JP3551820B2 - 内燃機関の制御装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は内燃機関の制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
機関排気通路内に排出された排気ガスを機関吸気通路内に再循環させ、機関吸気通路内に配置された酸素濃度検出器により吸入空気と再循環排気ガスからなる吸入ガス中の酸素濃度を検出し、検出された吸入ガス中の酸素濃度が予め定められた目標酸素濃度となるように再循環排気ガス量を制御するようにした内燃機関が公知である(特開昭62−284950号公報又は特公平6−15853号公報参照)。
【0003】
また、燃料タンク内で発生した燃料ベーパを一時的に蓄えるキャニスタを具備し、燃料ベーパを含んだパージガスをキャニスタから機関吸気通路内に供給し、機関吸気通路内に配置された酸素濃度検出器により吸入空気とパージガスからなる吸入ガス中の酸素濃度を検出し、この酸素濃度に基づいてパージガス量を制御するようにした内燃機関が提案されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
このように吸気通路内に配置された酸素濃度検出器の出力信号に基づいて再循環排気ガス量のみを制御するという考え方、および吸気通路内に配置された酸素濃度検出器の出力信号に基づいてパージガス量のみを制御するという考え方は存在している。
【0005】
しかしながら実際には再循環排気ガスとパージガスとが共に機関吸気通路内に供給される場合があり、このような場合には一つの酸素濃度検出器でもって再循環排気ガス量およびパージガス量を共に制御することが好ましいがこのように一つの酸素濃度検出器でもって再循環排気ガス量およびパージガス量を共に制御するという考え方は未だ存在していない。
【0006】
【課題を解決するための手段】
そこで1番目の発明では、燃料タンク内で発生した燃料ベーパを吸気通路内にパージするためのパージ通路と、パージ通路から吸気通路内にパージされるパージガス量を制御するパージ制御弁と、機関排気通路から吸気通路内に再循環される再循環排気ガス量を制御する排気ガス再循環制御弁とを具備した内燃機関において、吸入空気、パージガスおよび再循環排気ガスからなる吸入ガス中の酸素濃度を検出しうる酸素濃度検出器を吸気通路内に配置し、酸素濃度検出器により検出された酸素濃度に基づいてパージガス量および再循環排気ガス量を制御するようにし、その際燃料噴射量に対するパージガス中の燃料ベーパ量の割合を示す燃料ベーパ率が予め定められた目標燃料ベーパ率となるようにパージガス量が制御される。
【0007】
2番目の発明では1番目の発明において、酸素濃度検出器により検出された酸素濃度に基づいてパージガス量又は再循環排気ガス量のいずれか一方を選択的に制御するようにしている。
3番目の発明では2番目の発明において、酸素濃度検出器により検出された酸素濃度に基づいてパージガス量を制御しているときには排気ガス再循環率が予め定められた目標排気ガス再循環率となるように排気ガス再循環制御弁の開度が制御され、酸素濃度検出器により検出された酸素濃度に基づいて再循環排気ガス量を制御しているときにはパージガスの供給が停止される。
【0008】
4番目の発明では3番目の発明において、酸素濃度検出器により検出された酸素濃度に基づいてパージガス量を制御しているときには排気ガス再循環制御弁の開度が排気ガス再循環率を予め定められた目標排気ガス再循環率とするのに必要な目標開度に制御される。
【0009】
番目の発明では番目の発明において、酸素濃度検出器により検出された酸素濃度に基づいて再循環排気ガス量を制御しているときに実際の排気ガス再循環率が予め定められた目標排気ガス再循環率となるように排気ガス再循環制御弁の目標開度を更新するようにしている。
番目の発明では1番目の発明において、酸素濃度検出器により検出された酸素濃度に基づいてパージガス量および再循環排気ガス量を同時に制御するようにしている。
【0010】
番目の発明では番目の発明において、予め定められた時期に酸素濃度検出器により検出された酸素濃度に基づいてパージガスの燃料ベーパ濃度を検出する検出手段を具備し、この燃料ベーパ濃度を用いてパージガス量を制御すると共に、酸素濃度検出器により検出された酸素濃度および燃料ベーパ濃度に基づいて再循環排気ガス量を制御するようにしている。
【0011】
番目の発明では番目の発明において、検出手段は予め定められた時間間隔を隔だてて燃料ベーパ濃度を検出し、燃料ベーパ濃度が検出される際には再循環排気ガスの供給が停止される。
【0012】
番目の発明では番目の発明において、酸素濃度検出器により検出された酸素濃度および燃料ベーパ濃度に基づいて排気ガス再循環率を予め定められた目標排気ガス再循環率となるように排気ガス再循環制御弁の開度を制御するようにしている。
【0013】
【発明の実施の形態】
図1を参照すると、1は成層燃焼式内燃機関の本体、2はシリンダブロック、3はシリンダヘッド、4はピストン、5は燃焼室、6はシリンダヘッド3の内壁面周縁部に配置された燃料噴射弁、7はシリンダヘッド3の内壁面中央部に配置された点火栓、8は吸気弁、9は吸気ポート、10は排気弁、11は排気ポートを夫々示す。吸気ポート9は対応する吸気枝管12を介してサージタンク13に連結され、サージタンク13は吸気ダクト14およびエアフローメータ15を介してエアクリーナ16に連結される。吸気ダクト14内にはステップモータ17aにより駆動されるスロットル弁17が配置される。一方、排気ポート11は排気マニホルド18に連結される。排気マニホルド18とスロットル弁17下流の吸気ダクト14とは排気ガス再循環(以下EGRと称す)通路19を介して互いに連結され、EGR通路19内には電気制御式EGR制御弁20が配置される。
【0014】
図1に示されるように内燃機関は活性炭21を内蔵したキャニスタ22を具備する。このキャニスタ22は活性炭21の両側に夫々燃料蒸気室23と大気室24とを有する。燃料蒸気室23は一方では導管25を介して燃料タンク26に連結され、他方では導管27を介してスロットル弁17下流の吸気ダクト14内に連結される。導管27内には電子制御ユニット40の出力信号により制御されるパージ制御弁28が配置される。燃料タンク26内で発生した燃料ベーパは導管25を介しキャニスタ22内に送り込まれて活性炭21に吸着される。パージ制御弁28が開弁すると空気が大気室24から活性炭21内を通って導管27内に送り込まれる。空気が活性炭21内を通過する際に活性炭21に吸着されている燃料ベーパが活性炭21から脱離され、斯くして燃料ベーパを含んだ空気、即ちパージガスが導管27を介して吸気ダクト14内にパージされる。
【0015】
排気マニホルド18は例えば三元触媒を内蔵した触媒コンバータ29aに連結され、触媒コンバータ29aは更に別の触媒コンバータ29bに連結される。この触媒コンバータ29b内には酸化触媒、三元触媒、空燃比がリーンのときにNOを吸収し空燃比がリッチになると吸収しているNOを放出し還元するNO吸蔵還元型触媒、或いは過剰酸素下でかつ多量の未燃HCの存在下でNOを還元するNO選択還元型触媒が配置される。
【0016】
電子制御ユニット40はディジタルコンピュータからなり、双方向性バス41によって相互に接続されたROM(リードオンリメモリ)42、RAM(ランダムアクセスメモリ)43、CPU(マイクロプロセッサ)44、入力ポート45および出力ポート46を具備する。サージタンク13内にはサージタンク13内の絶対圧に比例した出力電圧を発生する圧力センサ30が配置され、この圧力センサ30の出力電圧が対応するAD変換器47を介して入力ポート45に入力される。更にサージタンク13内にはパージガスおよびEGRガスを含んだ吸入ガス中の酸素濃度を検出するための酸素濃度検出器(以下、Oセンサと称する)31が配置され、このOセンサ31の出力信号は対応するAD変換器47を介して入力ポート45に入力される。また、機関本体1には機関冷却水温に比例した出力電圧を発生する水温センサ32が取付けられ、この水温センサ32の出力電圧が対応するAD変換器47を介して入力ポート45に入力される。
【0017】
