JP3551479B2 - 昆虫成長調節剤組成物 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、長期間効力を持続する新規な昆虫成長調節剤組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
特開平2−279604号にポリエチレングリコール等を含有する農薬固形乳剤が記載されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
自然界には河川、池、沼、堀、水たまり等、また、生活の場には風呂の排水溝、水洗トイレ等、いたる所に水系があり、そこから種々の有害および/または不快な虫が発生している。これらの虫は次々と発生するため、薬剤を用いてこれらを防除する際はその薬剤の効力が長期間持続することが求められている。
しかしながら、上述の農薬固形乳剤は流動性が良く、水に容易に乳化することから、水系では活性成分が水と共に流れてしまい、長期間効力を持続させなければならない場所においては十分ではない。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者らはこのような状況に鑑み、鋭意検討した結果、昆虫成長調節活性成分を含有するある種の固形製剤が活性成分を徐々に放出し、水系で長期間にわたって有害および/または不快な虫を防除することから、省力的かつ経済的な組成物であることを見出し、本発明に至った。
すなわち、本発明は、a)昆虫成長調節活性成分および必要によりその他の殺虫活性成分、b)20℃の水に対する溶解度が2%以下であり、かつ、融点が35〜100℃の範囲内である有機物、並びにc)融点が35〜100℃の範囲内である、ポリエチレングリコール、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシエチレンポリオキシブチレングリコール、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンポリオキシブチレングリコールからなる群から選ばれるグリコールを含有し、構成成分b)の重量が全重量に対して3%以上であり、かつ、構成成分b)および構成成分c)の合計重量が全重量に対して20〜98%である組成物であって、その製造工程において構成成分b)および構成成分c)が一旦溶融された後、冷却固化されてなる昆虫成長調節剤組成物(以下、本発明組成物と記す。)に関するものである。
【0005】
本発明組成物において用いられる昆虫成長調節活性成分は特に限定されないが、例えば、ドデカジエノエート系化合物、オキシムエーテル系化合物、ピリジルエーテル化合物、カーバメイト系化合物等の昆虫幼若ホルモン様化合物、および昆虫キチン形成阻害剤であるベンゾイルフェニルウレア系化合物、ならびにそれらの幾何異性体および光学異性体が挙げられる。以下、化合物番号と共に化合物例を示す。
【0006】
(1) イソプロピル(2E−4E)−11−メトキシ−3,7,11−トリメチル−2,4−ドデカジエノエート <メトプレン>
(2) エチル(2E−4E)−3,7,11−トリメチルドデカ−2,4−ジエノエート <ハイドロプレン>
(3) 2−〔1−メチル−2−(4−フェノキシフェノキシ)エトキシ〕ピリジン <ピリプロキシフェン>
(4) プロピオンアルデヒド オキシム O−2−(4−フェノキシフェノキシ)エチルエーテル
(5) プロピオンアルデヒド オキシム O−2−(4−フェノキシフェノキシ)プロピルエーテル
(6) O−エチル N−〔2−(4−フェノキシフェノキシ)エチル〕カーバメイト <フェノキシカーブ>
(7) 1−(4−エチルフェノキシ)−6,7−エポキシ−3,7−ジメチル−2−オクテン <R−20458>
【0007】
(8) 1−(4−クロロフェニル)−3−(2,6−ジフルオロベンゾイル)ウレア <ジフルベンズロン>
(9) 2−クロロ−N−〔〔〔4−(トリフルオロメトキシ)−フェニル〕アミノ〕カルボニル〕ベンズアミド <トリフルムロン>
(10) N−〔〔〔5−(4−ブロモフェニル)−6−メチル−2−ピラジニル〕アミノ〕カルボニル〕−2,6−ジクロロベンズアミド <EL 494>
(11) 1−(3,5−ジクロロ−2,4−ジフルオロフェニル)−3−(2,6−ジフルオロベンゾイル)ウレア <テフルベンズロン>
(12) 1−〔3,5−ジクロロ−4−(3−クロロ−5−トリフルオロメチル−2−ピリジルオキシ)フェニル〕−3−(2,6−ジフルオロベンゾイル)ウレア <クロルフルアズロン>
(13) N−〔〔〔3,5−ジクロロ−4−(1,1,2,2−テトラフルオロエトキシ)フェニル〕アミノ〕カルボニル〕−2,6−ジフルオロベンズアミド<XRD−473>
(14) 1−(2,6−ジフルオロベンゾイル)−3−〔2−フルオロ−4−(1,1,2,2−テトラフルオロエトキシ)フェニル〕ウレア
(15) 1−(2,6−ジフルオロベンゾイル)−3−(2−フルオロ−4−トリフルオロメチルフェニル)ウレア
【0008】
また、該昆虫成長調節活性成分にその他の殺虫活性成分を任意の割合で混合することもでき、該殺虫活性成分としては例えば以下に示すピレスロイド化合物、有機リン化合物、カーバメート化合物、クロロピリジン化合物、殺虫性蛋白が挙げられる。
(16) 5−ベンジル−3−フリルメチル クリサンテマート
(17) 5−ベンジル−3−フリルメチル (1R)−クリサンテマート
(18) 3,4,5,6−テトラヒドロフタルイミドメチル クリサンテマート
(19) 3,4,5,6−テトラヒドロフタルイミドメチル (1R)−クリサンテマート
(20) 3−フェノキシベンジル クリサンテマート
(21) 3−フェノキシベンジル (1R)−クリサンテマート
(22) 3−フェノキシベンジル 3−(2,2−ジクロロビニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシラート
