JP3552709B2 - ホログラムスクリーン - Google Patents
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Description
【0001】
【技術分野】
本発明は,映像光を散乱・拡散して出射光とすることにより映像を再生するホログラムスクリーン及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来技術】
映像投影装置より入射した映像光を散乱・拡散して出射光とすることにより映像を再生することができる透明なホログラムスクリーンが知られている。このホログラムスクリーンは,背景を透かしてみながら,再生される映像を観察することができる。
【0003】
このようなホログラムスクリーンを利用することで,例えば銀行や病院等の窓口において顧客や患者を確認しながら接客を行うことが可能となる。この場合,映像は顧客側に表示することもできるし(顧客向けの映像を表示する),接客する側に表示することもできる(接客する店員等に向けた映像を表示する)。更に,上記ホログラムスクリーンを利用することで,デパートや地下街等の各種ショールームのウィンドウガラスに対し広告映像等を映し出すことができる。この場合,ショールーム内の展示品の観察を阻害することなく,映像を提示することができる。また,このようなホログラムスクリーンを自動車等の各種移動体のヘッドアップディスプレイとして利用することもできる。
【0004】
図26には透過型のホログラムスクリーン9を用いた表示装置を示した。この表示装置は,ホログラムスクリーン9の背面側(観察者側と反対側)に映像投影装置12であるプロジェクタが配置され,該プロジェクタから映像光120を照射することで,ホログラムスクリーン9において映像を再生し,観察者8に提示するよう構成されている。
【0005】
また,図27には反射型ホログラムスクリーン90を用いた表示装置を示した。この表示装置は,ホログラムスクリーン90の正面側(観察者側)に映像投影装置12が配置され,該映像投影装置12から映像光120を照射することで,ホログラムスクリーン9において映像を再生し,観察者8に提示するよう構成されている。
【0006】
上記ホログラムスクリーン9,90の製造方法として,レーザー光をすりガラス等の光拡散体を透過させて拡散させ,得られた拡散光を物体光とし,非拡散光を参照光として,両者を感光材料に照射することで,干渉縞を該感光材料に記録するという方法が知られている。図28,図29に示すごとく,光拡散体32を透過することで形成された拡散光よりなる物体光320と,非拡散光である参照光310という2本の光束を用いて感光材料31を露光する。これにより,感光材料31に干渉縞が記録される。
【0007】
この露光の際に,図28に示すように,感光材料31に対して同方向から物体光320及び参照光310を入射させることで透過型のホログラムスクリーン9を得ることができる。一方,図29に示すように,感光材料31に対してそれぞれ逆方向から物体光320と参照光310とを入れることで反射型のホログラムスクリーン90を得ることができる。
【0008】
【解決しようとする課題】
しかしながら,上述した従来のホログラムスクリーンには,光拡散体より得られた物体光で形成された干渉縞が記録されていることから,曇りが発生しやすかった。このようなホログラムスクリーンは不透明性が目立ち,ホログラムスクリーンの通して明瞭な背景を観察することが難しく,観察者に違和感を与えることがあった。この問題は特に映像が映っていない時に顕著であった。
【0009】
ところで,特開平9−127853号に視野角の広いホログラムスクリーンの作製方法が提示されている。この方法は,光拡散体に異なる方向から複数の光を照射することで得られた拡散光である物体光と,非拡散光である参照光とを感光材料に照射することでホログラムスクリーンを得る方法である。また,拡散角の異なる2種類以上の光拡散体を貼り合せて1枚の光拡散体となし,これより得られた拡散光よりなる物体光と,非拡散光である参照光とを利用してホログラムスクリーンを得る方法である。
【0010】
この方法では,散乱方向による強度の差が少ない拡散光を使用することができるため,広い視野角を持ったホログラムスクリーンを得ることができる。ホログラムスクリーンには,特定の範囲(視野角)内からしか映像を見ることができない,という特徴があるため,視野角の広いホログラムスクリーンの利用価値は高い。しかしながら,このような方法にて作製されたホログラムスクリーンは,視野角が広くなるに伴い,曇り具合がひどくなるという問題があった。
【0011】
また,特開平9−127612号にホログラムスクリーンの曇りを防止する方法が提示されている。仮に参照光を照射せず,物体光のみで感光材料を露光したと仮定する。この露光で得られたホログラムスクリーンの効率ηOOを5%以下とした場合の物体光の強度をAとする。このような物体光の強度Aと,この強度Aに見合うような強度の参照光とを用いて感光材料を露光する。これにより曇りが生じ難いホログラムスクリーンを得ることができる。
【0012】
しかしながら,効率ηOOが5%を越えるような物体光で露光した場合であっても,曇りを生じ難いホログラムスクリーンが得られる可能性があり,上述した従来技術にかかる製造方法は,曇りが生じ難いホログラムスクリーンの製造方法としては充分ではなかった。
【0013】
また,特開平9−127612号において,感光材科として重クロム酸ゼラチン(DCG)を使用したホログラムスクリーンが提示されている。そして,DCGを用いた製造工程には,湿式の現像工程が必要である。このため,上記現像工程でDCGが硬膜される際に,該DCG中に微少なひび割れが生じ,その結果,ホログラムスクリーンが白濁するおそれがあった。発明者らの研究により,この白濁が無ければ効率ηOOが大きくても曇りを感じないことが判明した。逆に重クロム酸ゼラチンによるホログラムスクリーンは,白濁することが多いためにηOOを5%以下とする必要があった。
【0014】
本発明は,かかる従来の問題点に鑑みてなされたもので,透明性に優れ,曇りが殆どなく,明瞭な背景を観察できるホログラムスクリーン,及びこのようなホログラムスクリーンの製造方法を提供しようとするものである。
【0015】
【課題の解決手段】
請求項1に記載の発明は,映像投影装置より入射した400nm〜800nmの再生波長からなる映像光を散乱・拡散して出射光とすることにより映像を再生するホログラムスクリーンにおいて,上記ホログラムスクリーンのヘイズ率として、Hをヘイズ率、全光線透過率であるTtを、ホログラムスクリーンの中央表面に対する±3.5度の範囲内に散乱した光の強度とし、拡散透過率であるTdをホログラムスクリーンの中央表面に対する±3.5度の範囲内に散乱した光以外のあらゆる方向へ散乱した光の合計強度とした時、H=Td/Tt×100で示し、かつ上記ホログラムスクリーンに入射する照明光の水平照度が1000lx(ルクス)となる場合において、上記ホログラムスクリーンの背景となる壁面に、展示物として白紙上に36ポイントのゴシックの黒文字のアルファベット、漢字を配置したものを設置し、この展示物を映像投射器から映像光を照射しない状態で、上記ホログラムスクリーンから2m離れた位置に立つ観察者に観察させ、上記観察者に展示物の文字の見やすさ、上記ホログラムスクリーンによる背景の曇り度合いについて評価して求めた時、上記ヘイズ率の値が5〜60%であるホログラムスクリーンにある。
【0017】
本発明の作用につき説明する。本発明にかかるホログラムスクリーンは、上記ホログラムスクリーンに入射する照明光の水平照度が1000lx(ルクス)となる場合、ヘイズ率が5〜60%である。以下に記載するごとく,上記ホログラムスクリーンに入射する照明光の水平照度が1000lx(ルクス)となる場合、ヘイズ率が上述の範囲内にあることで,このホログラムスクリーンに対し映像投影装置以外から入射した光は散乱度合が低く,映像光を高い効率で出射することができる。このため,観察者がホログラムスクリーンを観察した場合,外乱光によりホログラムスクリーンの曇りが少なく,ホログラムスクリーンの背景からやってきた光は曇ることなく透過して,観察者に届く。よって,観察者はホログラムスクリーンを通して明瞭に背景を観察できる。つまり,曇りが殆どなく透明なホログラムスクリーンを得ることができる(実施形態例1参照)。
【0018】
このようなホログラムスクリーンは一般的な不透明スクリーンとは異なり,ホログラムスクリーンの背景と,このスクリーンで再生される映像とを同時に観察することができる。これによって,観察者に強くアピールできる視覚効果を得ることができ,例えばショールーム等で展示品と共に映像等を同時に観察者に提示することができる。
【0019】
また,本発明のホログラムスクリーンは曇りが殆どなくて,明瞭な背景を観察できる,つまり透明性に優れたスクリーンである。このため,映像等が映っていなければ,その存在が観察者の視界を遮り難い。よって,このホログラムスクリーンは移動体におけるヘッドマウントディスプレイ等に応用することができる。
【0020】
上記ヘイズ率が60%を越えた場合には,曇りが目立つようになり,背景を明瞭に観察できなくなるおそれがある。一方,5%未満である場合には,ホログラムスクリーンの効率が低く,映像が暗くなるおそれがある。なお,ヘイズ率の上限は40%であることがより好ましい。
【0021】
ここにヘイズ率について説明する。透明体の曇り具合を表わす指標としてJISK7105に規定されている『へイズ率』が広く使用されている。本発明におけるヘイズ率はJISK7105による値である。
【0022】
一般的な光散乱体に比べて,ホログラムスクリーンはかなりへイズ率が高い場合でも,観察者が背景を明瞭に観察できる,即ち透明性に優れることを本発明者らは見出した。