一方、入力ポート45には大気圧を検出するための大気圧センサ33の出力信号が対応するAD変換器47を介して入力される。アクセルペダル34にはアクセルペダル34の踏込み量Lに比例した出力電圧を発生する負荷センサ35が接続され、負荷センサ35の出力電圧は対応するAD変換器47を介して入力ポート45に入力される。また、入力ポート45にはクランクシャフトが例えば30°回転する毎に出力パルスを発生するクランク角センサ36が接続される。一方、出力ポート46は対応する駆動回路48を介して燃料噴射弁6、点火栓7、ステップモータ17a、EGR制御弁20およびパージ制御弁28に接続される。
【0018】
図2は燃料噴射量Q1,Q2,Q(=Q+Q)、噴射開始時期θS1,θS2、噴射完了時期θE1,θE2および燃焼室5内における平均空燃比A/Fを示している。なお、図2において横軸Lはアクセルペダル34の踏込み量、即ち要求負荷を示している。
図2からわかるように要求負荷LがLよりも低いときには圧縮行程末期のθS2からθE2の間において燃料噴射Q2が行われる。このときには平均空燃比A/Fはかなりリーンとなっている。要求負荷LがLとLの間のときには吸気行程初期のθS1からθE1の間において第1回目の燃料噴射Q1が行われ、次いで圧縮行程末期のθS2からθE2の間において第2回目の燃料噴射Q2が行われる。このときにも空燃比A/Fはリーンとなっている。要求負荷LがLよりも大きいときには吸気行程初期のθS1からθE1の間において燃料噴射Q1が行われる。このときには要求負荷Lが低い領域では平均空燃比A/Fがリーンとされており、要求負荷Lが高くなると平均空燃比A/Fが理論空燃比とされ、要求負荷Lが更に高くなると平均空燃比A/Fがリッチとされる。なお、圧縮行程末期にのみ燃料噴射Q2が行われる運転領域、二回に亘って燃料噴射Q1およびQ2が行われる運転領域および吸気行程初期にのみ燃料噴射Q1が行われる運転領域は要求負荷Lのみにより定まるのではなく、実際には要求負荷Lおよび機関回転数により定まる。
【0019】
圧縮行程末期における燃料噴射の基本噴射量Q2はアクセルペダル34の踏込み量Lおよび機関回転数Nの関数として図3(A)に示すようなマップの形で予めROM42内に記憶されており、吸気行程初期における燃料噴射の基本噴射量Q1もアクセルペダル34の踏込み量Lおよび機関回転数Nの関数として図3(B)に示すようなマップの形で予めROM42内に記憶されている。
【0020】
また、圧縮行程末期における燃料噴射の噴射開始時期θS2もアクセルペダル34の踏込み量Lおよび機関回転数Nの関数として図4(A)に示すようなマップの形で予めROM42内に記憶されており、吸気行程初期における燃料噴射の噴射開始時期θS1もアクセルペダル34の踏込み量Lおよび機関回転数Nの関数として図4(B)に示すようなマップの形で予めROM42内に記憶されている。
【0021】
図5(A)および(B)は要求負荷LがL(図2)よりも小さいとき、即ち圧縮行程末期においてのみ燃料噴射Q2が行われる場合を示している。なお、図5(B)は図5(A)に比べて要求負荷Lが高いとき、即ち噴射量が多いときを示している。
図5(A),(B)に示されているようにピストン4の頂面上にはキャビティ5aが形成されており、圧縮行程末期に燃料噴射弁6からキャビティ5aの底壁面に向けて燃料が噴射される。この燃料はキャビティ5aの周壁面により案内されて点火栓7に向かい、それによって点火栓7の周りに混合気Gが形成される。本発明による実施例ではパージガスの供給が停止されているときには混合気G周りの燃焼室5内の空間は空気、又は空気とEGRガスとの混合ガスにより満たされており、従って要求負荷LがL(図2)よりも小さいときには燃焼室5内の限定された領域内に混合気Gが形成されることになる。
【0022】
点火栓7周りに形成された混合気Gは点火栓7により着火せしめられる。この場合、混合気Gが薄すぎると混合気Gは着火せず、斯くして失火を生ずることになる。これに対して混合気Gが濃すぎると点火栓7の電極にカーボンが付着し、このカーボンを介して点火電流が漏洩する。その結果、点火エネルギが小さくなり、斯くしてこの場合にも失火を生ずることになる。即ち、点火栓7による良好な着火を確保するためには最適な濃度の混合気Gを点火栓7の周りに形成する必要がある。
【0023】
混合気Gの占める容積が同じ場合には燃料噴射量が増大するほど混合気Gの濃度が高くなる。従って点火栓7の周りに最適な濃度の混合気Gを形成するためには燃料噴射量が増大するほど混合気Gの占める容積を大きくしなければならない。云い換えると燃料噴射量が増大するほど混合気Gを拡散させなければならないことになる。この場合、噴射時期を早めれば早めるほど混合気が拡散する。従って本発明による実施例では図2に示されるように要求負荷Lが高くなるほど、即ち噴射量が増大するほど噴射開始時期θS2が早められる。その結果、図5(B)に示されるように噴射量が多いときには図5(A)に示されるように噴射量が少ないときに比べて混合気Gの占める容積が大きくなる。
【0024】
一方、混合気Gが拡散するには時間を要するので機関回転数Nが高くなるほど噴射時期を早める必要がある。従って本発明による実施例では機関回転数Nが高くなるほど噴射開始時期θS2が早められる。即ち、本発明による実施例では点火栓7の周りに最適な濃度の混合気Gが形成されるように噴射開始時期θS2が定められている。
【0025】
一方、前述したように要求負荷LがLとLとの間にあるときには二回に分けて燃料噴射が行われる。この場合、吸気行程初期に行われる第1回目の燃料噴射Q1によって燃焼室5内に稀薄混合気が形成される。次いで圧縮行程末期に行われる第2回目の燃料噴射Q2によって点火栓7周りに最適な濃度の混合気が形成される。この混合気が点火栓7により着火せしめられ、この着火火炎によって稀薄混合気が燃焼せしめられる。
【0026】
一方、機関負荷LがLよりも大きいときには図2に示されるように燃焼室5内にはリーン又は理論空燃比又はリッチ空燃比の均一混合気が形成され、この均一混合気が点火栓7により着火せしめられる。
次に導管27から吸気ダクト14内にパージガスをパージした場合について説明する。
【0027】
本発明による実施例では要求負荷LがLよりも小さいときには基本燃料量が図3(A)に示されるマップから定められる。一方、吸気ダクト14にパージされたパージガスは空気と燃料ベーパとの混合ガスからなり、パージガス中の燃料ベーパは燃焼室5内において燃焼せしめられる。即ち、燃料ベーパも噴射燃料と同様に機関の出力を発生するために使用される。従って本発明による実施例では図3(A)に示すマップから算出された基本燃料量Q2から燃料ベーパ量を減算した量が実際に噴射すべき噴射量とされる。
【0028】
ところでパージガスのパージ量を少なくすると活性炭21の吸着能力が飽和してしまい、従ってパージガスのパージ量はできるだけ多くすることが好ましい。しかしながらこのパージガス、即ち燃料ベーパは燃焼室5内全体に拡散する。従って上述の如く燃料ベーパ量が増大するにつれて噴射量が減少せしめられる場合にはパージガス量を多くするほど点火栓7周りに形成される混合気Gの濃度が薄くなる。この場合、混合気Gの濃度が薄くなりすぎると失火するので混合気Gの濃度は或る一定限度までしか薄くできない。
【0029】
そこで本発明による実施例では噴射量が少ないときにはパージされる燃料ベーパ量を少なくし、噴射量が多くなるとパージされる燃料ベーパ量を多くするようにしている。即ち、噴射量が増大するにつれてパージされる燃料ベーパ量を増大させるようにしている。
この場合、燃料ベーパ量を噴射量に比例して増大させることもできる。即ち、噴射量に対する燃料ベーパ量の割合を示す燃料ベーパ率を一定にすることもできる。しかしながら特に燃焼室5内の限定された領域内に混合気を形成するようにした場合には燃料ベーパ率を噴射量に応じて変えることが好ましい。次にこのことについて図6を参照しつつ説明する。
【0030】
図6(A),(B)は燃焼室5内における混合気の量を模式的に示している。なお、図6(A)は図5(A)に対応しており、図6(B)は図5(B)に対応している。即ち、図6(A)は噴射量が少なく、従って点火栓7の近傍のみに混合気が形成される場合を示しており、図6(B)は噴射量が多く、混合気が分散している場合を示している。
【0031】
また、図6(A),(B)において実線Gはパージ作用を行っていない場合の混合気量を示しており、破線G′は同一の燃料ベーパ率でもって燃料ベーパがパージされたときに点火栓7周りに集まっている混合気量を示しており、破線Vは燃焼室5内全体に分散している燃料ベーパ量を示している。燃料ベーパがパージされたときに点火栓7周りに集まっている混合気量G′は噴射燃料により形成された混合気量と燃料ベーパ量Vとの和になる。
