JP3554049B2 - 芳香族炭酸エステルの製造方法 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、特定の触媒系を用いた芳香族炭酸エステルの製造方法に関するものである。芳香族炭酸エステル、特に炭酸ジフェニルは、ポリカーボネート等の原料として有用なものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、芳香族炭酸エステルの製造法としては、芳香族ヒドロキシ化合物とホスゲンを反応させる方法が用いられてきた。しかし、ホスゲンは毒性が強いため、この方法は好ましくない。
そこで、ホスゲンを用いない方法として、芳香族ヒドロキシ化合物と一酸化炭素及び酸素とから芳香族炭酸エステルを製造する方法が提案されている。
【0003】
この方法における触媒として、特公昭56ー38144号公報には、パラジウム化合物と周期律表のIIIA、IVA、VA、VIA、IB、IIB、VIBまたはVIIB族の金属を含む化合物及び塩基を用いる方法;特公昭56−38145号公報には、パラジウム化合物、マンガン錯体またはコバルト錯体、塩基及び乾燥剤を用いる方法;特開平1−165551号公報には、パラジウム化合物、ヨウ素及びゼオライト類を用いる方法;特開平2−104564号公報には、パラジウム化合物、二価または三価のマンガン化合物、テトラアルキルアンモニウムハライド及びキノン類を用いる方法;特開平2−142754号公報には、パラジウム化合物、二価または三価のコバルト化合物、テトラアルキルアンモニウムハライド及びキノン類を用いる方法;特開平5−25095号公報には、パラジウムまたはパラジウム化合物、コバルト化合物ハロゲン化物および塩基性化合物を用いる方法;特開平5−39247号公報には、パラジウム化合物、銅化合物、キノン類及びハロゲン化オニウムを用いる方法;特開平5−58961号公報には、パラジウム及びパラジウム化合物の一種以上、コバルト化合物及びアルカリ金属ハロゲン化物を用いる方法;特開平5−97775号公報には、パラジウム、四級アンモニウム塩、コバルト、鉄、セリウム、マンガン、モリブデン、サマリウム、バナジウム、クロム及び銅から選ばれた1つの金属助触媒、及び芳香族ケトン、脂肪族ケトン、芳香族多環式炭化水素から選ばれた有機助触媒とからなる触媒を用いる方法;特開平6−9505号公報には、パラジウム化合物、セリウム化合物、四級アンモニウム塩を用いる方法;特開平6−41020号公報には、パラジウム化合物、マンガン、コバルト、銅から選ばれた金属助触媒及びニトリル化合物を用いる方法;特開平6−172268号公報には、パラジウム化合物、コバルトの5配位錯体、四級オニウム塩を用いる方法;特開平6−172269号公報には、パラジウム化合物、コバルト、マンガン、銅から選ばれた無機助触媒、四級オニウム塩、テルピリジンなどの有機共触媒を用いる方法が記載されている。
以上の公報に記載されている実施例では、パラジウム当たりの芳香族炭酸エステルの収量(パラジウムのターンオーバー数)は700を越えるものはなく、その触媒活性は必ずしも十分であるとは言えなかった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者らが、フェノールを基質として使用し、従来の金属助触媒を用いて追試等を行ったところ、いずれの触媒を用いても、副生成物として芳香族炭酸エステルの構造異性体であるo−ヒドロキシ芳香族カルボン酸アリールエステル、例えば、サリチル酸フェニルが生成した。一般に、該異性体は、芳香族炭酸エステルからの蒸留等のよる分離が極めて困難な化合物である。
本発明は、このような分離困難な副生成物の生成量を低減することができ、また大きなパラジウムのターンオーバー数を得ることができる芳香族炭酸エステルの効率的製造方法を提供しようとするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、芳香族ヒドロキシ化合物と一酸化炭素及び酸素を反応させて、芳香族炭酸エステルを製造する方法において、
