JP3554084B2 - 時間分解イメージング装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、パルス状の励起光が照射された蛍光物質から発生する蛍光のように時間変化する光学像の時間変化特性を測定する時間分解イメージング装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
蛍光物質を含む測定対象にパルス状の励起光を照射すると、その測定対象に含まれる蛍光物質から蛍光が発生する。その蛍光の強度は、励起光照射時刻からの経過時間に従って変化し次第に弱くなる。その蛍光の寿命を測定することにより、蛍光物質を同定することも可能である。又、測定対象から発する蛍光を2次元の像として捉え、蛍光像の各位置における蛍光寿命を測定することにより、測定対象中の蛍光物質の分布を知ることもできる。
【0003】
従来の時間分解イメージング装置(例えば、Xue Feng Wang, et al., Critical Reviews in Analytical Chemistry, 23(5), 369−395 (1992))は、このようにパルス状の励起光で照射された測定対象中の蛍光物質から発生する蛍光の強度が時間経過に従って減衰していく様子を、以下のようにして各時刻において2次元の像として撮像するものであった。即ち、高速シャッタカメラを用いて、測定対象にパルス状の励起光を照射した時刻を基準として各時刻に高速シャッタカメラのシャッタを開き、各時刻における蛍光像を撮像する。図6は、従来の時間分解イメージング法の説明図である。図6(a)は、蛍光強度の時間変化を示す図であり、図6(b)は、パルス状の励起光の強度の時間変化を示す図であり、図6(c)は、高速シャッタカメラで撮像される蛍光の強度の説明図であり、図6(d)は、高速シャッタカメラのシャッタを開くタイミングの説明図である。尚、これらの図において、横軸は、パルス状の励起光が測定対象に照射された時刻を基準とする経過時間であり、スケールは同一である。
【0004】
図6(b)に示すようにパルス状の励起光が測定対象に照射されると、測定対象中の蛍光物質から蛍光が発生し、その蛍光の強度の時間変化は、図6(a)に示すように時間の経過に従って減衰する。蛍光が単一の寿命τを有するものであれば、その蛍光強度F(t)は、
F(t)=A・exp(−t/τ) … (1)
のように指数関数で表される。ここで、tは、パルス状の励起光が測定対象に照射された時刻を基準とする時間変数である。
【0005】
高速シャッタカメラに、図6(d)に示すように時刻td からゲート幅ΔTの期間にゲートパルスを入力すると、高速シャッタカメラのシャッタが、その時間の間だけ開き、図6(c)に示すように、その時の蛍光強度Ddを測定する。そこで、時刻t1からゲート幅ΔTの期間だけゲートパルスを高速シャッタカメラに入力してシャッタを開き蛍光強度D1を測定し、同様に、時刻t2からゲート幅ΔTの期間だけゲートパルスを高速シャッタカメラに入力してシャッタを開き蛍光強度D2を測定する。これら蛍光強度D1、D2は、(1)式をゲートパルス入力期間の間で積分した値となり、
D1=Aτ・exp(−t1/τ)・(1−exp(−ΔT/τ)) … (2)
D2=Aτ・exp(−t2/τ)・(1−exp(−ΔT/τ)) … (3)
で表される。これらから、蛍光寿命τと係数Aは、
τ=(t2−t1)/ln(D1/D2) … (4)
A=D1/{τ・exp(−t1/τ)・(1−exp(−ΔT/τ))} … (5)なる式で得られる。(4)式から分かるように、蛍光寿命τは、高速シャッタカメラに入力するゲートパルス幅ΔTには依らず、時刻t1、t2、および、これらの各時刻における蛍光強度D1、D2とから求められる、
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来の時間分解イメージング装置では、1パルスの励起光に対する各時刻における複数の蛍光像を撮像することは困難であるので、異なるパルスの励起光に対して各時刻における蛍光像を撮像する。しかし、蛍光物質に励起光が繰り返し照射されると褪色が起こり、その蛍光物質が励起光を吸収する割合が減少して、発生する蛍光も減少するので、励起光のパルス毎に蛍光強度が異なり、従って、蛍光寿命を正確に測定することはできないという問題点があった。又、生物試料に蛍光物質を与えた場合や、ブラウン運動をする測定対象に蛍光物質が含まれる場合のように、蛍光物質が時間経過とともに移動する場合には、励起光のパルス毎に蛍光物質の分布が異なり、従って、このような場合には更に蛍光寿命を正確に測定することはできないという問題点があった。
