JP3555647B2 - 3−モルホリノプロピルシラン類の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、シランカップリング剤又は黄変の少ない繊維処理剤の製造原料として有用な3−モルホリノプロピルシラン類を製造する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
従来、繊維処理剤としては、アミノアルキル基変性オルガノポリシロキサンが繊維に平滑性、柔軟性を与えるために使用されている。しかし、一般に使用される3−(β−アミノエチル)アミノプロピル基をアミノアルキル基として持つアミノアルキル基変性オルガノポリシロキサンは、繊維処理工程中の加熱処理時や保存中にアミノアルキル基が酸化されやすく、黄変しやすいという欠点を有していた。そこで、その欠点を補うものとして3−モルホリノプロピル基を有するアミノアルキル基変性オルガノポリシロキサンが開発されている(特開昭58−76578号公報)。
【0003】
しかしながら、アミノアルキル基を持つシラン化合物は、通常クロロアルキル基を有するシラン化合物と1級又は2級アミンとの反応により合成されるが、この合成法では、アミンの塩酸塩が副生するため、この塩酸塩を濾過などにより除去する工程が必要であり、工程が煩雑になる。更に、除去したアミン塩酸塩を廃棄物として処理するか、あるいはアミンの回収を行う必要があり、廃棄物として処理する場合には、環境に負荷がかかり、また、アミンとして回収を行うには、工程が煩雑になり、かつコストアップの要因となるという欠点を有していた。
【0004】
本発明は上記事情に鑑みなされたもので、シランカップリング剤、繊維処理剤等の製造原料として好適な3−モルホリノプロピルシラン類を簡単な工程で高収率に製造することができる3−モルホリノプロピルシラン類の製造方法を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段及び発明の実施の形態】
本発明者は、上記目的を達成するため鋭意検討を重ねた結果、N−アリルモルホリンと、下記一般式(1)
R1 n(R2O)3−nSiH (1)
(式中、R1は炭素数1〜10の一価炭化水素基、R2は炭素数1〜6の一価炭化水素基を表し、nは0〜2の整数である。)
で表されるヒドロシラン類を白金触媒存在下に反応させることにより、環境に悪影響を及ぼす廃棄処理物をほとんど出すことなく、簡単な工程で、しかも高収率に3−モルホリノプロピルシラン類を製造することができ、得られた3−モルホリノプロピルシラン類は、酸化されやすいN−H結合をもつアミノアルキル基を有していないので、繊維処理剤として使用した場合に加熱処理時や保存時に黄変することがなく、繊維処理剤、シランカップリング剤等として好適に利用できることを知見し、本発明をなすに至った。
【0006】
従って、本発明は、N−アリルモルホリンと上記一般式(1)で表されるヒドロシラン類を白金触媒存在下、反応温度を15〜35℃に制御して反応させることを特徴とする3−モルホリノプロピルシラン類の製造方法を提供する。
【0007】
以下、本発明につき更に詳細に説明すると、本発明の3−モルホリノプロピルシラン類の製造方法は、N−アリルモルホリンと特定のヒドロシラン類を白金触媒存在下に反応させるものである。
【0008】
ここで、ヒドロシラン類としては、下記一般式(1)で表されるものを用いる。
R1 n(R2O)3−nSiH (1)
【0009】
上記式(1)中、R1は炭素数1〜10、好ましくは1〜6の一価炭化水素基であり、例えばメチル基、エチル基、プロピル基等のアルキル基、フェニル基等のアリール基などが挙げられる。また、R2は炭素数1〜6、好ましくは1〜3の一価炭化水素基であり、例えばメチル基、エチル基、プロピル基等のアルキル基、フェニル基等のアリール基などが挙げられる。nは0〜2の整数である。
【0010】
