JP3548939B2 - 軽量ゴム組成物及び軽量ゴムシ−ト - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、従来の加硫ゴムに比べ同等の物性を維持し、体積当たりの製品重量が軽い軽量ゴム、特に、加工前の素材シ−トとして成形される軽量ゴムシ−トに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
加工時の搬送のしやすさや、物流コストを軽減させるために単位体積当たりの重量を軽減したいわゆる軽量ゴムが近年になり用いられるようになってきた。
従来、軽量ゴムを製造するには、天然ゴムまたは合成ゴムに嵩高い充填剤を配合して混練し、加硫成形することにより軽量化を図ってきた。軽量ゴムに用いるこのような充填剤としては、ポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系樹脂からなる微粉末、シラスバル−ンやガラスバル−ン等の無機質中空微粒子または瀝青充填剤等が知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、従来知られている充填剤を配合する軽量ゴムの製造方法は夫々コストが高く、軽量ゴムを安価に製造することができないという問題点があった。
また、ゴムシ−トの基幹設備である連続加硫機(ロ−トキュア)でシ−ト状の軽量ゴムを製造しようとする場合、オレフィン系樹脂の微粉末を充填したゴムシ−トは物性の低下が大きくなり、また無機質中空微粒子を充填したゴムシ−トは混合を含めた製造プロセスで無機質中空粒子が破壊され、加硫物の軽量効果が損なわれ一定の軽量比重を得ることが困難であった。
更に、瀝青充填剤を単独で配合して軽量化しようとする場合、未加硫ゴムシ−トに混練された瀝青充填剤のポ−ラス部に内包された空気が加硫時に膨張し、ベルト押圧に耐えるまで空気の集合体圧が均衡し、それ以上になるとスチ−ルベルト〜ゴム〜ドラムで相間起爆現象が起こり、爆発を伴って空気が外部に一気に吐き出される時に生ずる「エア道」がシ−ト外観を損ね加硫シ−ト外観不良による問題があった。
【0004】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであってその目的とするところは、瀝青充填剤と微粒子のくるみ粉末を併用混合することにより、物性の低下が少なく、安価でかつ製品外観に優れた軽量ゴムを提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明は、(a)天然ゴムおよび/または合成ゴム100重量部、(b)粒子径5ミクロン以下の粒子が40重量%以上の粒度分布を有しかつ比重が1.1〜1.3の範囲にある瀝青充填剤10〜100重量部、および(c)粒子径125ミクロン以下でかつ比重が1.28のくるみ微粉末5〜60重量部を含有することを特徴とする軽量ゴム組成物および該軽量ゴム組成物を加硫成形することを特徴とする軽量ゴムシ−トである。
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明の軽量ゴム組成物に配合される瀝青充填剤とは、瀝青炭を主成分とする黒色微粉末であり、粒子径5ミクロン以下の粒子が40重量%以上の粒度分布を有しかつ比重が1.1〜1.3の範囲にある瀝青充填剤である。瀝青充填剤の粒度分布が上記範囲を外れると成形体の表面肌や切断面が荒くなる点で好ましくなく、比重が上記範囲を外れると瀝青炭の品質が悪くなり、軽量ゴムの原料としては適切でなくなる点で好ましくない。
【0007】
瀝青充填剤の配合量は、天然ゴムおよび/または合成ゴム100重量部当たり10〜100重量部である。瀝青充填剤の配合量が10重量部未満では、充分な軽量化が出来なくなる点で、また100重量部を超えると混練作業性が悪くなる点やコストが高くなる点で好ましくない。
【0008】
本発明の軽量ゴム組成物に瀝青充填剤と共に配合されるくるみ微粉末とは、くるみ核から作られる比較的柔らかい高品質な植物性研磨材で粒子サイズが正確で狭雑物、埃等の除去された品質の高いものである。そしてその粒子径は125ミクロン以下の範囲内である。
【0009】
本発明の加硫ゴムの充填剤として用いるくるみ微粉末は、粒子径が125ミクロン以下の範囲のものである。粒子径が126ミクロン以上では、成形体の表面や切断面が荒くなり好ましくない。
【0010】
くるみ微粉末の配合量は、天然ゴムおよび/または合成ゴム100重量部当たり5〜60重量部である。くるみ微粉末の配合量が5重量部未満では、充分な軽量化が出来なくなる点で、また60重量部を超えると混練作業性が低下する点で好ましくない。
【0011】
