JP3555237B2 - 車両用定速走行制御装置 - Google Patents
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、所定の車速での走行を維持する車両用定速走行制御装置の改良に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から、任意の目標車速を維持するようにエンジン出力を制御する定速走行制御装置が知られており、エンジンのスロットルを駆動するアクチュエータを設けて、目標車速に実車速が一致するように目標スロットル開度を演算し、この目標スロットル開度に実スロットル開度が一致するようにアクチュエータを駆動している。
【0003】
車両用の定速走行制御装置では、定速走行制御中の加速または減速を行うために、運転者によって操作される加速スイッチ及び減速スイッチを備えており、定速走行制御中に運転者が加速スイッチまたは減速スイッチを押し続けている間、目標車速を所定の割合で増減させながら、実車速を追従させるようにスロットルを駆動する加速または減速制御が行われる。
【0004】
そして、実車速が希望する速度に到達したときに、運転者が加速スイッチまたは減速スイッチを離すことにより、目標車速をそのときの実車速に更新して再び定速走行制御に復帰するものである。
【0005】
車両を加減速する際には走行抵抗などの影響で、上記加速または減速制御中では目標車速に実車速が徐々に追従できなくなって、目標車速と実車速の偏差が増大する場合があり、このとき、運転者が加減速スイッチを離すと、目標車速が増大した偏差分だけ変化して、この変化量に実車速を追従するよう定速走行制御を行ってしまうため、実車速のアンダーシュートまたはオーバーシュートが過大になる場合がある。
【0006】
この加減速制御によるアンダーシュートまたはオーバーシュートを抑制するものとして、本願出願人は特願平6−109763号を提案しており、加減速制御において公知の線形制御手法であるモデルマッチング手法を適用して、目標車速と実車速の偏差が所定値を越えないように目標車速の増減の割合を制限することによって、上記のようなアンダーシュートまたはオーバーシュートを抑制するものである。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の定速走行制御装置では、モデルマッチング手法によって制御を行うために、図11に示すように、高速走行や登坂または降坂等の走行抵抗の大きいときに加速制御を行うと、目標車速Aのように一定の割合で増加させても実車速はこの目標車速Aに徐々に追従できなくなるため、実車速と目標車速の偏差が所定値を越えないように目標車速Bの増加を行っているが、車速偏差が所定値に達して目標車速の増加量を制限してしまうと、図13に示すように、目標車速Bの制限に伴って、スロットル開度も減少するため、エンジントルクは最大値より小さい値となって車両の加速度が減少して実車速のアンダーシュートが発生して運転者の意図した速度が得られないという問題があり、減速制御についても同様にして図12に示すように、制限された目標車速Bに応じてスロットル開度が全閉位置よりも増大して実車速のオーバーシュートが発生して運転者の意図した速度が得られないという問題があった。
【0008】
そこで本発明は、上記問題点に鑑みてなされたもので、定速走行制御中の加減速におけるアンダーシュートまたはオーバーシュートを抑制して、運転者の意図に応じた車速を実現可能な車両用定速走行制御装置を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
第1の発明は、図14において、目標車速を設定する目標車速設定手段50と、車両の実車速を検出する実車速検出手段51と、前記実車速が前記目標車速に一致するようにエンジンのスロットル開度の目標値を演算する目標スロットル開度演算手段52と、前記スロットル開度を検出するスロットル開度検出手段53と、前記検出したスロットル開度が前記目標スロットル開度に一致するように前記スロットルを駆動するスロットル駆動手段54と、前記目標車速を所定の値ごとに増大または減少させて加速または減速を指令する加減速指令手段58と、この加減速指令手段からの指令が終了したときの実車速を目標車速として更新する速度更新手段60とを備えた車両用定速走行制御装置において、前記目標車速と前記実車速との偏差を演算する偏差演算手段55と、この偏差が所定の許容値を越えたことを判定する偏差判定手段56と、この判定結果において前記偏差が前記許容値を越えたときに前記偏差が前記許容値以内となるように前記目標車速を補正する目標車速補正手段57と、前記判定結果において前記偏差が前記許容値を越え、かつ前記加減速指令手段58が指令中の間は前記目標スロットル開度が前記目標車速を実現可能な値に規制するスロットル開度規制手段59とを備え、前記スロットル開度規制手段が、前記を規制したときの前記スロットル開度を記憶する開度記憶手段と、前記開度記憶手段が記憶したスロットル開度と現在の目標スロットル開度とを比較する比較手段と、該比較結果が前記開度記憶手段が記憶したスロットル開度より目標スロットル開度が小さい加速時、あるいは前記開度記憶手段が記憶したスロットル開度より目標スロットル開度が大きい減速時には、前記開度記憶手段が記憶したスロットル開度を目標スロットル開度として設定する。
【0012】
また、第2の発明は、前記第1の発明において、前記目標スロットル開度演算手段は、前記実車速が予め設定した規範モデルの応答特性に沿って前記目標車速と一致するように、前記目標スロットル開度を演算するモデルマッチング制御手段を備える。
【0013】
【作用】
したがって、第1の発明は、走行中の車両の車速が目標車速に一致するような目標スロットル開度が目標スロットル開度演算手段によって演算され、この目標スロットル開度に実スロットル開度が一致するようにスロットルが駆動され定速走行制御が行われる。この定速走行制御中に、加減速指令手段が作動すると目標車速が所定値ずつ増大または減少することで加速または減速が行われ、平坦路等の走行抵抗が少ない場合では、目標車速の増減に応じて実車速も追従し、加減速制御手段からの指令が終了したときの実車速が目標車速として更新され、運転者が希望する速度に一致させる。
【0014】
高速走行や登坂路等の走行抵抗が大きい場合に加速中であれば、加減速指令手段が指令中の間は所定の値ずつ目標車速を増大させるが、走行抵抗の影響によって実車速が目標車速に追従できなくなって車速の偏差が所定の許容値を越えた場合には、偏差が許容値を越えないように目標車速を補正するとともに、目標スロットル開度は目標車速へ加速する駆動力を確保可能な値に規制され、目標車速は制限されるものの目標スロットル開度は目標車速の低下にかかわらず所定の値を維持することができ、走行抵抗が大きい場合にも車速のアンダーシュートを抑制して運転者の意図に応じた速度を達成することができ、下り坂などで走行抵抗が小さい場合に減速をおこなうときも、実車速が目標車速に追従できなくなって車速の偏差が所定の許容値を越えた場合には、偏差が許容値を越えないように目標車速を補正するとともに、目標スロットル開度は目標車速へ減速する駆動力(エンジンブレーキ力)を確保可能な値に規制され、目標車速は制限されるものの目標スロットル開度は目標車速の増大にかかわらず所定の値を維持することができ、走行抵抗が大きい場合にも車速のオーバーシュートを抑制して運転者の意図に応じた速度を達成することができる。
【0015】
そして、スロットル開度規制手段は、車速の偏差が許容値を越えたときのスロットル開度を記憶しておき、偏差が許容値以内となるまでは目標スロットル開度が記憶値未満とならないように開度の下限を規制するため、車両の加速に必要なエンジントルクを確保することができ、車速のアンダーシュートを防止することができ、目標とする加速度に可能な限り近い加速度によって運転者が意図する車速へ迅速に移行することが可能となり、定速走行制御中の加速制御を円滑に行うことが可能となるのである。
【0016】
また、スロットル開度規制手段は、車速の偏差が許容値を越えたときのスロットル開度を記憶しておき、偏差が許容値以内となるまでは目標スロットル開度が記憶値を越えないように上限を規制するため、車両の減速に必要なエンジントルク(=エンジンブレーキ力)を確保することができ、減速時の車速のオーバーシュートを防止することができ、目標とする減速度に可能な限り近い減速度によって運転者が意図する車速へ迅速に移行することが可能となり、定速走行制御中の減速制御を円滑に行うことが可能となるのである。
