JP3551710B2 - 鋼の連続鋳造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、鋼の連続鋳造方法に関し、とくに連続鋳造に際して鋳型内で使用されるモールドパウダーの溶融層の厚さの安定化を図り、鋳片ストランドの品質に影響を与える表面欠陥を有利に軽減しようとするものである。
【0002】
【従来の技術】
鋼の連続鋳造では通常、取鍋に保持された溶湯を、タンデッシュと言われる中間容器を介して内部水冷式の上下開放鋳型に注入しその表層を急速に冷却して凝固シェルを形成し、その状態で鋳型の下側から引き抜き、引き続き鋳型の下流に配置された冷却スプレーにて2次冷却を行うことによって内部まで凝固させた鋳片ストランドとしこれをさらに下流において所定の長さに切断してスラブ等の鋳造鋳片を得ていた。
【0003】
タンデッシュから鋳型内への溶湯の注入は一般に耐火物製の浸漬ノズルが使用され、鋳型内の溶湯の表面にはモールドパウダーが供給され溶湯を保温するとともに大気を遮断して溶湯の再酸化を防止するようになっており、また、モールドパウダーはそれと溶湯とが接触することによって溶融するものであり、その際、薄いフイルムとなって凝固シェルと鋳型の間に流れ込み、鋳型と凝固シェルとの摩擦抵抗は低減されるとともに鋳型と凝固シェルの伝熱を適切な状態に保たれ該凝固シェルの健全な発達を促して鋳片ストランドの表面欠陥の発生を回避するようにしていた。
【0004】
とりわけ、鋳片ストランドの表面品質を常に高位に安定させるためには、鋳型内の溶湯浴面におけるモールドパウダーの溶融層の厚さを一定に維持することが重要であって、この点に関する先行技術としては例えば、鋳造速度の変化に応じて鋳片1m当たりのポジティブストリップ時間の総和をパラメーターとして、鋳型の振幅、振動数等の振動条件を調整してパウダーの溶融層の厚さを一定に保持するようにした特開平4−197565号公報に開示のものが参照される。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記のような従来の技術に従う連続鋳造方法においては、ダミーバーをスタートさせる際やタンディッシュを交換する際等、鋳込みの初期段階において見かけのパウダー消費量が極端に増加し、その結果パウダー溶融層の厚さが薄くなる場合あった。これは、鋳込みの初期段階では鋳型の振動条件の如何に係わらず鋳型内壁油面近傍にスラグリムが形成されるが、このスラグリムの形成にパウダーが消費されるために図2に示すように鋳込みの初期にパウダー溶融層の厚さが薄くなるのであり、今だ有効な手立てがないのが現状であった。
【0006】
この発明の目的は連続鋳造の初期段階を含めその操業の全段階においてモールドパウダーの溶融層の厚さの安定化を図り品質の良好な鋳片ストランドを得ることができる新規な方法を提案するところにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
この発明は、鋳型内の溶湯浴面上にモールドパウダーを供給するとともに該鋳型を振動させつつその出側より鋳片ストランドを連続的に引き抜く鋼の連続鋳造において、
モールドパウダーを構成する基材は同一ではあるがフリーカーボンの濃度が異なる複数種のパウダーを用意しておき、連続鋳造の際の鋳型内における溶湯浴面上のモールドパウダーの溶融層厚が適正範囲よりも増大する傾向が認められたときはそれまでに使用しているモールドパウダーよりもフリーカーボンの濃度が高いモールドパウダーに変更し、逆にモールドパウダーの溶融層厚が適正範囲よりも減少する傾向が認められたときはそれまでに使用しているモールドパウダーよりもフリーカーボンの濃度が低いモールドパウダーに変更して供給し、該溶融層の厚さを、安定した連続鋳造を実施するのに適した厚さに保持することを特徴とする鋼の連続鋳造方法である。
【0008】
【発明の実施の形態】
溶融後のモールドパウダーは鋳型内壁面と溶湯との間の潤滑特性や伝熱特性に影響を与えるものであるが、これらの特性を一切変化させることなくパウダーの溶融層の厚さを安定した連続鋳造を行うことができる厚さに維持するには溶融層の厚さのみを変化させることができるパウダーとして構成基材は同じでフリーカーボンの濃度が異なるパウダーを複数種用意しておき、鋳造中の溶融層の厚さの変化の傾向に応じてそれに対応したモールドパウダーを適宜に供給するのが有効であり、これによればパウダーの溶融層の厚さを安定化できるので表面欠陥の軽減された鋳片ストランドを得ることができる。
【0009】
ここに、モールドパウダー中のフリーカーボンの濃度を変化させると一定温度において、モールドパウダーの溶融特性を表す準化時間やスラグ化率が変化する。即ちフリーカーボン濃度を高くすれば準化時間はおそくなり、スラグ化率は小さくなる。
【0010】
【実施例】
厚さ260mm 、幅1900mmのサイズになる鋳型を備えた2ストランドの垂直曲げ型連続鋳造装置を用いて、
C:0.0005〜0.0030wt%、Si:0.0 〜0.04wt%、Mn:0.05〜0.25wt%、
P:0.0 〜0.030 wt%、S:0〜0.020 wt%、Al:0.010 〜0.070 wt%を含有する溶鋼の連続鋳造を行い(鋳込み速度:1.7 m/min)鋳造欠陥の発生状況について調査した。
