JP3549280B2 - 射出成形機の型締力バランス調整方法 - Google Patents

射出成形機の型締力バランス調整方法 Download PDF

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、射出成形機の型締力バランス調整方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
リアプラテンの四隅に取り付けられたダイハイト調整ナットにタイバーの端部を螺合させ、このダイハイト調整ナットを回転させることでタイバーの有効長を変化させてステーショナリープラテンとリアプラテンとの間の離間距離を調整するようにした型厚調整機構を備えた射出成形機が既に公知である。図6に示すのがその一例で、図6(a)ではこの種の型厚調整機構をリアプラテン1の裏面から見たときの状態を、また、図6(b)では1本のタイバー3を取出し、ダイハイト調整ナット2等を含む型厚調整機構の主要部を該タイバー3の中心軸を含む平断面で割って示している。
【0003】
リアプラテン1は、図6(a)において紙面厚み方向の向こう側に位置する図示しないステーショナリープラテンに対して接離可能なように射出成形機のメインフレーム4上に載置されている。また、ステーショナリープラテンの四隅には各々のタイバー3の一端が回転および軸方向移動不能に固着され、各タイバー3のもう一方の端部、即ち、リアプラテン1側の端部に、図6(b)に示されるような雄ネジ5が刻設されている。リアプラテン1の四隅には各タイバー3の端部を貫通させるための孔6が設けられ、該孔6の裏面側の開口部には座ぐり状の逃ガシ7が形成されている。なお、この逃ガシ7は、ダイハイト調整ナット2がリアプラテン1の裏面から必要以上に突出するのを回避することで機構の小型化を実現すると共に、型締反力に耐え得るだけのダイハイト調整ナット2の軸方向長さ、即ち、ダイハイト調整ナット2における有効ネジ部の長さを確保するためのものである。
【0004】
ダイハイト調整ナット2は雄ネジ5と螺合する雌ネジ8を内周面に刻設した円筒体であって、その外周部に一体に設けられた環状フランジ部9を段付きカラー10によりサポートされてリアプラテン1に対し回転自在かつ軸方向移動不能に取り付けられている。ボルト11は段付きカラー10をリアプラテン1に固定するためのものである。ダイハイト調整ナット2の端面には小径歯車12が複数のボルト13により一体的に取り付けられ、各ダイハイト調整ナット2の小径歯車12の各々がリアプラテン1の裏面中央部に回転自在に軸支された大径歯車14に噛合している。この大径歯車14にはプーリ等の動力伝達要素15が一体的に固設され、リアプラテン1の外周部の一側に固設されたモータ等の駆動源16でタイミングベルト等の動力伝達手段17を介して大径歯車14を回転駆動することにより、4つのダイハイト調整ナット2を同期回転させてリアプラテン1とステーショナリープラテンとの平行状態を保ったまま、リアプラテン1とステーショナリープラテンとの離間距離を調整するようになっている。
【0005】
また、他の例として、駆動源16の回転出力軸と4つの小径歯車12との間にタイミングベルトやチェーン等の動力伝達手段を直に巻回して4つのダイハイト調整ナット2を回転させようにしたものもあるが、4つのダイハイト調整ナット2を同期回転させるという作用に関しては全く同一である。このようにしてリアプラテン1とステーショナリープラテンとの平行状態を保ったままリアプラテン1とステーショナリープラテンとの離間距離を調整して射出成形金型の厚みの違いに対処するといった機能は、クランク式もしくはトグル式の型締機構のように型締機構それ自体が型厚調整機能を備えていない射出成形機においては必須の要件である。
【0006】
そして、射出成形機の型締機構はリアプラテン1に取り付けられており、この型締機構がリアプラテン1とステーショナリプラテンとの間でタイバー3に摺動自在に装着されたムービングプラテンをリアプラテン1との平行を保ったままリアプラテン1に接離させることによって型開きや型締動作を行わせるのであるから、型締機構を取り付けたリアプラテン1とステーショナリープラテンとの平行が保たれる限り、ステーショナリープラテンとムービングプラテンとの平行度が維持され、正常な型開きおよび型締動作と正常な型締力が得られる筈である。
【0007】
しかし、実際には、適正な型厚調整を行って射出成形作業を行っていたとしても、時として、4本のタイバー3の伸びにばらつきが生じたり、または、ムービングプラテンとステーショナリープラテンとの平行度が保たれなくなったりして製品にバリが生じる場合がある。このばらつきやムービングプラテンの傾きによって射出成形金型の四隅で型締力に差が生じるからである。
【0008】
そして、ばらつきや傾きの発生原因の多くは、例えば、金型の加工ミス等である。射出成形金型を合わせた状態で可動側金型の取付盤と固定側金型の取付盤との平行度が正しくでない不良金型を用いて長期間の射出成形作業を行うと、4本のタイバー3のうち特定のタイバー3に対してのみ強力な交番荷重が加わるようになり、場合によっては、そのタイバー3のダイハイト調整ナット2における環状フランジ部9とリアプラテン1の裏面との間に磨耗が生じ、実質的に、該タイバー3の有効長が前記磨耗の分だけ他のタイバー3のそれと比較して長くなることがある。この場合、これを知らずに、正常に加工された射出成形金型を換装して射出成形作業を行えば、射出成形金型上において、有効長が伸びたタイバー3に対応する位置に配備されたキャビティの製品にバリが生じる可能性がある。
【0009】
