JP3550401B2 - 高圧放電ランプ及び電気回路ユニット - Google Patents

Description

【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、放電空間を封止するセラミック壁を具備する放電容器と、少なくとも希ガス及び金属を有する充填物とを具備する高圧放電ランプに関する。
【０００２】
本発明はまた、この高圧放電ランプを点火し動作させるのに適する電気回路ユニットにも関する。
【０００３】
【従来の技術】
冒頭に述べた種類のランプは、ヨーロッパ特許公報Ａ−0215524から知られている。この既知のランプは、少なくとも一つのハライド金属を含む放電容器を持つメタルハライドランプである。この既知のランプは、その比較的小さな大きさ等のため、例えばショーウィンドウ、スポーツ施設等のためのインテリア照明としてとても適している。このランプにより放射される光は、色温度が3000K乃至4000Kの範囲内であり、演色評価数Raが80又はそれ以上であり、且つ高い照明効率であるような非常に良好な工学的特性を持つ。
【０００４】
明細書及び請求の範囲で、「セラミック壁」という言葉は、例えばサファイア又は濃密に焼結した多結晶質のAl₂O₃のような酸化金属、又は例えばAINのような窒化金属で出来た壁を言うと理解されたい。放電容器は、充填材料として１つ以上のハライド金属と少なくとも１つの希ガスとを含む。加えて、この既知のランプは、充填物として水銀を含む。このランプは、放電容器の小さな寸法を考慮すると小型化にとても適しているように見えるけれども、分離した回路ユニットがこのランプを動作させる必要のために残っている。これは、ランプの広範な応用を妨げる不具合である。
【０００５】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記不具合を除去する手段を提供することを目的とする。本発明によると、冒頭に述べた種類のランプは、この目的のためにさらに、電気的回路ユニットを具備することを特徴とする。前記ランプ内にこの電気回路を組み込むことは、このランプが公的電源に直接接続できることを達成する。このことは、ランプの応用の可能性を飛躍的に増大させる。しかしながら、前記回路ユニットが電気的ユニットであることがこのための要件である。これらの条件の下だけで前記回路ユニットの小型化、従って前記ランプの充分な小型化が実現できるからである。
【０００６】
前記回路ユニットからの高周波供給源により高い周波数でランプを動作することは、小型化の可能な最適利用のために好ましい。好ましくは、前記ランプは、音響共振によるランプの不安定性が起こる可能性をできるだけ防ぐために最大40kHzの周波数で動作される。他方、前記ランプは、好ましくはノイズの害を防止するために少なくとも19kHzの周波数で動作される。
【０００７】
メタルハライドランプの場合のように放電容器の複雑な充填の場合でも、放電容器の製造時にとても正確で再製できる寸法合わせを通じて音響共振なしに動作できるような再製できるやり方で、ランプを製造できることがわかった。放電容器の製造時にとても正確で再製できる寸法合わせのこの要件は、放電容器がセラミック壁を持つならば所望の程度の小型化と協力してやっと満足できることがわかった。この観点から、放電容器は放電空間を封止し内長Ｌを持つ円柱部を持ち、上記放電容器が上記放電空間の領域で内径Ｄである円形の横断面を持ち、Ｌ≦Ｄ≦1.2Lを満たすことが、好ましいことがわかった。ランプの動作中放電容器に生じ得る最小の長手方向共振周波数は、可能な最小の周波数を持つ半径又はアジマス共振と匹敵する値を持つことがわかった。
【０００８】
小型化及び応用可能性の更なる拡がりは、ランプが30Wを越えない定格を好ましくは持つことで実現できる。放電容器により封止された放電空間が、最大33mm³の容積を持つことが好ましい。ランプの有利な実施例では、放電容器は、放電空間を封止し最大3.5mmの内長Ｌを持つ円柱部を有する。この場合、可能な最大の長手方向の共振周波数が60kHzより低くないことがわかった。
【０００９】
半径又はアジマス共振は、放電容器が放電空間の領域で最大3.5mmの内径Ｄである円形横断面を持つならば、67kHzまたはそれ以上の可能な最大周波数を持つことがわかった。
【００１０】