【0023】
『ヘイズ率』は以下に示す式によって表現できる。
【0024】
H=Td/Tt×100・・・・・(1)
H:へイズ率(%),Td:拡散透過率(%),Tt:全光線透過率(%)
ここにTtはホログラムスクリーンや光散乱体の中央表面に対する垂直方向へ透過した光の強度(正確には±3.5度の範囲内に散乱した光の強度),Tdはそれ以外のあらゆる方向へ散乱した光の合計強度である。
【0025】
次に,ホログラムスクリーンの曇りの原因を,一般的な光散乱体の曇りの原因と比較して説明する。一般的な光散乱体において入射する光が散乱されるのは,その表面に凹凸形状が存在するためである。あるいは,内部に光を散乱する粒子が存在するためである。
【0026】
このため,図19に示すように,光散乱体72の背景に存在する物体70から観察者8に向かう光束71が光散乱体72を通過して出射する際には,一部の光束73は観察者8に向かって直進するが,他の光束731,732は必ず光路が観察者8の方向と違う方向へ曲げられて出射する。これが原因となって,背景に存在する物体70の像がぼかされてしまう。ヘイズ率が小さいほど光束731,732の曲がり度合が小さくなるが,極めて微小な曲がり度合でないかぎり,観察者8にとって光散乱体72の背景にある物体70は必ずぼけてみえることとなる。
【0027】
例えば,光束731,732が0.1度曲げられた場合,光散乱体72から2m離れて位置する観察者8には3.5mmのずれが発生する。光散乱体72から5m離れて位置する観察者8には8.7mmのずれが発生する。通常,人間の瞳の径が5mm前後であることを考慮すれば,光束731,732が僅か0.1度曲げられたとしても,物体70はぼけて見えることとなる。このように背景にある物体70がぼけるため,観察者8には光散乱体72が曇って不透明に見えるのである。
【0028】
一方,ホログラムスクリーンは,後述するごとく,レーザー光を光拡散体に透過(または反射)させて形成した拡散光を物体光,拡散していないレーザー光を参照光として使用し,両者が干渉することで生じた干渉縞が感光材料中に,該感光材料を形成する物質の屈折率差として記録されることで,製造することができる。そして,この記録された干渉縞が回折格子として機能する。そして,ホログラムスクリーンを構成する物質は一般に透明である。また,ホログラムスクリーンの表面はほぼ平坦である。
【0029】
図20に示すように,背景に存在する物体70から観察者8に向かう光束71は,ホログラムスクリーン1に記録された干渉縞100により方向を変えられることがない。よって,全ての光束71が,ホログラムスクリーン1を通って観察者8に直進する光束74となるため,観察者8はぼけていない物体70を観察することができる。つまり,観察者8にはホログラムスクリーン1が透明にみえる。
【0030】
もちろん,光束71の一部は干渉縞100により回折され,光束75となってホログラムスクリーン1から出射する。光束74の入射方向は,映像光の入射方向と異なるため,光束74と比べて光束75の強度は低いが,干渉縞100は非常に多数あるため,この光束75がある程度の強度を持った光となることもあり得る。干渉縞100の数や効率などにより光束75の強度が強くなった場合には,ホログラムスクリーン1のヘイズ率が高くなる。
【0031】
しかしながら,回折されない光束(図20における光束74)は全て観察者に向かって直進し,この光束74は光路が曲げられることがない。よって,背景にある物体70がぼけてみえることが防止される。このため,ホログラムスクリーン1の場合,通常の光散乱体よりはより高いヘイズ率を持っている場合であっても,透明にみえるのである。
【0032】
そして,ホログラムスクリーンの不透明の原因となる曇りは,正規の干渉縞(物体光と参照光とより形成された干渉縞)や,物体光同士によってできる干渉縞(不要な干渉縞)により外乱光が回折されて観察者の視線方向に出射してきた光によって,生じるのである。なお,外乱光とはホログラムスクリーンに対し照射される映像光や,ホログラムスクリーンの背景にある物体等からやってくる以外の光で,ホログラムスクリーンに入射した光である。
【0033】
これを図21を用いて模式的に説明する。図21はホログラムスクリーン1に記録されている干渉縞100を模式的に示したものである。図21では,傾きの異なる3本の線にて干渉縞を表わしているが,実際には1つの傾きの線ごとに平行な多数の縞から成っており,傾き角度ももっと多数ある。
【0034】
これらの干渉縞100は,図22のように参照光310と物体光321とにより干渉縞101が,参照光310と物体光322とにより干渉縞102が,参照光310と物体光323とにより干渉縞103がそれぞれ記録される。従って,図21にかかるこれらの干渉縞100では参照光310と同一方向から来た映像光は効率よく回折することができるが,他方向から光は低い効率でしか回折することができない。そして,図21に示すごとく,映像光以外の外乱光711,712,713が入射したとき,観察者8の視線方向にこの外乱光の一部が回折されてしまう。
【0035】
また,ホログラムスクリーンを作製する際に,図23に示すごとく,干渉縞109は,参照光310と物体光328,物体光329とにより形成された正規の干渉縞であると同時に,物体光328と物体光329によって形成された干渉縞でもある。このように物体光同士により形成された干渉縞を「フレネルノイズ」というが,この「フレネルノイズ」によっても,外乱光の一部が回折されてしまう。
【0036】
正規の干渉縞及び「フレネルノイズ」により外乱光が回折され,観察者の視線方向に出射してきた場合,観察者はホログラムスクリーンが曇っていると感じるのである。すなわち,ホログラムスクリーンの曇りは,背景光が散乱されて曇るというよりも,外乱光が干渉縞により回折されて観察者方向に出射する光によりホログラムスクリーン全体が白っぽく光って見えるためにホログラムスクリーンが曇って見えるのであり,背景光の散乱度合がある程度高くとも,すなわちヘイズ率が高くとも,観察者方向に回折される外乱光強度が弱ければ,観察者にはホログラムスクリーンが曇ってみえない。以上のように,ホログラムスクリーンの曇りは一般的な光散乱体と違い,へイズ率が高くとも観察者の感じる曇り度合は小さい。
【0037】
ここにおいて,ホログラムスクリーンと一般的な光散乱体とを実際に比較した。へイズ率が30%のホログラムスクリーンとへイズ率が5%の光散乱体(日東電工製アンチグレアフイルムAG−30)の透過光の散乱特性(出射光の出射角ごとの強度分布)を図24に記載した。なお,ここにおいて使用したホログラムスクリーンは後述する実施形態例2の製造方法で作製したものである。
【0038】
図24より知れるごとく,へイズ率が5%の光散乱体で0度方向の強度が約95%であるのに対し,へイズ率が30%のホログラムスクリーンで約75%の強度である。つまり,ホログラムスクリーンにおいては,約75%の強度の全く散乱されない光束が出射することができる。これだけの強度の光が全く散乱されないので,ホログラムスクリーンの背景は充分視認できる。また,へイズ率が50%であれば約65%が透過するので,背景は充分視認できる。ただし,透過光強度が低くなるので背景が若干暗くなる。
【0039】
以上,本発明によれば,透明性に優れ,曇りが殆どなく,明瞭な背景を観察できるホログラムスクリーンを提供することができる。
【0040】
次に,請求項2に記載の発明のように,上記ホログラムスクリーンのスクリーンゲインは0.3以上であることが好ましい。これにより,ホログラムスクリーンの効率,すなわち,ホログラムスクリーンに映された映像の明るさが低下し難い,ホログラムスクリーンを得ることができる。よって,鮮明な映像が映る,優れたホログラムスクリーンを得ることができる。
【0041】
通常の室内環境に対しホログラムスクリーンを設置した場合,このホログラムスクリーンの背景輝度は400cd/m2以下となる。従って,少なくともホログラムスクリーンに映る映像の明るさは,この値以上の輝度が必要である(後述する実施形態例1,図1参照)。
【0042】
ところで,現在市販されている高輝度型の映像投影装置(例えば液晶プロジェクタ等)は,最低投影面面サイズが40インチであるが,このような画面サイズに投影した映像の最大照度は約4000lxであることが知られている。
【0043】
そして,一般に,スクリーンゲインは,
(スクリーンゲイン)=(輝度×π)/照度
という式により求めることができる。このため,4000lxの照度で400cd/m2の輝度となるスクリーンゲインは約0.3である。以上により,上述したごとく,ホログラムスクリーンに映された映像の明るさを低下させないためには,スクリーンゲインが0.3以上あればよいことが分かる。
【0044】
仮にスクリーンゲインが0.3未満である場合には,ホログラムスクリーンに映る映像が暗く,ホログラムスクリーンの背景と判別し難くなるおそれがある。なお,上記スクリーンゲインの上限は,スクリーンゲインを上げることによりヘイズ率も上昇するため,ヘイズ率60%を越えないようなスクリーンゲインとする必要がある。このようなスクリーンゲインの値はホログラムスクリーンの特性により左右されるので一概に決めることはできない。
【0045】
【発明の実施の形態】
(実施形態例1)
本発明の実施形態例にかかるホログラムスクリーンにつき,図1〜図3を用いて説明する。本例のホログラムスクリーン1は,図1に示すごとく,映像投影装置12より入射した映像光120を散乱・拡散して出射光121とすることにより映像を再生するものであり,ヘイズ率が5〜60%である。
【0046】
