JP3554302B2 - 液体を微粒子にする方法及びこれに用いるノズル - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は液体を微粒子にする方法と、当該方法に用いるノズルに関する。
【0002】
【従来の技術】
液体を微粒子にするノズルは種々の用途に使用されている。例えば、微粉末原料に水やバインダ、その他の添加剤を加えて微小粒子懸濁液(泥漿)や溶液又はスラリーとし、ノズルを用いて当該溶液又はスラリーを炉内に噴霧して熱風中に分散させ、瞬時に乾燥固化させる噴霧乾燥方法がある。この方法によれば、他の乾燥法の際に要するろ過、分離、機械的濃縮などの操作が省略でき、多くの場合、球状である10〜500μmの粒子を得ることができる。また、乾燥時間は数秒〜30秒までであり、熱変性を受けることが少ないために、乾燥品形状が粒粉末を要求するもの、熱感受性の大きいもの、濃縮、乾燥の途中で粘稠な状態を経過する材料処理に適している。
【0003】
近年、電子部品材料、電池材料、医薬品、及びファインケミカル材料等、平均粒子径が10μmよりも小さい微粒子を噴霧乾燥により得たいとの要望があり、これには、図7に示すような2流体ノズルが一般的に用いられている。
【0004】
また、特開平8−281155号公報においては、薄膜化した2種の異なる液体に加圧空気を噴射し、大処理量でより微細な粒子に噴射する方法及びノズルが開示されている(図5)。当該ノズルは、主として前述のような噴霧乾燥用の液体を微粒子にするノズルとしての利用に供される。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
特開平8−281155号公報記載のノズルにおける液体を微粒子化する機構は以下のようなものである。即ち、液体流路15から供給された液体は各々引き伸ばされて別々の薄膜流19となり、各々平滑面17上をエッジ35方向へと移動する。薄膜流19はエッジ35を離れると同時に薄膜流19どうしが一度合流し、その後微粒子に変化していく場合でも、気液比を大きくとれば10μm以下にすることができるとしている。しかしながら、所定の薄さまで引き伸ばされた薄膜流は、エッジの先端において合流してしまうために所定以上の厚みとなる。即ち、液体を薄膜流にするために要した工程の一部が無駄であるために、微粒子化する液体の量に比して大量の加圧空気が必要である等の液体を微粒子にする効率の面において問題を有していた。また、2液の混合・反応等により粘度が大きくなる場合等は、微粒化性能の低下が起こるという問題を有していた。
【0006】
さて、液体を微粒子にするノズルとしては、他には図6、図7に示すようなものがある。図6に示すノズルは、液体を加圧して円筒状の気体流路1に供給し、気体流路1で空気と混合した後、先端から噴射して液滴2とする。噴射された液滴2は、互いに衝突して微粒子3となる仕組みである(N. Ohnishiet. al. Proceedings of The 4th International Conference on Liquid Atomization and Spray Systems, 57, THE FUEL SOCIETY OF JAPAN (1988))。このような構造を有するノズルは、液体を10μm以下の微粒子にすることができるもので、少量の液滴の極微粒子化(10μm以下)では、実用的に最も優れているといわれる。
【0007】
一方、図7に示すノズルは二重管構造であり、中心孔4から液体を、液体の周囲から加圧空気を噴射する。このような構造を有するノズルは、中心から噴射された液体が周囲の空気に削られて小さい液滴となるといった機構を有しており、どちらのノズルにおいても、加圧空気で噴霧される液体を微細な液滴にできるといった特徴を有している。
【0008】