【0032】
図6(A)に示される場合には全燃料ベーパ量Vのうちのわずかな量だけしか噴射燃料により形成された混合気量に重畳されないので混合気量G′は混合気量Gに対してかなり少なくなる。これに対して図6(B)に示される場合には全燃料ベーパ量Vの大部分が噴射燃料により形成された混合気量に重畳されるので混合気量G′は混合気量Gよりもさほど少なくならない。
【0033】
即ち、図6(B)に示す場合には燃料ベーパ率を大きくしても点火栓7周りの混合気の濃度はさほど低下せず、斯くしてこの場合には燃料ベーパ率を大きくしても失火を生じない。これに対して図6(A)に示す場合には燃料ベーパ率を大きくすると点火栓7周りの混合気の濃度がかなり低下し、斯くして失火を生じることになる。従って図6(A)に示す場合には図6(B)に示す場合に比べて燃料ベーパ率を小さくしなければならないことになる。
【0034】
そこで本発明による実施例では図7に示すように基本噴射量Qが多くなるにつれて目標燃料ベーパ率tEVRを高くするようにしている。なお、図7において横軸Nは機関回転数を示しており、鎖線Xは平均空燃比A/Fがリーンの領域と平均空燃比A/Fが理論空燃比の領域との境界を示している。図7に示されるように本発明による実施例では平均空燃比A/Fがリーンの領域、即ち境界Xよりも噴射量Qの少ない領域では噴射量Qが増大するにつれて目標燃料ベーパ率tEVRが20パーセントまで徐々に増大せしめられ、境界Xよりも噴射量Qの多い領域では目標燃料ベーパ率tEVRが20パーセントの一定値とされる。図7に示される目標燃料ベーパ率tEVRは噴射量Qおよび機関回転数Nの関数としてマップの形で予めROM42内に記憶されている。なお、図7に示す目標燃料パージ率tEVRは一例であって、この目標燃料パージ率tEVRは40パーセント以上にすることもできる。
【0035】
なお、図7に示される目標燃料ベーパ率tEVRはパージ作用が開始されてから暫らくした後の目標燃料ベーパ率を示しており、パージ作用を開始した直後の目標燃料ベーパ率rEVRは図8に示されるように徐々に増大せしめられる。なお、図8において横軸ΣPG(l)はパージ作用が開始された後吸気ダクト14内にパージされたパージガス流量の積算値を示している。本発明による実施例では図8に示すrEVRとtEVRの小さいほうが目標燃料ベーパ率EVRとされる。従ってパージ作用が開始されると目標燃料ベーパ率EVRはtEVRとなるまでrEVRに沿って徐々に増大せしめられることがわかる。
【0036】
次に図9および図10を参照しつつパージガス流量の積算値ΣPG(l)の算出方法について説明する。図9はパージ制御弁28が全開しているときの単位時間当りのパージガス流量、即ち全開パージガス流量PG100(l/sec )を示している。この全開パージガス流量PG100(l/sec )は図9に示されるように大気圧PAとサージタンク13内の絶対圧PMとの圧力差(PA−PM)の関数となる。一方、パージ制御弁28は一定時間内においてパージ制御弁28を開弁すべき時間の割合、即ちデューティ比DUTYに基づいて制御される。図10に示されるように単位時間当りのパージガス流量(l/sec )はデューティ比DUTY(%)に比例する。従って図9に示される全開パージガス流量(l/sec )にDUTY(%)/100%を乗算すれば実際の単位時間当りのパージガス流量(l/sec )が算出でき、このパージガス流量(l/sec )を積算することによってパージガス流量の積算値ΣPG(l)が得られる。パージガス流量の積算値ΣPG(l)が得られると図8から目標燃料ベーパ率EVRが算出できる。なお、図9に示す関係は予めROM42内に記憶されている。
【0037】
ところで本発明による実施例ではパージガスに加えEGRガスが吸気ダクト14内に供給される。吸気ダクト14内に供給すべきEGRガス量は機関の運転状態に応じた最適値が存在し、このEGRガスの目標EGR率(=EGRガス量/(吸入空気量+EGRガス量))EGROは基本噴射量Qおよび機関回転数Nの関数として予めROM42内に記憶されている。図11(A)はROM42内に記憶されている目標EGR率EGROの一例を示している。図11(A)は要求負荷LがL(図2)よりも低いときの目標EGR率EGROを示しており、各数値5,10,20,30,40はパーセンテージを表している。また、EGR率を図11(A)に示す目標EGR率EGROとするのに必要なEGR制御弁20の目標開度ASが基本噴射量Qおよび機関回転数Nの関数として図11(B)に示すようなマップの形で予めROM42内に記憶されている。
【0038】
また本発明におけるようにリーン空燃比のもとで燃焼が行われる場合にはEGRガス中に酸素が含まれており、EGRガス中に含まれている酸素の濃度は空燃比のリーンの度合に応じて、即ち機関の運転状態に応じて変化する。また、EGRガス中に含まれる酸素の濃度が変化すればEGRガスの密度も変化する。そこで本発明による実施例ではEGR率を図11(A)に示す目標EGR率EGROとしたときのEGRガスの密度ρe(g/l)およびEGRガス中の酸素濃度k(重量割合)を予め実験により求めておき、これらEGRガスの密度ρeおよびEGRガス中の酸素濃度kが基本噴射量Qおよび機関回転数Nの関数として図12(A),(B)に夫々示すマップの形で予めROM42内に記憶されている。
【0039】
なお、要求負荷LがL<L<Lの領域およびL≧Lの領域についても図11(A)に示すような目標EGR率EGRO、図11(B)に示すようなEGR制御弁20の目標開度AS、および図12(A),(B)に示すようなEGRガスの密度ρeおよびEGRガス中の酸素濃度kが予め記憶されている。前述したように本発明による実施例では図7に示される如く目標燃料ベーパ率tEVRは基本噴射量Qおよび機関回転数Nの関数であるが目標燃料ベーパ率tEVRを更に目標EGR率EGROに応じて変化させることができる。
【0040】
本発明による第1実施例においてはEGR率を目標EGR率EGROとするためにEGR制御弁20の開度が図11(B)に示されるマップに記憶された目標開度SAとされる。また、燃料ベーパ率を目標燃料ベーパ率EVRとするのに必要なパージ制御弁28のデューティ比DUTYがOセンサ31により検出された吸入ガス中の酸素濃度から算出される。この場合、パージ制御弁28のデューティ比DUTYは実際のEGR率が目標EGR率EGROに維持されているとの前提に立って算出され、EGR率が目標燃料ベーパ率EGROに維持されている限り燃料ベーパ率は目標燃料ベーパ率EVRとなる。
【0041】
ところで機関が長期間に亘って使用されるとEGR制御弁20にデポジットが付着し、その結果EGRガス量が減少する。従ってこの場合にはEGR制御弁20の開度を図11(B)に示されるマップに記憶された目標開度SAに一致させても実際のEGR率が目標EGR率EGROに一致しなくなる。このような実際のEGR率と目標EGR率EGROとの不一致はEGR制御弁20の精度のばらつき等種々の原因に基づいて発生する。一方、前述したようにパージ制御弁28のデューティ比DUTYは実際のEGR率が目標EGR率EGROに維持されているとの前提に立って算出されており、従って実際のEGR率が目標EGR率EGROに一致しなくなると算出されたデューティ比DUTYは燃料ベーパ率を目標ベーパ率EVRとするのに必要なデューティ比DUTYに一致しなくなる。その結果、燃料ベーパ率が目標燃料ベーパ率EVRに一致しなくなる。即ち、実際のEGR率が目標EGR率EGROに一致しなくなるとそのこと自体が問題となるばかりでなく、燃料ベーパ率が目標燃料ベーパ率EVRに一致しなくなるという問題を生ずる。
【0042】
そこで本発明による第1実施例では時折パージガスの供給を停止してこの間にOセンサ31に検出された吸入ガス中の酸素濃度から実際のEGR率を算出し、実際のEGR率が目標EGR率EGROに一致しているか否かをチェックして実際のEGR率が目標EGR率EGROに一致していないときには実際のEGR率が目標EGR率EGROに一致するようにEGR制御弁20の目標開度SAを補正するようにしている。
【0043】
