JP3553650B2 - インモールド転写成型方法および成型品 - Google Patents
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、成形と同時に転写を行うインモールド転写成型方法および成型品に関する。
【0002】
【従来の技術】
射出成形品に絵柄を付ける方法として、転写可能な絵柄印刷層を設けた転写フィルムを射出成形金型内に挿入し射出成形と同時に絵柄を成形品に転写するようにしたインモールド転写が従来から知られている。インモールド転写は、一般に、成形品の立体曲面が単調で、転写面の形状の凹凸が小さく(浅く)、立ち上がりが小さいような場合に利用でき、それにより生産効率の良い絵付けが可能である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、従来のインモールド転写では、絵柄を成型品の一部分にのみ転写する場合でも、転写フィルムを部分的に挿入したのでは境目に線が入るといった問題が生ずるため、金型の全面を覆うように転写フィルムを挿入するのが普通であった。しかし、一部分にしか転写しない場合にこのように金型の全面を覆うような転写フィルムを用いることは、無駄が多く、コストアップの要因となっていた。また、それとは別に、金型の全面を覆うように転写フィルムを挿入するという方法では、ヒンジを介して複数の部分を連結した構造の成型品の場合に、通常の固定側金型と可動側金型だけではヒンジの部分で転写フィルムが破れるという問題があった。また、ヒンジの部分にスライド型を介設させればそのような問題は一応解決できるが、その場合は金型が複雑でコスト高になっていた。
【0004】
本発明はこのような問題点を解決するものであって、インモールド転写成型によって成型品の一部分に絵柄を転写する場合に、転写フィルムの無駄をなくしてコストを削減することのできる、特にヒンジを介する成型品に適用して有利なインモールド転写成型方法および成型品を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明のインモールド転写成型方法は、部分転写を行う場合に、転写しようとする絵柄の幅に応じた幅の転写フィルムを使用することによって転写フィルムの無駄を生じないようにし、また、金型特に可動側金型の型面の転写フィルムを挿入する部分を、その外側の型面部分に対し転写フィルムの厚さと同一若しくは略同一の寸法だけ転写フィルムの厚さ方向に削り、この型面の削った部分に合わせて転写フィルムを挿入することにより、締め付け力が金型面に均等にかかって金型の歪みや成型材料の漏出を生じないようにするとともに、成型面に段差ができないようにするものである。
【0006】
また、本発明者は、成型品がヒンジ部を介して複数の部分を連結した構造のものであって、その一方の部分に転写するような場合には、部分転写であっても、転写フィルムの境目をヒンジの部分で逃げることができるので、従来のように金型の全面を転写フィルムで覆うのではなくて、転写しようとする部分の幅に応じた幅の転写フィルムを使用すればよく、そうすることで、境目に線が入るという問題はなくなり、また、ヒンジの部分で転写フィルムが破れるような問題もなく、複雑な金型を用いる必要もなくなるという知見を得た。そこで、このようにヒンジ部を介し二つの部分を連結した構造の成型品の一方の部分に転写する場合に、転写しようとする成型品の一方の部分の幅に応じた幅の転写フィルムを使用し、該転写フィルムを前記一方の部分に合わせて、その一方の側端が金型を閉じた状態で前記ヒンジ部に対応した型面部分にかかるように挿入するようにする。その場合、金型特に可動側金型の型面の前記成型品の一方の部分に対応する部分を転写フィルムの厚さと同一若しくは略同一の寸法だけ他方の部分に対し該転写フィルムの厚さ方向に削ることにより、締め付け力が金型面に均等にかかり、金型の歪みや成型材料の漏出を生じないようにするのが好ましい。
【0007】