本例のホログラムスクリーン1について詳細に説明する。図1は本例のホログラムスクリーン1が設置されたショールーム2である。このショールーム2は壁面21に設置された展示物210と共に,ショールーム2のウィンドウガラス20に設置したホログラムスクリーン1に映る映像をショールーム2の外にいる観察者8に提示するよう構成されている。
【0047】
ショールーム2の天井面24には照明器具23が設置され,この照明器具23から放たれる照明光はホログラムスクリーン1を通過して観察者8に対する出射光の一部となる。また,照明器具23の照明光は展示物210を照らし,該展示物210において反射され,反射光となって観察者8の眼に届く。上記映像投影装置12としては,液晶プロジェクタが使用され,このものは天井面24に設置されている。
【0048】
また,上記ホログラムスクリーン1は透過型であり,製造方法については実施形態例2に記載した。なお,前述した図27に示すごとく,観察者8と同じ側に上記映像投影装置12を設けて,ホログラムスクリーンとして反射型のものを使用することもできる。更に,上記映像投影装置12を床面25に設置することもできる。
【0049】
次に,本例にかかるホログラムスクリーンについて,ヘイズ率と観察者の感じる曇り具合との関係について試験した。この試験は図1に示した環境下において,20人の被験者に展示物210の視認性とホログラムスクリーン1の曇り具合とを評価することで行った。
【0050】
この試験において使用したヘイズ率の異なるホログラムスクリーンを得る方法としては,後述する実施形態例2に示すごときホログラムスクリーンの製造方法を利用した。つまり,後述する図4にかかる露光光学系の光拡散体の散乱角に応じて参照光と物体光との強度比ER/EOを変更した。また,ホログラムスクリーンを複数枚積層し,これを1枚のスクリーンとして利用することで所望のヘイズ率を得た。
【0051】
この試験において使用したホログラムスクリーン1は対角長さが20インチである。天井面24の照明器具23よりホログラムスクリーン1に入射する照明光の水平照度は1000lx(ルクス),ホログラムスクリーン1の背景となる壁面21での輝度は400cd/m2である。また,壁面21とホログラムスクリーン1との距離は5mであり,観察者8の側の照度も1000lxとした。なお,平均的なオフイスの照度が500lx,コンビニ等の一般小売店舗で700lxあることから,本試験の照明器具23の輝度はそれらより明るい1000lxとしたのである。
【0052】
ホログラムスクリーン1の背景の視認性は次のような試験によって評価した。ホログラムスクリーン1の背景となる壁面21に,展示物210として白紙上に36ポイントのゴシックの黒文字のアルファベット,漢字を配置したものを設置した。そして,この展示物210を映像投射器12から映像光120を照射しない状態で,ホログラムスクリーン1から2m離れた位置に立つ観察者8に観察させた。そして,観察者に展示物210の文字の見やすさ(図2にかかる文字の読み取り易さ主観評価),ホログラムスクリーン1による背景の曇り度合(図3にかかる曇り度合主観評価)について評価させた。
【0053】
この評価試験の結果を図2,図3に記載した。図2に示すごとく,ホログラムスクリーン1のへイズ率が60%以下であれば,20人の観察者の全員が,文字の読み取りに支障のないと判断していることが分かった(全員が尺度4以上である)。また,図3に示すごとく,ホログラムスクリーンのヘイズ率が60%以下であれば,20人の観察者全員が,多少の曇りを感じることがあっても,違和感を感じないことが分かった(全員が尺度4以上である)。
【0054】
このように,ホログラムスクリーンではへイズ率が60%以下であれば,このホログラムスクリーンを通しても明瞭な背景を観察でき,曇りが殆どないものを得ることができる。以上,本例によれば,透明性に優れ,曇りが殆どないホログラムスクリーンを得ることができる。
【0055】
(実施形態例2)
本例は,ホログラムスクリーンの製造方法等について,図4〜図18を用いて説明するものである。本例の製造方法の概略を説明すると,図4に示すごとく,光拡散体32を透過させることにより得られた物体光320と非拡散光である参照光310とを感光材料31に対して照射することで,物体光320と参照光310とにより得られた干渉縞を感光材料31に記録する。そして,上記光拡散体32の散乱角を変更する際には,上記物体光320の強度EOと上記参照光310の強度ERとの強度比ER/EOを変更する。
【0056】
以下,詳細に説明する。図4に,本例のホログラムスクリーンを作製する露光光学系3を示す。上記露光光学系3において,レーザ発振器39のレーザ発射口390に対向してハーフミラー391が配置されている。また,ハーフミラー391を透過する光軸上には,ミラー392,393,対物レンズ394,軸外し放物面鏡38,光拡散体32が配置されている。また,ハーフミラー391を反射する光軸上にはミラー395,396,対物レンズ397が配置されている。
【0057】
また,上記露光光学系3において,参照光310の強度ERと物体光320の強度EOの強度比ER/EOの調整は,ハーフミラー391の透過率,各ミラー392,393,395,396の反射率,対物レンズ394,397の倍率を適宜変更することで行った。
【0058】
なお,本例の露光光学系3は,光拡散体32の長さLと,光拡散体32と感光材科31との間の距離Sとの間には,L:S=3:2という関係が成立するよう構成されている。また,上記感光材料31としては厚さ6μmのデュポン社製フォトポリマーを,上記光拡散体32としては#1000の両面すりガラスを使用した。なお『#1000』とは,直径が1/1000インチの砂で表面を処理したすりガラスのことである。
【0059】
このような露光光学系3において,レーザー発振器39から発したレーザー光37はハーフミラー391によりレーザー光371,372へと2分割される。レーザ光371はミラー392,393を経て,対物レンズ394に達し,該対物レンズ394において発散光となった後,軸外し放物面鏡12により平行光374となる。その後,平行光374は光拡散体13を透過して拡散光となる。この拡散光が物体光320として感光材料31に入射する。
【0060】
また,レーザ光372はミラー395,396を経て,対物レンズ397に達し,この対物レンズ397を透過した後,参照光310となって感光材科31に入射する。このように物体光320と参照光310とが感光材料31に入射することで,該感光材料31に干渉縞が記録される。なお,この時の感光材料31の露光量は30mJ/cm2とした。その後,感光材料31に紫外線を強度0.1mJ/cm2で照射して,更に温度120℃,2時間で加熱した。これにより,ホログラムスクリーンを得た。なお,感光材料31は薄膜であるため,ホログラムスクリーンとして使用する際には透明板等を貼り合わせるなどして,補強することもできる。
【0061】
以上の製造方法により得られたホログラムスクリーンの各種性能を次のような試験によって評価した。まず,上記露光光学系3において,光拡散体を図5に示すごとき散乱角の異なる4種類の光拡散体で構成し,それぞれの光拡散体から得られたホログラムスクリーンのヘイズ率について測定した。このヘイズ率の測定結果は図6に記載した。なお,図5は散乱角が異なる4種類の光拡散体が入射光を拡散光として出射する際に,拡散光の出射角と拡散光全体に対する強度比を示した線図である。
【0062】
図6より知れるごとく,ER/EOが等しい場合,光拡散体の散乱角が大きくなるに応じてへイズ率が小さくなる。また,へイズ率が等しい場合,光拡散体の散乱角が大きくなるに応じてER/EOが小さくなる。また,ER/EOが大きくなるほど,このような傾向が強くなる。なお,図7に,特にヘイズ率が50%,30%になる場合のER/EOを記載した。
【0063】
また,物体光同士が干渉する(前述の図23参照)ことにより形成される「フレネルノイズ」によるヘイズ率とER/EOとの関係を以下の方法で調べた。すなわち,図4に記載した露光光学系3において,図6における各ER/EOの値に相当する強度及び露光量を持った物体光のみで感光材料を露光し,ホログラムスクリーンを作製した。このようなホログラムスクリーンに対するヘイズ率を測定し,図8に記載した。また,散乱角が36度である光拡散体を用い,「フレネルノイズ」によるヘイズ率をER/EOが20以下である場合に限って調べ,図9に記載した。
【0064】
図9より知れるごとく,ER/EOが6未満となると急激にへイズ率が高くなることが分かった。また,ER/EOが10以上となった場合,ヘイズ率は略3%と一定値を取ることが分かった。このことから,3%というヘイズ率はホログラムスクリーンを構成する材料自身によるへイズ率であると考えられる。
【0065】
また,図8と図6とを比較することにより,「フレネルノイズ」による干渉縞を持ったホログラムスクリーンの方が,より低いヘイズ率を持つことが分かった。これは,物体光のみで露光する場合には,物体光の全てのエネルギーが「フレネルノイズ」の形成に費やされるが,参照光が存在する場合には「フレネルノイズ」形成に消費されるエネルギー量が少ないためで,更に正規の(物体光と参照光とにより形成される)干渉縞によるヘイズ率がある程度低いためであると考えられる。一方,ER/EOが大きいところで発生しているヘイズ率は,殆どが正規の干渉縞によるものである。
【0066】
従って,へイズ率が比較的高いようなホログラムスクリーンを作製する場合には,図8,図9のように「フレネルノイズ」によるへイズ率を調ベ,物体光の強度,露光量を所望のへイズ率と同じになるような条件にしてやれば,ホログラムスクリーンのへイズ率をそれ以下の値とすることができる。
【0067】