本発明による上記ランプに使用される特に適した回路ユニットは、ハーフブリッジコンバータを有する回路ユニットである。このハーフブリッジコンバータは、切換周波数で導通、非導通を択一的に行う２つの主切換手段を有する。この主切換手段のこの切換周波数は同時に上記ハーフブリッジコンバータの切換周波数を形成する。この回路ユニットは、たった２つの主切換手段を持つ簡易な構成のため、小型化に良く、したがってランプに組み込むことができる。
【００１１】
ランプ点火のために、上記ハーフブリッジコンバータは、ランプが点火されないときに共振周波数近くの振動状態に入るLC回路を具備する。好ましくは、この振動は、上記ハーフブリッジコンバータの切換周波数の第３次高調波で起こる。これにより生じる電流の値が比較的に制限されたままになるからである。
【００１２】
本発明による上記ランプのさらに好ましい実施例では、回路ユニットは、ハーフブリッジコンバータを制御するための制御回路を具備し、この制御回路は上記ハーフブリッジコンバータの切換周波数に影響を与える手段を具備する。このことで、LC回路間の高電圧の発生が生じることをランプ点火中徐々に生じさせるようにできる。このことは、長いランプ寿命、特に電気回路ユニットの上記制御回路の長い寿命を達成するために良い。好ましくは、上記ハーフブリッジコンバータの上記切換周波数の第３次高調波は、上記LC回路の共振周波数より僅かに高い。上記ハーフブリッジコンバータの切換周波数に影響を与えるための手段により切換周波数は始めに一時的に高い値が与えられるということで、上記LC回路間に起こる電圧が始めに制限されたままであり、上記LC回路は常時上記ハーフブリッジコンバータのための誘導負荷を形成することが達成される。
【００１３】
主切換手段を持つハーフブリッジコンバータを有する上記電気的回路ユニットは、ランプから分離できる別個のアダプタに組み込まれるためと同様にランプに組み込まれるためにも適している。
【００１４】
放電容器への複数の電流導体が等しくない長さであるならば、LC回路の共振を通じて発生する高電圧がより短い長さを持つ電流導体に与えられるべきであるという信頼性のあるランプ点火を達成するために好ましい。
【００１５】
放電容器の充填物は、ハライド金属の代わりに、動作状態で白光を放射する高圧ナトリウムランプをランプが形成するような量のNaを有してもよい。このようなランプは、例えば米国公報第4,475,061号及び第5,097,176号から知られている。
【００１６】
好ましくは、本発明による上記ランプは、反射型ランプである。この反射型は同時に、電気回路ユニットに対する適切な熱除けを構成する。
【００１７】
他の有利な実施例では、電気回路ユニットは、本発明による高圧放電ランプを点火し動作させるために適していて、この電気回路ユニットは放電容器を通る一定極性の電流を生成するための主切換手段を具備する。従って電流（DC）動作するランプは、回路ユニットが非常に簡易な構成であり、従ってとてもコンパクトであり、ランプに組み込むのに非常に適しているという利点を持つ。ランプの直流電流動作のための電気回路ユニットはまた、ランプから着脱可能な別個のアダプタに組み込まれるためにも適している。
【００１８】
本発明の上述の及び他の特徴は、図を参照して、以下に詳細に説明されるだろう。
【００１９】
図１及び図２は、実寸ではない。
【００２０】
【発明の実施の形態】
図１では、参照番号１は、セラミック壁31を持つ放電容器３と、少なくとも希ガス及び金属を有する充填物と、電気回路ユニット100とを具備する高圧放電ランプを示す。
【００２１】
上記放電容器は、透明なプレート12により閉じられて反射板13により形成される空間110内に位置する。この反射板は、カップ14によりランプキャップ15に留められている。電気回路ユニット100は、カップ14、反射板13及びランプキャップ15により区切られる空間内に収容されている。電気回路ユニット100は、電気的導体80、90によりランプキャップ15の接続接触部81、91に接続されている。
【００２２】
