JP3550646B2 - ロータキサン構造を主鎖に含む化合物及びその中間体、並びにその製造方法。 - Google Patents
ロータキサン構造を主鎖に含む化合物及びその中間体、並びにその製造方法。 Download PDFInfo
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、環状分子がダンベル型分子の中に串刺しにされている状態である、ロータキサン構造の新規化合物及びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
高分子の主鎖構造は、高分子を構成するモノマーの種類と重合様式により異なる。従来、高分子を構成する結合には、炭素間の単結合、二重結合、三重結合を含む高分子、またはエステル結合、エーテル結合、アミド結合を含む高分子、さらには主鎖に金属が入っている結合を有する高分子など様々なものが知られている。これまで合成されてきた高分子は、高分子を構成するモノマー分子が共有結合によって連結されている主鎖構造により高分子物を形成しているものである。
環状分子が、ダンベル型分子の中に串刺しされた状態にある構造体をモノマーとした高分子物は、これまで知られていない(ポリロータキサン、 Trends Polym. Sci., 1994, Vol.2, No.5, pp146〜152)。
環状分子がダンベル型分子の中に串刺しにされている、ロータキサン構造の新規化合物のモノマーが環状分子を主鎖として重合された高分子物が生成された場合には、光、熱、溶媒などの外部刺激によって、ロータキサン構造の中の環状分子とダンベル分子との相対的な位置を制御することが可能となり、高分子全体をモノマー単位の相対的な位置及び構造制御を行い、その結果として高分子全体で物理的特性を表現することができると考えられる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、環状分子がダンベル型分子の中に串刺しにされている、ロータキサン構造の化合物であり、高分子化することができる新規な化合物、及びその化合物を製造するための中間体並びにその製造方法を提供することである。
【0004】
【課題を解決する手段】
本発明者らは、鋭意研究を重ねた結果、下記一般式(I)で表されるロータキサン構造を主鎖に含む化合物を合成し、本発明を完成するに至った。即ち、本発明によれば、以下の発明が提供される。
(1)下記一般式(I)で表されるロータキサン構造を主鎖に含む化合物。
【化7】(I)
( 式中、Zはダンベル型分子化合物である。この両末端の基A,Bは、芳香族炭化水素基を表す。この分子鎖に含まれるQおよびRは、水素原子、炭素数1〜5の脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素及び炭化水素スルフイドから選ばれる基を表し、Xは、O又はSから選ばれる原子、又はCH2、CO、COO、OCO、又はCONHから選ばれる基を表し、−(CH2)n−で示されるアルキレン基のnは、2〜18の範囲の数を表す。
Yは、環状分子化合物である。環状分子化合物に含まれる−(CH2)m−で示されるアルキレン基のmは、1〜5の範囲の数を表す。)
(2)下記一般式(II)で示されるダンベル型分子化合物。
【化8】(II)
(式中、A,Bは、芳香族炭化水素基を表し、QおよびRは、水素原子、炭素数1から5の脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素及び炭化水素スルフイドから選ばれる基を表し、Xは、O又はSから選ばれる原子、又はCH2、CO、COO、OCO、又はCONHから選ばれる基を表し、−(CH2)n−で表されるアルキレン基のnは、2〜18の範囲の数を表す。)
(3)一般式(II)で示されるダンベル型分子化合物に、一般式(III)で示される5ーアリルアルキレンキシハロゲン化イソフタル酸と、構造式(IV)で示されるパラキシレンジアミンとを反応させることにより、一般式(I)で示されるロータキサン構造を主鎖に含む化合物を製造することを特徴とするロータキサン構造を主鎖に含む化合物の製造方法。
【化9】(II)
(式中、A,Bは、芳香族炭化水素基を表し、QおよびRは、水素原子、炭素数1から5の脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素及び炭化水素スルフイドから選ばれる基を表し、Xは、O又はSから選ばれる原子、又はCH2、CO、COO、OCO、又はCONHから選ばれる基を表し、−(CH2)n−で表されるアルキレン基のnは、2〜18の範囲の数を表す。)
【化10】(III)
(式中、−(CH2)m−で示されるアルキレン基のmは、1〜5の範囲の数である。)
【化11】(IV)
【化12】(I)
【0005】
【発明の実施の形態】
本発明のロータキサン構造を主鎖に含む化合物の一般式は、下記(I)で表されるものである。
【化13】(I)
( 式中、Zはダンベル型分子である。この両末端の基A,Bは、芳香族炭化水素基を表す。この分子鎖に含まれるQおよびRは、水素原子、炭素数1〜5の脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素及び炭化水素スルフイドから選ばれる基を表し、Xは、O又はSから選ばれる原子、又はCH2、CO、COO、OCO、又はCONHから選ばれる基を表し、−(CH2)n−で示されるアルキレン基のnは、2〜18の範囲の数を表す。