更に、ダブルトグル式の型締機構を適用した射出成形機においては、ムービングプラテンを支える2組のリンク機構のうち一方のものにだけ強力な荷重が作用することになるので、片側のリンク機構の枢着ピンやステープル等に磨耗が生じ、型締機構をロックアップさせた時のリンクの長さに実質的な差が生じてムービングプラテンとリアプラテン1との間の平行度が損なわれるといった危険もある。この場合も結果は前記と同じで、枢着ピンやステープル等に磨耗が生じた側のリンクで支えられる側の位置でバリ等の成形不良が発生する可能性が高い。
【0010】
以上、一例として射出成形金型の加工不良の場合について述べたが、射出成形金型の装着時にその取付盤と前記各プラテンとの間にゴミや埃りを挟んでしまったような場合や、射出成形金型のキャビティ−コア間のパーティングラインのテーパ加工にバラツキがあったりしたような場合にも同じような問題が起き、その原因は様々である。しかし、タイバー3自体は強靭であって、一般に、この程度の異常で塑性変形を生じたり機械的特性に変化を生じたりするといったことはまずない。
【0011】
従って、いずれの場合においても、磨耗等が生じたタイバーナット2を回転させ、有効長に伸びが生じているタイバー3の有効長を正常な状態に戻したり、または、型締機構のリンクのピンやステープルに磨耗が生じてしまっている側に対応するタイバー3の実質的な有効長それ自体を短縮させてリアプラテン1をムービングプラテンと逆方向に傾けることによりムービングプラテンとステーショナリープラテンとの間の平行度を回復することで対処し得る。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、従来の射出成形機の型厚調整機構は、4つのダイハイト調整ナット2を同期回転させて4本のタイバー3の有効長を一様に変化させるものであるため、4本のタイバー3の有効長を個別に調整することはできず、タイバーナット2や型締機構におけるリンクのピンおよびステープル等の磨耗によって生じる型締力のばらつきに容易に対処することはできない。結果的に、型厚調整機構の一部を分解して大径歯車14等を取り外し、4個のダイハイト調整ナット2を手動で回転させてタイバー3の長さを個別に調整することになるが、その際には面倒な分解作業が要求される。更に、タイバー3の長さ調整は各種の寸法測定器等を駆使してこれを行うといった極めて複雑なもので、未熟な作業者が容易に実施できるといった類いのものではない。
【0013】
本発明の目的は、これら従来技術の欠点を解消し、型厚調整機構を分解しなくてもタイバーの有効長の変更を行うことができ、更に、型締力のバランス保持に必要とされるタイバーの有効長の調整作業を容易に行うことのできる射出成形機の型締力バランス調整方法を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明は、雄ネジを螺刻したタイバーの端部をリアプラテンの四隅に回転自在かつ軸方向移動不能に取り付けられたダイハイト調整ナットに螺合させ、前記ダイハイト調整ナットを回転させることでタイバーの有効長を変化させてステーショナリープラテンとリアプラテンとの離間距離を調整するようにした型厚調整機構を備えた射出成形機において、前記リアプラテンの四隅にモータを設け、前記ダイハイト調整ナットをそれぞれ対応するモータのロータと一体的に構成すると共に、前記各タイバーに作用する張力または各タイバーの伸びを検出する検出手段を設け、型締状態において前記各タイバーに作用する張力または各タイバーの伸びが等しくなるように各ダイハイト調整ナットを回転させ、各タイバーに作用する型締反力のバランスを維持する構成により前記目的を達成した。
【0015】
更に、型締完了時において前記各検出手段により検出された張力と設定型締力の1/4倍量との差、もしくは、検出した伸びと設定型締力に対応するタイバーの伸びとの差を各タイバー毎に求め、各ダイハイト調整ナットを回転させ、前記差に対応する伸びの分だけ各タイバーの有効長を短縮させることにより、各タイバーに作用する型締反力のバランスを容易に調整できるようにした。
【0016】
また、前記各検出手段の各々もしくはいずれか1つの検出値が第1の設定値と一致するまでリアプラテンをステーショナリープラテンに接近させる方向に前記各ダイハイト調整ナットを同期回転させる第1の工程と、その後、前記各検出手段からの検出値が第2の設定値と一致するように各タイバーのダイハイト調整ナットの回転駆動をフィードバック制御する第2の工程とを実施することにより、手動操作を不要とし、各タイバーに作用する型締反力のバランスを一層容易に調整できるようにした。
【0017】
クランク式もしくはトグル式の型締機構を備えた射出成形機においては、型締機構をロックアップさせた状態で前記第1の工程を実施するようする。
【0020】
【作用】
ダイハイト調整ナットが各々独立して回転できるように構成しているので、タイバーの有効長の調整に際して型厚調整機構を分解する必要がない。
【0021】
各タイバーに対応して設けられた検出手段により型締状態において各タイバーに作用する張力または各タイバーの伸びを検出し、前記各タイバーに作用する張力または各タイバーの伸びが等しくなるように各ダイハイト調整ナットを回転させてタイバーの有効長を調整するようにしているので、4本の各タイバーに作用する型締反力が等しくなり、型締力のバランスが保たれる。
【0022】
タイバーの有効長の調整に際し、型締完了時において前記各検出手段により検出された張力と設定型締力の1/4倍量との差、もしくは、検出した伸びと設定型締力に対応するタイバーの伸びとの差を各タイバー毎に求め、各ダイハイト調整ナットを回転させて前記差に対応する伸びの分だけダイハイト調整ナットを逆方向に移動させて各タイバーの有効長を短縮するようにすれば、型締力のバランスの調整と同時に型厚調整機構に対して型締力の設定が行れる。なお、型締完了状態でダイハイト調整ナットを回転させてタイバーの有効長を短縮するとダイハイト調整ナットに相当の負荷が作用するので、ダイハイト調整ナットの回転は型開き状態で行うことが望ましい。