【0017】
また、第2の発明は、目標スロットル開度演算手段は、実車速が予め設定した規範モデルの応答特性に沿って目標車速と一致するようにモデルマッチング手法によって目標スロットル開度を演算するため、円滑な定速走行制御を行うことができる。
【0018】
【実施例】
以下、本発明の実施例を添付図面に基づいて説明する。
【0019】
図1に示すように、1は定速走行用コントロールユニットであり、CPU、ROM、RAM、各種インターフェース及び各種タイマを備えたマイクロコンピュータ10とスロットルアクチュエータ駆動回路11を主体にして構成される。
【0020】
2〜7は運転者によって操作されるスイッチ群であり、これらスイッチの操作に応じてコントロールユニット1は定速走行制御の開始または解除を判断する。
【0021】
2は定速走行制御のメインスイッチであり、セットスイッチ3は定速走行制御の開始及び車速の設定を行うもので、アクセラレートスイッチ4及びコーストスイッチ5は、それぞれ、目標車速の増大及び減少を指令し、キャンセルスイッチ6及びブレーキスイッチ7は、定速走行制御を解除するものである。
【0022】
コントロールユニット1には車両の運転状態を検出する各種センサが接続され、車速センサ8は、実車速に対応したパルス信号を送出し、コントロールユニット1はこのパルスをカウントすることで実車速を演算する。この車速センサ8は、例えば、磁気センサ等で構成されて、図示はしないが、スピードメーターケーブルに接続された永久磁石の回転をリードスイッチの開閉から検出し、このリードスイッチの開閉に伴うパルスを実車速を示す信号とする。
【0023】
スロットルセンサ9は、ポテンショメータ等で構成されて、実スロットル開度に対応した信号を送出し、コントロールユニット1及びスロットル駆動回路11ではこのスロットル開度に基づいてスロットルアクチュエータ30の駆動制御や後述する走行抵抗の推定演算などに用いられる。また、クランク角センサ13はエンジンの回転数Neを送出する。
【0024】
エンジンの吸気通路には吸入空気量を制御するスロットルが介装され、このスロットルはコントロールユニット1の指令に応動する負圧式スロットルアクチュエータ30によって駆動されるもので、この負圧式スロットルアクチュエータ30には図2に示すバキュームポンプ31及び大気開放バルブ32を備えて、スロットル駆動回路11はコントローラ1が演算した目標スロットル開度と実際のスロットル開度に応じたパルス幅をデューティ制御に出力し、このパルス幅に応じて駆動されたバキュームポンプ31及び大気開放バルブ32が発生する負圧に応じて負圧式スロットルアクチュエータ30を伸縮駆動し、アクセルワイアを介してスロットルの開度を制御するものである。
【0025】
そしてこのスロットルには、ポテンショメータ等で構成されたスロットルセンサ9が設けられ、実スロットル開度に対応した信号をコントロールユニット1へ送出し、コントロールユニット1ではこのスロットル開度に基づいて負圧式スロットルアクチュエータ30の駆動制御を行うのに加えて、後述する走行抵抗の推定演算などを行う。また、エンジンに配設されたクランク角センサ13はエンジンの回転数Neを送出する。
【0026】
図3〜図5は、コントロールユニット1で行われる制御の一例を示すフローチャートで、タイマ割り込み等によって所定時間毎、例えば、50msecごとに実行されるものであり、図3はメインルーチンを、図4、図示は5はそれぞれ加速制御、減速制御のサブルーチンを示し、以下、これらフローチャートを参照しながら詳述する。
【0027】
まず、ステップS1では、車速センサ8、スロットルセンサ9及びクランク角センサ13の信号を読み込んで、所定時間(50msec)の間にカウントされた各信号に基づいて、所定時間中にカウントされた車速の平均値を実車速Vspとし、同様にエンジン回転数の平均値をエンジン回転数Neとして演算するとともに、スロットルセンサ9の出力をA/D変換することにより実スロットル開度Tvoの計測を行う。
【0028】
ステップS2では、キャンセルスイッチ6及びブレーキスイッチ7の一方がオンであるかを判定して、定速走行制御の継続(開始)または解除を決定し、解除の場合にはステップS18以降の処理へ進む一方、継続の場合にはステップS3へ進む。
【0029】
ステップS3はセットスイッチ3がオンであるか否かを判定して、オンの場合には目標車速Vsprを設定するため、ステップS4へ進む一方、そうでない場合にはステップS6に進む。
【0030】
ステップS4では、現在の実車速Vspを目標車速Vsprとして記憶し、ステップS5で定速走行制御中であることを示す定速走行制御フラグを1にセットする。
【0031】
上記ステップS3でセットスイッチ3がオフの場合には、ステップS6以降の処理が行われ、前回までに設定された目標車速Vsprに基づく定速走行制御と加速制御または減速制御が行われる。
【0032】
ステップS6では、定速走行制御中であることを示す定速走行制御フラグがセット状態=1であるかを判定し、セット状態であればステップS7へ進む一方、そうでない場合にはステップS19へ進む。
【0033】
ステップS7では、後述するようにアクセラレートスイッチ4の操作に応じた加速制御を行い、ステップS8では同じく後述するように、コーストスイッチ5の操作に応じた減速制御が行われる。
【0034】
ステップS9では、目標車速Vsprに実車速Vspを一致させるために、公知の線形制御手法であるモデルマッチング手法及び近似ゼロイング手法を用いて、エンジンの目標駆動力Forを演算する。
【0035】
まず、車速のフィードバック制御を行う補償器の概要を説明する。
【0036】
制御対象の伝達特性をパルス伝達関数P(z−1)とおくと、補償器は図6に示すようになる。
【0037】
図6において、zは遅延演算素子であり、z−1を乗ずると、1サンプル周期前の値となる。また、C1(z−1)、C2(z−1)は、近似ゼロイング手法による外乱推定器であり、外乱やモデル化誤差による影響を抑制するものである。
【0038】
また、C3(z−1)は、モデルマッチング手法による補償器で、目標車速Vsprに対する制御対象の応答特性を予め設定した規範モデルH(z−1)の特性に一致させる。
【0039】
目標加速度を入力、実車速Vspを出力とする部分を制御対象とおくと、P(z−1)は次式に示す積分要素P1(z−1)とむだ時間要素P2(z−1)=z−2の積でおくことができる。
【0040】
P1(z−1)=T・z−1/(1−z−1)
ただし、T;サンプル周期=50msec
このとき、C1(Z−1)、C2(Z−1)はそれぞれ次のようになる。
【0041】
制御対象のむだ時間(=負圧式スロットルアクチュエータ30の無効時間)を無視して、規範モデルを時定数taの1次ローパスフィルタとすると、C3は下記の定数となる。
【0042】
C3=K={1−exp(−T/ta)}/T
上記に基づいて次のような演算を行う。ただし、データy(k−1)は1サンプル周期前のデータy(k)を示す。
【0043】
y2(k)=γ・y2(k−1)+(1−γ)・y1(k−1)
y3(k)=γ・y3(k−1)+(1−γ)/T・Vsp(k)−(1−γ)/T・Vsp(k−1)
y1(k)=K・{Vspr(k)−Vsp(k)}−y3(k)+y2(k−2)
ここで、y1(k)は目標加速度であり、車両の基本重量Mを乗じて目標駆動力Forを次のように演算する。
【0044】
For(k)=y1(k)・M
ステップS10では、上記目標駆動力Forより、まず、目標エンジントルクTerを次式により演算する。
【0045】
Ter=(For・Rt)/(Gm・Gf)
さらに、図7に示すように、予め設定されたエンジンの非線形データマップを用いて、エンジン回転速度Neと目標エンジントルクTerから、目標スロットル開度Tvorを表引き演算する。
【0046】
こうして、目標スロットル開度Tvorを演算してからステップS11、S14で加速制御、減速制御によってスロットル開度に制限を加えるアクセラレートリミット中フラグ、コーストリミット中フラグがセットされているかを判定するもので、これらフラグがセットされている場合にはステップS12、13またはステップS15、16で目標スロットル開度Tvorの制限が後述するように行われる一方、定速走行制御中である場合にはステップS17へ進む。
【0047】