また、本発明のインモールド転写成型品は、ベースフィルム上に転写可能な絵柄印刷層を形成してなる転写フィルムを射出成型金型内に挿入することにより射出成型と同時に前記転写フィルムの絵柄を転写してなるインモールド転写成型品に係り、転写しようとする絵柄の幅に応じた幅の転写フィルムを使用して一部分にのみ絵柄を転写したことを特徴とする。
【0008】
また、本発明のインモールド転写成型品は、成型品がヒンジ部を介して複数の部分を連結した構造の物であって、転写フィルムを一方の部分に合わせて、その一方の側端が金型を閉じた状態で前記ヒンジ部に対応した型面部分にかかるように挿入することにより、その一方の部分に絵柄が転写されたものであることを特徴とする。
【0009】
【作用】
本発明によれば、インモールド転写による部分転写に際し、転写しようとする絵柄の幅に応じた幅の転写フィルムが使用され、金型は、型面の転写フィルムを挿入する部分がその外側の型面部分に対し転写フィルムの厚さと同一若しくは略同一の寸法だけフィルムの厚さ方向に削ったものとされる。そして、その型面の削った部分に合わせて転写フィルムが挿入され、成型と同時に転写が行われる。本発明はこのように絵柄の幅に応じた転写フィルムを使用するものであるので、金型の全面を覆うよう転写フィルムを挿入する場合と比較して転写フィルムの無駄が少ない。また、転写フィルムを挿入する部分が他の部分に対してフィルムの厚さ分削られた金型を使用するので、締め付け力が金型面に均等にかかり、金型の歪みや成型材料の漏出が生じず、また、成型面に段差が生じず、線も入りにくい。
【0010】
また、成型品がヒンジ部を介して連結した二つの部分からなるものである場合に、その一方の部分に転写する際には、やはり、転写しようとする一方の部分の幅に応じた幅の転写フィルムが使用される。そして、その転写しようとする部分に合わせて転写フィルムが挿入され、成型と同時に転写が行われる。この場合には、転写フィルムの境目をヒンジの部分で逃げることができるため、成型面に線が入ることはなく、また、金型の全面を転写フィルムで覆った場合のようにヒンジの部分で転写フィルムが破れるような問題は生じない。また、この場合に、金型が、型面の転写しようとする一方の部分に対応する部分が転写フィルムの厚さと同一若しくは略同一の寸法だけ他方の部分に対し転写フィルムの厚さ方向に削られたものであると、締め付け力が金型面に均等にかかり、金型の歪みや成型材料の漏出が生じない。
【0011】
また、本発明によれば、可動側金型の転写フィルム挿入側の部分を削ることにより、射出用ゲートを有する固定側金型の構造が複雑化するのを避けることができる。
【0012】
本発明のインモールド転写成型品は、成型品の一部分にのみ絵柄を転写したものであって、転写しようとする絵柄の幅に応じた幅の転写フィルムを使用したことにより、転写フィルムの無駄がなく、コストを削減できる。また、ヒンジ部を介して複数の部分を連結した構造のものであって、その一方の部分に絵柄を転写する成型品の場合に、転写フィルムの境目をヒンジの部分で逃げることができ、絵柄の幅に応じた幅の転写フィルムの使用が容易である。
【0013】
【実施例】
以下、本発明の一実施例を図面に基づいて説明する。図1は本発明の一実施例の概略図であり、図2は同実施例における金型の断面図、図3は同実施例において金型内に樹脂が射出された状態を示す断面図である。
【0014】
この実施例は、例えば化粧用コンパクトや小物入れ等の成型品で、容器本体と蓋体の二つの部分をヒンジ部を介して連結した構造のものにおいて、蓋体部分だけに絵柄を転写する例である。図において、10はインモールド用金型であって、固定側金型11と可動側金型12とで構成されている。可動側金型12は、成型品の容器本体部分と蓋体部分とに対応したキャビティを形成する凹状の型面部分12A,12Bと、ヒンジ部に対応した凸状の型面部分12Cを備え、固定側金型11は、可動側金型12の二つの凹状型面部分12A,12Bに対向する凸状型面部分11A,11Bと、ヒンジ部に対応した凹状型面部分11Cを備える。固定側金型11には、また、容器本体部分と蓋体部分に対応するキャビティの部分に開口するよう2カ所に射出用ゲート13が設けられている。
