JP3554146B2 - 光学活性トランス−3−イソカンフィルシクロヘキサノールを有効成分とする香料 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、香粧品等の附香に用いられる白檀様香気を有する光学活性なトランス−3− イソカンフィルシクロヘキサノールを含有する香料組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
3−イソカンフィルシクロヘキサノールは、工業的合成の困難な天然白檀精油の有効成分であるサンタロール類の代替え品として古くから開発された化合物の中で最も代表的かつ古典的な合成香料として知られている(西独国特許第834,593 号明細書 (1952年) 参照)。
【0003】
この3−イソカンフィルシクロヘキサノールは、カンフェンとグワヤコールを三フッ化ホウ素で反応させ、ついで水素添加して得られるトランス体及びシス体の混合物としてサンタレックスT(登録商標、高砂香料工業社製)等いくつかの商品名で市販されている香気成分である。
【0004】
一方、3−イソカンフィルシクロヘキサノールのトランス体及びシス体の異性体の中で、トランス構造を有するトランス−3− イソカンフィルシクロヘキサノールのみが白檀様香気を有し、さらに、トランス−3− イソカンフィルシクロヘキサノールはジアステレオマーの関係にある二種の立体異性体が存在するが、これらのエリトロ体及びトレオ体の両方が白檀香気を有することは知られている(E. Demole, Helv. Chim. Acta., Vol 47, 319−338 頁(1964 年) 参照)。
【0005】
トランス−3− イソカンフィルシクロヘキサノールは、分子内に不斉炭素を有しているため、エリトロ体及びトレオ体のそれぞれについて、(+) 体と(−) 体の二つの鏡像異性体が存在し、計4種の光学異性体が存在するが、トランス−3− イソカンフィルシクロヘキサノールの光学活性体の香気については報告されておらず、光学活性体を個々に合成したという報告はなく、もちろん香料として使用されている報告はない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
インド東部地方で生産される白檀の精油の供給には限りがある中で、各種香粧品及び保健衛生材料の多様化に伴い、従来にない需要が高まり、拡散性が良く、天然白檀の精油に近い香質を持ち、さらに、し好性が高くまた保留性に富み、且つ安全性の高い白檀様香気を有する香料物質の開発が要求されていた。白檀様香気を有する香料は、ウッディノートとしてその使用される製品に気品を与え、独特のオリエンタルな香気を付与できる。また、優れた残香性から付加価値の高い製品を供給できる。したがって、本発明の目的は、上記需要を満足させる白檀様香気を有する光学活性体及び当該光学活性体を有効成分とする香料を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、これらの問題点を解決すべく鋭意研究を行った結果、構造式(1)
【0008】
【化1】
【0009】
で表される(1R,3R,1’S,2’R,4’S,6’S)−3−(5’,5’,6’−トリメチルビシクロ[2.2.1] ヘプト−2’−イル) シクロヘキサン−1− オール、構造式(2)
【0010】
【化2】
【0011】
で表される(1S,3S,1’S,2’R,4’S,6’S)−3−(5’,5’,6’−トリメチルビシクロ[2.2.1] ヘプト−2’−イル) シクロヘキサン−1− オール、及び構造式(3)
【0012】
【化3】
【0013】
で表される(1R,3R,1’R,2’S,4’R,6’R)−3−(5’,5’,6’−トリメチルビシクロ[2.2.1] ヘプト−2’−イル) シクロヘキサン−1− オール
から選ばれる一種又は二種以上の光学活性なトランス−3− イソカンフィルシクロヘキサノールが、特に香気が強く、また天然白檀油に近い香気を有し、かび臭さを伴う香気がないため、有用な香料物質となり得ることを見出した。
【0014】
すなわち、本発明は、構造式(1)
【0015】
【化4】
【0016】
で表される(1R,3R,1’S,2’R,4’S,6’S)−3−(5’,5’,6’−トリメチルビシクロ[2.2.1] ヘプト−2’−イル) シクロヘキサン−1− オール、すなわち、d−(+)−トレオ− トランス −3−イソカンフィルシクロヘキサノール、構造式(2)
【0017】
【化5】
【0018】
で表される(1S,3S,1’S,2’R,4’S,6’S)−3−(5’,5’,6’−トリメチルビシクロ[2.2.1] ヘプト−2’−イル) シクロヘキサン−1− オール、すなわち、d−(+)−エリトロ− トランス− 3−イソカンフィルシクロヘキサノール、及び構造式(3)
【0019】
【化6】
【0020】
で表される(1R,3R,1'R,2'S,4'R,6'R)-3-(5',5',6'-トリメチルビシクロ[2.2.1] ヘプト-2'-イル) シクロヘキサン-1- オール、すなわち、l-(-)-エリトロ- トランス- 3-イソカンフィルシクロヘキサノール、で表される光学活性なトランス-3- イソカンフィルシクロヘキサノールの一種又は二種以上からなる(但し、 (1S,3S,1'S,2'R,4'S,6'S)-3-(5',5',6'- トリメチルビシクロ [2.2.1] ヘプト -2'- イル ) シクロヘキサン -1- オールと (1R,3R,1'R,2'S,4'R,6'R)-3-(5',5',6'- トリメチルビシクロ [2.2.1] ヘプト -2'- イル ) シクロヘキサン -1- オールとを同時に含有することはないものとする)ことを特徴とする香料組成物、光学活性なトランス-3- イソカンフィルシクロヘキサノールが50重量%以上であるトランス-3- イソカンフィルシクロヘキサノールを含有することを特徴とする香料組成物、及び光学活性なトランス-3- イソカンフィルシクロヘキサノールが5重量%以上である3-イソカンフィルシクロヘキサノールを含有することを特徴とする香料組成物である。
【0021】
以下に、本発明をさらに詳細に説明する。
本発明の光学的に活性なトランス−3− イソカンフィルシクロヘキサノールは、例えば、次に示す方法により得ることができる。
【0022】
すなわち、ラセミ体のトランス−3− イソカンフィルシクロヘキサノールを光学活性な保持層を有する液体クロマトグラフィー等により分離することにより得ることができる。光学活性な保持層を有する液体クロマトグラフィーのカラムには、CHIRALCEL OD−HやOJ(ダイセル化学工業株式会社製)又はCHIRALPAK AD(ダイセル化学工業株式会社製)、その他の光学活性な保持層を有する液体クロマトグラフィーカラム等を用いることにより可能であるが、何らこれらに限定されるものではない。
【0023】
ラセミ体のトランス−3− イソカンフィルシクロヘキサノールは、例えば、公知の方法であるカンフェンとグワヤコールを原料に合成することができるが、カンフェンとベラトロール(カテコールジメチルエーテル)を用い、イソカンフィルベラトロールを合成し、加水分解後水素化により、イソカンフィルシクロヘキサノールを合成する方法(特開昭54−148753号公報参照)の他、カンフェンとカテコールを用い、イソカンフィルカテコールを合成した後に、水素化する方法(特開昭57−118507号公報参照)等の組み合わせが考えられるが、これらに限定されるものではない。
