JP3549840B2 - 引き裂き可能な鞘のための係止装置 - Google Patents

Description

【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、鞘の係止装置に関する。より特別には、本発明は、引き裂くことができる鞘を使用してカテーテルを患者の体内に進入させ且つ鞘係止装置が鞘を固定して所望のカテーテル挿入長さを維持するようになされたカテーテル挿入アセンブリと共に使用されるタイプの一部品からなる鞘係止装置に関する。
【０００２】
背景
流体を注入又は抜き取るために患者の体内にカテーテルを導入するための無数の装置が存在する。このような装置の一つの分類は、長さを長くすることができるカテーテル、挿入針及びウィング（翼状部分）付きのカテーテル挿入部材を有するカテーテルアセンブリを含んでいる。一般的なカテーテル配置キットにおけるように、挿入針は、針の先端がカテーテルの先端から延びるようにして、カテーテルの内側に配置される。このような装置においては、カテーテルの基端は、通常は、端部がハブで終わっている。針にはワイヤが取り付けられ且つカテーテルの中にねじ止めされる。ワイヤは、端部が、ハブに対して取り外し可能に取り付けられているノブで終わっている。
【０００３】
カテーテルと針の末端の近くには挿入器が存在する。この挿入器は、一般的には、カテーテル技術において広く使用されているものと似たウィング構造を有している挿入器である。挿入器の中心にはガイド導管が設けられている。カテーテルと針とは、ガイド導管の内部に配置され且つ挿入器の内側を通過せしめられる。
【０００４】
鞘は、挿入器の近くからハブまで続いているカテーテルの長さに亘ってカテーテルの外周に配置される。この鞘は引き裂くことができる。例えば、鞘は、弱く作られるか又はその長手軸線に沿って部分的なスリットを有する。作動時に、鞘が前方に引っ張られると、鞘内のカテーテルもまた前方に動かされる。これによって、単に鞘を前方に引っ張ることによって、カテーテルを患者の体内に挿入させることができる。これと同時に、鞘は、スリットに沿って開かれ且つ挿入器構造の末端側に配置されている鞘剥ぎ取り手段によってカニューレから取り外される。このようにして、鞘は、カニューレが挿入器内を移動して患者の体内へと入る前に引き裂かれ且つカニューレの周囲から除去される。
【０００５】
引き裂き可能な鞘を使用するカテーテルアセンブリが当面している問題は、如何にしてカテーテルが患者の体内に適正に配置された後に鞘を確実に係止するかということである。引き裂き可能な鞘を係止するための一つの公知の装置が、Ｂａｌｂｉｅｒｚに付与された米国特許第４，８４０，６１３号に開示されている。この特許は、二部品からなる係止機構を開示している。この係止機構は、挿入器によって担持された第１の係止部材と、挿入器とハブとの間で鞘の周囲に配置された摺動可能な第２の係止部材と、を含んでいる。第１及び第２の係止部材は、相互に連結可能である。この係止機構は、鞘とカテーテルとが所望の位置に進入せしめられた後に定位置に固定するために使用される。
【０００６】
第１及び第２の係止部材は、一緒に係止されたときに、鞘の動きを抑制するために、これらの一体となった構造内に鞘を挟むか又は圧縮することができるように十分に緊密な公差で製造される。
【０００７】
鞘が容易に引っ張ることができてカテーテルを適正に位置決めできるようにし且つ同鞘をこのような所望の位置に確実に係止することは、当該技術において前進である。このような鞘係止装置が本明細書に開示され且つ請求されている。
【０００８】
発明の概要
