に形成される。
【0010】
図2に示すように、ファンシュラウド21の前端における両側部には取付フランジ21b,21bがそれぞれ形成され、取付フランジ21b,21bには一対の取付孔21c,21cが取付けらそれぞれ形成される。図2及び図3に示すように、ファンシュラウド21は、取付孔21c,21cに挿入された取付ネジ22を支持フレーム12a,12aに形成された雌ねじに螺合することによりそのフランジ21bを支持フレーム12aに固定し、ファンシュラウド21がラジエータ12に取付けられる。ファンシュラウド21の円筒部21aは、ファンシュラウド21がラジエータ12に取付けられた状態で、クーリングファン17の外周と僅かな隙間を設けてクーリングファン17の外周を覆うように構成され、ファンシュラウド21はラジエータコア13を通過した外気がスムーズにクーリングファン17に導かれるように構成される。
【0011】
本実施例の特徴ある構成は、アッパプレート13aに対向する前端開口部の上縁にアッパプレート13aの後端縁に嵌入可能な第1凹溝21dが形成され、ロアプレート13bに対向する前端開口部の下縁にロアプレート13bの後端縁に嵌入可能な第2凹溝21eが形成されたところにある。第1及び第2凹溝21d,21eはそれぞれ樹脂を成形する際に一体的に形成され、この実施の形態における第2凹溝21eは、ファンシュラウド21の前端開口部下縁における全長に渡って形成される。その一方で、第1凹溝21dは、アッパタンク14に接続される図示しない冷却水ホースを避けるために、ファンシュラウド21の前端開口部上縁における一部に形成される。但し、図示しない冷却水ホースと干渉しない場合には、第1凹溝21dをファンシュラウド21の前端開口部上縁における全長に形成することが好ましい。
【0012】
このように構成されたファンシュラウド21では、クーリングファン17の回転でファンシュラウド21の内部が負圧になると、ファンシュラウドの前端開口部における上縁及び下縁は内側に引張られて変形しようとする。この際、ファンシュラウドの前端開口部の上縁に形成された第1凹溝21dは、アッパプレート13aの後端縁に嵌入し、アッパプレート13aの後端縁に対向する位置からファンシュラウドの前端開口部の上縁が外れるような変形を防止する。また、ファンシュラウドの前端開口部の下縁に形成された第2凹溝21eは、ロアプレート13bの後端縁に嵌入し、ロアプレート13bの後端縁に対向する位置からファンシュラウドの前端開口部の下縁が外れるような変形を防止する。
【0013】
また、第1及び第2凹溝21d,21eはそれぞれプレート13a,13bの後端縁に嵌入可能に形成されることから、必然的にその凹溝21d,21eを形成するための一対の互いに平行な凸条21f,21fが必要となり、それらの凸条21f,21fの存在によりファンシュラウド21の前端開口部の上縁及び下縁の剛性はこれらの凹溝21d,21eが存在しない従来のファンシュラウドに比較して高くなり、たとえファンシュラウド21が樹脂により形成されていたとしても、その前端開口部の上縁及び下縁がそれぞれのプレート13a,13bの後端縁に対向する位置からの変形を効果的に防止することができる。この結果、ラジエータコア13のアッパプレート13a及びロアプレート13bとファンシュラウド21の前端開口部における上縁及び下縁の間に隙間が生じることはなく、ラジエータコアを通過する外気の減少を防止してラジエータの冷却能力を従来品に比較して向上させることができる。
【0014】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明によれば、アッパプレートに対向する開口部の上縁にアッパプレートの後端縁に嵌入可能な第1凹溝を形成し、ロアプレートに対向する開口部の下縁にロアプレートの後端縁に嵌入可能な第2凹溝を形成したので、その前端開口部における上縁及び下縁が内側に引張られて変形しようとしても、第1凹溝がアッパプレートの後端縁に嵌入してアッパプレートの後端縁に対向する位置からファンシュラウドの前端開口部の上縁が外れるような変形を防止する。また、第2凹溝は、ロアプレートの後端縁に嵌入してロアプレートの後端縁に対向する位置からファンシュラウドの前端開口部の下縁が外れるような変形を防止する。また、第1及び第2凹溝を形成することによりファンシュラウドの前端開口部の上縁及び下縁の剛性はこれらの凹溝が存在しない従来のファンシュラウドに比較して高くなり、その前端開口部の上縁及び下縁がそれぞれのプレートの後端縁に対向する位置からの変形を効果的に防止する。この結果、ラジエータコアを通過する外気の減少は防止され、ラジエータの冷却能力を従来品に比較して向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のファンシュラウドがラジエータとクーリングファンとの間に設けられた状態を示す断面構成図。
【図2】そのファンシュラウドの斜視図。
【図3】図1のA−A線断面図。
【図4】従来のファンシュラウドの構成を示す図1に対応する断面構成図。
【符号の説明】
12 ラジエータ
13 ラジエータコア
13a アッパプレート
13b ロアプレート
14 アッパタンク
16 ロアタンク
17 クーリングファン
21 ファンシュラウド
21d 第1凹溝
21e 第2凹溝
Claims (1)
- 方形状のラジエータコア(13)のアッパプレート(13a)及びロアプレート(13b)にアッパタンク(14)及びロアタンク(16)がそれぞれ取付けられたラジエータ(12)と前記ラジエータ(12)の後方に設けられたクーリングファン(17)との間を覆うように取付けられ、前端に前記ラジエータコア(13)の外形形状に相応する方形状の開口部が形成されたファンシュラウドにおいて、
前記アッパプレート(13a)に対向する前記開口部の上縁に前記アッパプレート(13a)の後端縁に嵌入可能に前方に向けて開口する第1凹溝(21d)が形成され、
前記ロアプレート(13b)に対向する前記開口部の下縁に前記ロアプレート(13b)の後端縁に嵌入可能に前方に向けて開口する第2凹溝(21e)が形成された
ことを特徴とするファンシュラウド。
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