【0024】
得られたラセミ体のトランス−3− イソカンフィルシクロヘキサノールを、CHIRALCEL ODを用い、示差屈折計を検出器とした液体クロマトグラフ装置を用い、溶出液としてヘキサン/イソプロピルアルコール=100/1で分離し、4種の光学活性体をそれぞれ分取する。用いられる溶出液は、これ以外にもヘキサン/エタノール=300/1、等、炭化水素系の溶媒と極性溶媒の組み合わせによって分離することが可能であるが、これらに何ら限定されるものではない。
【0025】
このようにして得られた光学活性トランス−3− イソカンフィルシクロヘキサノールについて、専門パネラーにより香気評価を行った。その結果、このトランス構造を有するトレオ体の内、光学活性体であるd−(+)−threo−trans−3−isocamphylcyclohexanol(すなわち、(1R,3R,1’S,2’R,4’S,6’S)−3−(5’,5’,6’−trimethylbicyclo[2.2.1]hept−2’−yl)cyclohexan−1−ol )が特に拡散性のある非常に強い鋭く、且つ天然白檀油に近い、白檀様香気を有しているのに対し、その鏡像体であるl−(−)−threo−trans−3−isocamphylcyclohexanol(すなわち、(1S,3S,1’R,2’S,4’R,6’R)−3−(5’,5’,6’−trimethylbicyclo[2.2.1]hept−2’−yl)cyclohexan−1−ol )の香気は弱く、またかび臭く香気価値に乏しく、これが存在すると香気に大きく影響を与え閾値も増大させてしまうことが明らかとなった。
【0026】
また、、特にd−(+)−threo−trans−3−isocamphylcyclohexanol(すなわち、(1R,3R,1’S,2’R,4’S,6’S)−3−(5’,5’,6’−trimethylbicyclo[2.2.1]hept−2’−yl)cyclohexan−1−ol )が優れており、単独での閾値は0.2ppbであり、大変好ましいことが明らかになった。
【0027】
さらに、これらのd−(+)−threo−trans−3−isocamphylcyclohexanol(すなわち、(1R,3R,1’S,2’R,4’S,6’S)−3−(5’,5’,6’−trimethylbicyclo[2.2.1]hept−2’−yl)cyclohexan−1−ol )、d−(+)−erythro−trans−3−isocamphylcyclohexanol(すなわち、(1S,3S,1’S,2’R,4’S,6’S)−3−(5’,5’,6’−trimethylbicyclo[2.2.1]hept−2’−yl)cyclohexan−1−ol )、及びl−(−)−erythro−trans−3−isocamphylcyclohexanol(すなわち、(1R,3R,1’R,2’S,4’R,6’R)−3−(5’,5’,6’−trimethylbicyclo[2.2.1]hept−2’−yl)cyclohexan−1−ol )が、特にかび臭さを伴う香気がないため、有用な香料物質となり得ることが明らかとなった(表1、2及び表3参照)。
【0028】
これらの化合物は、従来知られていたラセミ体のトランス−3− イソカンフィルシクロヘキサノールよりも、香気強度が優れ、少ない使用量で同様の効果を発揮するため、使用量を削減でき、環境問題や安全面の点からも優れている。
【0029】
本発明の化合物、d−(+)−threo−trans−3−isocamphylcyclohexanol、d−(+)−erythro−trans−3−isocamphylcyclohexanol及びl−(−)−erythro−trans−3−isocamphylcyclohexanolは、それぞれ、単品として香料中に0.0001重量%以上の濃度で使用し、その香料に天然白檀油に近い白檀様香気を付与できるが、これらの三種の光学活性体を混合して、0.0001%以上の濃度で用いてもよい。また従来使用されているラセミ体のトランス−3− イソカンフィルシクロヘキサノールに50重量%以上の濃度で混合して用いても、その香料にかび臭さのない白檀様香気を付与できる。
【0030】
これらの光学活性トランス−3− イソカンフィルシクロヘキサノールは、香料調合品に添加すると、拡散性、保留性を高め、且つ天然白檀油に近い、白檀様香気を付与し、さらにかび臭さを伴う香気がない新鮮な、し好性の高い香気付与、あるいは香気改良補強剤を提供でき、また、香料成分として、香粧品類、保健衛生材料、医薬品などに好適に使用することができる。すなわち、シャンプー、リンス類、香水、コロン類、ヘヤートニック、ヘヤークリーム類、さらにその他の化粧料基材や化粧料洗剤、石鹸、洗剤、さらに室内芳香剤、消毒剤、その他の保健衛生用洗剤類、等に使用し、それらの商品価値を高めることができる。
【0031】
【実施例】
以下に実施例によって本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は、これらの実施例によって何ら限定されるものではない。
【0032】
なお、本実施例においては、次の分析機器を採用した。また、各絶対構造の決定は楠見らにより報告されている方法(楠見ら、Tetrahedron Lett., 32, 2923 (1991)) を用いて行った。
【0033】
高速液体クロマトグラフィー
ポンプ:LC−6A (株式会社島津製作所製)
カラム:CHIRALCEL OD(ダイセル化学工業株式会社製)
検出器:YRD−880 型示差屈折式検出器(島村製作所社製)
ガスクロマトグラフィー質量分析計
機器:HP−5890 シリーズII(ヒューレットパッカード社製)及びM−2000A (株式会社日立製作所製)
カラム:BC−WAX (0.25mm x 50m, 0.15μm)
測定温度:70−220℃ (4 ℃/ 分で昇温)
注入温度:250 ℃
プロトン核磁気共鳴スペクトル (1H NMR)
機器:AMX−400 型 (400MHz) FT−NMR測定装置 (ブルカー社製)
内部標準:テトラメチルシラン
13C 核磁気共鳴スペクトル (13C NMR)
機器:AMX−400 型 (100MHz) FT−NMR測定装置 (ブルカー社製)
内部標準:テトラメチルシラン
赤外吸収スペクトル (IR)
機器: FT−IR−8200PC(株式会社島津製作所製)
測定法: フィルム法
旋光度
機器: DIP−360 型旋光度測定器(日本分光株式会社製)
【0034】
【実施例1】
光学活性トランス−3− イソカンフィルシクロヘキサノールの合成