Yは、環状分子である。環状分子に含まれる−(CH2)m−で示されるアルキレン基のmは、1〜5の範囲の数を表す。)
【0006】
前記一般式(I)で表されるロータキサン構造を主鎖に含む化合物の特徴は、下記一般式(II)で表されるダンベル型分子化合物と、下記一般式(V)で表される環状分子化合物により構成され、環状分子化合物がダンベル型分子化合物の中に串刺しにされている構造となっている点、及び環状分子化合物の側鎖が二重結合を有する点にある。
【化14】(II)
( 式中、A,Bは、芳香族炭化水素基を表し、QおよびRは、水素原子、炭素数1〜5の脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素及び炭化水素スルフイドから選ばれる基を表し、Xは、O又はSから選ばれる原子、又はCH2、CO、COO、OCO、又はCONHから選ばれる基を表し、−(CH2)n−で表されるアルキレン基のnは、2〜18の範囲の数を表す。)
【化15】(V)
(式中、−(CH2)m−で示されるアルキレン基のmは、1〜5の範囲の数である。)
【0007】
次に、本発明のロータキサン構造を主鎖にもつ化合物を具体的に説明する。
前記一般式(I)で示されるロータキサン構造を主鎖に含む化合物のZで表されるダンベル型分子化合物(前記一般式(II)で示される化合物)の両末端の基A,Bは、芳香族炭化水素基である。この芳香族炭化水素基は、置換又は未置換の芳香族炭化水素基である。置換基としては、アルキル基やハロゲン原子である。具体的な芳香族炭化水素基には、フエニル基、ベンジル基、トリル基、キシリル基、ビフエニル基、ビフエニルメチル基などのビフエニルアルキル基、トリフエニルメチル基などのトリフエニルアルキル基、ベンジルアルキル基、ナフチル基等を挙げることができる。
ダンベル型分子化合物の分子鎖に含まれるQおよびRは、水素原子、炭素数1から5の脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基及び炭化水素スルフイド基から選ばれる基を示す。脂肪族炭化水素基は、分岐鎖を有する又は有しない、置換又は未置換の炭素数1〜5のアルキル基、及びアルケニル基である。具体的には、メチル基、エチル基、エチリデン基、プロピル基、プロペニル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、ペンチル基、イソペンチル基等を挙げることができる。これらの基は、ハロゲン原子等で置換されていて差し支えない。芳香族炭化水素基は、ベンゼン或いはナフタリン等の縮合環式化合物からなる基である。具体的な芳香族炭化水素基には、フエニル、ベンジル基等を挙げることができる。炭化水素スルフイド基は、チオエーテル基であり、具体的な炭化水素スルフイド基にはメチルエチルスルフイド基を挙げることができる。
出発原料の入手の容易さから、これらのQおよびRは、水素原子、メチル基、イソプロピル基、イソブチル基、ベンジル基、ベンジルメチル基、エチルメチルスルフイド基が好適である。
同じく、Xは、O又はSから選ばれる原子、又はCH2、CO、COO、OCO、又はCONHから選ばれる基を表す。
同じく、−(CH2)n−で示されるアルキレン基のnは、炭素数が2〜18の範囲の数を表す。具体的な基としては、ジメチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基、ヘプタメチレン基、オクタメチレン基、ノナメチレン基、デカメチレン基、ウンデカメチレン基、ドデカメチレン基、トリデカメチレン基、テトラデカメチレン基、ペンタデカメチレン基、ヘキサデカメチレン基、ヘプタデカメチレン基、オクタデカメチレン基等を挙げることができる。これらのどれを用いるかは製造する原料により定めることができる。なお、炭素数が1のメチレン基の場合には、外部刺激に対する応答が十分ではなく、適当でないと考えられる。原料の得易さから見ると、炭素数2〜12の範囲のものが適当であると考えられる。
【0008】
前記一般式(I)で示されるロータキサン構造を主鎖に含む化合物のYで示される環状分子化合物(前記一般式(V)で示される化合物)に含まれる、−(CH2)m−で表されるアルキレン基のmは、1〜5の範囲の数である。具体的には、メチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基を挙げることができる。これらの中のどれを用いるかは製造する原料により定めることができる。特に、出発原料の入手の容易さから1〜3が好適である。
また、側鎖は、二重結合を有するものである。
【0009】
本発明のロータキサン構造を主鎖に含む化合物の具体的な化合物の構造式を示すと、次の通りである。
【化16】
【化17】
【化18】
【化19】
【化20】
【化21】
【0010】
本発明のロータキサン構造を主鎖に含む化合物を製造するための、ダンベル型分子化合物の構造式を示すと次の通りである。
【化22】
【化23】
【化24】
【化25】
【化26】
【化27】
【0011】
本発明の前記一般式(I)で表されるロータキサン構造を主鎖に含む化合物の製造方法は、次の通りである。
始めに、前記一般式(II)で示されるダンベル型分子化合物を製造する。