(23) 3−アリル−2−メチル−4−オキソシクロペント−2−エンイル クリサンテマート
(24) 3−アリル−2−メチル−4−オキソシクロペント−2−エンイル (1R)−クリサンテマート
(25) 1−エチニル−2−メチル−2−ペンテニル (1R)−クリサンテマート
(26) 1−エチニル−2−メチル−2−ペンテニル 2,2,3,3−テトラメチルシクロプロパンカルボキシラート
(27) (S)−2−メチル−4−オキソ−3−(2−プロピニル)シクロペント−2−エンイル (1R)−クリサンテマート
【0009】
(28) α−シアノ−3−フェノキシベンジル クリサンテマート
(29) α−シアノ−3−フェノキシベンジル (1R)−クリサンテマート
(30) 3−アリル−2−メチル−4−オキソシクロペント−2−エンイル 2,2,3,3−テトラメチルシクロプロパンカルボキシラート
(31) 2,3,5,6−テトラフルオロベンジル (1R)−トランス−3−(2,2−ジクロロビニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシラート
(32) 2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メチルベンジル 3−(2,2−ジクロロビニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシラート
(33) (S)−α−シアノ−3−フェノキシベンジル (1R,3S)−2,2−ジメチル−3−(1,2,2,2−テトラブロモエチル)シクロプロパンカルボキシラート
(34) α−シアノ−3−フェノキシベンジル 2−(4−クロロフェニル)−3−メチルブチラート
(35) (S)−α−シアノ−3−フェノキシベンジル (S)−2−(4−クロロフェニル)−3−メチルブチラート
(36) α−シアノ−3−フェノキシベンジル 2,2,3,3−テトラメチルシクロプロパンカルボキシラート
(37) α−シアノ−3−フェノキシベンジル 3−(2,2−ジクロロビニル)−2,2−ジメチルシクロプロパンカルボキシラート
(38) α−シアノ−3−フェノキシベンジル 2−(2−クロロ−4−トリフルオロメチルアニリノ)−3−メチルブチラート
(39) 2−(4−エトキシフェニル)−2−メチルプロピル 3−フェノキシベンジル エーテル
【0010】
(40) O,O−ジメチル O−(3−メチル−4−ニトロフェニル) ホスホロチオエート
(41) 2,2−ジクロロピニル ジメチル ホスフェート
(42) O,O−ジエチル O−(2−イソプロピル−6−メチル−4−ピリミジニル) ホスホロチオエート
(43) (E)−O−2−イソプロポキシカルボニル−1−メチルビニル O−メチル エチルホスホロアミドチオエート
(44) O,O−ジエチル O−(3,5,6−トリクロロ−2−ピリジニル)
ホスホロチオエート
(45) O,O−ジメチル O−(3,5,6−トリクロロ−2−ピリジニル)
ホスホロチオエート
(46) S−6−クロロ−2,3−ジヒドロ−2−オキソ−1,3−オキサゾロ〔4,5−b〕ピリジン−3−イルメチル O,O−ジメチル ホスホロチオエート
【0011】
(47) 5−メトキシ−3−(2−メトキシフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール−2(3H)−オン
(48) 2−イソプロポキシフェニル N−メチルカーバメート
(49) 1−ナフチル N−メチルカーバメート
(50) 1−〔(6−クロロ−3−ピリジニル)メチル〕−4,5−ジヒドロ−N−ニトロ−1H−イミダゾール−2−アミン
(51) N−〔(6−クロロ−3−ピリジニル)メチル〕−N’−シアノ−N−メチル エタンイミダミド
(52) N−〔(6−クロロ−3−ピリジニル)メチル〕−N−エチル−N’−メチル−2−ニトロビニリデンジアミン
(53) Bacillus thuringiensis蛋白
(54) Bacillus sphericus蛋白
【0012】
本発明組成物において用いられる昆虫成長調節活性成分は一種単独、または二種以上を混合して用いられ、混合して用いる場合、その混合割合は任意に選択することができる。また、該昆虫成長調節活性成分にその他の殺虫活性成分を添加することもでき、その場合昆虫成長調節活性成分とその他の殺虫活性成分との混合比は任意に設定できるが、通常は重量比で1:100〜100:1、好ましくは1:10〜10:1の範囲内に設定される。これらの昆虫成長調節活性成分または昆虫成長調節活性成分とその他の殺虫活性成分との混合物(以下、単に活性成分と記す。)の含有量は活性成分の種類によって異なるが、一般には本発明組成物の全重量に対して0.01〜80重量%、好ましくは0.1〜50重量%である。尚、これらの活性成分が液状の場合または活性成分を溶媒に溶解させて用いる場合、この液状分の含有量は本発明組成物の全重量に対して通常0.01〜50重量%、好ましくは0.1〜40重量%である。
【0013】
