JP3549793B2 - 磁気ヘッド支持機構 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、光磁気記録媒体に対して接触摺動して光磁気記録を行なう光磁気記録用摺動型の磁気ヘッドの支持機構に関する。
【0002】
【従来の技術】
光磁気ディスクおよび従来の磁気ヘッド支持機構について、図8〜図10を参照して、以下説明する。
【0003】
光磁気ディスクは書換え可能という利点を持つ大容量ディスクとして注目されており、近年特に磁界変調方式を用いたMD(ミニディスク)の普及がめざましい。この光磁気ディスクの構成について図8を参照して説明する。
【0004】
光磁気ディスク60は、PC(ポリカーボネート)などからなる光磁気ディスク基板61上に、AlNからなる保護膜62を介して光磁気記録層63が設けられる。この光磁気記録層63上に、再びAlNの保護膜62とAlなどからなる反射膜64を設け、さらに、この反射膜64上に紫外線硬化樹脂からなる樹脂保護膜65を形成したものとなっている。MDの場合は、接触摺動型の磁気ヘッドを用いるため、さらに、樹脂保護膜65上にシリコンオイルなどの潤滑性の高い潤滑膜66を塗布している。
【0005】
次に、図9を参照して、磁気ヘッド20の構成について以下説明する。磁気ヘッド20は、エナメルもしくは磁性メッキを施した線径φ40μm〜φ80μmの導電性材料からなるコイル21をボビン22に巻回し、それを材質がMnZnフェライト(マンガンジンクフェライト)、NiZnフェライト(ニッケルジンクフェライト)よりなる略E字型や断面T字型に成型された磁気ヘッドコア23の中心磁極コアに取り付けて形成されるものである。
【0006】
また、形成された磁気ヘッド20は、図10に示すように、光磁気ディスク60に直接接触する部分である摺動部26を有する磁気ヘッドスライダー部25に一体に取り付けられ磁気ヘッドユニット27を構成する。この磁気ヘッドスライダー部25は低摩擦係数の材料から金型で形成され、その材料としてはポリアリレートやナイロン、ポリエステルなどの高分子材料のほかにセラミックなどが用いられる。また、別の方法として、磁気ヘッドスライダー部25を別の材料で形成し、光磁気ディスク60と接触する摺動部26にテープ状の低摩擦係数の材料を用いてこれを磁気ヘッドスライダー部25に貼ることによって同様の効果を得てもよい。
【0007】
次に、図11を参照して、磁界変調方式について説明する。前述した光磁気ディスク60をはさんで、一方にはレーザ光を照射する光ピックアップ50、他方には、レーザスポット位置に合わせて移動する前述した磁気ヘッドユニット27の内部に設けられる磁気ヘッド20を配置し、この磁気ヘッド20の磁界発生方向を記録信号に合わせて反転させることにより、光磁気ディスク60上に信号を記録していく。さらに、この磁気ヘッド20と磁気ヘッドスライダー部25は、ディスクの面振れ、ディスク上のゴミ、こぶなどに追従して移動可能とするために、通常厚さ30〜100μmの薄金属からなる弾性部材28により、3〜10mNの予圧がかけられて支持されている。また、この弾性部材28の一端は固定部29により固定支持されている。
【0008】
そして、この固定部29は、略コの字型の磁気ヘッドアーム30により、光ピックアップ50と連結して支持されている。
【0009】
信号を記録するための発生磁界は、磁気ヘッド20と光磁気ディスク60との距離に大きく依存しており、その距離が離れるほど、光磁気ディスク60上に所定の磁界を発生させるためには、磁気ヘッド20により多くの電流を流す必要がある。そのため、磁気ヘッド20と光磁気ディスク60との間の距離は可能な限り近づける必要がある。
【0010】