しかしながら、図6に示すノズルは、比較的付着性の強い液体に使用した場合、数分も使用するとノズル先端に噴霧された液滴が付着・乾燥し、これが次第に堆積してノズルに目詰まりを起こすといった問題点があった。したがって、付着性のある液体、或いは溶質を溶かした状態の液体を微粒子化する目的には使用することができず、水のように比較的付着性が弱く、純粋な溶媒のみの微粒子化に使用が制限されてしまうために、噴霧乾燥用のノズルとしては使用することは不可能である。
【0009】
また、図7に示すノズルにおいては、中心孔4を太くすると、それに伴って噴射される液滴が大きくなる。このため、液滴を微細な粒子とするためには中心孔4を極めて小さくし、液体を極めて細く噴射する必要がある。したがって、液滴を小さくするためには、時間当たりの噴霧量を極めて小さくする必要があり、処理量と液滴の微細化とは互いに相反する特性となり、両特性を同時に満足することができないといった欠点があるとともに、噴霧乾燥用等として採用するには1本当たりの処理能力が小さいといった問題がある。なお、図7に示すノズルと同様の原理で細い液糸を薄い液膜とするのが図5に示す特開平8−281155号公報に記載の方法及びノズルであると考えられる。
【0010】
さらには、図7に示すノズルの場合、空気による削りは次第に液の中心部分に進んでいくが、このときの空気のスピードは徐々に低下して液滴が大きくなる中央部に噴射される液体は、周囲の液滴が邪魔をして空気との混合状態が悪くなり、液滴が大きくなってしまうといった問題をも有している。
【0011】
なお、図6、図7に示すようなノズルは、いずれの場合であっても噴射される液滴がフルコーンで噴射され、ホロコーンで噴射されることはない。液体を極めて小さい微粒子にするノズルは、空気中に噴射された液滴を急速乾燥し、或いは、空気中に気化させる用途に多く使用される。このとき、液体はホロコーンで噴射されるほうが好ましい。フルコーンの液滴は内部全体が液滴で満たされているために、中心部分の液滴を速やかに乾燥したり、空気中に気化したりすることが困難だからである。
【0012】
したがって、図6、図7に示すようなノズルは液体を微粒子にする機構としては優れた特徴を有しているが、上述してきた理由により、噴霧乾燥用のノズルとしては使用することができない。また、図5に示すようなノズルは、改良されたものの、噴霧ガス量が多く必要であるために、充分な微粒子化効率を持っているとはいえない。
なお、ここでいうフルコーンとは、筒状に噴射される液滴が内部まで充満されている状態のことであり、ホロコーンとは、同じく筒状に噴射される液滴が内部まで充満されていない状態のことである。
【0013】
本発明は、このような従来技術の有する問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、液体を微粒子にするための加圧気体の使用量がより少なく済むとともに効率的に使用され、単位時間当たりの微粒子化量がより多く、また、複数の液体・気体を独立に供給することが可能である液体を微粒子にする方法、及びこれに用いるノズルを提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本発明によれば、スリット状の液体流路から液体を、2つの独立した平滑面を備えた気液流路に供給する工程と、該液体を、気体流路から噴射され該平滑面に沿って高速流動するスリット状の気体流で薄く引き伸ばし、スリット状の2つの薄膜流又は気液混相流にする工程と、前記2つの気液薄膜流又は混相流を、前記2つの互いに独立した平滑面の端部から、それぞれ独立して空気中に噴射して液滴を含む2つのジェット流にする工程と、前記液滴を含む2つのジェット流どうしを、該平滑面の端部から離れた空気中において対向衝突させて液滴を微粒子にする工程とを備えることを特徴とする液体を微粒子にする方法が提供される。
【0015】
本発明においては、液滴を含む2つのジェット流どうしを45〜150°の衝突角度で対向衝突させることが好ましい。
【0016】
一方、本発明によれば、液体供給口と気体供給口が各々1以上設置され、平滑面を備えた気液流路、該液体供給口と連通する液体流路、及び該気体供給口と連通する気体流路が、各々2つずつ互いに独立して設置され、該液体流路は、該気体流路と該平滑面との接点に対して開口されるとともに該気液流路を構成し、各々の該平滑面から伸ばした延長線どうしが、該平滑面の端部から離れた空気中で交叉するように、該気液流路が配置されていることを特徴とする液体を微粒子にするノズルが提供される。
