JP3548847B2 - 物体等の検知装置 - Google Patents
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Description
技術分野
この発明は、物体等の検知装置に関し、特に人または物体等の有無を光学的に検知する物体等の検知装置に関する。
背景技術
従来のこの種の検知装置の一例として、反射型光電センサについて図1を参照して説明する。従来の光電センサは、被検知物体に向けて投光する投光素子1101とその反射光を受光する受光素子1102とを有し、発振回路1103より得られたパルス信号でもって投光回路1104を駆動し、投光素子1101を点灯させる。その投光素子1101から出射された光は検出物体に当たり、その反射光が受光素子1102に入射され、光−電流変換され、増幅回路1105により増幅される。この増幅された受光信号は、予め設定されたしきい値と比較回路1106で比較され、ゲート回路1107において投光パルスと同期が取られ、ノイズ除去用の積分回路1108を通った後、出力回路1109よりセンサ外部に出力される。
比較的簡単な構成の検知装置として、パッシブ(受動)型の装置がある。パッシブ型の検知装置は、検知装置自体または検知装置と連動する装置として、検知対象に能動的に作用する要素(たとえば受光部とタイミング信号を共有してパルス点灯する光源など)を有しておらず、検知装置とは連動しない人工または自然のエネルギ源(たとえば照明装置または太陽光)が検知対象に作用して生じる検知対象からのエネルギを利用する。その一例として、検知素子に積分型赤外線検知素子(サーモパイル)を用いた静止人体検出器について説明する。その回路図を図2に示す。静止人体検出器の検出エリアに人が侵入すると、サーモパイル1111に人体から発した赤外線が入射し、その光量に応じた起電力がバッファ1112を通して次段のアンプ1113へ送られる。その信号はアンプ1113で増幅され、ローパスフィルタ1114で高周波ノイズを除去し後、予め設定されたしきい値と比較回路1115で比較される。しきい値を上回る信号が入力されると、比較回路1105はオン信号を出力する。VR1はアンプ1113のオフセット電圧調整用の可変抵抗、VSは電源、Vはオフセット電圧である。
しかしながら、図1に示したような従来の光電センサは、自らが光を出射し、その反射光量により物体検出を行なうため、検出性能は投光量に大きく依存する。その投光量は、投光素子1101に流す電流で決まるため、低消費電流化が図りにくい。一方、センサをバッテリで駆動する場合には、長時間の駆動が困難になり、センサを小型にする場合には、発熱の低減が困難になるという問題があった。
図2に示したような検知器においては、サーモパイル1111からの出力は信号が積分されて現れるため、アンプ1113は直流増幅を行なう必要があり、ノイズカットはローパスフィルタのみで行なう必要があり、ハイパスフィルタを通すことができないため、低周波のノイズに弱いという問題がある。
また、サーモパイル1111の出力信号は微小でアンプ1113のオフセット電圧Vと同等以下であるため、アンプ1113で直流増幅されるとき、そのオフセット電圧Vは無視できない。このオフセット電圧Vを除去するためには、アンプ1113にオフ電圧Vの小さな高精度アンプを用いるか、図2に示したようにオフ電圧調整回路VR1が必要となる。ところが、前者はアンプの価格が高いという問題があり、後者は組立時に調整工程が必要となり、製造コストを上げるという問題がある。
したがって、この発明の目的の1つは、低消費電流でかつ簡素な構成を有する物体等の検知装置を提供することである。
この発明の他の目的は高周波ノイズやアンプのオフセットノイズやその他外来ノイズを除去することができる物体等の検知装置を提供することである。
この発明のさらに他の目的は、センサの小型化、ローコスト化、低消費電流化を図ることができ、高精度な回路が要求されることのない、物体等の検知装置を提供することである。
この発明のさらに他の目的は、高いS/N比を確保でき、かつコストを抑えることができるパッシブ型物体検出装置を提供することである。
この発明のさらに他の目的は、信号処理回路の規模を縮小することができるパッシブ部型物体検出装置を提供することである。
この発明のさらに他の目的は、確実に被検出物体の検知を行なうことができ、投光電流を削減し、低消費電流化を図ることができる物体検知器を提供することである。
発明の開示
この発明に係る、物体検知装置は自ら投光した光ではない光を受光することによって背景の手前に物体が存在するかどうかを検知する検知装置は、光学系と、光学系を通過した光を受ける複数の光検出素子とにより、複数の受光視野を構成する受光器と、複数の受光視野が背景のみで占められている状態からの複数の光検出素子からの出力のバランスの変化量をもとに物体の有無を判別する信号処理部とを含む。信号処理部は、受光視野が背景のみで占められている状態において物体の有無の判別のための感度を設定する感度設定器を含む。
複数の受光視野が背景のみで占められている状態からの複数の光検出素子からの出力のバランスの変化量をもとに物体の有無が判別されるが、その判別のための感度は受光視野が背景のみで占められている状態において設定される。受光視野が背景のみで占められているときに従来の物体検知装置のように背景において2つの受光視野を一致させる必要がなく、受光視野の調整よりもはるかに簡単な感度設定を行なうだけで簡単に検出装置を設置することができるため、安定して物体検知を行なうことができるとともに調整の簡単な物体検知装置が提供できる。
この発明の他の局面によれば、物体等の有無を検出するパッシブ型の検知装置は、物理量を検出する検出素子と、検出素子からの出力を増幅する増幅器と、増幅器の出力から検出対象の状態を2値判断する判断部と、検出素子の出力の増幅器への伝達を周期的に断続するスイッチとを含む。検出素子からの出力はスイッチおよび増幅器によりパルス信号とされ、さらに、そのパルス信号は判断部により検出対象の有無に応じてより確かな2値信号として出力される。
上記判断部は、スイッチでパルス化され増幅器で増幅された各パルスごとの信号の大きさが、所定値を連続して所定回数超えたときに出力を変化させるものであってもよい。また、判断部は、スイッチでパルス化され、増幅器で増幅された信号を所定の基準値との大小関係に基づいて2値の値にパルス化する第1の比較部と、第1の比較部の出力を積分する積分部と、積分部の出力を所定の基準値との大小関係に基づいて2値化して出力する第2の比較部とからなるものであってもよい。また、検知装置は、スイッチのスイッチング周波数を含む帯域の信号を通過させるフィルタを具備してもよい。
検出素子により検出対象の物理量に応じて発生した信号をスイッチングしてパルス信号とし、かつ増幅器により増幅し、この増幅器の出力から判断部により検出対象の状態が2値化して出力される。信号の大きさが各パルスごとに2値化して扱われるため、パルス幅が小さくて波高の大きなインパルスノイズに検知器は反応しない。したがって高いS/N比を確保できる。また、検出素子で得られる信号が微小信号であっても、増幅器のオフセット電圧や低周波ノイズの影響を受けにくいため、高価な高精度アンプや製造時のオフセット調整工程が不要になる。その結果コストを抑えることができる。
また、スイッチのスイッチング周波数を含む帯域の信号を通過させるフィルタを用いることにより、交流電源などの外来の低周波ノイズや信号処理回路などで発生する高周波ノイズをカットできるため、高いS/N比を確保でき、高感度化が図れる。
この発明のさらに他の局面によれば、被検出物体からの光を受光することによって被検出物体を検知するパッシブ型物体検知器は、複数の受光視野を構成し、この受光視野内に存する被検出物体または背景物体からの光を複数の受光素子により受光し、この受光量に基づいて複数の系統の検出信号を出力する受光器と、複数の系統の各検出信号をそれぞれ時分割するゲートと、各検出信号がこのゲートを通過するタイミングが非同期で時分割となるようにゲートにパルス信号を供給するパルス発生器と、ゲートにより時分割された各検出信号を組合せて1系統で信号処理をすることにより、受光視野間の光量変動を検出する信号処理器とを含む。
受光器から出力された複数の検出信号の信号処理器への入力を、ゲートにより非同期で時分割となるようにタイミングで切換えるようにしたことにより、複数の系統の検出信号を1系統の信号処理器で処理することが可能になる。従来の光電センサのように、受光出力数と同数の受光回路や増幅回路等の信号処理回路を備える必要がなくなり、信号処理回路の規模を縮小することができる。また、回路部品の削減、消費電流の低減、検知器の外形の縮小、コストの削減、製造不良率の低減等を図ることが可能になる。また回路構成を簡略化することにより、複数の回路の特性のマッチングを図る必要がなくなるので、高精度の部品が要求されることがなくなる。
この発明のさらに他の局面によれば、被検出物体からの光を受光することによって該被検出物体を検知するパッシブ型検知器は、複数の受光視野を構成し、受光視野内に存する被検出物体または背景物体からの光を受光し、この受光量に基づいて受光信号を出力する受光器と、受光器の出力に基づいて被検出物体の有無を判断する判断部と、この判断部の出力に応じて受光視野内に向けて補助光を投光する補助投光器とを含む。
パッシブ型検知器においては、周囲照度が低下したときや、被検出物体が受光視野内に侵入したときに、受光器による受光量の変化が判断部により検出され、それに応じて補助光が投光され、この補助光を用いてさらに被検出物体の検知を行なうので、確実な物体の検知を行なうことができる。また、常に投光を行なう必要がないため、投光電流を削減し、低消費電流化を図ることができる。また、この低消費電流化により、バッテリによって物体検知器を駆動する場合においては、バッテリの長寿命化を図ることができる。その結果、バッテリの交換回数を減らすことができ、電源のない場所での設置が可能になる。
この発明のさらに他の局面においては、物体検知装置は、2つの受光信号を出力する光検出部と、2つの受光信号の差を差動演算する差動演算器と、差動演算器の出力と2つのしきい値との比較に基づいて物体の有無を判断する判断器と、初期状態において差動演算器の出力が所定の値になるように差動演算器の出力を調整するための調整器と、調整器によって差動演算出力が調整された量を検出する調整量検出器と、調整量検出器の出力に基づいて2つのしきい値または各しきい値に与えられるヒステリシス幅を設定するしきい値設定器とを含む。
初期状態の調整において、検知物体がない状態での2つの受光信号に差がない(2つの受光視野内にコントラストがない)と、2つの受光信号のノイズ成分はほぼ等しいので除去されて差動出力のノイズ成分はほぼ0となる。逆に2つの受光信号に差がある(複数の受光視野内にコントラストがある)と、差動出力のノイズ成分を2つの受光信号の差、つまり、差動出力の信号成分の大きさに応じて大きくなる。そこで、初期設定において、初期状態における差動演算器の出力が所定の値になるように調整器により調整し、そのときの調整量は調整量検出器によって検出され、その検出された調整量に基づいてしきい値設定器は2つのしきい値または各しきい値のヒステリシス幅を設定する。このようにすることによって、初期設定時における差動演算器の差動出力の変化量に応じて適切にしきい値またはヒステリシス幅を設定することができる。そして、しきい値を検知信号の上下に設定し、そのレベルから外れたら物体を検知した旨の信号が出力されるため、出力の変化方向にかかわらず物体が検出できる。その結果、使用環境等に依存しない適切な感度調整が可能でかつ高感度のパッシブ型検知装置が提供できる。
【図面の簡単な説明】
図1は従来の反射形光電センサの構成を示す図である。
図2は従来の検知装置の一例を示す構成図である。
図3は第1実施例による物体検知装置の基本原理を示すプロック図である。
図4aは本発明の一実施例による検知装置の受光部の構成を示す図、図4bは検出物体がない特許とある時のPSD上の光強度分布図である。
図5a〜図5dは実施例1aによる受光部の構成を示す図及びPSD上の光強度分布図である。
図6は実施例1aによる信号処理部のブロック図である。
図7a〜図7dは実施例1bによる受光部の構成図、PSD上の光強度分布図及び信号処理部のブロック構成図である。
図8は実施例1cによる受光部及び信号処理部のブロック図である。
図9は実施例1cの変形例による信号処理部のブロック図である。
図10は実施例1dによる受光部及び信号処理部のブロック図である。
図11aは実施例1eによる受光部及び信号処理部のブロック図である。
図11bは実施例1eの変形実施例のブロック図である。
図12は実施例1eの信号処理に割算回路を用いた場合のブロック図である。
図13は実施例1fの変形例による検知装置の構成を示す図である。
図14は実施例1gによる装置の構成図である。
図15は実施例1gの変形例を示す構成図である。
図16は実施例1hによる装置の構成図である。
図17は各種光源の分光分布図である。
図18は実施例1hの変形例を示す図である。
図19aは実施例1iによる装置の構成を示す図であり、図19bはその回路図である。
図20aは実施例1jによる装置の構成を示す図であり、図20bはその回路図である。
図21aは実施例1kによる装置の構成を示す図であり、図21bはその回路図である。
図22aは実施例1mによる装置の構成を示す図であり、図22bはその回路図である。
図23aは実施例1nによる装置の構成を示す図であり、図23bはその回路図である。
図24は実施例1oによる検知装置を示す図である。
図25a〜図25iは実施例1oの動作のタイムチャートである。
図26は比較回路、積分回路、出力回路からなる判断部の具体例を示す回路図である。
図27a〜図27dは上記の動作のタイムチャートである。
図28は判断部の他の例を示す回路図である。
図29a〜図29eは上記の動作のタイムチャートである。
図30は判断部のさらに他の例を示す回路図である。
図31a〜図31lは上記の動作のタイムチャートである。
図32は第2実施例のパッシブ型の検知装置の基本構成を示す図である。
図33は実施例2aによる光検出器の構成図である。
図34a〜図34hは実施例1aのタイムチャートである。
図35aはスイッチング信号SGを生成する周期/デューティ比可変回路の構成例を示す図、図35bはそのタイムチャートである。
図36は実施例2bによる検知装置の構成を示す図である。
図37は実施例2bにおける回路各部とコンデンサの並列容量Ciの関係図である。
図38は上記の比較回路、判別部からなる判断部の具体例を示す回路図である。
図39a〜図39dは上記の動作のタイムチャートである。
図40は判断部の他の例を示す回路図である。
図41a〜図41eは上記の動作のタイムチャートである。
図42は判断部のさらに他の例を示す回路図である。
図43a〜図43lは上記の動作のタイムチャートである。
図44は参考例2cによる赤外線検出器の構成を示す図である。
図45は参考例2dによる温度検出器の検出部の構成を示す図である。
図46a〜図46dは参考例2eによる圧力検出器の構成を示す平面図及び断面図、等価回路図、およびその信号処理部の構成を示す図である。
図47a〜図47hは参考例2cのタイムチャートである。
図48は参考例2fによる温度センサの検出部の構成を示す図である。
図49は実施例2gによる構成を示す図である。
図50は実施例2hによる構成を示す図である。
図51は実施例3aによる検知器の構成図である。
図52a〜図52iは実施例3aによる検知器の検知動作のタイムチャートである。
図53は実施例3bによる検知器の構成図である。
図54は実施例3cによる検知器のスイッチ近傍の構成を示す図である。
図55は実施例3bによる検知器のスイッチ近傍の構成を示す図である。
図56は実施例3eによる検知器の構成図である。
図57a〜図57mは実施例3eによる検知器の検知動作のタイムチャートである。
図58は実施例3fによる検知器の構成図である。
図59a〜図59iは実施例3fによる検知器の検知動作のタイムチャートである。
図60は実施例3gによる検知器の構成図である。
図61a〜図61jは実施例3gによる検知器の検知動作のタイムチャートである。
図62a〜図62jは実施例3hによる検知器の検知動作のタイムチャートである。
図63は実施例3iによる検知器の構成図である。
図64a〜図64jは実施例3jによる検知器の検知動作のタイムチャートである。
図65は実施例3jによる検知器の構成図である。
図66a〜図66jは実施例3jによる検知器の構成図である。
図67は実施例3kによる検知器の構成図である。
図68a〜図68jは実施例3kによる検知器野検知動作のタイムチャートである。
図69は実施例3lによる検知器の構成図である。
図70は実施例3mによる検知器の構成図である。
図71は参考例3nによる赤外線センサの構成図である。
図72は参考例3oによる温度センサの構成図である。
図73aは参考例3pによる圧力センサの平面図、及び断面図、図73bは同センサの回路図である。
図74は参考例3qによるガスセンサの構成図である。
図75は第4実施例に係る検知器の基本構成を示すブロック図である。
図76a〜図76eは光検出素子上の受光量分布を示す図である。
図77は比較回路、判別回路の内部構成を示すブロック図である。
図78a〜図78pは差動増幅器の出力および比較回路、判別回路の動作のタイムチャートである。
図79は受光出射より反射面の数の方が多い場合の検知器の構成を示すブロック図である。
図80は検知物体の位置に対する受光量の変化を示す図である。
図81は電源に電池を用い、電源の供給を間欠供給とした検知回路を示すブロック図である。
図82は太陽電池によって蓄電池に給電場合の検知器のブロック図である。
図83は水力発電によって蓄電池に給電される検知器の構成を示すブロック図である。
図84は検知器の位置の調整をする方法を示す模式図である。
図85は位置調整用のLEDを内蔵した受光部の構成を示す図である。
図86aは反射板を示し、第86b図は4分割PDの構成を示す図である。
図87は光検出素子とレンズの間に絞りを入れた光学系を示す図である。
図88は駐車場システムにおける検知器の配置を示す図である。
図89は駐車場システムの構成を示すブロック図である。
図90は路面上の車両検出システムの構成を示すブロック図である。
図91は車軸数を測定するシステムの構成を示すブロック図である。
図92はパスゲートシステムの構成を示すブロック図である。
図93はパスゲートにおける検知器の配置を示す図である。
図94は入退者数管理システムの構成を示すブロック図である。
図95は位置決め装置の構成を示すブロック図である。
図96は検知器のアナログ出力を示す図である。
図97は長さ測定装置の構成を示す模式図である。
図98は監視システムの構成を示すブロック図である。
図99は第5実施例における構成を示す模式図である。
図100は第5実施例に係る検知器を用いたエリアセンサを示す図である。
図101はエリアセンサの具体的使用例を示す図である。
図102〜図104は第5実施例における検知器を用いたエリアセンサの利用例を示す図である。
図105は実施例6aによる検知器の構成図である。
図106a〜図106lは実施例6aによる検知器の検知動作のタイムチャートである。
図107aは実施例6aによる検知器の補助投光部のかいいろずであり、図107bは実施例6aによる検知器の投光トリガ回路の回路図と論理図である。
図108は実施例6bによる検知器の構成図である。
図109は実施例6cによる検知器の構成図である。
図110a〜図110nは実施例6cによる検知器の検知動作のタイムチャートである。
図111aは実施例6cによる検知器の検知動作のタイムチャートであり、図111bはその検知動作の特徴を示す図である。
図112は実施例6dによる検知器の構成を示すブロック図である。
図113a〜図113eは検知動作のタイムチャートである。
図114は出力禁止回路の構成を示す図である。
図115は実施例6eによる検知器の構成図である。
図116は実施例6fによる検知器の構成図である。
図117は実施例6gによる検知器の構成を示す図である。
図118は電源リセット時出力禁止と電圧低下時出力禁止の両出力禁止回路を備えた検知回路の回路図である。
図119は検知動作のタイムチャートである。
図120は実施例6hによる検知器の警告表示回路の回路図である。
図121は実施例6iによる検知器の比較部、演算部、判断部の構成図、図122は出力禁止回路の回路図である。