【0007】
これらの問題点に対処するため、測定対象の蛍光物質から発生した蛍光をビームスプリッタ等の分離光学系で分離し、分離されたそれぞれの蛍光の強度を、複数台の高速シャッタカメラで互いに異なる時刻に測定することも考えられる。しかし、この場合、システムが複雑となり、又、高額になるという問題点がある。
【0008】
本発明は、上記問題点を解消する為になされたものであり、1パルスの励起光の照射で蛍光寿命分布を正確に測定することができる時間分解イメージング装置を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
請求項1に係る時間分解イメージング装置は、(1)測定対象から発した光を分離して第1の光と第2の光を出力する分離光学系と、(2)第2の光の光路長に比較して長い光路長の光路を第1の光について設定する遅延光学系と、(3)分離光学系から出力された第2の光および遅延光学系から出力された第1の光それぞれが形成する測定対象の像を結像面上の互いに重ならない領域に結像する合成光学系と、(4)結像面上に結像された第1の光と第2の光それぞれが形成する測定対象の像を同時刻に撮像する撮像部と、を備えることを特徴とする。
【0010】
請求項1に係る時間分解イメージング装置は上述のように構成されるので以下のように作用する。測定対象から発した光は、分離光学系で分離されて、第1の光と第2の光が出力される。第1の光は、遅延光学系で、第2の光の光路長に比較して長い光路長の光路を伝搬する。分離光学系から出力された第2の光および遅延光学系から出力された第1の光は、合成光学系により、それぞれが形成する測定対象の像が結像面上の互いに重ならない領域に結像される。この時、結像面上に結像された第1の光と第2の光それぞれが形成する測定対象の像は、何れも測定対象から発した光の像であり、両者の像は、遅延光学系で与えられた遅延時間の時間差を有する。結像面上に結像された第1の光と第2の光それぞれが形成する測定対象の像は、撮像部で同時刻に撮像される。
【0011】
請求項2に係る時間分解イメージング装置は、撮像部で撮像された第1の光と第2の光それぞれが形成する測定対象の像を入力し、これらの像に基づいて測定対象から発した光の時間変化特性を求める演算処理部を更に備える。この場合、撮像部で撮像された第1の光と第2の光それぞれが形成する測定対象の像は、演算処理部に入力されて、測定対象から発した光の時間変化特性が得られる。
【0012】
請求項3に係る時間分解イメージング装置では、遅延光学系は、第1の光について設定する光路の光路長を変化させる光路長可変手段を備える。この場合、第1の光と第2の光それぞれが形成する測定対象が結像面に到達する時間差は任意に設定され、撮像部は、測定対象から発した光の任意の時間差を有する2つの像を撮像する。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を参照して本発明の実施例を詳細に説明する。尚、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0014】
図1は、本発明に係る時間分解イメージング装置を光学顕微鏡と共に用いた場合の構成図である。図2は、蛍光像の分離・合成の説明図である。
【0015】
本発明に係る時間分解イメージング装置は、(1)光学顕微鏡20から出力された蛍光を分離して第1の蛍光と第2の蛍光を出力する分離光学系30と、(2)第2の蛍光の光路長に比較して長い光路長の光路を第1の蛍光について設定する遅延光学系40と、(3)分離光学系30から出力された第2の蛍光および遅延光学系40から出力された第1の蛍光それぞれが形成する像を、撮像部60の撮像面61上の互いに重ならない領域に結像する合成光学系50と、(4)撮像面61上に結像された第1の蛍光と第2の蛍光それぞれが形成する像を同時刻に撮像する撮像部60と、(5)撮像部60で撮像された第1の蛍光と第2の蛍光それぞれが形成する像を入力し、蛍光の時間変化特性を求める演算処理部70と、を備えて構成される。