カンフェン4g、グワヤコール20g 及びトルエン45mlを反応フラスコに入れ、酸性白土10g 及び硫酸1gを加え、60−70 ℃で4時間、撹拌した。ついで120 ℃で1.5 時間撹拌した。反応後、酸性白土をろ過し、反応液を中和後、蒸留によりトルエン及び未反応のグワヤコールを留去し、イソカンフィルグワヤコール7gを得た。得られたイソカンフィルグワヤコール7gにn−ブタノール10ml、水酸化カリウム100mg を加え、オートクレーブでラネーニケッル触媒500mg を用い、水素圧90−100kg/cm2、温度180−200 ℃で水素添加を行った。反応後、溶媒を留去し、イソカンフィルシクロヘキサノール異性体混合物6.5gを得た。さらに蒸留により精製を行い、トランス−3− イソカンフィルシクロヘキサノール480mg を得た。このトランス−3− イソカンフィルシクロヘキサノールをCHIRALCEL ODを用い、示差屈折計を検出器とした液体クロマトグラフ装置を用い、溶出液としてヘキサン/イソプロピルアルコール=100/1により10ml/minの流速で光学分割を行い、分離し、保持時間39.5分でd−(+)−erythro−trans−3−isocamphylcyclohexanol, 110mg 及び保持時間47.0分でl−(−)−erythro−trans−3−isocamphylcyclohexanol, 120mg 、さらに、保持時間44.0分でd−(+)−threo−trans−3−isocamphylcyclohexanol, 105mg 及び保持時間52.0分でl−(−)−threo−trans−3−isocamphylcyclohexanol, 115mg を、それぞれ、光学活性体として分離し、得ることができた。得られた光学活性トランス−3− イソカンフィルシクロヘキサノールの物性は以下のとおりであった。
【0035】
(+)−erythro−trans−3−isocamphylcyclohexanol
[ α] D 25 +28.1( c, 1.2 CHCl3)
MS (EI) (m/z) 95(100), 81(52), 135(43), 110(33), 236(4)
IR 3420, 2900, 1450, 1385, 1140, 1030
1H NMRδ 1.06 (1H, brs), 1.87−0.65(18H, m), 0.90(3H, s), 0.84(3H , s), 0.82(3H, d, J=7.4)
13C NMR δ 66.8, 49.4, 48.9, 48.0, 47.9,40.4, 38.8, 36.3, 33.4,33.4, 31.1, 29.4, 27.4, 24.8,20.0, 16.2
【0036】
(−)−erythro−trans−3−isocamphylcyclohexanol
[ α] D 25 −26.5 ( c, 1.1 CHCl3 )
MS (EI) (m/z) 95(100), 81(52), 135(43), 110(33), 236(4)
IR 3420, 2900, 1450, 1385, 1140, 1030
1H NMRδ 4.06 (1H, brs), 1.87−0.65(18H, m), 0.90(3H, s), 0.84(3H,s), 0.82(3H, d, J=7.4)
13C NMR δ 66.8, 49.4, 48.9, 48.0, 47.940.4, 38.8, 36.3, 33.4,33.4, 31.1, 29.4, 27.4, 24.8, 20.0, 16.2
【0037】
(+)−threo−trans−3−isocamphylcyclohexanol
[ α] D 25 +29.6 ( c, 1.3 CHCl3 )
MS (EI) (m/z) 97(100), 135(94), 81(72), 123(42), 236(4)
IR 3400, 2900, 2450, 1385, 1140, 1030, 1020
1H NMRδ 4.06(1H, brs) 1.82−0.65(18H, m) 0.91(3H, s) 0.84(3H, s)0.83(3H, d, J=7.5)
13C NMR δ 66.8, 49.5, 49.0, 48.0, 48.0, 39.2,37.0, 36.4, 33.3,33.0, 31.4, 31.1, 27.4, 24.8,20.0, 16.2
【0038】
(−)−threo−trans−3−isocamphylcyclohexanol
[ α] D 25 −32.1 ( c, 1.5 CHCl3 )
MS (EI) (m/z) 97(100), 135(94), 81(72), 123(42), 236(4)
IR 3400, 2900, 2450, 1385, 1140, 1030, 1020
1H NMRδ 4.06(1H, brs) 1.82−0.65(18H, m) 0.91(3H, s) 0.84(3H, s)0.83(3H, d, J=7.5)
13C NMR δ 66.8, 49.5, 49.0, 48.0, 48.0, 39.2,37.0, 36.4, 33.3,33.0, 31.4, 31.1, 27.4, 24.8,20.0, 16.2
【0039】
香質の評価
本発明の光学活性体品50重量%と従来知られていたラセミ体のトランス− 3− イソカンフィルシクロヘキサノール50重量%からなる混合物について、5人の専門パネラーにより評価したところ、表1に示したように、ラセミ体のトランス− 3− イソカンフィルシクロヘキサノール100重量%に比べて、充分顕著な差が認められた。
【0040】
【表1】
【0041】
また、本発明の光学活性体品1〜5重量%とラセミ体の3− イソカンフィルシクロヘキサノール99〜95重量%からなる混合物について、5人の専門パネラーにより評価したところ、表2に示したように、ラセミ体の3− イソカンフィルシクロヘキサノール100重量%に比べて、充分顕著な差が認められた。
【0042】
【表2】
【0043】
閾値及び香質の測定
前記方法によって得られた各種の光学活性なトランス−3− イソカンフィルシクロヘキサノールについてそれぞれの閾値を求めた。光学活性なトランス−3− イソカンフィルシクロヘキサノールの各種濃度のエタノール溶液を調製し、その溶液10マイクロリットルを20ミリリットルの蒸留水に附香したものを閾値測定用サンプルとし、10マイクロリットルのエタノールだけを加えたものをコントロールとしてそれら二点及びサンプル一点の三点のなかで香気を有するものを選び出す三点法を用い実施した。専門パネラー10名により評価を行い、10名中、7 名が正解し得る最も低い濃度を閾値とした。
【0044】
その結果、表3に示したように、d−(+)−threo−trans−3−isocamphylcyclohexanolは0.2ppbの濃度の閾値を有しており、その香調は天然白檀油に近い香気を有していた。それらに比べ、 l−(−)−threo−trans−3−isocamphylcyclohexanol は0.2ppmでかび臭さを伴うものであり、d−(+)−threo−trans−3−isocamphylcyclohexanolに対して実に1000倍の濃厚溶液でしか香気を発現せず、鏡像体間で顕著な閾値の差を有していた。さらに、d−(+)−erythro−trans−3−isocamphylcyclohexanolは7ppbであり、l−(−)−erythro−trans−3−isocamphylcyclohexanolは3ppbで暖かみのある白檀様香気を有していた。また、従来知られていたラセミ体のトランス−3− イソカンフィルシクロヘキサノールに比べても、d−(+)−erythro−trans−3−isocamphylcyclohexanol、l−(−)−erythro−trans−3−isocamphylcyclohexanol及びd−(+)−threo−trans−3−isocamphylcyclohexanolのそれぞれ共に香気強度が高いことが明らかになった。その中でも特にd−(+)−threo−trans−3−isocamphylcyclohexanolは特に強い鋭い、また拡散性の強い、且つ天然白檀油に近い、白檀様香気を有していることが明らかになった。