ステップS17では、こうして得られた目標スロットル開度Tvorに応じて負圧式スロットルアクチュエータ30のバキュームポンプ31及び大気開放用ソレノイドバルブ32のデューティ比Dvac,DventをPID制御などの制御手法によって演算するもので、スロットル開度の偏差Δ(目標スロットル開度Tvor−実スロットル開度Tvo)に応じて上記デューティ比を演算して、バキュームポンプ31及び大気開放用ソレノイドバルブ32への図示しない各出力レジスタに各デューティ比をセットして、負圧式スロットルアクチュエータ30の駆動を行うのである。
【0048】
ここで、上記ステップS2において、キャンセルスイッチ6の操作によって定速走行制御フラグの解除が行われると、ステップS18で定速走行制御フラグを0にリセットしてから、ステップS19で目標スロットル開度Tvorをリセットして処理を終了する。なお、ステップS6で定速走行制御フラグがセットされていない場合にはこのステップS19の処理のみを行う。
【0049】
次に、ステップS7及びステップS11〜S13で行われる加速制御について詳述する。
【0050】
ステップS7で行われる加速制御のサブルーチンでは、まず、ステップS21で、アクセラレートスイッチ4がONであるか否かを判定して、ONであれば加速制御行うためにステップS23へ進む一方、OFFの場合にはステップS22へ進む。
【0051】
ステップS23で加速制御中フラグをセットした後に、ステップS24では、目標車速Vsprを前回の値、すなわち、1サイクル前の目標車速Vspr(old)に所定値を加算した値に設定し、ここでは+0.2km/hを加算する。
【0052】
ステップS25では、目標車速Vsprと実車速Vspの偏差が所定の許容値(ここでは、3km/hとする)を越えているか否かを判定して、偏差が許容値を越える場合にはステップS26へ進む一方、偏差が許容値以内の場合にはステップS29でアクセラレートリミッタ中フラグをリセットした後に、上記図3のメインルーチンへ復帰する。
【0053】
車速偏差が3km/hを越える場合にはステップS26で、スロットル開度の制限を行うためのアクセラレートリミッタ中フラグがセットされているか否かを判定して、このフラグがセットされていなければステップS27へ進み、既にセットされている場合にはステップS28へ進む。
【0054】
ステップS27では、アクセラレートリミッタ中フラグをセットするとともに、現在の実スロットル開度Tvoをスロットル開度の下限値Tvomとして記憶し、ステップS28で目標車速Vsprを実車速Vspに偏差の許容値である3km/hを加算したものに設定して、上記図3のメインルーチンへ復帰する。
【0055】
一方、上記ステップS21の判定でアクセラレートスイッチ4がOFFの場合には、ステップS22で加速制御中フラグがセットされているか否かを判定し、セットされていない場合にはメインルーチンへ復帰する一方、セットされていれば加速制御を終了するため、ステップS30で目標車速Vsprに現在の実車速Vspを設定し、ステップS31で加速制御中フラグ及びアクセラレートリミッタ中フラグをクリアしてメインルーチンへ戻る。
【0056】
ステップS7で加速制御が行われ、目標車速Vsprと実車速Vspの偏差が所定値3km/hを越える場合には、アクセラレートリミッタ中フラグがセットされるため、メインルーチンのステップS11の判定からステップS12の処理へ進む。
【0057】
ステップS12では、ステップS10で演算された目標スロットル開度TvorがステップS27で設定されたスロットル開度下限値Tvom未満であれば、ステップS13で目標スロットル開度Tvorを下限値Tvomに変更して、上記ステップS17の負圧式スロットルアクチュエータ30のデューティ制御へ進む。
【0058】
一方、ステップS8及びステップS14〜S16で行われる減速制御について詳述する。
【0059】
ステップS8で行われる減速制御のサブルーチンでは、まず、ステップS41で、コーストスイッチ5がONであるか否かを判定して、ONであれば減速制御行うためにステップS43へ進む一方、OFFの場合にはステップS42へ進む。
【0060】
ステップS43で減速制御中フラグをセットした後に、ステップS44では、目標車速Vsprを前回の値、すなわち、1サイクル前の目標車速Vspr(old)に所定値を加算した値に設定し、ここでは所定値として0.2km/hを減算する。
【0061】
ステップS45では、実車速Vspと目標車速Vsprの偏差が所定の許容値(ここでは、3km/hとする)を越えているか否かを判定して、偏差が許容値を越える場合にはステップS46へ進む一方、偏差が許容値以内の場合にはステップS49でコーストリミッタ中フラグをリセットした後に、上記図3のメインルーチンへ復帰する。
【0062】
車速偏差が3km/hを越える場合にはステップS46で、スロットル開度の制限を行うためのコーストリミッタ中フラグがセットされているか否かを判定して、このフラグがセットされていなければステップS47へ進み、既にセットされている場合にはステップS48へ進む。
【0063】
ステップS47では、コーストリミッタ中フラグをセットするとともに、現在の実スロットル開度Tvoをスロットル開度の上限値Tvomとして記憶し、ステップS48で目標車速Vsprを実車速Vspに偏差の許容値である3km/hを減算したものに設定して、上記図3のメインルーチンへ復帰する。
【0064】
一方、上記ステップS41の判定でコーストスイッチ5がOFFの場合には、ステップS42で減速制御中フラグがセットされているか否かを判定し、セットされていない場合にはメインルーチンへ復帰する一方、セットされていれば減速制御を終了するため、ステップS50で目標車速Vsprに現在の実車速Vspを設定し、ステップS51で減速制御中フラグ及びコーストリミッタ中フラグをクリアしてメインルーチンへ戻る。
【0065】
ステップS8で減速制御が行われ、目標車速Vsprと実車速Vspの偏差が所定値3km/hを越える場合には、コーストリミッタ中フラグがセットされるため、メインルーチンのステップS14の判定からステップS15の処理へ進む。
【0066】
ステップS15では、ステップS10で演算された目標スロットル開度TvorがステップS47で設定されたスロットル開度上限値Tvomを越えていれば、ステップS16で目標スロットル開度Tvorを上限値Tvomに変更して、上記ステップS17の負圧式スロットルアクチュエータ30のデューティ制御へ進む。
【0067】
以上のような制御によって、定速走行制御中にアクセラレートスイッチ4が押されると、アクセラレートスイッチ4がOFFとなるまで所定の割合、この場合0.2km/hづつ目標車速Vsprが所定の所定の周期(50msec)ごとに増大する。
【0068】
低速走行や平坦路等の走行抵抗が少ない場合では、図10に示すように、目標車速Vsprの増大に応じて実車速Vspも増大し、アクセラレートスイッチ4がOFFとなったときの実車速Vspを目標車速Vsprとして更新することで、運転者が希望する速度に一致させるとともに、加速後の定速走行制御を円滑に行うことができる。
【0069】
一方、高速走行や登坂路等の走行抵抗が大きい場合は、図8に示すように、アクセラレートスイッチ4が押されている間は所定の割合で目標車速Vsprを増大させるが、走行抵抗の影響によって目標車速Vsprと実車速Vspの偏差が所定の許容値(例えば、3km/h)を越えた場合には、偏差が許容値を越えたときの実車速Vspに許容値(例えば、3km/h)を加算したものを目標車速Vsprとすることにより、車速の偏差が許容値を越えないようにする。
【0070】
したがって、アクセラレートスイッチ4がOFFとなったときに、目標車速Vsprが実車速Vspに更新されても目標車速Vsprの減少量が少ないために、前記従来例のように車速のアンダーシュートが発生することはなく、運転者が意図する車速へ迅速に収束させることができる。
【0071】
ここで、車速の偏差が許容値を越えたときのスロットル開度を下限値Tvomとして記憶しておき、偏差が許容値以内となるまでは目標スロットル開度Tvorが下限値Tvom未満とならないように下限を制限するため、スロットル開度はほぼ全開位置近傍に維持されて、車両の加速に必要なエンジントルクを確保することができ、前記従来例のような加速の不足やアンダーシュートを抑制して、目標とする加速度に可能な限り近い加速度によって運転者が意図する車速へ迅速に移行することが可能となり、定速走行制御中の加速を円滑に行うことが可能となるのである。
【0072】