【0023】
また、タイバーの有効長の調整に際し、前記各検出手段の各々もしくはいずれか1つの検出値が第1の設定値と一致するまでリアプラテンをステーショナリープラテンに接近させる方向にダイハイト調整ナットを同期回転させ(第1の工程)、その後、前記各検出手段からの検出値が第2の設定値と一致するように各タイバーのダイハイト調整ナットの回転駆動をフィードバック制御すれば(第2の工程)、必ずしも設定型締力とは関わりなく型締力のバランス調整を行うことができる。なお、ダイハイト調整ナットに作用する負荷を承知で第2の設定値を設定型締力の1/4倍量とするなら、前記と同様、型締力のバランス調整と同時に型締力の設定が行れることになる。一般には、第1の設定値および第2の設定値の値は設定型締力の1/4倍量に比べて相当に低い値にすべきである。
【0024】
クランク式もしくはトグル式の型締機構を備えた射出成形機においては、型締機構における枢着ピンやステープル等の磨耗による要素が型締力のばらつきに影響を与え、しかも、リンク等の姿勢によって枢着ピンやステープル等のがたつきがムービングプラテンに与える傾きの影響が相違するので、実際に型締が行われる時のリンク等の姿勢を考慮し、型締機構をロックアップさせた状態で前記第1の工程を実施する。
【0025】
各々のダイハイト調整ナットを独立して駆動するための手段としてダイハイト調整ナット毎のモータを適用すればフィードバック制御等が容易であり、更に、リアプラテンの四隅に取り付けられたモータのロータと各々のダイハイト調整ナットとを一体的に構成することにより、型厚調整機構の大型化が防止される。
【0026】
【実施例】
以下、図面を参照して本発明の実施例を説明する。図1は本発明の型締力バランス調整方法を適用した一実施例の型厚調整機構におけるダイハイト調整ナット2′の周辺を概略で示す断面図である。リアプラテン1およびタイバー3の構成や、リアプラテン1とステーショナリープラテンおよびリアプラテン1とムービングプラテンとの係合関係については従来技術の項で述べたものと全く同様であるので、ここでは説明を省略する(図6参照)。
【0027】
図1では1本のタイバー3に関するダイハイト調整ナット2′と該ナットト2′を回転駆動するモータM1およびタイバー3の伸びによりそこに働く張力を検出する張力センサSE1(ストレインゲージ等)について示しているが、他の3組のものについてもその構成は全く同一である。つまり、ダイハイト調整ナット2′を回転駆動するためのモータにはM1〜M4、また、タイバー3に作用する張力を検出するための張力センサにはSE1〜SE4の4つのものがあり、その各々が、図2に示されるように、モータ駆動回路D1〜D4およびA/D変換器A1〜A4を介して射出成形機の制御装置Cに接続されている。
【0028】
図1に示す通り、タイバー3の雄ネジ5と螺合するダイハイト調整ナット2′は摩擦締結要素19を介してモータM1におけるロータ18の内周面に回転および軸方向移動不能に固定され、ステータを構成するモータハウジング20側に固設されたコイル21の励磁作用によりロータ18と一体的に回転するようになっている。また、モータハウジング20の外周部には環状フランジ部22が形成され、この環状フランジ部22に通された複数のボルト23によってモータM1がリアプラテン1の裏面に固定されている。
【0029】
従って、モータM1を駆動してロータ18を正転させればロータ18と共にダイハイト調整ナット2′が正転し、ダイハイト調整ナット2′がステーショナリープラテンに接近する方向(図中左から右)に移動してタイバー3の有効長が短縮される。また、ロータ18を逆転させればダイハイト調整ナット2′が逆転し、ダイハイト調整ナット2′がステーショナリープラテンから離間する方向(図中右から左)に移動してタイバー3の有効長が増長されることになる。この実施例においては、ダイハイト調整ナット2′がステーショナリープラテンから離間する方向に移動する際にロータ18の左端面がモータハウジング20のボトム部に摺接することになるので、モータハウジング20のボトム部とロータ18の左端面との間にアンギュラベアリング24を介装してロータ18の損傷を防止するようにしている。ダイハイト調整ナット2′がステーショナリープラテンに接近する方向に移動する場合や、ステーショナリープラテンとリアプラテン1との間に作用する型締反力をダイハイト調整ナット2′が受ける場合には、図6に示されるような従来例と同様、ダイハイト調整ナット2′の右端面がリアプラテン1の裏側と直に接触するかたちとなる。この際、ロータ18の右端面とリアプラテン1の裏側との間にはある程度のクリアランスが生じるのでロータ18に強力な力が作用して損傷を被るといった問題は生じない。
【0030】
リアプラテン1の四隅でダイハイト調整ナット2′がリアプラテン1を支えているため、タイバー3の有効長を個別に変化させる場合にこれを極端に行うと、リアプラテン1がタイバー3に対して傾き、孔6の内周面とタイバー3との間でカジリが生じる場合がある。従って、タイバー3の有効長の個別調整には自ずと限界があるが、この限界は、型締機構の磨耗等によってムービングプラテンに生じる傾きを補正するには十分なものである。なお、ダイハイト調整ナット2′やリアプラテン1の裏面に磨耗が生じてタイバー3の有効長が増大したときに行う個別調整は、それ自体がタイバー3に対するリアプラテン1の姿勢を正すためのものであるから、その調整量は前記限界の限りにはない。
【0031】
ダイハイト調整ナット2′やリアプラテン1の裏面および型締機構等に磨耗が生じていなければ、4つのモータM1〜M4を正逆に同期回転させてステーショナリープラテンとリアプラテン1との平行を保ったままリアプラテン1を移動させることにより、従来と同様の方法で型厚調整や型締力の調整を行うことができる。