【0045】
【表3】
【0046】
【実施例2】
白檀香料ベース
本発明で得られた各種の光学活性なトランス−3− イソカンフィルシクロヘキサノールもしくは各種の光学活性なトランス−3− イソカンフィルシクロヘキサノールを一定の比で混合した光学活性なトランス−3− イソカンフィルシクロヘキサノールを用い、下記の処方で白檀香料ベースを調整し、その効果を五人の専門パネラーで比較検討した。その結果、光学活性なトランス−3− イソカンフィルシクロヘキサノールを附香することによって、天然白檀香に近い、白檀香を付与することができ、光学活性なトランス−3− イソカンフィルシクロヘキサノールを用いたものが強度的に圧倒的に優れており、またかび臭さが無く香気的にも優れていることを示した。
【0047】
白檀香料ベース
成分 重量部
4−フェニルプロピルピリジン 28
4−メチル−5− チアゾリルエタノール 14
アミリスオイル 42
ベンジルベンゾエート 478
ガラクソリド(インターナショナルフレーバーアンド
フレグランシズ社製、商品名) 30
ガンマ− ウンデカラクトン 3
ジヒドロアビエチン酸メチル 320
アセチルセドレン 50
トランス−3− イソカンフィルシクロヘキサノール 35
合計 1000
【0048】
【実施例3】
白檀香料ベース
実施例2の処方に従い、本発明で得られた各種の光学活性なトランス−3− イソカンフィルシクロヘキサノールもしくは各種の光学活性なトランス−3− イソカンフィルシクロヘキサノールを0.0001重量%の比で混合した光学活性なトランス−3− イソカンフィルシクロヘキサノールを用い白檀香料ベースを調整し、その効果を五人の専門パネラーで比較検討した。一方、従来知られていたラセミ体のトランス−3− イソカンフィルシクロヘキサノールを0.0005重量%用い調整した処方の物と比較した。その結果、表4に示したように、0.0001重量%の光学活性なトランス−3− イソカンフィルシクロヘキサノールを附香することによって、効果のあることを示した。
【0049】
白檀香料ベース
成分 重量部
4−フェニルプロピルピリジン 28
4−メチル−5− チアゾリルエタノール 14
アミリスオイル 42
ベンジルベンゾエート 512.9
ガラクソリド(インターナショナルフレーバーアンド
フレグランシズ社製、商品名) 30
ガンマ− ウンデカラクトン 3
ジヒドロアビエチン酸メチル 320
アセチルセドレン 50
トランス−3− イソカンフィルシクロヘキサノール 0.1
合計 1000
【0050】
【表4】
【0051】
【実施例4】
石鹸用香料組成物
光学活性なトランス−3− イソカンフィルシクロヘキサノールもしくはラセミ体のトランス−3− イソカンフィルシクロヘキサノールを用い、下記の表で示す割合で添加し、次の処方の石鹸用香料組成物を調製し、その効果を五人の専門パネラーで比較検討した。その結果、全員が光学活性なトランス−3− イソカンフィルシクロヘキサノールを用いたものが、まとまりのある香気を有し、更に残香性を有し、優れていることを示した。
【0052】
石鹸用香料組成物
成分 重量部
ドデカナール 6.5
クマリン 60.0
エチルバニリン 1.0
ゼラニュウムオイル 6.0
コバノール(高砂香料工業株式会社製、商品名) 20.0
l−シトロネロール 100.0
l−シトロネリルアセタート 50.0
リリアール(ジボダン社製、商品名) 80.0
テトラヒドロリナロール 100.0
リナリルアセタート 50.0
ジヒドロアビエチン酸メチル 70.0
リモネン 10.0
ベルベトン(高砂香料工業株式会社製、商品名) 120.0
パチョリオイル 13.0
フェニルエチルアルコール 116.0
ラズベリーケトン 2.0
スチラリルアセタート 8.0
トナリド(PFW社製、商品名) 50.0
トワナール(高砂香料工業株式会社製、商品名) 11.0
トランス−3− イソカンフィルシクロヘキサノール 12.0
ベンジルベンゾエート 114.5
合計 1000
【0053】
【実施例5】
女性用ミューゲ調香料組成物
光学活性なトランス−3− イソカンフィルシクロヘキサノールもしくはラセミ体のトランス−3− イソカンフィルシクロヘキサノールを用い、下記の表で示す割合で添加し、次の処方の女性用ミューゲ調香料組成物を調製し、その効果を五人の専門パネラーで比較検討した。その結果、全員が光学活性なトランス−3− イソカンフィルシクロヘキサノールを用いたものが、女性用ミューゲ調香料としてのバランスが良く、更に残香性を有し、優れていることを示した。
【0054】
女性用ミューゲ調香料組成物
成分 重量部
ラウリナール(高砂香料工業株式会社製、商品名) 50
コバノール(高砂香料工業株式会社製、商品名) 300
リリアール(ジボダン社製、商品名) 100
フェニルエチルアルコール 150
へキシルシンナミックアルデヒド 185
シトロネロール 70
ゲラニオール 30
ベンジルアセタート 20
インドール 3
シトラール 1
リナロール 50
ターピネオール 30
フェニルアセトアルデヒドジメチルアセタール 5
シトロネラール 1
ベンジルベンゾエート 4.5
トランス−3− イソカンフィルシクロヘキサノール 0.5
合計 1000
【0055】
【発明の効果】
本発明は、光学活性トランス−3− イソカンフィルシクロヘキサノールを有効成分とする新規な香料を提供するものである。光学活性トランス−3− イソカンフィルシクロヘキサノールは、香料としての性質に優れ、これにより光学活性トランス−3− イソカンフィルシクロヘキサノールを有効成分とする香料は各種香粧品類、保健衛生材料等の広い範囲に用いられる。
【発明の属する技術分野】
本発明は、香粧品等の附香に用いられる白檀様香気を有する光学活性なトランス−3− イソカンフィルシクロヘキサノールを含有する香料組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
3−イソカンフィルシクロヘキサノールは、工業的合成の困難な天然白檀精油の有効成分であるサンタロール類の代替え品として古くから開発された化合物の中で最も代表的かつ古典的な合成香料として知られている(西独国特許第834,593 号明細書 (1952年) 参照)。
【0003】
この3−イソカンフィルシクロヘキサノールは、カンフェンとグワヤコールを三フッ化ホウ素で反応させ、ついで水素添加して得られるトランス体及びシス体の混合物としてサンタレックスT(登録商標、高砂香料工業社製)等いくつかの商品名で市販されている香気成分である。