本発明は、引き裂き可能な鞘と共に使用するための鞘係止装置に関する。この鞘係止装置は、幅の広い傾斜が付けられていない端部から幅が狭い傾斜が付けられた端部まで延びている傾斜が付けられた孔を含んでいる。係止ボックスが、傾斜が付けられた孔の幅が狭い傾斜が付けられた端部に隣接して配置されている。この係止ボックスは、鞘が係止ボックス内に配置されると、同鞘を把持し且つ保持する複数の歯を有しているのが好ましい。
【０００９】
使用時に、鞘は傾斜が付けられた孔を通過する。鞘は、広い傾斜が付けられていない端部に配置されているときは自由に動くことができるが、傾斜が付けられていない端部から係止ボックス内へと傾斜が付けられた孔内を移動するときには、確実に係止される。
【００１０】
好ましい実施形態においては、傾斜が付けられた孔は、狭い傾斜が付けられた端部において係止ボックス内に突出している２つの歯を形成している２つの傾斜が付けられた壁部分によって形成されている。この係止ボックスは、同係止ボックス内へ突出して鞘のための高い把持力を提供する付加的な歯を含むことができる。これらの歯は、係止ボックスを形成するために種々の形状で配列することができる。例えば、歯は、係止ボックスの周囲に長円形又は円形に配列することができる。別の方法として、複数の歯を、係止ボックスの周囲に矩形又は四角形形状に配列することができる。
【００１１】
現在の好ましい実施形態においては、鞘係止装置は、血管内に挿入されるような形状になされたカテーテルと、同カテーテルを血管内に導入する形状とされたカテーテル導入器と、を有するカテーテル導入器アセンブリと共に使用される。引き裂き可能な鞘は、その基端からカテーテル導入器までカテーテルを取り巻いている。カテーテルの基端と鞘とは、鞘の動きがカテーテルの動きを生じさせるように取り付けられている。カテーテル導入器に隣接して配置された鞘スプリッタは、鞘を引き裂き且つカテーテルから分離して、鞘の末端とカテーテルとが分離するようにする形状とされている。鞘の末端とカテーテルとが分離し且つ鞘とカテーテルとの基端が相互に付いている状態で、鞘の末端を引っ張ることによって、カテーテルの末端は、患者の血管内へと進めることができる。カテーテルが患者の血管内の所望の位置まで進められた後に、鞘は、傾斜が付けられた端部から係止ボックス内へ傾斜が付けられた孔の中を移動させることによって係止される。
【００１２】
発明の説明
以下、図面を参照しつつ本発明を説明する。図１は、ウィング付きのカテーテル導入器アセンブリ１２と組み合わせられた本発明の範囲に含まれる鞘係止装置１０を示している。このカテーテル導入器アセンブリは、細長いカテーテル１４を患者の脈管組織内に位置決めするような形状とされている。この装置はまた、カテーテル１４の末端１８の近くに設けられたカテーテル挿入器１６と、カテーテルの基端２２の近くに設けられたハブ２０と、を含んでいる。針２４は、カテーテルの内側に配置される。針２４は、最初に、針の先端がカテーテル１４の末端１８から突出するように位置決めされる。
【００１３】
針２４は、ワイヤ（図示せず）に取り付けられるのが好ましい。ワイヤは、カテーテルの内側に配置され且つ種々の形態を採り得るハンドル２８への装置の基端に取り付けられている。一度針２４が患者の体内にカテーテル１４を挿入するために使用されると、針２４は、ハンドル２８を引っ張り、これに次いで針２４に取り付けられたワイヤを引っ張ることにより、装置から完全に取り除かれる。この方法においては、針２４は、カテーテル１４の中を基端方向に動き、最後に装置の基端から出て行く。カテーテル導入器アセンブリ１２はまた、装置の基端の近くに取り付けられた針容器３０をも含んでいる。容器３０は、針がカテーテル１４から引っぱり出されるときに針２４が容器３０内に受け入れられるような形状とされている。ハブ２０は、当該技術において公知であり且つ使用されるもののようなルアー型の係止機構又はその他のタイブのねじ止め機構を含んでいるのが好ましい。この装置はまた、ハブと針容器との間に配置されたプラグ（図示せず）をも含んでいても良い。プラグは、針とワイヤとがその中を移動するのを許容し、しかもカテーテルからの流体の流れを阻止する開口を有している。プラグを使用することにより、カテーテルとＩＶ流体のような流体源とを、カテーテルからの制御されない流れを経験することなく取り付ける準備をすることができる。
