JP3555654B2 - データ送信装置、データ受信装置、及び同各装置に適用されるプログラムを記録したコンピュータ読取り可能な記録媒体 - Google Patents

データ送信装置、データ受信装置、及び同各装置に適用されるプログラムを記録したコンピュータ読取り可能な記録媒体 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、MIDIインターフェース回路を介してデータを送信するデータ送信装置、MIDIインターフェース回路を介してデータを受信するデータ受信装置、及び同各装置に適用されるプログラムを記録したコンピュータ読取り可能な記録媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、複数の鍵及びその他の操作子を有していて同鍵又は操作子の操作に応じた楽音制御データを出力するキーボード、楽音制御データを入力して同入力楽音制御データにしたがった楽音信号を形成出力する音源装置、楽音制御データを時間経過にしたがって順次自動的に読出して同読出した楽音制御データにしたがった楽音信号を形成出力したり同楽音制御データを出力するシーケンサ、入力した楽音制御データを記録して管理するデータファィラー、キーボード及び音源装置などを組み込んだいわゆる電子楽器などを含む広い意味での電子楽器用機器間において、各電子楽器用機器に内蔵のMIDIインターフェース回路を介して楽音制御データをMIDI規格にしたがってやり取りすることはよく知られている。また、近年においては、パーソナルコンピュータ装置にMIDIインターフェース回路を組み込んでおき、同コンピュータ装置で作成し、編集し又は記憶しておいた楽音制御データを前記電子楽器用機器に転送することも行われるようになってきている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記のようなMIDI規格にしたがった楽音制御データの転送においては、制御コマンドなどがデータと共に送られるものではなくて、送信及び受信側間において単に「送信した」及び「受信した」というAck/Nckのやり取りのみを行うものであり、しかもこのAck/Nckのやり取りは楽音制御データの所定の小さなサイズ(例えば、256バイト)毎に行うものであるので、オーバーヘッドが大きすぎて、楽音制御データの転送時間がかかりすぎ、特に波形サンプルデータの転送などのように大量の楽音制御データを転送するには不向きである。また、この波形サンプルデータを転送する場合でも、同波形サンプルデータは楽音制御データの一部として転送されるので、受信側機器に転送されてきた波形サンプルデータは同機器内の音源装置内などの機器固有の特定記憶エリアにしか記憶されない。このように、MIDIインターフェース回路を備えた従来の送信装置及び受信装置では、受信装置における楽音制御データの記憶エリアを自由に指定することができず、しかもMIDI規格にしたがわない形式のテキストデータ、グラフィックなどの各種データを転送することはできなかった。
【0004】
【発明の概略】
本発明は、上記問題に対処するためになされたもので、その目的は、MIDI規格にしたがわないデータの転送を可能とするとともに、送信側機器にて受信側機器における記憶媒体の管理をもできるようにしたデータ送信装置、データ受信装置及び同各装置に適用されるプログラムを記録したコンピュータ読取り可能な記録媒体を提供することにある。
【0005】
上記目的を達成するために、本発明の構成上の特徴は、MIDI規格にしたがったデータ及び制御コマンドを出力可能なMIDIインターフェース回路を備え、記憶手段に記憶されている MIDI 規格のデータを他の機器に送信するデータ送信装置において、記憶手段に記憶されている MIDI 規格のデータをMIDI規格にしたがったフォーマットに変換してMIDIインターフェース回路を介して出力するデータ出力手段と、他の機器内の記憶手段における前記出力されるデータの記憶エリアを指定する MIDI 形式の制御コマンドをMIDI規格にしたがったフォーマットに変換してMIDIインターフェース回路を介して出力する制御コマンド出力手段とを設けたことにある。
【0006】
前記構成によれば、データ出力手段及び制御コマンド出力手段の作用により、データの送信をオーバーヘッドを大きくすることなく効率的に行うことができるとともに、MIDI規格にしたがわないデータの転送も可能になる。また、受信側機器における記憶エリアの指定が送信側から可能となり、同機器における記憶媒体の管理を送信側からできるようにもなる。したがって、MIDI規格にしたがったデータ転送の汎用性が増し、このデータ送信装置を組み込んだ機器の使い勝手が良好になる。
【0007】
また、本発明の他の構成上の特徴は、MIDI規格にしたがったデータ及び制御コマンドを入力可能なMIDIインターフェース回路を備え、他の機器から送信されたデータを受信して記憶手段に書込むデータ受信装置において MIDIインターフェース回路を介して入力したMIDI規格にしたがったフォーマットのデータを MIDI 規格のフォーマットに変換するデータ入力手段と MIDI インターフェース回路を介して入力した MIDI 規格にしたがった制御コマンドを非 MIDI 形式の制御コマンドに変換した後、同制御コマンドにより指定される記憶手段の記憶エリアに前記入力されかつ変換されたデータを格納する記憶制御手段とを設けたことにある。
【0008】
前記構成によれば、記憶制御手段及びデータ入力手段の作用により、データの受信をオーバーヘッドを大きくすることなく効率的に行うことができるとともに、MIDI規格に適合するように変換された種々の規格のデータをオリジナルのデータに変換して記憶手段に格納することが可能になる。また、送信側から転送された制御コマンドに応じて、受信側における記憶エリアの指定が可能となり、受信側における記憶媒体の管理が送信側から可能になる。したがって、MIDI規格にしたがったデータ転送の汎用性が増し、このデータ受信装置を組み込んだ機器の使い勝手が良好になる。
【0009】