なお、機関負荷が小さくなると燃料噴射量が少くなると共に目標燃料ベーパ率EVRも小さくなるのでパージガス量は少なくなり、斯くしてこのときパージガスの供給を停止しても活性炭21に吸着されている燃料ベーパ量の減少促進にはさほど悪影響を与えない。また、EGR率が或る程度大きくないと目標EGR率EGROに対する実際のEGR率のずれを吸入ガス中の酸素濃度から精度よく検出できない。従って本発明による第1実施例では要求負荷LがL(図2)よりも低いときであってかつ目標EGR率EGROが比較的高いときにパージガスの供給を停止し、実際のEGR率が目標EGR率EGROに一致しているか否かをチェックするようにしている。
【0044】
次に燃料ベーパ率を目標燃料ベーパ率とするのに必要なパージ制御弁28のデューティ比DUTYを求める方法について具体的に説明する。基本噴射量に対する目標燃料ベーパ量の割合、即ち目標燃料ベーパ率をEVRとし、機関回転数をNとすると、単位時間当りの基本噴射量はQ・N/60(g/sec )と表されるので燃料ベーパ率を目標燃料ベーパ率EVRとするのに必要な単位時間当りの燃料ベーパのパージ量EVQ(g/sec )は次式で表される。
【0045】
EVR=EVQ・Q・N/60
一方、単位時間当りの全開パージガス流量PG100(l/sec )にパージ制御弁28の開弁割合、即ちDUTY/100を乗算するとその乗算結果PG100・DUTY/100はパージ制御弁28のデューティ比がDUTYのときの単位時間当りのパージガス流量(l/sec )を表わしている。従ってこのパージガス流量(l/sec )にパージガス中の燃料ベーパ濃度PV(g/l)を乗算すれば単位時間当りパージされる燃料ベーパ量(g/sec )が求まる。燃料ベーパ率を目標燃料ベーパ率EVRとするためにはこの燃料ベーパ量(g/sec )を上述の燃料ベーパ量EVQに一致させる必要があり、従って燃料ベーパ率を目標燃料ベーパ率EVRとするためには次式を満たさなければならない。
【0046】
EVQ=PG100・PV・DUTY/100
従って目標とするデューティ比DUTYは次式で表されることになる。
DUTY=100・EVQ/(PG100・PV)
ここで前述したようにEVQ=EVR・Q・N/60であり、PG100は図9に示す関係から求まるのでパージガス中の燃料ベーパ濃度PV(g/l)が求まればデューティ比DUTYが求まることになる。
【0047】
本発明ではこの燃料ベーパ濃度PV(g/l)がOセンサ31により検出された吸入ガス中の酸素濃度OX(重量割合)から求められる。即ち、単位時間当りパージされるパージガス流量をPG(l/sec )とし、単位時間当りパージされる燃料ベーパ量をFUEL(g/sec )とすると燃料ベーパ濃度PVは次式で表される。
【0048】
PV=FUEL(g/sec )/PG(l/sec )
ここでパージガス流量PG(l/sec )中の空気流量をAIR(l/sec )とし、パージガス流量PG(l/sec )中の燃料ベーパ流量をFUEL(l/sec )とすると燃料ベーパ濃度PVは次式で表される。
PV=FUEL(g/sec )/(AIR(l/sec )+FUEL(l/sec ))
ここで燃料の密度をρf(g/l)とすると上式は次のようになる。
【0049】
PV=FUEL(l/sec )・ρf/(AIR(l/sec )+FUEL(l/sec ))
上式の右辺の分母および分子をFUEL(l/sec )で除算すると上式は次式のようになる。
PV=ρf/(AIR(l/sec )/FUEL(l/sec )+1)…(1)
従ってAIR(l/sec )/FUEL(l/sec )がわかれば燃料ベーパ濃度PVが求められることになる。
【0050】
一方、吸入空気量をGA(l/sec )とし、EGRガス量をEG(l/sec )とするとEGRガス率は次式で表される。
EG(l/sec )/(GA(l/sec )+EG(l/sec ))
従ってEGRガス率が目標EGR率EGROに一致しているとすると目標EGR率EGROは次式のように表される。
【0051】
EGRO=EG(l/sec )/(GA(l/sec )+EG(l/sec ))
従ってこのときのEGRガス量EGは次式にように表される。
EG(l/sec )=EGRO・GA(l/sec )/(1−EGRO)
ここで吸入空気量GA(l/sec )はエアフローメータ15により検出されており、目標EGR率EGROは図11(A)に示されるように予め記憶されているのでエアフローメータ15により検出された吸入空気量GA(l/sec )と予め記憶されている目標EGR率EGROからEGRガス量EG(l/sec )を算出することができる。
【0052】
一方、空気の密度をρa(g/l)とすると単位時間当り機関に供給される吸入ガス量Qgは次式で表される
Qg(g/sec )=GA(l/sec )・ρa+AIR(l/sec )・ρa+FUEL(l/sec )・ρf+EG(l/sec )・ρeここでAIRおよびFUELは前述したように夫々パージガス中の空気流量および燃料ベーパ流量を表しており、またρeは図12(A)から算出されるEGRガスの密度(g/l)を表している。
【0053】
一方、空気中の酸素の濃度(重量割合)を0.21とすると吸入ガス量(g/sec )中に含まれる酸素量Qa(g/sec )は次式で表される。
Figure 0003551820
さて、吸入ガス中の酸素量(g/sec )を吸入ガス量(g/sec )で除算するとその除算結果は吸入ガス中の酸素濃度OXを表しており、従って吸入ガス中の酸素濃度OXは次式で表される。
【0054】
Figure 0003551820
ここで吸入空気中の酸素濃度OXはOセンサ31により検出される。
【0055】
次いで上式を書き直すと次のようになる。
Figure 0003551820
ここで(0.21−OX)・ρaをCとし、OX・ρfをCとし、(0.21−OX)・ρa・GA(l/sec )−(OX−k)・ρe・EG(l/sec )をCとすると上式は次のようになる。
【0056】
・AIR(l/sec )−C・FUEL(l/sec )+C=0
ここでC,C,Cは夫々算出しうる。
一方、前述したように現在のパージ制御弁28のデューティ比がDUTYであるとする現在のパージガス量PG(l/sec )は次式から求まる。
PG(l/sec )=PG100(l/sec )・DUTY/100
一方、パージガス量PG(l/sec )は次式に示されるようにAIR(l/sec )とFUEL(l/sec )との和である。
【0057】
PG(l/sec )=AIR(l/sec )+FUEL(l/sec )
この式とC,C,Cを用いた上式からAIR(l/sec )およびFUEL(l/sec )を求めると次のようになる。
AIR(l/sec )=(C・PG(l/sec )−C)/(C+C
FUEL(l/sec )=(C・PG(l/sec )+C)/(C+C
従ってAIR(l/sec )/FUEL(l/sec )は次式で表される。
【0058】
Figure 0003551820
このようにしてAIR(l/sec )/FUEL(l/sec )を算出することができる。AIR(l/sec )/FUEL(l/sec )が求まると前述したように前述の式(1)から燃料ベーパ濃度PV(g/l)が算出される。
【0059】
燃料ベーパ濃度PVが求まると目標燃料ベーパ率EVRを用いて次式からデューティ比DUTYが算出される。
DUTY=100・EVQ/(PG100・PV)
EVQ=EVR・Q・N/60
パージ制御弁28のデューティ比DUTYを上式から算出されたデューティ比DUTYとすれば燃料ベーパ率が目標燃料ベーパ率EVRとなる。
【0060】
一方、噴射すべき噴射量tQは基本噴射量Qから燃料ベーパ量を減量した値とされる。この場合、減量すべき噴射量はQ・EVRとなる。従って噴射すべき燃料量tQは次式で表される。
tQ=Q・(1−EVR)
次にEGR制御弁20の制御方法について具体的に説明する。本発明による第1実施例では次式に基づいて最終的なEGR制御弁20の目標開度SAOが算出される。
【0061】
SAO=KE・SA
ここでKEは補正係数を示しており、SAは図11(B)に示すマップに記憶されたEGR制御弁20の目標開度である。前述したように第1実施例では実際のEGR率が目標EGR率EGROに一致しているか否かが時折チェックされ、実際のEGR率が目標EGR率EGROに一致していないときには実際のEGR率が目標EGR率EGROに一致するように補正係数KEが更新される。次にこのことについて説明する。