次に、ダンベル型分子化合物と、前記一般式(V)で表される環状分子化合物を形成する原料化合物とを反応させる。その結果、目的生成物である、環状分子化合物がダンベル型分子化合物の中に串刺しにされている構造のロータキサン構造を主鎖に含む化合物を製造することができる。
【0012】
ダンベル型分子化合物は、以下のようにして製造される。
末端基Aを含む芳香族カルボン酸と2種のアミノ酸の縮合生成物からなる反応生成物のエステルと、末端基Bを含むOH基を有する芳香族化合物とアルキレングリコールを反応させて得られるアルコールとを反応させることにより、ダンベル型分子を製造することができる。
具体的な一例を挙げると次の通りである。ジフエニルアセチルグリシルグリシンエチルエステルに、10−(3,5−di−tert−ブチルフエノキシ)デカン−1−オールを反応させて、ジフエニルアセチルグリシルグリシン−10−(3,5−di−tert−ブチルフエノキシ)デカニルエステルを得ることができる。
反応は、錫化合物の存在下に加熱環流下に行う。溶剤は、これらの原料物質を溶解させることができるものであれば、適宜利用することができる。具体的には、トルエンなどの溶剤を用いることができる。
【0013】
前記一般式(V)で表される環状分子化合物は、下記一般式(III)のアリルアルキレンオキシハロゲン化芳香族ジカルボン酸と下記構造式(IV)の芳香族ジアミン化合物を反応させることにより製造することができる。
具体的な一例を挙げると次の通りである。アリルオキシ塩化イソフタル酸と、パラキシレンジアミンを反応させて生成させることにより得られる。
【化28】(III)
【化29】(IV)
この反応は、溶剤の存在下に、触媒としてテトラエチルアミンなどの存在下に行う。溶剤としては、これらの原料化合物を溶解させることができるものであれば、使用することができる。具体的には、クロロホルム、ジクロロメタンなどの非極性溶媒が用いられる。反応温度は室温で可能であり、必要に応じて加温する。
【0014】
前記一般式(I)で表されるロータキサン構造を主鎖に含む化合物は、一般式(II)で表されるダンベル型分子化合物と、一般式(V)で表される環状分子を製造するためのアルケニルオキシハロゲン化芳香族ジカルボン酸と芳香族ジアミン化合物とを反応させることにより製造される。この反応方法は、前記環状化合物を製造する際の条件と同様な条件が採用される。
【0015】
前記一般式(I)で示されるロータキサン構造を主鎖に含む化合物は、前記製造方法に従って得られる反応混合物をカラムクロマトグラフイーや再結晶を行うことにより、分離精製することができる。
分離精製された後に得られるロータキサン構造を主鎖に含む化合物は固体である。
物性の確認は、融点測定で行うことができ、具体的な構造は、NMRのスペクトルチャートの測定結果を解析することにより行うことができる。
このようにして得られる本発明の前記一般式(I)で示されるロータキサン構造を主鎖に含む化合物は、環状分子化合物の両端に不飽和結合を有するため、メタセシス反応により高分子化されるので、ロータキサン構造を主鎖に含む新規な高分子重合体を効率よく製造することができる。
【0016】
【実施例】
次に、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明は、これらの例によってなんら限定されるものではない。
【0017】
実施例1(両末端にダンベル型分子を有する化合物の製造)
ジフェニルアセチルグリシルグリシンエチルエステル3.1g(8.76ミリモル)、10−(3,5−di−tert−ブチルフェノキシ)デカン−1−オール3.6g(9.7ミリモル)、ビス(クロロジブチル)チンオキシド0.88g(1.6ミリモル)をトルエン50ml中に加え、かき混ぜながら加熱還流しつつ、生成してくるエタノールをトルエンとともに7時間留去した。放冷後、減圧下で溶媒を留去した。得られた生成物をヘキサンから再結晶することにより、構造式
【化30】
で表わされるジフェニルアセチルグリシルグリシン−10−(3,5−di−tert−ブチルフェノキシ)デカニルエステル4.1g(収率70%)を得た。
融点:90℃
この化合物の1H−NMRスペクトルチャート(重クロロホルム、濃度10mg/0.6ml、25℃、600MHz)を図1に示す。
【0018】
実施例2(両末端にロータキサン構造を主鎖に含む化合物の製造)
実施例1で得られたジフェニルアセチルグリシルグリシン−10−(3,5−di−tert−ブチルフェノキシ)デカニルエステル1.0g(1.5ミリモル)とトリエチルアミン2.4g(24ミリモル)をクロロホルム250ml中に溶解し、室温でかき混ぜながら5−アリルオキシ塩化イソフタル酸3.1g(12ミリモル)クロロホルム20mlに溶解した溶液とパラキシレンジアミン1.6g(12ミリモル)をクロロホルム20mlに溶解した溶液を4時間かけて滴下し、1時間撹拌した。固体をろ過した後、反応溶液を減圧化で溶媒留去した。これに酢酸エチルを加えて30分間の加熱還流の後、再びろ過し、減圧下で溶媒を留去した。得られた生成物をシリカゲルクロマトグラフィー(溶出液:クロロホルム/メタノール=10/1)で精製することにより、構造式
【化31】
で表わされロータキサン構造を主鎖に含む化合物0.80g(40%)を得た。
融点:82℃
元素分析値(C80H94N6O11)
計算値(%)C 73.03; H 7.20; N 6.39; O 13.38