【0032】
しかし、長期間に亘って射出成形機を酷使すると4本のタイバー3の伸びにばらつきが生じたり、ムービングプラテンとステーショナリープラテンとの平行度が保たれなくなったりして製品にバリが生じる場合があるので、このような場合には、タイバー3の有効長を個別に変化させて調整作業を行う必要がある。
【0033】
つまり、いずれかのタイバー3のダイハイト調整ナット2′とリアプラテン1の裏面との間に磨耗が生じた場合では、磨耗によって生じる遊びのためにそのタイバー3の有効長が伸びるので、このダイハイト調整ナット2′を正転させて該タイバー3の有効長を元に戻してやる必要がある。この補正は、タイバー3の有効長を変化させるためのものではなく、元に戻すためのものである。
【0034】
また、型締機構に磨耗が生じてムービングプラテンがリアプラテン1に対して傾くと、ステーショナリープラテンに対するムービングプラテンの平行度にも異常が生じるので、型締機構に磨耗が生じた側、即ち、ムービングプラテンがリアプラテン1に対して接近した側の位置に対応するタイバー3のダイハイト調整ナット2′を前述した限界の範囲で正転させてこのタイバー3の有効長を縮め、積極的にリアプラテン1を傾けることによってステーショナリープラテンに対するムービングプラテンの平行度を回復してやる必要がある。この補正によれば、そのタイバー3の有効長自体が変化し、他のタイバー3との間である程度の長さの不揃いが生じる。
【0035】
更に、ダイハイト調整ナット2′の磨耗と型締機構の磨耗とが同時に進行する場合もあり、様々な状況に応じた調整作業が必要である。
【0036】
しかし、型締機構の磨耗によって生じるムービングプラテンの傾きを補正するために必要とされるタイバー3の有効長の変化はタイバー3の全長に比べて極めて僅かであり、フックの法則における定数(以下、単に定数という)に影響を与えるほどのものではない。また、ダイハイト調整ナット2′とリアプラテン1の裏面との間の磨耗によって生じたタイバー3の伸びを解消するためのダイハイト調整ナット2′の移動は、言い替えれば、自然長自体の変化によって生じた定数の変化を元に戻すものであって、当然のことながら、タイバー3に関する定数には全く影響を与えない。
【0037】
従って、型締時に可動側の射出成形金型と固定側射出成形金型との接触が開始される時点で射出成形金型の全面が等しく圧着されるように各々のダイハイト調整ナット2′の位置を調整し、かつ、接触開始の時点を伸び零の状態として4本のタイバー3を等しく引き伸ばしてやるようにすれば、射出成形金型の四隅に生じる型締力のばらつきは全て解消されることになる。また、4本のタイバー3を等しく引き伸ばすといった作業は単なる型締動作の実行に過ぎないので、結果的に、射出成形金型の全面が等しく圧着されるように各々のダイハイト調整ナット2′の位置を調整するといった作業を行うだけで、射出成形金型の四隅に生じる型締力のばらつきは全て解消されることになる。
【0038】
そして、射出成形金型の全面を等しく圧着させるためには、4本のタイバー3の各々に張力センサSE1〜SE4を設け、その各々によって検出される張力の全てが等しくなるように各々のダイハイト調整ナット2′の位置を調整すればよい。この際、4本のタイバー3にどの程度の張力を与えるかだが、設定型締力に匹敵するだけの強力な張力を与えてタイバー3を引き伸ばした状態で射出成形金型の四隅の圧着状態を確認したとしても、また、設定型締力よりも遥かに弱い張力を与えて射出成形金型の四隅の圧着状態を確認するにとどめたとしても、前述した通り、タイバー3に関する定数は安定的に保持されるので、射出成形金型の密着状態の確認に関する限り格別の差は生じない。前者によれば、型締力のバランス調整と型締力の設定作業を同時に行うことができる。
【0039】
以下、これら2つの場合に対応して各々の実施例を説明する。まず、型締力のバランス調整と型締力の設定作業を同時に行う場合の処理操作の概略を図3および図4に示す。この処理は射出成形機の制御装置Cによって行われるものである。無論、この処理に必要とされる射出成形機側の型締機構のロックアップ動作や型開き動作をオペレータが射出成形機に手動で指令してもよいが、この実施例では自動的に行わせるようにしている。
【0040】
オペレータは、制御装置Cによる処理動作を開始させた後、射出成形機のドライサイクル運転を開始させる。処理動作を開始した制御装置Cは、設定型締力達成フラグF1〜F4の全てを一旦リセットし(ステップa1)、射出成形機の制御装置からの型締完了信号の入力を待機する(ステップa2)。そして、ドライサイクルによる型締動作が行われて型締完了信号の入力が検出されると、制御装置Cは、張力センサSE1〜SE4によって検出されている各タイバー3の張力を直ちに読み込み(ステップa3)、タイバー検索指標iの値を一旦初期化した後(ステップa4)、その値を1インクリメントして第1番目のタイバー3に対応する値1に初期設定する(ステップa5)。
【0041】
次いで、制御装置Cは、タイバー検索指標iによって示される第i番目のタイバー3に作用している張力SEiと設定型締力FSの1/4倍量との差を求め、その差をタイバー3に関する定数kで除して第i番目のタイバー3に不足している伸び量Xiを求める(ステップa6)。第i番目のタイバー3に作用している張力が正常な型締に必要とされる張力FS/4であれば第i番目のタイバー3には(FS/4)/kの伸びが生じる筈であり、また、第i番目のタイバー3に実際に作用している張力がSEiであるならその時第i番目のタイバー3にはSEi/kの伸びが生じている筈であるから、型締力の不足に対応する第i番目のタイバー3の伸びの不足量Xiは〔(FS/4)−SEi〕/kである。そして、制御装置Cはこの伸びの不足量Xiが許容範囲内にあるか否かを判別し(ステップa7)、許容範囲内にあれば設定型締力達成フラグFiに1をセットする一方(ステップa8)、許容範囲を越えていれば設定型締力達成フラグFiに0をセットする(ステップa9)。