【0017】
本発明においては、各々の平滑面から伸ばした延長線どうしが交叉する角度が45〜150°に設定されていることが好ましい。
【0018】
本発明においては、液体流路、気液流路、及び気体流路が環状又はストレート形状のいずれの形状に形成されていてもよく、また、液体流路が所定幅を有し、かつ、液体流路の平滑面に対する角度が鈍角に設定されていることが好ましい。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について説明するが、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、当業者の通常の知識に基づいて、適宜、設計の変更、改良等が加えられることが理解されるべきである。
【0020】
本発明に係る液体を微粒子にする方法は、スリット状の液体流路から液体を、2つの独立した平滑面を備えたスリット状の気液流路に供給する工程と、その液体を、気体流路から噴射され該平滑面に沿って高速流動するスリット状の気体流で薄く引き伸ばし、スリット状の2つの薄膜流又は気液混相流にする工程と、その薄膜流又は気液混相流を前述の2つの独立した平滑面の、各々の端部から離れた空気中に噴射して液滴を含む2つのジェット流にする工程、さらには、前記液滴を含む2つのジェット流どうしを空気中において対向衝突させて液滴を微粒子にする工程からなるものである。また、本発明に係る液体を微粒子にするノズル(以下、単に「ノズル」とも記す。)は、液体供給口と気体供給口が各々1以上設置され、平滑面を備えた気液流路、液体供給口と連通する液体流路、及び気体供給口と連通する気体流路が、各々2つずつ互いに独立して設置され、液体流路は、気体流路と平滑面との接点に対して開口されるとともに気液流路を構成し、各々の平滑面から伸ばした延長線どうしが、各々の平滑面の端部から離れた空気中で交叉するように、気液流路が配置されているものである。以下、さらにその詳細について説明する。
【0021】
図1は、本発明に係るノズルの一実施態様の全体を示す断面図であり、図2はノズルの先端部分を示す拡大断面図である。
このように、内側リング10、中間リング11、外側リング12、及び中心リング13を備えており、中心リング13には先端部材14が嵌め込まれている。なお、図3はノズルから取り外された内側リング10を示している。また、内側リング10と中間リング11、並びに内側リング10と中心リング13の間には、環状であるとともに所定幅を有するスリット状に形成された液体流路15が設けられており、さらには、外側リング12と中間リング11との間、並びに中心リング13の内側には、スリット状の気液流路21内に設けられた平滑面17に対して加圧気体が噴射されるような位置関係で、スリット状の気体流路16が設けられている。
【0022】
気体流路16内を流れる加圧気体が中間リング11と内側リング10の境界、及び中心リング13と内側リング10の境界で乱流とならないように、各々は同一平面状に形成されている。なお、平滑面17は、スリット状の気液流路21の内部を流動する液体が薄膜状に流れるように、また、一部気液混相流となっても抵抗なく流れるように、液体の流動方向に沿って平滑となっているものである。
【0023】
例えば、液体流路15から平滑面17に供給された低粘度の液体は、平滑面17に沿って高速流動する加圧気体によって薄く引き伸ばされ、薄膜流19となる。平滑面17に沿って加圧気体をマッハ1.0の流速で流動させた状態で液体流路15に液体を送り出した場合に、薄膜流19の平滑面端部20における流速が加圧気体の流速の1/50であるとすれば、その流速は6.8m/sとなる。平滑面端部20の直径が50mmであるとすれば、液体を2リットル/minで供給した場合、薄膜流19の厚さは約30μmとなる。
【0024】