【0016】
又、本発明に係る時間分解イメージング装置と共に、(1)測定対象24に照射する励起光を出力する励起光源10と、(2)励起光を測定対象24に導き、測定対象24中の蛍光物質から発生する蛍光を出力する光学顕微鏡20と、が用いられる。
【0017】
励起光源10は、測定対象24に照射するパルス状の励起光を出力する。この励起光の波長は、測定対象24に含まれる蛍光物質の吸収領域内に含まれる。光学顕微鏡20は、励起光源10から出力されたパルス状の励起光を測定対象24に導き、測定対象24中の蛍光物質から発生する蛍光を出力する。即ち、励起光源10から出力された励起光は、ダイクロイックミラー21で反射され、対物レンズ22を透過し、試料台23上に置かれた測定対象24に照射される。測定対象24には、励起光波長に吸収領域を有する蛍光物質が予め投入されている。測定対象24にパルス状の励起光が照射されると、その測定対象24に含まれる蛍光物質から蛍光が発生する。その蛍光は、対物レンズ22を透過し、ダイクロイックミラー21を透過し、分光フィルタ25を透過し、ミラー26で反射して、更に、レンズ27によってスリット31の位置に結像される。尚、測定試料24に照射され散乱した励起光も対物レンズ22を透過するが、その散乱光の大部分は、ダイクロイックミラー21で反射され、更に、分光フィルタ21で吸収されるので、ミラー26で反射されて光学顕微鏡20外部に出力される励起光の散乱光の光量は極めて僅かである。従って、スリット31の位置には、測定試料24から発生した蛍光の像が結像される。
【0018】
ここで、スリット31の作用について図2を用いて説明する。図2(a)は、スリット31の位置に結像された蛍光像の形状等を示す図であり、図2(b)は、スリット31の形状を示す図であり、図2(c)は、撮像部60の撮像面61における蛍光像を説明する図である。スリット31の位置に結像される蛍光像は、図2(a)に示す円領域Aであり、スリット31が存在しないとした場合に撮像部60で撮像可能な蛍光像の範囲は、図2(a)に示す長方形領域Bである。スリット31は、その中央付近に、長方形領域Bのサイズの半分あるいは半分以下の面積を有する長方形の孔部Dを有する。従って、スリット31位置に結像された蛍光像の内、孔部Dの部分だけが、スリット31を通過する(図2(a)の領域Cの部分)。
【0019】
分離光学系30は、光学顕微鏡20から出力されスリット31の位置に一旦結像されスリット31の孔部Dを通過した蛍光を分離して第1の蛍光と第2の蛍光を出力する。例えば、プリズムや偏光ビームスプリッタが用いられる。
【0020】
遅延光学系40は、分離光学系30から出力された一方の第1の蛍光を入力し、第2の蛍光の光路長に比較して長い光路長の光路を第1の蛍光について設定する。例えば、レンズ、ミラー等を用いて適当に光路を設定することができる。
【0021】
合成光学系50は、分離光学系30から出力された第2の蛍光および遅延光学系40から出力された第1の蛍光それぞれを入力し、これらの蛍光それぞれが形成する測定対象24の像を撮像部60の撮像面61上の互いに重ならない領域に結像する。例えば、プリズムや偏光ビームスプリッタが用いられる。
【0022】
ここで、合成光学系50によって撮像部60の撮像面61上に結像される蛍光像について、図2(c)を用いて説明する。円領域Eは撮像面61の光電面である。遅延光学系40から出力された第1の蛍光が形成する測定対象24の像は、その光電面の中央付近の長方形領域Fに、分離光学系30から出力された第2の蛍光が形成する測定対象24の像は、その光電面の中央付近の長方形領域Gに、それぞれ結像される。長方形領域Fと長方形領域Gは、互いに重ならない領域であって、共に光電面の有効領域(撮像部60によって撮像可能な領域)内に含まれる。
【0023】
撮像部60は、このように撮像面61上に結像された第1の蛍光と第2の蛍光それぞれが形成する測定対象24の像を同時刻に撮像する。例えば、高速シャッタカメラが用いられる。演算処理部70は、撮像部60で撮像された第1の蛍光と第2の蛍光それぞれが形成する測定対象24の像を入力し、測定対象24から発した蛍光の時間変化特性を求める。