(A)パラジウム及びパラジウム化合物から選ばれた一種以上、
(B)鉛化合物から選ばれた一種以上、および
(C)ハロゲン化4級アンモニウムおよびハロゲン化4級ホスホニウムから選ばれたハロゲン化物の一種以上
からなる触媒系を用いることにより、効率的に芳香族炭酸エステルが生成され、且つ従来の触媒系と比較して、o−ヒドロキシ芳香族カルボン酸アリールエステルの副生が抑制されることを見いだした。また、本発明の触媒系において、パラジウムの使用量を少なくすると、意外にもパラジウムのターンオーバー数が大きく向上することを見いだした。
なお、上記触媒系では芳香族ヒドロキシ化合物の核ハロゲン化物が多量副生するが、その副生を抑制するためにさらに検討を行ったところ、さらに好ましい系として、(C)がハロゲン化4級アンモニウムである該触媒系に、
(D)銅及び銅化合物から選ばれた一種以上
を添加することにより、芳香族ヒドロキシ化合物の核ハロゲン化を大幅に抑制でることを見いだし、本発明を完成した。
【0006】
[発明の具体的説明]
1.反応原料
(1)芳香族ヒドロキシ化合物
本発明に用いられる芳香族ヒドロキシ化合物は、芳香族モノまたはポリヒドロキシ化合物であり、例えばフェノール;クレゾール、キシレノール、トリメチルフェノール、テトラメチルフェノール、エチルフェノール、プロピルフェノール、メトキシフェノール、エトキシフェノール、クロロフェノール、ジクロロフェノール、ブロモフェノール、ジブロモフェノールなどの置換フェノール類及びそれらの異性体;ナフトール、メチルナフトール、エチルナフトール、クロロナフトール、ブロモナフトールなどの置換ナフトール類及びそれらの異性体;2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンなどの各種ビスフェノール類;各種ビフェノール類;各種ヘテロ芳香族ヒドロキシ化合物及びそれらの異性体、さらにそれらのアルキル、ハロゲンなどによる置換体などである。これらの中でフェノールが特に好ましい。
【0007】
(2)一酸化炭素
本発明に用いられる一酸化炭素は、高純度のものはもとより、窒素、アルゴン、二酸化炭素、水素など反応に悪影響をおよぼさない他のガスで希釈されているものでも使用することができる。
【0008】
(3)酸素
本発明に用いられる酸素は、高純度のものはもとより、空気、または窒素、アルゴン、二酸化炭素、水素など反応に悪影響をおよぼさない他のガスで希釈されているものでも使用することができる。
【0009】
2.触媒
本発明の反応に使用される触媒は、下記の(A)、(B)及び(C)に掲げる各成分のうち、それぞれから少なくとも一種が選ばれて組み合わされた系を含有するものである。より好ましい反応系は、さらに下記の成分(D)のうち少なくとも一種を含有するものである。
(A)パラジウムまたはパラジウム化合物
本発明に用いられるパラジウムまたはパラジウム化合物は、パラジウム黒;パラジウム/カーボン、パラジウム/アルミナ、パラジウム/シリカなどの担持パラジウム;塩化パラジウム、臭化パラジウム、ヨウ化パラジウム、硫酸パラジウム、硝酸パラジウムなどのパラジウムの無機塩類;酢酸パラジウム、シュウ酸パラジウムなどのパラジウムの有機酸塩類等である。また、アセチルアセトナートパラジウム(II)や、パラジウムに一酸化炭素、ニトリル類、アミン類、ホスフィン類、オレフィン類などが配位したパラジウムの錯化合物、例えば
PdCl2(PhCN)2、PdCl2(PPh3)2、Pd(CO)(PPh3)3、[Pd(NH3)4]Cl2、Pd(C2H4)(PPh3)2、[(η3−C3H5)PdCl]2、Pd(DBA)2、Pd2(DBA)3・CHCl3[DBAはジベンジリデンアセトンを示す]など、あるいはそれら錯化合物が反応系中で生成されるような化合物類とパラジウムとの混合物を使用することもできる。中でも、パラジウム/カーボンおよび酢酸パラジウムが好ましい。
反応に用いられるパラジウム成分の量は、芳香族ヒドロキシ化合物に対してモル比で10−7〜10−2の範囲であることが好ましく、10−6〜10−3の範囲であることが特に好ましい。