一方、減速制御の場合では、定速走行制御中にコーストスイッチ5が押されると、コーストスイッチ5がOFFとなるまで所定の割合、この場合0.2km/hづつ目標車速Vsprが所定の所定の周期(50msec)ごとに減少する。
【0073】
走行抵抗がある程度大きい場合では、目標車速Vsprの減少に応じて実車速Vspも減少し、コーストスイッチ5がOFFとなったときの実車速Vspを目標車速Vsprとして更新することで、運転者が希望する速度に一致させるとともに、減速後の定速走行制御を円滑に行うことができる。
【0074】
ここで、下り坂等で走行抵抗が小さい場合は、図9に示すように、コーストスイッチ5が押されている間は所定の割合で目標車速Vsprを減少させるが、走行抵抗が小さいために駆動力の低下に応じた減速が行われず、目標車速Vsprと実車速Vspの偏差が所定の許容値(例えば、3km/h)を越えた場合には、偏差が許容値を越えたときの実車速Vspに許容値(例えば、3km/h)を減算したものを目標車速Vsprとすることにより、車速の偏差が許容値を越えないようにする。
【0075】
したがって、コーストスイッチ5がOFFとなったときに、目標車速Vsprが実車速Vspに更新されても目標車速Vsprの変動量が少ないために、前記従来例のように車速のオーバーシュートが発生することはなく、運転者が意図する車速へ迅速に収束させることができる。
【0076】
ここで、車速の偏差が許容値を越えたときのスロットル開度を上限値Tvomとして記憶しておき、偏差が許容値以内となるまでは目標スロットル開度Tvorが上限値Tvomを越えないように上限を制限するため、スロットル開度はほぼ全閉位置近傍に維持されて、車両の減速に必要なエンジントルク(=エンジンブレーキ力)を確保することができ、前記従来例のような減速の不足やアンダーシュートを抑制して、目標とする減速度に可能な限り近い減速度によって運転者が意図する車速へ迅速に移行することが可能となり、定速走行制御中の減速を円滑に行うことが可能となるのである。
【0077】
なお、上記実施例において、車速フィードバック制御にモデルマッチングを用いたが、これに限定されることはなく、PI制御(比例積分制御)等の周知の制御手法によって行う場合でも同様の作用、効果を得ることができる。
【0078】
【発明の効果】
以上説明したように第1の発明は、高速走行や登坂路等の走行抵抗が大きい場合に加速すると、加減速指令手段が指令中の間は所定の値ずつ目標車速を増大させるが、走行抵抗の影響によって実車速が目標車速に追従できなくなって車速の偏差が所定の許容値を越えた場合には、偏差が許容値を越えないように目標車速を補正するとともに、目標スロットル開度は目標車速へ加速する駆動力を確保可能な値に規制され、目標車速は制限されるものの目標スロットル開度は目標車速の低下にかかわらず所定の値を維持することができ、走行抵抗が大きい場合にも車速のアンダーシュートを抑制して運転者の意図に応じた速度を達成することができ、下り坂などで走行抵抗が小さい場合に減速をおこなうときも、実車速が目標車速に追従できなくなって車速の偏差が所定の許容値を越えた場合には、偏差が許容値を越えないように目標車速を補正するとともに、目標スロットル開度は目標車速へ減速する駆動力(エンジンブレーキ力)を確保可能な値に規制され、目標車速は制限されるものの目標スロットル開度は目標車速の増大にかかわらず所定の値を維持することができ、走行抵抗が大きい場合にも車速のオーバーシュートを抑制して運転者の意図に応じた速度を達成することができ、定速走行制御装置による運転性を向上させることができる。
【0079】
そして、スロットル開度規制手段は、車速の偏差が許容値を越えたときのスロットル開度を記憶しておき、偏差が許容値以内となるまでは目標スロットル開度が記憶値未満とならないように開度の下限を規制するため、車両の加速に必要なエンジントルクを確保することができ、車速のアンダーシュートを防止することができ、目標とする加速度に可能な限り近い加速度によって運転者が意図する車速へ迅速に移行することが可能となり、定速走行制御中の加速制御を円滑に行うことが可能となるのである。
【0080】
また、スロットル開度規制手段は、車速の偏差が許容値を越えたときのスロットル開度を記憶しておき、偏差が許容値以内となるまでは目標スロットル開度が記憶値を越えないように上限を規制するため、車両の減速に必要なエンジントルク(=エンジンブレーキ力)を確保することができ、減速時の車速のオーバーシュートを防止することができ、目標とする減速度に可能な限り近い減速度によって運転者が意図する車速へ迅速に移行することが可能となり、定速走行制御中の減速制御を円滑に行うことが可能となるのである。
【0081】
また、第2の発明は、目標スロットル開度演算手段は、実車速が予め設定した規範モデルの応答特性に沿って目標車速と一致するようにモデルマッチング手法によって目標スロットル開度を演算するため、円滑な定速走行制御を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例を示す定速走行制御装置の構成図。
【図2】同じく負圧式スロットルアクチュエータの概略構成図。
【図3】制御の一例を示し、メインルーチンのフローチャート。
【図4】同じく加速制御のサブルーチンの一例を示すフローチャート。
【図5】同じく減速制御のサブルーチンの一例を示すフローチャート。
【図6】フィードバック制御補償器の構成図。
【図7】エンジンの非線形特性を示すマップで、スロットル開度とエンジントルクの関係を示す。
【図8】走行抵抗が大きい場合の加速制御の様子を示すグラフで、目標車速、実車速、スロットル開度及びアクセラレートスイッチの作動状態と時間の関係を示す。
【図9】走行抵抗が少ない場合の減速制御の様子を示すグラフで、目標車速、実車速、スロットル開度及びアクセラレートスイッチの作動状態と時間の関係を示す。
【図10】走行抵抗が少ない場合の加速制御の様子を示すグラフで、目標車速、実車速、スロットル開度及びアクセラレートスイッチの作動状態と時間の関係を示す。
【図11】従来の加速制御の様子を示すグラフで、目標車速、実車速、スロットル開度及びアクセラレートスイッチの作動状態と時間の関係を示す。
【図12】従来の減速制御の様子を示すグラフで、目標車速、実車速、スロットル開度及びコーストスイッチの作動状態と時間の関係を示す。
【図13】従来の加速制御によるアンダーシュートの様子を示すグラフで、目標車速、実車速、スロットル開度及びアクセラレートスイッチの作動状態と時間の関係を示す。
【図14】請求項1ないし請求項4のいずれかひとつに対応するクレーム対応図。
【符号の説明】
1 定速走行用コントロールユニット
30 負圧式スロットルアクチュエータ
50 設定手段
51 車速検出手段
52 目標スロットル開度演算手段
53 実スロットル開度検出手段
54 スロットル駆動手段
55 偏差演算手段
56 偏差判定手段
57 目標車速補正手段
58 加減速指令手段
59 スロットル開度規制手段
60 速度更新手段
【産業上の利用分野】
本発明は、所定の車速での走行を維持する車両用定速走行制御装置の改良に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から、任意の目標車速を維持するようにエンジン出力を制御する定速走行制御装置が知られており、エンジンのスロットルを駆動するアクチュエータを設けて、目標車速に実車速が一致するように目標スロットル開度を演算し、この目標スロットル開度に実スロットル開度が一致するようにアクチュエータを駆動している。
【0003】
車両用の定速走行制御装置では、定速走行制御中の加速または減速を行うために、運転者によって操作される加速スイッチ及び減速スイッチを備えており、定速走行制御中に運転者が加速スイッチまたは減速スイッチを押し続けている間、目標車速を所定の割合で増減させながら、実車速を追従させるようにスロットルを駆動する加速または減速制御が行われる。
【0004】
そして、実車速が希望する速度に到達したときに、運転者が加速スイッチまたは減速スイッチを離すことにより、目標車速をそのときの実車速に更新して再び定速走行制御に復帰するものである。
【0005】
車両を加減速する際には走行抵抗などの影響で、上記加速または減速制御中では目標車速に実車速が徐々に追従できなくなって、目標車速と実車速の偏差が増大する場合があり、このとき、運転者が加減速スイッチを離すと、目標車速が増大した偏差分だけ変化して、この変化量に実車速を追従するよう定速走行制御を行ってしまうため、実車速のアンダーシュートまたはオーバーシュートが過大になる場合がある。