式(1)で表されるヒドロシランとしては、具体的にトリメトキシシラン、トリエトキシシラン、トリn−プロピルシラン等のトリアルコキシシラン類、メチルジメトキシシラン、エチルジメトキシシラン、メチルジエトキシシラン、エチルジメトキシシラン、エチルジエトキシシラン等のアルキルジアルコキシシラン類、フェニルジメトキシシラン、フェニルジエトキシシラン等のアリールジアルコキシシラン類、ジメチルメトキシシラン、ジメチルエトキシシラン等のジアルキルアルコキシシラン類が挙げられ、特にメチルジメトキシシラン、トリメトキシシラン、メチルジエトキシシラン、トリエトキシシランが好ましい。
【0011】
本発明において、N−アリルモルホリンと上記式(1)のヒドロシラン類との混合割合は、N−アリルモルホリン1モルに対して式(1)のヒドロシラン類を0.5〜3モル、特に1〜1.1モル用いることが好ましい。式(1)のヒドロシラン類の使用量が0.5モルに満たないと反応速度が低下すると共に収率も低下してしまう場合があり、3モルを超えて用いても収率は向上せず、経済的に不利になる場合がある。
【0012】
白金触媒としては、例えば白金化合物、白金錯体化合物、白金担持触媒が挙げられる。具体的には、白金化合物は塩化白金酸、塩化白金酸ナトリウム、塩化白金酸カリウム等であり、白金錯体化合物は白金−1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン錯体、ジクロロ(1,5−シクロオクタジエン)白金等であり、白金担持触媒は活性炭やシリカゲル、アルミナ等に担持したものである。特に、白金−1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン錯体が好ましい。
【0013】
白金触媒の使用量は、N−アリルモルホリン1モルに対して5×10−6〜1×10−2モル、特に1×10−5〜5×10−4モルが好ましく、5×10−6モルより少ないと反応が遅くなる場合があり、また1×10−2モルより多くても反応が加速されることはなく、触媒のコストが増加するだけになる場合がある。
【0014】
本発明において、反応条件は適宜調整できるが、反応温度は特に重要であり、15〜35℃で行う。100℃より反応温度が高い場合には、触媒が失活してしまい反応が進行しなかったり、反応が途中で止まってしまう場合がある。従って、反応温度を制御することが重要である。反応は、発熱的に進行するため、反応器を水浴により冷却したり、ジャケット付きの反応器を用いてジャケットに通水し冷却を行うことが好ましい。また、反応温度が0℃より低いと、反応が遅くなり反応時間が長くなり、効率的でない場合がある。なお、反応時間は0.5〜12時間程度とすることができる。
【0015】
反応終了後は、反応液を減圧蒸留するなどして目的の3−モルホリノプロピルシラン類を得ることができる。
【0016】
【発明の効果】
本発明の製造方法によれば、廃棄処理物が少なく簡単な工程で、しかも高収率で3−モルホリノプロピルシラン類を合成することができ、得られた3−モルホリノプロピルシラン類は、シランカップリング剤や黄変の少ない繊維処理剤の製造原料等として利用することができる。
【0017】
【実施例】
以下、実施例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。
【0018】
〔実施例1〕
200mlの4つ口ガラスフラスコに還流冷却器、温度計、滴下ロート、撹拌器を取り付け、内部を窒素置換した。このフラスコに、N−アリルモルホリン76.3g(0.6mol)、白金−1,3−ジビニルテトラメチルジシロキサン錯体の3%キシレン溶液0.39g(6.0×10−5mol)を仕込んだ。フラスコを水浴により内温を20.0〜26.0℃に保ちながら、メチルジメトキシシラン66.9g(0.63mol)を、2.5時間で滴下し、更に内温を20.0〜26.0℃に保ち3.0時間熟成を行った。得られた反応液を減圧蒸留することにより、3−モルホリノプロピルメチルジメトキシシラン131.5gが得られた。収率は93.9%であった。また、核磁気共鳴スペクトル(NMR)の分析結果は下記の通りであった。
【0019】
1H NMR(270MHz,CDCl3):