約30μmの膜厚を有する薄膜流19は、平滑面端部20を通過すると気体の強い乱れにより膜状態を維持することができなくなり、粉々にちぎれて表面張力によって液滴を含む高速空気流、即ちジェット流31となる。ここまでの現象が、別々の気液流路21内部における平滑面17上とその端部20において引き起こされる。各々の気液流路21は互いに独立して設置されているために、平滑面17は互いに接点を有することなく独立した面を構成しており、また、各々の平滑面17から伸ばした延長線どうしが、平滑面17の端部から離れた空気中で交叉するように気液流路21が配置されているために、各々の液滴を含む高速空気流どうしは、平滑面17の端部から離れた空気中において高速で対向衝突する。このとき、ジェット流31に含まれる液滴は、空気中における対向衝突時の衝撃によりはじけて更に微細な微粒子32を形成し、微粒子化される。このときの微粒子の平均粒子径は、具体的には約5〜15μm、若しくはそれ以下となる。
【0025】
なお、本発明においては、平滑面上において加圧気体により薄く引き伸ばされた液体は前述の如く薄膜流となる場合の他、気相と液相が混合した状態である気液混相流となっている場合もありうる。
【0026】
本発明の液体を微粒子にする方法においては、液滴を含む2つのジェット流31どうしを45〜150°の衝突角度(ω)で対向衝突させることが好ましく、60〜120°の衝突角度(ω)で対向衝突させることが更に好ましい(図1、2)。衝突角度(ω)45°未満で対向衝突させた場合においては、角度が薄過ぎであるために、液滴をより微細な微粒子32とすることが困難であり、また、衝突角度(ω)150°超で対向衝突させた場合においては、対向衝突時の衝撃が大きくなり過ぎ、形成された微粒子32が周囲に飛び散り易くなるために好ましくない。
【0027】
本発明のノズルは、各々の平滑面17から、ジェット流31が噴出される方向へと伸ばした延長線どうしが交叉する角度(ω)が45〜150°に設定されていることが好ましく、60〜120℃に設定されていることが更に好ましい(図2)。前述の如く、液滴を含む2つのジェット流31どうしを好適な衝突角度(ω)で対向衝突させることが可能であり、形成された微粒子32が周囲に飛び散ることなく、微細な微粒子32を効率的に形成することができる。
【0028】
更に、本発明のノズルは、その液体流路15、気液流路21、及び気体流路16を環状に形成してもよく(図2)、このような構造とすることにより、液体を環状の薄膜流又は気液混相流とした後に対向衝突させてジェット流31とし、更に微粒子化させた微粒子32を環状に噴射することが可能となる。
【0029】
即ち、本発明のノズルは液体流路15、気液流路21、及び気体流路16を環状に形成することにより、ホロコーン状態で液滴を微粒子にすることができる。ホロコーン状態で微粒子化される液滴は、効率良く乾燥、又は気化することができるために、噴霧乾燥用のノズルとして好適に用いることができる。このとき、ホロコーンのコーン角度は各々の加圧気体の噴射圧力によっても調整することができるため、ノズルと組み合わせて使用する乾燥機や乾燥炉の形状・寸法に合わせて適宜調整すればよい。
【0030】
また、本発明のノズルは、図4に示すように液体流路15、気液流路21、及び気体流路16をストレート形状に形成してもよい。図4は、本発明の液体を微粒子にするノズルの別の実施態様の先端部分を示す拡大図であり、(a)は断面図、(b)は正面図、(c)は側面図である。図4においては、液体流路15、気液流路21、及び気体流路16は環状ではなく、ストレート形状に形成された状態が示されている。このため、液体は平滑面17においてストレートな薄膜流又は気液混相流を形成した後に平滑面端部20から噴射される。このような実施態様とすることにより、微粒子32をストレート状に噴射することが可能となる。
【0031】