【0024】
次に、本実施例に係る時間分解イメージング装置を用いた蛍光寿命測定方法について説明する。図3は、蛍光強度の時間変化の説明図である。図3(a)は、測定対象24から発生した蛍光強度F0の時間変化を示す図であり、図3(b)は、撮像部60の撮像面61における第2の蛍光の強度F2の時間変化を示す図であり、図3(c)は、撮像部60の撮像面61における第1の蛍光の強度F1の時間変化を示す図であり、図3(d)は、撮像部60に与えられるゲートパルスのタイミングを示す図である。図3(a)ないし(d)は何れも横軸が時間軸であり、図3(a)の時間軸は、測定対象24にパルス状の励起光が照射された時刻を基準とし、図3(b)ないし(d)の時間軸は、第2の蛍光が分離光学系30と合成光学系50を経由して撮像装置60の撮像面61に到達する時刻を基準とする。
【0025】
図3(a)に示すように、十分に短いパルス幅を有する励起光Eが励起光源10から出力され測定対象24に照射されると、測定対象24中の蛍光物質から蛍光が発生する。その蛍光の強度F0は、前述の(1)式に示すように蛍光寿命τをもって時間tと共に減衰する。この蛍光強度変化の様子は、撮像部60の撮像面61においても同様である。但し、図3(b)と図3(c)に示すように、第1の蛍光の強度変化F1は、第2の蛍光の強度変化F2に比べて、遅延光学系40で与えられた遅延時間δだけ遅れる。
【0026】
そこで、図3(d)に示すように、時刻t2から時間ΔTの期間だけ、撮像部60にゲートパルス信号を入力し撮像部60のシャッタを開き、その期間における撮像面61上の像を撮像する。撮像部60に与えられるゲートパルス信号は、例えば、励起光源10におけるパルス状の励起光を出力するタイミングを表す信号を適当に遅延させることによって生成される。第2の蛍光の像については、励起光が測定対象24に照射されて時間t2経過後から時間ΔTの期間の蛍光強度F2の積分値D2が、図2(c)に示すように撮像面61の長方形領域Gに得られる。第1の蛍光の像については、励起光が測定対象24に照射されて時間t1(=t2−δ)経過後から時間ΔTの期間の蛍光強度F1の積分値D1が、図2(c)に示すように撮像面61の長方形領域Fに得られる。ここで、第1の蛍光の強度F1を測定する為に、t1=t2−δ≧0であることが必要である。又、撮像部60に入力するゲートパルス信号のタイミングt2と、遅延光学系40によって第1の蛍光に与えられる遅延時間δとを適当に調整することによって、実時間の時間分解イメージングが実現される。
【0027】
演算処理部70は、このようにして得られた第1の蛍光の像の蛍光強度分布D1と第2の蛍光の像の蛍光強度分布D2とから、前述の(4)式を用いて、測定対象24上の各位置における蛍光寿命τあるいは蛍光物質の分布を求めることができる。尚、(4)式の計算に際して、その分子にある遅延時間δ(=t2−t1)は、遅延光学系40において設定される光路の光路長から予め求めておくことができる。又、(4)式の分母にある自然対数関数の計算については、ルックアップテーブルを用いたり或いは専用LSIを用いることにより、高速に計算をすることができる。更に、割算についても、専用ボードや専用LSIを用いることにより高速に計算することができる。このようにして、(4)式の計算を高速で行うことができ、測定対象24上の各位置における蛍光寿命τあるいは蛍光物質の分布を実時間(テレビレート)で観測することができる。
【0028】
次に、演算処理部70における演算結果として得られる蛍光寿命分布を説明する。図4は、演算処理部によって得られる蛍光寿命分布の模式図である。図4(a)は、演算処理部で得られた蛍光寿命の分布図であり、図4(b)は、蛍光寿命が長い蛍光成分の減衰曲線であり、図4(c)は、蛍光寿命が短い蛍光成分の減衰曲線である。図4(a)に示すように、蛍光寿命の長短に応じた濃淡で、蛍光寿命の分布が得られる。即ち、図4(a)で、淡い表示部分が、蛍光寿命が長い蛍光が発せられている箇所であり(図4(b))、濃い表示部分が、蛍光寿命が短い蛍光が発せられている箇所である(図4(c))。尚、蛍光寿命分布を濃淡でなくて色調で表示してもよい。