実測値(%)C 73.12; H 7.14; N 6.35; O 13.26
この化合物の1H−NMRスペクトルチャート(重ジメチルホルムアミド、濃度10mg/0.6ml、25℃、600MHz)を図2に示す。
【0019】
実施例3
実施例2で用いたジフェニルアセチルグリシルグリシン−10−(3,5−di−tert−ブチルフェノキシ)デカニルエステルの代わりに構造式
【化32】
で表わされるジフェニルアセチルグリシルアラニン−10−(3,5−di−tert−ブチルフェノキシ)デカニルエステルを用いること以外、実施例2と同様な方法により構造式
【化33】
で表わされロータキサン構造を主鎖に含む化合物0.71g(35%)を得た。
融点:81℃
元素分析値(C81H96N6O11)
計算値(%)C 73.17; H 7.28; N 6.32; O 13.24
実測値(%)C 73.10; H 7.24; N 6.25; O 13.12
【0020】
実施例4
実施例2で用いたジフェニルアセチルグリシルグリシン−10−(3,5−di−tert−ブチルフェノキシ)デカニルエステルの代わりに構造式
【化34】
で表わされるジフェニルアセチルグリシルバリン−10−(3,5−di−tert−ブチルフェノキシ)デカニルエステルを用いること以外、実施例2と同様な方法により構造式
【化35】
で表わされロータキサン構造を主鎖に含む化合物0.87g(42%)を得た。
融点:78℃
元素分析値(C83H100N6O11)
計算値(%)C 73.42; H 7.42; N 6.19; O 12.96
実測値(%)C 73.21; H 7.51; N 6.06; O 13.02
【0021】
実施例5
実施例1で用いたジフェニルアセチルグリシルグリシン−10−(3,5−di−tert−ブチルフェノキシ)デカニルエステルの代わりに構造式
【化36】
で表わされるジフェニルアセチルグリシルロイシン−10−(3,5−di−tert−ブチルフェノキシ)デカニルエステルを用いること以外、実施例2と同様な方法により構造式
【化37】
で表わされロータキサン構造を主鎖に含む化合物0.79g(38%)を得た。
融点:75℃
元素分析値(C84H102N6O11)
計算値(%)C 73.55; H 7.49; N 6.13; O 12.83
実測値(%)C 73.44; H 7.63; N 6.04; O 12.98
【0022】
実施例6
実施例2で用いたジフェニルアセチルグリシルグリシン−10−(3,5−di−tert−ブチルフェノキシ)デカニルエステルの代わりに構造式
【化38】
で表わされるジフェニルアセチルグリシルフェニルアラニン−10−(3,5−di−tert−ブチルフェノキシ)デカニルエステルを用いること以外、実施例2と同様な方法により構造式
【化39】
で表わされロータキサン構造を主鎖に含む化合物0.98g(46%)を得た。
融点:83℃
元素分析値(C87H100N6O11)
計算値(%)C 74.33; H 7.17; N 5.98; O 12.52
実測値(%)C 74.07; H 7.53; N 6.11; O 12.65
【0023】
実施例7
実施例2で用いたジフェニルアセチルグリシルグリシン−10−(3,5−di−tert−ブチルフェノキシ)デカニルエステルの代わりに構造式
【化40】
で表わされるジフェニルアセチルグリシルメチオニン−10−(3,5−di−tert−ブチルフェノキシ)デカニルエステルを用いること以外、実施例2と同様な方法により構造式
【化41】
で表わされロータキサン構造を主鎖に含む化合物0.80g(38%)を得た。
融点:78℃
元素分析値(C83H100N6O11S)
計算値(%)C 71.73; H 7.25; N 6.05; O 12.66; S 2.31
実測値(%)C 71.66; H 7.43; N 6.11; O 12.65; S 2.32
【0024】
【発明の効果】
本発明によれば、ロータキサン構造を主鎖に含む新規化合物を得ることができる。又、その製造方法により、前記目的とする化合物を得ることができる。本発明の新規化合物を用いることにより、メタセシス反応により一段階の反応操作でロータキサン構造を主鎖に含む新規高分子重合体を合成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1で得られる化合物の1H−NMRスペクトル(濃度は10mg/0.6ml、重クロロホルム中25、℃、600MHz)である。
【図2】実施例2で得られる化合物の1H−NMRスペクトル(濃度は10mg/0.6ml、重ジメチルホルムアミド中25、℃、600MHz)である。
【発明の属する技術分野】
本発明は、環状分子がダンベル型分子の中に串刺しにされている状態である、ロータキサン構造の新規化合物及びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
高分子の主鎖構造は、高分子を構成するモノマーの種類と重合様式により異なる。従来、高分子を構成する結合には、炭素間の単結合、二重結合、三重結合を含む高分子、またはエステル結合、エーテル結合、アミド結合を含む高分子、さらには主鎖に金属が入っている結合を有する高分子など様々なものが知られている。これまで合成されてきた高分子は、高分子を構成するモノマー分子が共有結合によって連結されている主鎖構造により高分子物を形成しているものである。