【0062】
前述したように第1実施例では実際のEGR率が目標EGROに一致しているか否かをチェックするときにはパージガスの供給が一時的に停止される。このときの実際のEGRガス量をEGX(l/sec )とすると吸入ガス中の酸素濃度OXは次式で表される。
(0.21・GA(l/sec )・ρa+k・EGX(l/sec )・ρe)/(GA(l/sec )・ρa+EGX(l/sec )・ρe)=OX
従って実際のEGRガス量EGX(l/sec )は次式で表される。
【0063】
Figure 0003551820
本発明では吸入ガス中の酸素濃度OXがOセンサ31により検出され、この検出された酸素濃度OXを用いて上式から実際のEGRガス量EGX(l/sec )が算出される。実際のEGRガス量EGX(l/sec )が算出されると次式から実際のEGR率EGRXが算出される。
【0064】
Figure 0003551820
本発明による第1実施例では実際のEGR率EGRXが目標EGR率EGROよりも大きいときには実際のEGR率EGRXが目標EGR率EGROとなるまで補正係数KEが徐々に減少せしめられ、実際のEGR率EGRXが目標EGR率EGROよりも小さいときには実際のEGR率EGRXが目標EGR率EGROとなるまで補正係数KEが徐々に増大せしめられる。
【0065】
さて、前述したように目標燃料ベーパ率EVRは図8に示すrEVRとtEVRの小さい方の値とされる。この場合、目標燃料パージ率EVRとして図8に示すrEVRとtEVRの小さい方の値をそのまま用いることもできる。しかしながら特に燃焼室5内の限定された領域内に混合気を形成するようにした場合には燃料ベーパをパージすると燃焼が不安定となり、機関の出力トルクが変動しやすくなる。従って機関の出力トルク変動が大きくならないように目標燃料パージ率EVRを定めることが好ましいと言える。
【0066】
そこで本発明による実施例では機関の出力トルク変動が予め定められた変動量を越えない限りrEVR又はtEVRに向けて目標燃料ベーパ率EVRを徐々に増大させ、次いで機関の出力トルク変動が予め定められた変動量を越えない限り目標燃料ベーパ率EVRをrEVR又はtEVRに維持するようにしている。この場合、もし機関の出力トルク変動が予め定められた変動量よりも大きくなると目標燃料ベーパ率EVRが低下せしめられる。
【0067】
このように本発明による実施例では機関出力のトルク変動量に基づいて目標燃料ベーパ率EVRが制御される。そこで次にトルク変動量の算出方法の一例について概略的に説明する。
例えばクランクシャフトが圧縮上死点(以下TDCと称す)から圧縮上死点後(以下ATDCと称す)30°まで回転する間のクランクシャフトの角速度を第1の角速度ωaと称し、クランクシャフトがATDC60°からATDC90°まで回転する間のクランクシャフトの角速度を第2の角速度ωbと称すると、各気筒において燃焼が行われたときに燃焼圧によってクランクシャフトの角速度は第1の角速度ωaから第2の角速度ωbへ上昇せしめられる。このとき、機関の回転慣性モーメントをIとすると燃焼圧によって運動エネルギが(1/2)・Iωaから(1/2)・Iωbへ上昇せしめられる。概略的に云うとこの運動エネルギの上昇量(1/2)・I・(ωb−ωa)によってトルクが発生するので発生トルクは(ωb−ωa)に比例することになる。従って発生トルクは第1の角速度ωaの2乗と第2の角速度ωbの2乗との差から求まることになる。
【0068】
次に図13を参照しつつ各気筒が発生するトルクを算出する方法について説明する。前述したようにクランク角センサ36はクランクシャフトが30°クランク角度回転する毎に出力パルスを発生し、更にクランク角センサ36は各気筒#1,#2,#3,#4の圧縮上死点TDCにおいて出力パルスを発生するように配置されている。従ってクランク角センサ36は各気筒#1,#2,#3,#4のTDCから30°クランク角毎に出力パルスを発生することになる。なお、本発明において用いられている内燃機関の点火順序は1−3−4−2である。
【0069】
図13において縦軸T30はクランク角センサ36が出力パルスを発生してから次の出力パルスを発生するまでの30°クランク角度の経過時間を表わしている。また、Ta(i)はi番気筒のTDCからATDC30°までの経過時間を示しており、Tb(i)はi番気筒のATDC60°からATDC90°までの経過時間を示している。従って例えばTa(l)はl番気筒のTDCからATDC30°までの経過時間を示しており、Tb(l)はl番気筒のATDC60°からATDC90°までの経過時間を示していることになる。一方、30°クランク角度を経過時間T30で除算するとこの除算結果は角速度ωを表わしている。従って30°クランク角度/Ta(i)はi番気筒における第1の角速度ωaを表しており、30°クランク角度/Tb(i)はi番気筒における第2の角速度ωbを表していることになる。
【0070】
図14はトルク変動量を算出するためのルーチンを示しており、このルーチンは30°クランク角毎の割込みによって実行される。
図14を参照するとまず初めにステップ100において現在i番気筒のATDC30°であるか否かが判別される。現在i番気筒のATDC30°でない場合にはステップ102にジャンプして現在i番気筒のATDC90°であるか否かが判別される。現在i番気筒のATDC90°でない場合には処理サイクルを完了する。
【0071】
これに対しステップ100において現在i番気筒のATDC30°であると判別されたときにはステップ101に進んで現在の時刻TIMEと30°クランク角前の時刻TIME0との差からi番気筒のTDCからATDC30°までの経過時間Ta(i)が算出される。次いでステップ102において現在i番気筒のATDC90°であると判別されたときにはステップ103に進んで現在の時刻TIMEと30°クランク角前の時刻TIME0との差からi番気筒のATDC60°からATDC90°までの経過時間Tb(i)が算出される。
【0072】
次いでステップ104ではi番気筒の発生トルクDN(i)が次式に基づいて算出される。
DN(i)=ωb−ωa=(30°/Tb(i))−(30°/Ta(i))
次いでステップ105では次式に基づき同一気筒の1サイクルの間におけるトルク変動量DLN(i)が算出される。
【0073】
DLN(i)=DN(i)j−DN(i)
ここでDN(i)jはDN(i)に対して一サイクル(720°クランク角)前の同一気筒の発生トルクを表わしている。
次いでステップ106ではカウント値Cが1だけインクリメントされる。次いでステップ107ではカウント値Cが4になったか否か、即ち全気筒についてトルク変動量DLN(i)が算出されたか否かが判別される。C=4になるとステップ108に進んで次式に示す全気筒のトルク変動量DLN(i)の平均値が最終的なトルク変動量SMとされる。
【0074】
SM=(DLN(1)+DLN(2)+DLN(3)+DLN(4))/4
次いでステップ109においてカウント値Cが零とされる。
次に図15を参照しつつ第1実施例を実行するための運転制御について説明する。
図15を参照するとまず初めにステップ200においてスロットル弁17の開度が機関の運転状態に応じた目標開度とされる。次いでステップ201では図11(A)に示すマップからEGR制御弁20の目標開度SAが算出される。次いでステップ202ではこの目標開度SAに補正係数KEを乗算することによって最終的なEGR制御弁20の目標開度SAO(=KE・SA)が算出され、EGR制御弁20の開度がこの最終的な目標開度SAOとされる。
【0075】
次いでステップ203では実際のEGR率EGRXが目標EGR率EGROに一致しているか否かをチェックするためのチェック条件が成立しているか否かが判別される。前述したようにこの第1実施例では機関の運転状態が要求負荷LがLよりも低くかつ目標EGR率EGROが比較的高い予め定められた機関低負荷領域にあるときにチェック条件が成立していると判断される。チェック条件が成立していないと判断されたときにはステップ204に進んで実際のEGR率EGRXが目標EGR率EGROに一致しているか否かのチェックが完了したことを示す完了フラグがリセットされる。
【0076】