図123は実施例6jによる検知器の構成を示すブロック図である。
図124a〜図124dは検知動作のタイムチャートである。
図125は実施例7aによる検知装置のブロック構成図である。
図126a〜図126iは実施例7aによる動作のタイムチャートである。
図127は初期設定の基本概念を説明する図である。
図128a及び図128bは作動演算器の基準電圧を変更する場合の回路図及びその時の基準電圧と2つのしきい値との関係を示す図であり、図128c及び図128dは増幅回路の増幅率の変更による場合の回路図及びその時の基準電圧と2つのしきい値との関係を示す図である。
図129a及び図129bは受光信号の減衰による場合の回路図及びその時の基準でんたうと2つのしきい値との関係を示す図であり、図129c及び図129dは増幅回路出力のDCオフセット値の変更による場合の回路図及びその時の基準電圧と2つのしきい値との関係を示す図である。
図130は実施例7bによる検知装置のブロック図である。
図131は実施例7aにおける初期設定のための具体的は回路図である。
図132は初期設定時にヒステリシス幅のみを変更する場合の要部回路図である。
図133は初期設定時にしきい値のみを変更する場合の要部回路図である。
図134aは初期設定時の変化量検出部の変形例を示す部分回路図、図134bはその動作を説明するタイムチャートである。
図135は初期設定時にしきい値を変更する場合の要部回路図である。
図136は本発明の実施例7cによる検知装置の受光部の回路図である。
図137a〜図137gはその動作を説明するタイムチャートである。
発明を実施するための最良の形態
(1) 第1実施例
本発明による物体等の検知装置の基本原理についてまず説明する。図3を参照して検知装置100は、投光部を持たず、受光部とその信号処理部からなる。複数の受光素子101,102は、複数の受光視野内の被検知物体からの光を受光するもので、信号処理部は、受光素子101,102からの信号を受ける増幅回路103,104及び105,106、差動増幅回路107,108、及び109、比較回路110、発振回路111、積分回路112、出力回路113とからなる。出力回路113は積分回路112の出力を所定の基準値との大小関係に基づいて2値とするものである。受光部101,102の構成を図4aに示す。上記受光素子101,102は、複数の受光視野を構成するレンズ116,117と、ポジション・センシング・デバイス(位置検出素子:以下、PSDという)118,119とを含む。図4b,4cは、検出物体がない時とある時のPSD上の光強度分布を示す。同図に示すように、受光視野内の像の変化によるPSD118,PSD119上の重心位置Gの移動又は複数の受光視野間の光量変動を感知することで、背景14の前に初期状態には存在していなかった検出物体15の有無検知を行う。
以下に上記原理を応用した各具体例を説明する。
(1a) 実施例1a
図5a〜図5dは本発明の実施例1aによる受光部とPSD上の光強度分布を示す。レンズ116とPSD118により受光視野aを構成し、レンズ117とPSD119により受光視野bを構成する。これらの視野には周囲からの自然散乱光(照明光、太陽光など)が照射されている。検出物体がない場合、PSD118,PSD119には自然散乱光に照らされた背景の像がレンズ116,117を通して映っている。背景にコントラストがない場合、図5bのように、PSD上の光強度分布は一様となるため、PSD118,PSD119共に光重心位置GはPSDの中心となる。背景にコントラストがあれば、光重心位置GがPSDの中心となるように初期設定を行う。
ここで、背景と同等以上の反射率の高い検出物体15が受光視野内にある場合は、検出物体15からの反射光が背景14からの反射光よりも大きくなるため、図5cのように、PSD上では検出物体15の像が映っている部分の光強度Pは大きく、背景14が映っている部分の光強度Pは小さくなる。よって、光重心位置Gが検出物体15側の像の方へ移動する。その移動量をPSD118ではΔLa、PSD119ではΔLbとする。
また、背景14と同等以下の反射率の低い検出物体15が受光視野内にある場合は、検出物体15からの反射光が背景14からの反射光よりも小さくなるため、図5bのように、PSD上では検出物体15の像が映っている部分の光強度Pは小さく、背景が映っている部分の光強度Pは大きくなる。よって、光重心位置Gは背景側の像の方へ移動する。
図6は実施例1aによる信号処理部のブロック構成を示す。
各PSDからはPSDへの入光パワーと光重心位置に応じた光電流が出力され、PSD118からは電流I1,I2、PSD119からは電流I3,I4が出力される。これら光電流は各々I/V変換回路で電圧に変換される。電流I1はI/V変換回路121で電圧V1に、電流I2はI/V変換回路122で電圧V2に、電流I3はI/V変換回路123で電圧V3に、電流I4はI/V変換回路124で電圧V4にそれぞれ変換される。電圧V1とV2は差動増幅回路107で引き算され、(V1−V2)を得、電圧V3とV4は差動増幅回路108で引き算され、(V3−V4)を得る。これらは差動増幅回路109でさらに引き算され、その出力は、
(出力)=(V1−V2)−(V3−V4)
となる。この結果は予め設定されたしきい値と比較回路110で比較され、ノイズ除去のための積分回路112を通った後、出力回路113より出力される。
このように実施例1aの物体等の検知装置は、自ら光を発せず、自然散乱光を光源として動作し、受光視野に初期状態には存在していなかった物体が侵入すると、受光素子上の光重心位置が変動し、その変動量を検知して、物体の有無を検出するため、低消費電流化を容易に図れる。しかも、図5aに示した受光視野a又は受光視野bのどちらか一方で変化があれば出力が得られるので、受光器が1個の場合に比べ、受光視野は広く取れ、また、視野の重なり部分では各PSDの移動量を足し合わせることになるため、感度も2倍となる。
(1b) 実施例b
図7a〜図7bは実施例1bによる受光部、PSD上の光強度分布及び信号処理部のブロック構成を示す。本実施例では、1個のレンズ116とPSD118により受光視野を構成する。この視野には周囲からの自然散乱光(照明光、太陽光など)が照射されている。検出物体がない場合、PSD118には自然散乱光に照らされた背景の像がレンズ16を通して映っている。背景14にコントラストがない場合、図7bのようにPSD上の光強度分布は一様となるため、PSDの光重心位置GはPSDの中心となる。背景14にコントラストがあれば、光重心位置GがPSDの中心となるよう初期設定を行う。
PSD118からはPSD118への入光パワーと光重心位置に応じた光電流が出力され、SPD118からは光電流I1,I2が出力される。これら光電流はI/V変換回路121,122で電圧に変換され、電流I1はI/V変換回路121で電圧V1に、電流I2はI/V変換回路122で電圧V2に変換される。電圧V1とV2は差動増幅回路107で引き算され、(V1−V2)を得る。この結果は予め設定されたしきい値と比較回路110で比較され、ノイズ除去のための積分回路112を通った後、出力回路113より出力される。
背景14と異なるコントラストを持つ検出物体15が受光視野内にある場合は、図7cのように、PSD上にその像が映り、光重心位置Gが移動し、PSDから出力される各光電流は背景像が映っている初期状態とは異なる。ここに、検出物体15がない場合(背景を検知している)のPSD18の出力電流をI11,I21とすると、I/V変換後の電圧はV11,V21、差動増幅後の電圧は(V11−V21)となる。検出物体15がある場合のPSD18の出力電流をI12、I22とすると、I/V変換後の電圧はV12、V22、差動増幅後の電圧は(V12−V22)となる。ここに、検出物体15がない場合の差動増幅回路107の出力値(V11−V21)の上下に比較回路10のしきい値は設定され、このしきい値を横切る信号、例えば(V12−V22)が入力されると、比較回路110からオン信号が出力され、その信号はノイズ除去のための積分回路112を通った後、出力回路113より検出物体の侵入信号を出力する。
このように実施例1bの検知装置は、自ら光を発せず、自然散乱光を光源として動作し、受光視野に初期状態には存在していなかった物体が侵入すると、受光素子上の光重心位置が変動し、その変動量に応じた光電流の差異を検知して、物体の有無を検出するため、低消費電流化を容易に図れる。これは、受光器を複数持つものに比べて、小型、コストの面で有利である。
(1c) 実施例1c
図8は実施例1cによる受光部及び信号処理部のブロック構成を示す。レンズ116と2分割フォトダイオード(PDという)131のPD1により受光視野1を構成し、レンズ116と2分割131のPD2より受光視野2を構成し、レンズ117と2分割PD132のPD3により受光視野3を構成し、レンズ117と2分割PD132のPD4より受光視野4を構成する。これらの視野には周囲からの自然散乱光(照明光、太陽光など)が照射されている。
各PDからはPDへの入光パワーに応じた光電流が出力され、PD1からはI1、PD2からはI2、PD3からはI3、PD4からはI4が出力される。これら光電流はI/V変換回路121〜124で電圧に変換され、電流I1はI/V変換回路121でV1、電流I2はI/V変換回路122でV2、電流I3はI/V変換回路123でV3、電流I4はI/V変換回路124でV4に変換される。電圧V1とV2は差動増幅回路107で引き算され、(V1−V2)を得、電圧V3とV4は差動増幅回路108で引き算され、(V3−V4)を得る。これらは差動増幅回路109でさらに引き算され、その出力は、
(出力)=(V1−V2)−(V3−V4)
となる。この結果は予め設定されたしきい値と比較回路110で比較され、ノイズ除去のための積分回路112を通った後、出力回路113より出力される。
検出物体がない場合、2分割PD131,132には自然散乱光に照らされた背景の像がレンズを通して映っている。背景にコントラストがない場合、PD1とPD2への入射光量、PD3とPD4の入射光量はそれぞれ等しくなり、差動増幅回路109の出力は0となる。背景にコントラストがあれば、PD1とPD2への入射光量、PD3とPD4への入射光量はそれぞれ異なり、差動増幅回路109の出力は0とならないので、これが0となるように初期設定を行う。
いま、背景と同等以上の反射率の高い検出物体15が受光視野1、4内にある場合は、検出物体15からの反射光が背景からの反射光より大きくなるため、PD上では検出物体15の像が映っている部分の光強度Pは大きく、背景が映っている部分の光強度Pは小さくなる。よって、
(V1−V2)>0、(V3−V4)<0となり、
差動増幅回路109の出力は0以上となり、初期状態とは異なるため、この違いを検知することで物体の侵入を検出できる。
また、背景と同等以下の反射率の低い検出物体15が受光視野1、4内にある場合は、検出物体15からの反射光が背景からの反射光よりも小さくなるため、PD上では検出物体の像が映っている部分の光強度Pは小さく、背景が映っている部分の光強度Pは大きくなる。よって、
(V1−V2)<0、(V3−V4)>0となり、
差動増幅回路109の出力は0以下となり、初期状態とは異なるため、この違いを検知することで物体の侵入を検出できる。
このように実施例1cの検出装置は、自ら光を発せず、自然散乱光を光源として動作し、受光視野に初期状態には存在していなかった物体が侵入すると、2分割PDへの入光量のバランスが崩れ、その変動量を検出して、検出物体の有無を検出するため、低消費電流化を容易に図れる。本実施例によれば、受光視野1、2、3、4、のいずれかの視野に変化があれば出力が得られるため、受光器が1個の場合に比べ、受光視野は広く取れ、大きな物体の検出が可能となり、また、視野の重なり部分では各PDの光量変化量を足し合わせることになるため、感度も2倍となる。
図9は上記実施例1cの変形例による信号処理部のブロック構成を示す。
同図には、上記I/V変換回路121〜124の出力以降の構成のみを示している。電圧V1とV2は差動増幅回路107で引き算され、(V1−V2)を得、加算器107′で足算され、(V1+V2)を得、電圧V3とV4は差動増幅回路108で引き算され、(V3−V4)を得、加算器108′で足算され、(V3+V4)を得る。さらに、割算回路135,136で各々の差を和で割り算し、(V1−V2)/(V1+V2),(V3−V4)/(V3+V4)を得て、さらに、差動増幅回路137で引き算され、(V1−V2)/(V1+V2)−(V3−V4)/(V3+V4)を得る。このような割り算処理を用いることにより、出力比を取り扱うことになるので、視野全体が明るく又は暗くなるといった変動に対しても正確に物体の検出が行える。
(1d) 実施例1d
図10は実施例1dによる受光部及び信号処理部のブロック構成を示す。本実施例では、受光素子として2分割PD140を用い、分割されたそれぞれのPDをPDa、PDbとする。PDaとレンズ116により受光視野aを構成し、PDbとレンズ116により受光視野bを構成する。これらの視野には周囲からの自然散乱光(照明光、太陽光)が照射されている。検出物体がない場合、PDa,bには自然散乱光に照らされた背景の像がレンズ16を通して映っている。背景にコントラストがない場合、PD上の光強度分布は一様となるため、PDa,bから出力される光電流は等しい。背景にコントラストがあれば、PDa,bから出力される光電流は異なる。
いま、背景と異なるコントラストを持つ検出物体15が受光視野内にある場合は、PD140上にその像が映り、PDa,bから出力される光電流は背景像が映っている初期状態とは異なる。検出物体15がない場合(背景)のPDaの出力をIa1、PDbの出力をIb1とし、検出物体がある場合のPDaの出力をIa2、PDbの出力をIb2とする。図10に示すように、PDaの光電流出力は、I/V変換回路121で電圧Vaに変換され、PDbの光電流出力は、I/V変換回路122で電圧Vbに変換される。検出物体15がない場合、Va1、Vb1が得られ、検出物体15がある場合、Va2、Vb2が得られる。これらは差動増幅回路109で引き算され、検出物体15がない場合、(Va1−Vb1)となり、検出物体15がある場合、(Va2−Vb2)となる。
検出物体15がない場合の差動増幅回路109の出力値(Va1−Vb1)の上下に比較回路110のしきい値は設定され、このしきい値を横切る信号、例えば(Va2−Vb2)が入力されると、比較回路110からオン信号が出力され、その信号はノイズ除去の積分回路112を通った後、出力回路113より検出物体15の侵入信号を出力する。
このように実施例1dの検知装置は、自ら光を発せず、自然散乱光を光源として動作し、受光視野に初期状態には存在していなかった物体が侵入すると、受光視野間の光量が変動し、その変動量を検知して、物体の有無を検出するため、低消費電流化を容易に図れる。これは、受光器を複数持つものに比べて、小型、コストの面で有利である。
(1e) 実施例1e
図11aは実施例1eによる受光部及び信号処理部のブロック構成を示す。本実施例では、受光素子として2個のPD141,142を用いる。PD141とレンズ116により受光視野aを構成し、PD142とレンズ117により受光視野bを構成する。これらの視野はお互いに分離しており、両視野に周囲からの自然散乱光(照明光、太陽光)が照射されている。
検出物体がない場合、PD141,142には自然散乱光に照らされた背景の像がレンズ116,117を通して映っている。背景にコントラストがない場合、PD上の光強度分布は一様となるため、PD141,142から出力される光電流は等しい。背景にコントラストがあれば、PD141,142から出力される光電流は異なる。
いま、片側の受光視野、例えば受光視野bに検出物体15が侵入する場合を考える。この時、PD142上にその像が映り、PD142から出力される光電流は背景像が映っている初期状態とは異なる。検出物体15がない場合、背景のPD141の出力電流はIa1、PD142の出力電流はIb1、検出物体15が受光視野bにある場合のPD141の出力電流はIa1のままであり、PD142の出力電流はIb2となる。図11aに示すように、PD141の光電流出力はI/V変換回路121で電圧Vaに変換され、PD142の光電流出力はI/V変換回路122で電圧Vbに変換されるから、検出物体15がない場合、Va1、Vb1が得られ、検出物体がある場合、Va1(変化なし)、Vb2が得られる。これらは差動増幅回路109で引き算され、検出物体15がない場合、(Va1−Vb1)となり、検出物体がある場合、(Va1−Vb2)となる。
検出物体がない場合の差動増幅回路109の出力値(Va1−Vb1)の上下に比較回転110のしきい値は設定され、このしきい値を横切る信号、例えば(Va1−Vb2)が入力されると比較回路110からオン信号が出力され、その信号はノイズ除去のための積分回路112を通った後、出力回路113より検出物体15の侵入信号を出力する。
このように実施例1eの検知装置は、自ら光を発せず、自然散乱光を光源として動作し、受光視野に初期状態には存在していなかった物体が侵入すると、受光視野間の光量が変動し、その変動量を検知して、物体の有無を検出するため、低消費電流化を容易に図れる。また、この場合、受光視野がお互いに分離していることで、受光視野を広く取れ、より大きな物体の検出ができるという利点がある。
次に実施例1eの変形例を図11bを参照して説明する。図11bを参照して、変形例においては、レンズ116、117の代わりに光ファイバ151、152が設けられている。それ以外の部分について図11aと同様であるので、その説明は省略する。
レンズの代わりに光ファイバを用いているため、受光視野は自在に設定できる。
(1f) 実施例1f
図12は上記実施例1eの信号処理に割算回路を用い、かつ電源回路を加えた場合のブロック図である。差動増幅回路に代えて割算回路144を用い、電圧VaとVbの比を取ると、その出力は検出物体がない場合、Vb1/Va1となり、検出物体がある場合、Vb2/Va1となるため、視野全体が同じ比率で明るくなっても暗くなっても、この比が変わらないから、自然散乱光の変化に強くなる。
上記図12の例では、電源として電池145を用いており、これにより電気工事が不要となり、商用電源がないような場所でも検知装置を設置することが可能で、取付場所の制約がなくなる。
上記図12の例では、検知装置51はI/V変換回路121,122、割算回路144、比較回路110、積分回路112、出力回路113などの信号処理部を含み、そこへの電源供給は、発振回路111のクロックで間欠供給するような電源回路146で行なう。これにより、一層、消費電流を低減することができる。
図13は図12に示した検知装置51の他の構成を示す。上述したような構成でなる検知器51の電源として太陽電池52を用い、その電力を大容量コンデンサ又は二次電池等でなる蓄電器53に供給する。その結果、電気工事が不要となり、検知器51の取付場所に制約を受けることがなくなる。
(1g) 実施例1g
図14は実施例1gによる装置の構成を示す。本実施例は、洗面台55の中に侵入されたた人の手などを検知器(感知器)51により検知して蛇口56に吸水する検知装置である。検知器(感知部)51が洗面台55の近傍に設けられ、この検知器51により手などが感知されると、通水路上に配された電磁弁(バルブ)57に対するバルブ開信号が制御部(バルブ駆動回路)58へ入力され、その出力で電磁弁57は駆動され、開く。この電磁弁57の開により吐水を行う。また、手が検知器51の検知エリアから外れると、検知器51からはバルブ閉信号が出力され、制御部58により電磁弁57は閉じられ、止水する。
また、通水路上に羽根車付きの水力発電機59を配設し、この発電機59による発電電力を蓄電池60に充電し、その出力を検知器51の電源としている。発電機59は、バルブ開の時、羽根車が水勢により回転され、その回転速度に応じた周波数の電流を出力し、この出力電流は整流回路61により全波整流され、充電回路62、ダイオード63を経て蓄電池60に供給され、これを充電する。この充電された電力により検知器51を動作させる。この構成によれば、外部から電源を供給しなくてもよいので、検知器51の無電源場所への設置や電気工事を必要としないという効果がある。
本実施例の検知器51は、図15に示すように、便器65に自動水洗を行うための人体検知にも適用できる。
(1h) 実施例1h