環状分子が、ダンベル型分子の中に串刺しされた状態にある構造体をモノマーとした高分子物は、これまで知られていない(ポリロータキサン、 Trends Polym. Sci., 1994, Vol.2, No.5, pp146〜152)。
環状分子がダンベル型分子の中に串刺しにされている、ロータキサン構造の新規化合物のモノマーが環状分子を主鎖として重合された高分子物が生成された場合には、光、熱、溶媒などの外部刺激によって、ロータキサン構造の中の環状分子とダンベル分子との相対的な位置を制御することが可能となり、高分子全体をモノマー単位の相対的な位置及び構造制御を行い、その結果として高分子全体で物理的特性を表現することができると考えられる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、環状分子がダンベル型分子の中に串刺しにされている、ロータキサン構造の化合物であり、高分子化することができる新規な化合物、及びその化合物を製造するための中間体並びにその製造方法を提供することである。
【0004】
【課題を解決する手段】
本発明者らは、鋭意研究を重ねた結果、下記一般式(I)で表されるロータキサン構造を主鎖に含む化合物を合成し、本発明を完成するに至った。即ち、本発明によれば、以下の発明が提供される。
(1)下記一般式(I)で表されるロータキサン構造を主鎖に含む化合物。
【化7】(I)
( 式中、Zはダンベル型分子化合物である。この両末端の基A,Bは、芳香族炭化水素基を表す。この分子鎖に含まれるQおよびRは、水素原子、炭素数1〜5の脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素及び炭化水素スルフイドから選ばれる基を表し、Xは、O又はSから選ばれる原子、又はCH2、CO、COO、OCO、又はCONHから選ばれる基を表し、−(CH2)n−で示されるアルキレン基のnは、2〜18の範囲の数を表す。
Yは、環状分子化合物である。環状分子化合物に含まれる−(CH2)m−で示されるアルキレン基のmは、1〜5の範囲の数を表す。)
(2)下記一般式(II)で示されるダンベル型分子化合物。
【化8】(II)
(式中、A,Bは、芳香族炭化水素基を表し、QおよびRは、水素原子、炭素数1から5の脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素及び炭化水素スルフイドから選ばれる基を表し、Xは、O又はSから選ばれる原子、又はCH2、CO、COO、OCO、又はCONHから選ばれる基を表し、−(CH2)n−で表されるアルキレン基のnは、2〜18の範囲の数を表す。)
(3)一般式(II)で示されるダンベル型分子化合物に、一般式(III)で示される5ーアリルアルキレンキシハロゲン化イソフタル酸と、構造式(IV)で示されるパラキシレンジアミンとを反応させることにより、一般式(I)で示されるロータキサン構造を主鎖に含む化合物を製造することを特徴とするロータキサン構造を主鎖に含む化合物の製造方法。
【化9】(II)
(式中、A,Bは、芳香族炭化水素基を表し、QおよびRは、水素原子、炭素数1から5の脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素及び炭化水素スルフイドから選ばれる基を表し、Xは、O又はSから選ばれる原子、又はCH2、CO、COO、OCO、又はCONHから選ばれる基を表し、−(CH2)n−で表されるアルキレン基のnは、2〜18の範囲の数を表す。)
【化10】(III)
(式中、−(CH2)m−で示されるアルキレン基のmは、1〜5の範囲の数である。)
【化11】(IV)
【化12】(I)
【0005】
【発明の実施の形態】
本発明のロータキサン構造を主鎖に含む化合物の一般式は、下記(I)で表されるものである。
【化13】(I)
( 式中、Zはダンベル型分子である。この両末端の基A,Bは、芳香族炭化水素基を表す。この分子鎖に含まれるQおよびRは、水素原子、炭素数1〜5の脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素及び炭化水素スルフイドから選ばれる基を表し、Xは、O又はSから選ばれる原子、又はCH2、CO、COO、OCO、又はCONHから選ばれる基を表し、−(CH2)n−で示されるアルキレン基のnは、2〜18の範囲の数を表す。
Yは、環状分子である。環状分子に含まれる−(CH2)m−で示されるアルキレン基のmは、1〜5の範囲の数を表す。)
【0006】
前記一般式(I)で表されるロータキサン構造を主鎖に含む化合物の特徴は、下記一般式(II)で表されるダンベル型分子化合物と、下記一般式(V)で表される環状分子化合物により構成され、環状分子化合物がダンベル型分子化合物の中に串刺しにされている構造となっている点、及び環状分子化合物の側鎖が二重結合を有する点にある。
【化14】(II)
( 式中、A,Bは、芳香族炭化水素基を表し、QおよびRは、水素原子、炭素数1〜5の脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素及び炭化水素スルフイドから選ばれる基を表し、Xは、O又はSから選ばれる原子、又はCH2、CO、COO、OCO、又はCONHから選ばれる基を表し、−(CH2)n−で表されるアルキレン基のnは、2〜18の範囲の数を表す。)
