JP3555155B2 - フィルム押出用装置 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は熱可塑性樹脂(以下、単に「樹脂」という)をシート状又はフィルム状に押出して樹脂を成型する場合に用いられる特殊なダイに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、樹脂のシート状又はフィルム状押出し成型用ダイは、硬度、寸法精度、耐蝕性等から炭素鋼、ステンレス鋼又はクロムメッキ鋼が用いられ、その押出し口は内面の平滑性と寸法精度を持たせた機械加工が施されている。
【0003】
また、糸状の押出し成型に使用するノズルホールを有するダイにおいては、母材にセラミック管を埋め込んで押出し口を形成したものや、押出し口内面にイオンプレーティング法等によって合金や酸化物あるいは窒化物等の皮膜を形成したものがある。
【0004】
さらに、同様のノズルホールを有するダイにおいて、ダイ内壁に化学メッキにより皮膜を形成させる場合に、金属マトリックス中にセラミックス材料の微粒子、例えばアルミ、ケイ素、ニッケル、チタン、ホウ素等の窒化物、炭化物、酸化物等の微粒子を共析させたダイも用いられている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
従来、種々に改良されたこれらのダイは樹脂の溶融押出しにおける機械の動摩擦係数を下げ、機壁における樹脂の異状滞留によるいわゆる“目やに”の発生防止を目的としたものであった。
【0006】
例えばナイロン6やナイロン66、ポリメタキシリレンアジパミドのようなポリアミド、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレートのようなポリエステル等の樹脂の溶融押出しによる延伸フィルムの製造においては、一般に樹脂がダイから押出された後、チルロールに接する前にシートに高電圧を放電してチルロールへの静電密着性を付与し、安定生産性を確保する方法が採られている。
【0007】
しかしながら、この方法では溶融樹脂の電気伝導性が高いと放電電極から押出樹脂シートを通ってダイへ電流が流れ、ダイ面での樹脂汚れによる押出しシートの厚さ斑が大きく、しばしば運転を停止してダイの掃除をしなければならず、しかもダイ面の電蝕が起るため、定期的なダイの解体と修正をしなければならないという問題点があった。
【0008】
本発明は上記問題点の原因を解明し、これらの発生を抑制したフィルム押出し用ダイを提供することを目的とするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は樹脂のシート又はフィルムの製造において静電密着を行う場合、前述のトラブルは押出し樹脂とダイとの間の電子の授受によって起る樹脂の電解劣化が原因であることを解明した。そして、かかる樹脂の電解劣化は電気絶縁性のあるセラミックでダイ面をコートすることにより解決出来ることを見出し、本発明の完成に至った。
【0010】
即ち、本発明は溶融ポリマーを押出してポリマーフィルムを成型する場合に使用するダイにおいて、ポリマーと接する内壁面の内少なくともリップス内面の吐出口下端近傍及び外気と接する面の内少なくともリップス外面の吐出口下端近傍にセラミックコートし、さらにその上に無機質のガラス及びセラミックとケイ酸ソーダのバインダーからなる封孔剤あるいは、鎖状又は環状のシラザンの重合体からなる封孔剤がコートされたことを特徴とするダイである。
ここで、下端部近傍とは下端部から5mmまでのところをいう。
【0011】
本発明において用いるセラミックとしてはシリカ、アルミナ、ジルコニア、クロミア等の酸化物を主成分とするものが挙げられるが、コート層の電気伝導度が10−7mho/cm以下、好ましくは10−9mho/cm以下の絶縁性のものであって、更に熱膨張係数がコートする母材の0.5〜1.5倍の材料で、曲げ強度が10Kg/mm2 以上のものが望ましい。
【0012】