図16は実施例1hによる装置の構成を示す。検知器51の受光素子67は、太陽光を直接に受光すると、その強い光により受光素子67の光出力が飽和し、受光視野内への物体の侵入による光信号の変化に対する感度を失う。そこで、検知器51の光源としてその空間の照明器68を用い、その照明器68が発する光のうち、光量が大きい波長域を含む所定の波長域のみの光を透過させる光学フィルタ69を受光素子67の前面に配置し、照明光以外の光(主に太陽光)をできるだけカットする。図17は各種光源の分光分布を示している。同図から分かるように、例えば、光源に白熱灯を用いる場合は、700nm以下の光をカットする光学フィルタを用い、光源に蛍光灯を用いる場合は、550〜650nmの光以外をカットする光学フィルタを用いる。また、図18に示すように、光学フィルタ69をレンズ116,117の前面に配置する構成も考えられる。この場合は、光学フィルタ69を脱着構造とし、検知器51の空間の照明光の波長に合わせて後付けでも取り付けられるようにすればよい。
(1i) 実施例1i
図19a、19bは実施例1iによる装置の構成及び回路を示す。本実施例の検知器51は、テレビや案内表示器等のディスプレイ装置70の周辺に設置され、その前方の視野を検知器51によりモニタするものである。人がその視野に侵入すると、すなわち、人の存在が検知された時、検知器51はディスプレイ装置70の電源スイッチ71をオンする信号を出力し、人がその視野から外れると、電源スイッチ71をオフする信号を出力する。これにより、自動的にディスプレイ装置70の電源がオン・オフされる。
(1j) 実施例1j
図20a、20bは実施例1jによる装置の構成及び回路を示す。本実施例の検知器51は、パチンコ台や自動取引装置(ATM)、自動発券機、自動販売機などの個々の装置73(以下、パチンコ台という)の周辺に設置され、その前方の視野をモニタしている。各パチンコ台73の玉検知部74と検知器51からの検知信号は制御部75に伝えられる。制御部75は、検知器51がその視野に人を検知していない時には、玉出し部76から玉を出さないように制御する。また、自動取引装置や自動販売機の場合は、検知器の視野に人を検知していない時には、取引を行わないように制御する。これにより、防犯システムとして機能する。
(1k) 実施例1k
図21a、21bは実施例1kによる装置の構成及び回路を示す。本実施例の検知器51は、デスク78の前をモニタするように設置され、人がその視野に侵入すると自動的に照明器79のスイッチ71をオンし、視野から外れると自動的に照明器79のスイッチ71をオフにする。これにより、省エネルギー化が図れる。
(1m) 実施例1m
図22a、22bは実施例1mの装置の構成及び回路を示す。本実施例の検知器51は、部屋やトイレ内のドア80の周辺に設置され、人がその視野に侵入すると自動的に換気扇81のスイッチ71をオンし、人がその視野から外れると自動的に換気扇81のスイッチ71をオフする。これにより、上記と同様、省エネルギー化が図れる。また、換気扇の他に、エアコン等の空調機に適用して、直接に人のいる方向には風を吹かないような制御を行うこともできる。
(1n) 実施例1n
図23a、23bは実施例1nによる装置の構成及び回路ブロックを示す。本実施例の検知器51は、自動ドア82の付近をモニタするように設置され、その視野内に人が侵入すると、モータ制御部83に検知信号を送り、モータ84を駆動して、自動ドア82を開ける。このような自動ドアの構成は、上述したように検知器が電池電源で動作し得て取付場所の制約が少ないことから、後付けに適している。
(1o) 実施例1o
図24は実施例1oによる検知装置の構成及び回路図、図25はその動作のタイムチャートである。
レンズ116と2分割PD131のPD1より受光視野1を構成し、レンズ116と2分割PD131のPD2より受光視野2を構成し、レンズ117と2分割PD132のPD3より受光視野3を構成し、レンズ117と2分割PD132のPD4より受光視野4を構成する。これらの視野には周囲からの自然散乱光(照明光、太陽光など)が照射されている。
各PDからはPDへの入光パワーに応じた光電流が出力され、PD1からはI1、PD2からはI2、PD3からはI3、PD4からはI4が出力される。これら光電流はI/V変換回路で電圧に変換され、I1はI/V変換回路121でV1、I2はI/V変換回路122でV2、I3はI/V変換回路123でV3、I4はI/V変換回路124でV4に変換される。電圧V1とV2は差動増幅回路107で引き算され、(V1−V2)を得、電圧V3とV4は差動増幅回路108で引き算され、(V3−V4)を得る。ここで、V1〜V4にはオペアンプのオフセット電圧、蛍光灯に含まれる電源低周波ノイズ、受光素子や受光回路で発生する高周波ノイズなどのノイズが含まれている。受光信号は直流成分が支配的なので、オフセット電圧や低周波ノイズの除去が困難である。
そこで、各受光素子の出力ラインに挿入したアナログスイッチ91〜94をパルス信号SGで周期的にスイッチングすることにより、各受光素子からの出力を直流信号からパルス信号に変換する。その場合の、各I/V変換回路のオペアンプ1,4及び2,3の出力信号波形を図25c、25dに示す。これらの信号をコンデンサC1〜C4と抵抗R5〜R8で構成されたハイパスフィルタ(HPF1〜HPF4)に通し、オフセット電圧や低周波ノイズを除去する。その信号波形を図25e、25fに示す。さらに、コンデンサC5〜C6と抵抗R9〜R10で構成されたローパスフィルタにより高周波ノイズを除去する。そのオペアンプ5,6の信号波形を図25g、25hに示す。ノイズ除去されたこれらの信号は差動増幅回路109でさらに引き算され、その出力は、
(出力)=(V1−V2)−(V3−V4)
となる。その信号波形を図25iに示す。この結果は予め設定されたしきい値と比較回路110で比較され、ノイズ除去のための積分回路112を通った後、出力回路113より出力される。この比較回路110、積分回路112及び出力回路113の具体例については、後述する。
上記構成において、検出物体がない場合、2分割PD131,132には自然散乱光に照らされた背景の像がレンズ116,117を通して映っている。背景にコントラストがない場合、PD1とPD2への入射光量、DP3とPD4への入射光量はそれぞれ等しくなり、差動増幅回路109の出力は0となるが、背景にコントラストがあれば、PD1とPD2への入射光量、PD3とPD4への入射光量はそれぞれ異なり、差動増幅回路109の出力は0とならず、しかも、背景と検出物体15の反射率の関係によっては差動増幅回路109の出力は正、負両方の値を取る。そのため、感度設定回路95により検出物体15のない場合の出力V0が、しきい値Vth1とVth2(図25i参照)の中心になるように設定する。感度設定の方法は、可変抵抗により設定する場合、又は、差動出力V0をA/D変換し、マイコンにより設定する場合などがある。また、感度設定を行うところは検知装置の内外を問わない。
ここで、背景と同等以上の反射率の高い検出物体が受光視野1、4内にある場合は、検出物体からの反射光が背景からの反射光よりも大きくなるため、PD上では検出物体の像が映っている部分の光強度Pは大きく、背景が映っている部分の光強度Pは小さくなる。よって、
(V1−V2)>0、(V3−V4)<0となり、
差動増幅回路109の出力はVth1以上となり、初期状態とは異なるため、この違いを検知することで物体の侵入を検出できる。
また、背景と同等以下の反射率の低い検出物体が受光視野1、4内にある場合は、検出物体からの反射光が背景からの反射光よりも小さくなるため、PD上では検出物体の像が映っている部分の光強度Pは小さく、背景が映っている部分の光強度Pは大きくなる。よって、
(V1−V2)<0、(V3−V4)>0となり、
差動増幅回路109の出力はVth2以下となり、初期状態とは異なるため、この違いを検知することで物体の侵入を検出できる。
このように本実施例の検知装置によれば、自ら光を発せず、自然散乱光を光源として動作し、受光視野に初期状態には存在していなかった物体が侵入すると、2分割PDへの入光量のバランスが崩れ、その変化量を検出して、検出物体の有無を検出するため、低消費電流化を容易に図れる。また、受光視野1、2、3、4のいずれかに変化があれば検知信号が出力されるため、受光器が1個の場合に比べて、受光視野は広く取れ、大きな物体の検出をも可能となり、また、各PDの光量変化量を足し合わせることになるため、感度も2倍となる。
さらに、上記の比較回路110、積分回路112、出力回路113の具体例を図26に示す。これらの回路は、差動増幅回路109のパルス信号出力から、より確かな2値出力を得るための積分方式による判断部を構成する。比較回路110の入力端の可変抵抗VRは上記感度調整回路95に相当し、しきい値(ON/OFFレベル)を変えることができる。出力回路113の実質内容は比較回路113aである。図27a〜図27dは動作のタイムチャートである。作動増幅回路109の出力がしきい値ONレベルを越えると、比較回路110のCOM3の出力がLとなる。このとき、INV1により、積分回路112のトランジスタTR5はON状態で、コンデンサC2は電流I′により充電される。差動増幅回路109の出力がしきい値OFFレベルを下回ると、COM3の出力がHとなる。このとき、INV1により、トランジスタTR5はOFF状態で、コンデンサC2の充電電荷は抵抗R13を通して所定の時定数(C2×R13)で放電される。
上記構成を採用することにより、差動増幅回路109の出力が連続してONレベルを所定回数越えたときに、比較回路113aの出力が変化する。積分回路112の充放電は緩やかであるので、信号期間中に外乱があって、差動増幅回路109の出力が一時的に比較回路110のONレベルを下回るようなことがあっても、比較回路113aの出力はONが保持される。このように、信号は各パルス毎に2値化して扱われるため、パルス幅が小さくて波高の大きなインパルスノイズには反応せず、それによる誤動作はなくなる。なお、上記の図24に示した実施例は、一般の信号処理回路で発生するオフセットや低周波ノイズの影響を除去するための技術として知られているチョッパ型増幅器を導入したものと一見似ているが、チョッパ型増幅器は出力側に直流化のための平滑部を有するのに対して、本実施例では平滑部を用いず、上記の図26のような2値出力を得るための比較回路を含む判断部を用いている点で相違する。このため、本実施例では、上記のようにインパルスノイズによる誤動作防止という特有の効果が得られる。
次に、上記積分方式の判断部の変形例を図28に示す。その動作のタイムチャートを図29a〜図29eに示す。比較回路110のCOM1の出力がL、パルス信号SGがHのとき、トランジスタTR1はON状態で、AND1はLレベルであるので、トランジスタTR4はOFF状態にあり、従って、コンデンサC1は電流I′により充電される。COM1の出力がH、パルス信号SGがHのとき、トランジスタTR1はOFF状態で、AND1はHレベルであるので、トランジスタTR4はON状態にあり、従って、コンデンサC1の充電電荷はトランジスタTR4を介して一気に放電されるようになっている。
比較回路110は、差動増幅回路109の出力が予め設定されたしきい値ONレベルを上回っていれば、Lレベルを出力し、予め設定されたしきい値OFFレベルを下回っていればHレベルを出力する。積分回路112は、比較回路110の出力信号がLレベルのとき充電され、コンデンサC1の充電電位は0[V]からVaとなり(図29cの▲1▼点)、その後、所定の時定数(C1×R5)にて放電され、次の入力信号までに充電電位はVaからVb(Vb>0)となり(図29cの▲2▼点)、次の入力でVbからVa+Vbとなり(図29cの▲3▼点)、比較回路110の出力がHレベルならば積分回路112は充電され続ける。一方、比較回路110の出力がLレベルならば(図29cの▲4▼点)、積分回路112は一気に放電され、0[V]となる。比較回路113aは積分回路112の出力信号が予め設定されたしきい値ONレベルを上回っていれば、Hレベルを出力し、物体等の存在を検出する。
このような判断部を持つことにより、図29a〜図29eに示したように、信号期間中でない時で信号と接近して外乱があって、差動増幅回路109の出力が一時的に比較回路110のONレベルを上回るようなことがあっても、比較回路113aの出力がONすることはなく、正確な2値出力が得られる。換言すれば、図28の構成を採用することで、所定以上の大きさの信号が所定期間あれば出力をONするといった処理が、該所定期間の直前の信号の履歴に影響されることなく行え、また、出力をON,OFFする条件を独立に設定できるという利点がある。
判断部のさらに他の例を図30に示す。この判断部は、パルスカウント方式であり、比較回路110と判断部96(ディジタルフィルタとして機能する)とから構成される。その動作のタイムチャートを図31a〜図31lに示す。比較回路110は、差動増幅回路109の出力がONレベルTh(OH)=R2×(I1+I2)を上回る入力があると、COM1の出力はHレベルとなる。差動増幅回路109の出力がOFFレベルTh(OFF)=R2×I1を下回る入力があると、COM1の出力はLレベルとなる。
判別部96において、R−Sラッチ1は、COM1の出力信号がHのとき、Q0=Hとなる。そして、Q0はRST信号(図31c)によりリセットされ、Lレベルとなり、次の入力信号を待つ。COM1の出力信号がLのとき、Q0=Lとなり、そして、RSTによりリセットされ、Lレベルを持続する。D−FF1〜3は、クロックCKの立ち上がりのタイミングのとき、D入力がHレベルならQ=H、D入力がLレベルならQ=Lとなる。AND1は、Q1〜Q3のANDを出力するので、Q1〜Q3が全てHレベル、つまり、図31aの▲1▼▲2▼▲3▼のように、所定回数、ここでは3回連続してCOM1のスレッシュレベルを上回る信号が入力されたとき、AND1の出力はHレベルに変化する。AND2は、反転Q1〜反転Q3のANDを出力するので、反転Q1〜反転Q3が全てHレベル、つまり全く入力がないとき、Hレベルとなるのに対して、1回でも入力があれば、Lレベルとなり、少なくとも3周期分はLレベルとなる。R−Sラッチ2は、AND1がHレベル、つまり3回連続入力信号があると、Q4=Hとして出力し、また、反転Q4により、COM1のスレッシュレベルがTh(ON)からTh(OFF)となる。この例においても、図28の場合と同様の利点が得られる。
(2) 第2実施例
以下、第2実施例を図面を参照して説明する。第2実施例においては、第1実施例の検知装置を始め、他の用途にも使用可能なパッシブ型検知装置を説明する。図32はパッシブ型の検知装置の基本構成を示す図である。図32を参照して、パッシブ型検知装置200は、検出素子211と、検出素子スイッチング信号SGをうけるアナログスイッチ212と、I/V変換器213と、ハイパスフィルタ214と、アンプ215とローパスフィルタ216と判断部217とを含む。検出素子211により検出対象の物理量が検出され、その検出出力はアナログスイッチ212により周期的に断続されてパルス信号とされ、I/V変換器213により電流から電圧に変換され、ハイパスフィルタ214、アンプ215、ローパスフィルタ216を通して信号処理され、判断部217に与えられる。判断部217は各パルス信号から検出対象の状態を2値出力する。なお、ハイパスフィルタ214とローパスフィルタ216は、アナログスイッチ212のスイッチング周波数を含む帯域の信号は通過させ、信号処理の回路で発生するオフセットや外来の低周波ノイズや高周波ノイズをカットする。
以下このパッシブ型検知装置を具体化した光検出器について説明する。
(2a) 実施例2a
実施例2aによる光検出器の構成を図22に示し、そのタイムチャートを図34a〜図34hに示す。検出部220は、検出素子211としての2つの受光素子(フォトダイオード:PD1,PD2)と2つのレンズ201,202で構成されており、それぞれ受光視野1と受光視野2を構成している。これらの視野は互いに分離されており、自然散乱光(太陽光、蛍光灯などの光)が照射されている。また、I/V変換器213a,213b、差動増幅器215、フィルタ回路214,16などの受光回路や、判断部217を構成する比較回路218、判別部219への電源(Vs、Vr)の供給は、スイッチング信号PG(周期:T、デューティ比tp/T)によるアナログスイッチ212c,212dのスイッチング(図34c)で断続的に行い、回路の低消費電流化を図っている。
また、PD1とPD2は入射光に応じた光電流を出力し、その光電流をアナログスイッチ212a,212bによりスイッチング信号SG(周期:T、デューティ比ts/T、PGに同期)でスイッチングする(図34b)。スイッチングされた光電流はそれぞれI/V変換器213a,213bで電圧に変換される。直流成分の支配的なPD1とPD2の受光信号には交流電源の低周波ノイズやI/V変換器213a,213bのオペアンプにより生じるオフセット電圧が含まれるが、これらのノイズ除去を行うため、上記のようにスイッチングすることにより、受光信号に高周波成分をもたせ(図34d)、後段のハイパスフィルタHPF214a,214bにより低周波ノイズを除去する(図34e、34f)。このとき、このハイパスフィルタのカットオフ周波数はスイッチング信号SGよりも低く、スイッチング信号PGよりも高く設定することで、オフセット電圧や電源低周波ノイズの除去が可能となり、受光信号のみ取り出せる。
低周波ノイズが除去された2つの受光信号(V1,V2)は、差動増幅器215で差動増幅され、(V1−V2)が得られる(図34g)。その後、ハイパスフィルタHPF214cにより再び、低周波ノイズを除去し、ローパスフィルタLPF216により高周波ノイズを除去し、その信号は図34hに示すものとなる。この信号は予め設定されたしきい値と比較回路218で比較される。ローパスフィルタのカットオフ周波数は、スイッチング信号SG、スイッチング信号PGよりも高い。
ここで、受光視野1のみに人又は物体が侵入すれば、PD1にはPD2よりも多くの光が入射し、(V1−V2)が大きくなる。この(V1−V2)がしきい値を上回ると、比較回路218はオン信号を出力し、その結果に基づいて判別部219は、ノイズ分を除去して人や物体の存在を知らせる信号を出力する。このようにパッシブ形の光検知装置においては、光学素子のスイッチングと、後段のフィルタ回路によりノイズ除去を行うことで、簡易かつ確実に高いS/N比の受光信号を取り出すことが可能となる。
(2b) 実施例2b
次に、スイッチ段のオン・オフの周期及びデューティ比を可変にした実施例2bについて、図35aないし図37を参照して説明する。図35aはスイッチング信号SGを生成する周期/デューティ比可変回路の構成例を示し、図35bはそのタイムチャートを示す。同回路は、電流源231と、それにより充電されるコンデンサC0と、スイッチング信号SGを出力するコンパレータCOM1等からなり、電流源231の電流Iで充電されるコンデンサC0の電位vは、COM1の負入力端子電位となる。COM1がONするしきい値をV1、OFFするしきい値をV2とすると、いま、電位vがV2とV1の間にあれば、COM1の出力はHであり、スイッチング信号SGはHである。このとき、トランジスタTR1はON、トランジスタTR2はOFFである。この時間は充電時間t1となる。
電位vがコンデンサC0の充電により上昇してV1に達すると、COM1の出力はLとなり、スイッチング信号SGはLとなる。このとき、トランジスタTR1はOFF、トランジスタTR2はONとなる。トランジスタTR2がONすると、コンデンサC0に充電された電荷は、抵抗R5を通って時定数(C0×R5)で放電される。コンデンサC0の電位vはV2に達するまで徐々に低下する。この時間が放電時間t2となる。電位vがV2に達すると、先のようにCOM1の出力はHとなり、スイッチング信号SGはHとなる。このようにして、スイッチング信号SGはコンデンサC0の充電時間t1の間、Hとなり、コンデンサC20の放電時間t2の間、Lとなり、これを繰り返し、発振を行う。電圧V1,V2、電流I、充電時間t1は、次式で表せる。
V1=R2/(R2+R1//R3)
V2=(R2//R3)/(R1+R2//R3)
I={Vs−Vbe(TR4)}/R6
t1=C0×(V1−V2)/I
なお、R1//R3などは、抵抗R1と抵抗R3との並列抵抗を、Vbe(TR4)はトランジスタTR4のベース−エミッタ電位を意味する。Vsは電源電圧である。