次いでステップ205ではパージ制御が行われる。このパージ制御を実行するためのルーチンが図16および図17に示されている。次いでステップ206では噴射制御が行われる。この噴射制御を行うためのルーチンが図18に示されている。ここで先に図16および図17に示されているパージ制御ルーチンおよび図18に示されている噴射制御ルーチンについて説明する。
【0077】
パージ制御ルーチンを示す図16および図17を参照すると、まず初めにステップ300においてパージ条件が成立したか否かが判別される。例えば機関冷却水温が80℃以上であり、かつ機関始動後30秒経過したときにはパージ条件が成立したと判断される。パージ条件が成立しているときにはステップ301に進んで燃料の供給が停止されているか否かが判別される。燃料の供給が停止されていないときにはステップ302に進む。
【0078】
ステップ302では大気圧センサ33により検出された大気圧PAおよび圧力センサ30により検出された絶対圧PMに基づいて図9に示す関係から全開パージガス流量PG100が算出される。次いでステップ303では現在のデューティ比DUTYを用いて次式から単位時間当りのパージガス流量PGが算出される。
【0079】
PG=PG100・DUTY/100
次いでステップ304ではパージガス流量PGがパージガス流量の積算値ΣPGに加算される。次いでステップ305ではパージガス流量の積算値ΣPGに基づいて図8に示す関係から目標燃料ベーパ率rEVRが算出される。次いでステップ306では図7に示す関係から目標燃料ベーパ率tEVRが算出される。次いでステップ307ではrEVRとtEVRの小さい方が目標燃料ベーパ率の許容最大値MAXとされる。
【0080】
次いでステップ308ではトルク変動量SMが予め定められた変動量SMよりも大きいか否かが判別される。SM≦SMのときにはステップ309に進んで目標燃料ベーパ率EVRに一定値ΔE1が加算される。これに対してSM>SMのときにはステップ310に進んで目標燃料ベーパ率EVRから一定値ΔE2が減算される。次いでステップ311では目標燃料ベーパ率EVRが許容最大値MAXよりも大きいか否かが判別される。EVR≧MAXのときにはステップ312に進んで許容最大値MAXが目標燃料ベーパ率EVRとされる。
【0081】
即ち、SM>SMになるとEVRは小さくされる。これに対してSM≦SMであればEVRは増大せしめられ、SM≦SMである限りEVRはMAXとされる。
次いでステップ313では図3(A),(B)に示すマップから基本噴射量Qが算出される。この基本噴射量Qは図2においてL<Lの領域ではQ2に等しく、L≦L<Lの領域ではQ1とQ2の和であり、L≧Lの領域ではQ1に等しい。次いでステップ314では基本噴射量Q、目標燃料ベーパ率EVRおよび機関回転数Nを用いて次式から単位時間当りにパージすべき燃料ベーパ量EVQが算出される。
【0082】
EVQ=Q・EVR・N/60
次いでステップ315では前述した式(3)からAIR(l/sec )/FUEL(l/sec )が算出され、この算出値を用いて前述した式(1)からパージガス中の燃料ベーパ濃度PV(g/l)が算出される。
次いでステップ316では次式に基づいて燃料ベーパ率を目標燃料ベーパ率EVRとするのに必要なデューティ比DUTYが算出される。
【0083】
DUTY=100・EVQ/(PG100・PV)
次いでステップ317ではデューティ比DUTYが100%以上か否かが判別される。DUTY<100%のときにはステップ320に進んでEVRが最終的な目標燃料ベーパ率tEVとされる。これに対してDUTY≧100%のときにはステップ318に進んでデューティ比DUTYが100%とされ、次いでステップ319に進んで次式に基づき最終的な目標燃料ベーパ率tEVが算出される。
【0084】
tEV=PG100・PV/(Q・N/60)
即ち、PG100・PVはDUTY=100%のときにパージされる燃料ベーパ量を表わしているので最終的な目標燃料ベーパ率tEVは上式の如く表される。
一方、ステップ300においてパージ条件が成立していないと判断されたとき、又はステップ301において燃料の供給が停止されていると判断されたときにはステップ321に進んでデューティ比DUTYが零とされ、次いでステップ322において最終的な目標燃料ベーパ率tEVが零とされる。このときにはパージ作用が停止される。
【0085】
次に噴射制御ルーチンを示す図18を参照すると、まず初めにステップ400において燃料噴射Q2のみが行われるか否かが判別される。燃料噴射Q2のみが行われるときにはステップ401に進んで図3(A)に示すマップから基本噴射量Q2が算出される。次いでステップ402では次式に基づいて最終的な噴射量tQ2が算出される。
【0086】
tQ2=Q2・(1−tEV)
次いでステップ403では図4(A)に示すマップから噴射開始時期θS2が算出され、このθS2と噴射量Q2と機関回転数Nから噴射完了時期θE2が算出される。
一方、ステップ400において燃料噴射Q2のみが行われていないと判断されたときにはステップ404に進んで燃料噴射Q1およびQ2が行われるか否かが判別される。燃料噴射Q1およびQ2が行われるときにはステップ405に進んで図3(A),(B)に示すマップから基本噴射量Q1およびQ2が算出される。次いでステップ406では次式に基づいて最終的な噴射量tQ1が算出される。
【0087】
tQ1=Q1・(1−tEV)
次いでステップ407では次式に基づいて最終的な噴射量tQ2が算出される。
tQ2=Q2・(1−tEV)
次いでステップ408では図4(A),(B)に示すマップから噴射開始時期θS1,θS2が算出され、これらθS1,θS2と噴射量Q1,Q2と機関回転数Nから噴射完了時期θE1,θE2が算出される。
【0088】
なお、この場合、全基本噴射量Q(=Q1+Q2)から噴射すべき全燃料量tQ(=Q(1−tEV))を求め、最終的な噴射量tQ1をtQ1=tQ−Q2とし、最終的な噴射量tQ2をtQ2=Q2とすることもできる。
一方、ステップ404において燃料噴射Q1およびQ2が行われていないと判断されたときにはステップ409に進んで図3(B)に示すマップから基本噴射量Q1が算出される。次いでステップ410では次式に基づいて最終的な噴射量tQ1が算出される。
【0089】
tQ1=Q1・(1−tEV)
次いでステップ411では図4(B)に示すマップから噴射開始時期θS1が算出され、このθS1と噴射量Q1と機関回転数Nから噴射完了時期θE1が算出される。
再び図15に戻り、ステップ203において実際のEGR率EGRXが目標EGR率EGROに一致しているか否かをチェックするためのチェック条件が成立していると判断されたときにはステップ207に進んで完了フラグがセットされているか否かが判別される。完了フラグがセットされているときにはステップ205に進み、完了フラグがセットされていないときにはステップ208に進む。ステップ208ではパージ制御弁28のデューティ比DUTYが零とされ、斯くしてパージガスの供給が停止される。次いでステップ209では最終的な目標燃料ベーパ率tEVが零とされる。次いでステップ210では前述した式(4)に基づいて実際のEGRガス量EGX(l/sec )が算出され、この算出値に基づいて前述した式(5)から実際のEGR率EGRXが算出される。
【0090】
次いでステップ211では実際のEGR率EGRXが目標EGR率EGROよりも大きいか否かが判別される。EGRX>EGROのときにはステップ212に進んで補正係数KEから一定値ΔKEが減算され、次いでステップ214に進む。これに対してEGRX≦EGROのときにはステップ213に進んで補正係数KEに一定値ΔKEが加算され、次いでステップ214に進む。ステップ214では実際のEGR率EGRXがEGRO−α<EGRX<EGRO+α(αは小さな一定値)であるか否か、即ち実際のEGR率EGRXが目標EGR率EGROに一致したか否かが判別される。実際のEGR率EGRXが目標EGR率EGROに一致したときにはステップ215に進んで完了フラグがセットされ、次いでステップ206に進む。このようにして実際のEGR率EGRXが目標EGR率EGROに一致するように補正係数KEが更新される。
【0091】