本発明組成物において用いられる20℃の水に対する溶解度が2%以下であり、かつ融点が35〜100℃の範囲内である有機物、すなわち構成成分b)としては、例えば、セチルアルコール、ステアリルアルコール、アラキンアルコール、ベヘニルアルコール、カルナウビルアルコール、セリルアルコール、コリヤニルアルコール、ミリシルアルコール、メリシルアルコール、ラクセリルアルコール等の飽和一価アルコール、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、マルガリン酸、ステアリン酸、アラキン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、モンタン酸、メリシン酸等の直鎖脂肪酸、ヘンエイコサン、ドコサン、トリコサン、テトラコサン、ペンタコサン、ヘキサコサン、ヘプタコサン、オクタコサン、ノナコサン、トリアコンタン、ヘントリアコンタン、ドトリアコンタン、トリトリアコンタン、テトラトリアコンタン、ペンタトリアコンタン、ヘキサトリアコンタン、ヘプタトリアコンタン、オクタトリアコンタン、ノナトリアコンタン、テトラコンタン等のn−アルカン(パラフィン)、ノナデシルベンゼン、エイコシルベンゼン、ヘンエイコシルベンゼン、ドコシルベンゼン、トリコシルベンゼン、テトラコシルベンゼン、ペンタコシルベンゼン、ヘキサコシルベンゼン、ヘプタコシルベンゼン、オクタコシルベンゼン、ノナコシルベンゼン、トリアコンチルベンゼン等のn−アルキルベンゼン、ステアリン酸テトラデシル、ステアリン酸ヘキサデシル、ステアリン酸ヘプタデシル、ステアリン酸オクタデシル、ステアリン酸ヘキサコシル、ステアリン酸トリアコンチル等の脂肪酸のアルコールエステル、エチレングリコールモノパルミテート、エチレングリコールジパルミテート、エチレングリコールモノマルガレート、エチレングリコールジマルガレート、エチレングリコールモノステアレート、エチレングリコールジステアレート等のエチレングリコールエステル、牛脂、豚脂、パーム油、硬化ナタネ油、硬化ヒマシ油、硬化鯨油、ミツロウ、精製ラノリン、ワセリン、ポリオキシアルキレン化合物と有機ポリイソシアネートを反応して得られる末端にイソシアネート基を有しないウレタン化合物、例えば、ニューポールT−240U(三洋化成商品名)、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールにベンゼン環を導入したトキサノンJT−1(三洋化成商品名)、トキサノンJT−4(三洋化成商品名)およびトキサノンJT−14(三洋化成商品名)等が挙げられるが、これらの例に限定されるものではない。これらは単独でまたは任意に混合して用いられる。
【0014】
本発明組成物において用いられる構成成分c)は単独または任意に混合して用いられる。構成成分c)のうち、ポリエチレングリコールとしては、平均分子量が1000以上のものが挙げられ、水溶解性等の点から特に平均分子量が4000〜20000のものが好ましい。
【0015】
ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールとしては、通常、分子中のエチレンオキシド重量が80%以上であり、かつ、プロピレンオキシド部分の平均分子量が1000以上のものが用いられる。
【0016】
ポリオキシエチレンポリオキシブチレングリコールおよびポリオキシエチレンポリオキシプロピレンポリオキシブチレングリコールとしては、通常、分子中のエチレンオキシド重量が80%以上であり、ブチレンオキシド部分またはプロピレンオキシド部分のどちらか一方の平均分子量が1000以上のものが用いられる。
【0017】
ポリエチレングリコール、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール等の具体例としては、平均分子量が1000、4000、6000、10000、20000のポリエチレングリコール(以下、各々PEG−1000、PEG−4000、PEG−6000、PEG−10000、PEG−20000と記す。)、ニューポールPE−68(三洋化成(株)商品名、分子中のエチレンオキシド重量が80%、プロピレンオキシド部分の平均分子量が1750のポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール)、ニューポールPE−78(三洋化成(株)商品名、分子中のエチレンオキシド重量が80%、プロピレンオキシド部分の平均分子量が2050のポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール)、ニューポールPE−88(三洋化成(株)商品名、分子中のエチレンオキシド重量が80%、プロピレンオキシド部分の平均分子量が2250のポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール)ニューポールPE−108(三洋化成(株)商品名、分子中のエチレンオキシド重量が80%、プロピレンオキシド部分の平均分子量が3250のポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール)等が挙げられる。
【0018】
構成成分b)および構成成分c)の量は、本発明組成物の全重量に対して通常20〜98重量%、好ましくは25〜95重量%であり、かつ、構成成分b)の量は3重量%以上である。
【0019】
本発明組成物には、必要に応じて共力剤、界面活性剤、溶媒、水溶性担体、鉱物質担体、植物性担体、合成担体、活性炭、構成成分c)以外の水溶性高分子、香料、色素等を添加することもできる。
【0020】
本発明組成物に用いられる共力剤としては、ピペロニルブトキシド、オクタクロロジプロピルエーテル、イソボルニルチオシアナトアセテート、サイネピリン222、サイネピリン500等が挙げられる。
【0021】
本発明組成物に用いられる界面活性剤としては、活性成分等を乳化、分散させ得るものが用いられ、例えばアルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、リグニンスルホン酸塩、ジアルキルスルホサクシネート、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル硫酸エステル塩、カルボキシル基を有する共重合体のアルカリ金属塩、脂肪酸塩等のアニオン性界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンスチリルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエステル、ソルビタンアルキルエステル、ポリオキシエチレンソルビタンアルキルエステル等のノニオン性界面活性剤等を挙げることができる。また、必要に応じてカチオン性界面活性剤、両イオン性界面活性剤等を用いてもよい。これらの界面活性剤は、一種単独でまたは二種以上を混合して用いられる。界面活性剤を添加する場合、その添加量は、本発明組成物の全重量に対して通常0.1〜30重量%、好ましくは1〜20重量%である。