そこで、図10に示すように、磁気ヘッド20を内部に有している磁気ヘッドユニット27には、摺動性の高い材料で設けられた摺動部26とそれ以外の部分に通常20〜100μmになるように段差hが設けられている。そして磁気ヘッド20が、直接光磁気ディスク60の潤滑膜66と接触することを防ぎつつ、摺動部26と潤滑膜66とを接触させることで、複雑な機構を必要とせず、ディスクと磁気ヘッドとの距離を一定に保つことができる。これは接触摺動型磁気ヘッド(または、摺動型磁気ヘッド)と呼ばれ、現在一般的に多く用いられている。
【0011】
従来の光磁気ディスクにおいては、以上の通り説明した接触摺動型の磁気ヘッド支持機構を用いて、光磁気記録を行っている。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
図10に示した従来の磁気ヘッドユニットを磁気ヘッド支持機構に採用した例を図12に示す。なお、磁気ヘッド支持機構とは、磁気ヘッドユニット27と、これを支持する弾性部材と、固定部とを含んだ機構をいうものとする。図12では、磁気ヘッド支持機構のうち磁気ヘッドユニット27の近傍のみを拡大して表示している。
【0013】
図13に示すように、磁気ヘッドユニット27の摺動部26がディスク上のゴミもしくはこぶなどの異物に衝突し、または乗り上げたときに、磁気ヘッドユニット27が上下に振動し、磁気ヘッドユニット端部33が光磁気ディスク60と衝突して光磁気ディスク60に損傷を与えたり、磁気ヘッドユニット27が上に跳ね上げられることにより、磁気ヘッド20と光磁気ディスク60との距離が離れてしまい、光磁気ディスク60の記録面上の磁界強度が低下する結果、良好な記録ができなくなるという問題がある。
【0014】
この問題に対して、特許番号2878918号で提案された機構がある。同号特許では、図14に示すように、摺動方向に垂直方向であって磁気ヘッド重心12をはさむように複数の摺動部11a,11bを配置し、それぞれの摺動部上に第1および第2の弾性部材として板ばね10a,10bを配置するとともに、磁気ヘッド13の直上にも第3の弾性部材として板ばね10cを設けるという構成をとる例が挙げられている。同号特許によれば、このような構成にすることにより、磁気ヘッド部の重心12を通るディスク面に垂直な直線を回転中心とする変位に対しては、摺動部に設けられた板ばね10a,10b(第1および第2の弾性部材)により抑えることが可能となり、磁気ヘッド部の上下方向の動揺に対しては、磁気ヘッド13の直上に配置した第3の弾性部材としての板ばね10cにより抑えることができるという効果が挙げられている。図14に示す構成であれば、摺動方向に対し垂直方向に並んで摺動部11a,11bが設けられているため、図12に示した構造における場合のように、磁気ヘッドユニット端部がディスク面に衝突するほどに磁気ディスクヘッドが上下に振動することはない。
【0015】
しかし、一般にディスクのエッジは盛り上がっているため、図14に示すように、摺動方向に対し垂直方向に並んで摺動部11a,11bが設けられている横造では、ディスク最外周の記録を行う場合に、ディスク外周に位置する摺動部11a,11bがディスクエッジに乗り上げてしまい、磁気ヘッド13とディスクとの接触が保たれず、記録を行えないという問題が生じる。
【0016】
さらに、従来の磁気ヘッド支持機構においては、磁気ヘッド20の記録周波数が上がるにつれて磁気ヘッドコイル21及び磁気ヘッドコア23の発熱が大きくなるが、磁気ヘッドコア23と接している磁気ヘッドスライダー部25に用いられている摺動特性の優れた材料は、一般的に熱伝導率が低く、磁気ヘッドコア23の熱を効率良く逃がすことができない。その結果、磁気ヘッドコア23の温度が上昇して透磁率が低下するために磁気ヘッド20の発生磁界が低下するのみならず、磁気ヘッドコイル21の表面被覆が焼損してしまい、磁気ヘッド20が破損する恐れがあった。
【0017】
一方、同号特許では、磁気ヘッドの直上に第3の弾性部材としての板ばねを配置してはいるものの、発熱低減という点についての説明は無く、また、磁気ヘッド部で最も発熱する磁気ヘッドコアに板ばねを配置しているという記載もない。