また、本発明の他の構成上の特徴は、前記データ送信装置及びデータ受信装置にそれぞれ適用されて、前記送信機能及び受信機能をそれぞれ実現するためのプログラムを記録したコンピュータ読取り可能な記録媒体にある。これによれば、MIDIインターフェース回路を組み込んだ機器において、記録媒体に記録されているプログラムをインストールすれば、前記したMIDI規格以外のデータの送受信に関する前記機能が達成されるので、MIDIインターフェース回路を組み込んだ機器の使い勝手を簡単に良好にすることができる。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態を図面を用いて説明すると、図1は電子楽器EMIに一対のMIDI用ケーブルCBL1,CBL2を介してパーソナルコンピュータPCを接続した同一実施形態に係る楽器システムの一例を示している。
【0011】
電子楽器EMIは、図2に示すようにように、鍵盤10及び操作パネル20を備えている。鍵盤10は、音高をそれぞれ指定するとともに楽音信号の発生をそれぞれ指示する複数の鍵からなる。操作パネル20には、それぞれ複数の操作子からなる音色選択操作子群21、効果選択操作子群22、自動演奏及び自動伴奏関係操作子群23、演奏操作子群24、モード選択操作子群25、テンキー操作子群26及びカーソル移動操作子群27が設けられているとともに、表示器28も設けられている。
【0012】
音色選択操作子群21は、発生される楽音信号の音色を選択するものである。効果選択操作子群22は、楽音信号に付与される効果などを選択するためのものである。自動演奏及び自動伴奏関係操作子群23は、自動演奏音及び自動伴奏音の発生を制御するためのものである。演奏操作子群24は、ホイールなどで構成されて発生楽音のピッチ、音色、音量などの楽音要素をその操作に応じて時変動させるためのものである。モード選択操作子群25は、電子楽器の作動モードを選択するためのものである。テンキー操作子群26は、数字、文字などを入力したり、同入力した数字、文字を確定するとともにカーソルにより指示されたもの(例えば、ファイル、制御指令など)を確定させたりするものである。カーソル移動操作子群27は、表示器28上のカーソルを移動させるものである。表示器28は、液晶ディスプレイなどで構成されて数字、文字などを表示するものである。
【0013】
また、電子楽器EMIの背面には、通信ケーブルの接続されるTO HOST端子31,MIDI入力端子32、MIDI出力端子33、MIDIスルー端子34、ドライブユニット35も設けられている。TO HOST端子31は、ケーブルの一端に接続されてTO HOSTプロトコルにしたがったデータの送受信を行うための端子である。なお、TO HOSTプロトコルは、双方向でデータの送受信を行う通信プロトコルである。MIDI入力端子32は、ケーブルの一端に接続されて、MIDIプロトコルにしたがったデータの受信のみを行うものである。MIDI出力端子33は、ケーブルの一端に接続されて、MIDIプロトコルにしたがったデータの送信のみを行うものである。MIDIスルー端子34は、ケーブルの一端に接続されて、MIDI入力端子32にて受信したデータをそのまま出力する端子である。なお、MIDI通信プロトコルは、一方向でデータの送信又は受信を行う通信プロトコルで、電子楽器を含む電子楽器用機器間で楽音制御データを互いに転送し合うために規定された通信規約である。ドライブユニット35は、外部記憶装置としてのコンパクトディスク、フレキシブルディスク、メモリカードなどが装着されるようになっており、同外部記憶装置に対してプログラム及びデータの読出し及び書込みを行うものである。
【0014】
図3は、電子楽器EMIに組み込まれた内部回路装置を示しており、同内部回路装置は、バス40に共通に接続された鍵スイッチ回路41、操作子スイッチ回路42、表示制御回路43、通信インターフェース回路44及び楽音信号形成回路45を備えている。
【0015】
鍵スイッチ回路41は、鍵盤10の各鍵にそれぞれ対応し、各鍵の押離鍵に応じてオン・オフする複数のスイッチからなる。操作子スイッチ回路42は、各操作子群21〜27の各操作子にそれぞれ対応し、各操作子の操作に応じてオン・オフするスイッチ、及び各操作子の操作に応じた信号を出力するボリュームなどからなる。表示制御回路43は、表示器28の表示状態を制御するものである。
【0016】
通信インターフェース回路44は、TO HOST端子31に接続されたTO HOSTインターフェース回路44aと、MIDI入力端子32及びMIDI出力端子33に接続されたMIDIインターフェース回路44bとを備えている。MIDI入力端子32及びMIDIスルー端子34は、MIDI入力端子32を介して入力した各種データがMIDIスルー端子34を介してそのまま出力されるように接続されている。TO HOSTインターフェース回路44aは、バッファメモリを備えていて、TO HOST規格にしたがったデータ及び制御コマンドを入出力する。MIDIインターフェース回路44bも、バッファメモリを備えていて、MIDI規格ににしたがったデータ及び制御コマンドを入出力する。
【0017】
楽音信号形成回路45は、バス40を介して供給されるキーコードKC、キーオン信号KON、キーオフ信号KOF、各楽音制御パラメータにしたがった楽音信号を形成して出力する。この楽音信号形成回路45には、アンプ46を介してスピーカ47が接続されている。
【0018】
また、バス40には、この電子楽器EMIの動作を制御するためのマイクロコンピュータ本体部を構成するCPU51,ROM52及びRAM53が接続されているとともに、内部記憶装置54及びドライブユニット35も接続されている。CPU51は、各種プログラムの実行により、外部機器とのデータの送受信を制御したり、楽音信号の発生を制御したりする。ROM52及びRAM53は、前記プログラム及び各種データを記憶するものである。内部記憶装置54は、ハードディスク、同ディスクのためのドライブ装置などで構成されており、大容量のメモリ装置として機能する。
【0019】
パーソナルコンピュータ装置PCは、図1に示すように,本体部61、キーボード62、マウス63などの入力装置、表示器64などからなる一般的なものである。本体部61の正面にはドライブユニット65が組み付けられているとともに、その裏面には、前記TO HOST端子31,MIDI入力端子32及びMIDI出力端子33と同様なTO HOST端子66、MIDI入力端子67及びMIDI出力端子68(図4参照)が設けられている。ドライブユニット65は、外部記憶装置としてのコンパクトディスク、フレキシブルディスクなどが装着されるようになっており、同外部記憶装置に対してプログラム及びデータの読出し及び書込みを行うものである。