なお、本発明においては平滑面が独立して形成されているために、従来技術である特開平8−281155号公報(図5)において示すように、薄膜流19がエッジ35において合流することがなく、また、液膜からの微粒子化ではなく、図6に示すノズルと原理的には近く、加圧気体がジェット流となり、平滑面の端部から離れた空気中で対向衝突することによって効率的に液体の微粒子化に用いられるといった効果を有している。したがって、より少ない加圧気体を用いることにより、液体を微粒子にすることが可能である。具体的には、液体と気体の使用比率(気液比):G/L(vol比)=1000以上で10μm以下の微粒子を作ることができるとともに、単位時間当たりに液体を微粒子化することのできる量、即ち処理量は約100リットル/hr以上可能である。
【0032】
図1、2、及び4に代表される構造的特徴を有する本発明に係るノズルを用いれば、液体の状態では混合することができない2種類の液体を同時に噴射して、両者を均一に分散させることができる。また、同種類の液体を2分して、2つの液体供給口から噴射することも可能である。このようにすることにより、2液が反応して粘度が上がったり、固形化するような液体でも噴霧することが可能となる。なお、このような効果を奏する本発明のノズルは、図1、2、及び4に示される構造のノズルに限定されるものでないことはいうまでもない。
【0033】
更に、本発明に係るノズルにおいては、液体流路15の平滑面17に対する角度(θ)が鈍角となるようにすることが好ましい(図2)。例えば、具体的には角度θが100〜170°であることが好ましく、110〜160°であることが更に好ましく、125〜150°であることが特に好ましい。角度θは大きいほうが液体の流出が安定するが、液体流路15のスリット幅の値によって角度θは最適値が変動する。角度θは、平滑面17における液体流路15のスリット幅が2mmを超えない値に設計されることが好ましい。
【0034】
また、本発明のノズルの液体流路は、所定幅を有するスリット状に形成されていることが好ましい。図2に示すように、液体は平滑面17において薄膜状に引き伸ばされるために、液体流路15の時点で液体を薄膜状にして送り出す必要はないが、可能な限り一定の供給量が保持されることが好ましい。そこで、液体流路をスリット状に形成することによって一定の流量を規則正しく平滑面へと供給することが可能となる。なお、液体流路15のスリット幅は、送り出される液体の流量、平滑面17の長さ、平滑面17に噴射される加圧気体の流速、液体流路15の内径、及び液体が詰まらないこと等を考慮に入れ最適値に設定される。例えば、液体流路15のスリット幅は、0.2〜1.5mmが好ましく、0.3〜1mmが更に好ましく、0.4〜0.8mmが特に好ましい。
【0035】
なお、内側リング10は図3に示すような形状を有する部材であり、中心リング13と中間リング11の間に嵌め込まれる構造を有している。このとき、固定用凸部30のサイズと形状を適宜変えることによって、液体流路15を環状であるとともに前述のスリット幅を適当な値に調整することが可能である。
【0036】
図1、2において、気体流路16に気体を供給するために連通する1以上の気体供給口18はそれぞれ気体入口25を通じて加圧気体源(図示せず)に連結されており、当該気体は同一であっても、異なっていてもよく、液体を微粒子化する目的に応じて適宜選択することができる。加圧気体源から気体流路16方向へと供給される加圧気体は、適当な圧力に加圧されていることが好ましい。例えば、具体的には0.2〜2MPa(ゲージ圧)が好ましく、0.25〜1.5MPaが更に好ましく、0.3〜0.9MPaが特に好ましい。圧力を高く設定すると、平滑面17に沿って高速流動する加圧気体の流速が速くなるために、液滴を含むジェット流の衝突力を強めて、より小さい微粒子である液滴とすることができる。しかし、圧力を2MPa超に設定するためには特殊なコンプレッサが必要であるとともに、消費エネルギーも増大してしまう。また、圧力を0.2MPa未満に設定すると、微粒子化エネルギーを持つ高速のガス流を形成することができない。したがって、上記数値範囲内において、要求される液滴の粒子径と、消費エネルギーとの関係を考慮して適当な圧力値に設定することが好ましい。