本発明の軽量ゴム組成物の基材となるゴムは、天然ゴムおよび/または合成ゴムであるが、合成ゴムとしては、例えばスチレンブタジエンゴム(SBR)、クロロプレンゴム(CR)、ニトリルゴム(NBR)、イソプレンゴム(IR)、ブタジエンゴム(BR)、アクリルゴム(ACM、ANM)、ブチルゴム(IIR)、エチレンプロピレンゴム(EPM、EPDM)等を挙げることができるがこれらに限定されるものではない。
【0012】
瀝青充填剤とくるみ微粉末を併用して配合することにより、爆発的な脱気が防止され、軽量ゴムシ−トの外観が良好となり、ゴムに求めれる物性が低下することなく軽量化を図ることができる。
【0013】
本発明の軽量ゴム組成物には、通常、硫黄、過酸化物系加硫剤、アミン系加硫剤等の加硫剤を、ゴム100重量部当たり1〜10重量部配合する。また、加硫剤と共に、亜鉛華やステアリン酸等の加硫助剤、グアニジン系化合物やジチオカルバメ−ト系化合物等の加硫促進剤を配合してもよい。
【0014】
また、本発明の軽量ゴム組成物には、本発明の目的を損なわない範囲で、各種の充填剤や添加剤を配合してもよい。充填剤としては、カ−ボンブラック、ホワイトカ−ボン、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、クレ−炭酸マグネシウム、タルク等を挙げることができる。また、添加剤としては、老化防止剤、可塑剤、軟化剤、難燃剤、着色剤、加工助剤、帯電防止剤等のゴムの加工に一般的に用いられる添加剤を適宜配合してもよい。
【0015】
本発明の軽量ゴムシ−トは、上記の軽量ゴム組成物をニ−ダ−、バンバリ−ミキサ−またはオ−プンロ−ルを使用して混練して、加硫成形することにより製造することができる。成形体の形状は特にシ−トに限定されないが、例えばモ−ルド製品等を挙げることができる。
【0016】
本発明の軽量ゴムシ−トは、瀝青充填剤とくるみ微粉末を併用することにより、ゴムシ−トの軽量を達成することができ、ゴムシ−トに求められる物性の低下も少なく、また、瀝青充填剤単独配合時に見られる外観不良を生じることもない。従って、成形加工時の作業性が向上し、また該軽量ゴムシ−トからパッキンや車両製品を形成することにより軽量化を達成することができる。
【0017】
【実施例】
実施例1、比較例1、2
表1に示すようなゴム組成物をバンバリ−ミキサ−により、10分間(110℃放出)混練し、プレスにより160℃で10分間加硫して軽量ゴムシ−トを得た。得られた軽量ゴムシ−トの物性値を測定し、表1に示した。なお、物性値は以下のようにして測定した。
【0018】
・外観:
軽量ゴムシ−トの外観を目視により観察し、以下のように評価した。
○:表面および切断面が平滑である。
×:表面および切断面が比較例1より荒い。
・圧縮永久歪:
JIS K6301「加硫ゴム物理試験方法」により測定し、改善率20%を目標にした。
・軽量化:
【0019】
【数1】
Figure 0003548939
【0020】
上記により算出し、軽量化15%以上を目標にした。
【0021】
【表1】
Figure 0003548939
【0022】
実施例2、比較例3、4
表2に示したゴム組成物を実施例1に準じて混練加硫し軽量ゴムシ−トを調製した。実施例1と同様に物性を測定し、表2に示した。なお、物性値のうち耐油性、JIS#3オイツ、体積変化率は、JIS K6301「加硫ゴム物理試験方法」により測定した。
【0023】
【表2】
Figure 0003548939
【0024】
表1および表2の結果から明らかなように、瀝青充填剤とくるみ微粉末を配合した本発明の軽量ゴムシ−ト(実施例1、2)は、物性の低下を伴わずに軽量化を図ることができ、しかも製品外観に優れたものであった。一方、瀝青充填剤単独を配合したもの(比較例2、4)は軽量化を図ることができるが、その製品外観は良くなかった。
【0025】
【発明の効果】
本発明により、物性低下が少なく、優れた外観を有する軽量ゴムを安価に提供することができ、製造工程における作業性の向上、物流コストの低減、車両部品に適用した場合の車両の軽量化を図ることができる。

Claims (2)

  1. (a)天然ゴムおよび/または合成ゴム100重量部、(b)粒子径5ミクロン以下の粒子が40重量%以上の粒度分布を有しかつ比重が1.1〜1.3の範囲にある瀝青充填剤10〜100重量部、および(c)粒子径125ミクロン以下でかつ比重が1.28のくるみ微粉末5〜60重量部を含有することを特徴とする軽量ゴム組成物。
  2. (a)天然ゴムおよび/または合成ゴム100重量部、(b)粒子径5ミクロン以下の粒子が40重量%以上の粒度分布を有しかつ比重が1.1〜1.3の範囲にある瀝青充填剤10〜100重量部、および(c)粒子径125ミクロン以下でかつ比重が1.28のくるみ微粉末5〜60重量部を含有する軽量ゴム組成物を加硫成形してなることを特徴とする軽量ゴムシ−ト。
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