放電容器３は、図２に詳細に示される。上記放電容器は、電極４、５それぞれの電気的リード素子用にセラミックプラグ34、35を両端に有するセラミック壁31を有する。これらリード素子は、例えばMoで出来たハライド抵抗部41、51と、溶融セラミックシール10によりガス封止して各プラグ34、35に接続される部分40、50とをそれぞれ有する。上記部分40、50は、これら突き出ているプラグのものととても良く対応する膨脹係数を持つ金属から出来ている。例えばNbは、非常に適した金属である。上記部分40、50は、詳細には示されていないやり方で電気回路ユニット100と導通する電流導体８、９とそれぞれ接続される。上記放電容器は、放電空間11を封止する円柱部32を有する。円柱部32は、最大3.5mmの内長Ｌを持つ。上記放電容器は、上記放電空間の領域で最大3.5mmの内径Ｄを持つ円形の横断面を持つ。
【００２３】
上記放電容器によりこのように封止された上記放電空間は、最大33mm³の容積を持つ。Ｌ≦Ｄ≦1.2Lの関係は、上記放電容器にも満足される。
【００２４】
電気回路ユニット100は図３に詳細に示され、参照番号81、91は、前記ランプキャップの前記接続接触部を示す。Ｉはハーフブリッジコンバータであり、IIはこのハーフブリッジコンバータを制御するための制御回路であり、この制御回路は、上記ハーフブリッジコンバータの切換周波数に影響を与える手段IIIを具備する。上記制御回路は、上記ハーフブリッジコンバータの主切換手段と切換を止めるための手段IVも具備する。これにより、ランプ間、特に上記主切換手段と前記LC回路との間の電圧が、上記LC回路の共振の結果として受け入れられない程高くなることが防止できる。
【００２５】
上記ハーフブリッジコンバータは、前記制御回路から来る切換信号により、導通、非導通を択一的に為す２つの主切換手段21、22を有する。上記ハーフブリッジコンバータはまた、ブリッジキャパシタ23、24も有する。LC回路25は、点Ａと点Ｂとの間に接続され、インダクタンス26及びキャパシタ27を有する。放電容器３は、キャパシタ27と電気的に並列に接続される。インダクタンス26及びキャパシタ27の値は、上記LC回路の共振周波数が前記２つの主切換手段の切換周波数の第３次高調波とほぼ対応するが、より小さいように選ばれる。
【００２６】
前記制御回路は、切換信号の基を形成する制御IC30を有し、この切換信号により前記主切換手段は、導通、非導通を択一的に為す。インダクタンス26は、前記ハーフブリッジコンバータの前記主切換手段の切換を止めるための手段IVの一部を形成する。この目的のため、インダクタンス26は、２次巻き26aを持つ変成器28の１次巻きを形成する。２次巻き26aにより検出される電圧は、スイッチ33を導通させるための制御信号を形成し、これにより整流器ネットワーク及びRCフィルタの組み合わせ36を介して、制御IC30は遮断される。
【００２７】
例えば供給電源電圧の低下により消えたランプを素早く再点灯するために、上記組み合わせ36は好ましくは、付加のタイマー回路37を具備し、このタイマー回路37によりある期間後非導通となって、前記制御ICが再び動作可能になる。
【００２８】
前記主切換手段の切換周波数において、始めの一時的な増大を達成するために役立つ前記手段IIIは、前記制御ICと接続されるタイマー回路を有する。実際上、前記タイマー回路は、スイッチ48により部分的に短い回路となるRC回路45により形成される。前記手段IIIは、スイッチ48により短い回路とできる前記RC回路の部分間の電圧降下が、前記部分が短い回路となっていない間切換周波数の増大を導くように、設計されている。
【００２９】
スイッチ48は、前記制御ICに供給するのにも役立つ補助の電圧源55から遅延ネットワーク49を介して供給される。
【００３０】
上述のランプの実施例は現実的には、定格20Wのランプである。
【００３１】
前記放電容器は、内長3mm、内径3mmである円形の横断面の円柱部を有する。このように封止された放電空間は、Hgに加えて、ハライド金属NaJ、TIJ及びDyJ₃を有する。前記放電容器はさらに、点火ガスとしてArを有する。
【００３２】
反射板13により形成され、透明プレート12により閉じられた空間は、N₂及びKrの混合物を含む充填物を有する。前記放電容器は、（図示されない）石英ガラスのスリーブにより狭く封止される。前記ランプにより放射された光は、通常の演色評価数Raが87であり、色温度T_cが3000Kである。照明効率は、651m/Wである。
【００３３】
電気回路ユニット100のハーフブリッジコンバータＩは、ランプ動作中24kHzの切換周波数を持つ。このランプが適切な供給源と接続されるとき、前記切換周波数は、始めに28kHzまで上昇する。遅延ネットワーク49は、一時的に上昇した切換周波数が10ms後に24kHzの切換周波数に変化するような大きさである。International Rectifier製IR2151が、制御IC30として用いられる。本発明によるランプに用いるのにとても適した他のICは、SGS Thomson製L6569である。