【化15】(V)
(式中、−(CH2)m−で示されるアルキレン基のmは、1〜5の範囲の数である。)
【0007】
次に、本発明のロータキサン構造を主鎖にもつ化合物を具体的に説明する。
前記一般式(I)で示されるロータキサン構造を主鎖に含む化合物のZで表されるダンベル型分子化合物(前記一般式(II)で示される化合物)の両末端の基A,Bは、芳香族炭化水素基である。この芳香族炭化水素基は、置換又は未置換の芳香族炭化水素基である。置換基としては、アルキル基やハロゲン原子である。具体的な芳香族炭化水素基には、フエニル基、ベンジル基、トリル基、キシリル基、ビフエニル基、ビフエニルメチル基などのビフエニルアルキル基、トリフエニルメチル基などのトリフエニルアルキル基、ベンジルアルキル基、ナフチル基等を挙げることができる。
ダンベル型分子化合物の分子鎖に含まれるQおよびRは、水素原子、炭素数1から5の脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基及び炭化水素スルフイド基から選ばれる基を示す。脂肪族炭化水素基は、分岐鎖を有する又は有しない、置換又は未置換の炭素数1〜5のアルキル基、及びアルケニル基である。具体的には、メチル基、エチル基、エチリデン基、プロピル基、プロペニル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、ペンチル基、イソペンチル基等を挙げることができる。これらの基は、ハロゲン原子等で置換されていて差し支えない。芳香族炭化水素基は、ベンゼン或いはナフタリン等の縮合環式化合物からなる基である。具体的な芳香族炭化水素基には、フエニル、ベンジル基等を挙げることができる。炭化水素スルフイド基は、チオエーテル基であり、具体的な炭化水素スルフイド基にはメチルエチルスルフイド基を挙げることができる。
出発原料の入手の容易さから、これらのQおよびRは、水素原子、メチル基、イソプロピル基、イソブチル基、ベンジル基、ベンジルメチル基、エチルメチルスルフイド基が好適である。
同じく、Xは、O又はSから選ばれる原子、又はCH2、CO、COO、OCO、又はCONHから選ばれる基を表す。
同じく、−(CH2)n−で示されるアルキレン基のnは、炭素数が2〜18の範囲の数を表す。具体的な基としては、ジメチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基、ヘプタメチレン基、オクタメチレン基、ノナメチレン基、デカメチレン基、ウンデカメチレン基、ドデカメチレン基、トリデカメチレン基、テトラデカメチレン基、ペンタデカメチレン基、ヘキサデカメチレン基、ヘプタデカメチレン基、オクタデカメチレン基等を挙げることができる。これらのどれを用いるかは製造する原料により定めることができる。なお、炭素数が1のメチレン基の場合には、外部刺激に対する応答が十分ではなく、適当でないと考えられる。原料の得易さから見ると、炭素数2〜12の範囲のものが適当であると考えられる。
【0008】
前記一般式(I)で示されるロータキサン構造を主鎖に含む化合物のYで示される環状分子化合物(前記一般式(V)で示される化合物)に含まれる、−(CH2)m−で表されるアルキレン基のmは、1〜5の範囲の数である。具体的には、メチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基を挙げることができる。これらの中のどれを用いるかは製造する原料により定めることができる。特に、出発原料の入手の容易さから1〜3が好適である。
また、側鎖は、二重結合を有するものである。
【0009】
本発明のロータキサン構造を主鎖に含む化合物の具体的な化合物の構造式を示すと、次の通りである。
【化16】
【化17】
【化18】
【化19】
【化20】
【化21】
【0010】
本発明のロータキサン構造を主鎖に含む化合物を製造するための、ダンベル型分子化合物の構造式を示すと次の通りである。
【化22】
【化23】
【化24】
【化25】
【化26】
【化27】
【0011】
本発明の前記一般式(I)で表されるロータキサン構造を主鎖に含む化合物の製造方法は、次の通りである。
始めに、前記一般式(II)で示されるダンベル型分子化合物を製造する。
次に、ダンベル型分子化合物と、前記一般式(V)で表される環状分子化合物を形成する原料化合物とを反応させる。その結果、目的生成物である、環状分子化合物がダンベル型分子化合物の中に串刺しにされている構造のロータキサン構造を主鎖に含む化合物を製造することができる。
【0012】
ダンベル型分子化合物は、以下のようにして製造される。
末端基Aを含む芳香族カルボン酸と2種のアミノ酸の縮合生成物からなる反応生成物のエステルと、末端基Bを含むOH基を有する芳香族化合物とアルキレングリコールを反応させて得られるアルコールとを反応させることにより、ダンベル型分子を製造することができる。
具体的な一例を挙げると次の通りである。ジフエニルアセチルグリシルグリシンエチルエステルに、10−(3,5−di−tert−ブチルフエノキシ)デカン−1−オールを反応させて、ジフエニルアセチルグリシルグリシン−10−(3,5−di−tert−ブチルフエノキシ)デカニルエステルを得ることができる。
反応は、錫化合物の存在下に加熱環流下に行う。溶剤は、これらの原料物質を溶解させることができるものであれば、適宜利用することができる。具体的には、トルエンなどの溶剤を用いることができる。
