JP3552310B2 - スピーカ装置およびそれを用いた映像機器 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明はテレビジョン受像機やコンピューターディスプレイなどの映像機器に組み込まれて使用されるスピーカ装置およびそれを用いた映像機器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
スピーカの前面部にフーンや音響管を設け、スピーカから発生した音波を開口部まで導く方法は、出力音圧が大きく得られることや、テレビジョン受像機器などのスリム化が図れるなどの利点があり、従来から多く用いられている。
【0003】
以下、図面を参照しながら従来の音響管を用いたスピーカ装置について説明する。
【0004】
図4は上記従来の音響管を用いたスピーカ装置を搭載して構成されたテレビジョン受像機およびスピーカ装置を一部切欠断面にて示した斜視図である。図4において1はスピーカ、2はスピーカ1を取付けた音響管、3はテレビキャビネット、4は陰極線管、5は陰極線管内部のシャドウマスク、6は音響管2の開口部、7は音響管2の内部に設けた吸音材を示す。
【0005】
以上のように構成された従来の音響管2を用いたスピーカ装置を内蔵して構成されたテレビジョン受像機の機能について以下に説明する。図4に示すように、スピーカ1を取付けた音響管2をテレビジョン受像機内部の陰極線管4に沿わせて内蔵し、さらにテレビキャビネット3を前記音響管2に沿わせる構造とすることにより、テレビジョン受像機の小形スリム化が可能となるものである。
【0006】
また、前記スピーカ装置は、音響管2の内部にスピーカ1より放射される音波をより自然に音響管2の開口部6に導くために、音響管2の長さおよび形状に合わせて最適配置され音響管2の内部に発生する定在波を除去するための吸音材7が設けられた構成となっており、これによってテレビジョン受像機などの高音質化が図れるものである。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら上記従来の構成では、スピーカ1および音響管2を陰極線管4に近接配置する構成としたために、コンピューターディスプレイなどの映像機器に用いた場合には、陰極線管4の内部のシャドウマスク5が、スピーカ1より放射された音波と共振現象を起こし、画像が乱れるといった現象が生じるという課題を有していた。
【0008】
図5にシャドウマスク5の共振現象と周波数特性との関係を示した特性図を示す。
【0009】
本発明は上記従来の問題点を解決するもので、テレビジョン受像機やコンピューターディスプレイなどの映像機器に利用されるスピーカ装置およびそれを用いた映像機器のさらなる高性能化を可能とするスピーカ装置およびそれを用いた映像機器を提供することを目的とするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
この課題を解決するために本発明のスピーカ装置およびそれを用いた映像機器は、映像機器などに用いられる陰極線管内部のシャドウマスクの共振周波数に合致する周波数帯域を1/8オクターブ以下の帯域でカットした信号を入力信号としてスピーカより再生する構成とすると共に、さらに、スピーカの前面に開口部が細長く、ほぼ矩形形状に近い形状に構成された音波を導く音響管を結合し、この音響管内部にマイクロフォンを収納し、音響管内部にスピーカより放射される音波をマイクロフォン信号として処理してアンプ入力へ帰還をかける構成とし、陰極線管内部のシャドウマスクの共振周波数帯域をカットすると共に、スピーカの性能と音場特性を自動制御することを兼ねた構成としたものである。
【0011】
【作用】
この構成により、コンピューターディスプレイなどの高画質化が要求される映像機器用のスピーカ装置においても、陰極線管内部のシャドウマスクの共振現象を防止することが可能となり、画像の乱れを防ぐことが可能となるものであるほか、音響管を用いたスピーカ装置においても、音響管内部の音響特性を自動制御することを兼ねた構成としたことにより、さらなる高音質化が可能となるものである。
【0012】
【実施例】
以下、本発明の一実施例について図面を参照しながら説明する。なお上記従来例で説明した図4と同一符号のものは同一部を示す。
【0013】
図1は本発明の一実施例におけるスピーカ装置およびそれを用いた映像機器のアンプより出力された最終的にスピーカに入力されるスピーカ入力信号の周波数特性図である。図1に示すようにスピーカに入力されるスピーカ入力信号を、陰極線管内部のシャドウマスクの共振周波数に合致する周波数帯域A,B,C,Dを1/8オクターブ以下の帯域でカットする構成としたものであり、この構成とすることで陰極線管内部のシャドウマスクの共振現象を防止することが可能となり、画像の乱れを防止することが可能となるものである。