【0022】
本発明組成物に用いられる溶媒としては、通常、不揮発性または低揮発性の有機溶媒が用いられる。このような粘度調節および活性成分の結晶化防止の目的で用いられる溶媒としては、活性成分と均一に混合するもの、例えばフェニルキシリルエタン、アルキルベンゼン、メチルナフタレン等の芳香族炭化水素類、ケトン類、アジピン酸ジイソデシル、フタル酸ジトリデシル、フタル酸ジアルキル等のエステル類、植物油、鉱物油、流動パラフィン、平均分子量200〜600程度の室温で液状を呈するポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリプロピレングリコールメチルエーテル等のグリコールエーテル類およびそのアセテート等が挙げられ、特にフェニルキシリルエタン、アルキルベンゼン、メチルナフタレン等の芳香族炭化水素類、エステル類、グリコールエーテル類、グリコールエーテル類のアセテートが好ましい。なお、活性成分の融点にかかわらず、活性成分の水中拡散性の向上または効力向上を目的として該溶媒を添加することもできる。この際の溶媒としては、活性成分と均一に混合し、なおかつ比重が1.0以下のものが活性成分を浮遊させて水中拡散性を向上させる目的からより好ましい。該溶媒の量は活性成分に対して、通常10〜1000重量%、好ましくは30〜200重量%である。
【0023】
本発明組成物には必要に応じて湿式法シリカ、その焼成品、乾式法シリカ、化工澱粉または珪酸カルシウムを添加することができる。湿式法シリカとしては、例えばトクシールGU−N、トクシールU、トクシールGU、トクシールN(以上、全て(株)トクヤマ商品名)、カープレックス#80、カープレックス#67、カープレックス#1120、カープレックス#100、カープレックス22S、カープレックスFPS−1、カープレックスFPS−2、カープレックスFPS−3、カープレックスFPS−4(以上、全て塩野義製薬(株)商品名)、ニップシール(日本シリカ社商品名)、Ultrasil(Degussa社商品名)等の合成含水酸化珪素(湿式法シリカ)が挙げられ、また、湿式法シリカの焼成品としては上記湿式法シリカを700〜900℃、好ましくは800〜900℃で焼成したもの等が挙げられる。また、市販のカープレックスCS−5、カープレックスCS−7(以上、全て塩野義製薬(株)商品名)、ファインシールP−8((株)トクヤマ商品名)等をそのまま用いてもよい。乾式法シリカとしては、乾式法で得られる軽質無水珪酸、例えばAEROSIL200、AEROSIL300(共に、Degussa社商品名)等が挙げられ、珪酸カルシウムとしては、例えばフローライトR((株)トクヤマ商品名)等が挙げられる。化工澱粉としては、例えばパインフロー(松谷化学(株)商品名)等が挙げられる。
【0024】
本発明組成物に用いられる水溶性担体としては、尿素、硫安、乳糖、ショ糖、デキストリン、食塩、芒硝、トリポリリン酸ナトリウム、ピロリン酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、マレイン酸、クエン酸、フマル酸、リンゴ酸等が挙げられる。
本発明に用いられる鉱物質担体としては、カオリンクレー、タルク、ろう石、珪藻土、モンモリロナイトクレー、ベントナイト、活性白土、酸性白土、アタパルジャイトクレー、パイロフィライト、炭酸カルシウム等が挙げられる。
本発明組成物に用いられる植物性担体としては、小麦粉、木粉、セルロース粉末、澱粉等が挙げられる。
本発明組成物に用いられる合成担体としては、前述の湿式法シリカ、その焼成品、乾式法シリカ、珪酸カルシウム等が挙げられる。
本発明組成物に用いられる活性炭としては、塩化亜鉛、硫化カリウム、硫シアン化カリウム等の薬品で賦活したオガクズ炭、ヤシガラ炭、木炭等が挙げられる。
本発明組成物に用いられる水溶性高分子としてはヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、アラビアガム、アルギン酸ナトリウム、メチルエチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム等が挙げられる。
本発明組成物に用いられる香料としては、食品添加物公定書および/または化粧品原料基準等に記載のイソ吉草酸イソアミル、シクロヘキシルプロピオン酸アリル、1−メントール等が挙げられる。
本発明組成物に用いられる色素としては、食品添加物公定書等に記載の色素が挙げられる。
これら水溶性担体、鉱物質担体、植物性担体、合成担体、活性炭、水溶性高分子、香料、色素等を添加する場合、その添加量は合計で全組成物の重量に対して0.1〜70重量%、好ましくは0.5〜50重量%である。
尚、本発明組成物を水系において施用し、水底に生息する害虫を防除する場合、鉱物質担体、植物性担体、合成担体および/または活性炭の添加された本発明組成物を用いるのが好ましい。
【0025】
本発明組成物は、▲1▼本発明組成物の全構成成分をよく混合した後、該混合物を構成成分b)および構成成分c)が溶融する温度に加熱して構成成分b)および構成成分c)を溶融させるか、▲2▼構成成分b)および構成成分c)以外の構成成分をよく混合し、そこにあらかじめ溶融させた構成成分b)および構成成分c)の溶融混合物を添加混合するか、または▲3▼活性成分を加熱溶融し、これをあらかじめ溶融させた構成成分b)および構成成分c)の溶融混合物と混合し、この混合物とその他の構成成分とを混合するか等をした後、これを型に流し込んだり、板状に延ばしたり等成形した後、冷却固化し、必要に応じて切断または解砕することにより、塊状、カード状または顆粒状等の形で得ることができる。構成成分b)および構成成分c)を溶融させるには通常50℃以上、好ましくは60〜120℃に加熱すればよい。