そして,図8より知れるごとく,「フレネルノイズ」により作製されたホログラムスクリーンで,光拡散体として散乱角12度であるものを使用して作製されるものは,ER/EO=6でへイズ率5%となっている。ヘイズ率5%というホログラムスクリーンは,前述した図2,図3より知れるごとく,20人の観察者の誰もが完全に透明であると感じた(尺度7であった)。
【0068】
図6より知れるごとく,正規の干渉縞を持ったホログラムスクリーンで,光拡散体として散乱角として散乱角12度であるものを使用して作製されるものは,ER/EO=6でヘイズ率20%となっている。ヘイズ率20%というホログラムスクリーンは,前述した図2,図3より知れるごとく,20人の観察者が透明であると感じた(尺度7と尺度6であった)。
【0069】
以上の手法を用いてホログラムスクリーンを作製すれば,「フレネルノイズ」によるヘイズ率をホログラムスクリーンの曇りに影響のない程度まで低減でき,正規の干渉縞によるヘイズ率も,ホログラムスクリーンの透明性を確保できるレベルまで低減できることが分かった。
【0070】
次に,図4にかかる露光光学系においてヘイズ率5%となるホログラムスクリーンを作製する際に使用した光拡散体の散乱角と露光の際のER/EOとの関係を図10に記載した。上記ホログラムスクリーンのヘイズ率は約5%であるから,非常に透明である(実施形態例1の図2,図3参照)。同図より散乱角を大きくした場合には,ER/EOを小さくすることにより,同じ値のヘイズ率を持ったホログラムスクリーンが得られることが分かった。
【0071】
次に,前述の図6に記載した散乱角36度の光拡散体を用いて作製したホログラムスクリーンの正規の干渉縞の回折効率ηROと露光の際のER/EOとの関係を図11に記載した。なお,回折効率ηROの測定は,図12に示すごとく,角度θcとなるように光751をホログラムスクリーン1に対し入射させ,該ホログラムスクリーン1内部の干渉縞で回折されずにそのまま透過した透過光752を測定した。この透過光752の分布は,例えば,図13のようになるが,同図における斜線を付した部分の割合をホログラムスクリーンの回折効率ηROとした。
【0072】
図11に示すごとく,回折効率ηROはER/EOが小さくなるに伴い大きくなるが,ER/EOが3以下となった時点で略一定となる。従って,図11と前述した図6とから,ER/EO=3以下でホログラムスクリーンを作製する時は,ER/EO=3で作製することにより正規の干渉縞の回折効率ηROを下げることなくホログラムスクリーンのヘイズ率を下げることができることが分かった。また,得られたホログラムスクリーンはへイズ率30%であるため,曇りが殆ど気にならなかった(図2,図3参照)。
【0073】
更に,このようなER/EOを図5に示した各光拡散体ごとに求め,図14に記載した。同図によれば,光拡散体の散乱角が大きくなるにつれて,ER/EOを小さくする必要があることがわかった。また,図14にかかるホログラムスクリーンのスクリーンゲインを図15に記載した。同図より知れるごとく,これらのスクリーンゲインはすべて0.3以上であった。
【0074】
また,前述する図11,図6とから,ホログラムスクリーンの効率が高いほどへイズ率が高くなることが分かった。更に,図8より,「フレネルノイズ」によるへイズ率も高くなることが分かった。以上のことから,ホログラムスクリーンを使用する環境条件から,それほど映像が明るい必要がない,すなわちホログラムスクリーンの効率が必要でない場合には,ホログラムスクリーンの効率ηROを下げることで,より透明性の高いホログラムスクリーンを作製できることが分かった。
【0075】
以上より,上記光拡散体32の散乱角を変更する際には,上記物体光320の強度EOと上記参照光310の強度ERとの強度比ER/EOを変更する際,散乱角が大きくなるほど,強度比ER/EOを小さくなるよう調整すればよいことが分かった。これにより,ホログラムクリーンを通して背景を明瞭に観察でき,曇りが殆どなく,透明性に優れたホログラムスクリーンを製造できることが分かった。更に,スクリーンゲインが0.3以上で,映る映像がはっきりと視認できるようなホログラムスクリーンが製造できることが分かった。
【0076】
なお,ホログラムスクリーンの正規の干渉縞の回折効率ηROが一定であるような露光条件であっても,物体光同士の干渉により形成される「フレネルノイズ」の効率が高くなることにより,へイズ率が低くなる場合がある。
【0077】
例えば,散乱角36度の光拡散体を用い,ER/EO=3という条件でホログラムスクリーンを作製した場合,図16に示すように露光量がある一定値以上になると正規の干渉縞の回折効率ηROは一定となるものの,図17のようにへイズ率は高くなってしまう。このようなときは,露光量を回折効率ηROが一定となり始める値,30mJ/cm2とすればよい。
【0078】
また,ホログラムスクリーンを作製する際の感光材料の膜厚によってもへイズ率を変えることができる。露光量30mJ/cm2という条件で,感光材料の膜厚を変えてホログラムスクリーンを作製し,それぞれの場合のへイズ率を図18に記載した。同図より,膜厚はホログラムスクリーンの特性が許す限り薄くした方が,低いヘイズ率を得ることができるため,好ましいことが分かった。
【0079】
なお,本例にかかる露光光学系では前述した図28に示すごとく,物体光と参照光とを同方向から入射させている。このため,本例の製造方法では透過型のホログラムスクリーンを得ることができる。前述した図29に示すように,感光材料31に対して逆方向から物体光320と参照光310とを入れるよう構成した露光光学系を用いれば,反射型のホログラムスクリーン90を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態例1における,ホログラムスクリーンとこれを設置したショールームを示す説明図。
【図2】実施形態例1における,ヘイズ率とホログラムスクリーンを通して見た文字の読み取り易さの評価を示す線図。
【図3】実施形態例1における,ヘイズ率とホログラムスクリーンの曇り度合の評価を示す説明図。
【図4】実施形態例2における,ホログラムスクリーンを作製する露光光学系を示す説明図。
【図5】実施形態例2における,本例の測定において使用した光拡散体の特性を示す説明図。
【図6】実施形態例2における,ER/EOと得られたホログラムスクリーンのヘイズ率との関係を示す線図。
【図7】実施形態例2における,光拡散体の散乱角とER/EOとの関係を示す線図。
【図8】実施形態例2における,ER/EOと各ER/EOの値に相当する強度及び露光量を持った物体光で作製したホログラムスクリーンのヘイズ率との関係を示す線図。
【図9】実施形態例2における,散乱角が36度である光拡散体を使用し,ER/EOと各ER/EOの値に相当する強度及び露光量を持った物体光で作製したホログラムスクリーンのヘイズ率との関係を示す線図。
【図10】実施形態例2における,ヘイズ率5%のホログラムスクリーンを作製する際に使用した光拡散体の散乱角とER/EOとの関係を示す線図。
【図11】実施形態例2における,散乱角が36度である光拡散体を使用して作製したホログラムスクリーンにおける正規の干渉縞の回折効率ηROとER/EOとの関係を示す線図。
【図12】実施形態例2における,回折効率の測定方法の説明図。
【図13】実施形態例2における,回折効率を算出する方法の説明図。
【図14】実施形態例2における,ER/EOと光拡散体の散乱角との関係を示す説明図。
【図15】実施形態例2における,ER/EOと得られたホログラムスクリーンのスクリーンゲインとの関係を示す説明図。
【図16】実施形態例2における,露光量と正規の干渉縞の回折効率ηROとの関係を示す説明図。
【図17】実施形態例2における,露光量と得られたホログラムスクリーンのヘイズ率との関係を示す線図。
【図18】実施形態例2における,ヘイズ率と感光材料の膜厚との関係を示す説明図。
【図19】光散乱体の背景に存在する物体から観察者に向かう光束に関する説明図。
【図20】ホログラムスクリーンの背景に存在する物体から観察者に向かう光束に関する説明図。
【図21】ホログラムスクリーンが有する干渉縞による外乱光の回折の説明図。
【図22】感光材料において干渉縞が形成される際の説明図。
【図23】「フレネルノイズ」が形成される際の説明図。
【図24】ホログラムスクリーンと通常の光散乱体における出射角と出射光の強度との間の説明図。
【図25】複数本の物体光と1本の参照光とが感光材料の同じ位置に入射する際の説明図。
【図26】透過型のホログラムスクリーンを用いた表示装置の説明図。
【図27】反射型のホログラムスクリーンを用いた表示装置の説明図。
【図28】透過型のホログラムスクリーン作製の原理を示す説明図。
【図29】反射型のホログラムスクリーン作製の原理を示す説明図。
【符号の説明】
1...ホログラムスクリーン,
12...映像投影装置,
120...映像光,
121...出射光,
31...感光材料,
310...参照光,
32...光拡散体,
320...物体光。
【技術分野】
本発明は,映像光を散乱・拡散して出射光とすることにより映像を再生するホログラムスクリーン及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来技術】
映像投影装置より入射した映像光を散乱・拡散して出射光とすることにより映像を再生することができる透明なホログラムスクリーンが知られている。このホログラムスクリーンは,背景を透かしてみながら,再生される映像を観察することができる。
【0003】
