JP3553323B2 - 往復ポンプ及び往復ポンプ装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、吸入液を利用して駆動部ケースの潤滑油を冷却する往復ポンプ及び往復ポンプ装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
実開昭61−59883号公報は、吸入管路をクランクケース下面に接するように配管して、クランクケース内の潤滑油を吸入液により冷却することを開示する。
【0003】
実開昭62−101078号公報は、クランクケース内に伝熱管を配置し、ポンプヘッドから吸入液を、ポンプ外部の導管を介して伝熱管へ導いて、クランクケース内の潤滑油を冷却することを開示する。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
実開昭61−59883号公報及び実開昭62−101078号公報の潤滑油冷却構造は、共に、吸入液をクランクケースへ導く配管構造が複雑になる問題がある。
【0005】
この発明の目的は、配管構造を複雑化することなく、吸入液を利用して駆動部ケース内を効率的に冷却できる往復ポンプ及び往復ポンプ装置を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】この発明の往復ポンプ(10)は次の(a)〜(e)を有している。
(a)往復動して各ポンプ室(24)の容積を増減する複数個の往復動部材(34)
(b)各往復動部材(34)に往復動を付与する往復動付与手段(48)を内部に収容しかつ各往復動部材(34)の基端部(36)を案内する複数個の案内部(38)を備えている駆動部ケース(12)
(c)各ポンプ室(24)に対して共通の吸入口(22)を備え駆動部ケース(12)に接合されかつ複数個の往復動部材(34)が挿入される吸入口ケース(14)(d)案内部(38)より垂下しつつ案内部(38)に沿って延びている垂下部(56,58)
(e)垂下部(56,58)内に形成されるとともに吸入口(22)へ連通して吸入口(22)からの吸入液を導かれる吸入液導入空間(50,54)
【0008】
吸入液は、吸入口(22)を介して吸入口ケース(14)内へ導入され、ポンプ室(24)の方へ吸入されるとともに、一部は、吸入液導入空間(50,54)へ導入され、垂下部(56,58)の壁部を介して駆動部ケース(12)内の潤滑油と熱交換する。吸入液導入空間(50,54)は、上端部において案内部(38)に結合して案内部(38)から垂下している垂下部(56,58)内に形成され、垂下部(56,58)は、駆動部ケース(12)内の潤滑油に十分に浸かっているので、駆動部ケース(12)内の潤滑油は、吸入液導入空間(50,54)内の吸入液により効率良く冷却される。また、吸入液を利用して、駆動部ケース(12)内の冷却を行うために、駆動部ケース(12)及び吸入口ケース(14)の外部において特別な配管が不要になる。
【0009】
この発明の往復ポンプ装置(10)によれば、垂下部(56)は、各案内部(38)に対応して設けられ、吸入液導入空間(50)は各垂下部(56)に形成されている。
【0010】
垂下部(56,58)は、各案内部(38)に対応して設けられるので、駆動部ケース(12)内の潤滑油との接触面積が増大し、熱交換効率が高まる。また、複数個の往復動部材(34)が、往復動方向に対して直角方向へ一列に配列されていなくても、例えば、段違いや、対向型に等に配列されていても、支障なく、吸入液導入空間(50,54)を設けることができる。
【0011】
この発明の往復ポンプ装置(10)によれば、複数個の案内部(38)は、往復動方向に対して直角方向へほぼ一列に配列されている。垂下部(58)は、複数個の案内部(38)の下側に共通の垂下部として存在する。吸入液導入空間(54)は、垂下部(58)に形成された1個の吸入液導入空間である。
【0012】