本発明の触媒系では、パラジウムの使用量が少ないほどパラジウムのターンオーバー数を大きくすることができるので、触媒コストの観点からは、より少量のパラジウムを用いる方が好ましいが、少なすぎると芳香族炭酸エステルの芳香族ヒドロキシ化合物基準の収率が低下してしまい、芳香族炭酸エステルの回収が困難となる。
【0010】
(B)鉛化合物
本発明に用いられる鉛化合物は、反応条件下で液相に可溶であるものが好ましく、例えば、PbO、Pb3O4、PbO2等の酸化鉛類;Pb(OAc)2、Pb(OAc)4、Pb(C2O4)、Pb(OCOC2H5)2等の鉛の有機酸塩類;
Pb(NO3)2、PbSO4等の鉛の無機塩類;Pb(OMe)2、Pb(OPh)2等のアルコキシおよびアリールオキシ鉛、フタロシアニン鉛等の鉛の錯化合物などを挙げることができる。中でも、酸化鉛類及びPb(OR)2[Rはアルキル基の炭素数が1〜4のアシル基又は炭素数6〜10のアリール基を示す]で表される鉛化合物が好ましい。
反応に用いられる鉛化合物の量は特に制限はないが、芳香族ヒドロキシ化合物に対してモル比で10−4〜10−1の範囲であることが好ましく、10−4〜10−2の範囲であることが特に好ましい。
【0011】
(C)ハロゲン化物
本発明に用いられるハロゲン化物は、ハロゲン化4級アンモニウムまたはハロゲン化4級ホスホニウムであり、下記式:
R1R2R3R4NX または R1R2R3R4PX
[式中、R1〜R4は炭素数1〜10のアルキル基またはアリール基を示し、それぞれが同じ基であっても異なる基であってもよい。Xはハロゲンを示す。]で表される化合物である。特に、臭化物が好ましく、例えば、臭化テトラ−n−ブチルアンモニウム、臭化テトラフェニルホスホニウム等を挙げることができる。
反応に用いられるハロゲン化物の量は特に制限はないが、芳香族ヒドロキシ化合物に対してモル比で10−4〜1の範囲であることが好ましく、10−3〜10−1の範囲であることが特に好ましい。
【0012】
(D)銅または銅化合物
本発明に用いられる銅または銅化合物とは、一価または二価の銅化合物及び金属銅である。具体的には、Cu(OAc)2などの銅の有機酸塩、Cu(NO3)2、CuSO4などの銅の無機酸塩、CuBr、CuBr2、CuCl、CuCl2などのハロゲン化銅類、Cu2O、CuOなどの酸化銅類、Cu(OPh)2、Cu(OMe)2などの銅アルコキシド、フタロシアニン銅などの銅の錯化合物、銅粉、銅線などの金属銅が例として挙げられる。中でも、銅の有機酸塩、ハロゲン化銅類、酸化銅類および金属銅が好ましい。
反応に用いる銅または銅化合物の量は特に制限はないが、芳香族ヒドロキシ化合物に対してモル比で10−4〜10−1の範囲であることが好ましく、特に10−4〜10−2の範囲であることが好ましい。
【0013】
3.反応条件
反応は上記芳香族ヒドロキシ化合物と、上記成分(A)、(B)および(C)、より好ましい反応系においては、さらに成分(D)からなる触媒とを反応装置に仕込み、一酸化炭素および酸素により加圧し、加温下に行われる。
反応時の絶対圧力は全圧で1〜500気圧、好ましくは1〜150気圧の範囲である。一酸化炭素と酸素の組成比は、安全性の観点から、その爆発範囲からはずれた組成比であることが好ましい。一酸化炭素及び酸素の分圧は、それぞれ30〜100気圧及び1〜10気圧であることが好ましい。
反応温度は20〜300℃、好ましくは80〜250℃の範囲である。
反応時間は反応条件により異なるが、通常は数分から数時間である。
反応に際しては、従来の触媒系で用いられているヒドロキノンのような芳香族ジオール類やそれらの酸化生成物であるキノン類、及びアミン類などの有機添加剤を反応系に加えてもよい。
また、溶媒として、例えばヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン、塩化メチレン、クロロホルム、クロロベンゼン、ジエチルエーテル、ジフェニルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、アセトニトリルなどの不活性溶媒を用いることができる。なお、原料の芳香族ヒドロキシ化合物が反応溶媒となる場合もあるので、このときは特に他の溶媒を用いる必要はない。