【0015】
また、可動側金型12は、転写フィルム20を挿入する蓋体部分に対応した型面部分12Bとその周辺部分12Dとが転写フィルム20の厚さ分だけ転写フィルム20の厚さ方向(金型10の開閉方向)に削られたものとなっている。
【0016】
また、図において、20は転写フィルムであり、三角印21は転写フィルム20の絵柄位置を示している。転写フィルム20は、金型10の転写しようとする蓋体部分に対応したキャビティの部分を所定の余裕代を持って覆う幅寸法のもので、図示しない転写フィルム送り装置により、図1に示すようにヒンジ連結の方向に対し略直角の方向(矢印の方向,図2において図の面に垂直な方向)に送られ、金型10内に挿入される。転写フィルム20は、金型10を閉じることによって図2に示すように変形し、可動側金型12の削りが入った部分12B,12Dに嵌まり込む。そのため、金型10を閉じた時に転写フィルム20で覆われない部分に隙間が生じることはなく、また、転写フィルム20で覆われる部分と転写フィルム20で覆われない部分とで締め付け力が不均等になることがない。また、可動側金型12の蓋体側型面部分12Bが上記のように転写フィルム20の厚さ分削られた形となっていることにより、成型品の蓋体部分は寸法が小さくなることがなく、容器本体部分との寸法バランスに崩れが生じない。
【0017】
転写フィルム送り装置は、金型10に対し送り方向の上流側にあって転写箔を繰り出す繰り出しロールと、金型10に対し送り方向の下流側にあって繰り出された転写箔を巻き取る巻き取りロールとを備えたものである。また、転写フィルム20は、例えばベースフィルム(PET)上に焼付層および剥離層を介して絵柄印刷層と接着層とを積層したものである。転写フィルム20は接着層側が固定側金型11に面し、ベースフィルム側が可動側金型12に面するよう転写フィルム送り装置にセットされる。
【0018】
転写フィルム20は図1の矢印の方向に送られて金型10内に挿入される。そして、絵柄の見当合わせおよび左右位置の調整の後、図3に示すように金型10が閉じられる。そして、成型材料である合成樹脂30が射出され、成型と同時に転写がなされる。
【0019】
なお、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、例えばヒンジを介さない成型品の部分転写に対しても適用することができるものである。
【0020】
【発明の効果】
本発明は以上のように構成されているので、インモールド転写成型により成型品の一部分に転写する際の転写フィルムの無駄をなくしてコストを削減することができ、特にヒンジ部を介する成型品の場合に、複雑な金型を用いることなくインモールド転写成型によって部分転写を行うようにできる。
【0021】
そして、特に、転写しようとする絵柄の幅に応じた幅の転写フィルムを使用し、型面の転写フィルムを挿入する部分が他の部分に対し転写フィルムの厚さと同一若しくは略同一の寸法だけフィルムの厚さ方向に削った金型を使用して、型面の削った部分に合わせて転写フィルムを挿入するようにしたことにより、転写フィルムの無駄をなくするとともに、締め付け力が金型面に均等にかかるようにして、金型の歪みや成型材料の漏出が生ずるのを防止し、また、成型面に段差や線が生ずるのを防止できる。
【0022】
また、ヒンジ部を介して連結した二つの部分からなる成型品の一方の部分に転写する場合に、その転写しようとする一方の部分の幅に応じた幅の転写フィルムを使用し、その転写しようとする部分に合わせて転写フィルムを挿入することにより、転写フィルムの境目をヒンジの部分で逃げることができて、成型面に線が入ったり、ヒンジの部分で転写フィルムが破れるのを防止できる。また、この場合に、型面の転写しようとする一方の部分に対応する部分を転写フィルムの厚さと同一若しくは略同一の寸法だけ他方の部分に対し転写フィルムの厚さ方向に削られたものとすることにより、締め付け力が金型面に均等にかかるようにして、金型の歪みや成型材料の漏出を防止できる。