【0018】
そこで、本発明では、磁気ヘッドコアのより効率良い放熱を可能にするとともに、ディスク面上のゴミやこぶなどの異物に磁気ヘッドユニットが衝突し、または乗り上げた際に発生する磁気ヘッドユニットの上下動や、外部からの衝撃にかかわらず、磁気ヘッドユニットの姿勢を安定に保つことができる磁気ヘッド支持機構を提供することを目的とする。
【0019】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明に基づく磁気ヘッド支持機構においては、磁気ヘッドユニットと、第1の弾性部材と、第2の弾性部材とを備え、上記磁気ヘッドユニットは、磁気ヘッドコアにコイルを巻回した磁気ヘッドと、摺動部とを含み、上記摺動部がディスクに接触することによって、上記磁気ヘッドを上記ディスクから一定の距離に位置させることができ、上記第1の弾性部材は、一端が固定部に接続され、他端が摺動部接続点において上記摺動部に接続され、弾性変形により上記磁気ヘッドユニットを上下動可能に支持し、上記第2の弾性部材は、一端が押圧点において上記磁気ヘッドコアに対して接触して上記ディスクに押付ける向きに付勢する。
【0020】
上記構成を採用することにより、磁気ヘッドユニットが異物に衝突した場合、第2の弾性部材によって下向きの荷重が作用するため、振動の振幅を小さくすることができる。また、第2の弾性部材が磁気ヘッドコアに接触しているので、第2の弾性部材として熱伝導率の高い材質を用いることで、磁気ヘッドコアからの放熱を効率良く行なうことができる。
【0021】
また、上記発明において好ましくは、上記摺動部接続点と、上記押圧点とが、略摺動方向に並んでいる。
【0022】
上記構成を採用することにより、押圧点における下向きの荷重が、異物衝突時の振動の振幅を低減するために効率良く作用することができる。
【0023】
さらに、上記発明において好ましくは、上記押圧点が、上記磁気ヘッドユニットの重心と上記摺動部接続点との間である。
【0024】
上記構成を採用することにより、通常の記録時に磁気ヘッドユニットの後端が下がることを回避できる。
【0025】
上記発明において好ましくは、一以上の補助摺動部を備え、上記摺動部と上記補助摺動部とが略摺動方向に並んでおり、上記磁気ヘッドユニットの重心が上記摺動部と上記補助摺動部との間にある。
【0026】
上記構成を採用することにより、磁気ヘッドユニットの端部がディスク面に衝突することを防止することができる。また、補助摺動部が存在することにより、第2の弾性部材による磁気ヘッドコアに対する押圧位置を磁気ヘッドユニット27の重心位置よりも補助摺動部側にとることも可能となり、設計の自由度が増す。
【0027】
上記発明において好ましくは、上記押圧点が上記磁気ヘッドユニットの重心よりも上記補助摺動部側にある。
【0028】
上記構成を採用することにより、異物70との衝突によって後端が跳ね上がるいわゆる飛び跳ね量を第2の弾性部材31が抑制しようとするモーメントはより大きくなり、振動振幅をより効果的に低減することができる。
【0029】
さらに上記発明において好ましくは、上記押圧点における上記第2の弾性部材の先端が曲面である。
【0030】
上記構成を採用することにより、磁気ヘッドユニットがディスク面に対して柔軟に回転運動でき、ディスクのうねりや面ぶれなどに柔軟に追従することができる。
【0031】
さらに上記発明において好ましくは、上記第2の弾性部材が非磁性材料からなる。
【0032】
上記構成を採用することにより、第2の弾性部材が磁気ヘッドコアに直接接触しても磁気ヘッドの磁気特性に影響を与えないため、磁気ヘッドの設計が容易となる。
【0033】
上記発明においてさらに好ましくは、上記第2の弾性部材が、銅、アルミニウムおよびカーボンからなる群から選択された一以上の材料を主成分とする。