ダイに施すセラミックコートの厚さは100〜300μmの範囲が好ましい。コート厚さが100μmより薄い場合はコート層のピンホールによる絶縁性に不安があり、又300μmより厚くなるとコート層の歪が大きくなり、ヒートショックや残留応力によるコート膜の破損が発生し易くなり好ましくない。
封孔処置をした後はダイを焼成処理し、封孔剤のセラミック化と安定化を進めることができる。
【0013】
本発明において用いるセラミックは前述のセラミックの微粒子(粒径10〜100μm)を母材の上に爆発溶射又はプラズマ溶射あるいはアルゴン・シュラウド・プラズマ法等の方法でダイに溶着させることができる。
これらの方法はいずれも粉末溶射であるため、セラミックコート層に気孔が数パーセント存在しており、そのままでは電気絶縁性が充分ではない。従って、これらのセラミックと熱膨張係数が近い無機質系の封孔剤で封孔処理することが必要である。
【0014】
本発明において用いる封孔剤としては、無機質のガラス及びセラミックあるいは無機顔料等の成分(例えばシリカ、アルミナ、ジルコニア、イットリア、マグネシア、カルシア、チタニア、酸化亜鉛、酸化錫、ホウ酸、酸化鉄、酸化クロム、酸化タンタル、酸化鉛等の混合物の微粉末)を、水又は有機溶剤に分散させたスラリー又はペースト状の流動体が挙げられる。
使用に際しては、この流動体に更にケイ酸ソーダ等のバインダーを混合するのが好ましい。
【0015】
また、本発明において用いる他の封孔剤としては、セラミックの前駆体である鎖状又は環状のシラザン、例えばヘキサメチルシクロトリシラザンの重合体、フェニルシランと1,1,3,3−テトラメチルジシラザンの共重合体、パーヒドロポリシラザン等の重合体の有機溶剤溶液、及びシロキサザン、例えば下記の環状化合物である1,1,3,3,5,5,7,7−オクタメチルシクロ2,6−ジシロキサザン4,8、
【化1】
下記の鎖状化合物である1,3,5,7,9,11−ヘキサメチル2,6,10−トリシロキサザン4,8、
【化2】
の重合体等が挙げられる。
【0016】
これらの上記重合体はベンゼン、トルエン、キシレン、ヘキサン、テトラハイドロフラン、メチレンジクロライド等の有機溶媒に可溶で、塗布が容易にできるように重合体の分子量と濃度が調整される。
これらの重合体の溶液中には封孔熱処理中の反応を促進するために触媒を添加することが望ましい。かかる触媒としては例えばルテニウム、オスミウム、ロジウム、イリジウム等のカルボニル化合物が挙げられる。
【0017】
【作用】
本発明のように、セラミックコートをし、封孔処理されたダイは、シート状又はフィルム状の押出し用ダイとして必要な寸法精度の面粗度、真直度、エッジ角を持つように、ダイヤモンド砥石等を用いた注意深い加工法で精密研削・研磨することで、従来にない電気絶縁性がある高精度のダイに仕上げることができる。
【0018】
また、本発明のダイは、電気絶縁性のあるセラミックでダイ面をコートしているため静電密着法を用いたシート又はフィルムの押出し製造において、電解劣化を受け易い樹脂の押出し成型に特に対応することができる。
なお、このように溶融下電解劣化を受け易い樹脂としては、例えばポリアミド、ポリウレア、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリアミドエステル、ポリエステル、ポリ塩化ビニリデン、ポリフェニルエーテル及びこれらのコンパウンド等が挙げられる。
【0019】
【実施例】
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0020】
実施例 1
炭素鋼から製作された押出幅220mmの一対のダイで、溶融樹脂と接するリップス内面の吐出下端から上部30mmの平坦面と、リップス外面10mmの平坦面に、アルミナを厚さ約250μmで爆射コートした。
次にパーヒドロポリシラザン(平均分子量約1200)の20wt%キシレン溶液に300ppmのルテニウムカルボニルを加えたものをコート面に塗布し、風乾と80℃で予備乾燥した後、300℃で焼成して封孔処理を行った。
次いで#400〜#1200ダイヤモンド砥石を使用して、精密研削機で研削し、面粗度:Rmax =0.1μm、真直度=1μm、エッジ部R=10μmを得た。
【0021】