【0029】
次に、分離光学系30、遅延光学系40および合成光学系50について具体的に説明する。図5は、分離光学系、遅延光学系および合成光学系の構成図である。
【0030】
分離光学系30は、対物レンズOL(焦点距離f1)、偏光解消板PR、および、偏光ビームスプリッタPBS1、からなる。遅延光学系40は、フィールドレンズFL2(焦点距離f4)、リレーレンズRL1(焦点距離f5)、ミラーM1、フィールドレンズFL4(焦点距離f6)、ミラーM2、リレーレンズRL2(焦点距離f5)、および、フィールドレンズFL3(焦点距離f4)、からなる。合成光学系50は、フィールドレンズFL1(焦点距離f3)、偏光ビームスプリッタPBS2、および、結像レンズIL(焦点距離f2)、からなる。
【0031】
スリット31の孔部を通過した蛍光は、対物レンズOLを透過し、偏光解消板PRを透過し、偏光ビームスプリッタPBS1で第1の蛍光と第2の蛍光に分離される。ここで、偏光解消板PRは、例えば、偏光ビームスプリッタPBS1の光学軸に対し45度の方向の直線偏光成分を出力する偏光子であり、偏光ビームスプリッタPBS1は、この直線偏光の蛍光を入力して、蛍光のP成分をそのままの方向に出力し、蛍光のS成分を入射方向とは異なる方向に反射させる。或いは、偏光解消板PRは、偏光子と4分の1波長板とを組み合わせたものであり、円偏光を出力するものとしてもよい。何れの場合も、偏光ビームスプリッタPBS1から出力される第1の蛍光(S成分)と第2の蛍光(P成分)とは、互いに強度は等しくなる。
【0032】
偏光ビームスプリッタPBS1から出力された第1の蛍光は、フィールドレンズFL2を透過し、リレーレンズRL1を透過し、ミラーM1で反射され、フィールドレンズFL4を透過し、ミラーM2で反射され、リレーレンズRL2を透過し、フィールドレンズFL3を透過し、偏光ビームスプリッタPBS2に入力する。
【0033】
偏光ビームスプリッタPBS1から出力された第2の蛍光は、フィールドレンズFL1を透過して、偏光ビームスプリッタPBS2に入力する。
【0034】
偏光ビームスプリッタPBS2に到達した第2の蛍光は、そのままの方向に透過し、偏光ビームスプリッタPBS2に到達した第1の蛍光は反射されて、第1の蛍光と第2の蛍光とは偏光ビームスプリッタPBS2から同一の方向に出力され、結像レンズILを透過して、撮像装置60の撮像面61上に、蛍光像I1、I2としてそれぞれ結像される。この時、結像レンズILの光軸と、これを透過する第1の蛍光と第2の蛍光それぞれの光軸とが、スリット31の孔部の幅dの半分の距離(d/2)あるいはそれ以上に隔てられるように、各レンズや偏光ビームスプリッタPBS2を配置する。従って、撮像面61上に第1の蛍光と第2の蛍光それぞれが形成する測定対象24の像I1、I2は、互いに重なることはない。
【0035】
ここで、スリット31から対物レンズOLまでの光学距離をL1、対物レンズOLから偏光解消板PRと偏光ビームスプリッタPBS1を経由してフィールドレンズFL1までの光学距離をL2、フィールドレンズFL1から偏光ビームスプリッタPBS2を経由して結像レンズILまでの光学距離をL3、結像レンズILから撮像面61までの光学距離をL4、対物レンズOLから偏光解消板PRと偏光ビームスプリッタPBS1を経由してフィールドレンズFL2までの光学距離をL5、フィールドレンズFL2からリレーレンズRL1までの光学距離をL6、リレーレンズRL1からミラーM1を経由してフィールドレンズFL4までの光学距離をL7、フィールドレンズFL4からミラーM2を経由してリレーレンズRL2までの光学距離をL8、リレーレンズRL2からフィールドレンズFL3までの光学距離をL9、フィールドレンズFL3から偏光ビームスプリッタPBS2を経由して結像レンズILまでの光学距離をL10、とする。
【0036】
そして、スリット31の位置で一旦結像された蛍光像を、撮像面61の位置で再び結像させるために、各レンズの焦点距離と各レンズ間の光学距離との間の関係を以下のように設定する。即ち、対物レンズOL(焦点距離f1)について、L2=L1・f1/(L1−f1) … (6)
L5=L1・f1/(L1−f1) … (7)