上記方法の混合工程にはリボンミキサー、ヘンシェルミキサー、タンブラーミキサー、レーディゲーミキサー、ニーダー、V型混合機または攪拌機の付いた混合槽等を用いることができる。
構成成分b)および構成成分c)を溶融させる温度で活性成分が溶融しない場合は活性成分のみ、または、活性成分および粉末状の界面活性剤等の混合物をあらかじめジェットマイザー、ピンミル、ハンマーミル等の乾式粉砕機で粉砕し、平均粒子径が30μm以下、好ましくは10μm以下とした後に一連の操作を行うことが好ましい。
なお、活性成分と構成成分b)および構成成分c)等が均一に混ざらない場合は、ホモジナイザー等の強力な攪拌機を用いて分散させることが好ましい。
【0026】
本発明組成物の製造に用いられる型としては種々の型が可能であるが、例えば、円盤型、ハート型、ピロー型、レンズ型、フィンガー型、円錐型、円柱型、ドーム型、半球型、星型、カプセル型、立方体型等が挙げられる。また、本発明組成物を得る際に用いられる切断または解砕道具としてはカッター、包丁等の鋭利な刃、解砕機が挙げられ、その形状は種々可能である。
尚、二種以上の活性成分を含有する本発明組成物においては、一方の活性成分、構成成分b)および構成成分c)を含む層と他の活性成分、構成成分b)および構成成分c)を含む層とを重ね合わせた二層またはそれ以上の多層構造を有する錠剤に成形することもでき、例えば配合禁忌の昆虫成長調節活性成分とその他の殺虫活性成分とを併用したい場合にはより有効な方法である。
【0027】
尚、本発明組成物が塊状あるいはカード状である場合、その1個当たりの重量は1〜2000g、好ましくは10〜1000g、より好ましくは25〜100gの範囲であり、また、顆粒状の場合、その粒径は通常100〜5000μm、好ましくは200〜3000μmとするのが施用時の取扱いの面から好ましい。これらの中で、本発明組成物は塊状あるいはカード状であり、かつ、1個当たりの重量が10〜1000g、さらに25〜500gであることが効力面等からさらに好ましい。
【0028】
本発明組成物は溝、下水路、河川、用水路、海、池、沼、堀、水たまり、水田、水田の水口等に施用したり、または、風呂の排水溝、水洗トイレ等に使用したりすることができる。
【0029】
本発明組成物を溝、下水路、河川、用水路、海、池、沼、堀、水たまり、水田、水田の水口等に施用する場合、本発明組成物をそのまま、または水溶性フィルム等に入れた後、陸地から投げ込んだり、動力散布機等の器械を用いて施用したり、船、ボート等で施用場所に入って施用したり、ヘリコプター、飛行機、ラジコン飛行機等を用いて空中から施用したりすることができる。また、本発明組成物が流れていかないように、本発明組成物をナイロンメッシュ製の袋等に入れ、その袋等を固定させる施用方法も挙げられる。
【0030】
本発明組成物を風呂の排水溝、水洗トイレ、水田の水口等に使用する場合、本発明組成物を例えばナイロンメッシュ製の袋に入れたり、水が通過する穴が開いたプラスチック容器に保持させたりしてそれを取り付けることにより使用することができる。
【0031】
本発明組成物の施用量は活性成分の種類、量、施用する場面により異なるが、本発明組成物を風呂の排水溝または水洗トイレに取り付ける場合、その施用量は製剤で1〜500g、好ましくは5〜100gの範囲内であり、水田の水口に処理する場合の施用量は製剤で50〜5000g、好ましくは100〜2000gの範囲内である。また、溝、下水路、河川、用水路、海、池、沼、堀、水たまり等の水系に施用する場合、その施用量は水1m3 あたり、あるいは1時間の流水量1m3 当たり有効成分量として0.0001〜10000g、好ましくは0.001〜1000gである。
【0032】
本発明組成物は、セスジユスリカ、オオユスリカ、アカムシユスリカ、ウスイロユスリカ、グリプトユスリカ、フタオビユスリカ等のユスリカ類、オオチョウバエ、ホンチョウバエ等のチョウバエ類、キゴシモミバエ、オオキモンノミバエ等のノミバエ類、アカイエカ、キカイエカ等のイエカ類、ヒトスジシマカ、トウゴウヤブカ等のシマカ類、シナハマダラカ等のハマダラカ類等、水系あるいはその近辺を発生源とする双翅目害虫の防除に用いられる。また、本発明組成物は、トビイロウンカ、セジロウンカ、ヒメトビウンカ等のウンカ類、ウマグロヨコバイ等のヨコバイ類等の半翅目、イネミズゾウムシ等の甲虫類、ニカメイチュウ、コブノメイガ、カメムシ、イナゴ等の水田害虫の防除にも用いられる。
【0033】
【実施例】
次に、製剤例、比較製剤例および試験例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの例のみに限定されるものではない。なお、製剤例および比較製剤例の部は重量部を示す。
まず、製剤例を示す。
製剤例1
化合物(3)5部、フェニルキシリルエタン10部、Sorpol 3598 (東邦化学(株)製界面活性剤)5部、PEG−20000 40部およびニューポールT−240U 40部をビーカーに入れ、80℃に加熱しながら混合したところ均一な溶液となった。この混合溶液を直径約5cmのプラスチック製容器に流し込み、冷却固化させて1個の重量が50gの円盤状の塊状製剤を得た。この塊状製剤を万能包丁で重量が1gの立方体(一辺の長さは1cm強)にカットして、1個の重量が1gの塊状製剤を得た。
【0034】
製剤例2
ニューポールT−240U 40部の代わりにトキサノンJT−1 40部を用いる以外は製剤例1と同様の操作を行い、重量が1gの立方体である塊状製剤を得た。
製剤例3