【0020】
図4は、パーソナルコンピュータPCの本体部61に組み込まれた内部回路装置を示しており、同内部回路装置は、バス70に共通に接続された操作子スイッチ回路71、表示制御回路72及び通信インターフェース回路73を備えている。
【0021】
操作子スイッチ回路71は、キーボード62及びマウス63に対応したスイッチ群などからなり、同キーボード62及びマウス63の操作に応じた信号を出力する。表示制御回路72は、表示器64の表示状態を制御するものである。通信インターフェース回路73は、TO HOST端子66に接続されたTO HOSTインターフェース回路73a、MIDI入力端子67及びMIDI出力端子68に接続されたMIDIインターフェース回路73など、入出力端子に対応したインターフェース回路を備えている。TO HOSTインターフェース回路736a及びMIDIインターフェース回路73bは、前記TO HOSTインターフェース回路44a及びMIDIインターフェース回路44bと同様に構成されている。
【0022】
また、バス70には、このパーソナルコンピュータ装置PCの動作を制御するためのコンピュータ本体部を構成する一般的なCPU74,ROM75及びRAM76が接続されているとともに、内部記憶装置77及びドライブユニット65も接続されている。内部記憶装置77は、ハードディスク、同ディスクのためのドライブ装置などで構成されており、大容量のメモリ装置として機能する。
【0023】
次に,上記のように構成した実施形態の動作を説明する。まず、図5〜7に示すような「ファイル指定ルーチン」、「データ送信ルーチン」及び「データ受信ルーチン」を含むアプリケーションプログラムを記録するとともに、MIDI規格にしたがった各種制御コマンドをテーブル(以下、制御コマンドテーブルという)の形で記録したコンパクトディスク、フレキシブルディスクなどの記録媒体を準備して、同アプリケーションプログラム及び制御コマンドテーブルをパーソナルコンピュータ装置PC及び電子楽器EMIにそれぞれインストールする。この場合、アプリケーションプログラム及び制御コマンドテーブルは、パーソナルコンピュータ装置PC及び電子楽器EMI内のいずれかの記憶装置、例えばハードディスクなどの内部記憶装置54,77にそれぞれ記憶される。
【0024】
そして、ケーブルCBL1の一端をパーソナルコンピュータ装置PCのMIDI出力端子68に接続するとともに同ケーブルCBL1の他端を電子楽器EMIのMIDI入力端子32に接続し、ケーブルCBL2の一端を電子楽器EMIのMIDI出力端子33に接続するとともに同ケーブルCBL2の他端をパーソナルコンピュータ装置PCのMIDI入力端子67に接続する。
【0025】
まず、パーソナルコンピュータ装置PCの操作により、データを転送する場合について説明する。パーソナルコンピュータ装置PCにて前記アプリケーションプログラムをそれぞれ立ち上げると、同コンピュータ装置PC側にて「ファイル指定ルーチン」が実行される。なお、パーソナルコンピュータ装置PC及び電子楽器EMIのうちの一方において前記アプリケーションプログラムを立ち上げると、ケーブルCBL1又はケーブルCBL2を介したMIDI規格にしたがった制御コマンドの送信により、他方においても同アプリケーションプログラムが自動的に立ち上がるようにしておくとよい。
【0026】
「ファイル指定ルーチン」は、送信側(パーソナルコンピュータ装置PC及び電子楽器EMIのうちの一方)における転送されるファイル(転送されるデータの記憶エリア)及び受信側(パーソナルコンピュータ装置PC及び電子楽器EMIのうちの他方)におけるファイルの記憶先(記憶エリア)を指定するもので、その実行は図5のステップ100にて開始される。
【0027】
前記実行後、CPU74は、ステップ102にて表示器64上に操作画面を表示する。この操作画面は、図8のA部に示すように、パーソナルコンピュータ装置PCから電子楽器EMIにファイル(データ)を転送する機能を表す図形A1、逆に電子楽器EMIからパーソナルコンピュータ装置PCにファイル(データ)を転送する機能を表す図形A2、及びファイルの消去機能(DELETE)A3、ファイル名の付与機能(NAME)A4、及びフォーマッティング、メディア容量表示などのその他記録媒体に関する指示機能(UTILITY)A5を表す図形からなる。
【0028】
次に、CPU74は、ステップ104にて、MIDIインターフェース回路73b及びケーブルCBL1を介して電子楽器EMIに対し、データ転送を行える機器が接続されているかどうかの確認を兼ねて、同機器内に組み込まれているドライブ(記憶装置)を検出するためのMIDI規格にしたがったドライブ検出制御コマンドを出力する。電子楽器EMIにおいては、CPU51が、図示しないプログラム処理により、同電子楽器EMIに組込まれているドライブを表すMIDI規格にしたがったデータを、MIDIインターフェース回路44b及びケーブルCBL2を介してパーソナルコンピュータ装置PCに送信する。パーソナルコンピュータ装置PCにおいては、前記送信されたドライブを表すデータを取り込み、ステップ106にて同データによって表された全てのドライブ名を同コンピュータ装置PCに組込まれているドライブ名と共に表示器64に表示する。なお、所定時間内に前記ドライブを表すデータを電子楽器EMIから受信しない場合には、データ転送を行える機器が接続されていないか、接続されている機器に対するデータの転送が不能である旨を表示する。
【0029】
このドライブ名の表示状態にて、ユーザがカーソルを移動させて、パーソナルコンピュータ装置PC及び電子楽器EMIに組込まれているドライブをそれぞれ指定すると、CPU74は、ステップ108にて指定されたドライブのディレクトリ構造を表示器64に表示させる(図8のB1,C1部参照)。このドライブの指定操作において、電子楽器EMIに組み込まれているドライブが指定された場合には、CPU74は、MIDIインターフェース回路73b及びケーブルCBL1を介して電子楽器EMIに対し、指定されたドライブに関するディレクトリ構造及びファイルに関する情報を要求するためのMIDI規格にしたがったディレクトリ要求制御コマンドを出力する。電子楽器EMIは、前記要求に応答して、前記ディレクトリ構造及びファイルに関する情報をMIDI規格にしたがってMIDIインターフェース回路44b及びケーブルCBL2を介してパーソナルコンピュータ装置PCに送信する。そして、この情報により、表示器64にてディレクトリ構造が表示される。