【0042】
以下、制御装置Cは、指標iの値がタイバー3の総数4に達するまでの間(ステップa10)、前記と同様にしてステップa5〜ステップa8もしくはステップa9までの処理を繰り返し実行し、i=2からi=4の各タイバー3に関する伸びの不足量Xiを求め、その各々に対応する設定型締力達成フラグFiをセットもしくはリセットする。
【0043】
そして、以上の処理が完了すると、制御装置Cは型開き完了後(ステップa11)、設定型締力達成フラグF1からF4までの積が1になるか否か、即ち、4本のタイバー3の伸びの全てが設定型締力の1/4倍量に匹敵する伸びと略一致しているか否かを判定する(ステップa12)。4本のタイバー3の伸びの全てが設定型締力の1/4倍量に匹敵する伸びと略一致してステップa12の判別結果が真となれば、型締力のバランス調整および型締力の設定とも正常に行われていることを意味するので、この処理動作は終了する。
【0044】
また、4本のタイバー3の伸びのうちその1つでも設定型締力の1/4倍量に匹敵する伸びと一致していないものがあれば、ステップa12の判別結果は偽となる。この場合、型締力のバランス調整や型締力の設定が正常に行われていないことを意味するので、制御装置Cはタイバー検索指標iの値を一旦初期化した後(ステップa13)、以下、指標iの値が4に達するまでの間(ステップa16)、指標iの値を順次インクリメントし(ステップa14)、その都度、指標iに対応するモータMiに前記伸びの不足量Xiに対応する回転指令を出力し、第i番目のタイバー3のダイハイト調整ナット2′を正逆に移動させて、第i番目のタイバー3の有効長を調整する(ステップa15)。なお、Xi>0であればモータMiの回転は正方向(タイバー3の有効長を縮める方向)、また、Xi<0であればモータMiの回転は逆方向(タイバー3の有効長を伸ばす方向)である。
【0045】
そして、このような調整作業を行った後、制御装置Cは再びステップa2の判別処理に移行して型締完了まで待機し、ステップa3〜ステップa11までの処理を少なくとも1回は前記と同様にして繰り返し実行し、実際に4本のタイバー3の伸びの全てが設定型締力の1/4倍量に匹敵する伸びと略一致しているか否かを確認する(ステップa12)。最初に行われたステップa15の処理によって4本のタイバー3の伸びの全てが設定型締力の1/4倍量に匹敵する伸びと略一致するような調整が行われている筈であるが、特定のタイバー3の有効長を短縮したために、これと対角線上に位置する他のタイバー3の伸びが増大して、その伸びが許容範囲を越えるといった可能性があるため、このような確認作業が必要となるのである。もし、この段階においても4本のタイバー3の伸びの全てが設定型締力の1/4倍量に匹敵する伸びと略一致していなければ、再びステップa13以降の調整処理が行われ、最終的に、伸びの不足量(または超過量)Xiの全てが許容範囲に収まってフラグF1からF4の全てがセットされた時点で、ステップa12の判別結果が真となって、この処理が終了するのである。
【0046】
なお、この実施例においては射出成形機の型締機構を完全にロックアップ(型締)させて張力センサSE1〜SE4の検出値を読むようにしているが、段取りの不手際等によりロックアップ完了時に可動側金型と固定側金型との間に隙間が生じるようなことがあったとしても必ずしも問題はない。この場合、張力センサSE1〜SE4による検出値はいずれも零となるから、結果的に、前述の処理動作が1回行われる毎にダイハイト調整ナット2′の全てに(FS/4)/k、つまり、設定型締力に対応する分の伸びに匹敵するだけの送りが型開き完了時において掛けられ、ドライサイクルが1回実行される毎にリアプラテン1がステーショナリープラテンに向けて徐々に接近して行くことになる。それ以降の動作に関しては既に述べた通りである。
【0047】
また、張力センサSE1〜SE4の比較対象となる値をFS/4として設定しているのは型締力のバランス調整と共に型締力の設定作業を同時に行うためである。従って、型締力のバランス調整とは別に改めて型締力の設定作業を行うのであれば、比較対象となる値をFS/4よりも小さな値として設定し、型締力のバランス調整のみを行わせるようにすることも可能である。この場合も、前記と同様、型締機構のロックアップ完了時に可動側金型と固定側金型との間に隙間が生じていたとしても格別の問題はない。なお、比較対象となる値を小さく設定した分、1回のドライサイクルで進められるリアプラテン1の移動量は減少する。
【0048】
いずれにせよ、これらの処理操作を行うことの目的は、射出成形金型の全面が等しく圧着されるように各々のダイハイト調整ナット2′の位置を調整することにあり、既に述べた通り、ダイハイト調整ナット2′等の磨耗によるタイバー3の自然長の変化によって生じる型締力のばらつきにも、また、型締機構の磨耗を原因とするムービングプラテンの傾きによって生じる型締力のばらつきにも、更には、これらの原因を複合して生じる型締力のばらつきに対しても適確に対処することができる。
【0049】
無論、射出成形金型の加工は可動側の取付盤と固定側の取付盤との平行度が確実に出るように行うことが望ましいが、本実施例の型締力バランス調整方法を実施してから射出成形作業を開始するのであれば、平行度にある程度問題のある射出成形金型をそのまま使用して射出成形作業を行ったとしても、射出成形金型各部に作用する型締力のバランスを保持することが可能である。なお、平行度の不十分な射出成形金型を装着して前記操作を行えば、型締機構に磨耗が生じてムービングプラテンに傾きが生じている場合と同様、結果的に、金型の平行度の異常に応じてリアプラテン1が強制的に傾けられることになる。必ずしも望ましい現象とはいえないが、少なくとも、射出成形金型の平行度の異常による型締機構の磨耗やダイハイト調整ナット2′の磨耗を未然に防止することが可能である。