化合物(3)5部、フェニルキシリルエタン10部、Sorpol 3598 5部、PEG−20000 5部およびトキサノンJT−1 75部を用いる以外は製剤例1と同様の操作を行い、重量が1gの立方体である塊状製剤を得た。
製剤例4
化合物(3)5部、フェニルキシリルエタン5部、Sorpol 3598 5部、PEG−20000 60部およびトキサノンJT−1 25部を用いる以外は製剤例1と同様の操作を行い、重量が1gの立方体である塊状製剤を得た。
【0035】
製剤例5
化合物(3)5部、Sorpol 3598 5部、PEG−20000 45部およびトキサノンJT−1 45部を用いる以外は製剤例1と同様の操作を行い、重量が1gの立方体である塊状製剤を得た。
製剤例6
化合物(3)5部、フェニルキシリルエタン10部、Sorpol 3598 2.5部、PEG−20000 42.5部およびトキサノンJT−1 40部を用いる以外は製剤例1と同様の操作を行い、重量が1gの立方体である塊状製剤を得た。
製剤例7
化合物(3)5部、フェニルキシリルエタン10部、PEG−20000 42.5部およびトキサノンJT−1 42.5部を用いる以外は製剤例1と同様の操作を行い、重量が1gの立方体である塊状製剤を得た。
【0036】
製剤例8
化合物(3)5部、フェニルキシリルエタン10部、Sorpol 3598 5部、PEG−20000 35部、トキサノンJT−1 35部および珪藻土10部を用いる以外は製剤例1と同様の操作を行い、重量が1gの立方体である塊状製剤を得た。
製剤例9
化合物(3)5部、フェニルキシリルエタン10部、Sorpol 3598 5部、PEG−20000 35部、トキサノンJT−1 35部および乳糖10部を用いる以外は製剤例1と同様の操作を行い、重量が1gの立方体である塊状製剤を得た。
製剤例10
化合物(3)5部、フェニルキシリルエタン10部、Sorpol 3598 5部、ニューポールPE−108 40部およびトキサノンJT−1 40部を用いる以外は製剤例1と同様の操作を行い、重量が1gの立方体である塊状製剤を得た。
【0037】
製剤例11
化合物(3)5部、フェニルキシリルエタン10部、Sorpol 3598 5部、PEG−20000 40部およびステアリン酸40部を用いる以外は製剤例1と同様の操作を行い、重量が1gの立方体である塊状製剤を得た。
製剤例12
化合物(3)5部、フェニルキシリルエタン10部、Sorpol 3598 5部、PEG−20000 40部およびステアリルアルコール40部を用いる以外は製剤例1と同様の操作を行い、重量が1gの立方体である塊状製剤を得た。
製剤例13
化合物(3)10部、フェニルキシリルエタン20部、Sorpol 3598 5部、ステアリン酸5部およびPEG−20000 60部をビーカーに入れ、90℃に加熱しながら混合したところ均一な溶液となった。この混合溶液を直径約5cmのプラスチック性容器に流し込み、冷却固化させて1個の重量が100gの円柱状の塊状製剤を得た。
【0038】
製剤例14
化合物(3)10部、フェニルキシリルエタン20部、Sorpol 3598 5部、ステアリン酸10部およびPEG−20000 55部を用いる以外は製剤例13と同様の操作を行い重量が100gの円柱状の塊状製剤を得た。
製剤例15
化合物(3)10部、フェニルキシリルエタン20部、Sorpol 3598 5部、ステアリン酸15部およびPEG−20000 50部を用いる以外は製剤例13と同様の操作を行い重量が100gの円柱状の塊状製剤を得た。
製剤例16
化合物(3)10部、フェニルキシリルエタン20部、Sorpol 3598 5部、ステアリン酸25部およびPEG−20000 40部を用いる以外は製剤例13と同様の操作を行い重量が100gの円柱状の塊状製剤を得た。
【0039】
製剤例17
化合物(3)10部、フェニルキシリルエタン20部、Sorpol 3598 5部、ステアリン酸35部およびPEG−20000 30部を用いる以外は製剤例13と同様の操作を行い重量が100gの円柱状の塊状製剤を得た。
製剤例18
化合物(3)10部、フェニルキシリルエタン10部、Sorpol 3598 10部、ステアリン酸5部およびPEG−20000 65部を用いる以外は製剤例13と同様の操作を行い重量が100gの円柱状の塊状製剤を得た。
製剤例19
化合物(3)10部、フェニルキシリルエタン10部、Sorpol 3598 10部、ステアリン酸10部およびPEG−20000 60部を用いる以外は製剤例13と同様の操作を行い、重量が100gの円柱状の塊状製剤を得た。
【0040】
製剤例20
化合物(3)10部、フェニルキシリルエタン20部、Sorpol 3598 5部、ステアリン酸6.5部およびPEG−20000 58.5部を用いる以外は製剤例13と同様の操作を行い、重量が100gの円柱状の塊状製剤を得た。
製剤例21
化合物(3)10部、フェニルキシリルエタン20部、Sorpol 3598 5部、ステアリン酸8部およびPEG−20000 57部を用いる以外は製剤例13と同様の操作を行い、重量が100gの円柱状の塊状製剤を得た。
製剤例22
化合物(3)10部、フェニルキシリルエタン20部、Sorpol 3598 5部、ステアリン酸 12部およびPEG−20000 53部を用いる以外は製剤例13と同様の操作を行い、重量が100gの円柱状の塊状製剤を得た。
【0041】
製剤例23
化合物(3)10部、フェニルキシリルエタン20部、Sorpol 3598 5部、ステアリン酸 13部およびPEG−20000 52部を用いる以外は製剤例13と同様の操作を行い、重量が100gの円柱状の塊状製剤を得た。
製剤例24
化合物(3)10部、フェニルキシリルエタン20部、Sorpol 3598 5部、ステアリン酸 14部およびPEG−20000 51部を用いる以外は製剤例13と同様の操作を行い、重量が100gの円柱状の塊状製剤を得た。