【0006】
この加減速制御によるアンダーシュートまたはオーバーシュートを抑制するものとして、本願出願人は特願平6−109763号を提案しており、加減速制御において公知の線形制御手法であるモデルマッチング手法を適用して、目標車速と実車速の偏差が所定値を越えないように目標車速の増減の割合を制限することによって、上記のようなアンダーシュートまたはオーバーシュートを抑制するものである。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の定速走行制御装置では、モデルマッチング手法によって制御を行うために、図11に示すように、高速走行や登坂または降坂等の走行抵抗の大きいときに加速制御を行うと、目標車速Aのように一定の割合で増加させても実車速はこの目標車速Aに徐々に追従できなくなるため、実車速と目標車速の偏差が所定値を越えないように目標車速Bの増加を行っているが、車速偏差が所定値に達して目標車速の増加量を制限してしまうと、図13に示すように、目標車速Bの制限に伴って、スロットル開度も減少するため、エンジントルクは最大値より小さい値となって車両の加速度が減少して実車速のアンダーシュートが発生して運転者の意図した速度が得られないという問題があり、減速制御についても同様にして図12に示すように、制限された目標車速Bに応じてスロットル開度が全閉位置よりも増大して実車速のオーバーシュートが発生して運転者の意図した速度が得られないという問題があった。
【0008】
そこで本発明は、上記問題点に鑑みてなされたもので、定速走行制御中の加減速におけるアンダーシュートまたはオーバーシュートを抑制して、運転者の意図に応じた車速を実現可能な車両用定速走行制御装置を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
第1の発明は、図14において、目標車速を設定する目標車速設定手段50と、車両の実車速を検出する実車速検出手段51と、前記実車速が前記目標車速に一致するようにエンジンのスロットル開度の目標値を演算する目標スロットル開度演算手段52と、前記スロットル開度を検出するスロットル開度検出手段53と、前記検出したスロットル開度が前記目標スロットル開度に一致するように前記スロットルを駆動するスロットル駆動手段54と、前記目標車速を所定の値ごとに増大または減少させて加速または減速を指令する加減速指令手段58と、この加減速指令手段からの指令が終了したときの実車速を目標車速として更新する速度更新手段60とを備えた車両用定速走行制御装置において、前記目標車速と前記実車速との偏差を演算する偏差演算手段55と、この偏差が所定の許容値を越えたことを判定する偏差判定手段56と、この判定結果において前記偏差が前記許容値を越えたときに前記偏差が前記許容値以内となるように前記目標車速を補正する目標車速補正手段57と、前記判定結果において前記偏差が前記許容値を越え、かつ前記加減速指令手段58が指令中の間は前記目標スロットル開度が前記目標車速を実現可能な値に規制するスロットル開度規制手段59とを備え、前記スロットル開度規制手段が、前記を規制したときの前記スロットル開度を記憶する開度記憶手段と、前記開度記憶手段が記憶したスロットル開度と現在の目標スロットル開度とを比較する比較手段と、該比較結果が前記開度記憶手段が記憶したスロットル開度より目標スロットル開度が小さい加速時、あるいは前記開度記憶手段が記憶したスロットル開度より目標スロットル開度が大きい減速時には、前記開度記憶手段が記憶したスロットル開度を目標スロットル開度として設定する。
【0012】
また、第2の発明は、前記第1の発明において、前記目標スロットル開度演算手段は、前記実車速が予め設定した規範モデルの応答特性に沿って前記目標車速と一致するように、前記目標スロットル開度を演算するモデルマッチング制御手段を備える。
【0013】
【作用】
したがって、第1の発明は、走行中の車両の車速が目標車速に一致するような目標スロットル開度が目標スロットル開度演算手段によって演算され、この目標スロットル開度に実スロットル開度が一致するようにスロットルが駆動され定速走行制御が行われる。この定速走行制御中に、加減速指令手段が作動すると目標車速が所定値ずつ増大または減少することで加速または減速が行われ、平坦路等の走行抵抗が少ない場合では、目標車速の増減に応じて実車速も追従し、加減速制御手段からの指令が終了したときの実車速が目標車速として更新され、運転者が希望する速度に一致させる。
【0014】
高速走行や登坂路等の走行抵抗が大きい場合に加速中であれば、加減速指令手段が指令中の間は所定の値ずつ目標車速を増大させるが、走行抵抗の影響によって実車速が目標車速に追従できなくなって車速の偏差が所定の許容値を越えた場合には、偏差が許容値を越えないように目標車速を補正するとともに、目標スロットル開度は目標車速へ加速する駆動力を確保可能な値に規制され、目標車速は制限されるものの目標スロットル開度は目標車速の低下にかかわらず所定の値を維持することができ、走行抵抗が大きい場合にも車速のアンダーシュートを抑制して運転者の意図に応じた速度を達成することができ、下り坂などで走行抵抗が小さい場合に減速をおこなうときも、実車速が目標車速に追従できなくなって車速の偏差が所定の許容値を越えた場合には、偏差が許容値を越えないように目標車速を補正するとともに、目標スロットル開度は目標車速へ減速する駆動力(エンジンブレーキ力)を確保可能な値に規制され、目標車速は制限されるものの目標スロットル開度は目標車速の増大にかかわらず所定の値を維持することができ、走行抵抗が大きい場合にも車速のオーバーシュートを抑制して運転者の意図に応じた速度を達成することができる。
【0015】
そして、スロットル開度規制手段は、車速の偏差が許容値を越えたときのスロットル開度を記憶しておき、偏差が許容値以内となるまでは目標スロットル開度が記憶値未満とならないように開度の下限を規制するため、車両の加速に必要なエンジントルクを確保することができ、車速のアンダーシュートを防止することができ、目標とする加速度に可能な限り近い加速度によって運転者が意図する車速へ迅速に移行することが可能となり、定速走行制御中の加速制御を円滑に行うことが可能となるのである。
【0016】
また、スロットル開度規制手段は、車速の偏差が許容値を越えたときのスロットル開度を記憶しておき、偏差が許容値以内となるまでは目標スロットル開度が記憶値を越えないように上限を規制するため、車両の減速に必要なエンジントルク(=エンジンブレーキ力)を確保することができ、減速時の車速のオーバーシュートを防止することができ、目標とする減速度に可能な限り近い減速度によって運転者が意図する車速へ迅速に移行することが可能となり、定速走行制御中の減速制御を円滑に行うことが可能となるのである。
【0017】
また、第2の発明は、目標スロットル開度演算手段は、実車速が予め設定した規範モデルの応答特性に沿って目標車速と一致するようにモデルマッチング手法によって目標スロットル開度を演算するため、円滑な定速走行制御を行うことができる。
【0018】
【実施例】
以下、本発明の実施例を添付図面に基づいて説明する。
【0019】
図1に示すように、1は定速走行用コントロールユニットであり、CPU、ROM、RAM、各種インターフェース及び各種タイマを備えたマイクロコンピュータ10とスロットルアクチュエータ駆動回路11を主体にして構成される。
【0020】
2〜7は運転者によって操作されるスイッチ群であり、これらスイッチの操作に応じてコントロールユニット1は定速走行制御の開始または解除を判断する。
【0021】
2は定速走行制御のメインスイッチであり、セットスイッチ3は定速走行制御の開始及び車速の設定を行うもので、アクセラレートスイッチ4及びコーストスイッチ5は、それぞれ、目標車速の増大及び減少を指令し、キャンセルスイッチ6及びブレーキスイッチ7は、定速走行制御を解除するものである。
【0022】
コントロールユニット1には車両の運転状態を検出する各種センサが接続され、車速センサ8は、実車速に対応したパルス信号を送出し、コントロールユニット1はこのパルスをカウントすることで実車速を演算する。この車速センサ8は、例えば、磁気センサ等で構成されて、図示はしないが、スピードメーターケーブルに接続された永久磁石の回転をリードスイッチの開閉から検出し、このリードスイッチの開閉に伴うパルスを実車速を示す信号とする。