【0004】
一方、3−イソカンフィルシクロヘキサノールのトランス体及びシス体の異性体の中で、トランス構造を有するトランス−3− イソカンフィルシクロヘキサノールのみが白檀様香気を有し、さらに、トランス−3− イソカンフィルシクロヘキサノールはジアステレオマーの関係にある二種の立体異性体が存在するが、これらのエリトロ体及びトレオ体の両方が白檀香気を有することは知られている(E. Demole, Helv. Chim. Acta., Vol 47, 319−338 頁(1964 年) 参照)。
【0005】
トランス−3− イソカンフィルシクロヘキサノールは、分子内に不斉炭素を有しているため、エリトロ体及びトレオ体のそれぞれについて、(+) 体と(−) 体の二つの鏡像異性体が存在し、計4種の光学異性体が存在するが、トランス−3− イソカンフィルシクロヘキサノールの光学活性体の香気については報告されておらず、光学活性体を個々に合成したという報告はなく、もちろん香料として使用されている報告はない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
インド東部地方で生産される白檀の精油の供給には限りがある中で、各種香粧品及び保健衛生材料の多様化に伴い、従来にない需要が高まり、拡散性が良く、天然白檀の精油に近い香質を持ち、さらに、し好性が高くまた保留性に富み、且つ安全性の高い白檀様香気を有する香料物質の開発が要求されていた。白檀様香気を有する香料は、ウッディノートとしてその使用される製品に気品を与え、独特のオリエンタルな香気を付与できる。また、優れた残香性から付加価値の高い製品を供給できる。したがって、本発明の目的は、上記需要を満足させる白檀様香気を有する光学活性体及び当該光学活性体を有効成分とする香料を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、これらの問題点を解決すべく鋭意研究を行った結果、構造式(1)
【0008】
【化1】
【0009】
で表される(1R,3R,1’S,2’R,4’S,6’S)−3−(5’,5’,6’−トリメチルビシクロ[2.2.1] ヘプト−2’−イル) シクロヘキサン−1− オール、構造式(2)
【0010】
【化2】
【0011】
で表される(1S,3S,1’S,2’R,4’S,6’S)−3−(5’,5’,6’−トリメチルビシクロ[2.2.1] ヘプト−2’−イル) シクロヘキサン−1− オール、及び構造式(3)
【0012】
【化3】
【0013】
で表される(1R,3R,1’R,2’S,4’R,6’R)−3−(5’,5’,6’−トリメチルビシクロ[2.2.1] ヘプト−2’−イル) シクロヘキサン−1− オール
から選ばれる一種又は二種以上の光学活性なトランス−3− イソカンフィルシクロヘキサノールが、特に香気が強く、また天然白檀油に近い香気を有し、かび臭さを伴う香気がないため、有用な香料物質となり得ることを見出した。
【0014】
すなわち、本発明は、構造式(1)
【0015】
【化4】
【0016】
で表される(1R,3R,1’S,2’R,4’S,6’S)−3−(5’,5’,6’−トリメチルビシクロ[2.2.1] ヘプト−2’−イル) シクロヘキサン−1− オール、すなわち、d−(+)−トレオ− トランス −3−イソカンフィルシクロヘキサノール、構造式(2)
【0017】
【化5】
【0018】
で表される(1S,3S,1’S,2’R,4’S,6’S)−3−(5’,5’,6’−トリメチルビシクロ[2.2.1] ヘプト−2’−イル) シクロヘキサン−1− オール、すなわち、d−(+)−エリトロ− トランス− 3−イソカンフィルシクロヘキサノール、及び構造式(3)
【0019】
【化6】
【0020】
で表される(1R,3R,1'R,2'S,4'R,6'R)-3-(5',5',6'-トリメチルビシクロ[2.2.1] ヘプト-2'-イル) シクロヘキサン-1- オール、すなわち、l-(-)-エリトロ- トランス- 3-イソカンフィルシクロヘキサノール、で表される光学活性なトランス-3- イソカンフィルシクロヘキサノールの一種又は二種以上からなる(但し、 (1S,3S,1'S,2'R,4'S,6'S)-3-(5',5',6'- トリメチルビシクロ [2.2.1] ヘプト -2'- イル ) シクロヘキサン -1- オールと (1R,3R,1'R,2'S,4'R,6'R)-3-(5',5',6'- トリメチルビシクロ [2.2.1] ヘプト -2'- イル ) シクロヘキサン -1- オールとを同時に含有することはないものとする)ことを特徴とする香料組成物、光学活性なトランス-3- イソカンフィルシクロヘキサノールが50重量%以上であるトランス-3- イソカンフィルシクロヘキサノールを含有することを特徴とする香料組成物、及び光学活性なトランス-3- イソカンフィルシクロヘキサノールが5重量%以上である3-イソカンフィルシクロヘキサノールを含有することを特徴とする香料組成物である。
【0021】
以下に、本発明をさらに詳細に説明する。
本発明の光学的に活性なトランス−3− イソカンフィルシクロヘキサノールは、例えば、次に示す方法により得ることができる。
【0022】
すなわち、ラセミ体のトランス−3− イソカンフィルシクロヘキサノールを光学活性な保持層を有する液体クロマトグラフィー等により分離することにより得ることができる。光学活性な保持層を有する液体クロマトグラフィーのカラムには、CHIRALCEL OD−HやOJ(ダイセル化学工業株式会社製)又はCHIRALPAK AD(ダイセル化学工業株式会社製)、その他の光学活性な保持層を有する液体クロマトグラフィーカラム等を用いることにより可能であるが、何らこれらに限定されるものではない。
【0023】
ラセミ体のトランス−3− イソカンフィルシクロヘキサノールは、例えば、公知の方法であるカンフェンとグワヤコールを原料に合成することができるが、カンフェンとベラトロール(カテコールジメチルエーテル)を用い、イソカンフィルベラトロールを合成し、加水分解後水素化により、イソカンフィルシクロヘキサノールを合成する方法(特開昭54−148753号公報参照)の他、カンフェンとカテコールを用い、イソカンフィルカテコールを合成した後に、水素化する方法(特開昭57−118507号公報参照)等の組み合わせが考えられるが、これらに限定されるものではない。
【0024】
得られたラセミ体のトランス−3− イソカンフィルシクロヘキサノールを、CHIRALCEL ODを用い、示差屈折計を検出器とした液体クロマトグラフ装置を用い、溶出液としてヘキサン/イソプロピルアルコール=100/1で分離し、4種の光学活性体をそれぞれ分取する。用いられる溶出液は、これ以外にもヘキサン/エタノール=300/1、等、炭化水素系の溶媒と極性溶媒の組み合わせによって分離することが可能であるが、これらに何ら限定されるものではない。
【0025】