垂下部(56,58)及び吸入液導入空間(50,54)は、複数個の案内部(38)に共通に設けられるので、駆動部ケース(12)の構造が簡単化される。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
図1は三連プランジャポンプ装置10の垂直断面図である。吸入マニホールド14は、駆動部ケース12の先端側に、図示していないボルトにより締付けられて、駆動部ケース12に接合されている。3個のシールケース18は、両端部において吸入マニホールド14及び吐出マニホールド16に嵌挿され、複数個の締付けボルト20は、吐出マニホールド16の張り出し部に挿通されてから、吸入マニホールド14の張り出し部に螺着し、吸入マニホールド14、シールケース18、及び吐出マニホールド16を軸方向へ締付ける。吸入口22は、吸入マニホールド14の下部に設けられ、吸入マニホールド14内の吸入側内部空間46へ連通している。吐出口(図示せず)は吐出マニホールド16の上部に設けられ、計3個のポンプ室24は各シールケース18内に形成される。吸入弁26及び吐出弁28は各ポンプ室24に対応して設けられ、吸入弁26は吸入口22からポンプ室24への一方向の液体の流れを許容し、吐出弁28はポンプ室24から吐出口への一方向の液体の流れを許容する。
【0014】
駆動軸30は、両端部において回転自在に駆動部ケース12の側壁部に支持され、各ポンプ室24に対応して偏心円形カム32を備えている。3個のプランジャ34は、駆動軸30の軸方向に対して直角の水平方向へ延び、相互に平行で駆動軸30と等しい高さとなっている。プランジャ34は、吸入マニホールド14を貫通して、シールケース18内へ入り、先端部においてポンプ室24に臨んでいる。プランジャ34の基端部のクロスヘッド36は、駆動部ケース12の案内部38に嵌合し、案内部38により案内部38の中心線方向へ案内される。オイルシール40は、案内部38の先端部に嵌挿され、内周側においてプランジャ34の周部と摺接し、駆動部ケース12内の潤滑油が案内部38を介して漏出するのを防止する。高圧シール42及び低圧シール44は、プランジャ34の軸方向へそれぞれ先端側及び基端側の吸入マニホールド14の段部に押込まれており、内周側においてプランジャ34に摺接して、ポンプ室24からの液漏れを防止する。高圧シール42及び低圧シール44の間の空間は、吸入側内部空間46へ連通して、吸入側内部空間46からの吸入液を導かれ、プランジャ34の周部は、吸入側内部空間46からの吸入液により濡らされて、高圧シール42及び低圧シール44における潤滑性を改善される。コンロッド48は、大端部において偏心円形カム32に回転自在に嵌合し、小端部においてクロスヘッド36に回転自在に結合している。ほぼ円形断面の垂下部56は、各プランジャ34に対応して設けられ、案内部38の延び方向へ案内部38のほぼ全長にわたって延び、上端部において案内部38に結合し、案内部38から垂下している。孔50は、円形断面で各垂下部56内に形成され、一端側において駆動部ケース12及び吸入マニホールド14の接合部を通過して、吸入側内部空間46に開口し、他端側の閉口端は垂下部56の端壁近くに達している。Oリング52は、駆動部ケース12及び吸入マニホールド14の接合部に嵌着され、孔50からの液漏れを阻止している。
【0015】
図2は図1の駆動部ケース12を左半部は蓋接合面から及び右半部は駆動軸30の中心線位置から吸入マニホールド14の方へ見た図である。各孔50は、案内部38より十分に下方へ垂下して、駆動部ケース12内の潤滑油に十分に浸かるようになっている。
【0016】
三連プランジャポンプ装置10の運転中、駆動軸30は、図示していない原動機からの回転動力により回転する。コンロッド48は、駆動軸30の回転動力を往復動へ変換して、プランジャ34へ伝達し、プランジャ34は、案内部38におけるクロスヘッド36の案内により往復動して、ポンプ室24の容積を増減する。吸入行程では、吸入弁26及び吐出弁28がそれぞれ開及び閉となり、吸入口22からの液体、通常は水がポンプ室24へ吸入され、吐出行程では、吸入弁26及び吐出弁28がそれぞれ閉及び開となり、ポンプ室24内の液体が吐出弁28を経て吐出口(図示せず)へ吐出される。吸入口22より吸入側内部空間46へ導入された吸入液の一部は、吸入側内部空間46から各孔50へ導かれ、そこに満たされる。各垂下部56は駆動部ケース12内の潤滑油空間に浸かっており、各垂下部56の孔50内の吸入液は、駆動部ケース12内の潤滑油と熱交換を行って、吸入液を冷却する。