【００１４】
ウィング付きのカテーテル導入器アセンブリ１２の末端近くに配置されたカテーテル挿入器１６は、当該技術において通常使用されるタイプのウィング３２を有しているのが好ましい。挿入器１６は、カテーテル１４が通過することができる程十分広い導管３４を中心に含んでいる。装置のウィング３２が締め付けられると、導管３４の内側のカテーテル１４と針２４とは、定位置にしっかりと保持される。ウィング３２が解放されると、カテーテル１４と針２４とは、導管３４の内部を動くことができる。
【００１５】
ウィング付きのカテーテル導入器アセンブリ１２は、ハブ２０から鞘係止装置１０までカテーテル１４を包囲している引き裂き可能な鞘３６を含んでいるのが好ましい。鞘３６の基端３８は、例えば、ハブ２０においてカテーテルの基端２２に結合されるのが好ましい。鞘３６の末端４０は、鞘係止装置１０の中を通過する。
【００１６】
図２に図示されているように、カテーテルの末端１８は、（矢印Ｂによって示されているように）鞘の末端４０を引っ張ることによって（矢印Ａによって示されるように）患者の血管内に進入せしめられる。鞘３６が鞘係止装置１０の中を通過するとき、鞘３６は、開裂してカテーテル１４の外周から除去される。このようにして、カテーテル１４は、制御され且つ殺菌された方法で患者の体内に挿入することができる。
【００１７】
図３及び４を参照すると、鞘係止装置１０は、幅の広い傾斜が付けられていない端部４６から、幅の狭い傾斜が付けられた端部４８まで延びている傾斜が付けられた孔４４を含んでいる。係止ボックス５０が、傾斜付きの孔４４の狭い傾斜が付けられた端部４８に隣接して配置されている。係止ボックス５０は、鞘３６が係止ボックス５０内に位置決めされると、同鞘３６を把持し且つ保持する複数の歯を有している。
【００１８】
使用時に、鞘３６は、傾斜が付けられた孔４４を通過する。鞘３６は、幅の広い傾斜が付けられた端部４６に配置されているときには自由に動くが、傾斜が付けられていない端部４６から係止ボックス５０内へと傾斜が付けられた孔４４内を移動せしめられるときにはしっかりと係止される。
【００１９】
好ましい実施形態においては、傾斜が付けられた孔４４は、幅が狭い傾斜が付けられた端部４８において係止ボックス５０内へと突出している２つの歯５２を形成している２つの傾斜が付けられた壁部分５４によって形成されている。係止ボックス５０を形成するために、複数の歯５２を種々の形状で配列することができる。例えば、歯５２は、図４に示されているように、係止ボックス５０の周囲に長円又は円形形状で配列することができる。別の方法として、図３に示されているように、複数の歯５２を係止ボックス５０の周囲に矩形形状又は四角形形状に配列することができる。簡単な圧入形状を含む鞘を把持するための他の手段を使用することができることが理解されるであろう。
【００２０】
作動時には、カテーテル挿入器１６のウィング３２は相互に締め付けられる。これによって、静脈穿刺中にカテーテル１４及び針２４を定位置に保持するための充分な力が同カテーテル１４及び針２４にかかる。一度血管穿刺がなされると、カテーテル１４の末端１８もまた、同血管内に挿入される。この時点で、装置の基端に設けられたハンドル２８を引っ張ることによって、針２４を引き抜くことができる。ワイヤは、針が針容器３０内に固定されるまで、カテーテル１４内を基端方向に引っ張る。ハンドル２８と容器３０とは、ハブ２０から取り除くことができる。