【0023】
スロットルセンサ9は、ポテンショメータ等で構成されて、実スロットル開度に対応した信号を送出し、コントロールユニット1及びスロットル駆動回路11ではこのスロットル開度に基づいてスロットルアクチュエータ30の駆動制御や後述する走行抵抗の推定演算などに用いられる。また、クランク角センサ13はエンジンの回転数Neを送出する。
【0024】
エンジンの吸気通路には吸入空気量を制御するスロットルが介装され、このスロットルはコントロールユニット1の指令に応動する負圧式スロットルアクチュエータ30によって駆動されるもので、この負圧式スロットルアクチュエータ30には図2に示すバキュームポンプ31及び大気開放バルブ32を備えて、スロットル駆動回路11はコントローラ1が演算した目標スロットル開度と実際のスロットル開度に応じたパルス幅をデューティ制御に出力し、このパルス幅に応じて駆動されたバキュームポンプ31及び大気開放バルブ32が発生する負圧に応じて負圧式スロットルアクチュエータ30を伸縮駆動し、アクセルワイアを介してスロットルの開度を制御するものである。
【0025】
そしてこのスロットルには、ポテンショメータ等で構成されたスロットルセンサ9が設けられ、実スロットル開度に対応した信号をコントロールユニット1へ送出し、コントロールユニット1ではこのスロットル開度に基づいて負圧式スロットルアクチュエータ30の駆動制御を行うのに加えて、後述する走行抵抗の推定演算などを行う。また、エンジンに配設されたクランク角センサ13はエンジンの回転数Neを送出する。
【0026】
図3〜図5は、コントロールユニット1で行われる制御の一例を示すフローチャートで、タイマ割り込み等によって所定時間毎、例えば、50msecごとに実行されるものであり、図3はメインルーチンを、図4、図示は5はそれぞれ加速制御、減速制御のサブルーチンを示し、以下、これらフローチャートを参照しながら詳述する。
【0027】
まず、ステップS1では、車速センサ8、スロットルセンサ9及びクランク角センサ13の信号を読み込んで、所定時間(50msec)の間にカウントされた各信号に基づいて、所定時間中にカウントされた車速の平均値を実車速Vspとし、同様にエンジン回転数の平均値をエンジン回転数Neとして演算するとともに、スロットルセンサ9の出力をA/D変換することにより実スロットル開度Tvoの計測を行う。
【0028】
ステップS2では、キャンセルスイッチ6及びブレーキスイッチ7の一方がオンであるかを判定して、定速走行制御の継続(開始)または解除を決定し、解除の場合にはステップS18以降の処理へ進む一方、継続の場合にはステップS3へ進む。
【0029】
ステップS3はセットスイッチ3がオンであるか否かを判定して、オンの場合には目標車速Vsprを設定するため、ステップS4へ進む一方、そうでない場合にはステップS6に進む。
【0030】
ステップS4では、現在の実車速Vspを目標車速Vsprとして記憶し、ステップS5で定速走行制御中であることを示す定速走行制御フラグを1にセットする。
【0031】
上記ステップS3でセットスイッチ3がオフの場合には、ステップS6以降の処理が行われ、前回までに設定された目標車速Vsprに基づく定速走行制御と加速制御または減速制御が行われる。
【0032】
ステップS6では、定速走行制御中であることを示す定速走行制御フラグがセット状態=1であるかを判定し、セット状態であればステップS7へ進む一方、そうでない場合にはステップS19へ進む。
【0033】
ステップS7では、後述するようにアクセラレートスイッチ4の操作に応じた加速制御を行い、ステップS8では同じく後述するように、コーストスイッチ5の操作に応じた減速制御が行われる。
【0034】
ステップS9では、目標車速Vsprに実車速Vspを一致させるために、公知の線形制御手法であるモデルマッチング手法及び近似ゼロイング手法を用いて、エンジンの目標駆動力Forを演算する。
【0035】
まず、車速のフィードバック制御を行う補償器の概要を説明する。
【0036】
制御対象の伝達特性をパルス伝達関数P(z−1)とおくと、補償器は図6に示すようになる。
【0037】
図6において、zは遅延演算素子であり、z−1を乗ずると、1サンプル周期前の値となる。また、C1(z−1)、C2(z−1)は、近似ゼロイング手法による外乱推定器であり、外乱やモデル化誤差による影響を抑制するものである。
【0038】
また、C3(z−1)は、モデルマッチング手法による補償器で、目標車速Vsprに対する制御対象の応答特性を予め設定した規範モデルH(z−1)の特性に一致させる。
【0039】
目標加速度を入力、実車速Vspを出力とする部分を制御対象とおくと、P(z−1)は次式に示す積分要素P1(z−1)とむだ時間要素P2(z−1)=z−2の積でおくことができる。
【0040】
P1(z−1)=T・z−1/(1−z−1)
ただし、T;サンプル周期=50msec
このとき、C1(Z−1)、C2(Z−1)はそれぞれ次のようになる。
【0041】
制御対象のむだ時間(=負圧式スロットルアクチュエータ30の無効時間)を無視して、規範モデルを時定数taの1次ローパスフィルタとすると、C3は下記の定数となる。
【0042】
C3=K={1−exp(−T/ta)}/T
上記に基づいて次のような演算を行う。ただし、データy(k−1)は1サンプル周期前のデータy(k)を示す。
【0043】
y2(k)=γ・y2(k−1)+(1−γ)・y1(k−1)
y3(k)=γ・y3(k−1)+(1−γ)/T・Vsp(k)−(1−γ)/T・Vsp(k−1)
y1(k)=K・{Vspr(k)−Vsp(k)}−y3(k)+y2(k−2)
ここで、y1(k)は目標加速度であり、車両の基本重量Mを乗じて目標駆動力Forを次のように演算する。
【0044】
For(k)=y1(k)・M
ステップS10では、上記目標駆動力Forより、まず、目標エンジントルクTerを次式により演算する。
【0045】
Ter=(For・Rt)/(Gm・Gf)
さらに、図7に示すように、予め設定されたエンジンの非線形データマップを用いて、エンジン回転速度Neと目標エンジントルクTerから、目標スロットル開度Tvorを表引き演算する。
【0046】
こうして、目標スロットル開度Tvorを演算してからステップS11、S14で加速制御、減速制御によってスロットル開度に制限を加えるアクセラレートリミット中フラグ、コーストリミット中フラグがセットされているかを判定するもので、これらフラグがセットされている場合にはステップS12、13またはステップS15、16で目標スロットル開度Tvorの制限が後述するように行われる一方、定速走行制御中である場合にはステップS17へ進む。
【0047】
ステップS17では、こうして得られた目標スロットル開度Tvorに応じて負圧式スロットルアクチュエータ30のバキュームポンプ31及び大気開放用ソレノイドバルブ32のデューティ比Dvac,DventをPID制御などの制御手法によって演算するもので、スロットル開度の偏差Δ(目標スロットル開度Tvor−実スロットル開度Tvo)に応じて上記デューティ比を演算して、バキュームポンプ31及び大気開放用ソレノイドバルブ32への図示しない各出力レジスタに各デューティ比をセットして、負圧式スロットルアクチュエータ30の駆動を行うのである。
【0048】
ここで、上記ステップS2において、キャンセルスイッチ6の操作によって定速走行制御フラグの解除が行われると、ステップS18で定速走行制御フラグを0にリセットしてから、ステップS19で目標スロットル開度Tvorをリセットして処理を終了する。なお、ステップS6で定速走行制御フラグがセットされていない場合にはこのステップS19の処理のみを行う。
【0049】
次に、ステップS7及びステップS11〜S13で行われる加速制御について詳述する。
【0050】
ステップS7で行われる加速制御のサブルーチンでは、まず、ステップS21で、アクセラレートスイッチ4がONであるか否かを判定して、ONであれば加速制御行うためにステップS23へ進む一方、OFFの場合にはステップS22へ進む。
【0051】
ステップS23で加速制御中フラグをセットした後に、ステップS24では、目標車速Vsprを前回の値、すなわち、1サイクル前の目標車速Vspr(old)に所定値を加算した値に設定し、ここでは+0.2km/hを加算する。
【0052】