【0042】
製剤例25
化合物(3)5部、化合物(24)10部、フェニルキシリルエタン10部、Sorpol 3598 5部、ステアリン酸 10部およびPEG−20000 60部を用いる以外は製剤例13と同様の操作を行い、重量が100gの円柱状の塊状製剤を得た。
製剤例26
化合物(3) 2.5部、フェニルキシリルエタン 2.5部、Sorpol 3598 5部、ステアリン酸 5部およびPEG−20000 25部をビーカーに入れ、90℃に加熱しながら混合したところ均一な溶液となった。この混合溶液を直径約5cmのプラスチック性容器に40g流し込み、冷却固化させた。一方、化合物(40)10部、Sorpol 355(東邦化学(株)製界面活性剤)5部、ステアリン酸 8部およびPEG−20000 37部をビーカーに入れ、90℃に加熱しながら混合したところ均一な溶液となった。この混合溶液を上記のプラスチック性容器に流し込み、冷却固化させて重量が100gの円柱状の二層構造を有する塊状製剤を得た。
【0043】
製剤例27
化合物(3)10部、フェニルキシリルエタン10部、Sorpol 3598 5部、ステアリン酸 13部およびPEG−20000 52部をビーカーに入れ、90℃に加熱しながら混合したところ均一な溶液となった。これにトクシールGU−N((株)トクヤマ製湿式法シリカ)10部を加えて分散させた後、得られた混合物を直径5cmの紙製容器に流し込み、冷却固化させて重量が100gの円柱状の塊状製剤を得た。
製剤例28
トクシールGU−N 10部の代わりにアタパルジャイトLVM25/50(ENGLHARD社製アタパルジャイト焼成品、粒径 300〜600 μm)10部を用いる以外は製剤例27と同様の操作を行い、重量が100gの円柱状の塊状製剤を得た。
製剤例29
化合物(3)10部、フェニルキシリルエタン10部、Sorpol 3598 5部、ステアリン酸 8部およびPEG−20000 57部をビーカーに入れ、90℃に加熱しながら混合したところ均一な溶液となった。これにカルボラフィン(武田薬品工業(株)製活性炭)10部を加えて分散させた後、得られた混合物を直径5cmの紙製容器に流し込み、冷却固化させて重量が100gの円柱状の塊状製剤を得た。
製剤例30
化合物(3)10部、フェニルキシリルエタン20部、Sorpol 3598 5部、ステアリン酸 10部およびPEG−20000 45部をビーカーに入れ、90℃に加熱しながら混合したところ均一な溶液となった。これにBacillus thuringiensisvar. israelensis 3000 IU/mgの粉末10部を加えて分散させた後、得られた混合物を直径5cmの紙製容器に流し込み、冷却固化させて重量が100gの円柱状の塊状製剤を得た。
【0044】
比較製剤例1
化合物(3)0.5部、フェニルキシリルエタン1部、Sorpol 3598 1部をよく混合して均一な溶液を得た。この混合溶液を石川ライト農薬3号(石川ライト工業製粒状担体(軽石))97.5部に均一に含浸させて、粒剤を得た。
比較製剤例2
化合物(3)5部、フェニルキシリルエタン10部、Sorpol 3598 5部およびPEG−20000 80部を用いる以外は製剤例1と同様の操作を行い、重量が1gの立方体である塊状製剤を得た。
比較製剤例3
化合物(3)10部、フェニルキシリルエタン20部、Sorpol 3598 5部およびPEG−20000 65部を用いる以外は製剤例13と同様の操作を行い、重量が100gの円柱状の塊状製剤を得た。
【0045】
次に試験例を示す。
試験例1
図1に示すように、5Lビーカーに20℃の水5Lを入れ、撹拌機の回転数を450rpmに設定して撹拌した。このビーカーに、ローラーポンプを用いて一方から20℃の水を1.2L/分の速度で入れ、また他方から同様に1.2L/分の速度で排出した。このような装置を組んだ後、製剤例1、2、4〜9、11、12および比較製剤例2の各製剤1gあるいは比較製剤例1の粒剤10gを5Lビーカーに入れた。製剤投入後、経時的にビーカーから排出された水を集め、有効成分濃度をガスクロマトグラフィーにより分析した。
その結果を表1に示す。また、上記の排出された水に、アカイエカの幼虫(ぼうふら)を入れ、羽化阻害率を調べた。その結果を表2に示す。
【0046】
【表1】
【0047】
【表2】
【0048】
試験例2
図2に示すように、撹拌子を入れた2Lのポリ容器にみかん袋(メッシュ状の袋)を先端が1Lの目盛りとなるように被せた後、イオン交換水を1900cc入れた。このみかん袋に製剤例13〜19および比較製剤例3の製剤1個(100g)を載せ、マグネチックスターラーを用いて1400rpmで攪拌した。所定時間後にホールピペットを用いて中央より3mLをサンプリングし、ガスクロマトグラフィーにより有効成分濃度を分析し、溶出率を算出した。その結果を表3に示す。
【0049】
【表3】
【0050】
試験例3
図3に示す下水路(幅:11.6m、全長:約1.1Km)で試験を行った。この下水路の水深は平均で22.5cmであった。また、この水面に発泡スチロールの粉を流し、一定距離(10m)を流れる時間から流速を計算したところ、40m/分であった。したがって、1時間当たりの水量は約6000tと計算された。
製剤例13の製剤を2個づつストッキングにいれた。次いで、下水路の最上流と中間地点に各々両岸からロープを張り、これに2個づつの製剤が入ったストッキング15個を各々取り付け、製剤が水中に浸かるようにした。この際、両岸にストッキングを3個、その他は1個づつを均等にロープへ取り付けた。施用2時間後に、図3に示した最下流地点の5ケ所(下流に向かって右岸より、サンプリング部位1、2、3、4、5とした。)より水を採取した。この際、製剤は若干小さくなっていたが、大部分はストッキングに残っていた。この水250mLにヘキサン(1回目80mL、2回目50mL)を加え、振盪分配(10分X2回)した。ヘキサン相を芒硝(無水硫酸ナトリウム)を載せた桐山ロートにて脱水ろ過後、温浴40℃以下でロータリーエバポレーターを用いて減圧濃縮し、有効成分量をガスクロマトグラフィーにて定量した。その水中濃度を測定した結果を表4に示す。