【0014】
【実施例】
以下に実施例および比較例を挙げて本発明を詳細に説明する。
実施例1
内容量40mlのハステロイ製オートクレーブにフェノール3.01g(32
mmol)、酢酸パラジウム2.7mg(0.012mmol)、酸化鉛(II)2.8mg(0.012mmol)、臭化テトラブチルアンモニウム78.1mg(0.24mmol)を入れ、系内を一酸化炭素で置換した後、一酸化炭素60気圧、乾燥空気30気圧を導入し、撹拌子を用いて100℃で3時間撹拌混合した。反応終了後の気相と液相をそれぞれガスクロマトグラフィーにより定量分析した。その結果、炭酸ジフェニルが、フェノールに対して収率6.75%(1.08mmol)で得られた。サリチル酸フェニルが炭酸ジフェニルに対して0.74%、ブロモフェノールが用いた臭化テトラブチルアンモニウムに対して46.7%(オルト体とパラ体の合計であり、メタ体は観測されない)、二酸化炭素が0.30mmol副生した。
【0015】
実施例2〜5
酸化鉛(II)の代わりに、種々の鉛化合物を各0.012mmol用いた以外は実施例1と同様に反応を行った。使用した鉛化合物、生成した炭酸ジフェニルのフェノールに対する収率、サリチル酸フェニルの炭酸ジフェニルに対する副生率,ブロモフェノールの用いた臭化テトラブチルアンモニウムに対する生成率、及び二酸化炭素の副生量を表1に示す。
【0016】
【表1】
【0017】
実施例6
酢酸パラジウムの代わりに、5%パラジウム/カーボン25.5mg(0.012mmol Pd)を用いた以外は実施例1と同様に反応を行った。その結果、炭酸ジフェニルがフェノールに対して収率8.38%(1.33mmol)で得られた。サリチル酸フェニルが炭酸ジフェニルに対して0.67%、ブロモフェノールが用いた臭化テトラブチルアンモニウムに対して54.0%(オルト体とパラ体の合計であり、メタ体は観測されない)、二酸化炭素が0.48mmol副生した。
【0018】
実施例7
臭化テトラブチルアンモニウムの代わりに、臭化テトラフェニルホスホニウム100.6mg(0.24mmol)を用いた以外は実施例1と同様に反応を行った。その結果、炭酸ジフェニルがフェノールに対して収率8.00%(1.29mmol)で得られた。サリチル酸フェニルが炭酸ジフェニルに対して0.62%、ブロモフェノールが用いた臭化テトラフェニルホスホニウムに対して53.2%(オルト体とパラ体の合計であり、メタ体は観測されない)、二酸化炭素が0.46mmol副生した。
【0019】
実施例8
酢酸銅(II)・1水和物0.6mg(0.003mmol)を追加した以外は実施例1と同様の操作を行った。その結果、炭酸ジフェニルがフェノールに対して収率8.28%(1.32mmol)で得られた。副生物として、サリチル酸フェニルが炭酸ジフェニルに対して0.83%、ブロモフェノールが用いた臭化テトラブチルアンモニウムに対して18.3%(オルト体とパラ体の合計であり、メタ体は観測されない)、二酸化炭素が0.38mmol生成した。
【0020】
実施例9〜13
酢酸銅(II)・1水和物の代わりに、種々の銅化合物を各0.012mmol用いた以外は実施例8と同様に反応を行った。用いた銅化合物の種類、生成した炭酸ジフェニルのフェノールに対する収率、サリチル酸フェニルの炭酸ジフェニルに対する副生率、ブロモフェノールの用いた臭化テトラブチルアンモニウムに対する生成率、及び二酸化炭素の副生量を表2に示す。
【0021】
【表2】
【0022】
実施例14
酢酸パラジウムの代わりに、5%パラジウム/カーボン25.5mg(0.012mmol Pd)を用いた以外は実施例8と同様に反応を行った。その結果、炭酸ジフェニルがフェノールに対して収率9.12%(1.46mmol)で得られた。副生物として、サリチル酸フェニルが炭酸ジフェニルに対して0.88%、ブロモフェノールが用いた臭化テトラブチルアンモニウムに対して15.0%(オルト体とパラ体の合計であり、メタ体は観測されない)、二酸化炭素が0.45mmol生成した。