ステップS25では、目標車速Vsprと実車速Vspの偏差が所定の許容値(ここでは、3km/hとする)を越えているか否かを判定して、偏差が許容値を越える場合にはステップS26へ進む一方、偏差が許容値以内の場合にはステップS29でアクセラレートリミッタ中フラグをリセットした後に、上記図3のメインルーチンへ復帰する。
【0053】
車速偏差が3km/hを越える場合にはステップS26で、スロットル開度の制限を行うためのアクセラレートリミッタ中フラグがセットされているか否かを判定して、このフラグがセットされていなければステップS27へ進み、既にセットされている場合にはステップS28へ進む。
【0054】
ステップS27では、アクセラレートリミッタ中フラグをセットするとともに、現在の実スロットル開度Tvoをスロットル開度の下限値Tvomとして記憶し、ステップS28で目標車速Vsprを実車速Vspに偏差の許容値である3km/hを加算したものに設定して、上記図3のメインルーチンへ復帰する。
【0055】
一方、上記ステップS21の判定でアクセラレートスイッチ4がOFFの場合には、ステップS22で加速制御中フラグがセットされているか否かを判定し、セットされていない場合にはメインルーチンへ復帰する一方、セットされていれば加速制御を終了するため、ステップS30で目標車速Vsprに現在の実車速Vspを設定し、ステップS31で加速制御中フラグ及びアクセラレートリミッタ中フラグをクリアしてメインルーチンへ戻る。
【0056】
ステップS7で加速制御が行われ、目標車速Vsprと実車速Vspの偏差が所定値3km/hを越える場合には、アクセラレートリミッタ中フラグがセットされるため、メインルーチンのステップS11の判定からステップS12の処理へ進む。
【0057】
ステップS12では、ステップS10で演算された目標スロットル開度TvorがステップS27で設定されたスロットル開度下限値Tvom未満であれば、ステップS13で目標スロットル開度Tvorを下限値Tvomに変更して、上記ステップS17の負圧式スロットルアクチュエータ30のデューティ制御へ進む。
【0058】
一方、ステップS8及びステップS14〜S16で行われる減速制御について詳述する。
【0059】
ステップS8で行われる減速制御のサブルーチンでは、まず、ステップS41で、コーストスイッチ5がONであるか否かを判定して、ONであれば減速制御行うためにステップS43へ進む一方、OFFの場合にはステップS42へ進む。
【0060】
ステップS43で減速制御中フラグをセットした後に、ステップS44では、目標車速Vsprを前回の値、すなわち、1サイクル前の目標車速Vspr(old)に所定値を加算した値に設定し、ここでは所定値として0.2km/hを減算する。
【0061】
ステップS45では、実車速Vspと目標車速Vsprの偏差が所定の許容値(ここでは、3km/hとする)を越えているか否かを判定して、偏差が許容値を越える場合にはステップS46へ進む一方、偏差が許容値以内の場合にはステップS49でコーストリミッタ中フラグをリセットした後に、上記図3のメインルーチンへ復帰する。
【0062】
車速偏差が3km/hを越える場合にはステップS46で、スロットル開度の制限を行うためのコーストリミッタ中フラグがセットされているか否かを判定して、このフラグがセットされていなければステップS47へ進み、既にセットされている場合にはステップS48へ進む。
【0063】
ステップS47では、コーストリミッタ中フラグをセットするとともに、現在の実スロットル開度Tvoをスロットル開度の上限値Tvomとして記憶し、ステップS48で目標車速Vsprを実車速Vspに偏差の許容値である3km/hを減算したものに設定して、上記図3のメインルーチンへ復帰する。
【0064】
一方、上記ステップS41の判定でコーストスイッチ5がOFFの場合には、ステップS42で減速制御中フラグがセットされているか否かを判定し、セットされていない場合にはメインルーチンへ復帰する一方、セットされていれば減速制御を終了するため、ステップS50で目標車速Vsprに現在の実車速Vspを設定し、ステップS51で減速制御中フラグ及びコーストリミッタ中フラグをクリアしてメインルーチンへ戻る。
【0065】
ステップS8で減速制御が行われ、目標車速Vsprと実車速Vspの偏差が所定値3km/hを越える場合には、コーストリミッタ中フラグがセットされるため、メインルーチンのステップS14の判定からステップS15の処理へ進む。
【0066】
ステップS15では、ステップS10で演算された目標スロットル開度TvorがステップS47で設定されたスロットル開度上限値Tvomを越えていれば、ステップS16で目標スロットル開度Tvorを上限値Tvomに変更して、上記ステップS17の負圧式スロットルアクチュエータ30のデューティ制御へ進む。
【0067】
以上のような制御によって、定速走行制御中にアクセラレートスイッチ4が押されると、アクセラレートスイッチ4がOFFとなるまで所定の割合、この場合0.2km/hづつ目標車速Vsprが所定の所定の周期(50msec)ごとに増大する。
【0068】
低速走行や平坦路等の走行抵抗が少ない場合では、図10に示すように、目標車速Vsprの増大に応じて実車速Vspも増大し、アクセラレートスイッチ4がOFFとなったときの実車速Vspを目標車速Vsprとして更新することで、運転者が希望する速度に一致させるとともに、加速後の定速走行制御を円滑に行うことができる。
【0069】
一方、高速走行や登坂路等の走行抵抗が大きい場合は、図8に示すように、アクセラレートスイッチ4が押されている間は所定の割合で目標車速Vsprを増大させるが、走行抵抗の影響によって目標車速Vsprと実車速Vspの偏差が所定の許容値(例えば、3km/h)を越えた場合には、偏差が許容値を越えたときの実車速Vspに許容値(例えば、3km/h)を加算したものを目標車速Vsprとすることにより、車速の偏差が許容値を越えないようにする。
【0070】
したがって、アクセラレートスイッチ4がOFFとなったときに、目標車速Vsprが実車速Vspに更新されても目標車速Vsprの減少量が少ないために、前記従来例のように車速のアンダーシュートが発生することはなく、運転者が意図する車速へ迅速に収束させることができる。
【0071】
ここで、車速の偏差が許容値を越えたときのスロットル開度を下限値Tvomとして記憶しておき、偏差が許容値以内となるまでは目標スロットル開度Tvorが下限値Tvom未満とならないように下限を制限するため、スロットル開度はほぼ全開位置近傍に維持されて、車両の加速に必要なエンジントルクを確保することができ、前記従来例のような加速の不足やアンダーシュートを抑制して、目標とする加速度に可能な限り近い加速度によって運転者が意図する車速へ迅速に移行することが可能となり、定速走行制御中の加速を円滑に行うことが可能となるのである。
【0072】
一方、減速制御の場合では、定速走行制御中にコーストスイッチ5が押されると、コーストスイッチ5がOFFとなるまで所定の割合、この場合0.2km/hづつ目標車速Vsprが所定の所定の周期(50msec)ごとに減少する。
【0073】
走行抵抗がある程度大きい場合では、目標車速Vsprの減少に応じて実車速Vspも減少し、コーストスイッチ5がOFFとなったときの実車速Vspを目標車速Vsprとして更新することで、運転者が希望する速度に一致させるとともに、減速後の定速走行制御を円滑に行うことができる。
【0074】
ここで、下り坂等で走行抵抗が小さい場合は、図9に示すように、コーストスイッチ5が押されている間は所定の割合で目標車速Vsprを減少させるが、走行抵抗が小さいために駆動力の低下に応じた減速が行われず、目標車速Vsprと実車速Vspの偏差が所定の許容値(例えば、3km/h)を越えた場合には、偏差が許容値を越えたときの実車速Vspに許容値(例えば、3km/h)を減算したものを目標車速Vsprとすることにより、車速の偏差が許容値を越えないようにする。
【0075】
したがって、コーストスイッチ5がOFFとなったときに、目標車速Vsprが実車速Vspに更新されても目標車速Vsprの変動量が少ないために、前記従来例のように車速のオーバーシュートが発生することはなく、運転者が意図する車速へ迅速に収束させることができる。
【0076】