このようにして得られた光学活性トランス−3− イソカンフィルシクロヘキサノールについて、専門パネラーにより香気評価を行った。その結果、このトランス構造を有するトレオ体の内、光学活性体であるd−(+)−threo−trans−3−isocamphylcyclohexanol(すなわち、(1R,3R,1’S,2’R,4’S,6’S)−3−(5’,5’,6’−trimethylbicyclo[2.2.1]hept−2’−yl)cyclohexan−1−ol )が特に拡散性のある非常に強い鋭く、且つ天然白檀油に近い、白檀様香気を有しているのに対し、その鏡像体であるl−(−)−threo−trans−3−isocamphylcyclohexanol(すなわち、(1S,3S,1’R,2’S,4’R,6’R)−3−(5’,5’,6’−trimethylbicyclo[2.2.1]hept−2’−yl)cyclohexan−1−ol )の香気は弱く、またかび臭く香気価値に乏しく、これが存在すると香気に大きく影響を与え閾値も増大させてしまうことが明らかとなった。
【0026】
また、、特にd−(+)−threo−trans−3−isocamphylcyclohexanol(すなわち、(1R,3R,1’S,2’R,4’S,6’S)−3−(5’,5’,6’−trimethylbicyclo[2.2.1]hept−2’−yl)cyclohexan−1−ol )が優れており、単独での閾値は0.2ppbであり、大変好ましいことが明らかになった。
【0027】
さらに、これらのd−(+)−threo−trans−3−isocamphylcyclohexanol(すなわち、(1R,3R,1’S,2’R,4’S,6’S)−3−(5’,5’,6’−trimethylbicyclo[2.2.1]hept−2’−yl)cyclohexan−1−ol )、d−(+)−erythro−trans−3−isocamphylcyclohexanol(すなわち、(1S,3S,1’S,2’R,4’S,6’S)−3−(5’,5’,6’−trimethylbicyclo[2.2.1]hept−2’−yl)cyclohexan−1−ol )、及びl−(−)−erythro−trans−3−isocamphylcyclohexanol(すなわち、(1R,3R,1’R,2’S,4’R,6’R)−3−(5’,5’,6’−trimethylbicyclo[2.2.1]hept−2’−yl)cyclohexan−1−ol )が、特にかび臭さを伴う香気がないため、有用な香料物質となり得ることが明らかとなった(表1、2及び表3参照)。
【0028】
これらの化合物は、従来知られていたラセミ体のトランス−3− イソカンフィルシクロヘキサノールよりも、香気強度が優れ、少ない使用量で同様の効果を発揮するため、使用量を削減でき、環境問題や安全面の点からも優れている。
【0029】
本発明の化合物、d−(+)−threo−trans−3−isocamphylcyclohexanol、d−(+)−erythro−trans−3−isocamphylcyclohexanol及びl−(−)−erythro−trans−3−isocamphylcyclohexanolは、それぞれ、単品として香料中に0.0001重量%以上の濃度で使用し、その香料に天然白檀油に近い白檀様香気を付与できるが、これらの三種の光学活性体を混合して、0.0001%以上の濃度で用いてもよい。また従来使用されているラセミ体のトランス−3− イソカンフィルシクロヘキサノールに50重量%以上の濃度で混合して用いても、その香料にかび臭さのない白檀様香気を付与できる。
【0030】
これらの光学活性トランス−3− イソカンフィルシクロヘキサノールは、香料調合品に添加すると、拡散性、保留性を高め、且つ天然白檀油に近い、白檀様香気を付与し、さらにかび臭さを伴う香気がない新鮮な、し好性の高い香気付与、あるいは香気改良補強剤を提供でき、また、香料成分として、香粧品類、保健衛生材料、医薬品などに好適に使用することができる。すなわち、シャンプー、リンス類、香水、コロン類、ヘヤートニック、ヘヤークリーム類、さらにその他の化粧料基材や化粧料洗剤、石鹸、洗剤、さらに室内芳香剤、消毒剤、その他の保健衛生用洗剤類、等に使用し、それらの商品価値を高めることができる。
【0031】
【実施例】
以下に実施例によって本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は、これらの実施例によって何ら限定されるものではない。
【0032】
なお、本実施例においては、次の分析機器を採用した。また、各絶対構造の決定は楠見らにより報告されている方法(楠見ら、Tetrahedron Lett., 32, 2923 (1991)) を用いて行った。
【0033】
高速液体クロマトグラフィー
ポンプ:LC−6A (株式会社島津製作所製)
カラム:CHIRALCEL OD(ダイセル化学工業株式会社製)
検出器:YRD−880 型示差屈折式検出器(島村製作所社製)
ガスクロマトグラフィー質量分析計
機器:HP−5890 シリーズII(ヒューレットパッカード社製)及びM−2000A (株式会社日立製作所製)
カラム:BC−WAX (0.25mm x 50m, 0.15μm)
測定温度:70−220℃ (4 ℃/ 分で昇温)
注入温度:250 ℃
プロトン核磁気共鳴スペクトル (1H NMR)
機器:AMX−400 型 (400MHz) FT−NMR測定装置 (ブルカー社製)
内部標準:テトラメチルシラン
13C 核磁気共鳴スペクトル (13C NMR)
機器:AMX−400 型 (100MHz) FT−NMR測定装置 (ブルカー社製)
内部標準:テトラメチルシラン
赤外吸収スペクトル (IR)
機器: FT−IR−8200PC(株式会社島津製作所製)
測定法: フィルム法
旋光度
機器: DIP−360 型旋光度測定器(日本分光株式会社製)
【0034】
【実施例1】
光学活性トランス−3− イソカンフィルシクロヘキサノールの合成
カンフェン4g、グワヤコール20g 及びトルエン45mlを反応フラスコに入れ、酸性白土10g 及び硫酸1gを加え、60−70 ℃で4時間、撹拌した。ついで120 ℃で1.5 時間撹拌した。反応後、酸性白土をろ過し、反応液を中和後、蒸留によりトルエン及び未反応のグワヤコールを留去し、イソカンフィルグワヤコール7gを得た。得られたイソカンフィルグワヤコール7gにn−ブタノール10ml、水酸化カリウム100mg を加え、オートクレーブでラネーニケッル触媒500mg を用い、水素圧90−100kg/cm2、温度180−200 ℃で水素添加を行った。反応後、溶媒を留去し、イソカンフィルシクロヘキサノール異性体混合物6.5gを得た。さらに蒸留により精製を行い、トランス−3− イソカンフィルシクロヘキサノール480mg を得た。このトランス−3− イソカンフィルシクロヘキサノールをCHIRALCEL ODを用い、示差屈折計を検出器とした液体クロマトグラフ装置を用い、溶出液としてヘキサン/イソプロピルアルコール=100/1により10ml/minの流速で光学分割を行い、分離し、保持時間39.5分でd−(+)−erythro−trans−3−isocamphylcyclohexanol, 110mg 及び保持時間47.0分でl−(−)−erythro−trans−3−isocamphylcyclohexanol, 120mg 、さらに、保持時間44.0分でd−(+)−threo−trans−3−isocamphylcyclohexanol, 105mg 及び保持時間52.0分でl−(−)−threo−trans−3−isocamphylcyclohexanol, 115mg を、それぞれ、光学活性体として分離し、得ることができた。得られた光学活性トランス−3− イソカンフィルシクロヘキサノールの物性は以下のとおりであった。