【0014】
図2は本実施例におけるスピーカ装置を搭載して構成された映像機器を一部切欠して示した斜視図である。図2において1はスピーカ、2はスピーカ1を取付けた音響管、3はキャビネット、4は陰極線管、5は陰極線管内部のシャドウマスク、6は音響管2の開口部、7は音響管2の内部に設けた吸音材、8は音響管2の内部に設けたマイクロフォン、9はマイクロフォン8の信号をアンプ入力へ帰還をかけるためのマイクロフォンコード、10はスピーカ1への入力信号を入力するためのスピーカ入力コードを示す。
【0015】
図3は上記図2に示した本実施例におけるスピーカ装置およびそれを用いた映像機器のスピーカ入力信号処理の回路構成を示したブロック図である。図2および図3に示すように本発明のスピーカ装置の場合、スピーカ1の前面に開口部が細長くほぼ矩形形状に近い形状に構成された音波を導く音響管2を結合し、この音響管2の内部にマイクロフォン8を設け、音響管2の内部にスピーカ1より放射される音波をマイクロフォン信号として処理して、マイクロフォンコード9よりアンプ入力へ帰還をかける構成とし、陰極線管4の内部のシャドウマスク5の共振周波数に合致する各周波数帯域を、図1に示すスピーカ入力信号の周波数特性図のようにカットすることでシャドウマスク5の共振現象を防止し、映像機器の高画質化を実現することが可能となるものである。
【0016】
また、前記音響管2の内部の音波をマイクロフォン8で分析し帰還信号として処理することで、音響管2の内部に設けた吸音材7で除去しきれなかった定在波をも制御することが可能であり、しいてはより自然な音響再生を可能とするスピーカ装置の実現も可能となるものである。
【0017】
【発明の効果】
以上のように本発明は、映像機器などに用いられる陰極線管内部のシャドウマスクの共振周波数に合致する周波数帯域を1/8オクターブ以下の帯域でカットした入力信号としてスピーカより再生する構成とすると共に、さらに、スピーカの前面に開口部が細長く、ほぼ矩形形状に近い形状に構成された音波を導く音響管を結合し、この音響管内部にマイクロフォンを収納し、音響管内部にスピーカより放射される音波をマイクロフォン信号として処理してアンプ入力へ帰還をかける構成とし、陰極線管内部のシャドウマスクの共振周波数帯域をカットすると共に、スピーカの性能と音場特性の自動制御することを兼ねた構成としたことによって、映像機器の小形スリム化を可能にするスピーカ装置のさらなる高音質化と、映像機器の高画質化が実現できるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例におけるスピーカ装置およびそれを用いた映像機器のアンプより出力され最終的にスピーカに入力されるスピーカ入力信号の周波数特性図
【図2】本実施例におけるスピーカ装置を搭載して構成された映像機器を一部切欠して示した斜視図
【図3】図2に示した本実施例におけるスピーカ装置およびそれを用いた映像機器のスピーカ入力信号処理の回路構成を示したブロック図
【図4】従来の音響管を用いたスピーカ装置を搭載して構成されたテレビジョン受像機およびスピーカ装置を一部切欠断面して示した斜視図
【図5】シャドウマスクの共振現象で周波数特性との関係を示した特性図
【符号の説明】
A 陰極線管内部のシャドウマスクの第1の共振周波数に合致する部分のスピーカ入力信号をカットした周波数帯域
B 陰極線管内部のシャドウマスクの第2の共振周波数に合致する部分のスピーカ入力信号をカットした周波数帯域
C 陰極線管内部のシャドウマスクの第3の共振周波数に合致する部分のスピーカ入力信号をカットした周波数帯域
D 陰極線管内部のシャドウマスクの第4の共振周波数に合致する部分のスピーカ入力信号をカットした周波数帯域
1 スピーカ
2 音響管
3 キャビネット
4 陰極線管
5 シャドウマスク
6 開口部
7 吸音材
8 マイクロフォン
9 マイクロフォンコード
10 スピーカ入力コード

Claims (2)

  1. 開口部が細長く、ほぼ矩形形状に近い形状に構成された音波を導く音響管と、この音響管を前面に結合したスピーカと、このスピーカに入力される信号を増幅する増幅器と、上記音響管の内部に配設されたマイクロフォンと、このマイクロフォンの出力信号を上記増幅器の入力に帰還する帰還回路と、この帰還回路と上記増幅器の間に接続された制御回路からなるスピーカ装置であって、
    映像機器の内部に装着される陰極線管の内部のシャドウマスクの共振周波数に合致する周波数帯域を1/8オクターブ以下の帯域でカットした信号を前記増幅器出力としてスピーカに入力するスピーカ装置。
  2. 請求項1に記載のスピーカ装置を内部に装着した映像機器。
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