ところで、図35aでは、電流源231の電流値Iは可変抵抗R26の値により変更できることを示している。式(1)(2)では、コンデンサC20への充電時間t1は電流Iにより変更できることを示している。よって、スイッチング信号SGの周期(t1+t2)、及び、パルスデューティ比t1/(t1+t2)は可変抵抗R6の値により変更できる。
図36は実施例2bによる検知装置の構成を示し、パルス信号SGとハイパスフィルタHPF214のフィルタ周波数とを連動可変としたものである。スイッチング信号SGには、図35aの回路の出力を用いればよい。フィルタ周波数を可変とするために、電流源231とCOM1〜3、アナログスイッチ212b〜212d、コンデンサC1に並列的に接続されるコンデンサC2,C3,C4を用いている。COM1〜3の入力電圧V0は可変抵抗R6の値により変更できる。HPF214のカットオフ周波数fは、コンデンサC1〜C4の並列容量Ciと抵抗R8によって、また、COM1〜3の負入力電圧となるV0は、次のように表せる。
f=1/2πR8Ci
V0=I×R11
図37は、回路各部の状態とコンデンサC1〜C4の並列容量Ciとの関係を示している。HPF214のカットオフ周波数fは、電圧V0に応じて制御されるアナログスイッチ212b〜212dのON/OFF制御によってコンデンサC1〜C4の接続状態が決まり、それにより並列容量Ciの値が変わることで、変更することができる。例えば、可変抵抗R6を大きくすれば、電流Iは小さくなり、充電時間t1は長くなり、スイッチング信号SGの周波数は小さくなる。また、電圧V0は小さくなり、並列容量Ciは大きくなり、HPF214のカットオフ周波数fもスイッチング信号SGの周波数と連動して小さくなる。他方、抵抗R6を小さくすれば、電流Iは大きくなり、充電時間t1は短くなり、スイッチング信号SGの周波数は大きくなる。また、電圧V0は大きくなり、並列容量Ciは小さくなり、HPF214のカットオフ周波数fもスイッチング信号SGの周波数と連動して大きくなる。
このように本実施例では、スイッチング信号SGの周期、及びデューティ比を自在に変更できる構成であるため、使用環境の外来ノイズと異なる周波数に設定することで、外来ノイズを確実に除去でき、それによる誤動作を防止できる。
さらに、上記の判断部を構成する比較回路218、判別部219の具体例を図38に示す。これらの回路は、LPF216のパルス信号出力から、より確かな2値出力を得るための積分方式による判断部を構成する。比較回路218の入力端の可変抵抗VRは感度調整回路に相当し、しきい値(ON/OFFレベル)を変えることができる。判別部219は、積分回路219aと比較回路219bからなる。図39a〜図39dは動作のタイムチャートである。LPF216の出力がしきい値ONレベルを越えると、比較回路218のCOM3の出力がLとなる。このとき、INV1により、積分回路219aのトランジスタTR5はON状態で、コンデンサC2は電流I′により充電される。LPF216の出力がしきい値OFFレベルを下回ると、COM3の出力がHとなる。このとき、INV1により、トランジスタTR5はOFF状態で、コンデンサC2の充電電荷は抵抗R13を通して所定の時定数(C2×R13)で放電される。
上記構成を採用することにより、LPF216の出力が連続してONレベルを所定回数越えたときに、比較回路219bの出力が変化する。積分回路219aの充放電は緩やかであるので、信号期間中に外乱があって、LPF216の出力が一時的に比較回路218のONレベルを下回るようなことがあっても、比較回路219bの出力はONが保持される。このように、信号は各パルス毎に2値化して扱われるため、パルス幅が小さくて波高の大きなインパルスノイズには反応せず、それによる誤動作はなくなる。なお、上記の図36に示した実施例は、先の実施例と同様に一般の信号処理回路で発生するオフセットや低周波ノイズの影響を除去するための技術として知られているチョッパ型増幅器を導入したものと一見似ているが、チョッパ型増幅器は出力側に直流化のための平滑部を有するのに対して、本実施例では平滑部を用いず、上記の図38のような2値出力を得るための比較回路を含む判断部を用いている点で相違する。このため、本実施例では、上記のようにインパルスノイズによる誤動作防止という特有の効果が得られる。
次に、上記積分方式の判断部の変形例を図40に示す。その動作のタイムチャートを図41a〜図41eに示す。比較回路218のCOM1の出力がL、スイッチング信号SGがHのとき、トランジスタTR1はON状態で、AND1はLレベルであるので、トランジスタTR4はOFF状態にあり、従って、コンデンサC1は電流I′により充電される。COM1の出力がH、スイッチング信号SGがHのとき、トランジスタTR1はOFF状態で、AND1はHレベルであるので、トランジスタTR4はON状態にあり、従って、コンデンサC1の充電電荷はトランジスタTR4を介して一気に放電されるようになっている。
比較回路218は、LPF216の出力が予め設定されたしきい値ONレベルを上回っていれば、Lレベルを出力し、予め設定されたしきい値OFFレベルを下回っていればHレベルを出力する。積分回路219aは、比較回路218の出力信号がLレベルのとき充電され、コンデンサC1の充電電位は0[V]からVaとなり(図41cの▲1▼点)、その後、所定の時定数(C1×R5)にて放電され、次の入力信号までに充電電位はVaからVb(Vb>0)となり(図41cの▲2▼点)、次の入力でVbからVa+Vbとなり(図41cの▲3▼点)、比較回路218の出力がHレベルならば積分回路219aは充電され続ける。一方、比較回路218の出力がLレベルならば(図41cの▲4▼点)、積分回路219aは一気に放電され、0[V]となる。比較回路219bは積分回路219aの出力信号が予め設定されたしきい値ONレベルを上回っていれば、Hレベルを出力し、物体等の存在を検出する。
このような判断部を持つことにより、図41に示したように、信号期間中でない時で信号と接近して外乱があって、LPF216の出力が一時的に比較回路218のONレベルを上回るようなことがあっても、比較回路219bの出力がONすることはなく、正確な2値出力が得られる。換言すれば、図40の構成を採用することで、所定以上の大きさの信号が所定期間あれば出力をONするといった処理が、該所定期間の直前の信号の履歴に影響されることなく行え、また、出力をON,OFFする条件を独立に設定できるという利点がある。
判断部のさらに他の例を図42に示す。この判断部は、パルスカウント方式であり、比較回路218と判別部219(これはディジタルフィルタとして機能する)とから構成される。その動作のタイムチャートを図43a〜図43lに示す。比較回路218は、LPF216の出力がONレベルTh(ON)=R2×(I1+I2)を上回る入力があると、COM1の出力はHレベルとなる。LPF216の出力がOFFレベルTh(OFF)=R2×I1を下回る入力があると、COM1の出力はLレベルとなる。
判別部219において、R−Sラッチ1は、COM1の出力信号がHのとき、Q0=Hとなる。そして、Q0はRST信号(図43c)によりリセットされ、Lレベルとなり、次の入力信号を待つ。COM1の出力信号がLのとき、Q0=Lとなり、そして、RSTによりリセットされ、Lレベルを持続する。D−FF1〜3は、クロックCKの立ち上がりのタイミングのとき、D入力がHレベルならQ=H、D入力がLレベルならQ=Lとなる。AND1は、Q1〜Q3のANDを出力するので、Q1〜Q3が全てHレベル、つまり、図43aの▲1▼▲2▼▲3▼のように、所定回数、ここでは3回連続してCOM1のスレッシュレベルを上回る信号が入力されたとき、AND1の出力はHレベルに変化する。AND2は、反転Q1〜反転Q3のANDを出力するので、反転Q1〜反転Q3が全てHレベル、つまり全く入力がないとき、Hレベルとなるのに対して、1回でも入力があれば、Lレベルとなり、少なくとも3周期分はLレベルとなる。R−Sラッチ2は、AND1がHレベル、つまり3回連続入力信号があると、Q4=Hとして出力し、また、反転Q4により、COM1のスレッシュレベルがTh(ON)からTh(OFF)となる。この例においても、図40の場合と同様の利点が得られる。
(2c) 参考例2c
本発明の参考例2cによる赤外線検出器の構成を図44に示す。検出部220の赤外線検出素子であるサーモパイル211aは、赤外線光量に応じた起電力が得られる素子である。検知エリア内に人が侵入すると、人から放射される赤外線はサーモパイル211aで検出され、バッファを介しアナログスイッチ212でスイッチング信号SG(周波数f)にてスイッチングされる。スイッチングされた信号は、カットオフ周波数がスイッチング周波数fより低いHPF214を通過し、アンプ215で増幅される。増幅された信号は、カットオフ周波数がスイッチング周波数fより高いLPF216を通過し、しきい値を上回れば比較回路218はON信号を出力し、判別部219で人の侵入及び存在があるかが判断され、出力される。
(2d) 参考例2d
本発明の参考例2dによる温度検出器の検出部の構成を図45に示す。検出部より後段の構成は図36と同様でよい。図中に示した温度検出素子の温度サーミスタRthは温度に応じて抵抗値が変化する素子である。その変化は、電圧値V0として検出され、温度の制御などに使用する。検出結果は2値化して出力されるので、それを用いてヒータのオン・オフ制御を行うことができる。また、温度検出器としては、熱電対等を用いてもよい。なお、温度サーミスタRthと抵抗Rとの接続点の出力電圧V0は、次式で表せる。但し、Vsで電源電圧である。
V0={R/(Rth+R)}Vs
(2e) 参考例2e
本発明の参考例2eによる圧力検出器の構成を図46a,46bに、等価回路を図46cに、その信号処理部を図46dに、そのタイムチャートを図47a〜図47hに示す。この検出器は、流体の圧力制御などに使用する。圧力検出素子は、図46a,46bに示すように、Si単結晶基板221上に感圧ダイヤフラム222が設けられ、ひずみゲージ(拡散抵抗)R1,R2,R3,R4が配置された構成である。ひずみゲージの圧力によるひずみは、半径方向のゲージR1,R3の変化率のほうが円周方向のゲージR2,R4の変化率より大きい。この差は、図46cの等価回路に示すホイーストンブリッジで検出され、図46dに示す信号処理部で処理され、出力される。この等価回路の出力電圧V0は、次式で表せる。
V0=(V1−V2)
={R4/(R1+R4)−R3/(R2+R3)}V1
検出部に圧力が加えられたとき、上記のように抵抗値が変化して、V1の電位は降下し(図47c)、逆に、V2の電位は上昇(図47d)する。そして、V1はアナログスイッチ212aで、V2はアナログスイッチ212bでそれぞれスイッチング信号SGでスイッチングされた後、HPF241,242で低周波ノイズをカットされる(図47e、47f)。その後、差動増幅器215で増幅され(図47g)、そして、LPF216で高周波ノイズは除去される(図47h)。検知信号がしきい値を上回れば、比較回路218はON信号を出力し、判別部219にて圧力が設定値より高いか低いかが判断され、出力される。この圧力検出器は、都市ガスの弁開放による異常減圧の検出等に適用可能である。
(2f) 参考例2f
本発明の参考例2fによる湿度センサの検出部の構成を図48に示す。検出部より後段の構成は図46dと同様でよい。この検出器は、空調器の制御などに使用できる。検知センサ素子225(R1)は検出対象空気中に配置され、補償センサ素子226(R4)は乾燥空気中に配置される。これらの素子225,226は湿度に応じて抵抗値が変化する素子で、他の抵抗R2,R3と共にブリッジ接続され、湿度に応じた抵抗値の変化は、検出端に電圧値V0に変換され、出力される。この湿度センサの出力は加湿器のオン・オフ制御に使用することができる。また、この湿度検出素子を混合ガスの混合比に応じて抵抗値が変化する素子に置き換えたものがガスセンサであり、混合ガスの制御やガス漏れ検知などに使用する。この場合、検知センサ素子225(R1)は検出対象ガス中に、補償センサ素子226(R4)は基準ガス中に配置される。抵抗値の変化量は電圧値V0に変換された後、検出される。このガスセンサは、都市ガス漏れセンサとして使用できる。
(2g) 実施例2g
本発明の実施例2gによる構成を図49に示す。この例は、検出素子211による検出信号をスイッチングするためのスイッチ212aを、FET(電界効果トランジスタ)で構成したものである。この構成によれば、高速でスイッチングが可能となり、漏れ電流がほとんどないので、微小量の検出が可能となる。また、FETは電圧制御のため低消費電力化が図れる。
(2h) 実施例2h
本発明の実施例2hによる構成を図50に示す。この例は、検出素子211による検出信号をスイッチングするスイッチ212bを、バイポーラトランジスタで構成したものである。この構成によれば、スイッチングによるスパイクノイズが小さいという効果がある。
(3) 第3実施例
以下、本発明の第3実施例を図面を参照して説明する。
(3a) 実施例3a
図51は実施例3aによる検知器のブロック図であり、図52a〜図52iはこの検知器の動作を示すタイムチャートである。検知器301は、検知器301の置かれる場所の自然散乱光(たとえば照明装置、太陽光)の背景14や検出物体15による反射光を受光することにより、検出物体の有無検知等を行なうパッシブ方式の検知器である。検知器301は、受光部としての受光用レンズ303と、この受光用レンズ303の背後に設けられた2分割フォトダイオード3,02(受光素子、以下、PD1,PD2と略す)により構成され、第1および第2の受光視野を構成している。なお図51には検出物体15が2つの受光視野内の一方(視野2)に侵入した状態を示している。
通常は、背景(例えば白色一面)14からの反射光がレンズ303を通してPD1、PD2に入射されている。PD1,PD2に入射した光は、ここで光−電流変換され、PD1からの検出電流I1、及びPD2からの検出電流I2は、スイッチSW1,SW2で断続的に受光回路308に送られる。このスイッチSW1,SW2は、発振回路307より供給される発振パルス信号SG1,SG2のクロックで交互にスイッチングされるようになっており、これにより、スイッチSW1,SW2を通過する電流I1,I2のタイミングは非同期で時分割となる。検出電流I1,I2は受光回路308で電圧に変換された後、増幅回路309で増幅され、検出電圧V1,V2となる。この電圧V1,V2はS/H回路310で発振回路307のサンプルホールド信号SHのタイミングでサンプリングされた後、A/D変換回路311でデジタル信号に変換され、それぞれ出力D1,D2となる。これら出力D1,D2は演算部312で差演算(D1−D2)され、演算結果D2を得る。この演算結果D2の上下にあるレベルに差を付けたしきい値(VT1,VT2)がしきい値設定回路314に設定される。
いま、検出物体(黒色一面)15が視野2に侵入すると、PD2への入光量が減少し、D2が小さくなる。この時の演算部による演算結果Dは先のDよりも大きくなる。これが上記しきい値(VT1,VT2)と比較回路316において比較され、図52のごとく、出力DがVT1を上回る、又はVT2を下回ると、比較回路316よりON信号が出力される。このON信号はノイズを除去するために積分回路317を通った後、出力回路318から検知器301外部にON/OFF信号として出力される。なお、積分回路317は、比較回路316出力のON信号が連続して3個以上になればON信号を出力し、比較回路316出力のOFF信号が連続して3個以上になれば、OFF信号を出力するものとなっている。
このように、2系統の検出信号(I1,I2)を交互にスイッチングし、各検出信号をペアとして、1系統の信号処理回路で処理するようにしたことにより、従来のセンサと比べて、受光出力数と同数の受光回路、増幅回路、S/H回路、A/D変換回路等が不要となるので、信号処理回路の規模の縮小を図ることができ、回路部品の削減、消費電流の低減、外形の縮小、コストの削減、製造不良率の低減等を図ることができる。また、回路構成を簡略化することにより、複数の回路の特性のマッチングを図る必要がなくなるので、高精度の部品が要求されることもない。また、この構成においては、投光電流が不要なパッシブ方式で検出を行うので、低消費電流化を図ることができる。また、この低消費電流化により、バッテリ駆動時においてはバッテリの長寿命化を図ることができる。
(3b) 実施例3b
図53は実施例3bに係る検知器のブロック図である。この検知器320は上述の図51に示した検知器301において、PD1,PD2と受光回路308間に備えられていたスイッチSW1,SW2を、増幅回路309とS/H回路310の間に備えるようにしたものである。PD1,PD2からの検出電流I1,I2はそれぞれの受光回路308a,308bで電圧に変換され、増幅回路309a,309bで増幅された後、スイッチSW1,SW2で信号SG1,SG2のクロックにあわせて交互にスイッチングされ、電圧V1,V2となる。このように、スイッチングを増幅回路309a,309bにおいて検出信号を増幅した後に行うようにしたことにより、インピーダンスの高いライン(微小信号ライン)にスイッチング素子を入れずにすむので、受光信号に重畳するスイッチングノイズを低減することができる。
(3c) 実施例3c
図54は実施例3cに係る検知器のスイッチ近傍の構成図である。本実施例3cはスイッチSWを電界効果トランジスタ(以下、FETという)で構成したものである。これにより、高速でのスイッチングが可能となり、また、漏れ電流がほとんどなくなるので、微小な検出電流の変化をとらえることができ、より正確な物体の有無検出が可能となる。さらに、FETは電圧で制御されるものであるので、より一層、消費電流を抑えることができる。
(3d) 実施例3d
図55は本実施例3dに係る検知器のスイッチSW近傍の構成図である。本実施例はスイッチSWをバイポーラトランジスタで構成したものである。バイポーラトランジスタはスイッチングによるスパイクノイズが小さいので、微小な検出電流の変化をとらえることができ、より正確な物体の有無検出が可能となる。
(3e) 実施例3e
図56は本実施例3eに係る検知器321のブロック図、図57a〜図57mはこの検知器の動作のタイムチャートである。この検知器321は、上述の図51に示した検知器301において、スイッチSW2を、信号SG2と第2の比較回路322の出力信号のANDでスイッチングされるようにしたものである。PD1,PD2で受光された光は検出電流I1,I2に変換され、この電流I1,I2は上述の実施例3aと同様、受光回路308、増幅回路309、S/H回路310、A/D変換回路311を通り、出力D1,D2になる。ここで、出力D1は、第2の比較回路322に入力され、この出力D1の値がサンプリングデータの前後で異っていると、比較回路322からON信号が出力される。この出力信号と信号SG2のANDによりスイッチSW2はスイッチングされる。一方、出力D2はデータ保持回路323で第2の比較回路322のON信号による解除信号が入力されるまで、前回のデータを出力し続け、第2の比較回路322のON信号による解除信号が入力されると、データ保持回路323に保持されたデータは更新される。この出力D2と出力D1は演算部312において差動演算され、演算結果Dが得られる。演算結果Dは、比較回路316で予め設定されたしきい値VT1,VT2と比較される。比較回路316は、演算回路DがVT1を上回るか、VT2を下回ることでON信号を出力する。このON信号が連続して3個以上になれば、積分回路317より2値化されたON信号が得られ、この信号は出力回路318より出力され、検知器321外部に受光視野内への検出物体15の侵入を知らせる。
このように、片側の経路(SW1)の信号(I1)をモニタし、それに変化があれば、もう一方の経路(SW2)を動作させるような構成としているので、上述の検知器301と比して、消費電流をより低減させることができる。また、パッシブ方式で得られた2系統の検出信号(I1,I2)を1系統の受光回路を含む信号処理回路で処理するので、信号処理回路の規模を縮小することができ、上述の第1の実施例と同様の作用効果を得ることができる。
(3f) 実施例3f
図58は実施例3fに係る検知器326のブロック図、図59a〜図59iはこの検知器の動作のタイムチャートである。この検知器326は、上述の図51に示した検知器301に変調回路328を加えたものである。この変調回路328は、発振回路327より供給されるsg1,sg2,sh,a/dの各正弦波をパルス時間変調し、SG1,SG2,SH,A/Dのパルス信号に変換するものである。