【0013】
前記一般式(V)で表される環状分子化合物は、下記一般式(III)のアリルアルキレンオキシハロゲン化芳香族ジカルボン酸と下記構造式(IV)の芳香族ジアミン化合物を反応させることにより製造することができる。
具体的な一例を挙げると次の通りである。アリルオキシ塩化イソフタル酸と、パラキシレンジアミンを反応させて生成させることにより得られる。
【化28】(III)
【化29】(IV)
この反応は、溶剤の存在下に、触媒としてテトラエチルアミンなどの存在下に行う。溶剤としては、これらの原料化合物を溶解させることができるものであれば、使用することができる。具体的には、クロロホルム、ジクロロメタンなどの非極性溶媒が用いられる。反応温度は室温で可能であり、必要に応じて加温する。
【0014】
前記一般式(I)で表されるロータキサン構造を主鎖に含む化合物は、一般式(II)で表されるダンベル型分子化合物と、一般式(V)で表される環状分子を製造するためのアルケニルオキシハロゲン化芳香族ジカルボン酸と芳香族ジアミン化合物とを反応させることにより製造される。この反応方法は、前記環状化合物を製造する際の条件と同様な条件が採用される。
【0015】
前記一般式(I)で示されるロータキサン構造を主鎖に含む化合物は、前記製造方法に従って得られる反応混合物をカラムクロマトグラフイーや再結晶を行うことにより、分離精製することができる。
分離精製された後に得られるロータキサン構造を主鎖に含む化合物は固体である。
物性の確認は、融点測定で行うことができ、具体的な構造は、NMRのスペクトルチャートの測定結果を解析することにより行うことができる。
このようにして得られる本発明の前記一般式(I)で示されるロータキサン構造を主鎖に含む化合物は、環状分子化合物の両端に不飽和結合を有するため、メタセシス反応により高分子化されるので、ロータキサン構造を主鎖に含む新規な高分子重合体を効率よく製造することができる。
【0016】
【実施例】
次に、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明は、これらの例によってなんら限定されるものではない。
【0017】
実施例1(両末端にダンベル型分子を有する化合物の製造)
ジフェニルアセチルグリシルグリシンエチルエステル3.1g(8.76ミリモル)、10−(3,5−di−tert−ブチルフェノキシ)デカン−1−オール3.6g(9.7ミリモル)、ビス(クロロジブチル)チンオキシド0.88g(1.6ミリモル)をトルエン50ml中に加え、かき混ぜながら加熱還流しつつ、生成してくるエタノールをトルエンとともに7時間留去した。放冷後、減圧下で溶媒を留去した。得られた生成物をヘキサンから再結晶することにより、構造式
【化30】
で表わされるジフェニルアセチルグリシルグリシン−10−(3,5−di−tert−ブチルフェノキシ)デカニルエステル4.1g(収率70%)を得た。
融点:90℃
この化合物の1H−NMRスペクトルチャート(重クロロホルム、濃度10mg/0.6ml、25℃、600MHz)を図1に示す。
【0018】
実施例2(両末端にロータキサン構造を主鎖に含む化合物の製造)
実施例1で得られたジフェニルアセチルグリシルグリシン−10−(3,5−di−tert−ブチルフェノキシ)デカニルエステル1.0g(1.5ミリモル)とトリエチルアミン2.4g(24ミリモル)をクロロホルム250ml中に溶解し、室温でかき混ぜながら5−アリルオキシ塩化イソフタル酸3.1g(12ミリモル)クロロホルム20mlに溶解した溶液とパラキシレンジアミン1.6g(12ミリモル)をクロロホルム20mlに溶解した溶液を4時間かけて滴下し、1時間撹拌した。固体をろ過した後、反応溶液を減圧化で溶媒留去した。これに酢酸エチルを加えて30分間の加熱還流の後、再びろ過し、減圧下で溶媒を留去した。得られた生成物をシリカゲルクロマトグラフィー(溶出液:クロロホルム/メタノール=10/1)で精製することにより、構造式
【化31】
で表わされロータキサン構造を主鎖に含む化合物0.80g(40%)を得た。
融点:82℃
元素分析値(C80H94N6O11)
計算値(%)C 73.03; H 7.20; N 6.39; O 13.38
実測値(%)C 73.12; H 7.14; N 6.35; O 13.26
この化合物の1H−NMRスペクトルチャート(重ジメチルホルムアミド、濃度10mg/0.6ml、25℃、600MHz)を図2に示す。
【0019】
実施例3
実施例2で用いたジフェニルアセチルグリシルグリシン−10−(3,5−di−tert−ブチルフェノキシ)デカニルエステルの代わりに構造式
【化32】
で表わされるジフェニルアセチルグリシルアラニン−10−(3,5−di−tert−ブチルフェノキシ)デカニルエステルを用いること以外、実施例2と同様な方法により構造式
【化33】
で表わされロータキサン構造を主鎖に含む化合物0.71g(35%)を得た。
融点:81℃
元素分析値(C81H96N6O11)
計算値(%)C 73.17; H 7.28; N 6.32; O 13.24
実測値(%)C 73.10; H 7.24; N 6.25; O 13.12
【0020】
実施例4
実施例2で用いたジフェニルアセチルグリシルグリシン−10−(3,5−di−tert−ブチルフェノキシ)デカニルエステルの代わりに構造式