【0050】
図5に示すのは、比較的弱い力で射出成形金型を圧着させて型締力のバランス調整を行う場合の処理の概略を示すフローチャートである。
【0051】
この場合、制御装置Cは、まず、モータM1〜M4の各々を同期して逆転させ、ダイハイト調整ナット2′を駆動してリアプラテン1および型締機構を一旦後退限度にまで退避させ、射出成形機の型締機構にロックアップ動作を行わせても可動側金型が固定側金型に干渉しないようにさせる(ステップb1)。次いで、オペレータは、制御装置Cに型締指令を入力し、型締機構のクランクやトグル等を前進させて型締動作を行わせ(実際には可動側金型と固定側金型とは接触しない)、型締機構の姿勢を射出成形作業時における型締完了時と同じ状態にする(ステップb2)。型締機構における枢着ピンやステープル等の磨耗による要素が型締力のばらつきに与える影響がリンク等の姿勢によって異なるため、型締機構の姿勢を射出成形作業時における型締完了時と同じにしてバランス調整を行う必要があるからである。
【0052】
型締機構のロックアップ動作が完了すると、バランス調整用の制御装置CはモータM1〜M4の各々を同期して正転させ、リアプラテン1をステーショナリープラテンに向けて移動させ(ステップb3)、張力センサSE1〜SE4のいずれか1つが第1の設定値ΔF1以上の張力を検出するまでモータM1〜M4を駆動し(ステップb4)、可動側金型と固定側金型との接触を確認してモータM1〜M4を停止させる(ステップb5)。
【0053】
可動側金型と固定側金型との接触を確認した制御装置Cは、設定型締力達成フラグF1からF4の全てを一旦リセットし(ステップb6)、設定型締力達成フラグF1からF4までの積が1になるか否か、即ち、4本のタイバー3の伸びの全てが略一致しているか否かを判定する(ステップb7)。
【0054】
この段階では設定型締力達成フラグF1からF4の全てがリセット状態にあるのでステップb6の判別結果は偽となる。そこで、制御装置Cはタイバー検索指標iの値を一旦初期化した後(ステップb8)、その値を1インクリメントして第1番目のタイバー3に対応する値1に初期設定する(ステップb9)。
【0055】
次いで、制御装置Cは、タイバー検索指標iによって示される第i番目のタイバー3に作用している張力SEiを読み(ステップb10)、該張力SEiと第2の設定値ΔF2とを比較し、張力SEiが許容範囲を越えて設定値ΔF2よりも小さいか(ΔF2−SEi>ε)、または、張力SEiが許容範囲を越えて設定値ΔF2よりも大きいか(ΔF2−SEi<−ε)、或いは、張力SEiが設定値ΔF2の許容範囲ΔF2±ε内にあるかを判別する(ステップb11)。なお、第2の設定値ΔF2は必ずしも第1の設定値ΔF1と異なる必要はない。
【0056】
そして、張力SEiが許容範囲を越えて設定値ΔF2よりも小さければ、この第i番目のタイバー3のダイハイト調整ナット2′を更に正転させてその張力を増大させる必要があるので、制御装置CはモータMiを正転駆動し(ステップb12)、また、張力SEiが許容範囲を越えて設定値ΔF2よりも大きければ、この第i番目のタイバー3のダイハイト調整ナット2′を逆転させてその張力を減少させる必要があるので、モータMiを逆転駆動させる(ステップb13)。いずれの場合も、この段階では未だ第i番目のタイバー3に関する適切な調整作業が完了していないので、設定型締力達成フラグFiには零をセットする(ステップb15)。また、張力SEiが設定値ΔF2の許容範囲ΔF2±ε内にあれば、少なくとも他のタイバー3に対する調整作業が行われない限りはこのタイバー3に対して適切な張力が維持されるので、制御装置CはモータMiの駆動を停止し(ステップb14)、設定型締力達成フラグFiに1をセットする(ステップb16)。なお、実際には該第i番目のタイバー3以外のタイバー3に対して張力調整が行われた際に相対的なバランスが崩れて第i番目のタイバー3の張力が許容範囲外となる場合があるので、設定型締力達成フラグFiに一旦1がセットされたからといって第i番目のタイバー3に関するバランス調整が完了しているということはできない。
【0057】
以下、制御装置Cは、タイバー検索指標iの値がタイバー3の総本数4に達するまでの間(ステップb17)、指標iの値を順次インクリメントして前記と同様の処理を繰り返し実行し、各タイバー3のダイハイト調整ナット2′を駆動するモータM1〜M4の各々を正転または逆転もしくは停止させて、4本のタイバー3に作用する張力SE1〜SE4の各々が設定値ΔF2に向かう方向に各々のダイハイト調整ナット2′を移動させると共に、その段階において4本のタイバー3の各々に対して作用している張力SE1〜SE4の値に応じて、設定型締力達成フラグF1〜F4をセットまたはリセットする(ステップb9〜ステップb16)。
【0058】
そして、タイバー検索指標iの値がタイバー3の総本数4に達し、4本のタイバー3の全てに対して設定型締力達成フラグのセットまたはリセット作業が終了すると、制御装置Cは、設定型締力達成フラグF1からF4までの積が1になるか否か、即ち、4本のタイバー3の伸びの全てが第2の設定値ΔF2に匹敵する伸びと略一致しているか否かを判定する(ステップb7)。4本のタイバー3の伸びの全てが設定値ΔF2に対応する伸びと略一致してステップb6の判別結果が真となれば、型締力のバランス調整が正常に行われていることを意味するので、制御装置Cの処理動作はここで終了する。
【0059】