PD1,PD2に入射した光は、ここで光−電流変換され、PD1からの検出電流I1、及びPD2からの検出電流I2は、スイッチSW1,SW2で断続的に受光回路308に送られる。このスイッチSW1,SW2は、発振回路307より供給される発振パルス信号SG1,SG2のクロックで交互にスイッチングされるようになっており、これにより、スイッチSW1,SW2を通過する電流I31,I32のタイミングは非同期で時分割となる。検出電流I1,I2は受光回路308で電圧に変換された後、増幅回路309で増幅され、検出電圧V1,V2となる。この電圧V1,V2はS/H回路310で発振回路307のサンプルホールド信号SHのタイミングでサンプリングされた後、A/D変換回路311でデジタル信号に変換され、それぞれ出力D1,D2となる。これら出力D1,D2は演算部312で差演算(D1−D2)され、演算結果Dを得る。この値Dが、比較回路316でしきい値VTと比較され、VTを上回るとON信号が出力される。このON信号が連続して3個以上になれば、積分回路317より2値化されたON信号が得られ、この信号は出力回路318より出力され、検出器326外部に検出物体2の侵入を知らせる。
このように、パッシブ方式で得られた2系統の検出信号I1,I2を交互にスイッチングし、各検出信号をペアとしてサンプルホールドすることにより、データの保持を行い、1系統の受光回路を含む信号処理回路で処理するので、信号処理回路の規模を縮小することができ、上述の実施例3aと同様の作用効果を得ることができる。加えて、検出信号のスイッチングを行うクロック信号をパルス時間変調し、その信号と同期をとり、信号処理することで、周期的な検出対象と異なる物理量的なノイズや電気的なノイズを除去することができるので、高S/Nの検出信号を得ることができる。これにより、より微小な検出電流の変化を取り扱うことができるので、より正確な物体の有無検出が可能となる。
(3g) 実施例3g
図60は実施例3gによる検知器のブロック図、図61a〜図61iはこの検知器のタイムチャートである。この検知器330は、上述の図51に示した検知器301に、信号処理回路への電流供給のタイミングを制御するためのスイッチSW3を加えたものである。このスイッチSW3は発振回路307より供給される信号SG1,SG2とそれぞれ同期している信号AGによりスイッチングされる。これにより、電源の供給は図61のタイムチャートに示されるように、信号SG1,及び信号SG2のそれぞれに関わる信号処理に必要な時間だけ行われる。
このように、パッシブ方式で得られた2系統の検出信号I1,I2を交互にスイッチングし、各検出信号をペアとしてサンプルホールドすることにより、データの保持を行い、1系統の受光回路を含む信号処理回路で処理するので、信号処理回路の規模を縮小することができ、上述の実施例3aと同様の作用効果を得ることができる。加えて、各信号処理回路への電源の供給を信号処理に必要な時間だけ断続的に行うようにしたので、消費電流をより低減させることができる。また、信号SG1と信号SG2のそれぞれの発振パルス信号に応じて電源を供給しているため、電圧V1と電圧V2の信号がお互いに干渉しないように信号SG1と信号SG2のパルス間隔を広くとっても、低消費電流化の効果を維持したまま、過大入力検出信号に対応することができる。
(3h) 実施例3h
図62a〜図62jに実施例3hに係る検知器の動作のタイムチャートを示す。本実施例に係る検知器は上述の実施例3gによる検知器330と同じ構成である。スイッチSW3は発振回路より供給される信号SG1,SG2をペアの信号とし、このペアの信号に同期している信号AGによりスイッチングされる。これにより、電源の供給は、図62a〜図62jのタイムチャートに示されるように、信号SG1と信号SG2に同時にそれらに関わる信号処理に必要な時間だけ行われる。
このように、パッシブ方式で得られた2系統の検出信号I1,I2を交互にスイッチングし、各検出信号をペアとしてサンプルホールドすることにより、データの保持を行い、1系統の受光回路を含む信号処理回路で処理するので、信号処理回路の規模を縮小することができ、上述の第1の実施例と同様の作用効果を得ることができる。加えて、各信号処理回路への電力の供給を信号SG1と信号SG2の信号処理に必要な時間だけ行う構成としたので、信号SG1と信号SG2のパルス周期を長くすれば、電力供給時間がより短くなるので、より一層の低消費電流化を図ることが可能となる。
(3i) 実施例3i
図63は実施例3iによる検知器331のブロック図、図64はこの検知器のタイムチャートである。この検知器331は、上述の図60に示した検知器330において、スイッチSW3のスイッチングを発振回路307より供給される信号SG1,SG2により行うものである。このように、各回路への電源の供給と検出信号のスイッチングを同一の信号により行うことで、発振パルス信号を削減でき、発振回路7の構成を簡略化できるので、回路規模の縮小と消費電流の低減をより一層図ることが可能となる。
(3j) 実施例3j
図65は本実施例による検知器のブロック図、図66a〜図66jはこの検知器のタイムチャートである。この検知器332は上述の図51に示した検知器301において、PD1,PD2と受光回路308との間にスイッチSW4を加え、さらに、増幅回路309とS/H回路310との間に帯域通過フィルタ319を加えたものである。スイッチSW4は信号SG1,SG2とそれぞれに同期している信号FGによりスイッチングされるものである。
各PDからはPDへの入光パワーに応じた検出電流が出力され、PD1からは電流I1,PD2からは電流I2が出力される。この検出電流I1,I2はそれぞれスイッチSW1,SW2を通り、さらにスイッチSW4を通り、受光回路308に送られる。このスイッチSW304を制御する信号FGのパルス幅を、信号SG1,SG2のパルス幅よりも小さいものとしたので、検出電流I1,I2をチョッピングし高周波信号に変換することが可能となる。この検出電流I1,I2は受光回路308により電圧に変換され、増幅回路309で増幅され、電圧V1,V2となる。この電圧V1,V2を帯域通過フィルタ319に通すことにより、光源として蛍光灯を用いたときに発生する電源低周波ノイズや、受光素子PD1,PD2や受光回路308で発生する高周波ノイズなどのノイズを除去することができる。ノイズ除去された信号F1,F2はS/H回路310で発振回路307のサンプルホールド信号SHのタイミングでサンプリングされた後、A/D変換回路311でデジタル信号に変換され、それぞれ出力D1,D2となる。これら出力D1,D2は演算部312で差演算(D1−D2)され、演算結果Dを得る。この値Dが、比較回路316でしきい値VTと比較され、VTを上回るとON信号が出力される。このON信号が連続して3個以上になれば、積分回路317より2値化されたON信号が得られ、この信号は出力回路318から出力され、検出器332外部に検出物体15の侵入を知らせる。
このように、本実施例の検知器332によれば、パッシブ方式で得られた2系統の検出信号I1,I2を交互にスイッチングし、各検出信号をペアとしてサンプルホールドすることにより、データの保持を行い、1系統の受光回路を含む信号処理回路で処理するので、信号処理回路の規模を縮小することができ、上述の実施例3aと同様の作用効果を得ることができる。加えて、検出信号をチョッピングし、高周波信号に変換し、さらにフィルタ319でノイズ除去することで、光学的なノイズや、電気的なノイズを除去することができるため、高S/Nの検出信号が得られる。これにより、より微小な検出信号の変化を取り扱うことができるので、より正確な物体の有無検出が可能となる。
(3k) 実施例3k
図67は実施例3kによる検知器333のブロック図、図68a〜図68jはこの検知器のタイムチャートである。本実施例に係る検知器333は、スイッチSW1,SW2のスイッチング時において検出信号を高周波信号に変換するようにしたものである。すなわち、PD1からの電流I1、及びPD2からの電流I2は、スイッチSW1,SW2により信号SG1,SG2のクロックで交互にスイッチングされる。これらの検出電流I1,I2には、光源として蛍光灯を用いたときに発生する電源低周波ノイズが含まれている。それらを除去するために、スイッチSW1,SW32のスイッチング時に低周波ノイズと分離される高周波信号への変換も行い、その後、帯域通過フィルタ319に通す。
このように、パッシブ方式で得られた2系統の検出信号I1,I2を交互にスイッチングし、各検出信号をペアとしてサンプルホールドすることにより、データの保持を行い、1系統の受光回路を含む信号処理回路で処理するので、信号処理回路の規模を縮小することができ、上述の実施例3aと同様の作用効果を得ることができる。加えて、時間の規正と波形の整形を同時に行うことにより、波形整形のための専用のスイッチングゲートとそれに与える発振パルス信号が削除できるので、上述の検知器332と比して回路規模を削減することができる。
(3l) 実施例3l
図69は実施例31による検知器334のブロック図である。この検知器334は、上述の図67に示した検知器333において、発振回路307を複数の周波数の発振パルス信号を出力する構成とし、この発振周波数の変更に応じてフィルタ319の通過周波数を変更する構成とすることにより、使用環境の変化により生じるノイズ状況の変化に対応できるようにしたものである。
PD1,PD2に入射した光は、ここで光−電流変換され、PD1からの検出電流I1、及びPD2からの検出電流I2は、スイッチSW1,SW2で断続的に受光回路308に送られる。このスイッチSW1,SW2は、発振回路307より供給される発振パルス信号SG1,SG2のクロックで交互にスイッチングされるようになっており、これにより、スイッチSW1,SW2を通過する電流I1,I32のタイミングは非同期で時分割となる。電流I1,I2は受光回路308で電圧に変換された後、増幅回路309で増幅され、電圧V1,V2となる。電圧V1,V2は、帯域通過フィルタ319を通され、低周波ノイズを除去され、電圧F1,F2となる。この電圧F1,F2は、S/H回路310でサンプルホールド信号SHのタイミングでサンプリングされる。サンプリングされた検出信号は、A/D変換回路311でデジタル信号に変換された後、それぞれ出力D1,D2となる。これら出力D1,D2は演算部312で差演算(D1−D2)され、演算結果Dを得る。この演算結果Dが、比較回路316でしきい値VTと比較され、VTを上回るとON信号が出力される。このON信号が連続して3個以上になれば、積分回路317より2値化されたON信号が得られ、出力回路318から検出器334外部に検出物体15の侵入を知らせる。
検知器334の置かれた使用環境が変化すると、PDから出力される検出信号に含まれる電源低周波ノイズ等のノイズの周波数も変化する。従って、正確な物体の有無検出を行うためには、使用環境の変化に応じて発振回路307から出力される発振パルス信号SG1,SG2の発振周波数を変化させ、さらにそれに連動して検出信号のみを取り出すようにフィルタ319の通過周波数を変更する必要がある。本実施の形態に係る検知器334は、使用環境のノイズの周波数を避けるため、信号SG1,SG2の周波数を外部より変更するスイッチSW5を付加したものであり、このスイッチSW5の位置により、フィルタ319の低域遮断周波数1/(2πRsCs)を発振パルス信号SG1,SG2の発振周波数1/(2πRoCo)に連動して変更できるようになっている。
このように、パッシブ方式で得られた2系統の検出信号(I1,I2)を交互にスイッチングし、各検出信号をペアとしてサンプルホールドすることにより、データの保持を行い、1系統の受光回路を含む信号処理回路で処理するので、信号処理回路の規模を縮小することができ、上述の実施例3aと同様の作用、効果を得ることができる。さらに、受光信号の発振パルス信号SG1,SG2の発振周波数を使用環境のノイズ状況に応じて変更し、それと連動して、その信号のみを取り出すフィルタ19の通過周波数を変更することで、周期的な検出対象と異なる物理量ノイズや電気的なノイズを除去することができるため、高S/Nの検出信号が得られ、より微小な信号を取り扱うことができる
(3m) 実施例3m
図70は実施例3mによる検知器335のブロック図である。本実施例に係る検知器335は、発振パルスSG1,SG2の発振周波数の変化に連動して増幅回路309のゲインを変更することができる構成としたものである。
PD1,PD2に入射した光は、ここで光−電流変換され、PD1からの検出電流I1、及びPD2からの検出電流I2は、スイッチSW1,SW2で断続的に受光回路308に送られる。このスイッチSW1,SW2は、発振回路307より供給される発振パルス信号SG1,SG2のクロックで交互にスイッチングされるようになっており、これにより、スイッチSW1,SW2を通過する電流I1,I2のタイミングは非同期で時分割となる。電流I1,I2は受光回路308で電圧に変換された後、増幅回路309で増幅され、電圧V1,V2となる。電圧V1,V2は、帯域通過フィルタ319を通され、低周波ノイズを除去され、電圧F1,F2となる。この電圧F1,F2は、S/H回路310でサンプルホールド信号SHのタイミングでサンプリングされる。サンプリングされた検出信号は、A/D変換回路311でデジタル信号に変換された後、それぞれ出力D1,D2となる。これら出力D1,D2は演算部312で差演算(D1−D2)され、演算結果Dを得る。この演算結果Dが、比較回路316でしきい値VTと比較され、VTを上回るとON信号が出力される。このON信号が連続して3個以上になれば、積分回路317より2値化されたON信号が得られ、出力回路318から検出器335外部に検出物体15の侵入を知らせる。
検知器335の置かれた使用環境が変化すると、PD1,PD2から出力される検出信号に含まれる電源低周波ノイズ等のノイズの周波数も変化する。従って、正確な物体の有無検出を行うためには、使用環境の変化に応じて発振回路307から出力される発振パルス信号SG1,SG2の発振周波数を変化させ、さらにそれに連動して検出信号のみを取り出すように増幅回路309のゲインを変更する必要がある。本実施例に係る検知器335は、使用環境のノイズの周波数を避けるため、信号SG1,SG2の周波数を外部より変更するスイッチSW5を付加したものであり、このスイッチSW5の位置により、増幅回路309のゲインRf/Rsを発振パルス信号SG1,SG2の発振周波数1/(2πRoCo)に連動して変更できるようになっている。
このように、パッシブ方式で得られた2系統の検出信号I1,I2を交互にスイッチングし、各検出信号をペアとしてサンプルホールドすることにより、データの保持を行い、1系統の受光回路を含む信号処理回路で処理するので、信号処理回路の規模を縮小することができ、上述の実施例3aと同様の作用、効果を得ることができる。さらに、受信信号の発振パルス信号SG1,SG2の発振周波数を使用環境のノイズ状況に応じて変更し、それと連動して、増幅回路309のゲインを変更することで、周期的な検出対象と異なる物理量ノイズや電気的なノイズの除去をより正確に行うことができるため、高S/Nの検出信号が得られ、より微小な信号を取り扱うことができる。
(3n) 参考例3n
図71は参考例3nによる赤外線センサの構成を示す図である。本実施例による赤外線センサ340は、上述の3aないし3mの実施例に示した検出器において、PDに代えて赤外線検出素子342(サーモパイルなど)を備えたものである。これにより、検出エリア内への人等343の侵入を検出する赤外線センサ342の回路規模の縮小、及び簡略化を図ることができるので、センサ340の外形の縮小、コストの削減等を図ることができる。
(3o) 参考例3o
図72は参考例3oによる温度センサの構成を示す図である。本実施例による温度センサ344は、上述の3aないし3mの実施例に示した検出器において、PDに代えて温度検出素子345を備えたものである。これにより、成形機などの機器内の温度制御等に用いられる温度センサ344の回路規模の縮小、及び簡略化を図ることができる。
(3p) 参考例3p
図73a、73bは参考例3pによる圧力センサの構成及びその等価回路を示す図である。本実施例による圧力センサ346は、上述の3aないし3mの実施例に示した検出器において、PDに代えて圧力検出素子347を備えたものである。これにより、成形機などの機器の圧力部を制御する圧力センサ346の回路規模の縮小、及び簡略化を図ることができる。
(3q) 参考例3q
図74は参考例3qによるガスセンサの構成を示す図である。本実施例によるガスセンサ348は、上述の3aないし3mの実施例に示した検出器において、PDに代えてガス検出素子349を備えたものである。これにより、混合ガスの制御やガス漏れなどを検出するガスセンサ348の回路規模の縮小、及び簡略化を図ることができる。
(4) 第4実施例
次に第4実施例について説明する。第4実施例においては、第1実施例の背景14に明暗のパターンが設けられる。
(4a) 実施例4a
図75に第4実施例に斯かる物体検知器401の基本構成を示す。光学系部分は反射板414、受光レンズ403、光検出素子418で構成される。周期からの自然散乱光(照明装置、太陽光など)が反射板414、検出物体15で反射される。その反射光が受光レンズ403へと入射する。さらに受光レンズ403によって光検出素子418へ集光される。本実施例では、光検出素子418に2分割PDaPDbを用いる。各PDからは受光面に入射する光量に比例した電流が出力される。また他の光検出素子としてPSDを用いた場合には、受光面内の光量分布の重心位置に対応した電流が出力される。2分割PDを用いた場合、受光視野は図75のように受光視野a,bの2つとなり、それに対応して反射板のコントラストパターンは2パターンとなる。ここでは簡略化のため白と黒のパターンとする。
2分割されたPDa,PDbそれぞれの出力電流Ia,IbはPD出力ラインに挿入されたアナログスイッチ412a,412bによりパルス信号SGで周期的にスイッチングされ、直流信号からパルス信号に変換される。出力電流Ia,IbはI/V変換器421,422により電圧変換され、VaもVbとなる。次に差動増幅回路409でVb−Vaとなり、このVa−Vaが受光視野b,a間の光量差信号となる。
図76a〜76eに検出物体の位置とPDa,PDb上の受光量分布、光量差信号Vb−Vaの関係を示す。検出物体15なしの状態では、PDa,PDb上の受光量分布は図76aのようになり、反射板414のコントラストパターンに対応してPDaの受光量は小さく、PDbの受光量が大きくなる。PDからの出力電流はIb>Iaとなり、アナログスイッチ412a,412bによってスイッチングされた差動増幅回路409からの出力(光量差信号)Vb−Vaは、図76aのようになる。この検出物体15なしの状態に対して検出物体が受光視野内に侵入してきた場合、PD上の受光量分布、光量差信号は図76b→図76c→図76d→図76eへと変わっていく。
なお、図中wは検出物体が占める範囲を示す。また、図76aは検出物体15がない場合を示し、図76bは検出物体15が受光視野aを遮り始めた場合を示し、図76cは検出物体が受光視野aをすべて遮った場合を示し、図76dは検出物体15が受光視野bを遮り始めた場合を示し、図76eは検出物体15が受光視野bをすべて遮った場合を示す。
この検出物体15の有無による光量差信号の変化を見るために、検出器の感度調整は次のようにして行なう。検出物体15がある状態のVb−Vaは、検出物体15の反射率によって検出物体15なしの状態のVb−Vaよりも大きくなる場合と小さくなる場合の両方がある。そのため、しきい値はVth1、Vth2の2つのレベルとなる。感度調整回路411によって検出物体15なしの状態のVb−VaのピークレベルV0がしきい値Vth1、Vth2の中心にくるように設定する。感度設定の方法は、可変抵抗により設定する方法や、光量差信号Vb−VaをA/D変換し、マイコンにより設定する方法などがある。また、感度設定を行なうところは検知器401の内外を問わない。
この光量差信号Vb−Vaと感度調整回路411で設定したしきい値を比較回路410で比較し、判別回路412で出力のON,OFFを判別し、出力回路413からその判別結果を出力する。