このセラミックコートしたダイを90mmφ押出機に取付け、リップ間隙0.5mmとして、ナイロン6樹脂を温度270℃で60Kg/時の吐出量で押出し、クロムメッキチルロールへの接地点の前15mmの位置でフィルムへ5mmの距離に針状電極を配し、直流5KVの負荷電を印加してグロー放電をさせながら連続押出し試験を行った。
【0022】
電流値は1.2mAで、48時間経過後もダイ下面の汚れは見られず、しかも押出しフィルムの厚み斑はなく、極めて安定した運転をすることができた。運転終了後、冷却解体して採取したリップ内面接触樹脂は殆ど着色がなく、樹脂の電解酸化による黒化度を示す反射光のB値は28であった。
【0023】
実施例 2
実施例1と同サイズのダイで同様のリップス内面と外面を、ジルコニア・イットリア(28wt%イットリア)でプラズマ溶射により厚さ約250μmになるようにコートした。
次にジルコニア・アルミナ(40wt%アルミナ)に1/5重量比でケイ酸ソーダを加え、イソプロパノール:水=4:1(重量比)の混合液で5倍に希釈し、よく混合し分散させたスラリーをコート面に塗布し、予備乾燥後400℃で焼成し封孔処理を行った。
次いで実施例1と同様の砥石を使用して精密研削し、面粗度Rmax =0.2μm、真直度=2μm、エッジ部R=20μmを得た。
【0024】
このダイを用いて実施例1と同一条件でナイロン樹脂の連続押出し試験を行った。
電流値は1.6mAで、36時間経過後ダイ下面の汚れが見られ、しかも押出しフィルムの厚み斑が大きくなって45時間でリップ掃除を行わねばならなくなった。48時間運転後、冷却解体して取出したリップ内面接触樹脂は茶褐色に着色しており、反射光のB値は36であった。
【0025】
参考例 1
実施例1と同一サイズのセラミックコートなしの炭素鋼を研削研磨により、面粗度Rmax =0.1μm、真直度=1μm、エッジ部R=10μmとしたダイを用いて、同様の押出し試験を行った。
【0026】
電流値は48mAで、13時間経過後ダイ下面の汚れがひどくなり、又フィルムの厚み斑、黒色異物や茶褐色ゲル化物が見られるようになり、さらに15時間後にはリップ掃除が必要となった。18時間運転後、冷却解体して採取したリップ内面接触樹脂は黒色に変色しており、反射光のB値は62であった。
【0027】
【発明の効果】
本発明では静電密着を用いた溶融ポリマーの押出しによるフィルム又はシートの製造において、ダイをセラミックコートしているためダイへの漏洩電流を防ぎ、ダイでの電解劣化を抑え、しかも操業性の安定化、生産性及びフィルム品質の向上を得ることができる。
Claims (2)
- 溶融ポリマーを押出してポリマーフィルムを成型する場合に使用するダイにおいて、ポリマーと接する内壁面の内少なくともリップス内面の吐出口下端近傍及び外気と接する面の内少なくともリップス外面の吐出口下端近傍にセラミックコートし、さらにその上に無機質のガラス及びセラミックとケイ酸ソーダのバインダーからなる封孔剤あるいは、鎖状又は環状のシラザンの重合体からなる封孔剤がコートされたことを特徴とするダイ。
- 請求項1記載のダイを用いてなることを特徴とするポリマーフィルムの製造方法。
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JP35074093A JP3555155B2 (ja) | 1993-12-27 | 1993-12-27 | フィルム押出用装置 |
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JP35074093A Expired - Fee Related JP3555155B2 (ja) | 1993-12-27 | 1993-12-27 | フィルム押出用装置 |
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- 1993-12-27 JP JP35074093A patent/JP3555155B2/ja not_active Expired - Fee Related
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