このようなホログラムスクリーンを利用することで,例えば銀行や病院等の窓口において顧客や患者を確認しながら接客を行うことが可能となる。この場合,映像は顧客側に表示することもできるし(顧客向けの映像を表示する),接客する側に表示することもできる(接客する店員等に向けた映像を表示する)。更に,上記ホログラムスクリーンを利用することで,デパートや地下街等の各種ショールームのウィンドウガラスに対し広告映像等を映し出すことができる。この場合,ショールーム内の展示品の観察を阻害することなく,映像を提示することができる。また,このようなホログラムスクリーンを自動車等の各種移動体のヘッドアップディスプレイとして利用することもできる。
【0004】
図26には透過型のホログラムスクリーン9を用いた表示装置を示した。この表示装置は,ホログラムスクリーン9の背面側(観察者側と反対側)に映像投影装置12であるプロジェクタが配置され,該プロジェクタから映像光120を照射することで,ホログラムスクリーン9において映像を再生し,観察者8に提示するよう構成されている。
【0005】
また,図27には反射型ホログラムスクリーン90を用いた表示装置を示した。この表示装置は,ホログラムスクリーン90の正面側(観察者側)に映像投影装置12が配置され,該映像投影装置12から映像光120を照射することで,ホログラムスクリーン9において映像を再生し,観察者8に提示するよう構成されている。
【0006】
上記ホログラムスクリーン9,90の製造方法として,レーザー光をすりガラス等の光拡散体を透過させて拡散させ,得られた拡散光を物体光とし,非拡散光を参照光として,両者を感光材料に照射することで,干渉縞を該感光材料に記録するという方法が知られている。図28,図29に示すごとく,光拡散体32を透過することで形成された拡散光よりなる物体光320と,非拡散光である参照光310という2本の光束を用いて感光材料31を露光する。これにより,感光材料31に干渉縞が記録される。
【0007】
この露光の際に,図28に示すように,感光材料31に対して同方向から物体光320及び参照光310を入射させることで透過型のホログラムスクリーン9を得ることができる。一方,図29に示すように,感光材料31に対してそれぞれ逆方向から物体光320と参照光310とを入れることで反射型のホログラムスクリーン90を得ることができる。
【0008】
【解決しようとする課題】
しかしながら,上述した従来のホログラムスクリーンには,光拡散体より得られた物体光で形成された干渉縞が記録されていることから,曇りが発生しやすかった。このようなホログラムスクリーンは不透明性が目立ち,ホログラムスクリーンの通して明瞭な背景を観察することが難しく,観察者に違和感を与えることがあった。この問題は特に映像が映っていない時に顕著であった。
【0009】
ところで,特開平9−127853号に視野角の広いホログラムスクリーンの作製方法が提示されている。この方法は,光拡散体に異なる方向から複数の光を照射することで得られた拡散光である物体光と,非拡散光である参照光とを感光材料に照射することでホログラムスクリーンを得る方法である。また,拡散角の異なる2種類以上の光拡散体を貼り合せて1枚の光拡散体となし,これより得られた拡散光よりなる物体光と,非拡散光である参照光とを利用してホログラムスクリーンを得る方法である。
【0010】
この方法では,散乱方向による強度の差が少ない拡散光を使用することができるため,広い視野角を持ったホログラムスクリーンを得ることができる。ホログラムスクリーンには,特定の範囲(視野角)内からしか映像を見ることができない,という特徴があるため,視野角の広いホログラムスクリーンの利用価値は高い。しかしながら,このような方法にて作製されたホログラムスクリーンは,視野角が広くなるに伴い,曇り具合がひどくなるという問題があった。
【0011】
また,特開平9−127612号にホログラムスクリーンの曇りを防止する方法が提示されている。仮に参照光を照射せず,物体光のみで感光材料を露光したと仮定する。この露光で得られたホログラムスクリーンの効率ηOOを5%以下とした場合の物体光の強度をAとする。このような物体光の強度Aと,この強度Aに見合うような強度の参照光とを用いて感光材料を露光する。これにより曇りが生じ難いホログラムスクリーンを得ることができる。
【0012】
しかしながら,効率ηOOが5%を越えるような物体光で露光した場合であっても,曇りを生じ難いホログラムスクリーンが得られる可能性があり,上述した従来技術にかかる製造方法は,曇りが生じ難いホログラムスクリーンの製造方法としては充分ではなかった。
【0013】
また,特開平9−127612号において,感光材科として重クロム酸ゼラチン(DCG)を使用したホログラムスクリーンが提示されている。そして,DCGを用いた製造工程には,湿式の現像工程が必要である。このため,上記現像工程でDCGが硬膜される際に,該DCG中に微少なひび割れが生じ,その結果,ホログラムスクリーンが白濁するおそれがあった。発明者らの研究により,この白濁が無ければ効率ηOOが大きくても曇りを感じないことが判明した。逆に重クロム酸ゼラチンによるホログラムスクリーンは,白濁することが多いためにηOOを5%以下とする必要があった。
【0014】
本発明は,かかる従来の問題点に鑑みてなされたもので,透明性に優れ,曇りが殆どなく,明瞭な背景を観察できるホログラムスクリーン,及びこのようなホログラムスクリーンの製造方法を提供しようとするものである。
【0015】
【課題の解決手段】
請求項1に記載の発明は,映像投影装置より入射した400nm〜800nmの再生波長からなる映像光を散乱・拡散して出射光とすることにより映像を再生するホログラムスクリーンにおいて,上記ホログラムスクリーンのヘイズ率として、Hをヘイズ率、全光線透過率であるTtを、ホログラムスクリーンの中央表面に対する±3.5度の範囲内に散乱した光の強度とし、拡散透過率であるTdをホログラムスクリーンの中央表面に対する±3.5度の範囲内に散乱した光以外のあらゆる方向へ散乱した光の合計強度とした時、H=Td/Tt×100で示し、かつ上記ホログラムスクリーンに入射する照明光の水平照度が1000lx(ルクス)となる場合において、上記ホログラムスクリーンの背景となる壁面に、展示物として白紙上に36ポイントのゴシックの黒文字のアルファベット、漢字を配置したものを設置し、この展示物を映像投射器から映像光を照射しない状態で、上記ホログラムスクリーンから2m離れた位置に立つ観察者に観察させ、上記観察者に展示物の文字の見やすさ、上記ホログラムスクリーンによる背景の曇り度合いについて評価して求めた時、上記ヘイズ率の値が5〜60%であるホログラムスクリーンにある。
【0017】
本発明の作用につき説明する。本発明にかかるホログラムスクリーンは、上記ホログラムスクリーンに入射する照明光の水平照度が1000lx(ルクス)となる場合、ヘイズ率が5〜60%である。以下に記載するごとく,上記ホログラムスクリーンに入射する照明光の水平照度が1000lx(ルクス)となる場合、ヘイズ率が上述の範囲内にあることで,このホログラムスクリーンに対し映像投影装置以外から入射した光は散乱度合が低く,映像光を高い効率で出射することができる。このため,観察者がホログラムスクリーンを観察した場合,外乱光によりホログラムスクリーンの曇りが少なく,ホログラムスクリーンの背景からやってきた光は曇ることなく透過して,観察者に届く。よって,観察者はホログラムスクリーンを通して明瞭に背景を観察できる。つまり,曇りが殆どなく透明なホログラムスクリーンを得ることができる(実施形態例1参照)。
【0018】
このようなホログラムスクリーンは一般的な不透明スクリーンとは異なり,ホログラムスクリーンの背景と,このスクリーンで再生される映像とを同時に観察することができる。これによって,観察者に強くアピールできる視覚効果を得ることができ,例えばショールーム等で展示品と共に映像等を同時に観察者に提示することができる。
【0019】
また,本発明のホログラムスクリーンは曇りが殆どなくて,明瞭な背景を観察できる,つまり透明性に優れたスクリーンである。このため,映像等が映っていなければ,その存在が観察者の視界を遮り難い。よって,このホログラムスクリーンは移動体におけるヘッドマウントディスプレイ等に応用することができる。
【0020】
上記ヘイズ率が60%を越えた場合には,曇りが目立つようになり,背景を明瞭に観察できなくなるおそれがある。一方,5%未満である場合には,ホログラムスクリーンの効率が低く,映像が暗くなるおそれがある。なお,ヘイズ率の上限は40%であることがより好ましい。
【0021】
ここにヘイズ率について説明する。透明体の曇り具合を表わす指標としてJISK7105に規定されている『へイズ率』が広く使用されている。本発明におけるヘイズ率はJISK7105による値である。
【0022】
一般的な光散乱体に比べて,ホログラムスクリーンはかなりへイズ率が高い場合でも,観察者が背景を明瞭に観察できる,即ち透明性に優れることを本発明者らは見出した。
【0023】
『ヘイズ率』は以下に示す式によって表現できる。
【0024】
H=Td/Tt×100・・・・・(1)
H:へイズ率(%),Td:拡散透過率(%),Tt:全光線透過率(%)
ここにTtはホログラムスクリーンや光散乱体の中央表面に対する垂直方向へ透過した光の強度(正確には±3.5度の範囲内に散乱した光の強度),Tdはそれ以外のあらゆる方向へ散乱した光の合計強度である。
【0025】
次に,ホログラムスクリーンの曇りの原因を,一般的な光散乱体の曇りの原因と比較して説明する。一般的な光散乱体において入射する光が散乱されるのは,その表面に凹凸形状が存在するためである。あるいは,内部に光を散乱する粒子が存在するためである。
【0026】