【００２１】
カテーテル１４は、血管内に進入させることができる。この進入は、図２に示されているように、鞘の末端４０を引っ張ることによってなされる。鞘３６が末端方向に動くと、カテーテル１４もまた血管内へと末端方向に動く。これと同時に、鞘３６は、引き裂かれてカテーテル１４の周囲から取り除かれる。必要ならば、カテーテル１４は、脈管構造を阻害するのを避けるため又は所望の挿入位置を得るために、基端方向に再配置することができる。一度カテーテル１４が適正に位置決めされると、鞘３６は、係止ボックス５０内へと滑り込ませることによって、鞘係止装置１０内に係止される。流体ラインは、流体がカテーテル１４を通って患者の体内に導入され得るように、装置の末端においてハブ２０に取り付けることができる。
【００２２】
図５及び６は、鞘係止装置１０を断面で示している。図５においては、鞘３６は、孔４４の幅の広い傾斜が付けられていない端部４６を貫通している状態で示されている。図５に示されている状態のとき、カテーテル１４は、図２に示されているように、鞘の末端４０を引っ張ることによって、患者の体内の所望の距離まで進入せしめられる。鞘３６は、鞘係止装置１０を通過するときに開裂する。カテーテル１４の約５ｃｍが患者の血管内に進入せしめられたとき、カテーテル１４は、装置からあらゆる空気を排除するために吸引され且つ開放を確実なものとするために洗い流される。カテーテル１４は、更に所望の位置まで進入せしめられる。一度カテーテルが適正に位置決めされると、鞘３６は、図６に示されているように、鞘３６及びカテーテル１４の動きを防止するために、係止ボックス５０内に係合せしめられる。余分の鞘３６は切り取ることができる。
【００２３】
カテーテル１４が患者の体内へ深く進入せしめられ過ぎるのを防止するために、基端の鞘バンド５６が、鞘の基端３８に設けられている。同様のバンド５７が、鞘３６の末端４０に配置されている。
【００２４】
図５及び６はまた、鞘係止装置１０内に配置されている金属スリーブ５８をも図示している。スリーブ５８は、カテーテル１４がスリーブ５８内に嵌合し、一方、スリーブ自体が鞘３６内に嵌合するような大きさになされている。スリーブ５８は、鞘３６を引き裂く際に含まれる応力からカテーテル１４を保護する。これはまた、鞘３６を引き裂く助けともなる。鞘係止装置内の傾斜面６０は、鞘の末端４０を鞘係止装置１０からガイドする。傾斜した面６０は、開裂された鞘３６をカテーテル１４から分離する助けとなる。
【００２５】
本発明は、簡単でしかもカテーテルを適正に位置決めするように鞘を容易に引っ張ることができるようにし且つ鞘があらゆる所望の位置に確実に係止されるのを可能にする、効率の良い鞘係止装置を提供することが理解されるであろう。ここに開示された鞘係止装置は、鞘を固定するために２つの別個の係止部材が相互に結合されるのを必要としないことを意味する一体部分からなる係止装置である。この鞘係止装置は、患者の体内へのカテーテルの正しい配置を可能にし、一度適当なカテーテルの配置が得られると、鞘係止装置は、確実にカテーテルの配置を維持する。
【００２６】
本発明は、その基本的な特徴から逸脱することなく、他の特別な形態で実施化してもよい。ここに記載した実施形態は、全ての点において例示的なものであり且つ限定的なものではないと考えられるべきである。従って、本発明の範囲は、上記の説明よりもむしろ添付の請求の範囲によって示されている。
【図面の簡単な説明】
【図１】ウィング付きのカテーテル導入器アセンブリと組み合わせて使用される本発明の範囲に含まれる鞘係止装置の斜視図である。
【図２】鞘を前進させることによって、カテーテルもまた進入せしめられることを示している、本発明の範囲内に含まれる鞘係止装置の拡大斜視図である。