次に第2実施例について説明する。第2実施例では吸入ガス中の酸素濃度および燃料ベーパ濃度PV(g/l)から実際のEGR率EGRXを求め、実際のEGR率EGRXが目標EGR率EGROに一致するようにEGR制御弁20の開度をフィードバック制御するようにしている。この場合、吸入ガス中の酸素濃度はOセンサ31により検出される。一方、燃料ベーパ濃度PV(g/l)はEGRガスの供給を時折、例えば一定時間毎に停止することによって検出し、最も最近検出された燃料ベーパ濃度PV(g/l)を用いて実際のEGR率EGRXを求めるようにしている。
【0092】
即ち、パージガスのパージ作用が行われたときにはキャニスタ22の活性炭21に吸着されている燃料ベーパ量は徐々に減少し、それに伴って燃料ベーパ濃度PV(g/l)はゆっくりと減少する。従って燃料ベーパ濃度PV(g/l)は常時検出する必要がなく、時折検出すれば十分である。従ってこの第2実施例では燃料ベーパ濃度PV(g/l)を時折検出し、最も最近検出された燃料ベーパ濃度PV(g/l)を用いて実際のEGR率EGRXを算出するようにしている。
【0093】
なお、この第2実施例ではEGR制御弁28のデューティ比DUTYもこの最も最近検出された燃料ベーパ濃度PV(g/l)に基づいて算出される。
次に燃料ベーパ濃度PVの算出方法等について具体的に説明する。
まず初めに燃料ベーパ濃度PV(g/l)の算出方法について説明する。第2実施例ではパージガスの供給が行われている限り一定時間毎にEGRガスの供給が一時的に停止され、この間に以下のようにして燃料ベーパ濃度PV(g/l)が算出される。
【0094】
即ち、前述したようにEGRガスが供給されているときのAIR(l/sec )/FUEL(l/sec )は前述した式(3)に示されるように以下のように表される。
Figure 0003551820
ここで前述したようにC,C,Cは夫々次の値を示している。
【0095】
=(0.21−OX)・ρa
=OX・ρf
=(0.21−OX)・ρa・GA(l/sec )−(OX−k)・ρe・EG(l/sec )
第2実施例では燃料ベーパ濃度PV(g/l)を算出すべきときにはEGRガスの供給が停止されており、従ってEG=0となる。従って第2実施例ではCは以下のように表される。
【0096】
=(0.21−OX)・ρa・GA(l/sec )
従って第2実施例ではこのCと、上述のC,Cを用いて上述の式(6)からAIR(l/sec )/FUEL(l/sec )が算出され、この算出値から前述した式(1)より燃料ベーパ濃度PV(g/l)が算出される。
第2実施例においては一旦燃料ベーパ濃度PV(g/l)が算出されるとこの燃料ベーパ濃度PV(g/l)が次に再び燃料ベーパ濃度PVが算出されるまで使用される。従って一旦燃料ベーパ濃度PV(g/l)が算出されるとこの算出された燃料ベーパ濃度PVに基づいて次式からデューティ比DUTYが算出される。
【0097】
DUTY=100・EVQ/(PG100・PV)
EVQ=EVR・Q・N/60
次に、算出された燃料ベーパ濃度PV(g/l)に基づいて実際のEGR率EGRXを求める方法について説明する。
パージガスが供給されかつEGRガスが供給されたときには前述した式(2)が成立する。ただし、次式ではEGをEGXと書き直している。
【0098】
Figure 0003551820
従ってこのときの実際のEGRガス量EGX(l/sec )は次式で表される。
Figure 0003551820
ここで酸素濃度OXはOセンサ31により検出され、吸入空気量GA(l/sec )はエアフローメータ15により検出されるのでAIR(l/sec )およびFUEL(l/sec )が求まれば実際のEGRガス量EGX(l/sec )が求まることになる。
【0099】
さて、パージガス中の燃料ベーパ量FUEL(g/sec )は次式に示されるようにパージガス量(l/sec )と燃料ベーパ濃度PV(g/l)との積で表される。
Figure 0003551820
ここで現在のパージ制御弁28のデューティ比がDUTYであるとする現在のパージガス量PG(l/sec )は次式から求まる。
【0100】
PG(l/sec )=PG100(l/s)・DUTY/100
従って算出されている燃料ベーパ濃度PV(g/l)を用いると上述の式からFUEL(l/sec )を算出できることになる。
一方、パージガス量PG(l/sec )は次式に示されるようにAIR(l/sec )とFUEL(l/sec )との和である。
【0101】
PG(l/sec )=AIR(l/sec )+FUEL(l/sec )
従って次式からAIR(l/sec )が算出される。
Figure 0003551820
このようにしてFUEL(l/sec )およびAIR(l/sec )が求まるので上式(7)より実際のEGRガス量EGX(l/sec )が求まることになる。従って実際のEGR率EGRXは次から算出される。
【0102】
Figure 0003551820
第2実施例においてはこの実際のEGR率EGRXが目標EGR率EGROに一致するようにEGR制御弁20の開度が制御される。
次に図19を参照しつつ第2実施例を実行するための運転制御について説明する。なお、この第2実施例においても図14に示すルーチンおよび図18に示すルーチンがそのまま使用される。
【0103】
図19を参照するとまず初めにステップ500においてスロットル弁17の開度が機関の運転状態に応じた目標開度とされる。次いでステップ501では図11(A)に示すマップからEGR制御弁20の目標開度SAが算出される。次いでステップ502では燃料ベーパ濃度PV(g/l)をチェックするためのチェック条件が成立しているか否かが判別される。第2実施例では燃料ベーパ濃度PV(g/l)のチェックは一定時間毎にパージガスの供給が行われているときに限り行われ、従って燃料ベーパ濃度PV(g/l)のチェックが行われた後一定時間が経過したときにパージガスの供給が行われていればチェック条件が成立していると判断される。チェック条件が成立していないと判断されたときにはステップ503に進んで燃料ベーパ濃度PV(g/l)のチェックが完了したことを示す完了フラグがリセットされる。
【0104】
次いでステップ504では前述した式(7)に基づいて実際のEGRガス量EGX(l/sec )が算出され、この算出値に基づいて前述した式(8)から実際のEGR率EGRXが算出される。
次いでステップ505では実際のEGR率EGRXが目標EGR率EGROよりも大きいか否かが判別される。EGRX>EGROのときにはステップ506に進んでEGR制御弁20の目標開度SAに対する補正量ΔSAから一定値αが減算され、次いでステップ508に進む。これに対してEGRX≦EGROのときにはステップ507に進んでEGR制御弁20の目標開度SAに対する補正量ΔSAに一定値αが加算され、次いでステップ508に進む。
【0105】
ステップ508ではEGR制御弁20の目標開度SAに補正量ΔSAを加算することによって最終的なEGR制御弁20の目標開度SAO(=SA+ΔSA)が算出され、EGR制御弁20の開度がこの最終的な目標開度SAOとされる。このようにして実際のEGR率EGRXが目標EGR率EGROに一致するようにEGR制御弁20の開度が制御される。
【0106】
次いでステップ509ではパージ制御が行われる。このパージ制御を実行するためのルーチンが図20および図21に示されている。次いでステップ210では噴射制御が行われる。この噴射制御を行うためのルーチンが既に説明した図18に示されている。ここで先に図20および図21に示されているパージ制御ルーチンについて説明する。
【0107】
パージ制御ルーチンを示す図19および図20を参照すると、まず初めにステップ600においてパージ条件が成立したか否かが判別される。例えば機関冷却水温が80℃以上であり、かつ機関始動後30秒経過したときにはパージ条件が成立したと判断される。パージ条件が成立しているときにはステップ601に進んで燃料の供給が停止されているか否かが判別される。燃料の供給が停止されていないときにはステップ602に進む。
【0108】
ステップ602では大気圧センサ33により検出された大気圧PAおよび圧力センサ30により検出された絶対圧PMに基づいて図9に示す関係から全開パージガス流量PG100が算出される。次いでステップ603では現在のデューティ比DUTYを用いて次式から単位時間当りのパージガス流量PGが算出される。
PG=PG100・DUTY/100