【0037】
図8は、本発明のノズルの更に別の実施態様を示す図であり、(a)は上面図、(b)は断面図である。図1に示すノズルと同様に、液体入口27を通り、液体流路15から気液流路21内の平滑面17に供給された低粘度の液体は、平滑面17に沿って高速流動する加圧気体によって薄く引き伸ばされて薄膜流又は気液混相流となる。なお、液体流路15、気液流路21、及び気体流路16は環状に形成されており、液体は環状の薄膜流又は気液混相流となるために微粒子32は環状に噴射される。ここで図8に示すノズルは、気体供給口18及び液体供給口22を各々2個ずつ備えているため、異なる2種の気体・液体を使用して噴霧することが可能である。
【0038】
即ち、液体の状態では混合することができない2種類の液体を同時に噴射して、両者を均一に分散させることができ、また、2液が反応して粘度が上がったり、固形化するような液体でも噴霧することが可能となる。更に、気体供給口18も2つ備えているために、例えば、状況に応じて2種の異なるガスを使用したり、また、同種のガスを使用する場合であっても、各々の圧力を制御することにより微粒子が噴霧される方向や広がり具合を自在に調整することが可能である。
【0039】
更に、これまで述べてきたように、本発明に係るノズルは純粋な水以外の液体、即ち付着性が強い液体や薬剤等の溶質が溶解した状態の液体を微粒子化する目的に使用した場合においても、図2に示す液体流路15が詰まることはない。したがって、工業用加湿器としての使用も可能であるが、それ以外の目的である噴霧乾燥用のノズルとしての使用にも好適であるといった特性を有している。
【0040】
【実施例】
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
図4に示すストレートスリットノズル52(スリット幅(W)=12mm)を使用して、表1に示す試験No.1〜8の各条件(空気圧(MPa、ゲージ圧)、空気流量(l/min)、液圧(MPa、ゲージ圧)、液流量(l/min)、気液比(vol比))により水噴霧を行った。なお、液体流路15の平滑面17に対する角度θは135°、液体流路15の幅は0.5mmであった。噴霧に際して、ノズルからの距離200mmの位置にレーザー光散乱方式粒度分布測定装置(型式:LDSA−1400A、東日コンピューターアプリケーションズ(株)製)を設置し、噴霧された微粒子の平均粒子径(μm、ザウター平均径)の測定を行った。結果を表1に示す。また、気液比(vol比)に対して平均粒子径(μm)をプロットしたグラフを図9に示す。
【0041】
【表1】
【0042】
(実施例2)
実施例1において使用したストレートスリットノズル52を用い、10質量%デキストリン水溶液を試験No.1の条件にて噴霧、及び乾燥した。その結果、液状微粒子の平均粒子径が3.3μm、乾燥して得られた粉末(デキストリン)の平均粒子径は1.7μmであった。
【0043】
(考察)
表1、図9に示すように、気液比(vol比)を1000超とすると微粒子化効果は際立って発揮され、微粒子の平均粒子径(ザウター平均径)は10μm以下、更に、気液比(vol比)を2000超とした場合には、微粒子の平均粒子径が5μm以下となることが確認された。
しかし、空気圧を0.2MPa以下である0.15MPaとした場合(試験No.7)には、気液比が充分に大きいにもかかわらず、得られる微粒子の平均粒子径も大きくなることが判明した。
【0044】
また、空気圧を増加して気液比を増大させていき、気液比(vol比)を2000超としても微粒子の平均粒子径は変化せず、更に小さくすることはできなかった。即ち、ノズルのサイズ(気・液体流路の幅等)と当該ノズルの使用条件との間には適当な関係があることが示唆された。