【図３】一つの係止ボックスの実施形態を示している鞘係止装置の拡大上面図である。
【図４】もう一つ別の係止ボックスの実施形態を示している鞘係止装置の拡大上面図である。
【図５】非係止状態の鞘を示している、鞘係止装置の断面図である。
【図６】係止状態の鞘を示している、図５の鞘係止装置の断面図である。

Claims (8)

1. カテーテル導入器アセンブリ（１２）であって、
   血管内に挿入される形状とされた末端と、基端と、を有するカテーテル（１４）と、
   カテーテル（１４）がその中を通過して血管内に導入されるためのカテーテル導入器（１６）と、
   カテーテル（１４）の基端からカテーテル導入器（１６）まで同カテーテル（１４）の周囲を取り巻くように設けられた引き裂き可能な鞘（３６）であって、カテーテル（１４）の基端に固定された基端と、末端と、を有する鞘（３６）と、
   カテーテル導入器（１６）の基端側に隣接して配置された鞘係止装置（１０）であって、鞘（３６）がその中を通過できるように幅の広い傾斜が付けられていない端部（４６）から幅の狭い傾斜が付けられた端部（４８）まで延びている傾斜が付けられた孔（４４）と、幅が狭い傾斜が付けられた端部（４８）に隣接して配置された係止ボックス（５０）と、を含み、鞘（３６）が幅の広い傾斜がつけられていない端部（４６）を通過せしめられて引っ張られると、カテーテル（１４）が一緒に引っ張られると同時に、鞘（３６）が引き裂かれ、カテーテル（１４）のみがカテーテル導入器（１６）内へと進入せしめられるようになされ、鞘（３６）が係止ボックス（５０）内に配置されると、鞘（３６）は把持され且つ固定されるようになされた鞘係止装置（１０）と、を含む、カテーテル導入器アセンブリ。
2. 請求項１に記載のカテーテル導入器アセンブリ（１２）であって、
   前記傾斜が付けられた孔（４４）に、前記係止ボックス（５０）内に突出している２つの歯（５２）を形成している２つの傾斜が付けられた壁部分が設けられている、カテーテル導入器アセンブリ。
3. 請求項１に記載のカテーテル導入器アセンブリ（１２）であって、
   前記係止ボックス（５０）が、前記鞘（３６）を把持し且つ保持する複数の歯（５２）を含んでいる、カテーテル導入器アセンブリ。
4. 請求項３に記載のカテーテル導入器アセンブリ（１２）であって、
   前記複数の歯（５２）が、前記係止ボックス（５０）の周囲に楕円形状又は円形形状に配列されている、カテーテル導入器アセンブリ。
5. 請求項３に記載のカテーテル導入器アセンブリ（１２）であって、
   前記複数の歯（５２）が、前記係止ボックス（５０）の周囲に矩形形状又は四角形形状で配列されている、カテーテル導入器アセンブリ。
6. 請求項１に記載のカテーテル導入器アセンブリ（１２）であって、
   患者の血管を穿刺するのを容易にするために前記カテーテル（１４）内に設けられた挿入針（２４）を更に含む、カテーテル導入器アセンブリ。
7. 請求項６に記載のカテーテル導入器アセンブリ（１２）であって、
   前記カテーテル導入器（１６）が、相互に折り畳まれたときに、前記カテーテル（１４）と針（２４）とをしっかりと把持する一対の曲げ可能なウィング（３２）を含んでいる、カテーテル導入器アセンブリ。
8. 請求項６に記載のカテーテル導入器アセンブリ（１２）であって、
   前記鞘係止装置（１０）が、前記引き裂き可能な鞘（３６）内に部分的に配置された堅固なスリーブ（５８）を更に含み、同スリーブ（５８）は、カテーテル（１４）がその中を通過するのを許容する大きさ及び形状とされている、カテーテル導入器アセンブリ。

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