【0023】
また、通常、固定側の金型は、成型品の外形をかたどるように成形されているため、固定側の金型を転写フィルム厚分削ってしまうと、固定側の金型の形状が複雑化するだけでなく、場合によっては、得ようとする成型品の形状を得ることができないことがある。本発明によれば、可動側金型の転写フィルム挿入側の部分を削るので、金型の成形が簡単であり、金型の製作費も安価となる。
【0024】
また、本発明のインモールド転写成型品は、成型品の一部分にのみ絵柄を転写したものであって、転写しようとする部分のみを覆う転写フィルムを使用することによって、転写フィルムの無駄をなくし、コストを削減することができる。特に、ヒンジ部を介して複数の部分を連結した構造の成型品に部分転写する場合に、転写フィルムの境目をヒンジの部分で逃げるようにして絵柄の幅に応じた転写フィルムを使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例の概略図
【図2】図1に示す実施例の金型の断面図
【図3】図1に示す実施例の射出成型の状態を示す断面図
【符号の説明】
10 金型
11 固定側金型
11A,11B,11C 型面部分
12 可動側金型
12A,12B,12C 型面部分
20 転写フィルム
【産業上の利用分野】
本発明は、成形と同時に転写を行うインモールド転写成型方法および成型品に関する。
【0002】
【従来の技術】
射出成形品に絵柄を付ける方法として、転写可能な絵柄印刷層を設けた転写フィルムを射出成形金型内に挿入し射出成形と同時に絵柄を成形品に転写するようにしたインモールド転写が従来から知られている。インモールド転写は、一般に、成形品の立体曲面が単調で、転写面の形状の凹凸が小さく(浅く)、立ち上がりが小さいような場合に利用でき、それにより生産効率の良い絵付けが可能である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、従来のインモールド転写では、絵柄を成型品の一部分にのみ転写する場合でも、転写フィルムを部分的に挿入したのでは境目に線が入るといった問題が生ずるため、金型の全面を覆うように転写フィルムを挿入するのが普通であった。しかし、一部分にしか転写しない場合にこのように金型の全面を覆うような転写フィルムを用いることは、無駄が多く、コストアップの要因となっていた。また、それとは別に、金型の全面を覆うように転写フィルムを挿入するという方法では、ヒンジを介して複数の部分を連結した構造の成型品の場合に、通常の固定側金型と可動側金型だけではヒンジの部分で転写フィルムが破れるという問題があった。また、ヒンジの部分にスライド型を介設させればそのような問題は一応解決できるが、その場合は金型が複雑でコスト高になっていた。
【0004】
本発明はこのような問題点を解決するものであって、インモールド転写成型によって成型品の一部分に絵柄を転写する場合に、転写フィルムの無駄をなくしてコストを削減することのできる、特にヒンジを介する成型品に適用して有利なインモールド転写成型方法および成型品を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明のインモールド転写成型方法は、部分転写を行う場合に、転写しようとする絵柄の幅に応じた幅の転写フィルムを使用することによって転写フィルムの無駄を生じないようにし、また、金型特に可動側金型の型面の転写フィルムを挿入する部分を、その外側の型面部分に対し転写フィルムの厚さと同一若しくは略同一の寸法だけ転写フィルムの厚さ方向に削り、この型面の削った部分に合わせて転写フィルムを挿入することにより、締め付け力が金型面に均等にかかって金型の歪みや成型材料の漏出を生じないようにするとともに、成型面に段差ができないようにするものである。
【0006】