【0045】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の液体を微粒子にする方法によれば、薄膜状の液体を空気中に噴射する構造を有しているために、ノズルの目詰まり等の不具合が発生し難く、また、液滴を含む2つのジェット流どうしを、平滑面の端部から離れた空気中で対向衝突させて微粒子にするために、加圧気体の使用量を減ずることができ、より効率的な微粒子形成を図ることが可能である。更に、同じく本発明の液体を微粒子にするノズルによれば、前記の方法を容易に達成する構造を有しており、単位時間当たりの微粒子化量が従来のノズルに比してより多いとともに、複数の液体・気体を独立に供給することも可能であるために、噴霧乾燥に用いられるノズルとして好適な特性を有している。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の液体を微粒子にするノズルの一実施態様の全体を示す断面図である。
【図2】本発明の液体を微粒子にするノズルの一実施態様の先端部分を示す拡大断面図である。
【図3】本発明の液体を微粒子にするノズルを構成する内側リングを示す斜視図である。
【図4】本発明の液体を微粒子にするノズルの別の実施態様の先端部分を示す拡大図であり、(a)は断面図、(b)は正面図、(c)は側面図である。
【図5】従来の液体を微粒子にするノズルの一実施態様を示す断面図である。
【図6】従来の他の実施例の液体を微粒子にするノズルの別の実施態様を示す概略断面図である。
【図7】従来の液体を微粒子にするノズルの更に別の実施態様を示す断面図である。
【図8】本発明の液体を微粒子にするノズルの更に別の実施態様を示す図であり、(a)は上面図、(b)は断面図である。
【図9】気液比(vol比)に対して平均粒子径(μm)をプロットしたグラフである。
【符号の説明】
1…気体流路、2…液滴、3…微粒子、4…中心孔、10…内側リング、11…中間リング、12…外側リング、13…中心リング、14…先端部材、15…液体流路、16…気体流路、17…平滑面、18…気体供給口、19…薄膜流、20…平滑面端部、21…気液流路、22…液体供給口、25…気体入口、26…気体入口、27…液体入口、30…固定用凸部、31…ジェット流、32…微粒子、35…エッジ、36…中心リング、37…スプレッディングエアー供給路、38…アトマイズエアー供給路、39…内側中間リング、52…ストレートスリットノズル。
Claims (6)
- スリット状の液体流路から液体を、2つの互いに独立した平滑面を備えたスリット状の気液流路に供給する工程と、
該液体を、気体流路から噴射され該平滑面に沿って高速流動するスリット状の気体流で薄く引き伸ばし、スリット状の2つの薄膜流又は気液混相流にする工程と、
前記2つの薄膜流又は気液混相流を、前記2つの互いに独立した平滑面の端部から、それぞれ独立して空気中に噴射して液滴を含む2つのジェット流にする工程と、
前記液滴を含む2つのジェット流どうしを、該平滑面の端部から離れた空気中において対向衝突させて液滴を微粒子にする工程とを備えることを特徴とする液体を微粒子にする方法。 - 前記液滴を含む2つのジェット流どうしを45〜150°の衝突角度で対向衝突させる請求項1に記載の液体を微粒子にする方法。
- 液体供給口と気体供給口が各々1以上設置され、
平滑面を備えた気液流路、該液体供給口と連通する液体流路、及び該気体供給口と連通する気体流路が、各々2つずつ互いに独立して設置され、
該液体流路は、該気体流路と該平滑面との接点に対して開口されるとともに該気液流路を構成し、
各々の該平滑面から伸ばした延長線どうしが、該平滑面の端部から離れた空気中で交叉するように、該気液流路が配置されていることを特徴とする液体を微粒子にするノズル。 - 各々の平滑面から伸ばした延長線どうしが交叉する角度が45〜150°に設定されている請求項3に記載の液体を微粒子にするノズル。
- 液体流路、気液流路、及び気体流路が環状又はストレート形状に形成されている請求項3又は4に記載の液体を微粒子にするノズル。
- 液体流路が所定幅を有し、かつ、液体流路の平滑面に対する角度が鈍角に設定されている請求項3〜5のいずれか一項に記載の液体を微粒子にするノズル。
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