【0030】
このディレクトリ構造の表示状態にて、ユーザがカーソルを移動させて所望のディレクトリを指定すると、CPU74は、ステップ110にて指定されたディレクトリに属するファイル名を表示器64に表示させる(図8のB2,C2部参照)。この場合、電子楽器EMI側のファイルに関しては、前記取込んだファイルに関する情報が利用される。
【0031】
このファイル名の表示状態にて、ユーザがカーソルを移動させて所望のファイルを指定すると、CPU74は、ステップ112にて、指定されたファイル名の表示状態を変更する。これにより、転送されるファイル(転送データ)及び転送先のファイル(記憶先エリア)が選択される。この場合、転送先のファイルの選択においては、必要に応じて前記ステップ102の処理によって表示した操作画面におけるファイル名付与機能(図形A4)が用いられる。
【0032】
次に、ユーザがデータの転送方向を指定するために、前記操作画面の図形A1又は図形A2をカーソルを移動させて指定すると、CPU51は、ステップ114にて、前記指定された図形を反転させて、同図形にしがった方向にデータを転送させる。なお、図8の操作画面においては、図形A1すなわちパーソナルコンピュータ装置PCから電子楽器EMIにデータを転送することを選択した場合が示されている。そして、ステップ116にてこの「ファイル指定ルーチン」の実行を終了する。
【0033】
また、上記のような専用の操作画面を設けてファイルを指定するようにしなくても、電子楽器EMI側の内部記憶装置54、ドライブユニット35にセットされたフレキシブルディスク、コンパクトディスクなどの外部記録装置などの記録媒体(又はそれらの各ドライブ名)をパーソナルコンピュータ装置PCに対する外部記録媒体として扱うようにしてもよい。すなわち、パーソナルコンピュータ装置PC側の内部記憶装置77、及びドライブユニット65にセットされたフレキシブルディスク、コンパクトディスクなどの外部記録装置などの記録媒体(又はそれらの各ドライブ名)をドライブA,Bなどとし、電子楽器EMI側の内部記憶装置54、ドライブユニット35にセットされたフレキシブルディスク、コンパクトディスクなどの外部記録装置などの記録媒体(又はそれらの各ドライブ名)をドライブC,Dなどと扱うようにする。そして、各ドライブA〜D間において、通常のコンピュータ装置で行われているファイルの複写又は移動などの処理と同様にしてファイルを指定するようにしてもよい。なお、この場合、パーソナルコンピュータ装置PCの記録媒体をドライブC,Dとして扱うととともに、電子楽器EMI側の記録媒体をドライブA,Bとして扱ってもよい。要は、パーソナルコンピュータ装置PC側から見る場合でも、電子楽器EMI側から見る場合でも、各記録媒体(各ドライブ)の区別がはっきりすればよい。
【0034】
ここで、上記ファイル指定動作及び後述するデータの転送動作にて使われるMIDI規格にしたがった制御コマンド及びデータについて説明しておく。MIDI規格においては、ステータスを表すもの以外のデータの最上位ビットMSB(ただし、データは8ビット形式)は必ず「0」(2進表示)でなければならないことに鑑み、MIDIエクスクルーシブ形式と呼ばれるフォーマットが利用される。以下、このような制御コマンド及びデータをMIDIエクスクルーシブ形式に変換したものをMIDIエクスクルーシブデータという。このMIDIエクスクルーシブデータは、先頭コード「F0」を含むアドレス部と、制御コマンド又はデータからなるデータ部と、終了コード「F7」とからなり、先頭コード「F0」及び終了コード「F7」以外の1バイトのデータ又は制御コマンドの最上位ビットは必ずに「0」(2進表示)である。
【0035】
図9(A)は、制御コマンドに関するMIDIエクスクルーシブデータのフォーマットを示しており、例えば、「F0 43 10 4C 7F」はディスクコマンドアドレス部を表し、「dr」はドライブ番号を表し、「cn z1・・・」は制御コマンド部を表している。制御コマンド部中、「cn」は、「0」によりフォーマットすること、「1」によりインフォメーションであること、「2」によりディスクステータス要求であることなど、コマンド番号を表している。z1以降は、コマンド番号cn毎に同コマンド番号cnにより表されたコマンドの更に詳細内容をコマンド番号cnに対応して示している。例えば、コマンド番号cnが「2」(ディスクステータス要求コマンド)であれば、z(z1・・・)=0によりディスク容量要求であること、z=1によりディスク占有量要求であること、z=2によりディスク残量要求であることなどを表している。制御コマンドを例示すると、ドライブ番号「00」の残量を要求する場合の制御コマンドは「F0 43 10 4C 7F 00 02 02」のようになり、前記残量を知らせる制御コマンドは「F0 43 10 4C 7F 00 01 z1 z2・・・」のようになる。なお、「z1 z2・・・」は残量値を示している。そして、このような制御コマンドの生成においては、送受信時に前述の制御コマンドテーブルが参照される。
【0036】
この制御コマンドテーブルについてさらに説明しておくと、同テーブルは、多くのコンピュータ装置にて利用されていてディスクの管理やファイルの入出力を制御する一般的なディスクオペレーティングシステムDOSの各種制御コマンドと、前記したMIDI規格にしたがった各種制御コマンドとを対応させて記憶させておくものである。そして、制御コマンドの送信時には一般的なディスクオペレーティングシステムDOSの制御コマンドから前記MIDIエクスクルーシブデータにしたがった制御コマンドへの変換が行われ、制御コマンドの受信時には、前記逆の変換が行われる。
【0037】