また、本発明者は、成型品がヒンジ部を介して複数の部分を連結した構造のものであって、その一方の部分に転写するような場合には、部分転写であっても、転写フィルムの境目をヒンジの部分で逃げることができるので、従来のように金型の全面を転写フィルムで覆うのではなくて、転写しようとする部分の幅に応じた幅の転写フィルムを使用すればよく、そうすることで、境目に線が入るという問題はなくなり、また、ヒンジの部分で転写フィルムが破れるような問題もなく、複雑な金型を用いる必要もなくなるという知見を得た。そこで、このようにヒンジ部を介し二つの部分を連結した構造の成型品の一方の部分に転写する場合に、転写しようとする成型品の一方の部分の幅に応じた幅の転写フィルムを使用し、該転写フィルムを前記一方の部分に合わせて、その一方の側端が金型を閉じた状態で前記ヒンジ部に対応した型面部分にかかるように挿入するようにする。その場合、金型特に可動側金型の型面の前記成型品の一方の部分に対応する部分を転写フィルムの厚さと同一若しくは略同一の寸法だけ他方の部分に対し該転写フィルムの厚さ方向に削ることにより、締め付け力が金型面に均等にかかり、金型の歪みや成型材料の漏出を生じないようにするのが好ましい。
【0007】
また、本発明のインモールド転写成型品は、ベースフィルム上に転写可能な絵柄印刷層を形成してなる転写フィルムを射出成型金型内に挿入することにより射出成型と同時に前記転写フィルムの絵柄を転写してなるインモールド転写成型品に係り、転写しようとする絵柄の幅に応じた幅の転写フィルムを使用して一部分にのみ絵柄を転写したことを特徴とする。
【0008】
また、本発明のインモールド転写成型品は、成型品がヒンジ部を介して複数の部分を連結した構造の物であって、転写フィルムを一方の部分に合わせて、その一方の側端が金型を閉じた状態で前記ヒンジ部に対応した型面部分にかかるように挿入することにより、その一方の部分に絵柄が転写されたものであることを特徴とする。
【0009】
【作用】
本発明によれば、インモールド転写による部分転写に際し、転写しようとする絵柄の幅に応じた幅の転写フィルムが使用され、金型は、型面の転写フィルムを挿入する部分がその外側の型面部分に対し転写フィルムの厚さと同一若しくは略同一の寸法だけフィルムの厚さ方向に削ったものとされる。そして、その型面の削った部分に合わせて転写フィルムが挿入され、成型と同時に転写が行われる。本発明はこのように絵柄の幅に応じた転写フィルムを使用するものであるので、金型の全面を覆うよう転写フィルムを挿入する場合と比較して転写フィルムの無駄が少ない。また、転写フィルムを挿入する部分が他の部分に対してフィルムの厚さ分削られた金型を使用するので、締め付け力が金型面に均等にかかり、金型の歪みや成型材料の漏出が生じず、また、成型面に段差が生じず、線も入りにくい。
【0010】
また、成型品がヒンジ部を介して連結した二つの部分からなるものである場合に、その一方の部分に転写する際には、やはり、転写しようとする一方の部分の幅に応じた幅の転写フィルムが使用される。そして、その転写しようとする部分に合わせて転写フィルムが挿入され、成型と同時に転写が行われる。この場合には、転写フィルムの境目をヒンジの部分で逃げることができるため、成型面に線が入ることはなく、また、金型の全面を転写フィルムで覆った場合のようにヒンジの部分で転写フィルムが破れるような問題は生じない。また、この場合に、金型が、型面の転写しようとする一方の部分に対応する部分が転写フィルムの厚さと同一若しくは略同一の寸法だけ他方の部分に対し転写フィルムの厚さ方向に削られたものであると、締め付け力が金型面に均等にかかり、金型の歪みや成型材料の漏出が生じない。
【0011】
また、本発明によれば、可動側金型の転写フィルム挿入側の部分を削ることにより、射出用ゲートを有する固定側金型の構造が複雑化するのを避けることができる。
【0012】
本発明のインモールド転写成型品は、成型品の一部分にのみ絵柄を転写したものであって、転写しようとする絵柄の幅に応じた幅の転写フィルムを使用したことにより、転写フィルムの無駄がなく、コストを削減できる。また、ヒンジ部を介して複数の部分を連結した構造のものであって、その一方の部分に絵柄を転写する成型品の場合に、転写フィルムの境目をヒンジの部分で逃げることができ、絵柄の幅に応じた幅の転写フィルムの使用が容易である。