【化34】
で表わされるジフェニルアセチルグリシルバリン−10−(3,5−di−tert−ブチルフェノキシ)デカニルエステルを用いること以外、実施例2と同様な方法により構造式
【化35】
で表わされロータキサン構造を主鎖に含む化合物0.87g(42%)を得た。
融点:78℃
元素分析値(C83H100N6O11)
計算値(%)C 73.42; H 7.42; N 6.19; O 12.96
実測値(%)C 73.21; H 7.51; N 6.06; O 13.02
【0021】
実施例5
実施例1で用いたジフェニルアセチルグリシルグリシン−10−(3,5−di−tert−ブチルフェノキシ)デカニルエステルの代わりに構造式
【化36】
で表わされるジフェニルアセチルグリシルロイシン−10−(3,5−di−tert−ブチルフェノキシ)デカニルエステルを用いること以外、実施例2と同様な方法により構造式
【化37】
で表わされロータキサン構造を主鎖に含む化合物0.79g(38%)を得た。
融点:75℃
元素分析値(C84H102N6O11)
計算値(%)C 73.55; H 7.49; N 6.13; O 12.83
実測値(%)C 73.44; H 7.63; N 6.04; O 12.98
【0022】
実施例6
実施例2で用いたジフェニルアセチルグリシルグリシン−10−(3,5−di−tert−ブチルフェノキシ)デカニルエステルの代わりに構造式
【化38】
で表わされるジフェニルアセチルグリシルフェニルアラニン−10−(3,5−di−tert−ブチルフェノキシ)デカニルエステルを用いること以外、実施例2と同様な方法により構造式
【化39】
で表わされロータキサン構造を主鎖に含む化合物0.98g(46%)を得た。
融点:83℃
元素分析値(C87H100N6O11)
計算値(%)C 74.33; H 7.17; N 5.98; O 12.52
実測値(%)C 74.07; H 7.53; N 6.11; O 12.65
【0023】
実施例7
実施例2で用いたジフェニルアセチルグリシルグリシン−10−(3,5−di−tert−ブチルフェノキシ)デカニルエステルの代わりに構造式
【化40】
で表わされるジフェニルアセチルグリシルメチオニン−10−(3,5−di−tert−ブチルフェノキシ)デカニルエステルを用いること以外、実施例2と同様な方法により構造式
【化41】
で表わされロータキサン構造を主鎖に含む化合物0.80g(38%)を得た。
融点:78℃
元素分析値(C83H100N6O11S)
計算値(%)C 71.73; H 7.25; N 6.05; O 12.66; S 2.31
実測値(%)C 71.66; H 7.43; N 6.11; O 12.65; S 2.32
【0024】
【発明の効果】
本発明によれば、ロータキサン構造を主鎖に含む新規化合物を得ることができる。又、その製造方法により、前記目的とする化合物を得ることができる。本発明の新規化合物を用いることにより、メタセシス反応により一段階の反応操作でロータキサン構造を主鎖に含む新規高分子重合体を合成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1で得られる化合物の1H−NMRスペクトル(濃度は10mg/0.6ml、重クロロホルム中25、℃、600MHz)である。
【図2】実施例2で得られる化合物の1H−NMRスペクトル(濃度は10mg/0.6ml、重ジメチルホルムアミド中25、℃、600MHz)である。
Claims (3)
- 一般式(II)で示されるダンベル型分子化合物に、一般式(III)で示される5ーアリルアルキレンオキシハロゲン化イソフタル酸と、構造式(IV)で示されるパラキシレンジアミンとを反応させることにより、請求項1記載の一般式(I)で示されるロータキサン構造を主鎖に含む化合物を製造することを特徴とするロータキサン構造を主鎖に含む化合物の製造方法。
【化3】(II)
(式中、A,Bは、芳香族炭化水素基を表し、QおよびRは、水素原子、炭素数1から5の脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素及び炭化水素スルフイドから選ばれる基を表し、Xは、O又はSから選ばれる原子、又はCH2、CO、COO、OCO、又はCONHから選ばれる基を表し、−(CH2)n−で表されるアルキレン基のnは、2〜18の範囲の数を表す。)
【化4】(III)
(式中、−(CH2)m−で表されるアルキレン基のmは、1〜5の範囲の数である。)
【化5】(IV)
【化6】(I)
( 式中、Zはダンベル型分子化合物である。この両末端の基A,Bは、芳香族炭化水素基を表す。この分子鎖に含まれるQおよびRは、水素原子、炭素数1〜5の脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素及び炭化水素スルフイドから選ばれる基を表し、Xは、O又はSから選ばれる原子、又はCH2、CO、COO、OCO、又はCONHから選ばれる基を表し、−(CH2)n−で表されるアルキレン基のnは、2〜18の範囲の数を表す。
Yは、環状分子化合物である。環状分子に含まれる−(CH2)m−で表されるアルキレン基のmは、1〜5の範囲の数を表す。)
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