次いでステップ604ではパージガス流量PGがパージガス流量の積算値ΣPGに加算される。次いでステップ605ではパージガス流量の積算値ΣPGに基づいて図8に示す関係から目標燃料ベーパ率rEVRが算出される。次いでステップ606では図7に示す関係から目標燃料ベーパ率tEVRが算出される。次いでステップ607ではrEVRとtEVRの小さい方が目標燃料ベーパ率の許容最大値MAXとされる。
【0109】
次いでステップ608ではトルク変動量SMが予め定められた変動量SMよりも大きいか否かが判別される。SM≦SMのときにはステップ609に進んで目標燃料ベーパ率EVRに一定値ΔE1が加算される。これに対してSM>SMのときにはステップ610に進んで目標燃料ベーパ率EVRから一定値ΔE2が減算される。次いでステップ611では目標燃料ベーパ率EVRが許容最大値MAXよりも大きいか否かが判別される。EVR≧MAXのときにはステップ612に進んで許容最大値MAXが目標燃料ベーパ率EVRとされる。
【0110】
即ち、SM>SMになるとEVRは小さくされる。これに対してSM≦SMであればEVRは増大せしめられ、SM≦SMである限りEVRはMAXとされる。
次いでステップ613では図3(A),(B)に示すマップから基本噴射量Qが算出される。この基本噴射量Qは図2においてL<Lの領域ではQ2に等しく、L≦L<Lの領域ではQ1とQ2の和であり、L≧Lの領域ではQ1に等しい。次いでステップ614では基本噴射量Q、目標燃料ベーパ率EVRおよび機関回転数Nを用いて次式から単位時間当りにパージすべき燃料ベーパ量EVQが算出される。
【0111】
EVQ=Q・EVR・N/60
次いでステップ615では算出されている燃料ベーパ濃度PV(g/l)を用いて次式に基づき燃料ベーパ率を目標燃料ベーパ率EVRとするのに必要なデューティ比DUTYが算出される。
DUTY=100・EVQ/(PG100・PV)
次いでステップ616ではデューティ比DUTYが100%以上か否かが判別される。DUTY<100%のときにはステップ619に進んでEVRが最終的な目標燃料ベーパ率tEVとされる。これに対してDUTY≧100%のときにはステップ617に進んでデューティ比DUTYが100%とされ、次いでステップ618に進んで次式に基づき最終的な目標燃料ベーパ率tEVが算出される。
【0112】
tEV=PG100・PV/(Q・N/60)
即ち、PG100・PVはDUTY=100%のときにパージされる燃料ベーパ量を表わしているので最終的な目標燃料ベーパ率tEVは上式の如く表される。
一方、ステップ600においてパージ条件が成立していないと判断されたとき、又はステップ601において燃料の供給が停止されていると判断されたときにはステップ620に進んでデューティ比DUTYが零とされ、次いでステップ621において最終的な目標燃料ベーパ率tEVが零とされる。このときにはパージ作用が停止される。
【0113】
再び図19に戻り、ステップ502において燃料ベーパ濃度PV(g/l)のチェック条件が成立していると判断されたときにはステップ511に進んで完了フラグがセットされているか否かが判別される。完了フラグがセットされているときにはステップ504に進み、完了フラグがセットされていないときにはステップ512に進む。ステップ512では最終的なEGR制御弁20の目標開度SAOが零とされる。即ち、EGRガスの供給が停止される。
【0114】
次いでステップ513ではチェック条件が成立してから一定時間が経過したか否かが判別される。チェック条件が成立してから一定時間が経過したときにはステップ514に進んで前述した式(6)からAIR(l/sec )/FUEL(l/sec )が算出され、この算出値から前述した式(1)より燃料ベーパ濃度PV(g/l)が算出される。次いでステップ515では完了フラグがセットされ、次いでステップ509に進む。
【0115】
【発明の効果】
一つの酸素濃度検出器によってEGRガス量およびパージガス量を共に制御しうる。
【図面の簡単な説明】
【図1】内燃機関の全体図である。
【図2】噴射量、噴射時期および空燃比を示す図である。
【図3】噴射量のマップを示す図である。
【図4】噴射開始時期のマップを示す図である。
【図5】内燃機関の側面断面図である。
【図6】混合気量の変化を説明するための図である。
【図7】目標燃料ベーパ率tEVRを示す図である。
【図8】目標燃料ベーパ率rEVRおよびtEVRを示す図である。
【図9】全開パージガス流量を示す図である。
【図10】パージガス流量を示す図である。
【図11】目標EGR率等を示す図である。
【図12】EGRガスの密度等のマップを示す図である。
【図13】経過時間Ta(i),Tb(i)の変化を示す図である。
【図14】トルク変動量を算出するためのルーチンを示す図である。
【図15】第1実施例の運転制御を実行するためのフローチャートである。
【図16】第1実施例においてパージ制御を実行するためのフローチャートである。
【図17】第1実施例においてパージ制御を実行するためのフローチャートである。
【図18】噴射を制御するためのフローチャートである。
【図19】第2実施例の運転制御を実行するためのフローチャートである。
【図20】第2実施例においてパージ制御を実行するためのフローチャートである。
【図21】第2実施例においてパージ制御を実行するためのフローチャートである。
【符号の説明】
5…燃焼室
6…燃料噴射弁
13…サージタンク
22…キャニスタ
28…パージ制御弁

Claims (9)

  1. 燃料タンク内で発生した燃料ベーパを吸気通路内にパージするためのパージ通路と、パージ通路から吸気通路内にパージされるパージガス量を制御するパージ制御弁と、機関排気通路から吸気通路内に再循環される再循環排気ガス量を制御する排気ガス再循環制御弁とを具備した内燃機関において、吸入空気、パージガスおよび再循環排気ガスからなる吸入ガス中の酸素濃度を検出しうる酸素濃度検出器を吸気通路内に配置し、該酸素濃度検出器により検出された酸素濃度に基づいてパージガス量および再循環排気ガス量を制御するようにし、その際燃料噴射量に対するパージガス中の燃料ベーパ量の割合を示す燃料ベーパ率が予め定められた目標燃料ベーパ率となるように該パージガス量が制御される内燃機関の制御装置。
  2. 酸素濃度検出器により検出された酸素濃度に基づいてパージガス量又は再循環排気ガス量のいずれか一方を選択的に制御するようにした請求項1に記載の内燃機関の制御装置。
  3. 酸素濃度検出器により検出された酸素濃度に基づいてパージガス量を制御しているときには排気ガス再循環率が予め定められた目標排気ガス再循環率となるように排気ガス再循環制御弁の開度が制御され、酸素濃度検出器により検出された酸素濃度に基づいて再循環排気ガス量を制御しているときにはパージガスの供給が停止される請求項2に記載の内燃機関の制御装置。
  4. 酸素濃度検出器により検出された酸素濃度に基づいてパージガス量を制御しているときには排気ガス再循環制御弁の開度が排気ガス再循環率を予め定められた目標排気ガス再循環率とするのに必要な目標開度に制御される請求項3に記載の内燃機関の制御装置。
  5. 酸素濃度検出器により検出された酸素濃度に基づいて再循環排気ガス量を制御しているときに実際の排気ガス再循環率が予め定められた目標排気ガス再循環率となるように排気ガス再循環制御弁の目標開度を更新するようにした請求項4に記載の内燃機関の制御装置。
  6. 酸素濃度検出器により検出された酸素濃度に基づいてパージガス量および再循環排気ガス量を同時に制御するようにした請求項1に記載の内燃機関の制御装置。
  7. 予め定められた時期に酸素濃度検出器により検出された酸素濃度に基づいてパージガスの燃料ベーパ濃度を検出する検出手段を具備し、該燃料ベーパ濃度を用いてパージガス量を制御すると共に、酸素濃度検出器により検出された酸素濃度および該燃料ベーパ濃度に基づいて再循環排気ガス量を制御するようにした請求項6に記載の内燃機関の制御装置。
  8. 該検出手段は予め定められた時間間隔を隔だてて燃料ベーパ濃度を検出し、燃料ベーパ濃度が検出される際には再循環排気ガスの供給が停止される請求項7に記載の内燃機関の制御装置。
  9. 酸素濃度検出器により検出された酸素濃度および該燃料ベーパ濃度に基づいて排気ガス再循環率を予め定められた目標排気ガス再循環率となるように排気ガス再循環制御弁の開度を制御するようにした請求項7に記載の内燃機関の制御装置。
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