【0011】
モールドパウダーは表1に示す組成になるものをB,C,Aの順で使い分けた場合 (適合例:パウダーBは鋳造開始から1ch目終了まで使用、パウダーCは2ch目注入開始5ch目まで注入終了まで使用、パウダーAは6ch目注入開始7ch目まで鋳込終了まで使用))と、Dの組成になるパウダーを継続して使用した場合 (比較例) とを例にした。
【0012】
【表1】
【0013】
適合例では、パウダーの溶融層の厚さが変化した時点で順次B,C,Aとパウダーを使い分けたものであるが、この例では図1に示すごとく溶融層の厚さは鋳造の全チャージにおいてほぼ20〜30mmの範囲に収めることができたが、比較例においては図2に示すようにチャージ数が増すに従いパウダー溶融層の厚さが厚くなっていき7チャージ目でパウダーのくみ出しを行わなければならなかった。
【0014】
図3、図4は上記の例にて得られた鋳造鋳片につき、熱間圧延、冷間圧延を施して板厚が0.8mm になる薄鋼板に仕上げ、各チャージに対応する鋼板の平均の欠陥指数 (ヘゲ、膨れの総長/鋼板長さを%表示したもの) を調べたものである。この発明に従う適合例では全チャージを通じて欠陥指数は低かったが、比較例では1,2チャージ目およびパウダーのくみ出しを行った7チャージ目で著しい欠陥発生が認められた。
【0015】
【発明の効果】
この発明によれば、連続鋳造操業の間中、モールドパウダーの溶融層の厚さをほぼ一定の範囲に保持することができるので表面欠陥の少ない鋳造鋳片を安定して製造できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は連続鋳造におけるモールドパウダーの消費量、溶融層厚の変動状況を適合例について示した図である。
【図2】図2は連続鋳造におけるモールドパウダーの消費量、溶融層厚の変動状況を比較例について示した図である。
【図3】図3は鋳込みチャージと欠陥指数の関係を適合例について示した図である。
【図4】図4は鋳込みチャージと欠陥指数の関係を比較例について示した図である。
Claims (1)
- 鋳型内の溶湯浴面上にモールドパウダーを供給するとともに該鋳型を振動させつつその出側より鋳片ストランドを連続的に引き抜く鋼の連続鋳造において、
モールドパウダーを構成する基材は同一ではあるがフリーカーボンの濃度が異なる複数種のパウダーを用意しておき、連続鋳造の際の鋳型内における溶湯浴面上のモールドパウダーの溶融層厚が適正範囲よりも増大する傾向が認められたときはそれまでに使用しているモールドパウダーよりもフリーカーボンの濃度が高いモールドパウダーに変更し、逆にモールドパウダーの溶融層厚が適正範囲よりも減少する傾向が認められたときはそれまでに使用しているモールドパウダーよりもフリーカーボンの濃度が低いモールドパウダーに変更して供給し、該溶融層の厚さを安定した連続鋳造を実施するのに適した厚さに保持することを特徴とする鋼の連続鋳造方法。
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JP19124897A JP3551710B2 (ja) | 1997-07-16 | 1997-07-16 | 鋼の連続鋳造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP19124897A JP3551710B2 (ja) | 1997-07-16 | 1997-07-16 | 鋼の連続鋳造方法 |
Publications (2)
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JPH1133689A JPH1133689A (ja) | 1999-02-09 |
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ID=16271378
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JP19124897A Expired - Fee Related JP3551710B2 (ja) | 1997-07-16 | 1997-07-16 | 鋼の連続鋳造方法 |
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JP (1) | JP3551710B2 (ja) |
Families Citing this family (2)
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JP2010099697A (ja) * | 2008-10-23 | 2010-05-06 | Jfe Steel Corp | 溶鋼の連続鋳造方法 |
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1997
- 1997-07-16 JP JP19124897A patent/JP3551710B2/ja not_active Expired - Fee Related
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