ここで、車速の偏差が許容値を越えたときのスロットル開度を上限値Tvomとして記憶しておき、偏差が許容値以内となるまでは目標スロットル開度Tvorが上限値Tvomを越えないように上限を制限するため、スロットル開度はほぼ全閉位置近傍に維持されて、車両の減速に必要なエンジントルク(=エンジンブレーキ力)を確保することができ、前記従来例のような減速の不足やアンダーシュートを抑制して、目標とする減速度に可能な限り近い減速度によって運転者が意図する車速へ迅速に移行することが可能となり、定速走行制御中の減速を円滑に行うことが可能となるのである。
【0077】
なお、上記実施例において、車速フィードバック制御にモデルマッチングを用いたが、これに限定されることはなく、PI制御(比例積分制御)等の周知の制御手法によって行う場合でも同様の作用、効果を得ることができる。
【0078】
【発明の効果】
以上説明したように第1の発明は、高速走行や登坂路等の走行抵抗が大きい場合に加速すると、加減速指令手段が指令中の間は所定の値ずつ目標車速を増大させるが、走行抵抗の影響によって実車速が目標車速に追従できなくなって車速の偏差が所定の許容値を越えた場合には、偏差が許容値を越えないように目標車速を補正するとともに、目標スロットル開度は目標車速へ加速する駆動力を確保可能な値に規制され、目標車速は制限されるものの目標スロットル開度は目標車速の低下にかかわらず所定の値を維持することができ、走行抵抗が大きい場合にも車速のアンダーシュートを抑制して運転者の意図に応じた速度を達成することができ、下り坂などで走行抵抗が小さい場合に減速をおこなうときも、実車速が目標車速に追従できなくなって車速の偏差が所定の許容値を越えた場合には、偏差が許容値を越えないように目標車速を補正するとともに、目標スロットル開度は目標車速へ減速する駆動力(エンジンブレーキ力)を確保可能な値に規制され、目標車速は制限されるものの目標スロットル開度は目標車速の増大にかかわらず所定の値を維持することができ、走行抵抗が大きい場合にも車速のオーバーシュートを抑制して運転者の意図に応じた速度を達成することができ、定速走行制御装置による運転性を向上させることができる。
【0079】
そして、スロットル開度規制手段は、車速の偏差が許容値を越えたときのスロットル開度を記憶しておき、偏差が許容値以内となるまでは目標スロットル開度が記憶値未満とならないように開度の下限を規制するため、車両の加速に必要なエンジントルクを確保することができ、車速のアンダーシュートを防止することができ、目標とする加速度に可能な限り近い加速度によって運転者が意図する車速へ迅速に移行することが可能となり、定速走行制御中の加速制御を円滑に行うことが可能となるのである。
【0080】
また、スロットル開度規制手段は、車速の偏差が許容値を越えたときのスロットル開度を記憶しておき、偏差が許容値以内となるまでは目標スロットル開度が記憶値を越えないように上限を規制するため、車両の減速に必要なエンジントルク(=エンジンブレーキ力)を確保することができ、減速時の車速のオーバーシュートを防止することができ、目標とする減速度に可能な限り近い減速度によって運転者が意図する車速へ迅速に移行することが可能となり、定速走行制御中の減速制御を円滑に行うことが可能となるのである。
【0081】
また、第2の発明は、目標スロットル開度演算手段は、実車速が予め設定した規範モデルの応答特性に沿って目標車速と一致するようにモデルマッチング手法によって目標スロットル開度を演算するため、円滑な定速走行制御を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例を示す定速走行制御装置の構成図。
【図2】同じく負圧式スロットルアクチュエータの概略構成図。
【図3】制御の一例を示し、メインルーチンのフローチャート。
【図4】同じく加速制御のサブルーチンの一例を示すフローチャート。
【図5】同じく減速制御のサブルーチンの一例を示すフローチャート。
【図6】フィードバック制御補償器の構成図。
【図7】エンジンの非線形特性を示すマップで、スロットル開度とエンジントルクの関係を示す。
【図8】走行抵抗が大きい場合の加速制御の様子を示すグラフで、目標車速、実車速、スロットル開度及びアクセラレートスイッチの作動状態と時間の関係を示す。
【図9】走行抵抗が少ない場合の減速制御の様子を示すグラフで、目標車速、実車速、スロットル開度及びアクセラレートスイッチの作動状態と時間の関係を示す。
【図10】走行抵抗が少ない場合の加速制御の様子を示すグラフで、目標車速、実車速、スロットル開度及びアクセラレートスイッチの作動状態と時間の関係を示す。
【図11】従来の加速制御の様子を示すグラフで、目標車速、実車速、スロットル開度及びアクセラレートスイッチの作動状態と時間の関係を示す。
【図12】従来の減速制御の様子を示すグラフで、目標車速、実車速、スロットル開度及びコーストスイッチの作動状態と時間の関係を示す。
【図13】従来の加速制御によるアンダーシュートの様子を示すグラフで、目標車速、実車速、スロットル開度及びアクセラレートスイッチの作動状態と時間の関係を示す。
【図14】請求項1ないし請求項4のいずれかひとつに対応するクレーム対応図。
【符号の説明】
1 定速走行用コントロールユニット
30 負圧式スロットルアクチュエータ
50 設定手段
51 車速検出手段
52 目標スロットル開度演算手段
53 実スロットル開度検出手段
54 スロットル駆動手段
55 偏差演算手段
56 偏差判定手段
57 目標車速補正手段
58 加減速指令手段
59 スロットル開度規制手段
60 速度更新手段
Claims (2)
- 目標車速を設定する目標車速設定手段と、
車両の実車速を検出する実車速検出手段と、
前記実車速が前記目標車速に一致するようにエンジンのスロットル開度の目標値を演算する目標スロットル開度演算手段と、
前記スロットル開度を検出するスロットル開度検出手段と、
前記検出したスロットル開度が前記目標スロットル開度に一致するように前記スロットルを駆動するスロットル駆動手段と、
前記目標車速を所定の値ごとに増大または減少させて加速または減速を指令する加減速指令手段と、
該加減速指令手段からの指令が終了したときの実車速を目標車速として更新する速度更新手段とを備えた車両用定速走行制御装置において、
前記目標車速と前記実車速との偏差を演算する偏差演算手段と、
該偏差が所定の許容値を越えたことを判定する偏差判定手段と、
該判定結果において前記偏差が前記許容値を越えたときに前記偏差が前記許容値以内となるように前記目標車速を補正する目標車速補正手段と、
前記判定結果において前記偏差が前記許容値を越え、かつ前記加減速指令手段が指令中の間は前記目標車速を実現可能な値に前記目標スロットル開度を規制するスロットル開度規制手段とを備え、
前記スロットル開度規制手段が、前記目標スロットル開度を規制したときの前記スロットル開度を記憶する開度記憶手段と、
前記開度記憶手段が記憶したスロットル開度と現在の目標スロットル開度とを比較する比較手段と、
該比較結果が前記開度記憶手段が記憶したスロットル開度より目標スロットル開度が小さい加速時、あるいは前記開度記憶手段が記憶したスロットル開度より目標スロットル開度が大きい減速時には、前記開度記憶手段が記憶したスロットル開度を目標スロットル開度として設定することを特徴とする車両用定速走行制御装置。 - 前記目標スロットル開度演算手段は、前記実車速が予め設定した規範モデルの応答特性に沿って前記目標車速と一致するように、前記目標スロットル開度を演算するモデルマッチング制御手段を備えたことを特徴とする請求項1に記載の車両用定速走行制御装置。
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JP10386295A JP3555237B2 (ja) | 1995-04-27 | 1995-04-27 | 車両用定速走行制御装置 |
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JPH08295153A JPH08295153A (ja) | 1996-11-12 |
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-
1995
- 1995-04-27 JP JP10386295A patent/JP3555237B2/ja not_active Expired - Fee Related
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JPH08295153A (ja) | 1996-11-12 |
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