また、4本のタイバー3の伸びのうちその1つでも第2の設定値ΔF2に匹敵する伸びと一致していないものがあればステップb7の判別結果が再び偽となり、張力が過大または不足ぎみのタイバー3に対応するダイハイト調整ナット2′が続けて回転駆動されることになる(ステップb9〜ステップb16)。そして、最終的に、4本のタイバー3の伸びの全てが第2の設定値ΔF2に匹敵する伸びと略一致し、型締力のバランス調整が適確に行われたことがステップb7の判別処理で確認されると、制御装置Cの処理動作が終了する。この実施例では、設定値ΔF2として型締力の1/4倍量よりも小さな値を設定しているので、更に、射出成形機の型締機構を縮退させてロックアップを解除したのち、第2の設定値ΔF2に対応するタイバー3の伸びと設定型締力に対応するタイバー3の伸びとの差分だけタイバー3の全てのダイハイト調整ナット2′を正転させ、全てのタイバー3の有効長を均等に短縮してやる必要がある。
【0060】
既に述べた通り、タイバー3に関するフックの法則における定数は安定的に保持されるので、第2の設定値ΔF2を小さな値に設定して処理を行っても、また、大きな値に設定して処理を行っても、タイバー3のバランス調整には格別の影響はない。いずれの場合も、そのバランス調整によって、型締開始時から射出成形金型の四隅が均等に圧着されるようになる。
【0061】
但し、最初の実施例とは異なり、実際にタイバー3に張力を作用させた状態でダイハイト調整ナット2′を回転させる関係上、第1の設定値ΔF1および第2の設定値ΔF2とも、余りに大きな値を設定するのは好ましくない。ダイハイト調整ナット2′とリアプラテン1の裏面との間およびダイハイト調整ナット2′の雌ネジとタイバー3の雄ネジ5との間で磨耗が生じる可能性があるからである。また、ΔF1<ΔF2の場合ではダイハイト調整ナット2′を前進させながら個々のタイバー3に作用する張力を徐々に増大させて型締力のバランス調整を行うことになり、また、ΔF1>ΔF2の場合ではダイハイト調整ナット2′を後退させながら個々のタイバー3に作用する張力を徐々に弱めて型締力のバランス調整を行うことになるので、ΔF1>ΔF2と設定して調整作業を行った方がダイハイト調整ナット2′にかかる負担が少なくてよいが、ΔF1<ΔF2として調整作業を行うことも可能である。
【0062】
この実施例の場合も、最初の実施例の場合と同じように、ステップb3およびステップb4の処理を省略することが可能である。張力センサSE1〜SE4がΔF2よりも小さな値を検出し続ける限りモータM1〜M4の全てが常に正方向に向けて回転され続けるからであり、これにより、ステップb3およびステップb4の処理を省略したとしても、リアプラテン1は自動的に前進させられ、結果的に可動側金型と固定側金型とが接触することになる。なお、この現象は、最初の実施例においてロックアップ完了時に可動側金型と固定側金型との間に隙間が生じている場合と同じである。
【0063】
以上、張力センサSE1〜SE4を利用してタイバー3に作用する張力を検出し、これを設定型締力の1/4倍量や第1,第2の設定値ΔF1,ΔF2と比較して処理を行う場合について説明したが、タイバー3に作用する張力とタイバー3に生じる伸びとは比例するので、張力の代わりにタイバー3の伸びを検出して同様の処理を行うことができる(なお、前述の各実施例においても実質的には張力ではなく伸びを検出している)。また、タイバー3に作用する張力を測定する場合にはタイバー3に直接ストレインゲージ等を貼着する代わりにダイハイト調整ナット2′とリアプラテン1との間にロードセルを介装するといったことが可能である。
【0064】
また、モータM1〜M4の全てがサーボモータ等であれば、設定値と検出値との誤差Xiまたは(ΔF2−SEi)に応じた移動量を求めた後、該移動量だけ各サーボモータM1〜M4を駆動するようにして最終的にこの誤差が許容範囲に入るようにすればよい。
【0065】
なお、ダイハイト調整ナット2′の回転運動と直線運動との関係がウォーム&ホイールの場合のように不可逆的であればよいが、軸方向の力によってダイハイト調整ナット2′の逆転が可能なような場合には、各モータM1〜M4毎に独立して機能するブレーキ手段を設ける必要がある。
【0066】
モータM1〜M4のロータ18をダイハイト調整ナット2′と一体的に構成しているのは型厚調整機構全体の小形化のためであるから、このことを問題にしない限り、モータM1〜M4のロータ18をダイハイト調整ナット2′と別構成としたり、また、モータM1〜M4を通常のモータとし、ダイハイト調整ナット2′との間を適当な動力伝達手段で接続したりするのは設計者の自由である。
【0067】
【発明の効果】
本発明の型締力バランス調整方法は、タイバーの有効長を変化させるダイハイト調整ナットを各々独立して回転できるようにしたので、タイバーの有効長の調整に際して型厚調整機構を分解する必要がない。また、各タイバーに作用する張力または各タイバーの伸びを検出し、これらが等しくなるように各ダイハイト調整ナットを回転させてタイバーの有効長を調整するようにしているので、型締力のバランスを確実に保つことができる。
【0068】
更に、型締力のバランス調整に際し、型締完了時において検出される張力と設定型締力の1/4倍量との差、もしくは、検出した伸びと設定型締力に対応するタイバーの伸びとの差を各タイバー毎に求め、前記差に対応する伸びの分だけダイハイト調整ナットを逆方向に移動させることにより、型締力のバランス調整と同時に型締力の設定を行うことができる。この際、ダイハイト調整ナットの移動を型開き状態で行うことにより、ダイハイト調整ナットに過大な負荷が作用するのを防止することができる。
【0069】