図77に比較回路410、判別回路412の内部構成、図78a〜図78pにその動作のタイムチャートを示す。比較回路410は差動増幅信号がVth1を上回った場合、COM1の出力がHレベルとなり、下回った場合Lレベルとなる。同様にVth2を上回った場合はCOM2の出力がHレベルとなる。判別回路412では最初にCOM1,2の出力に対してAND1,2ゲートによってスイッチング周期との同期を取る(ゲート信号GATEとする)。次にDFF1,2ではクロック信号の立上がり(SG信号の立下がり)におけるCOM1,2の出力が出力される(図78a〜図78pのようなタイミングチャートとなる)。さらに、DFF1,2の出力に対してENORゲートによって差動増幅信号Vb−Vaがしきい値Vth1、Vth2の両方を上回るまたは下回る場合はHレベル、Vth1、Vth2の間にある場合はLレベルとなる論理構成とする。
次のDFF3〜5は3段シフトレジスタであり、DFF3〜5の出力、反転出力のANDを取り、その出力をそれぞれRSFFのセット信号、リセット信号とすることによって、ENOR出力がSG信号を3周期以上HレベルでないとRSFFがセットされない。ENOR出力が同様にSG信号を3周期以上Lレベルでないとリセットされない。そして、このRSFF出力が出力回路へと送られ、センサ出力となる。つまり、差動増幅信号Vb−VaがSG信号を3周期以上の間Vth1、Vth2両方を上回るか下回る場合にセンサ出力がON、Vb−VaがSG信号を3周期以上の間Vth1、Vth2の間にある場合にセンサ出力がOFFとなる。
本実施例では、2つの受光視野の光量差信号を用いて反射板14と検出物体15の判別をしたが、2つの受光視野の光量の割算値、または光量差/光量和の値を用いて判別することも可能である。
(4b) 参考例4b
参考例4bでは、反射板は白と黒のパターンとしたが、検出物体がコントラストを持っている場合、逆に反射板はコントラストがないつまり、同一の反射率または反射指向性を持っている方が検出物体との差が付きやすい。また反射率も大きくことなる方が判別しやすい。たとえば、自動車の製造ラインで車体の通過検出をする場合、検出物体15が金属面つまりコントラストのない正反射面であるから反射板14はコントラストのある拡散反射面(たとえば白紙と黒紙を組合せたもの)である方がよい。また、梱包物の搬送ラインにおいて段ボール箱の通過検出をする場合、検出物体15が拡散反射面であるから、反射板は正反射面(たとえばミラー)の方がよい。
また、受光視野より反射面の数の方が多い場合もある。図79にその1構成を挙げる。図79に示すように、分割された4つの反射面に対して受光視野は1つである。検出物体15の位置に対応して、受光量は図80のように変化する。しきい値を図80のaまたはbのレベルに設定すれば検出物体15が反射板14上の▲1▼または▲3▼の領域にあることが判別できる。反射板▲2▼,▲4▼の部分と検出物体の反射率は同じとする。
(4c) 実施例4c
図81に電源に電池を用い、電源の供給を間欠供給とした物体検知装置の検知器450を示す。電源に電池416を用いたため、検知器設置時に電源配線のための工事が必要なく、取付場所の制約がなくなる。また、I/V変換回路421、差動増幅回路409などの信号処理部への電源供給を発信回路414のクロックで間欠的に供給することにより、さらに消費電力を低減でき、電池の寿命を長くすることができる。
図82に太陽電池417によって蓄電池416に給電される検知器を示す。太陽電池417により外部からの電源供給を全く必要としないため、設置後のメンテナンスが不要になる。
図83に水力発電432によって蓄電池416に給電される検知器450を示す。太陽電池を用いた検知器と同様に、設置後のメンテナンスが不要となる。
(4d) 実施例4d
従来の回帰反射型光電センサにおいてはセンサと反射板の位置調整が必要であるが、本検知器においても同様である。調整箇所を図84に示す。調整箇所は、図X軸周り、Y軸周りの2軸である。反射板14と検知器450との距離が短い場合には目視で位置調整をすることも可能であるが、距離が長くなると目視による調整は難しくなる。そこで、図85に示すように検知器451に投光用LED442を内蔵させ、その透光ビームを用いて検知器451と反射板414の位置調整を行なう方法がある。図85はダイクロイックミラー441を用いて受光素子光軸と投光用LED442の光軸を同軸にした構成を示す図である。ダイクロイックミラー441は投光用LED442の波長域の光のみを反射する特性を持つ。投光用LED442からの透光ビームはダイクロイックミラー441で反射され、受光レンズ403に入射し、反射板414へと透光される。位置調整時には、反射板414に映る透光ビームを見ながら検知器415の位置調整を行なう。
他の位置調整方法として、図86a,86bに示す反射板414と4分割PD418aを用いる方法がある。反射板414の中央の丸の部分は受光レンズ403によって4分割PD418a上に図80bの点線のように結像する。4分割PD418aからの出力I1,I2,I3,I4の差動出力I3−I1、I4−I2を用いると反射板414の中央の丸と4分割PD418aの中心のずれに応じた出力が得られる。反射板414中央の丸と4分割PD418aの中心が一致している場合、I3−I1=0、I4−I2=0となるが、たとえば図86bのように反射板中央の丸と4分割PD418aの中心がずれている場合は、I3−I1=0、I4−I2<0となる。I3−I1、I4−I2の出力を見れば反射板414の中央と4分割PD418aの中心のずれ方向がわかり、位置調整時に検知器451に設けた表示等でその方向を示せば調整を簡略化できる。
(4e) 実施例4e
光検出素子は点ではなく面であるため、距離が長くなるにつれて受光視野は広くなる。そのため、反射板414を遠距離に置いた場合受光視野が反射板414よりも大きくなり、反射板414外にある物体により受光視野内の光量が変化する場合がある。この場合、検知器451と反射板414との間に検出物がないのに、受光視野内の光量が変化して検出物体があると判別してしまうことがある。そのため、図87に示すように光検出素子418と受光レンズ403の間に絞り443を設けて受光視野を制御する。つまり受光視野を反射板内に収める方法がある。
(4f) 実施例4f
本検知器を用いた駐車場システムについて説明する。図88に検知器の配置図を、図89にシステム構成図を示す。駐車場としてはビルなどの屋内駐車場が考えられ、各駐車場の天井に検知器452が設置される。車のない状態での検知器452の受光視野内にはマーク447、たとえば駐車場の番号しかない。これに対して車446がある場合には、車のボディからの反射光が検知器452に受光され、車がない(マークだけある)場合と車がある場合の受光視野間の光量差を比較することによって駐車場に車があるかないかが検知器452から出力される。さらに各駐車場に設置された検知器452からの出力を処理部444で処理して表示ディスプレイ445に空いている駐車場を入口で表示することによって駐車場利用者はスムーズに車を停めることが可能である。
(4g) 実施例4g
本検知器を用いた車両検出システムについて説明する。図90にシステム構成図を示す。従来からある感応式信号機と同様で、検知器452から車があるという出力があれば信号制御部449で信号を赤から青に切換える構成となっている。検知器452の下の路上にマーク447を設けて反射板として用い、検知器452の下で停車する車の有無を判別する。
(4h) 実施例4h
本検知器を用いた車軸数測定システムについて説明する。図91にシステム構成図を示す。この車軸数測定システムは高速道路の無人料金所で用いる車種判別システムにおいて用いられる。検知器453の配置は検知器453と反射板414の間を車が通過する配置となっている。車が通過すると検知器453の出力がONする。検知器453からの出力をもとに車軸数カウント部461で車軸がカウントされ、さらにその車軸数出力を用いて判別部462で車種の判別が行なわれる。
(4i) 実施例4i
本検知器を用いたパスゲートシステムについて説明する。図92にシステム構成図を示す。図93に検知器配置を示す。駅の自動改札のパスゲートシステムは、通過できない切符が入った場合、出口のドアを閉めパスゲート463内に人がいなくなったことを確認してからドアを再び開けるというシステムになっている。本センサはパスゲート463内に人がいないことを確認するために用いる。反射板414と検知器454の間を人が通過するとき、通過方向を判別することによって通過者がパスゲート463に入っている人か出ていく人かを判別し、その出力を人数カウント部464で処理してパスゲート463内にいる人の人数をカウントする。パスゲート内の人の数が0であるかどうかを処理部465で判断する。もし0であれば、ドアを開けるという指示を制御部466に出力し、ドアが開く。
(4j) 実施例4j
本検知器を用いた入退者数管理システムについて説明する。図94にシステム構成を示す。検知器455は出入口の天井部分に設置される。その下に反射板(たとえば床にペイントしたマーク)414aを置く。検知器455と反射板414aの間を人が通過することによってその通過者が部屋を出て行く人か入って行く人かを判別でき、部屋への入退者数をカウントすることが可能である。
(4k) 実施例4k
本検知器を用いた位置決め装置について説明する。図95にその構成を示す。検知器456と反射板414の間を検知物15が通過する際、受光視野間の光量差信号は反射板414を遮る量によって変化する。その変化量を検知器456内で処理して図96のようなアナログ信号を出力する。その出力と位置設定部474で設定されたデータを用いて設定位置に検出物体15があるかどうかを判断する。設定位置にある場合には検出物体15を送り出すモータ471を処理部473を用いて制御して検出物体15の位置決めを行なう。
(4m) 実施例4m
本検知器を用いた長さ測定装置について図97を参照して説明する。本実施例では、検出物体15として車を用いているが、当然車以外でも検出可能である。検知器457の光検出素子としてはPDアレイを用いたリニアイメージセンサが考えられる。長さに応じたリニア出力が得られる。またリニアイメージセンサを使う代わりに反射板414を多数の反射面で構成してもよい。本実施例のように車が検出物の場合、長さWを測定することによって車種判別のデータとして用いたり、駐車場において駐車可能な車両幅かどうかを判別することができる。
(4n) 実施例4n
本検知器を用いた監視システムについて図98を参照して説明する。本システムは高価な美術品などの展示物472、つまりほとんど静止状態である物体が移動したことを検出するシステムである。受光視野内の光量差が少しでも変化すれば、検知器457の出力がONする。展示物472が動いたことを検出し、防犯監視システム473を通して展示物472に異常があったことを警備会社474に通報する。
(5) 第5実施例
第5実施例における検知器は基本的に第4実施例のものと同じである。反射板414の明暗パターンの明部を発光体とした点のみが異なる。
図99を参照して、第5実施例においては、反射板414は光源414aと基準面414bを含む。この構成により、夜間でも安定して検出物体15の通過を検知することができる。
検知器450は第4実施例のものと同様であるため、光源414eは指向性を持つ必要がなく、たとえば一般の照明器具のようなものでもよい。また、指向性を持つ必要がないため、図100に示すように、1つの光源で容易に複数エリアを検出できるエリアセンサを構成できる。
さらに図101に示すように、非常灯511などを光源とし、火災時の人体検知にも使用可能である。検知器450は極めて低消費電力で実現できるため、電池駆動と無線信号伝送とを組合せれば、既設の建物にも極めて容易に設置できる。また、平常時には非常灯の電球切れを検出する故障検知器としても使えるメリットがある。
図102−図104は本実施例の検知器450を用いたエリアセンサの利用例を示す図である。相互干渉のないエリアセンサを容易に実現することができる。本方式によれば、検出物体の有り、なしだけではなく、検出物体の移動方向も検出することができる。なお、常に照明がある場所では、光源の代わりにコントラストパターンを受光器の対向位置に配置しても同様の効果が得られる。
(6) 第6実施例
第6実施例においては、第1実施例に対して補助光が追加されている。以下、第6実施例の具体例を図面を参照して説明する。
(6a) 実施例6a
図105は実施例6aによる検知器600の構成を示す図、図106a〜図106lはその動作のタイムチャートである。この検知器600は、通常は検知器600の置かれる場所の自然散乱光(例えば照明装置、太陽光)の背景物14や検出物体15による反射光を受光することにより検知を行うパッシブ方式の検知器600であり、受光部601は、受光用レンズ602と、この受光用レンズ602の背後に配置された2分割フォトダイオード603により構成され、コントラストのある背景を対象として第1,及び第2の受光視野を構成している。なお、図105に示した検出物体15は受光部601の複数の受光視野の内の一方に進入した状態を示している。受光視野内に検出物体15が進入した時に補助光を投光し、その検出物体15における反射光を受光することにより検知動作を行うものである。
検出物体15の有無が図106a、周囲照度が図106bの状態のとき、2分割フォトダイオード603により光−電流変換された2つの受光信号は、低周波ノイズ除去のためパルス信号SG(図106c)によりパルス変調され、さらに、第1,及び第2の増幅回路606a,606bにより増幅される。この増幅された2つの受光信号(図106d,106e)は差動増幅器607により差動演算され、この差動演算出力(図106f)は第1,及び第2の比較回路608a,608bにより、予め設定された2つのしきい値Vth1,Vth2(Vth2<Vth1)と比較され(図106g,106h)、さらに、演算部609と判断部610からなる信号処理部611により処理される(図106i106j)。また、演算部609と判断部610の出力は投光トリガ発生回路613に与えられる。補助光を投光する補助投光器614は、投光トリガ回路613の出力を受けて動作する投光素子駆動回路615と投光素子616とからなる。発振回路617は発振出力を演算部609、判断部610、投光素子駆動回路615に与え、また、信号SGを出力する。上記信号処理部611において、第1,第2の比較回路608a,608bの出力(図106g,106h)は、演算部609により一致演算され(図106i)、演算部609の出力がパルス信号SGの3パルス分Hレベルであれば、判断部610はHレベル信号を出力し(図106j)、検知出力が出力回路612より出力される(図106l)。比較回路608a,608bの出力がHレベルで一致していると補助投光部614より補助光の投光が開始される(図106k)。また、判断部610がHレベル信号を出力すると補助光の投光は停止される。
このようにして、出力回路612からは、Vth2<(差動演算出力)<Vth1の場合に非検知出力(OFF:受光視野内に検出物体がない状態つまり背景物体のみ存在する)が出力され、(差動演算出力)<Vth2、または、Vth1<(差動演算出力)の場合に検知出力(ON:受光視野内に検出物体が存在する)が出力される。
ここで、補助投光方法について、図107a,107bを参照して説明する。図107aに示した投光素子駆動回路615においては、投光トリガ回路613からの投光トリガ信号がLレベルのとき、トランジスタTR1はOFF状態であるので、トランジスタTR2はOFF状態であり、投光素子616は点灯されない。投光トリガ回路613からの投光トリガ信号がHレベルのとき、トランジスタTR1はON状態となるので、トランジスタTR2は発振回路617の投光駆動パルスによりパルス駆動され、投光素子616は点灯される。また、図107bは、投光素子駆動回路615に投光トリガ信号を送る投光トリガ回路613の論理回路と論理図であり、論理図に示した通り、投光トリガ回路613は、演算部出力(図106i)がHレベルで、しかし、判断部出力(図106j)がLレベルのときにHレベルの投光トリガ信号を出力する。
このように、検出物体15が受光視野内に進入したとき、またはノイズにより演算部609の出力がHレベルとなったとき、補助光の投光が開始され、被検出物体面の照度が高くなり、差動演算の出力が大きくなるので、確実な検出を行うことができる。また、その投光時間も極めて短いため、その消費電流量は極めて小さく、バッテリー駆動させたときにも長時間の駆動を行うことができる。さらに、この構成は、補助投光に対する受光信号を処理するパッシブ方式の受光回路と自然散乱光に対する受光信号を処理する受光回路とを共用しているので、部品点数の削減ができ、ローコスト化を図ることができる。
(6b) 実施例6b
図108は実施例6bによる検知器の構成図である。本実施例の検知器は、上述の実施例6aの検知器をバッテリー駆動させ、さらに、同検知器にバッテリー量を検知する電池切れ検知回路618と、この電池切れ検知回路618の検知出力を表示する表示灯駆動回路619とを加えた構成としたものであり、この表示灯駆動回路619は、上述の実施例6aの投光素子駆動回路615と共用されている。即ち、この表示灯駆動回路619は、電池切れ検知回路618の出力信号と投光トリガ回路613の投光トリガに応じて投光パルスを変更する発振回路617のパルス信号により駆動される。また、この表示として点灯されるときの投光パルスと、補助投光の投光パルスは同期していないパルス信号である。
このようにして、本実施例の検知器は電池切れ検知回路618を備えたので、バッテリー量が少なくなったことを予め知ることができ、電源電圧低下による誤作動を少なくすることができる。また、補助投光器と表示灯を共用したので、部品点数の削減ができ、ローコスト化を図ることができる。
(6c) 実施例6c
図109は実施例6cによる検知器の構成図、図110はその動作のタイムチャートである。この検知器は、図105に示した構成の検知器に、しきい値補正回路620と補助光の受光信号を処理する受光回路621を加えたものである。この補助光の受光信号を処理する受光回路621は、足し算回路622と投光パルス周波数のみを通過させるB.P.F.23と第3の比較回路608cからなる。
以下、図110a〜図110nのタイムチャートを参照し、この検知器の検知動作について、上述の実施例6aとの相違点を挙げることにより説明する。
(1)演算部出力(図110i)と判断部出力(図110j)が一致していないときには、投光トリガがHレベルとなり投光行い(図110k)、補助投光による検出をする。
(2)周囲照度が低下したときにも(図110b)、Vth1<(差動演算出力)となるので(図110f)、演算部609はHレベルとなり(図110i)、補助光が投光される(図110k)。しかし、補助光による検出によっても検出物体15の存在が検知されなかったときは、投光は停止され(図110k)、検知出力は出力されない(図110l)。そして,差動演算出力がしきい値の間に入るように、しきい値補正回路620により、しきい値が自動補正される(図110f)。
このように、演算部609の出力が検出物体15の進入によりHレベルになったのか、ノイズや照度変化、または、背景物体の変化によりHレベルになったのかを補助投光により確認することができるので、検出精度を上げることができる。また、しきい値の自動補正により、照度変化や、背景物体の変化に対しても誤動作せず、安定に検出を行うことができる。
次に、本実施例における補助投光のアルゴリズムについて、図111aのタイムチャートを参照して説明する。本実施例の検知方式は、下記の▲1▼〜▲4▼の方式が考えられる。
▲1▼検出物体15の受光視野への進入により演算部609の出力が反転しHレベルになると投光を開始し、検出物体15の存在が検知されると判断部610の出力が反転しHレベルになり、検知出力が出力され、同時に投光を停止する。そして、検出物体15が受光視野から出ていき、演算部609の出力が反転しLレベルになると投光を開始し、検出物体15の存在が検知されないと判断部610の出力が反転しLレベルになり、非検知出力が出力され、同時に投光を停止する。
▲2▼検出物体15の受光視野への進入により演算部609の出力がHレベルになり、判断部610により積分され出力が反転しHレベルになると投光が開始され、検出物体15の存在が検知されると検知出力が出力され同時に投光を停止する。そして、検出物体15が受光視野から出ていき、演算部609の出力がLレベルになり、判断部610により積分され出力が反転しLレベルになると非検知出力が出力され、同時に投光を停止する。
▲3▼検出物体15の受光視野への進入により演算部609の出力が反転しHレベルになると投光を開始し、検出物体15の存在が検知され判断部610の出力が反転しHレベルになり、検知出力が出力される。その後、投光による検知動作により受光視野内での検出物体15の存在が検知されなくなると、判断部610の出力が反転しLレベルになり、非検知出力が出力され同時に投光を停止する。