【0034】
上記構成を採用することにより、第2の弾性部材の材質は非磁性でありかつ熱伝導率の高い材質となるため、磁気ヘッドの磁気特性に影響を与えることなく、放熱を効率良く行なうことができる。
【0035】
さらに上記発明において好ましくは、上記磁気ヘッドのコイル中心が、上記摺動部の重心に比べて上記ディスクの外周側にずれている。
【0036】
上記構成を採用することにより、ディスクエッジが盛り上がっていても、その影響を受けず、磁気ヘッドはより外周側に至るまで、ディスク面との間の確実な距離を保つことができる。
【0037】
【発明の実施の形態】
(実施の形態1)
(構成)
図1を参照して、本実施の形態における磁気ヘッド支持機構の構成について説明する。本実施の形態における磁気ヘッド支持機構においては、磁気ヘッド20、磁気ヘッドスライダ部25の各構成および両者の組合せ方については、従来技術に基づくものと同じである。
【0038】
本実施の形態における磁気ヘッド支持機構においては、図1(a),(b)に示すように、一部分が第1の弾性体28を構成する金属部材の、他の一部分を磁気ヘッドユニット27に向けて延在させ、折り曲げることによって第2の弾性体31を形成し、図2に示すように第2の弾性体31が磁気ヘッドコア23の上に直接接触して荷重を加える構成となっている。第2の弾性体31は、第1の弾性体28と一体であるため、部品点数を増やすことなく、磁気ヘッドコア23への荷重付与を実現することができる。一方、第1の弾性体28は、摺動方向(図1(a),(b)における左右方向)に沿って磁気ヘッドスライダー部25を支持するように形成されている。
【0039】
また、図14に示す構成において問題となったディスクエッジの盛り上がりに起因する磁気ヘッドとディスク面との離間の問題を解決するために、磁気ヘッドユニット27の中心線35に対し、対称になるように磁気ヘッドコア23を配置する一方、中心線35からディスク内周側にオフセットした位置に摺動部26が形成されている。これにより、磁気ヘッド20に対し摺動部26はオフセット分だけディスク内周側に位置することになるので、図14の構造に比べて、磁気ヘッド20はより外周側に至るまで、ディスクエッジの影響を受けず、磁気ヘッド20とディスク面との間の確実な距離を保つことができる。
【0040】
図1(a)に示すように、第2の弾性体31は、上方から見て、磁気ヘッドユニット27の中心線35上であって磁気ヘッドスライダー部25の重心となる位置を押圧しているので、オフセットした押圧位置を有する第1の弾性体28と併せて、摺動方向垂直方向に回転するモーメントを抑えることができる。
【0041】
この第1の弾性体28、第2の弾性体31は磁気ヘッドスライダー部25に用いられている材質よりも熱伝導率の高い材質であり、かつばね性が良好である材質であるならば何でもよいが、例えばBeCu(ベリリウム銅)やSUS304などが挙げられる。
【0042】
なお、この第2の弾性部材31の第1の弾性部材28に対する取付け位置としては、第1の弾性部材28の中でも剛性の高い部分、例えば、図1(b)に示すように、第1の弾性部材28を箱曲げ加工した部分34に設けるのが望ましい。
【0043】
(作用・効果)
(振動振幅の低減)
光磁気ディスク60上に存在するゴミやこぶなどの異物70が図2に示す磁気ヘッドユニット27の摺動部26に衝突し、または乗り上げた場合、図3に示すようにその衝撃で磁気ヘッドユニットの端部33が上下に振動する。磁気ヘッドユニット27が光磁気ディスク60から離れる方向に振動する際には、第2の弾性部材31による下向きの荷重が作用するため、生じる最大振動変位は低減される。その結果、振動の振幅は小さくなり、端部33のディスク面への衝突を起こりにくくすることができ、距離が広がることによる磁界強度も軽減することができる。
【0044】