フィールドレンズFL2(焦点距離f4)について、
L6=L5・f4/(L5−f4) … (8)
リレーレンズRL1(焦点距離f5)について、
L7=L6・f5/(L6−f5) … (9)
フィールドレンズFL4(焦点距離f6)について、
L8=L7・f6/(L7−f6) … (10)
リレーレンズRL2(焦点距離f5)について、
L8=L9・f5/(L9−f5) … (11)
フィールドレンズFL3(焦点距離f4)について、
L9=L10・f4/(L10−f4) … (12)
フィールドレンズFL1(焦点距離f3)について、
L3=L2・f3/(L2−f3) … (13)
結像レンズIL(焦点距離f2)について、
L10=L4・f2/(L4−f2) … (14)
L3=L4・f2/(L4−f2) … (15)
更に、
L2=L5 … (16)
L3=L10 … (17)
L6=L9 … (18)
L7=L8 … (19)
なる関係式を満たして各レンズは配置される。
【0037】
このように各レンズが配置されると、偏光ビームスプリッタPBS1を透過した第2の蛍光は、フィールドレンズFL1の位置で結像し、更に、結像レンズILによって撮像面61の位置で結像する。偏光ビームスプリッタPBS1で反射した第1の蛍光は、フィールドレンズFL2の位置で結像し、次に、リレーレンズRL1によってフィールドレンズFL4の位置で結像し、次に、リレーレンズRL2によってフィールドレンズFL3の位置で結像し、更に、結像レンズILによって撮像面61の位置で結像する。
【0038】
又、スリット31から撮像面61までの第1の蛍光と第2の蛍光との間の遅延時間δは、
δ=(L5+L7+L8+L9)/c … (20)
で表される。ここで、cは光速である。この遅延時間δは、
L6=L7=L8=L9=2・f5 … (21)
なる条件で最小となり、この時、遅延時間δは、
δ=8・f5/c … (22)
となる。
【0039】
ここで、スリット31、対物レンズOL、偏光解消板PR、偏光ビームスプリッタPBS1、フィールドレンズFL1、フィールドレンズFL2、フィールドレンズFL3、偏光ビームスプリッタPBS2、結像レンズIL、及び、撮像部60を、一体として固定台100上に位置固定する。又、リレーレンズRL1とRL2とを移動台110上に載せ、ミラー1、フィールドレンズFL4およびミラー2を別の移動台120上に載せて、移動台110および移動台120を上述の(6)式ないし(19)式の関係を満たす範囲で光軸方向に移動可能にする。移動台110、120は、第1の蛍光について設定する光路の光路長を変化させることができる光路長可変手段である。
【0040】
もし、当初(21)式の関係を満たす位置にあった移動台110を、固定台100の方向に距離Δxだけ移動すると、移動台120も
なる関係式を満たす位置に移動させる必要がある。但し、距離Δxは、0≦Δx≦f5である。ここで、Δx=f5とすると、(21)式と(23)式とから、距離L7とL8は無限大となり、遅延時間δも無限大となる。即ち、遅延時間δは、(22)式で表される時間から無限大時間まで連続的に変化させることができる。しかし、距離L7とL8とを長くすれば、フィールドレンズFL4の口径を大きくする必要があるので、現実的には、距離ΔxをリレーレンズRL1の焦点距離f5以下の範囲にとどめる。
【0041】
本発明は、上記実施例に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。分離光学系、遅延光学系および合成光学系は、図5で説明した構成に限られるものではない。例えば、分離光学系は、半透鏡と光減衰器とで構成してもよい。遅延光学系は、任意の個数のレンズや任意の個数のミラーとで構成してもよい。
【0042】
又、本実施例では、蛍光物質から発した蛍光の蛍光寿命を測定するものとして説明したが、これに限られることなく、時間的に変化する任意の光学像を時間分解して撮像することができる。
【0043】
又、撮像部で撮像するのは、異なる2つの時刻におけるそれぞれの像に限られることなく、分離光学系を複数段設けることにより、異なる3以上の時刻におけるそれぞれの像を撮像してもよい。
【0044】
【発明の効果】