図9(B)は、データに関するMIDIエクスクルーシブデータを示しており、例えば、「F0 43 10 4C 7E」はデータ送受信アドレス部を表し、「d1 d2・・・」はデータ部を表している。しかし、この一連のデータ列「d1 d2・・・」にあっても各1バイト毎のデータd1,d2,・・・の最上位ビットMSBは2値信号の「0」でなければならない。したがって、MIDI規格にしたがわないデータを転送する場合には、同データを前記MIDIに従ったデータ列すなわち1バイト毎のデータの最上位ビットMSBが2値信号の「0」になるように変換しなければならない。また、MIDI規格にしたがったデータを同MIDI規格以外のデータに戻す場合には、前記変換の逆の処理をしなければならない。
【0038】
これらの変換処理について説明しておく。まず、MIDI規格以外のデータをMIDIエクスクルーシブデータに変換する場合について説明する。この場合、まず、8ビットずつデータに関しては7バイトずつグループ化し、8ビットよりも大きなデータに関しては8ビットずつに分割するとともに同分割した8ビットずつのデータを7バイトずつグループ化する。この7バイトのデータ列から各バイトの最上位ビットMSBだけを配列順に抜き出すとともに前記抜き出した7ビットのデータの配列順を逆にし、同逆にした7ビットのデータの最上位に2値データ「0」を付加して、8ビットのデータに変換し直す(以下、この8ビットのデータを最上位ビットデータという)。一方、前記最上位ビットMSBが抜き出された各7ビットのデータの最上位に2値データ「0」をそれぞれ付加することにより8ビットのデータに戻して、7バイトのデータ列を作成し、前記最上位ビットデータを前記8ビットに戻した7バイトのデータ列の先頭に付加することにより、8バイトのデータ列を作成する。
【0039】
この変換動作について一例を挙げて説明すると、グループ化した7バイトのデータ列が16進表示で「12 34 45 56 78 90 A1」であったとすると、これらの各バイトの最上位ビットMSBは「0,0,0,0,0,1,1」であるので、最上位ビットデータは「0 1 1 0 0 0 0 0」となる。一方、最上位ビットMSBが抜き出されるとともに最上位ビットMSBに2値データ「0」の付加された7バイトのデータ列は、「12 34 45 56 78 10 21」となる。したがって、最終的に変換された8バイトのデータ列は、「60 12 34 45 56 78 10 21」となる。これにより、各1バイトずつのデータ中の最上位ビットMSBが全て2値データ「0」の1バイトのデータに変換される。
【0040】
次に、前記MIDIエクスクルーシブデータをMIDI規格以外のデータに変換する場合について説明する。この場合、前記のようにMIDIエクスクルーシブデータに変換された8バイトのデータ列を取出し、先頭の1バイトのデータの最下位ビットLSB側から7ビット分の2値データを抜き出す。そして、前記先頭の1バイトに続く7バイトのデータ列中の各1バイトずつのデータの各最上位ビットMSBを、前記抜き出した7ビット分の各2値データであって下位から上位に向かう各1ビットずつの2値データで順次置換する。これにより、前記とは逆に、7バイトのオリジナルデータが再生されることになる。この変換動作について一例を挙げて説明すると、MIDIエクスクルーシブデータに変換されたデータ列が16進表示で「60 12 34 45 56 78 10 21」であったとすると、前記抜き出された先頭の1バイトのデータは「0 1 1 0 0 0 0 0」であるので、最終的に変換されたデータは、「12 34 45 56 78 90 A1」となり、MIDIエクスクルーシブ用に変換されたデータが元のデータに戻される。
【0041】
つぎに、パーソナルコンピュータ装置PCから電子楽器EMIに実際にデータを送信する場合について説明する。上述のようなファイル指定操作によりパーソナルコンピュータ装置PCの指定ファイル内のデータを電子楽器EMIの所定記憶エリア(指定記憶装置の指定ディレクトリなど)に転送することが指示されると、パーソナルコンピュータ装置PCにおいては、CPU74が図6のステップ200にて「データ送信ルーチン」の実行を開始する。一方、電子楽器EMIにおいては、CPU51がステップ300にて「データ受信ルーチン」の実行を開始する。
【0042】
前記両ルーチンの実行開始後、パーソナルコンピュータ装置PC及び電子楽器EMIは、図6のステップ202の送信事前処理と図7のステップ302の受信事前処理の各処理をそれぞれ実行し、その後、パーソナルコンピュータ装置PCはステップ204以降の処理を実行してデータを送信し、電子楽器EMIはステップ304以降の処理を実行して前記送信データを受信する。
【0043】
前記ステップ202,302の各処理においては、例えば次のような処理が実行される。すなわち、指定記憶装置の容量のうちの残量を要求するMIDIエクスクルーシブデータからなる制御コマンドが、パーソナルコンピュータ装置PC側から電子楽器EMIへケーブルCBL1を介して出力される。この要求に対して、電子楽器EMI側においては、前記指定記憶装置の全容量及びデータにより既に占有されている量が検出されて、これらに基づいて残量が計算され、同残量を表すMIDIエクスクルーシブデータ(制御コマンドの一種)が電子楽器EMIからパーソナルコンピュータ装置PCにケーブルCBL2を介して返信される。
【0044】
そして、パーソナルコンピュータ装置PCにおいては、前記返信された残量と転送しようとするデータ量とを比較し、データの指定記憶装置(指定記憶エリア)への書込みが可能であれば、電子楽器EMIに対して指定記憶エリアの指示を行う。この指定記憶エリアの指示においては、ディレクトリ名などを指定するMIDIエクスクルーシブデータからなる制御コマンドがパーソナルコンピュータ装置PCから電子楽器EMIにケーブルCBL1を介して送信される。したがって、電子楽器EMIにおいては、前記制御コマンドに応じて次に転送されてくるデータを指定記憶エリアに書込む準備をする。一方、前記パーソナルコンピュータ装置PCの比較において、データの指定記憶装置(指定記憶エリア)への書込みが不能であれば、パーソナルコンピュータ装置PCにおいて、前記指定した記憶装置へのデータの書込みが不能であることをユーザに知らせて、別の記憶装置へのデータの書込みを指示する。
【0045】