【0035】
(+)−erythro−trans−3−isocamphylcyclohexanol
[ α] D 25 +28.1( c, 1.2 CHCl3)
MS (EI) (m/z) 95(100), 81(52), 135(43), 110(33), 236(4)
IR 3420, 2900, 1450, 1385, 1140, 1030
1H NMRδ 1.06 (1H, brs), 1.87−0.65(18H, m), 0.90(3H, s), 0.84(3H , s), 0.82(3H, d, J=7.4)
13C NMR δ 66.8, 49.4, 48.9, 48.0, 47.9,40.4, 38.8, 36.3, 33.4,33.4, 31.1, 29.4, 27.4, 24.8,20.0, 16.2
【0036】
(−)−erythro−trans−3−isocamphylcyclohexanol
[ α] D 25 −26.5 ( c, 1.1 CHCl3 )
MS (EI) (m/z) 95(100), 81(52), 135(43), 110(33), 236(4)
IR 3420, 2900, 1450, 1385, 1140, 1030
1H NMRδ 4.06 (1H, brs), 1.87−0.65(18H, m), 0.90(3H, s), 0.84(3H,s), 0.82(3H, d, J=7.4)
13C NMR δ 66.8, 49.4, 48.9, 48.0, 47.940.4, 38.8, 36.3, 33.4,33.4, 31.1, 29.4, 27.4, 24.8, 20.0, 16.2
【0037】
(+)−threo−trans−3−isocamphylcyclohexanol
[ α] D 25 +29.6 ( c, 1.3 CHCl3 )
MS (EI) (m/z) 97(100), 135(94), 81(72), 123(42), 236(4)
IR 3400, 2900, 2450, 1385, 1140, 1030, 1020
1H NMRδ 4.06(1H, brs) 1.82−0.65(18H, m) 0.91(3H, s) 0.84(3H, s)0.83(3H, d, J=7.5)
13C NMR δ 66.8, 49.5, 49.0, 48.0, 48.0, 39.2,37.0, 36.4, 33.3,33.0, 31.4, 31.1, 27.4, 24.8,20.0, 16.2
【0038】
(−)−threo−trans−3−isocamphylcyclohexanol
[ α] D 25 −32.1 ( c, 1.5 CHCl3 )
MS (EI) (m/z) 97(100), 135(94), 81(72), 123(42), 236(4)
IR 3400, 2900, 2450, 1385, 1140, 1030, 1020
1H NMRδ 4.06(1H, brs) 1.82−0.65(18H, m) 0.91(3H, s) 0.84(3H, s)0.83(3H, d, J=7.5)
13C NMR δ 66.8, 49.5, 49.0, 48.0, 48.0, 39.2,37.0, 36.4, 33.3,33.0, 31.4, 31.1, 27.4, 24.8,20.0, 16.2
【0039】
香質の評価
本発明の光学活性体品50重量%と従来知られていたラセミ体のトランス− 3− イソカンフィルシクロヘキサノール50重量%からなる混合物について、5人の専門パネラーにより評価したところ、表1に示したように、ラセミ体のトランス− 3− イソカンフィルシクロヘキサノール100重量%に比べて、充分顕著な差が認められた。
【0040】
【表1】
【0041】
また、本発明の光学活性体品1〜5重量%とラセミ体の3− イソカンフィルシクロヘキサノール99〜95重量%からなる混合物について、5人の専門パネラーにより評価したところ、表2に示したように、ラセミ体の3− イソカンフィルシクロヘキサノール100重量%に比べて、充分顕著な差が認められた。
【0042】
【表2】
【0043】
閾値及び香質の測定
前記方法によって得られた各種の光学活性なトランス−3− イソカンフィルシクロヘキサノールについてそれぞれの閾値を求めた。光学活性なトランス−3− イソカンフィルシクロヘキサノールの各種濃度のエタノール溶液を調製し、その溶液10マイクロリットルを20ミリリットルの蒸留水に附香したものを閾値測定用サンプルとし、10マイクロリットルのエタノールだけを加えたものをコントロールとしてそれら二点及びサンプル一点の三点のなかで香気を有するものを選び出す三点法を用い実施した。専門パネラー10名により評価を行い、10名中、7 名が正解し得る最も低い濃度を閾値とした。
【0044】
その結果、表3に示したように、d−(+)−threo−trans−3−isocamphylcyclohexanolは0.2ppbの濃度の閾値を有しており、その香調は天然白檀油に近い香気を有していた。それらに比べ、 l−(−)−threo−trans−3−isocamphylcyclohexanol は0.2ppmでかび臭さを伴うものであり、d−(+)−threo−trans−3−isocamphylcyclohexanolに対して実に1000倍の濃厚溶液でしか香気を発現せず、鏡像体間で顕著な閾値の差を有していた。さらに、d−(+)−erythro−trans−3−isocamphylcyclohexanolは7ppbであり、l−(−)−erythro−trans−3−isocamphylcyclohexanolは3ppbで暖かみのある白檀様香気を有していた。また、従来知られていたラセミ体のトランス−3− イソカンフィルシクロヘキサノールに比べても、d−(+)−erythro−trans−3−isocamphylcyclohexanol、l−(−)−erythro−trans−3−isocamphylcyclohexanol及びd−(+)−threo−trans−3−isocamphylcyclohexanolのそれぞれ共に香気強度が高いことが明らかになった。その中でも特にd−(+)−threo−trans−3−isocamphylcyclohexanolは特に強い鋭い、また拡散性の強い、且つ天然白檀油に近い、白檀様香気を有していることが明らかになった。
【0045】
【表3】
【0046】
【実施例2】
白檀香料ベース