【0023】
比較例1
酸化鉛(II)の代わりに、酢酸マンガン(II)・4水和物2.9mg(0.012mmol)を用いた以外は実施例1と同様に反応を行った。その結果、炭酸ジフェニルがフェノールに対して収率9.05%(1.44mmol)で得られたが、サリチル酸フェニルが炭酸ジフェニルに対して4.44%、ブロモフェノールが用いた臭化テトラブチルアンモニウムに対して100%(オルト体とパラ体の合計であり、メタ体は観測されない)、二酸化炭素が1.94mmol副生した。
【0024】
比較例2
酸化鉛(II)の代わりに、酢酸コバルト(II)・4水和物3.0mg(0.012mmol)を用いた以外は実施例1と同様に反応を行った。その結果、炭酸ジフェニルがフェノールに対して収率1.26%(0.20mmol)で得られたが、サリチル酸フェニルが炭酸ジフェニルに対して9.05%、二酸化炭素が0.15mmol副生し,ブロモフェノールの生成は観測されなかった。
【0025】
比較例3
酸化鉛(II)の代わりに、酢酸セリウム(III)・1水和物4.0mg(0.012mmol)を用いた以外は実施例1と同様に反応を行った。その結果、炭酸ジフェニルがフェノールに対して収率6.02%(0.96mmol)で得られたが、サリチル酸フェニルが炭酸ジフェニルに対して3.82%、ブロモフェノールが用いた臭化テトラブチルアンモニウムに対して9.9%(オルト体とパラ体の合計であり、メタ体は観測されない)、二酸化炭素が0.18mmol副生した。
【0026】
比較例4
臭化テトラブチルアンモニウムを用いない以外は実施例1と同様に反応を行った。その結果、炭酸ジフェニルの生成はフェノールに対して収率0.50%に止どまった。
【0027】
比較例5
臭化テトラブチルアンモニウムの代わりに、臭化カリウム28.6mg(0.24mmol)を用いた以外は実施例1と同様に反応を行った。その結果、炭酸ジフェニルがフェノールに対して収率1.54%(0.25mmol)で得られたが、サリチル酸フェニルが炭酸ジフェニルに対して2.60%、ブロモフェノールが用いた臭化カリウムに対して22.9%(オルト体とパラ体の合計であり、メタ体は観測されない)、二酸化炭素が0.18mmol副生した。
【0028】
実施例15
内容量50mlのハステロイ製オートクレーブにフェノール12.23g(130mmol)、5%パラジウム/カーボン(N.E.Chemcat社製)4.26mg(2.0
μmolPd)、酸化鉛(II)10.71mg(0.048mmol)、臭化テトラブチルアンモニウム322.4mg(1.0mmol)を入れ、系内を一酸化炭素で置換した後、一酸化炭素60気圧、乾燥空気30気圧を導入し、撹拌子を用いて100℃で3時間撹拌混合した。反応終了後の気相と液相をそれぞれガスクロマトグラフィーにより定量分析した。その結果、炭酸ジフェニルが、フェノールに対して収率4.54%(2.95mmol、パラジウムのターンオーバー数1475)で得られた。また、副生物としてはサリチル酸フェニルが炭酸ジフェニルに対して0.58%、ブロモフェノールが用いた臭化テトラブチルアンモニウムに対して43.6%(オルト体とパラ体の合計であり、メタ体は観測されない)、二酸化炭素が0.38mmolであった。
【0029】
実施例16〜19
用いる5%パラジウム/カーボン及び臭化テトラブチルアンモニウムの量を変えた以外は実施例15と同様に反応を行った。用いたパラジウム/カーボン、テトラブチルアンモニウムの量、炭酸ジフェニルの収率、パラジウムのターンオーバー数(TN)、サリチル酸フェニルの炭酸ジフェニルに対する副生率、ブロモフェノールの用いた臭化テトラブチルアンモニウムに対する生成率、及び二酸化炭素の副生量を表3に示す。
【0030】
【表3】
【0031】
実施例20
5%パラジウム/カーボン代わりに、酢酸パラジウム0.45mg(2.0μmol)を用いた以外は実施例15と同様に反応を行った。その結果、炭酸ジフェニルがフェノールに対して収率5.35%(3.48mmol、パラジウムのターンオーバー数1740)で得られた。副生物としてはサリチル酸フェニルが炭酸ジフェニルに対して0.57%、ブロモフェノールが用いた臭化テトラブチルアンモニウムに対して47.1%(オルト体とパラ体の合計であり、メタ体は観測されない)、二酸化炭素が0.38mmolであった。