なお、第2の弾性部材31の磁気ヘッドコア23に対する押圧位置としては、磁気ヘッドユニット27の重心位置の直上ではなく、図3に示すように磁気ヘッドユニット27の重心位置と摺動部26との間に設けることとすれば、通常の記録時においても磁気ヘッドユニットの後端(固定部29側)が下がることを回避できるため、望ましい。
【0045】
(放熱効果)
また、本発明は、磁気ヘッドコア23に記録電流が印可されることによる発熱に関しても、効果がある。本実施の形態における磁気ヘッド支持機構においては、磁気ヘッドコア23に対して、磁気ヘッドスライダー部25の材料と比較して熱伝導率の高い第2の弾性部材31を直接接触させている。そのため、効率良く熱を第2の弾性部材31に放熱することができる。その結果、磁気ヘッドコア23の温度上昇を回避することが可能となる。
【0046】
なお、磁気ヘッドコア23の表面粗さは一般的に大きいことから、放熱効果を上げるためには、磁気ヘッドコア23と第2の弾性部材31との接触面を大きくするために磁気ヘッドコア23表面にゲル状の熱伝導性シリコンを塗布することが効果的である。この観点からは、第2の弾性部材31と磁気ヘッドコア23との接触部分が面接触となるように、弾性部材31の先端を形成することが望ましい。
【0047】
一方、磁気ヘッドユニット27がディスクのうねりや面ぶれなどに柔軟に追従するためには、ディスク面に対して柔軟に回転運動できる必要がある。そのためには、第2の弾性部材31と磁気ヘッドコア23の接触部分において、第2の弾性部材31の先端を曲面とし、点もしくは線接触とすることが望ましい。
【0048】
(第2の弾性部材の材質)
第2の弾性部材31は磁気ヘッドコア23に直接接触しているため、磁気ヘッドの磁気特性に影響を与えない方が磁気ヘッド20の設計が容易である。この点を考慮すれば、第2の弾性部材31の材質は非磁性材料であることが望ましい。
【0049】
そして、磁気ヘッドコア23の発熱を効果的に伝達し、温度上昇を防止するという意味では、第2の弾性部材31の材質は非磁性であり、かつ熱伝導率の高い材質、たとえばCuやAlを主成分とした合金材料を用いたり、カーボンを主成分とした材料を用いることが効果的である。
【0050】
(実施の形態2)
(構成)
図4に、第2の弾性部材31を第1の弾性部材28とは別の部品を用いて第1の弾性部材28に取り付けた例を示す。この取付け方法にはスポット溶接や接着などが考えられる。他の部分の構成については、実施の形態1におけるものと同じである。
【0051】
(作用・効果)
実施の形態1における構成においては、第1の弾性部材28と第2の弾性部材31の押圧位置が異なるため、磁気ヘッドユニット27が正しい姿勢を維持するためには、第1の弾性部材28と第2の弾性部材31との荷重のバランスをとる必要がある。しかし、第1の弾性部材28および第2の弾性部材31は同一の部材から一体のものとして形成しているため、板厚に差をつけることは困難であり、押圧位置や長さによって荷重のバランスをとる必要があった。
【0052】
これに対して、本実施の形態においては、第1の弾性部材28と第2の弾性部材31とは、それぞれの弾性部材に適した材質や板厚などを別個独立に選択することができるため、設計の自由度が増し、荷重のバランスをとることが容易となる。その結果として、より特性の向上した磁気ヘッド支持機構を提供することができる。
【0053】
(実施の形態3)
(構成)
従来技術においては、ディスク上の異物などに摺動部26が衝突し、または乗り上げた際には、磁気ヘッドユニット27の端部33が光磁気ディスク60と衝突し光磁気ディスク60に損傷を与えてしまう危険があり、実施の形態1,2においては、その危険は低減されているが、完全に解消されたわけではない。そこで、そのような損傷を防止するために、補助摺動部(第2の摺動部)32を設けた例を図5、図6に示す。摺動部26と補助摺動部32とは、磁気ヘッドユニット27の重心位置をはさむように摺動方向に沿って配置されている。他の部分の構成については、実施の形態1または2におけるものと同じである。