▲4▼検出物体15の受光視野への進入により演算部609の出力がHレベルになり、判断部610により積分され出力が反転しHレベルになると投光が開始され、検出物体15の存在が検知されると検知出力が出力される。その後、投光による検知動作により受光視野内での検出物体15の存在が検知されなくなると、演算部609の出力がLレベルになる判断部610により積分され出力が反転しLレベルになり、非検知出力が出力され同時に投光を停止する。
また、図111bは、上述の▲1▼〜▲4▼の検知方式の特徴を示す図である。同図に示すように、▲1▼〜▲4▼の検知方式は、検出精度、応答時間、消費電流において異なる特徴を持っている。従って、それぞれの特徴を生かすことにより目的にあった検知器を提供することができる。
(6d) 実施例6d
図112は実施例6dによる検知器の構成図である。この検知器は、自然散乱光(例えば照明装置、太陽光)の反射光を受光することにより検知を行うパッシブ方式の検知器に、検出照度に応じて出力を禁止する出力禁止回路624を加えたものであり、その他の構成で前述と同番号は同部材を示す。本実施例では上記各実施例とは違って、補助投光器を備えていない。
この検知器の検知器動作について、図113a〜図113eのタイムチャートを参照して説明する。図113aのように、自然散乱光の照度が低下し、パッシブ型では検出不可能な照度となったとき、2つの受光素子PD1,PD2の全受光量を足し算回路622で検出する照度検出器の出力(図113c)が比較回路608cのしきい値Vth3を下回り、出力禁止回路624からHレベル信号が出力される(図113e)。
出力禁止回路624の構成は図114に示す通りである。比較回路608cからLレベル信号が出力されると、D−フリップフロップ回路625の出力QはLレベルになこのLレベル信号はインバータにより反転され、Hレベル信号となる。このHレベル信号により信号処理部611内の出力強制OFF回路をなすトランジスタTR1はON状態となるので、検知出力は強制的にLレベルとなり、OFFされる。
このように、本実施例の検知器は、照度変化に応じて検知出力を禁止する出力禁止回路624を備えているので、検知器で制御する機器を誤動作させることがない。なお、この出力禁止回路624の出力を上述の実施例6aの投光トリガ回路613に接続すると、パッシブ方式では検出不可能な照度下でも補助投光により検出可能となり、検出し続けることができる。
(6e) 実施例6e
図115は実施例6eによる検知器の構成図である。上述の実施例6dの検知器は受光素子の全受光量を検出することにより照度検出を行っていたが、本実施例の検知器は1つの受光素子の受光量を検出することにより照度検出を行うものである。また、その検知動作は上述の実施例6dと同様である。これにより、上述の実施例6dの検知器と比して、部品点数を削減することができる。
(6f) 実施例6f
図116は実施例6fによる検知器の構成図である。本実施例は上述の実施例6dの構成に第2の受光部604bを加えたものである。この検知器は2つの受光部を備え、第1の受光部604aにより検出物体の検出を行い、第2の受光部604bにより照度検出を行うものであり、この第2の受光部604bの受光回路を照度検出に限定した仕様で設計できるので、精度よく照度の検出を行うことができる。また、照度検出の受光視野を検出物体とは別の視野、例えば、照明を見る構成とすると、照明の点灯、消灯を確実に検知することができ、精度良く検出を行うことができる。
(6g) 実施例6g
図117は実施例6gによる検知器の出力部付近の構成を示す回路図であり、本実施例は上述の実施例6d〜6fに示した検知器に、電源投入直後において検知出力が出力されるのを禁止する電源リセット時出力禁止回路を加えたものである。OR回路626には、照度変化に応じて動作する出力禁止回路624からの信号と電源リセット時出力禁止回路からの信号が入力される。そして、これら2つの信号のうち、どちらか一方がHレベル信号であれば、禁止信号を出力する。この禁止信号によりトランジスタ627はON状態となるので、信号処理部611からの検知出力は出力されない。このように、電源投入時において電源電圧が正常動作可能な電圧より低いときは、電源リセット時出力禁止回路が作動し、検知出力の出力を禁止するので、電源投入時における電源電圧の低下による誤動作を少なくすることができ、安定した検知動作を行うことができる。
なお、上述の電源リセット時出力禁止回路を電源電圧低下による出力禁止回路(以下、電圧低下時出力禁止回路という)としてもよく、そのような構成にすれば、検知動作時における電源電圧低下による誤動作を少なくすることができる。さらに、OR回路626を3つの入力端子を備えるものとしてもよく、この端子に3つの出力禁止回路(照度変化に応じて動作する出力禁止回路,電源リセット時出力禁止回路,電圧低下時出力禁止回路)を接続すると、より確実な検知動作を行うことができる。
ここで、電源リセット時出力禁止と電圧低下時出力禁止の両出力禁止回路を共用した構成を図118に示し、この検知回路の検知動作について、図119のタイムチャートを参照して説明する。
まず、電源リセット時出力禁止回路について説明する。スイッチSWにより電源が投入されると電圧VccはRCの時定数により徐々に上昇していくが、Vccが低電圧のときは、検知が不安定な状態にあるため、検知出力が出力されるのを禁止する必要がある。Vccが比較回路629のしきい値Vth1(検知器が正常動作可能な電圧)より低いときは、比較回路629はLレベル信号を出力し、このLレベル信号はインバータ631により反転されHレベル信号となり、OR回路626を介してトランジスタ627をON状態にするので、検知出力は出力されない。逆に、VccがVth1を上回ると、比較回路629の出力はHレベルとなり、禁止状態は解除される。
次に、電圧低下時出力禁止回路について説明する。電圧Vccが低下すると、検知が不安定な状態となるため、検知出力が出力されるのを禁止する必要がある。Vccが電圧検出器30の検知電圧Vth2より低くなると、電圧検知器630はLレベル信号を出力し、このLレベル信号はインバータ631により反転されHレベル信号となり、OR回路626を介してトランジスタ627をON状態とするので、検知出力は出力されない。逆に、VccがVth2を上回っているときは、電圧検知器630はHレベル信号を出力するので、検知出力は出力される。
この構成により、出力禁止により検知器を制御する機器を誤動作させることがない。また、2つの禁止回路の共用により部品点数の削減ができ、ローコスト化を図ることができる。
(6h) 実施例6h
図120は実施例6hを示し、上述の実施例6d〜6gに示したような出力禁止回路624の出力により検知が困難になったことを表示する警告表示器を備えたものである。出力禁止回路624の出力がHレベル信号であれば、トランジスタ633はON状態となり、発光素子634は点灯され、検知が困難となったことを表示する。一方、出力禁止回路624の出力がLレベル信号であれば、トランジスタ633はOFF状態となり、発光素子634は駆動されない。このようにして、周囲照度が低くなり検知動作を行っていないこと、また、電池電圧が低下して使用できなくなったことを使用者は知ることができる。
(6i) 実施例6i
図121、122は実施例6iを示し、出力禁止の方法について説明するものである。図121は検知器の比較部633、演算部609、判断部610の構成を示す図であり、図122は出力強制OFF回路の構成図である。上述した出力禁止回路624からの出力禁止信号によりトランジスタTR61はONし、強制的に検出信号をOFFする。OFFされる信号は、A,B,C,Dの4つの信号が考えられる。OFFされる信号が検知出力信号Dのときは、出力禁止の信号に対してすばやく出力が禁止される。それに対し、差動増幅器の出力信号A、信号処理部Ex−NOR出力信号B、信号処理部のシフトレジスタのANDゲートへの入力信号Cの信号をOFFする方法は差動増幅器に近いほど出力禁止信号に対して出力禁止遅れを生じるが、確実に検知出力の禁止をかけることができる。
(6j) 実施例6j
図123、図124a〜図124dは実施例6jを示し、出力禁止回路624を備えた検知器に、その出力禁止の出力に応じて検知器への電力供給パルスを変更する電力供給周期変更器を加えたものである。同図123にその構成、図124a〜図124dにその動作のタイムチャートを示す。電力供給周期変更器は、発振周期が互いに異なる第1,及び第2の発振回路635a,635bと2入力マルチプレクサ636からなる。この検知器は、通常は第1の発振回路635aから発振されたパルス周期により検知を行っており、周囲照度の低下などにより出力禁止回路624から出力禁止信号が出力されたときは、2入力マルチプレクサ36に選択信号が入力され、第1の発振回路635aから発振周期の長い第2の発振回路635bにパルス周期を切り換える。これにより、低消費電流化を図ることができる。
(7) 第7実施例
次に第7実施例について説明する。第7実施例においては、第1実施例における信号処理内容を特定している。
(7a) 実施例7a
本実施例の具体例を図面を参照して説明する。図125は実施例7aによる検知装置700のブロック図、図126a〜図126iは同検知装置における動作のタイムチャートである。検知装置700は、初期状態にはなかった物体等を検知するものであり、該検知装置700が設置される場所における照明光や太陽光などの自然散乱光により被検出物体15を検出する光検出部701と、検出された受光信号を処理し出力する差動増幅回路706等の各種の処理回路とから構成される。
光検出部701は、検出物体15や背景物体14から反射された自然散乱光を集光する受光レンズ703と、光を電流に変換する2つのフォトダイオードPD1及びPD2とから構成される。処理回路は、2つの増幅回路704及び705と、差動増幅回路706と、ハイパスフィルタHPF707と、比較回路708と、積分回路709と、出力回路710と、発振回路714とから構成される。また、初期設定を行うために、初期設定回路711と、初期設定時の変化量検出回路(調整量検出器)712と、弁別レベル設定回路(しきい値設定器)713とが含まれる。
検出物体15や背景物体14による反射光は、受光用レンズ703により集光され、このレンズ703を通過した光は2つの受光視野を構成する2つに分割されたフォトダイオードPD1、PD2(光検出部)でなる受光器で受光され、光−電流変換される。
これら光一電流変換された2つの受光信号は、スイッチングパルスSG(図126b)で高周波信号に変換され、それぞれ増幅回路704、増幅回路705により増幅される(図126c、126d)。ここに、検出物体15が1つの受光視野内に入ってきたことにより(図126a)、両増幅回路の出力は変化を示す。これら増幅された2つの受光信号は、差動演算回路706により差動演算される(図126e)。この差動演算された受光信号は、H.P.F.707で低周波ノイズを除去され(図126f)、比較回路108により、予め設定された2つのしきい値Vth1、Vth2(Vth2<Vth1)と比較される。
これらのしきい値は、受光信号のノイズ量により出力が不安定にならないように、積分回路709の出力で、大きい方のしきい値Vth1をVth1−βに、小さい方のしきい値Vth2をVth2+γ(β,γ>0)に、それぞれ変更される。比較回路708は、差動出力が弁別範囲を外れていればHレベル信号を、弁別範囲内を外れていなければLレベル信号を出力する(図126g)。
続いて、比較回路708の出力信号は積分回路709によりノイズを除去され(図126h)、出力回路710により出力される。具体的には、図126iに示すように、Vth2<(差動演算された受光信号)<Vth1の場合は、非検知出力(OFF:受光視野内に検出物体がない状態、つまり背景物体のみが存在する状態)がセンサ外部に出力される。また、(差動演算された受光信号)<Vth2、または、Vth1<(差動演算された受光信号)の場合は、検知出力(ON:受光視野内に検出物体が存在する)がセンサ外部に出力される。このように、2つの受光信号の変動に基づいて物体の検知を行うことができるのである。
次に、初期状態(検出物体がない状態)での受光信号について説明する。初期状態において、2つの受光視野間にコントラストが無いことはほとんどなく、いくらかのコントラストがあるので、差動演算回路706の差動出力の信号成分は、ある信号レベルがある。また、2つの受光視野から受光された受光信号に含まれるノイズ成分は受光量に応じて大きくなる。その2つの受光信号を差動演算すると、2つの受光信号に差がない(コントラストがない状態)と、2つの受光信号のノイズ成分はほぼ等しいので除去されて、差動出力のノイズ成分はほぼ0となる。逆に、2つの受光信号に差がある(コントラストがある)と、差動出力のノイズ成分は2つの受光信号の差、つまり、差動出力の信号成分の大きさに応じて大きくなる。
そこで、初期状態の差動出力の信号成分の変化や検知装置の使用される環境によらず適性に検知信号が出力されるように、検知装置は初期設定される必要がある。初期設定とは、初期状態(検出物体がない状態)における差動演算出力を2つのしきい値Vth1、Vth2(Vth2<Vth1)のレベル内に入れるための処置である。初期設定の対象は、初期設定回路711、初期設定時の変化量検出回路712、及び弁別レベル設定回路713である。
初期設定回路711は、検出物体がない状態で差動演算出力を2つのしきい値Vth1、Vth2のレベル内に入れるための回路で、差動演算出力を変更する方法と、差動出力は変更せずに、しきい値を変更する方法がある。
初期設定時の変化量検出回路712は、初期設定時に差動演算出力をどれだけ変更したか、または、しきい値をどれぐらい変更したか、その物理量を検出する回路である。弁別レベル設定回路713は、初期設定時の変化量検出回路712で検出した物理量に応じてしきい値とヒステリシス幅を設定する回路である。初期設定時に、差動出力は変更せずに、しきい値を変更する方法では、ヒステリシス幅のみを設定する。
このようにすることで、初期設定時の変化量(初期状態の差動出力の信号成分)に応じたしきい値、ヒステリシス幅の設定が可能であるので、より的確なしきい値のレベルを設定し得、使用環境に影響されて検知装置が誤動作することがない。また、しきい値を検知信号の上下に設定し、そのレベル内から外れたときに出力信号を出すので、受光出力の変化方向が限定されることがない。ここに、本実施例の検知装置によれば、検出物体を検知する視野や背景とのコントラストの関係を選ぶことなく物体の検出が可能となり、センサの感度が大いに向上する。
以下、初期設定の方法を図127ないし図129dを参照して説明する。図127ないし図129dにおいては、初期設定方法のみを示し、それによるしきい値、ヒステリシス幅の設定方法については示していない。それらについては図131以降で説明する。図127は初期設定の基本概念を説明する図である。この図に示すように、初期設定とは、検出物体がない状態で差動増幅出力の出力信号レベルVspを2つのしきい値Vth1、Vth2(Vth2<Vth1)のレベルの間に入れることである。
図128a及び128bは差動増幅回路706の基準電圧を変更する場合の回路図及びその時の基準電圧と2つのしきい値との関係を示す図である。この場合、増幅回路の出力Vs[=Vref−(Rf/Rs)v]は、基準電圧Vrefを変更すること(Vref−Δe)により、図127に示したV0が変化して、Vspをしきい値のレベル内に設定する。この方法においては、増幅器のダイナミックレンジを有効に利用できる。
図128c及び128dは増幅回路706の増幅率の変更による場合の回路図及びその時の基準電圧と2つのしきい値との関係を示す図である。この場合、増幅回路706の増幅率(Rf/Rs)を変更することにより、出力Vsを変化させ、Vspをしきい値のレベル内に設定する。この方法においては、高照度な環境でも使用できる。
図129a及び129bは受光信号の減衰による場合の回路図及びその時の基準電圧と2つのしきい値との関係を示す図である。この場合、増幅回路の出力が、抵抗分圧で(Ra1/Ra)倍に減衰されることにより、出力Vsをしきい値のレベル内に設定する。この方法においては、構成が簡単であるのでコストの削減ができる。
図129c及び129dは増幅回路出力のDCオフセット値の変更による場合の回路図及びその時の基準電圧と2つのしきい値との関係を示す図である。この場合、増幅回路の出力のDCオフセットを変更することにより、図127に示したV0を変化させ、出力Vsが、Vs=Vcc×(RD2/RD)−(Rf/Rs)×vとなり、出力Vsをしきい値のレベル内に設定する。この方法においては、図129a、129bと同等の効果が得られる。
(7b) 実施例7b
図130に示す実施例は、検知装置の外部からの指令により、初期設定及びしきい値の設定を自動的に行うティーチング方式である。
図130において、差動演算された受光出力は、サンプルホールド回路715によりサンプルホールドされ、A/D変換回路716によりA/D変換され、比較回路108において、初期設定によりメモリ121に記憶された弁別範囲と比較され、比較回路708の出力はノイズ除去用の積分回路709を通過した後、出力回路710によりセンサ外部に出力される。
初期設定は、その実行命令をする外部スイッチSW1がONされると、初期設定回路717のトリガ信号により、複数のメモリ718、719で複数の受光出力が記憶される。その記憶された受光信号は演算回路720により演算され(例えば、平均値、最大値と最小値の中間値)、弁別範囲が設定される。その設定された値はメモリ721に記憶され、初期設定がなされる。この方式によれば、初期設定が非常に容易にできる。
次に、図131を参照して、上記の実施例7bの具体回路構成について説明する。図131において、初期設定回路711は、差動増幅回路706(図125)の出力段増幅器であるAMP1の基準電圧V0=Vcc×(R31/R3)を変更するものである。同回路711のバッファ出力V0は絶対値回路731に入力される。絶対値回路731により、増幅部の基準電圧値VrefとV0の差V1=Vref+|Vref−V0|が出力される。そして、差動増幅器722により、V1とVrefの差動演算をしてV2=VBE1+|Vref−V0|が出力される。電圧V2は電流源1により、電流I1=(VBE1+|Vref−V0|−VBE2)/R10≒|Vref−V0|/R10に変換される。検出装置の出力OFF時はhysがHレベルとなり、トランジスタTR3はOFF状態である。従って、I0=(R14/R16)×I1、Vth1=Vref+R17×I0、Vth2=Vref−R18×I0である。検出装置の出力ON時はhysがLレベルとなりトランジスタTR3はONする。従って、I0≒((R13//R14)/R16)×I1(尚、R13//R14は、R13とR14との並列接続抵抗を表わす。)、Vth1=Vref+R17×I0、Vth2=Vref−R18×I0である。従って、初期設定回路711の抵抗R31を変化させることで初期設定、しきい値、ヒステリシス幅を連動して変更することができる。この構成では最適な初期設定が容易にできる。
なお、絶対値回路731の動作については、V0<Vrefのとき、ダイオードD1がONして、ダイオードD1、増幅器AMP4、抵抗R5を通る負帰還ループができ、出力はV1=Vref+Vref−V0となる。V0≧Vrefのとき、ダイオードD1はOFFして増幅器AMP3と増幅器AMP4は切り離され、出力はV1=Vref−(Vref−V0)となる。
図132は、初期設定時の変化量に応じてヒステリシス幅のみを変更する方式の弁別レベル設定回路713の回路図である。初期設定時の変化量V2は、電流源1,2で、電流値I1=(V2−VBE1)/R1に変換される。また、電流源2の電流値はI2=(V2−VBE2−VBE3)/R6である。検出装置の出力OFF時はhysがHレベルとなり、トランジスタTR1はONする。従って、抵抗R4,R5には電流源1の電流I1と電流源2の電流I2の和が流れ、Vth1=Vref+R4×(I1+I2),Vth2=Vref−R5×(I1+I2)となる。検出装置の出力ON時はhysがLレベルとなり、トランジスタTR1はOFFし、I1=0となる。従って、Vth1=Vref+R4×I2,Vth2=Vref−R5×I2となる。従って、変化量V2に応じて電流源の電流値I1=(V2−VBE1)/R1が変化するので、初期設定時の変化量に応じてヒステリシス幅のみ変化し設定される。この構成によれば、初期設定時の差動演算出力が小さいところ(背景のコントラストがないところ)で、周囲照度に合わせて微妙な初期設定ができ、検出精度を向上できる。