【0013】
【実施例】
以下、本発明の一実施例を図面に基づいて説明する。図1は本発明の一実施例の概略図であり、図2は同実施例における金型の断面図、図3は同実施例において金型内に樹脂が射出された状態を示す断面図である。
【0014】
この実施例は、例えば化粧用コンパクトや小物入れ等の成型品で、容器本体と蓋体の二つの部分をヒンジ部を介して連結した構造のものにおいて、蓋体部分だけに絵柄を転写する例である。図において、10はインモールド用金型であって、固定側金型11と可動側金型12とで構成されている。可動側金型12は、成型品の容器本体部分と蓋体部分とに対応したキャビティを形成する凹状の型面部分12A,12Bと、ヒンジ部に対応した凸状の型面部分12Cを備え、固定側金型11は、可動側金型12の二つの凹状型面部分12A,12Bに対向する凸状型面部分11A,11Bと、ヒンジ部に対応した凹状型面部分11Cを備える。固定側金型11には、また、容器本体部分と蓋体部分に対応するキャビティの部分に開口するよう2カ所に射出用ゲート13が設けられている。
【0015】
また、可動側金型12は、転写フィルム20を挿入する蓋体部分に対応した型面部分12Bとその周辺部分12Dとが転写フィルム20の厚さ分だけ転写フィルム20の厚さ方向(金型10の開閉方向)に削られたものとなっている。
【0016】
また、図において、20は転写フィルムであり、三角印21は転写フィルム20の絵柄位置を示している。転写フィルム20は、金型10の転写しようとする蓋体部分に対応したキャビティの部分を所定の余裕代を持って覆う幅寸法のもので、図示しない転写フィルム送り装置により、図1に示すようにヒンジ連結の方向に対し略直角の方向(矢印の方向,図2において図の面に垂直な方向)に送られ、金型10内に挿入される。転写フィルム20は、金型10を閉じることによって図2に示すように変形し、可動側金型12の削りが入った部分12B,12Dに嵌まり込む。そのため、金型10を閉じた時に転写フィルム20で覆われない部分に隙間が生じることはなく、また、転写フィルム20で覆われる部分と転写フィルム20で覆われない部分とで締め付け力が不均等になることがない。また、可動側金型12の蓋体側型面部分12Bが上記のように転写フィルム20の厚さ分削られた形となっていることにより、成型品の蓋体部分は寸法が小さくなることがなく、容器本体部分との寸法バランスに崩れが生じない。
【0017】
転写フィルム送り装置は、金型10に対し送り方向の上流側にあって転写箔を繰り出す繰り出しロールと、金型10に対し送り方向の下流側にあって繰り出された転写箔を巻き取る巻き取りロールとを備えたものである。また、転写フィルム20は、例えばベースフィルム(PET)上に焼付層および剥離層を介して絵柄印刷層と接着層とを積層したものである。転写フィルム20は接着層側が固定側金型11に面し、ベースフィルム側が可動側金型12に面するよう転写フィルム送り装置にセットされる。
【0018】
転写フィルム20は図1の矢印の方向に送られて金型10内に挿入される。そして、絵柄の見当合わせおよび左右位置の調整の後、図3に示すように金型10が閉じられる。そして、成型材料である合成樹脂30が射出され、成型と同時に転写がなされる。
【0019】
なお、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、例えばヒンジを介さない成型品の部分転写に対しても適用することができるものである。
【0020】
【発明の効果】
本発明は以上のように構成されているので、インモールド転写成型により成型品の一部分に転写する際の転写フィルムの無駄をなくしてコストを削減することができ、特にヒンジ部を介する成型品の場合に、複雑な金型を用いることなくインモールド転写成型によって部分転写を行うようにできる。
【0021】