また、製剤施用3日後および7日後に下水路の中流地点からユスリカの蛹を各々20頭採取し、これをプラスチックカップに入れてその3日後の羽化を観察したところ、羽化は全く認められなかった。
【0051】
【表4】
上記の結果より、有効成分の徐放化が達成され、なおかつ水中における有効成分のほぼ均一な拡散が確認された。
【0052】
試験例4
図4に示す水路(幅:1.7m)で試験を行った。施用時におけるこの水路の水深は0.2mであり、流速は45m/分であった。
製剤例15、23、24および比較製剤例3の製剤を各々10個づつ靴下に入れた。次に、水路の両岸からロープを張り、このロープに上記の製剤入り靴下を各々取付け、製剤が水中に浸かるようにした。その後、経時的に靴下を取り出して残存する各製剤の重量を測定した。製剤の残存率を表5に示す。
【0053】
【表5】
上記の結果より、本発明組成物の流水系での徐放化が確認された。
【0054】
試験例5
図4に示す水路(幅:1.7m)で試験を行った。施用時におけるこの水路の水深は0.2mであり、流速は45m/分であった。
製剤例25および26の製剤を各々10個づつ靴下に入れた。次に、水路の両岸からロープを張り、このロープに上記の製剤入り靴下を各々取付け、製剤が水中に浸かるようにした。施用14日後に、施用地点より500m下流の地点からユスリカの蛹を各々20頭採取し、これをプラスチックカップに入れてその3日後の羽化を観察したところ、羽化は全く認められなかった。
【0055】
試験例6
図2に示すように、撹拌子を入れた2Lのポリ容器にみかん袋(メッシュ状の袋)を先端が1Lの目盛りとなるように被せた後、イオン交換水を1900cc入れた。このみかん袋に製剤例27〜29の製剤1個(100g)を載せ、マグネチックスターラーを用いて1400rpmで攪拌した。3日後にホールピペットを用いて中央より3mLをサンプリングし、ガスクロマトグラフィーにより有効成分濃度を分析し、溶出率を算出した。その結果を表6に示す。
【0056】
【表6】
【0057】
【発明の効果】
本発明組成物は、活性成分を徐々に放出し、水系における有害および/または不快な虫を長期間防除するため、省力的、経済的な組成物である。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は試験例1で用いた装置を示した図である。
【図2】図2は試験例2および試験例6で用いた装置を示した図である。
【図3】図3は試験例3を行った下水路を上から見た図である。
【図4】図4は試験例4および試験例5を行った水路を上から見た図である。
Claims (5)
- a)昆虫成長調節活性成分としてのピリジルエーテル化合物、b)20℃の水に対する溶解度が2%以下であり、かつ、融点が35〜100℃の範囲内である、ポリオキシアルキレン化合物と有機ポリイソシアネート基を反応して得られる末端にイソシアネート基を有しないウレタン化合物またはポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールにベンゼン環を導入した化合物、およびc)融点が35〜100℃の範囲内である、ポリエチレングリコール、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシエチレンポリオキシブチレングリコール、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンポリオキシブチレングリコールからなる群から選ばれるグリコールを含有し、構成成分b)の重量が全重量に対して3%以上であり、かつ、構成成分b)および構成成分c)の合計重量が全重量に対して20〜98%である組成物であって、その製造工程において構成成分b)および構成成分c)が一旦溶融された後、冷却固化されてなることを特徴とする昆虫成長調節剤組成物
- ピリジルエーテル化合物がピリプロキシフェンである請求項1記載の昆虫成長調節剤組成物
- a)昆虫成長調節活性成分としてのピリジルエーテル化合物およびその他の殺虫活性成分、b)20℃の水に対する溶解度が2%以下であり、かつ、融点が35〜100℃の範囲内である、ポリオキシアルキレン化合物と有機ポリイソシアネート基を反応して得られる末端にイソシアネート基を有しないウレタン化合物またはポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールにベンゼン環を導入した化合物、並びにc)融点が35〜100℃の範囲内である、ポリエチレングリコール、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシエチレンポリオキシブチレングリコール、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンポリオキシブチレングリコールからなる群から選ばれるグリコールを含有し、構成成分b)の重量が全重量に対して3%以上であり、かつ、構成成分b)および構成成分c)の合計重量が全重量に対して20〜98%である組成物であって、その製造工程において構成成分b)および構成成分c)が一旦溶融された後、冷却固化されてなることを特徴とする昆虫成長調節剤組成物
- ピリジルエーテル化合物がピリプロキシフェンである請求項3記載の昆虫成長調節剤組成物
- ピリジルエーテル化合物がピリプロキシフェンであり、その他の殺虫活性成分がピレスロイド化合物、有機リン化合物または殺虫性蛋白である請求項3記載の昆虫成長調節剤組成物
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