このため,図19に示すように,光散乱体72の背景に存在する物体70から観察者8に向かう光束71が光散乱体72を通過して出射する際には,一部の光束73は観察者8に向かって直進するが,他の光束731,732は必ず光路が観察者8の方向と違う方向へ曲げられて出射する。これが原因となって,背景に存在する物体70の像がぼかされてしまう。ヘイズ率が小さいほど光束731,732の曲がり度合が小さくなるが,極めて微小な曲がり度合でないかぎり,観察者8にとって光散乱体72の背景にある物体70は必ずぼけてみえることとなる。
【0027】
例えば,光束731,732が0.1度曲げられた場合,光散乱体72から2m離れて位置する観察者8には3.5mmのずれが発生する。光散乱体72から5m離れて位置する観察者8には8.7mmのずれが発生する。通常,人間の瞳の径が5mm前後であることを考慮すれば,光束731,732が僅か0.1度曲げられたとしても,物体70はぼけて見えることとなる。このように背景にある物体70がぼけるため,観察者8には光散乱体72が曇って不透明に見えるのである。
【0028】
一方,ホログラムスクリーンは,後述するごとく,レーザー光を光拡散体に透過(または反射)させて形成した拡散光を物体光,拡散していないレーザー光を参照光として使用し,両者が干渉することで生じた干渉縞が感光材料中に,該感光材料を形成する物質の屈折率差として記録されることで,製造することができる。そして,この記録された干渉縞が回折格子として機能する。そして,ホログラムスクリーンを構成する物質は一般に透明である。また,ホログラムスクリーンの表面はほぼ平坦である。
【0029】
図20に示すように,背景に存在する物体70から観察者8に向かう光束71は,ホログラムスクリーン1に記録された干渉縞100により方向を変えられることがない。よって,全ての光束71が,ホログラムスクリーン1を通って観察者8に直進する光束74となるため,観察者8はぼけていない物体70を観察することができる。つまり,観察者8にはホログラムスクリーン1が透明にみえる。
【0030】
もちろん,光束71の一部は干渉縞100により回折され,光束75となってホログラムスクリーン1から出射する。光束74の入射方向は,映像光の入射方向と異なるため,光束74と比べて光束75の強度は低いが,干渉縞100は非常に多数あるため,この光束75がある程度の強度を持った光となることもあり得る。干渉縞100の数や効率などにより光束75の強度が強くなった場合には,ホログラムスクリーン1のヘイズ率が高くなる。
【0031】
しかしながら,回折されない光束(図20における光束74)は全て観察者に向かって直進し,この光束74は光路が曲げられることがない。よって,背景にある物体70がぼけてみえることが防止される。このため,ホログラムスクリーン1の場合,通常の光散乱体よりはより高いヘイズ率を持っている場合であっても,透明にみえるのである。
【0032】
そして,ホログラムスクリーンの不透明の原因となる曇りは,正規の干渉縞(物体光と参照光とより形成された干渉縞)や,物体光同士によってできる干渉縞(不要な干渉縞)により外乱光が回折されて観察者の視線方向に出射してきた光によって,生じるのである。なお,外乱光とはホログラムスクリーンに対し照射される映像光や,ホログラムスクリーンの背景にある物体等からやってくる以外の光で,ホログラムスクリーンに入射した光である。
【0033】
これを図21を用いて模式的に説明する。図21はホログラムスクリーン1に記録されている干渉縞100を模式的に示したものである。図21では,傾きの異なる3本の線にて干渉縞を表わしているが,実際には1つの傾きの線ごとに平行な多数の縞から成っており,傾き角度ももっと多数ある。
【0034】
これらの干渉縞100は,図22のように参照光310と物体光321とにより干渉縞101が,参照光310と物体光322とにより干渉縞102が,参照光310と物体光323とにより干渉縞103がそれぞれ記録される。従って,図21にかかるこれらの干渉縞100では参照光310と同一方向から来た映像光は効率よく回折することができるが,他方向から光は低い効率でしか回折することができない。そして,図21に示すごとく,映像光以外の外乱光711,712,713が入射したとき,観察者8の視線方向にこの外乱光の一部が回折されてしまう。
【0035】
また,ホログラムスクリーンを作製する際に,図23に示すごとく,干渉縞109は,参照光310と物体光328,物体光329とにより形成された正規の干渉縞であると同時に,物体光328と物体光329によって形成された干渉縞でもある。このように物体光同士により形成された干渉縞を「フレネルノイズ」というが,この「フレネルノイズ」によっても,外乱光の一部が回折されてしまう。
【0036】
正規の干渉縞及び「フレネルノイズ」により外乱光が回折され,観察者の視線方向に出射してきた場合,観察者はホログラムスクリーンが曇っていると感じるのである。すなわち,ホログラムスクリーンの曇りは,背景光が散乱されて曇るというよりも,外乱光が干渉縞により回折されて観察者方向に出射する光によりホログラムスクリーン全体が白っぽく光って見えるためにホログラムスクリーンが曇って見えるのであり,背景光の散乱度合がある程度高くとも,すなわちヘイズ率が高くとも,観察者方向に回折される外乱光強度が弱ければ,観察者にはホログラムスクリーンが曇ってみえない。以上のように,ホログラムスクリーンの曇りは一般的な光散乱体と違い,へイズ率が高くとも観察者の感じる曇り度合は小さい。
【0037】
ここにおいて,ホログラムスクリーンと一般的な光散乱体とを実際に比較した。へイズ率が30%のホログラムスクリーンとへイズ率が5%の光散乱体(日東電工製アンチグレアフイルムAG−30)の透過光の散乱特性(出射光の出射角ごとの強度分布)を図24に記載した。なお,ここにおいて使用したホログラムスクリーンは後述する実施形態例2の製造方法で作製したものである。
【0038】
図24より知れるごとく,へイズ率が5%の光散乱体で0度方向の強度が約95%であるのに対し,へイズ率が30%のホログラムスクリーンで約75%の強度である。つまり,ホログラムスクリーンにおいては,約75%の強度の全く散乱されない光束が出射することができる。これだけの強度の光が全く散乱されないので,ホログラムスクリーンの背景は充分視認できる。また,へイズ率が50%であれば約65%が透過するので,背景は充分視認できる。ただし,透過光強度が低くなるので背景が若干暗くなる。
【0039】
以上,本発明によれば,透明性に優れ,曇りが殆どなく,明瞭な背景を観察できるホログラムスクリーンを提供することができる。
【0040】
次に,請求項2に記載の発明のように,上記ホログラムスクリーンのスクリーンゲインは0.3以上であることが好ましい。これにより,ホログラムスクリーンの効率,すなわち,ホログラムスクリーンに映された映像の明るさが低下し難い,ホログラムスクリーンを得ることができる。よって,鮮明な映像が映る,優れたホログラムスクリーンを得ることができる。
【0041】
通常の室内環境に対しホログラムスクリーンを設置した場合,このホログラムスクリーンの背景輝度は400cd/m2以下となる。従って,少なくともホログラムスクリーンに映る映像の明るさは,この値以上の輝度が必要である(後述する実施形態例1,図1参照)。
【0042】
ところで,現在市販されている高輝度型の映像投影装置(例えば液晶プロジェクタ等)は,最低投影面面サイズが40インチであるが,このような画面サイズに投影した映像の最大照度は約4000lxであることが知られている。
【0043】
そして,一般に,スクリーンゲインは,
(スクリーンゲイン)=(輝度×π)/照度
という式により求めることができる。このため,4000lxの照度で400cd/m2の輝度となるスクリーンゲインは約0.3である。以上により,上述したごとく,ホログラムスクリーンに映された映像の明るさを低下させないためには,スクリーンゲインが0.3以上あればよいことが分かる。
【0044】
仮にスクリーンゲインが0.3未満である場合には,ホログラムスクリーンに映る映像が暗く,ホログラムスクリーンの背景と判別し難くなるおそれがある。なお,上記スクリーンゲインの上限は,スクリーンゲインを上げることによりヘイズ率も上昇するため,ヘイズ率60%を越えないようなスクリーンゲインとする必要がある。このようなスクリーンゲインの値はホログラムスクリーンの特性により左右されるので一概に決めることはできない。
【0045】
【発明の実施の形態】
(実施形態例1)
本発明の実施形態例にかかるホログラムスクリーンにつき,図1〜図3を用いて説明する。本例のホログラムスクリーン1は,図1に示すごとく,映像投影装置12より入射した映像光120を散乱・拡散して出射光121とすることにより映像を再生するものであり,ヘイズ率が5〜60%である。
【0046】
本例のホログラムスクリーン1について詳細に説明する。図1は本例のホログラムスクリーン1が設置されたショールーム2である。このショールーム2は壁面21に設置された展示物210と共に,ショールーム2のウィンドウガラス20に設置したホログラムスクリーン1に映る映像をショールーム2の外にいる観察者8に提示するよう構成されている。
【0047】
ショールーム2の天井面24には照明器具23が設置され,この照明器具23から放たれる照明光はホログラムスクリーン1を通過して観察者8に対する出射光の一部となる。また,照明器具23の照明光は展示物210を照らし,該展示物210において反射され,反射光となって観察者8の眼に届く。上記映像投影装置12としては,液晶プロジェクタが使用され,このものは天井面24に設置されている。
【0048】
また,上記ホログラムスクリーン1は透過型であり,製造方法については実施形態例2に記載した。なお,前述した図27に示すごとく,観察者8と同じ側に上記映像投影装置12を設けて,ホログラムスクリーンとして反射型のものを使用することもできる。更に,上記映像投影装置12を床面25に設置することもできる。