【0032】
実施例21
5%パラジウム/カーボンの使用量を2.13mg(1.0μmol Pd)とし、酢酸銅(II)1水和物9.58mg(0.048mmol)を追加した以外は実施例15と同様に反応を行った。その結果、炭酸ジフェニルがフェノールに対して収率4.15%(2.70mmol、パラジウムのターンオーバー数2455)で得られた。副生物としてはサリチル酸フェニルが炭酸ジフェニルに対して0.86%、ブロモフェノールが用いた臭化テトラブチルアンモニウムに対して10.8%(オルト体とパラ体の合計であり、メタ体は観測されない)、二酸化炭素が0.36
mmolであった。
【0033】
比較例6
酸化鉛(II)の代わりに、酢酸セリウム(III)・1水和物16.09mg(0.048mmol)を用いた以外は実施例15と同様に反応を行った。その結果、炭酸ジフェニルがフェノールに対して収率2.01%(1.30mmol、パラジウムのターンオーバー数690)で得られた。また、副生物としてはサリチル酸フェニルが炭酸ジフェニルに対して2.52%、ブロモフェノールが用いた臭化テトラブチルアンモニウムに対して9.1%(オルト体とパラ体の合計であり、メタ体は観測されない)、二酸化炭素が0.19mmolであった。
【0034】
【発明の効果】
上記の結果から明らかなように、本発明の触媒系においては、特にパラジウムの使用量を少なくすることによりパラジウムのターンオーバー数を非常に大きくすることができる。さらに、蒸留分離の困難な副生成物の生成量を低減することができる。従って、本発明方法の工業的価値は極めて高いものである。
Claims (14)
- 芳香族ヒドロキシ化合物と一酸化炭素及び酸素を反応させて芳香族炭酸エステルを製造する方法において、反応系に
(A)パラジウム及びパラジウム化合物から選ばれた一種以上、
(B)鉛化合物から選ばれた一種以上、および
(C)ハロゲン化4級アンモニウムおよびハロゲン化4級ホスホニウムから選ばれたハロゲン化物の一種以上
を存在させて、該反応を行うことを特徴とする芳香族炭酸エステルの製造方法。 - 前記(A)が酢酸パラジウムまたはパラジウム/カーボンである請求項1記載の方法。
- 前記(B)が酸化鉛類またはPb(OR)2[Rはアルキル基の炭素数が1〜4のアシル基又は炭素数6〜10のアリール基を示す]で表される鉛化合物である請求項1記載の方法。
- 前記(C)が臭化物である請求項1記載の方法。
- 前記(C)が臭化テトラブチルアンモニウムまたは臭化テトラフェニルホスホニウムである請求項4記載の方法。
- 前記(A)が芳香族ヒドロキシ化合物に対して、モル比で
10−6〜10−3の範囲内である請求項1記載の方法。 - 前記(B)が芳香族ヒドロキシ化合物に対して、モル比で
10−4〜10−2の範囲内である請求項1記載の方法。 - 前記(C)が芳香族ヒドロキシ化合物に対して、モル比で
10−3〜10−1の範囲内である請求項1記載の方法。 - 前記(C)がハロゲン化4級アンモニウム類から選ばれたものである請求項1記載の方法。
- 前記反応系に、さらに(D)銅及び銅化合物から選ばれた一種以上を存在させる、請求項9記載の方法。
- 前記(D)が銅の有機酸塩、ハロゲン化銅類、酸化銅類および金属銅から選ばれるものである、請求項10記載の方法。
- 前記(D)が芳香族ヒドロキシ化合物に対して、モル比で10−4〜10−2の範囲内である請求項10記載の方法。
- 反応温度が80〜130℃の範囲内である請求項1記載の方法。
- 一酸化炭素及び酸素の分圧が、それぞれ30〜100気圧、1〜10気圧である請求項1記載の方法。
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Publications (2)
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