また、型締機構を型締状態として各タイバーに張力を作用させ、各タイバーの検出手段からの検出値が設定値と一致するようにダイハイト調整ナットの回転駆動をフィードバック制御して型締力のバランスをとるようにしているので、手動操作でダイハイト調整ナットを回転させる必要がなく、また、作業者が測定作業を行う必要もなくなるので、調整ミスもなくなる。
【0070】
クランク式もしくはトグル式の型締機構を備えた射出成形機においては、実際に型締が行われる時のように型締機構をロックアップさせた状態でバランス調整を行うようにしているので、型締機構における枢着ピンやステープル等に磨耗が生じてムービングプラテンが傾いている場合であっても、その傾きを矯正して適確なバランス調整を行うことができる。
【0071】
更に、各々のダイハイト調整ナットを独立して駆動するための手段としてダイハイト調整ナット毎のモータを利用しているので、バランス調整のためのフィードバック制御が容易であり、しかも、モータのロータと各々のダイハイト調整ナットとを一体的に構成しているので、型厚調整機構の大型化も免れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の型締力バランス調整方法を適用した一実施例の型厚調整機構におけるダイハイト調整ナットの周辺を概略で示す断面図である。
【図2】ダイハイト調整ナットを回転駆動する制御系の概略を示すブロック図である。
【図3】型締力のバランス調整と型締力の設定作業を同時に行う場合の処理操作の概略を示すフローチャートである。
【図4】型締力のバランス調整と型締力の設定作業を同時に行う場合の処理の概略を示すフローチャートの続きである。
【図5】型締力のバランス調整を行う別の実施例の処理の概略を示すフローチャートである。
【図6】従来の射出成形機における型厚調整機構を示す図である。
【符号の説明】
1 リアプラテン
2 ダイハイト調整ナット
2′ ダイハイト調整ナット
3 タイバー
4 メインフレーム
5 雄ネジ
6 孔
7 逃ガシ
8 雌ネジ
9 環状フランジ部
10 段付きカラー
11 ボルト
12 小径歯車
13 ボルト
14 大径歯車
15 動力伝達要素
16 駆動源
17 動力伝達手段
18 ロータ
19 摩擦締結要素
20 モータハウジング
21 コイル
22 環状フランジ部
23 ボルト
24 アンギュラベアリング
M1〜M4 モータ
SE1〜SE4 張力センサ
C 制御装置

Claims (4)

  1. 雄ネジを螺刻したタイバーの端部をリアプラテンの四隅に回転自在かつ軸方向移動不能に取り付けられたダイハイト調整ナットに螺合させ、前記ダイハイト調整ナットを回転させることでタイバーの有効長を変化させてステーショナリープラテンとリアプラテンとの離間距離を調整するようにした型厚調整機構を備えた射出成形機において、
    前記リアプラテンの四隅にモータを設け、前記ダイハイト調整ナットをそれぞれ対応するモータのロータと一体的に構成すると共に、前記各タイバーに作用する張力または各タイバーの伸びを検出する検出手段を設け、
    型締状態において前記各タイバーに作用する張力または各タイバーの伸びが等しくなるように各ダイハイト調整ナットを回転させ、
    各タイバーに作用する型締反力のバランスを維持するようにした射出成形機の型締力バランス調整方法。
  2. 雄ネジを螺刻したタイバーの端部をリアプラテンの四隅に回転自在かつ軸方向移動不能に取り付けられたダイハイト調整ナットに螺合させ、前記ダイハイト調整ナットを回転させることでタイバーの有効長を変化させてステーショナリープラテンとリアプラテンとの離間距離を調整するようにした型厚調整機構を備えた射出成形機において、
    前記リアプラテンの四隅にモータを設け、前記ダイハイト調整ナットをそれぞれ対応するモータのロータと一体的に構成すると共に、前記各タイバーに作用する張力もしくは各タイバーに生じる伸びを検出する検出手段を各タイバー毎に対応して設け、
    前記各検出手段により型締完了時において前記各タイバーに作用する張力もしくは各タイバーに生じる伸びを検出し、検出した張力と設定型締力の1/4倍量との差もしくは検出した伸びと設定型締力に対応するタイバーの伸びとの差を各タイバー毎に求め、
    各ダイハイト調整ナットを回転させ、前記差に対応する伸びの分だけ各タイバーの有効長を短縮させて各タイバーに作用する型締反力のバランスを維持するようにした射出成形機の型締力バランス調整方法。
  3. 雄ネジを螺刻したタイバーの端部をリアプラテンの四隅に回転自在かつ軸方向移動不能に取り付けられたダイハイト調整ナットに螺合させ、前記ダイハイト調整ナットを回転させることでタイバーの有効長を変化させてステーショナリープラテンとリアプラテンとの離間距離を調整するようにした型厚調整機構を備えた射出成形機において、
    前記リアプラテンの四隅にモータを設け、前記ダイハイト調整ナットをそれぞれ対応するモータのロータと一体的に構成すると共に、前記各タイバーに作用する張力もしくは各タイバーに生じる伸びを検出する検出手段を各タイバー毎に対応して設けておき、
    前記各検出手段の各々もしくはいずれか1つの検出値が第1の設定値と一致するまで、リアプラテンをステーショナリープラテンに接近させる方向に前記ダイハイト調整ナットを同期回転させる第1の工程と、
    その後、前記各検出手段からの検出値が第2の設定値と一致するように各タイバーのダイハイト調整ナットの回転駆動をフィードバック制御する第2の工程とを実施することにより、
    各タイバーに作用する型締反力のバランスを維持するようにした射出成形機の型締力バランス調整方法。
  4. クランク式もしくはトグル式の型締機構をロックアップさせた状態で前記第1の工程を実施するようにした請求項3記載の射出成形機の型締力バランス調整方法。
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