【0049】
次に,本例にかかるホログラムスクリーンについて,ヘイズ率と観察者の感じる曇り具合との関係について試験した。この試験は図1に示した環境下において,20人の被験者に展示物210の視認性とホログラムスクリーン1の曇り具合とを評価することで行った。
【0050】
この試験において使用したヘイズ率の異なるホログラムスクリーンを得る方法としては,後述する実施形態例2に示すごときホログラムスクリーンの製造方法を利用した。つまり,後述する図4にかかる露光光学系の光拡散体の散乱角に応じて参照光と物体光との強度比ER/EOを変更した。また,ホログラムスクリーンを複数枚積層し,これを1枚のスクリーンとして利用することで所望のヘイズ率を得た。
【0051】
この試験において使用したホログラムスクリーン1は対角長さが20インチである。天井面24の照明器具23よりホログラムスクリーン1に入射する照明光の水平照度は1000lx(ルクス),ホログラムスクリーン1の背景となる壁面21での輝度は400cd/m2である。また,壁面21とホログラムスクリーン1との距離は5mであり,観察者8の側の照度も1000lxとした。なお,平均的なオフイスの照度が500lx,コンビニ等の一般小売店舗で700lxあることから,本試験の照明器具23の輝度はそれらより明るい1000lxとしたのである。
【0052】
ホログラムスクリーン1の背景の視認性は次のような試験によって評価した。ホログラムスクリーン1の背景となる壁面21に,展示物210として白紙上に36ポイントのゴシックの黒文字のアルファベット,漢字を配置したものを設置した。そして,この展示物210を映像投射器12から映像光120を照射しない状態で,ホログラムスクリーン1から2m離れた位置に立つ観察者8に観察させた。そして,観察者に展示物210の文字の見やすさ(図2にかかる文字の読み取り易さ主観評価),ホログラムスクリーン1による背景の曇り度合(図3にかかる曇り度合主観評価)について評価させた。
【0053】
この評価試験の結果を図2,図3に記載した。図2に示すごとく,ホログラムスクリーン1のへイズ率が60%以下であれば,20人の観察者の全員が,文字の読み取りに支障のないと判断していることが分かった(全員が尺度4以上である)。また,図3に示すごとく,ホログラムスクリーンのヘイズ率が60%以下であれば,20人の観察者全員が,多少の曇りを感じることがあっても,違和感を感じないことが分かった(全員が尺度4以上である)。
【0054】
このように,ホログラムスクリーンではへイズ率が60%以下であれば,このホログラムスクリーンを通しても明瞭な背景を観察でき,曇りが殆どないものを得ることができる。以上,本例によれば,透明性に優れ,曇りが殆どないホログラムスクリーンを得ることができる。
【0055】
(実施形態例2)
本例は,ホログラムスクリーンの製造方法等について,図4〜図18を用いて説明するものである。本例の製造方法の概略を説明すると,図4に示すごとく,光拡散体32を透過させることにより得られた物体光320と非拡散光である参照光310とを感光材料31に対して照射することで,物体光320と参照光310とにより得られた干渉縞を感光材料31に記録する。そして,上記光拡散体32の散乱角を変更する際には,上記物体光320の強度EOと上記参照光310の強度ERとの強度比ER/EOを変更する。
【0056】
以下,詳細に説明する。図4に,本例のホログラムスクリーンを作製する露光光学系3を示す。上記露光光学系3において,レーザ発振器39のレーザ発射口390に対向してハーフミラー391が配置されている。また,ハーフミラー391を透過する光軸上には,ミラー392,393,対物レンズ394,軸外し放物面鏡38,光拡散体32が配置されている。また,ハーフミラー391を反射する光軸上にはミラー395,396,対物レンズ397が配置されている。
【0057】
また,上記露光光学系3において,参照光310の強度ERと物体光320の強度EOの強度比ER/EOの調整は,ハーフミラー391の透過率,各ミラー392,393,395,396の反射率,対物レンズ394,397の倍率を適宜変更することで行った。
【0058】
なお,本例の露光光学系3は,光拡散体32の長さLと,光拡散体32と感光材科31との間の距離Sとの間には,L:S=3:2という関係が成立するよう構成されている。また,上記感光材料31としては厚さ6μmのデュポン社製フォトポリマーを,上記光拡散体32としては#1000の両面すりガラスを使用した。なお『#1000』とは,直径が1/1000インチの砂で表面を処理したすりガラスのことである。
【0059】
このような露光光学系3において,レーザー発振器39から発したレーザー光37はハーフミラー391によりレーザー光371,372へと2分割される。レーザ光371はミラー392,393を経て,対物レンズ394に達し,該対物レンズ394において発散光となった後,軸外し放物面鏡12により平行光374となる。その後,平行光374は光拡散体13を透過して拡散光となる。この拡散光が物体光320として感光材料31に入射する。
【0060】
また,レーザ光372はミラー395,396を経て,対物レンズ397に達し,この対物レンズ397を透過した後,参照光310となって感光材科31に入射する。このように物体光320と参照光310とが感光材料31に入射することで,該感光材料31に干渉縞が記録される。なお,この時の感光材料31の露光量は30mJ/cm2とした。その後,感光材料31に紫外線を強度0.1mJ/cm2で照射して,更に温度120℃,2時間で加熱した。これにより,ホログラムスクリーンを得た。なお,感光材料31は薄膜であるため,ホログラムスクリーンとして使用する際には透明板等を貼り合わせるなどして,補強することもできる。
【0061】
以上の製造方法により得られたホログラムスクリーンの各種性能を次のような試験によって評価した。まず,上記露光光学系3において,光拡散体を図5に示すごとき散乱角の異なる4種類の光拡散体で構成し,それぞれの光拡散体から得られたホログラムスクリーンのヘイズ率について測定した。このヘイズ率の測定結果は図6に記載した。なお,図5は散乱角が異なる4種類の光拡散体が入射光を拡散光として出射する際に,拡散光の出射角と拡散光全体に対する強度比を示した線図である。
【0062】
図6より知れるごとく,ER/EOが等しい場合,光拡散体の散乱角が大きくなるに応じてへイズ率が小さくなる。また,へイズ率が等しい場合,光拡散体の散乱角が大きくなるに応じてER/EOが小さくなる。また,ER/EOが大きくなるほど,このような傾向が強くなる。なお,図7に,特にヘイズ率が50%,30%になる場合のER/EOを記載した。
【0063】
また,物体光同士が干渉する(前述の図23参照)ことにより形成される「フレネルノイズ」によるヘイズ率とER/EOとの関係を以下の方法で調べた。すなわち,図4に記載した露光光学系3において,図6における各ER/EOの値に相当する強度及び露光量を持った物体光のみで感光材料を露光し,ホログラムスクリーンを作製した。このようなホログラムスクリーンに対するヘイズ率を測定し,図8に記載した。また,散乱角が36度である光拡散体を用い,「フレネルノイズ」によるヘイズ率をER/EOが20以下である場合に限って調べ,図9に記載した。
【0064】
図9より知れるごとく,ER/EOが6未満となると急激にへイズ率が高くなることが分かった。また,ER/EOが10以上となった場合,ヘイズ率は略3%と一定値を取ることが分かった。このことから,3%というヘイズ率はホログラムスクリーンを構成する材料自身によるへイズ率であると考えられる。
【0065】
また,図8と図6とを比較することにより,「フレネルノイズ」による干渉縞を持ったホログラムスクリーンの方が,より低いヘイズ率を持つことが分かった。これは,物体光のみで露光する場合には,物体光の全てのエネルギーが「フレネルノイズ」の形成に費やされるが,参照光が存在する場合には「フレネルノイズ」形成に消費されるエネルギー量が少ないためで,更に正規の(物体光と参照光とにより形成される)干渉縞によるヘイズ率がある程度低いためであると考えられる。一方,ER/EOが大きいところで発生しているヘイズ率は,殆どが正規の干渉縞によるものである。
【0066】
従って,へイズ率が比較的高いようなホログラムスクリーンを作製する場合には,図8,図9のように「フレネルノイズ」によるへイズ率を調ベ,物体光の強度,露光量を所望のへイズ率と同じになるような条件にしてやれば,ホログラムスクリーンのへイズ率をそれ以下の値とすることができる。
【0067】
そして,図8より知れるごとく,「フレネルノイズ」により作製されたホログラムスクリーンで,光拡散体として散乱角12度であるものを使用して作製されるものは,ER/EO=6でへイズ率5%となっている。ヘイズ率5%というホログラムスクリーンは,前述した図2,図3より知れるごとく,20人の観察者の誰もが完全に透明であると感じた(尺度7であった)。
【0068】
図6より知れるごとく,正規の干渉縞を持ったホログラムスクリーンで,光拡散体として散乱角として散乱角12度であるものを使用して作製されるものは,ER/EO=6でヘイズ率20%となっている。ヘイズ率20%というホログラムスクリーンは,前述した図2,図3より知れるごとく,20人の観察者が透明であると感じた(尺度7と尺度6であった)。
【0069】
以上の手法を用いてホログラムスクリーンを作製すれば,「フレネルノイズ」によるヘイズ率をホログラムスクリーンの曇りに影響のない程度まで低減でき,正規の干渉縞によるヘイズ率も,ホログラムスクリーンの透明性を確保できるレベルまで低減できることが分かった。
【0070】