【0054】
(作用・効果)
図6に示すように補助摺動部32があることによって、端部33のディスク面への衝突のおそれはなくなる。また、磁気ヘッドユニット27が異物70に衝突し、または乗り上げた場合には、図7に示すように磁気ヘッドユニット27が上下に振動するが、第2の弾性部材31による下向きの荷重が作用するため、振動の振幅は小さくなり、距離が広がることによる磁界強度低下の問題も軽減することができる。また、磁気ヘッドスライダー部25の材料と比較して熱伝導率の高い第2の弾性部材31を直接接触させているために効率良く熱を第2の弾性部材31に放熱することができる。
【0055】
さらに本実施の形態においては、補助摺動部32が存在するため、第2の弾性部材31による磁気ヘッドコア23に対する押圧位置を、磁気ヘッドユニット27の重心位置よりも補助摺動部32側にとることが可能となる。なぜなら、補助摺動部32によって磁気ヘッドユニット27の後端が支持されているため、第2の弾性部材31による下向き荷重によって後端が下がるおそれがないからである。第2の弾性部材31による押圧位置を磁気ヘッドユニット27の重心位置よりも補助摺動部32側にとることにより、異物70との衝突によって後端が跳ね上がるいわゆる飛び跳ね量を第2の弾性部材31が抑制しようとするモーメントはより大きくなり、振動振幅をより効果的に低減することができる。
【0056】
なお、今回開示した上記実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではない。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更を含むものである。
【0057】
【発明の効果】
磁気ヘッドユニットがディスク上の異物に衝突し、または乗り上げた場合においても、磁気ヘッドユニットの上下方向の振動振幅を低減することができるため、磁気ヘッドユニットの端部のディスク面への衝突や、ディスク面から離れることによる磁界強度低下の問題を生じにくくすることができる。また、第2の弾性部材は磁気ヘッドコアに付勢しているため、磁気ヘッドコアからの放熱を効率良く行なうことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に基づく実施の形態1における磁気ヘッド支持機構の、(a)は平面図、(b)は側面図である。
【図2】本発明に基づく実施の形態1における磁気ヘッド支持機構の磁気ヘッドユニット近傍を拡大した側面図である。
【図3】本発明に基づく実施の形態1における磁気ヘッド支持機構の磁気ヘッドユニットが異物に衝突した状況の説明図である。
【図4】本発明に基づく実施の形態2における磁気ヘッド支持機構の平面図である。
【図5】本発明に基づく実施の形態3における磁気ヘッド支持機構の側面図である。
【図6】本発明に基づく実施の形態3における磁気ヘッド支持機構の磁気ヘッドユニット近傍を拡大した側面図である。
【図7】本発明に基づく実施の形態3における磁気ヘッド支持機構の磁気ヘッドユニットが異物に衝突した状況の説明図である。
【図8】光磁気ディスクの断面図である。
【図9】磁気ヘッドの断面図である。
【図10】従来技術に基づく磁気ヘッドユニットの断面図である。
【図11】従来技術に基づく光学ピックアップおよび磁気ヘッド支持機構の配置の、(a)は平面図、(b)は側面図である。
【図12】従来技術に基づく磁気ヘッド支持機構の磁気ヘッドユニット近傍を拡大した側面図である。
【図13】従来技術に基づく磁気ヘッド支持機構の磁気ヘッドユニットが異物に衝突した状況の説明図である。
【図14】特許番号2878918号で提案された機構の、(a)は平面図、(b)は側面図である。
【符号の説明】