【００３４】
主切換手段2L22は各々、International Rectifier製IRF720のMOSFETにより形成される。ブリッジキャパシタ23、24は各々、220nFの容量値を持つ。インダクタンス26は、自己誘導値3mHを持ち、キャパシタ27は、1.8nFの値を持つ。
【００３５】
前記ランプは、120V、60Hzの供給源で動作するのに適していて、この目的のために前記電気回路ユニットは、ランプ接続接触部81、91とハーフブリッジコンバータ100との間に配された既知の（図示されていない）電圧上昇ネットワークを有する。前記ハーフブリッジコンバータは、前記ランプが前記適切な供給源に接続された後で28kHzの高めの周波数でスイッチング（切換）を始める。前記LC回路の発振は、この間で500Vの振幅を持つ前記放電容器間電圧を導く。10ms後、前記切換周波数は24kHzまで徐々に減少し、前記LC回路は共振状態に入り、1200Vの振幅を持つ最大電圧が前記放電容器間に生じる。前記制御ICは、前記ランプが点火に失敗したならば50ms後に前記手段IVにより切られる。400ms後、タイマー回路37は、スイッチ33を非導通にし、前記制御ICは再び動作可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明に係るランプを示す。
【図２】図１のランプの放電容器を示す。
【図３】図１のランプの回路ユニットの回路図である。

Claims (9)

1. 放電空間を封止するセラミック壁を持つ放電容器と、少なくとも希ガス及び金属を有する充填物を具備する高圧放電ランプにおいて、さらに、少なくとも19kHzの周波数で動作する電気回路ユニットを当該ランプ内に具備し、この高圧放電ランプは最大40kHzの周波数で動作され、前記放電容器が最大33mm³の容積を持って前記放電容器の共振周波数が60kHzより低くないことを特徴とする高圧放電ランプ。
2. 請求項１に記載の高圧放電ランプにおいて、この高圧放電ランプが最大30Wの定格を持つことを特徴とする高圧放電ランプ。
3. 請求項１又は２に記載の高圧放電ランプにおいて、前記放電容器が前記放電空間を封止し内長Ｌを持つ円柱部を有し、前記放電容器が前記放電空間の領域で内径Ｄを持つ円形横断面を有し、Ｌ≦Ｄ≦1.2Lの関係が満たされていることを特徴とする高圧放電ランプ。
4. 請求項１に記載の高圧放電ランプにおいて、前記放電空間を封止する前記円柱部の前記内長が最大3.5mmであることを特徴とする高圧放電ランプ。
5. 請求項４に記載の高圧放電ランプにおいて、前記放電容器が、前記放電空間の前記領域で最大3.5mmの内径Ｄを持つ円形横断面を持つことを特徴とする高圧放電ランプ。
6. 請求項１乃至５のいずれか一項に記載の高圧放電ランプを点火し動作させるために適する電気回路ユニットにおいて、前記回路ユニットは主切換手段を具備したハーフブリッジコンバータを有し、前記ハーフブリッジコンバータは、切換周波数を持ち、前記高圧放電ランプが点火されないときランプ点火のために共振周波数近傍の振動状態に入るLC回路を具備することと、前記共振周波数が前記ハーフブリッジコンバータの前記切換周波数の第３次高調波近傍にあることとを特徴とする電気回路ユニット。
7. 請求項６に記載の電気回路ユニットにおいて、前記切換周波数が一時的に高めの値を始めに持つようにして、前記ハーフブリッジコンバータの前記切換周波数に影響を与える手段があることを特徴とする電気回路ユニット。
8. 請求項６又は７に記載の電気回路ユニットにおいて、前記回路ユニットが前記主切換手段を切り換えるための制御回路を具備し、当該制御回路が前記ハーフブリッジコンバータの前記主切換手段を止めるための手段を有することを特徴とする電気回路ユニット。
9. 請求項１乃至５の何れか一項に記載の高圧放電ランプを点火し動作させるために適する電気回路ユニットにおいて、前記放電容器を通る一定極性の電流を生成するための主切換手段を具備することを特徴とする電気回路ユニット。

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