次に,図4にかかる露光光学系においてヘイズ率5%となるホログラムスクリーンを作製する際に使用した光拡散体の散乱角と露光の際のER/EOとの関係を図10に記載した。上記ホログラムスクリーンのヘイズ率は約5%であるから,非常に透明である(実施形態例1の図2,図3参照)。同図より散乱角を大きくした場合には,ER/EOを小さくすることにより,同じ値のヘイズ率を持ったホログラムスクリーンが得られることが分かった。
【0071】
次に,前述の図6に記載した散乱角36度の光拡散体を用いて作製したホログラムスクリーンの正規の干渉縞の回折効率ηROと露光の際のER/EOとの関係を図11に記載した。なお,回折効率ηROの測定は,図12に示すごとく,角度θcとなるように光751をホログラムスクリーン1に対し入射させ,該ホログラムスクリーン1内部の干渉縞で回折されずにそのまま透過した透過光752を測定した。この透過光752の分布は,例えば,図13のようになるが,同図における斜線を付した部分の割合をホログラムスクリーンの回折効率ηROとした。
【0072】
図11に示すごとく,回折効率ηROはER/EOが小さくなるに伴い大きくなるが,ER/EOが3以下となった時点で略一定となる。従って,図11と前述した図6とから,ER/EO=3以下でホログラムスクリーンを作製する時は,ER/EO=3で作製することにより正規の干渉縞の回折効率ηROを下げることなくホログラムスクリーンのヘイズ率を下げることができることが分かった。また,得られたホログラムスクリーンはへイズ率30%であるため,曇りが殆ど気にならなかった(図2,図3参照)。
【0073】
更に,このようなER/EOを図5に示した各光拡散体ごとに求め,図14に記載した。同図によれば,光拡散体の散乱角が大きくなるにつれて,ER/EOを小さくする必要があることがわかった。また,図14にかかるホログラムスクリーンのスクリーンゲインを図15に記載した。同図より知れるごとく,これらのスクリーンゲインはすべて0.3以上であった。
【0074】
また,前述する図11,図6とから,ホログラムスクリーンの効率が高いほどへイズ率が高くなることが分かった。更に,図8より,「フレネルノイズ」によるへイズ率も高くなることが分かった。以上のことから,ホログラムスクリーンを使用する環境条件から,それほど映像が明るい必要がない,すなわちホログラムスクリーンの効率が必要でない場合には,ホログラムスクリーンの効率ηROを下げることで,より透明性の高いホログラムスクリーンを作製できることが分かった。
【0075】
以上より,上記光拡散体32の散乱角を変更する際には,上記物体光320の強度EOと上記参照光310の強度ERとの強度比ER/EOを変更する際,散乱角が大きくなるほど,強度比ER/EOを小さくなるよう調整すればよいことが分かった。これにより,ホログラムクリーンを通して背景を明瞭に観察でき,曇りが殆どなく,透明性に優れたホログラムスクリーンを製造できることが分かった。更に,スクリーンゲインが0.3以上で,映る映像がはっきりと視認できるようなホログラムスクリーンが製造できることが分かった。
【0076】
なお,ホログラムスクリーンの正規の干渉縞の回折効率ηROが一定であるような露光条件であっても,物体光同士の干渉により形成される「フレネルノイズ」の効率が高くなることにより,へイズ率が低くなる場合がある。
【0077】
例えば,散乱角36度の光拡散体を用い,ER/EO=3という条件でホログラムスクリーンを作製した場合,図16に示すように露光量がある一定値以上になると正規の干渉縞の回折効率ηROは一定となるものの,図17のようにへイズ率は高くなってしまう。このようなときは,露光量を回折効率ηROが一定となり始める値,30mJ/cm2とすればよい。
【0078】
また,ホログラムスクリーンを作製する際の感光材料の膜厚によってもへイズ率を変えることができる。露光量30mJ/cm2という条件で,感光材料の膜厚を変えてホログラムスクリーンを作製し,それぞれの場合のへイズ率を図18に記載した。同図より,膜厚はホログラムスクリーンの特性が許す限り薄くした方が,低いヘイズ率を得ることができるため,好ましいことが分かった。
【0079】
なお,本例にかかる露光光学系では前述した図28に示すごとく,物体光と参照光とを同方向から入射させている。このため,本例の製造方法では透過型のホログラムスクリーンを得ることができる。前述した図29に示すように,感光材料31に対して逆方向から物体光320と参照光310とを入れるよう構成した露光光学系を用いれば,反射型のホログラムスクリーン90を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態例1における,ホログラムスクリーンとこれを設置したショールームを示す説明図。
【図2】実施形態例1における,ヘイズ率とホログラムスクリーンを通して見た文字の読み取り易さの評価を示す線図。
【図3】実施形態例1における,ヘイズ率とホログラムスクリーンの曇り度合の評価を示す説明図。
【図4】実施形態例2における,ホログラムスクリーンを作製する露光光学系を示す説明図。
【図5】実施形態例2における,本例の測定において使用した光拡散体の特性を示す説明図。
【図6】実施形態例2における,ER/EOと得られたホログラムスクリーンのヘイズ率との関係を示す線図。
【図7】実施形態例2における,光拡散体の散乱角とER/EOとの関係を示す線図。
【図8】実施形態例2における,ER/EOと各ER/EOの値に相当する強度及び露光量を持った物体光で作製したホログラムスクリーンのヘイズ率との関係を示す線図。
【図9】実施形態例2における,散乱角が36度である光拡散体を使用し,ER/EOと各ER/EOの値に相当する強度及び露光量を持った物体光で作製したホログラムスクリーンのヘイズ率との関係を示す線図。
【図10】実施形態例2における,ヘイズ率5%のホログラムスクリーンを作製する際に使用した光拡散体の散乱角とER/EOとの関係を示す線図。
【図11】実施形態例2における,散乱角が36度である光拡散体を使用して作製したホログラムスクリーンにおける正規の干渉縞の回折効率ηROとER/EOとの関係を示す線図。
【図12】実施形態例2における,回折効率の測定方法の説明図。
【図13】実施形態例2における,回折効率を算出する方法の説明図。
【図14】実施形態例2における,ER/EOと光拡散体の散乱角との関係を示す説明図。
【図15】実施形態例2における,ER/EOと得られたホログラムスクリーンのスクリーンゲインとの関係を示す説明図。
【図16】実施形態例2における,露光量と正規の干渉縞の回折効率ηROとの関係を示す説明図。
【図17】実施形態例2における,露光量と得られたホログラムスクリーンのヘイズ率との関係を示す線図。
【図18】実施形態例2における,ヘイズ率と感光材料の膜厚との関係を示す説明図。
【図19】光散乱体の背景に存在する物体から観察者に向かう光束に関する説明図。
【図20】ホログラムスクリーンの背景に存在する物体から観察者に向かう光束に関する説明図。
【図21】ホログラムスクリーンが有する干渉縞による外乱光の回折の説明図。
【図22】感光材料において干渉縞が形成される際の説明図。
【図23】「フレネルノイズ」が形成される際の説明図。
【図24】ホログラムスクリーンと通常の光散乱体における出射角と出射光の強度との間の説明図。
【図25】複数本の物体光と1本の参照光とが感光材料の同じ位置に入射する際の説明図。
【図26】透過型のホログラムスクリーンを用いた表示装置の説明図。
【図27】反射型のホログラムスクリーンを用いた表示装置の説明図。
【図28】透過型のホログラムスクリーン作製の原理を示す説明図。
【図29】反射型のホログラムスクリーン作製の原理を示す説明図。
【符号の説明】
1...ホログラムスクリーン,
12...映像投影装置,
120...映像光,
121...出射光,
31...感光材料,
310...参照光,
32...光拡散体,
320...物体光。
Claims (4)
- 映像投影装置より入射した400nm〜800nmの再生波長からなる映像光を散乱・拡散して出射光とすることにより映像を再生するホログラムスクリーンにおいて,
上記ホログラムスクリーンのヘイズ率として、Hをヘイズ率、全光線透過率であるTtをホログラムスクリーンの中央表面に対する±3.5度の範囲内に散乱した光の強度とし、拡散透過率であるTdをホログラムスクリーンの中央表面に対する±3.5度の範囲内に散乱した光以外のあらゆる方向へ散乱した光の合計強度とした時、
H=Td/Tt×100
で示し、かつ上記ホログラムスクリーンに入射する照明光の水平照度が1000lx(ルクス)となる場合において、上記ホログラムスクリーンの背景となる壁面に、展示物として白紙上に36ポイントのゴシックの黒文字のアルファベット、漢字を配置したものを設置し、この展示物を映像投射器から映像光を照射しない状態で、上記ホログラムスクリーンから2m離れた位置に立つ観察者に観察させ、上記観察者に展示物の文字の見やすさ、上記ホログラムスクリーンによる背景の曇り度合いについて評価して求めた時、上記ヘイズ率の値が5〜60%であることを特徴とするホログラムスクリーン。 - 請求項1において,上記ホログラムスクリーンのクリーンゲインは0.3以上であることを特徴とするホログラムスクリーン。
- 請求項1において、上記ホログラムスクリーンは、透過型のホログラムスクリーンであることを特徴とするホログラムスクリーン。
- 請求項1において、ホログラムスクリーンは、ショールームに設置されており、展示物とともに、上記ホログラムスクリーンに映る映像を、観察者に提示するように構成されていることを特徴とするホログラムスクリーン。
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