10a,10b,10c 板ばね、11a,11b 摺動部、12 磁気ヘッド部の重心、13,20 磁気ヘッド、21 コイル、22 ボビン、23 磁気ヘッドコア、25 磁気ヘッドスライダー部、26 摺動部、27 磁気ヘッドユニット、28 弾性部材(第1の弾性部材)、29 固定部、30 磁気ヘッドアーム、31 第2の弾性部材、32 補助摺動部(第2の摺動部)、33磁気ヘッドユニット端部、34 箱曲げ加工した部分、35 中心線、50 光ピックアップ、60 光磁気ディスク、61 光磁気ディスク基板、62 保護膜、63 光磁気記録層、64 反射膜、65 樹脂保護膜、66 潤滑膜、67 ディスクカートリッジ、70 異物。
Claims (7)
- 磁気ヘッドユニットと、第1の弾性部材と、第2の弾性部材とを備え、
前記磁気ヘッドユニットは、磁気ヘッドコアにコイルを巻回した磁気ヘッドと、摺動部とを含み、前記摺動部がディスクに接触することによって、前記磁気ヘッドを前記ディスクから一定の距離に位置させることができ、
前記第1の弾性部材は、一端が固定部に接続され、他端が摺動部接続点において前記摺動部に接続され、弾性変形により前記磁気ヘッドユニットを上下動可能に支持し、
前記第2の弾性部材は、一端が押圧点において前記磁気ヘッドコアに対して接触して前記ディスクに押付ける向きに付勢し、
前記摺動部接続点と、前記押圧点とが、略摺動方向に並んでおり、
前記押圧点が、前記磁気ヘッドユニットの重心と前記摺動部接続点との間である、磁気ヘッド支持機構。 - 一以上の補助摺動部を備え、前記摺動部と前記補助摺動部とが略摺動方向に並んでおり、前記磁気ヘッドユニットの重心が前記摺動部と前記補助摺動部との間にある、請求項1に記載の磁気ヘッド支持機構。
- 磁気ヘッドユニットと、第1の弾性部材と、第2の弾性部材とを備え、
前記磁気ヘッドユニットは、磁気ヘッドコアにコイルを巻回した磁気ヘッドと、摺動部とを含み、前記摺動部がディスクに接触することによって、前記磁気ヘッドを前記ディスクから一定の距離に位置させることができ、
前記第1の弾性部材は、一端が固定部に接続され、他端が摺動部接続点において前記摺動部に接続され、弾性変形により前記磁気ヘッドユニットを上下動可能に支持し、
前記第2の弾性部材は、一端が押圧点において前記磁気ヘッドコアに対して接触して前記ディスクに押付ける向きに付勢し、
前記摺動部接続点と、前記押圧点とが、略摺動方向に並んでおり、
一以上の補助摺動部を備え、前記摺動部と前記補助摺動部とが略摺動方向に並んでおり、前記磁気ヘッドユニットの重心が前記摺動部と前記補助摺動部との間にあり、
前記押圧点が前記磁気ヘッドユニットの重心よりも前記補助摺動部側にある、磁気ヘッド支持機構。 - 前記押圧点における前記第2の弾性部材の先端が曲面である、請求項1から3のいずれかに記載の磁気ヘッド支持機構。
- 前記第2の弾性部材が非磁性材料からなる、請求項1から4のいずれかに記載の磁気ヘッド支持機構。
- 前記第2の弾性部材が、銅、アルミニウムおよびカーボンからなる群から選択された一以上の材料を主成分とする、請求項5に記載の磁気ヘッド支持機構。
- 前記磁気ヘッドのコイル中心が、前記摺動部の重心に比べて前記ディスクの外周側にずれている、請求項1から6のいずれかに記載の磁気ヘッド支持機構。
Priority Applications (1)
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JP34850399A JP3549793B2 (ja) | 1999-12-08 | 1999-12-08 | 磁気ヘッド支持機構 |
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Publications (2)
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