本発明で得られた各種の光学活性なトランス−3− イソカンフィルシクロヘキサノールもしくは各種の光学活性なトランス−3− イソカンフィルシクロヘキサノールを一定の比で混合した光学活性なトランス−3− イソカンフィルシクロヘキサノールを用い、下記の処方で白檀香料ベースを調整し、その効果を五人の専門パネラーで比較検討した。その結果、光学活性なトランス−3− イソカンフィルシクロヘキサノールを附香することによって、天然白檀香に近い、白檀香を付与することができ、光学活性なトランス−3− イソカンフィルシクロヘキサノールを用いたものが強度的に圧倒的に優れており、またかび臭さが無く香気的にも優れていることを示した。
【0047】
白檀香料ベース
成分 重量部
4−フェニルプロピルピリジン 28
4−メチル−5− チアゾリルエタノール 14
アミリスオイル 42
ベンジルベンゾエート 478
ガラクソリド(インターナショナルフレーバーアンド
フレグランシズ社製、商品名) 30
ガンマ− ウンデカラクトン 3
ジヒドロアビエチン酸メチル 320
アセチルセドレン 50
トランス−3− イソカンフィルシクロヘキサノール 35
合計 1000
【0048】
【実施例3】
白檀香料ベース
実施例2の処方に従い、本発明で得られた各種の光学活性なトランス−3− イソカンフィルシクロヘキサノールもしくは各種の光学活性なトランス−3− イソカンフィルシクロヘキサノールを0.0001重量%の比で混合した光学活性なトランス−3− イソカンフィルシクロヘキサノールを用い白檀香料ベースを調整し、その効果を五人の専門パネラーで比較検討した。一方、従来知られていたラセミ体のトランス−3− イソカンフィルシクロヘキサノールを0.0005重量%用い調整した処方の物と比較した。その結果、表4に示したように、0.0001重量%の光学活性なトランス−3− イソカンフィルシクロヘキサノールを附香することによって、効果のあることを示した。
【0049】
白檀香料ベース
成分 重量部
4−フェニルプロピルピリジン 28
4−メチル−5− チアゾリルエタノール 14
アミリスオイル 42
ベンジルベンゾエート 512.9
ガラクソリド(インターナショナルフレーバーアンド
フレグランシズ社製、商品名) 30
ガンマ− ウンデカラクトン 3
ジヒドロアビエチン酸メチル 320
アセチルセドレン 50
トランス−3− イソカンフィルシクロヘキサノール 0.1
合計 1000
【0050】
【表4】
【0051】
【実施例4】
石鹸用香料組成物
光学活性なトランス−3− イソカンフィルシクロヘキサノールもしくはラセミ体のトランス−3− イソカンフィルシクロヘキサノールを用い、下記の表で示す割合で添加し、次の処方の石鹸用香料組成物を調製し、その効果を五人の専門パネラーで比較検討した。その結果、全員が光学活性なトランス−3− イソカンフィルシクロヘキサノールを用いたものが、まとまりのある香気を有し、更に残香性を有し、優れていることを示した。
【0052】
石鹸用香料組成物
成分 重量部
ドデカナール 6.5
クマリン 60.0
エチルバニリン 1.0
ゼラニュウムオイル 6.0
コバノール(高砂香料工業株式会社製、商品名) 20.0
l−シトロネロール 100.0
l−シトロネリルアセタート 50.0
リリアール(ジボダン社製、商品名) 80.0
テトラヒドロリナロール 100.0
リナリルアセタート 50.0
ジヒドロアビエチン酸メチル 70.0
リモネン 10.0
ベルベトン(高砂香料工業株式会社製、商品名) 120.0
パチョリオイル 13.0
フェニルエチルアルコール 116.0
ラズベリーケトン 2.0
スチラリルアセタート 8.0
トナリド(PFW社製、商品名) 50.0
トワナール(高砂香料工業株式会社製、商品名) 11.0
トランス−3− イソカンフィルシクロヘキサノール 12.0
ベンジルベンゾエート 114.5
合計 1000
【0053】
【実施例5】
女性用ミューゲ調香料組成物
光学活性なトランス−3− イソカンフィルシクロヘキサノールもしくはラセミ体のトランス−3− イソカンフィルシクロヘキサノールを用い、下記の表で示す割合で添加し、次の処方の女性用ミューゲ調香料組成物を調製し、その効果を五人の専門パネラーで比較検討した。その結果、全員が光学活性なトランス−3− イソカンフィルシクロヘキサノールを用いたものが、女性用ミューゲ調香料としてのバランスが良く、更に残香性を有し、優れていることを示した。
【0054】
女性用ミューゲ調香料組成物
成分 重量部
ラウリナール(高砂香料工業株式会社製、商品名) 50
コバノール(高砂香料工業株式会社製、商品名) 300
リリアール(ジボダン社製、商品名) 100
フェニルエチルアルコール 150
へキシルシンナミックアルデヒド 185
シトロネロール 70
ゲラニオール 30
ベンジルアセタート 20
インドール 3
シトラール 1
リナロール 50
ターピネオール 30
フェニルアセトアルデヒドジメチルアセタール 5
シトロネラール 1
ベンジルベンゾエート 4.5
トランス−3− イソカンフィルシクロヘキサノール 0.5
合計 1000
【0055】
【発明の効果】
本発明は、光学活性トランス−3− イソカンフィルシクロヘキサノールを有効成分とする新規な香料を提供するものである。光学活性トランス−3− イソカンフィルシクロヘキサノールは、香料としての性質に優れ、これにより光学活性トランス−3− イソカンフィルシクロヘキサノールを有効成分とする香料は各種香粧品類、保健衛生材料等の広い範囲に用いられる。
Claims (4)
- (1R,3R,1'S,2'R,4'S,6'S)-3-(5',5',6'-トリメチルビシクロ[2.2.1] ヘプト-2'-イル) シクロヘキサン-1- オール、(1S,3S,1'S,2'R,4'S,6'S)-3-(5',5',6'-トリメチルビシクロ[2.2.1] ヘプト-2'-イル) シクロヘキサン-1- オール、及び(1R,3R,1'R,2'S,4'R,6'R)-3-(5',5',6'-トリメチルビシクロ[2.2.1] ヘプト-2'-イル) シクロヘキサン-1- オールから選ばれる一種または二種以上の光学活性なトランス-3- イソカンフィルシクロヘキサノールからなる(但し、 (1S,3S,1'S,2'R,4'S,6'S)-3-(5',5',6'- トリメチルビシクロ [2.2.1] ヘプト -2'- イル ) シクロヘキサン -1- オールと (1R,3R,1'R,2'S,4'R,6'R)-3-(5',5',6'- トリメチルビシクロ [2.2.1] ヘプト -2'- イル ) シクロヘキサン -1- オールとを同時に含有することはないものとする)ことを特徴とする香料組成物。
- 請求項1に記載の光学活性なトランス-3- イソカンフィルシクロヘキサノールが50重量%以上であるトランス-3- イソカンフィルシクロヘキサノールを含有することを特徴とする香料組成物。
- 請求項1に記載の光学活性なトランス-3- イソカンフィルシクロヘキサノールが5重量%以上である3−イソカンフィルシクロヘキサノールを含有することを特徴とする香料組成物。
- 請求項1に記載の光学活性トランス-3- イソカンフィルシクロヘキサノールが0.0001重量%以上含有する香料組成物。
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