【0017】
図3は図2の変形例を左半部及び右半部をそれぞれ図2と同じ個所より同じ方向へ見た図である。垂下部58は、3個の案内部38に共通に設けられ、上端部において各案内部38に結合し、案内部38の列方向へ偏平に広がっており、図1の垂下部56と同様に、案内部38の延び方向へ案内部38のほぼ全長にわたり延び、かつ案内部38から垂下している。偏平空間54には、図1の孔50と同様に、吸入液が導入され、駆動部ケース12内の潤滑油を冷却する。偏平空間54及び垂下部58が1個で済むので、駆動部ケース12の構造が簡単となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】三連プランジャポンプ装置の垂直断面図である。
【図2】駆動軸の中心線位置から吸入マニホールドの方へ見た図である。
【図3】図2の変形例を左半部及び右半部をそれぞれ図2と同じ個所より同じ方向へ見た図である。
【符号の説明】
10 三連プランジャポンプ装置(往復ポンプ、往復ポンプ装置)
12 駆動部ケース
14 吸入マニホールド(吸入口ケース)
22 吸入口
24 ポンプ室
34 プランジャ(往復動部材)
36 クロスヘッド(基端部)
38 案内部(案内部)
48 コンロッド(往復動付与手段)
50 孔(吸入液導入空間)
54 偏平空間(吸入液導入空間)
56 垂下部
58 垂下部
Claims (2)
- (a)往復動して各ポンプ室(24)の容積を増減する複数個の往復動部材(34)、(b)前記各往復動部材(34)に往復動を付与する往復動付与手段(48)を内部に収容しかつ前記各往復動部材(34)の基端部(36)を案内する複数個の案内部(38)を備えている駆動部ケース(12)、(c)前記各ポンプ室(24)に対して共通の吸入口(22)を備え前記駆動部ケース(12)に接合されかつ前記複数個の往復動部材(34)が挿入される吸入口ケース(14)、(d)前記案内部(38)より垂下しつつ前記案内部(38)に沿って延びている垂下部(56,58)、及び(e)前記垂下部(56,58)内に形成されるとともに前記吸入口(22)へ連通して前記吸入口(22)からの吸入液を導かれる吸入液導入空間(50,54)、を有している往復ポンプ装置であって、
前記垂下部(56)は、前記各案内部(38)に対応して設けられ、前記吸入液導入空間(50)は前記各垂下部(56)に形成されていることを特徴とする往復ポンプ装置。 - (a)往復動して各ポンプ室(24)の容積を増減する複数個の往復動部材(34)、(b)前記各往復動部材(34)に往復動を付与する往復動付与手段(48)を内部に収容しかつ前記各往復動部材(34)の基端部(36)を案内する複数個の案内部(38)を備えている駆動部ケース(12)、(c)前記各ポンプ室(24)に対して共通の吸入口(22)を備え前記駆動部ケース(12)に接合されかつ前記複数個の往復動部材(34)が挿入される吸入口ケース(14)、(d)前記案内部(38)より垂下しつつ前記案内部(38)に沿って延びている垂下部(56,58)、及び(e)前記垂下部(56,58)内に形成されるとともに前記吸入口(22)へ連通して前記吸入口(22)からの吸入液を導かれる吸入液導入空間(50,54)、を有している往復ポンプ装置であって、
複数個の前記案内部(38)は、往復動方向に対して直角方向へほぼ一列に配列され、前記垂下部(58)は、前記複数個の案内部(38)の下側に共通の垂下部として存在し、前記吸入液導入空間(54)は、前記垂下部(58)に形成された1個の吸入液導入空間であることを特徴とする往復ポンプ装置。
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