δ0.08(s,3H),0.54〜0.61(m,2H),1.46〜1.58(m,2H),2.26〜2.32(m,2H),2.38〜2.42(m,4H),3.47(s,3H),3.65〜3.69(m,4H)
【0020】
〔実施例2〕
100mlの4つ口ガラスフラスコに還流冷却器、温度計、滴下ロート、撹拌器を取り付け、内部を窒素置換した。このフラスコに、N−アリルモルホリン25.4g(0.2mol)、白金−1,3−ジビニルテトラメチルジシロキサン錯体の3%キシレン溶液0.13g(2.0×10−5mol)を仕込んだ。フラスコを水浴により内温を20.0〜28.0℃に保ちながら、トリメトキシシラン25.7g(0.21mol)を、1.75時間で滴下し、更に内温を20.0〜28.0℃に保ち2.0時間熟成を行った。得られた反応液を減圧蒸留することにより、3−モルホリノプロピルトリメトキシシラン46.5gが得られた。収率は94.0%であり、NMR分析結果は下記の通りであった。
【0021】
1H NMR(270MHz,CDCl3):
δ0.58〜0.64(m,2H),1.51〜1.63(m,2H),2.27〜2.33(m,2H),2.38〜2.42(m,4H),3.53(s,9H),3.65〜3.69(m,4H)
【0022】
〔実施例3〕
100mlの4つ口ガラスフラスコに還流冷却器、温度計、滴下ロート、撹拌器を取り付け、内部を窒素置換した。このフラスコに、N−アリルモルホリン25.4g(0.2mol)、白金−1,3−ジビニルテトラメチルジシロキサン錯体の3%キシレン溶液0.13g(2.0×10−5mol)を仕込んだ。フラスコを水浴により内温を20.0〜25.0℃に保ちながら、メチルジエトキシシラン29.5g(0.22mol)を、1.75時間で滴下し、更に内温を22.0〜25.0℃に保ち2.0時間熟成を行った。得られた反応液を減圧蒸留することにより、3−モルホリノプロピルメチルジエトキシシラン46.8gが得られた。収率は90.9%であり、NMR分析結果は下記の通りであった。
【0023】
1H NMR(270MHz,CDCl3):
δ0.08(s,3H),0.53〜0.60(m,2H),1.18(t,6H),1.45〜1.60(m,2H),2.27〜2.32(m,2H),2.38〜2.42(m,4H),3.66〜3.76(m,8H)
【0024】
〔実施例4〕
100mlの4つ口ガラスフラスコに還流冷却器、温度計、滴下ロート、撹拌器を取り付け、内部を窒素置換した。このフラスコに、N−アリルモルホリン25.4g(0.2mol)、白金−1,3−ジビニルテトラメチルジシロキサン錯体の3%キシレン溶液0.13g(2.0×10−5mol)を仕込んだ。フラスコを水浴により内温を20.0〜28.0℃に保ちながら、トリエトキシシラン36.1g(0.22mol)を、1.5時間で滴下し、更に内温を20.0〜28.0℃に保ち3.0時間熟成を行った。得られた反応液を減圧蒸留することにより、3−モルホリノプロピルトリエトキシシラン53.6gが得られた。収率は91.9%であり、NMR分析結果は下記の通りであった。
【0025】
1H NMR(270MHz,CDCl3):
δ0.56〜0.62(m,2H),1.91(t,9H),1.51〜1.64(m,2H),2.27〜2.33(m,2H),2.38〜2.42(m,4H),3.66〜3.70(m,4H),3.78(q,6H)
Claims (2)
- N−アリルモルホリンと、下記一般式(1)
R1 n(R2O)3-nSiH (1)
(式中、R1は炭素数1〜10の一価炭化水素基、R2は炭素数1〜6の一価炭化水素基を表し、nは0〜2の整数である。)
で表されるヒドロシラン類を白金触媒存在下、反応温度を15〜35℃に制御して反応させることを特徴とする3−モルホリノプロピルシラン類の製造方法。 - 式(1)で表されるヒドロシラン類が、メチルジメトキシシラン、トリメトキシシラン、メチルジエトキシシラン又はトリエトキシシランである請求項1記載の3−モルホリノプロピルシラン類の製造方法。
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