そして、特に、転写しようとする絵柄の幅に応じた幅の転写フィルムを使用し、型面の転写フィルムを挿入する部分が他の部分に対し転写フィルムの厚さと同一若しくは略同一の寸法だけフィルムの厚さ方向に削った金型を使用して、型面の削った部分に合わせて転写フィルムを挿入するようにしたことにより、転写フィルムの無駄をなくするとともに、締め付け力が金型面に均等にかかるようにして、金型の歪みや成型材料の漏出が生ずるのを防止し、また、成型面に段差や線が生ずるのを防止できる。
【0022】
また、ヒンジ部を介して連結した二つの部分からなる成型品の一方の部分に転写する場合に、その転写しようとする一方の部分の幅に応じた幅の転写フィルムを使用し、その転写しようとする部分に合わせて転写フィルムを挿入することにより、転写フィルムの境目をヒンジの部分で逃げることができて、成型面に線が入ったり、ヒンジの部分で転写フィルムが破れるのを防止できる。また、この場合に、型面の転写しようとする一方の部分に対応する部分を転写フィルムの厚さと同一若しくは略同一の寸法だけ他方の部分に対し転写フィルムの厚さ方向に削られたものとすることにより、締め付け力が金型面に均等にかかるようにして、金型の歪みや成型材料の漏出を防止できる。
【0023】
また、通常、固定側の金型は、成型品の外形をかたどるように成形されているため、固定側の金型を転写フィルム厚分削ってしまうと、固定側の金型の形状が複雑化するだけでなく、場合によっては、得ようとする成型品の形状を得ることができないことがある。本発明によれば、可動側金型の転写フィルム挿入側の部分を削るので、金型の成形が簡単であり、金型の製作費も安価となる。
【0024】
また、本発明のインモールド転写成型品は、成型品の一部分にのみ絵柄を転写したものであって、転写しようとする部分のみを覆う転写フィルムを使用することによって、転写フィルムの無駄をなくし、コストを削減することができる。特に、ヒンジ部を介して複数の部分を連結した構造の成型品に部分転写する場合に、転写フィルムの境目をヒンジの部分で逃げるようにして絵柄の幅に応じた転写フィルムを使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例の概略図
【図2】図1に示す実施例の金型の断面図
【図3】図1に示す実施例の射出成型の状態を示す断面図
【符号の説明】
10 金型
11 固定側金型
11A,11B,11C 型面部分
12 可動側金型
12A,12B,12C 型面部分
20 転写フィルム
Claims (4)
- ベースフィルム上に転写可能な絵柄印刷層を形成してなる転写フィルムを射出成型金型内に挿入し射出成型と同時に前記転写フィルムの絵柄をヒンジ部を介し複数の部分を連結した構造の成型品の一方の部分に転写するインモールド転写成型方法であって、前記成型品の転写しようとする一方の部分の幅に応じた幅の転写フィルムを使用し、該転写フィルムを前記一方の部分に合わせて、その一方の側端が金型を閉じた状態で前記ヒンジ部に対応した型面部分にかかるように挿入することを特徴とするインモールド転写成型方法。
- 型面の前記成型品の転写しようとする一方の部分に対応する部分を前記転写フィルムの厚さと同一若しくは略同一の寸法だけ他方の部分に対し該転写フィルムの厚さ方向に削った金型を使用した請求項1記載のインモールド転写成型方法。
- 型面の一方の部分を削る金型は、可動側金型である請求項1または2記載のインモールド転写成型方法。
- ヒンジ部を介して複数の部分を連結した構造を有し、ベースフィルム上に転写可能な絵柄印刷層を形成してなる転写フィルムを射出成型金型内に挿入することにより射出成型と同時に前記転写フィルムの絵柄を、前記ヒンジ部を介して複数の部分を連結した構造の一方の部分に転写してなるインモールド転写成型品であって、転写しようとする絵柄の幅に応じた幅の転写フィルムを使用して、該転写フィルムを前記一方の部分に合わせて、その一方の側端が金型を閉じた状態で前記ヒンジ部に対応した型面部分にかかるように挿入することにより、前記一方の部分にのみ絵柄が転写されたことを特徴とするインモールド転写成型品。
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