このような、パーソナルコンピュータ装置PC及び電子楽器EMIによる情報のやり取りを行うステップ202,302の処理後、パーソナルコンピュータ装置PCにおいては、CPU74が、ステップ204にて、指定されたファイルから送信されるべきデータを所定量(例えば、256バイト)ずつ読み出すとともに必要に応じて形成した制御コマンドを上述の方法でMIDIエクスクルーシブデータに変換する。そして、ステップ206にて、電子楽器EMIがビジー状態にあるか否かを判定する。この判定においては、電子楽器EMIからパーソナルコンピュータ装置PCにビジー状態を示すMIDIエクスクルーシブデータからなる制御コマンドが送信さているか否かを判定する。ビジー状態を表す制御コマンドが転送されていなければ、前記ステップ206にて「NO」と判定して、ステップ208にてデータを連続して所定量(例えば、4キロバイト)以上送信したか否かを判定する。これは、大量のデータを連続して電子楽器EMIに送信しても、同電子楽器EMIがデータを処理できないからである。
【0046】
前記所定量以上のデータを連続して送信していなければ、ステップ208にて「NO」と判定して、ステップ210にて前記変換したMIDIエクスクルーシブデータをケーブルCBL1を介して電子楽器EMIに送信し、ステップ214にて全データの送信が終了したか否かを判定する。全データの送信が終了していなければ、ステップ214にて「NO」と判定して、ふたたびステップ204〜212の処理を繰り返し実行し続けて、指定されたファイルのデータを順次MIDIエクスクルーシブデータに変換して送信し続ける。
【0047】
このMIDIエクスクルーシブデータの送信中に、前記所定量以上のデータを連続して送信し続けた場合には,ステップ208にて「YES」と判定して、プログラムをステップ214に進める。ステップ214においては、所定時間の経過を待ってプログラムをステップ206に戻す。また、電子楽器EMIがビジー状態にあれば、ステップ206にて「YES」と判定して、ステップ206の判定処理を実行し続ける。
【0048】
一方、指定されたファイル内の全てのデータを送信し終えると、ステップ212にて「YES」と判定して、プログラムをステップ216に進める。ステップ216においては、ファイル名、送信終了コマンド、データ数、チェックサムなどをMIDIエクスクルーシブデータに変換して、ケーブルCBL1を介して電子楽器EMIに送信して、ステップ218にてこの「データ送信ルーチン」の実行を終了する。
【0049】
一方、電子楽器EMI側においては、前述のステップ302の受信事前処理後、ステップ304以降の処理を実行する。前記のように、MIDIエクスクルーシブデータがパーソナルコンピュータ装置PCからケーブルCBL1を介して送信されると、ステップ304の処理により、前記送信されたMIDIエクスクルーシブデータを受信してMIDIインターフェース回路44bのバッファに順次蓄えていく。そして、ステップ306〜310の判定処理を実行する。ステップ306においては、MIDIインターフェース回路44bのバッファが満杯であるか否かを判定する。ステップ308においては、MIDIエクスクルーシブデータが所定時間以上続けて受信されないでいるか否かを判定する。ステップ310においては、送信終了コマンドが受信されたか否かを判定する。
【0050】
バッファが満杯でなく,MIDIエクスクルーシブデータが所定時間以内に受信され、送信終了コマンドが受信されていない限り、ステップ306〜310における各「NO」との判定のもとに、プログラムはステップ312〜320に進められる。ステップ312においては、MIDIインターフェース回路44bのバッファ内のMIDIエクスクルーシブデータを順次読み出して、同MIDIエクスクルーシブデータが制御コマンドに関するものであるか、データに関するものであるかを判定する。読み出したMIDIエクスクルーシブデータが制御コマンドに関するものであれば、ステップ312にて「YES」と判定して、ステップ314にて、制御コマンドテーブルを参照することにより、MIDIエクスクルーシブデータ形式の制御コマンドを所定のオペレーティングシステムの制御コマンド(例えば、DOS形式の制御コマンド)に変換し、同変換された制御コマンドに応じた処理を実行してプログラムをステップ304に戻す。
【0051】
また、前記読み出したMIDIエクスクルーシブデータがデータに関するものであれば、ステップ312にて「NO」と判定してプログラムをステップ316〜320に進める。ステップ316の判定処理は、ユーザによる電子楽器EMI側又はパーソナルコンピュータ装置PC側における指示に基づいて、MIDIエクスクルーシブデータのデータ部をオリジナルの形式のデータに変換して記憶するか、MIDIエクスクルーシブデータのデータ部をMIDI規格のまま記憶するかを選択するものである。変換が選択されている場合には,ステップ316にて「YES」と判定し,ステップ318にてMIDIエクスクルーシブデータのデータ部をオリジナルの形式のデータに上述の方法で変換して、指定された記憶装置(記憶エリア)に書込む。一方,そのまま記憶することが選択されている場合には、ステップ316にて「NO」と判定し,ステップ328にてMIDIエクスクルーシブデータのデータ部をそのまま指定された記憶装置(記憶エリア)に書込む。
【0052】
このようなステップ312〜320からなる循環処理中、MIDIインターフェース回路44bのバッファが満杯になると、ステップ306における「YES」との判定のもとに、ステップ322〜328からなる処理が実行される。ステップ322においては、電子楽器EMIがデータ受信のビジー状態にあることを表すMIDIエクスクルーシブデータがケーブルCBL2を介してパーソナルコンピュータ装置PCに送信される。これにより、パーソナルコンピュータ装置PCにおいては、前述のようにデータの送信を一時中断する。前記ステップ322の処理後、ステップ324,326の処理により,MIDIインターフェース回路44bのバッファに空き領域ができて電子楽器EMIがデータの受信可能状態になるまで、受信データの処理を続ける。この受信データ処理においては、前述したステップ312〜320と同様に、受信したMIDIエクスクルーシブデータが制御コマンドとデータとの場合に分けられ、制御コマンドの実行及びデータの記憶が行われる。そして、電子楽器EMIがデータの受信可能状態になると、ステップ326における「YES」との判定のもとに、ステップ328にて前記ビジー状態が解除されたことを表すMIDIエクスクルーシブデータがケーブルCBL2を介してパーソナルコンピュータ装置PCに送信される。これにより、パーソナルコンピュータ装置PCにおいては、前述のようにデータの送信を再開する。