以上、詳細に説明したとおり本発明によれば、測定対象から発した光を分離光学系で分離して第1の光と第2の光を出力し、遅延光学系により第2の光の光路長に比較して長い光路長の光路を第1の光について設定し、分離光学系から出力された第2の光および遅延光学系から出力された第1の光それぞれが形成する測定対象の像を合成光学系により撮像面上の互いに重ならない領域に結像し、撮像面上に結像された第1の光と第2の光それぞれが形成する測定対象の像を撮像部により同時刻に撮像する。これによって、時間変化する画像の異なる時刻における2つの像を撮像して、両者を比較観察することができる。更に、撮像部で撮像された第1の光と第2の光それぞれが形成する測定対象の像に基づいて演算処理部で処理することにより、測定対象から発した光の時間変化特性を求めることができる。又、遅延光学系が第1の光について設定する光路の光路長を変化させる光路長可変手段を備えることにより、撮像面上に結像された第1の光と第2の光それぞれが形成する測定対象の像の間に任意の遅延時間を設定することができる。
【0045】
一方の光の像について遅延光学系によって遅延を与えるので、電気回路によって遅延を与える場合にみられるようなジッタが発生することがなく、正確な遅延を与えることができる。
【0046】
蛍光の緩和過程のように寿命が短い映像であっても、1パルスの励起光が照射された後の蛍光発光について、時間差の短い異なる2つの時刻における像を撮像することが可能であり、これら2つの像から蛍光寿命を測定することができる。この場合、1パルスの励起光の照射に対する蛍光の2つの像を撮像し両者を比較するので、励起光照射により蛍光物質の褪色が発生しても問題とはならず、正確な蛍光寿命の測定が可能である。
【0047】
又、生物試料に蛍光物質を与えた場合や、ブラウン運動をする測定対象に蛍光物質が含まれる場合のように、蛍光物質が時間経過とともに移動する場合であっても、1パルスの励起光の照射に対する蛍光の像を撮像するので、正確な蛍光寿命の測定が可能である。
【0048】
更に、本発明では、1台の撮像部で同時に異なる2つの時刻における像を撮像するので、小型で安価な時間分解イメージング装置となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る時間分解イメージング装置を光学顕微鏡と共に用いた場合の構成図である。
【図2】蛍光像の分離・合成の説明図である。
【図3】蛍光強度の時間変化の説明図である。
【図4】演算処理部によって得られる蛍光寿命分布の模式図である。
【図5】分離光学系、遅延光学系および合成光学系の構成図である。
【図6】従来の時間分解イメージング法の説明図である。
【符号の説明】
10…励起光源、20…光学顕微鏡、21…ダイクロイックミラー、22…対物レンズ、23…試料台、24…測定対象、25…分光フィルタ、26…ミラー、27…レンズ、30…分離光学系、31…スリット、40…遅延光学系、50…合成光学系、60…撮像部、61…撮像面、70…演算処理部。
代理人弁理士 長谷川 芳樹
Claims (3)
- 測定対象から発した光を分離して第1の光と第2の光を出力する分離光学系と、
前記第2の光の光路長に比較して長い光路長の光路を前記第1の光について設定する遅延光学系と、
前記分離光学系から出力された前記第2の光および前記遅延光学系から出力された前記第1の光それぞれが形成する前記測定対象の像を結像面上の互いに重ならない領域に結像する合成光学系と、
前記結像面上に結像された前記第1の光と前記第2の光それぞれが形成する前記測定対象の像を同時刻に撮像する撮像部と、
を備えることを特徴とする時間分解イメージング装置。 - 前記撮像部で撮像された前記第1の光と前記第2の光それぞれが形成する前記測定対象の像を入力し、前記第1の光と前記第2の光それぞれが形成する前記測定対象の像に基づいて前記測定対象から発した光の時間変化特性を求める演算処理部を更に備える、ことを特徴とする請求項1記載の時間分解イメージング装置。
- 前記遅延光学系は、前記第1の光について設定する光路の光路長を変化させる光路長可変手段を備える、ことを特徴とする請求項1記載の時間分解イメージング装置。
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