【0053】
また、MIDIエクスクルーシブデータが所定時間以上続けて受信されない場合、ステップ308における「YES」との判定のもとに、ステップ330のタイマアウト処理が実行される。このタイマアウト処理においては、電子楽器EMIの表示器28にてデータの送信に異常が発生したことを表示してユーザに知らせるとともに、前記異常を表すMIDIエクスクルーシブデータをケーブルCBL2を介してパーソナルコンピュータ装置PC側に送信し、データの送受信の終了に必要な処理を実行して、ステップ334にてこの「データ受信プログラム」の実行を終了する。
【0054】
また、送信終了コマンドが受信された場合には,ステップ310にて「YES」と判定して、プログラムをステップ332に進める。ステップ332においては、パーソナルコンピュータ装置PCから送信終了コマンドと共に送信されたファイル名、データ数、チェックサムなどを表すMIDIエクスクルーシブデータを制御コマンドテーブルを参照することにより所定形式の制御コマンド及びデータに変換して、同変換した制御コマンド及びデータに応じて、指定された記憶装置(記憶エリア)に書込まれたデータ群に対してファイル名を付与したり、データの転送が正しく行われたか否かなどのチェックを行う。そして、ステップ334にてこの「データ受信ルーチン」の実行を終了する。
【0055】
上記実施形態においては、パーソナルコンピュータ装置PC側にて、内部記憶装置77又は外部記憶装置内のデータファイルを指定するとともに、データファイルの転送先の記憶エリアとして電子楽器EMIの内部記憶装置54又は外部記憶装置を指定し、転送されるデータをMIDIエクスクルーシブデータに変換するとともに転送先の記憶エリアを指定するための制御コマンドもMIDIエクスクルーシブデータに変換して、MIDIインターフェース回路73b及びケーブルCBL1を介して電子楽器EMIに送信するようにした。そして、電子楽器EMIにおいては、前記MIDIエクスクルーシブデータに変換されたデータ及び制御コマンドをもとに戻して、転送されたデータの記憶を制御するようにした。したがって、上記実施形態によれば、データの送信をオーバーヘッドを大きくすることなく効率的に行うことができるとともに、MIDI規格にしたがわないデータの転送も可能になる。また、電子楽器EMIのファイル管理をパーソナルコンピュータ装置PC側で行うことができ,データ転送の汎用性が増し、パーソナルコンピュータ装置PC及び電子楽器EMIの使い勝手が良好になる。
【0056】
なお、上記実施形態においては、データを送る側であるパーソナルコンピュータ装置PC側にて、同コンピュータ装置PC側の記憶装置内のデータを転送データとして指定するとともに、転送先側として電子楽器EMI側の記憶装置(記憶エリア)を指定するようにしたが、電子楽器EMI側で転送先である記憶装置(記憶エリア)を指定できるようにしてもよいし、電子楽器EMI側でパーソナルコンピュータ装置PC側のデータを転送データとして指定できるようにしてもよい。この場合,電子楽器EMIにおいて、テンキー操作子群26、カーソル移動操作子群27及び表示器28を用いて、パーソナルコンピュータ装置PC側の記憶装置(記憶エリア)を指定することにより転送データを指定したり、電子楽器EMI側の記憶装置(記憶エリア)を指定することによりデータの転送先を指定するようにすればよい。
【0057】
また、電子楽器EMIからパーソナルコンピュータ装置PCにデータを転送するようにしてもよい。この場合も、転送データ(転送ファイル)を、電子楽器EMI側で指定するようにしてもよいし、パーソナルコンピュータ装置PC側で指定するようにしてもよい。また、データの転送先の記憶装置(記憶エリア)も、電子楽器EMI側で指定するようにしてもよいし,パーソナルコンピュータ装置PC側で指定するようにしてもよい。
【0058】
また、上記実施形態においては、パーソナルコンピュータ装置PCと電子楽器EMIとのメッセージ(制御コマンド)のやり取りについては詳細に説明しなかったが、このやり取りの過程において一方の装置から他方の装置へ異常を表す制御コマンドが送信された場合に、その送信時に異常を表示するとともに対応操作を行ってデータの転送を即座に終了するようにしてもよいし、異常を表す制御コマンドを再度送信して異常復帰を待つようにしてもよい。また、上記実施形態では、制御コマンドに関しては記憶装置に記憶させずに、データのみを記憶装置に記憶させるようにしたが、制御コマンド及びデータの両方を含むMIDIエクスクルーシブデータの全てを順に記憶装置に記憶していくようにしてもよい。
【0059】
また、上記実施形態においては、パーソナルコンピュータ装置PCから電子楽器EMIにデータ又は制御コマンドを転送する場合も、電子楽器EMIからパーソナルコンピュータ装置PCにデータ又は制御コマンドを転送する場合も、MIDI規格にしたがった転送方式を採用するようにしたが、一方向の転送方式のみをMIDI規格にしたがったものとし、他方向の転送方式としてMIDI規格以外の他の方式の転送方式を採用するようにしてもよい。
【0060】
また、上記実施形態においては、パーソナルコンピュータ装置PCと電子楽器EMIとの間のデータ又は制御コマンドのやり取りをするようにしたが、同コンピュータ装置PC及び電子楽器EMIのいずれか一方又は両方を、複数の鍵及びその他の操作子を有していて同鍵又は操作子の操作に応じた楽音制御データを出力するキーボード、楽音制御データを入力して同入力楽音制御データにしたがった楽音信号を形成出力する音源装置、楽音制御データを時間経過にしたがって順次自動的に読出して同読出した楽音制御データにしたがった楽音信号を形成出力したり同楽音制御データを出力するシーケンサ、入力した楽音制御データを記録して管理するデータファィラーなどの電子楽器用機器で置換してもよい。すなわち、MIDIインターフェース回路を備えるとともに、アプリケーションプログラム及び制御コマンドテーブルをインストールできる機器であれば、パーソナルコンピュータ装置PC又は電子楽器EMIを種々の機器で置換できる。
【0061】
また、上記実施形態のような受信機能を有してはいないが、MIDI規格にしたがったデータ受信を可能とする装置(MIDIエクスクルーシブデータの受信が可能な装置)に対してデータを送信して保存させるようにしてもよい。この場合、送信側の装置にシーケンサの再生機能と同等な再生操作子を設け、所定インターバル(自動演奏のインターバルデータに対応)毎にデータを読み出しながらMIDIエクスクルーシブデータに変換するとともに、必要に応じて制御コマンドをMIDIエクスクルーシブデータに変換して、従来の楽音制御データの転送と同様にして転送先の記憶装置にMIDIエクスクルーシブデータのまま記憶させていくようにすればよい。また、この場合、テンポ変更用の操作子を設けて、前記インターバルすなわち転送速度を変更できるようにしてもよい。
【0062】
さらに、逆に、上記実施形態のような送信機能を有してはいないが、MIDI規格にしたがったデータ送信を可能とする装置(MIDIエクスクルーシブデータの送信が可能な装置)からデータを転送する場合には、受信側の装置にシーケンサなどの録音を行うための録音操作子を設け、同操作子の操作に応じて楽音制御データを受信する場合と同様にして種々のデータを受信するようにすればよい。この場合、送信側の装置はデータの送信を短時間で行ない得ないとともに、ビジー状態の認識ができないので、データを所定時間以上受信しなくても通信状態の異常とはみなさないでデータの受信及び記憶を続けるとともに、制御コマンドも送信しないようにする。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係るパーソナルコンピュータ装置と電子楽器との接続状態を示す概略図である。
【図2】前記電子楽器の外観概略図である。
【図3】前記電子楽器の内部回路装置のブロック図である。
【図4】前記パーソナルコンピュータ装置の内部回路装置のブロック図である。
【図5】本発明の一実施形態に係るデータ転送制御プログラムの一部を構成するファイル指定ルーチンのフローチャートである。
【図6】前記転送制御プログラムの一部を構成するデータ送信ルーチンのフローチャートである。
【図7】前記転送制御プログラムの一部を構成するデータ受信ルーチンのフローチャートである。
【図8】前記ファイル指定ルーチンにて表示される表示器の表示状態の一例を示す図である。
【図9】(A)は制御コマンドに関するMIDIエクスクルーシブデータのフォーマット図であり、(B)はデータに関するMIDIエクスクルーシブデータのフォーマット図である。
【符号の説明】
EMI…電子楽器、PC…パーソナルコンピュータ装置、CBL1,CBL2…ケーブル、10…鍵盤、26…テンキー操作子群、27…カーソル移動操作子群、28,64…表示器、32,67…MIDI入力端子、33,68…MIDI出力端子、35,65…ドライブユニット、44,73…通信インターフェース回路、44b,73b…MIDIインターフェース回路、45…楽音信号発生回路、54,77…内部記憶装置、62…キーボード、63…マウス。

Claims (4)

  1. MIDI規格にしたがったデータ及び制御コマンドを出力可能なMIDIインターフェース回路を備え、記憶手段に記憶されている MIDI 規格のデータを他の機器に送信するデータ送信装置において
    前記記憶手段に記憶されている MIDI 規格のデータをMIDI規格にしたがったフォーマットに変換して前記MIDIインターフェース回路を介して出力するデータ出力手段と、
    前記他の機器内の記憶手段における前記出力されるデータの記憶エリアを指定する MIDI 形式の制御コマンドをMIDI規格にしたがったフォーマットに変換して前記MIDIインターフェース回路を介して出力する制御コマンド出力手段と
    を設けたことを特徴とするデータ送信装置。
  2. MIDI規格にしたがったデータ及び制御コマンドを入力可能なMIDIインターフェース回路を備え、他の機器から送信されたデータを受信して記憶手段に書込むデータ受信装置において
    記MIDIインターフェース回路を介して入力したMIDI規格にしたがったフォーマットのデータを MIDI 規格のフォーマットに変換するデータ入力手段と、
    前記 MIDI インターフェース回路を介して入力した MIDI 規格にしたがった制御コマンドを非 MIDI 形式の制御コマンドに変換した後、同制御コマンドにより指定される前記記憶手段の記憶エリアに前記入力されかつ変換されたデータを格納する記憶制御手段と
    を設けたことを特徴とするデータ受信装置。
  3. MIDI規格にしたがったデータ及び制御コマンドを出力可能なMIDIインターフェース回路を備え、記憶手段に記憶されている MIDI 規格のデータを他の機器に送信するデータ送信装置に適用され、
    前記記憶手段に記憶されている MIDI 規格のデータをMIDI規格にしたがったフォーマットに変換して前記MIDIインターフェース回路を介して出力する処理と、
    前記他の機器内の記憶手段における前記出力されるデータの記憶エリアを指定する MIDI 形式の制御コマンドをMIDI規格にしたがったフォーマットに変換して前記MIDIインターフェース回路を介して出力する処理と
    を含むことを特徴とするプログラムを記録したコンピュータ読取り可能な記録媒体。
  4. MIDI規格にしたがったデータ及び制御コマンドを入力可能なMIDIインターフェース回路を備え、他の機器から送信されたデータを受信して記憶手段に書込むデータ受信装置に適用され
    記MIDIインターフェース回路を介して入力したMIDI規格にしたがったフォーマットのデータを MIDI 規格のフォーマットに変換する処理と、
    前記 MIDI インターフェース回路を介して入力した MIDI 規格にしたがった制御コマンドを非 MIDI 形式の制御コマンドに変換した後、同制御コマンドにより指定される前記記憶手段の記憶エリアに前記入力されかつ変換されたデータを格納する処理と
    を含むことを特徴とするプログラムを記録したコンピュータ読取り可能な記録媒体。
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