図133は、初期設定時の変化量に応じてしきい値のみを変更する方式の弁別レベル設定回路713の回路図である。初期設定時の変化量V2は、電流源1,2で、電流値I1=(V2−VBE1)/R1に変換される。また、電流源2の電流値はI2=(V2−VBE2−VBE3)/R6である。検出装置の出力OFF時はhysがHレベルとなり、トランジスタTR1はONする。従って、抵抗R4,R5には電流源1の電流I1と電流源2の電流I2の和が流れ、Vth1=Vref+R4×(I1+I2),Vth2=Vref−R5×(I1+I2)となる。検出装置の出力ON時はhysがLレベルとなり、トランジスタTR1はOFFし、I2=0となる。従って、Vth1=Vref+R4×I1,Vth2=Vref−R5×I1となる。従って,変化量V2に応じて電流源の電流値I1=(V2−VBE1)/R1が変化するので、初期設定時の変化量に応じて、しきい値のみ変化し設定される。この構成によれば、初期設定時の差動演算出力が大きいところ(背景のコントラストがあるところ)での、初期設定が容易である。
図134a、134bは、上述した初期設定時の変化量検出回路712の変形例であり、AC信号の変化量を検出するのに適した回路を示す図で、図134aはその一部の回路図、図136bはそのタイムチャートである。上述した初期設定器が受光出力の減衰やDCオフセットの変更をする場合、本実施例はV0の大きさを検出し、その検出信号を図131の絶対値回路731に入力し変化量を検出する。そして、その変化量に応じて、上述の弁別レベル設定回路713によりしきい値、ヒステリシス幅の設定をする。V0の大きさの検出については、トランジスタTR1の制御信号CTLがHレベルのとき、ダイオードD1は導通せず、VS、VG間は同電位となりトランジスタTR1はON状態となる。従って、コンデンサCHはVSまで充電される。制御信号CTLがLレベルになると、ダイオードD1は導通し、VS、VG間に電位差が発生し、トランジスタTR1はOFF状態となる。従って、コンデンサCHはその直前の電位V0で保持される。バッファアンプ2によりV=V0と出力される。この構成は、変化量を検出したい信号がAC信号のときに有効である。
図135は、しきい値とヒステリシス幅を変更することで初期設定を行う方式の弁別レベル設定回路713の回路図であり、2つのしきい値レベルの中心値に応じて、しきい値とヒステリシス幅を変更する変更器を示している。しきい値の中心値は初期設定回路711としての抵抗R1のVRを変更することで行なう。VRはバッファを介して図131の初期設定時の変化量検出回路712のバッファの+入力へ入力され、図131の差動増幅器の出力V2に応じた電流源電流I1=(V2−VBE)/R1に変換される。検出装置の出力OFF時はhysがHレベルとなり、トランジスタTR1はOFF状態である。従って、I0=(R2/R4)×I1,Vth1=Vref+R8×I0,Vth2=Vref−R9×I0である。検出装置の出力ON時はhysがLレベルとなり、トランジスタTR1はONする。従って、I0≒((R2//R5)/R4)×I1,Vth1=Vref+R8×I0,Vth2=Vref−R9×I0である。従って、しきい値の中心値の電圧に応じて2つのしきい値間の電圧、ヒステリシス幅が変化する。この構成を採用すれば、差動増幅回路(図125の706)の変更がないので安定な受光信号が得られる。
(7c)実施例7c
実施例7cの回路図を図136に示し、その動作のタイムチャートを137a〜137gに示す。本実施例は、検出素子として3個のフォトダイオードPD1,PD2,PD3を有するものである。前述したように検出素子が2つの場合では、検出物体面にコントラストがなく、視野すべてを覆ってしまうような大きな物体の検出はできない。それに対して、検出素子を3つにして視野を広げ、それぞれの検出信号を図示のごとく増幅することにより、差動増幅器AMP3の出力でもって大きな物体の検出も可能となる。
このように検出物体の大きさや検出したいエリアに応じて検出素子の数を決めることでより確実な検出ができる。なお、初期設定は、上述した各種の方法のいずれかを用いて行えばよい。
産業上の利用可能性
以上のように、本発明に係る物体検知装置は、洗面所、トイレでの自動給水器や、人がいるときにのみ自動的に作動させる必要のある機械の運転用の検知器として有用であり、特に省エネルギが要求されるもとでの機器の自動運転制御に用いるのに適している。
この発明は、物体等の検知装置に関し、特に人または物体等の有無を光学的に検知する物体等の検知装置に関する。
背景技術
従来のこの種の検知装置の一例として、反射型光電センサについて図1を参照して説明する。従来の光電センサは、被検知物体に向けて投光する投光素子1101とその反射光を受光する受光素子1102とを有し、発振回路1103より得られたパルス信号でもって投光回路1104を駆動し、投光素子1101を点灯させる。その投光素子1101から出射された光は検出物体に当たり、その反射光が受光素子1102に入射され、光−電流変換され、増幅回路1105により増幅される。この増幅された受光信号は、予め設定されたしきい値と比較回路1106で比較され、ゲート回路1107において投光パルスと同期が取られ、ノイズ除去用の積分回路1108を通った後、出力回路1109よりセンサ外部に出力される。
比較的簡単な構成の検知装置として、パッシブ(受動)型の装置がある。パッシブ型の検知装置は、検知装置自体または検知装置と連動する装置として、検知対象に能動的に作用する要素(たとえば受光部とタイミング信号を共有してパルス点灯する光源など)を有しておらず、検知装置とは連動しない人工または自然のエネルギ源(たとえば照明装置または太陽光)が検知対象に作用して生じる検知対象からのエネルギを利用する。その一例として、検知素子に積分型赤外線検知素子(サーモパイル)を用いた静止人体検出器について説明する。その回路図を図2に示す。静止人体検出器の検出エリアに人が侵入すると、サーモパイル1111に人体から発した赤外線が入射し、その光量に応じた起電力がバッファ1112を通して次段のアンプ1113へ送られる。その信号はアンプ1113で増幅され、ローパスフィルタ1114で高周波ノイズを除去し後、予め設定されたしきい値と比較回路1115で比較される。しきい値を上回る信号が入力されると、比較回路1105はオン信号を出力する。VR1はアンプ1113のオフセット電圧調整用の可変抵抗、VSは電源、Vはオフセット電圧である。
しかしながら、図1に示したような従来の光電センサは、自らが光を出射し、その反射光量により物体検出を行なうため、検出性能は投光量に大きく依存する。その投光量は、投光素子1101に流す電流で決まるため、低消費電流化が図りにくい。一方、センサをバッテリで駆動する場合には、長時間の駆動が困難になり、センサを小型にする場合には、発熱の低減が困難になるという問題があった。
図2に示したような検知器においては、サーモパイル1111からの出力は信号が積分されて現れるため、アンプ1113は直流増幅を行なう必要があり、ノイズカットはローパスフィルタのみで行なう必要があり、ハイパスフィルタを通すことができないため、低周波のノイズに弱いという問題がある。
また、サーモパイル1111の出力信号は微小でアンプ1113のオフセット電圧Vと同等以下であるため、アンプ1113で直流増幅されるとき、そのオフセット電圧Vは無視できない。このオフセット電圧Vを除去するためには、アンプ1113にオフ電圧Vの小さな高精度アンプを用いるか、図2に示したようにオフ電圧調整回路VR1が必要となる。ところが、前者はアンプの価格が高いという問題があり、後者は組立時に調整工程が必要となり、製造コストを上げるという問題がある。
したがって、この発明の目的の1つは、低消費電流でかつ簡素な構成を有する物体等の検知装置を提供することである。
この発明の他の目的は高周波ノイズやアンプのオフセットノイズやその他外来ノイズを除去することができる物体等の検知装置を提供することである。
この発明のさらに他の目的は、センサの小型化、ローコスト化、低消費電流化を図ることができ、高精度な回路が要求されることのない、物体等の検知装置を提供することである。
この発明のさらに他の目的は、高いS/N比を確保でき、かつコストを抑えることができるパッシブ型物体検出装置を提供することである。
この発明のさらに他の目的は、信号処理回路の規模を縮小することができるパッシブ部型物体検出装置を提供することである。
この発明のさらに他の目的は、確実に被検出物体の検知を行なうことができ、投光電流を削減し、低消費電流化を図ることができる物体検知器を提供することである。
発明の開示
この発明に係る、物体検知装置は自ら投光した光ではない光を受光することによって背景の手前に物体が存在するかどうかを検知する検知装置は、光学系と、光学系を通過した光を受ける複数の光検出素子とにより、複数の受光視野を構成する受光器と、複数の受光視野が背景のみで占められている状態からの複数の光検出素子からの出力のバランスの変化量をもとに物体の有無を判別する信号処理部とを含む。信号処理部は、受光視野が背景のみで占められている状態において物体の有無の判別のための感度を設定する感度設定器を含む。
複数の受光視野が背景のみで占められている状態からの複数の光検出素子からの出力のバランスの変化量をもとに物体の有無が判別されるが、その判別のための感度は受光視野が背景のみで占められている状態において設定される。受光視野が背景のみで占められているときに従来の物体検知装置のように背景において2つの受光視野を一致させる必要がなく、受光視野の調整よりもはるかに簡単な感度設定を行なうだけで簡単に検出装置を設置することができるため、安定して物体検知を行なうことができるとともに調整の簡単な物体検知装置が提供できる。
この発明の他の局面によれば、物体等の有無を検出するパッシブ型の検知装置は、物理量を検出する検出素子と、検出素子からの出力を増幅する増幅器と、増幅器の出力から検出対象の状態を2値判断する判断部と、検出素子の出力の増幅器への伝達を周期的に断続するスイッチとを含む。検出素子からの出力はスイッチおよび増幅器によりパルス信号とされ、さらに、そのパルス信号は判断部により検出対象の有無に応じてより確かな2値信号として出力される。
上記判断部は、スイッチでパルス化され増幅器で増幅された各パルスごとの信号の大きさが、所定値を連続して所定回数超えたときに出力を変化させるものであってもよい。また、判断部は、スイッチでパルス化され、増幅器で増幅された信号を所定の基準値との大小関係に基づいて2値の値にパルス化する第1の比較部と、第1の比較部の出力を積分する積分部と、積分部の出力を所定の基準値との大小関係に基づいて2値化して出力する第2の比較部とからなるものであってもよい。また、検知装置は、スイッチのスイッチング周波数を含む帯域の信号を通過させるフィルタを具備してもよい。
検出素子により検出対象の物理量に応じて発生した信号をスイッチングしてパルス信号とし、かつ増幅器により増幅し、この増幅器の出力から判断部により検出対象の状態が2値化して出力される。信号の大きさが各パルスごとに2値化して扱われるため、パルス幅が小さくて波高の大きなインパルスノイズに検知器は反応しない。したがって高いS/N比を確保できる。また、検出素子で得られる信号が微小信号であっても、増幅器のオフセット電圧や低周波ノイズの影響を受けにくいため、高価な高精度アンプや製造時のオフセット調整工程が不要になる。その結果コストを抑えることができる。
また、スイッチのスイッチング周波数を含む帯域の信号を通過させるフィルタを用いることにより、交流電源などの外来の低周波ノイズや信号処理回路などで発生する高周波ノイズをカットできるため、高いS/N比を確保でき、高感度化が図れる。
この発明のさらに他の局面によれば、被検出物体からの光を受光することによって被検出物体を検知するパッシブ型物体検知器は、複数の受光視野を構成し、この受光視野内に存する被検出物体または背景物体からの光を複数の受光素子により受光し、この受光量に基づいて複数の系統の検出信号を出力する受光器と、複数の系統の各検出信号をそれぞれ時分割するゲートと、各検出信号がこのゲートを通過するタイミングが非同期で時分割となるようにゲートにパルス信号を供給するパルス発生器と、ゲートにより時分割された各検出信号を組合せて1系統で信号処理をすることにより、受光視野間の光量変動を検出する信号処理器とを含む。
受光器から出力された複数の検出信号の信号処理器への入力を、ゲートにより非同期で時分割となるようにタイミングで切換えるようにしたことにより、複数の系統の検出信号を1系統の信号処理器で処理することが可能になる。従来の光電センサのように、受光出力数と同数の受光回路や増幅回路等の信号処理回路を備える必要がなくなり、信号処理回路の規模を縮小することができる。また、回路部品の削減、消費電流の低減、検知器の外形の縮小、コストの削減、製造不良率の低減等を図ることが可能になる。また回路構成を簡略化することにより、複数の回路の特性のマッチングを図る必要がなくなるので、高精度の部品が要求されることがなくなる。
この発明のさらに他の局面によれば、被検出物体からの光を受光することによって該被検出物体を検知するパッシブ型検知器は、複数の受光視野を構成し、受光視野内に存する被検出物体または背景物体からの光を受光し、この受光量に基づいて受光信号を出力する受光器と、受光器の出力に基づいて被検出物体の有無を判断する判断部と、この判断部の出力に応じて受光視野内に向けて補助光を投光する補助投光器とを含む。
パッシブ型検知器においては、周囲照度が低下したときや、被検出物体が受光視野内に侵入したときに、受光器による受光量の変化が判断部により検出され、それに応じて補助光が投光され、この補助光を用いてさらに被検出物体の検知を行なうので、確実な物体の検知を行なうことができる。また、常に投光を行なう必要がないため、投光電流を削減し、低消費電流化を図ることができる。また、この低消費電流化により、バッテリによって物体検知器を駆動する場合においては、バッテリの長寿命化を図ることができる。その結果、バッテリの交換回数を減らすことができ、電源のない場所での設置が可能になる。
この発明のさらに他の局面においては、物体検知装置は、2つの受光信号を出力する光検出部と、2つの受光信号の差を差動演算する差動演算器と、差動演算器の出力と2つのしきい値との比較に基づいて物体の有無を判断する判断器と、初期状態において差動演算器の出力が所定の値になるように差動演算器の出力を調整するための調整器と、調整器によって差動演算出力が調整された量を検出する調整量検出器と、調整量検出器の出力に基づいて2つのしきい値または各しきい値に与えられるヒステリシス幅を設定するしきい値設定器とを含む。
初期状態の調整において、検知物体がない状態での2つの受光信号に差がない(2つの受光視野内にコントラストがない)と、2つの受光信号のノイズ成分はほぼ等しいので除去されて差動出力のノイズ成分はほぼ0となる。逆に2つの受光信号に差がある(複数の受光視野内にコントラストがある)と、差動出力のノイズ成分を2つの受光信号の差、つまり、差動出力の信号成分の大きさに応じて大きくなる。そこで、初期設定において、初期状態における差動演算器の出力が所定の値になるように調整器により調整し、そのときの調整量は調整量検出器によって検出され、その検出された調整量に基づいてしきい値設定器は2つのしきい値または各しきい値のヒステリシス幅を設定する。このようにすることによって、初期設定時における差動演算器の差動出力の変化量に応じて適切にしきい値またはヒステリシス幅を設定することができる。そして、しきい値を検知信号の上下に設定し、そのレベルから外れたら物体を検知した旨の信号が出力されるため、出力の変化方向にかかわらず物体が検出できる。その結果、使用環境等に依存しない適切な感度調整が可能でかつ高感度のパッシブ型検知装置が提供できる。
【図面の簡単な説明】
図1は従来の反射形光電センサの構成を示す図である。
図2は従来の検知装置の一例を示す構成図である。
図3は第1実施例による物体検知装置の基本原理を示すプロック図である。
図4aは本発明の一実施例による検知装置の受光部の構成を示す図、図4bは検出物体がない特許とある時のPSD上の光強度分布図である。
図5a〜図5dは実施例1aによる受光部の構成を示す図及びPSD上の光強度分布図である。
図6は実施例1aによる信号処理部のブロック図である。
図7a〜図7dは実施例1bによる受光部の構成図、PSD上の光強度分布図及び信号処理部のブロック構成図である。
図8は実施例1cによる受光部及び信号処理部のブロック図である。
図9は実施例1cの変形例による信号処理部のブロック図である。
図10は実施例1dによる受光部及び信号処理部のブロック図である。
図11aは実施例1eによる受光部及び信号処理部のブロック図である。
図11bは実施例1eの変形実施例のブロック図である。
図12は実施例1eの信号処理に割算回路を用いた場合のブロック図である。
図13は実施例1fの変形例による検知装置の構成を示す図である。
図14は実施例1gによる装置の構成図である。
図15は実施例1gの変形例を示す構成図である。
図16は実施例1hによる装置の構成図である。
図17は各種光源の分光分布図である。
図18は実施例1hの変形例を示す図である。
図19aは実施例1iによる装置の構成を示す図であり、図19bはその回路図である。
図20aは実施例1jによる装置の構成を示す図であり、図20bはその回路図である。
図21aは実施例1kによる装置の構成を示す図であり、図21bはその回路図である。
図22aは実施例1mによる装置の構成を示す図であり、図22bはその回路図である。
図23aは実施例1nによる装置の構成を示す図であり、図23bはその回路図である。
図24は実施例1oによる検知装置を示す図である。
図25a〜図25iは実施例1oの動作のタイムチャートである。
図26は比較回路、積分回路、出力回路からなる判断部の具体例を示す回路図である。
図27a〜図27dは上記の動作のタイムチャートである。
図28は判断部の他の例を示す回路図である。
図29a〜図29eは上記の動作のタイムチャートである。
図30は判断部のさらに他の例を示す回路図である。
図31a〜図31lは上記の動作のタイムチャートである。
図32は第2実施例のパッシブ型の検知装置の基本構成を示す図である。
図33は実施例2aによる光検出器の構成図である。
図34a〜図34hは実施例1aのタイムチャートである。
図35aはスイッチング信号SGを生成する周期/デューティ比可変回路の構成例を示す図、図35bはそのタイムチャートである。
図36は実施例2bによる検知装置の構成を示す図である。
図37は実施例2bにおける回路各部とコンデンサの並列容量Ciの関係図である。
図38は上記の比較回路、判別部からなる判断部の具体例を示す回路図である。
図39a〜図39dは上記の動作のタイムチャートである。
図40は判断部の他の例を示す回路図である。
図41a〜図41eは上記の動作のタイムチャートである。
図42は判断部のさらに他の例を示す回路図である。
図43a〜図43lは上記の動作のタイムチャートである。
図44は参考例2cによる赤外線検出器の構成を示す図である。
図45は参考例2dによる温度検出器の検出部の構成を示す図である。
図46a〜図46dは参考例2eによる圧力検出器の構成を示す平面図及び断面図、等価回路図、およびその信号処理部の構成を示す図である。
図47a〜図47hは参考例2cのタイムチャートである。
図48は参考例2fによる温度センサの検出部の構成を示す図である。
図49は実施例2gによる構成を示す図である。
図50は実施例2hによる構成を示す図である。
図51は実施例3aによる検知器の構成図である。
図52a〜図52iは実施例3aによる検知器の検知動作のタイムチャートである。
図53は実施例3bによる検知器の構成図である。
図54は実施例3cによる検知器のスイッチ近傍の構成を示す図である。
図55は実施例3bによる検知器のスイッチ近傍の構成を示す図である。
図56は実施例3eによる検知器の構成図である。
図57a〜図57mは実施例3eによる検知器の検知動作のタイムチャートである。
図58は実施例3fによる検知器の構成図である。
図59a〜図59iは実施例3fによる検知器の検知動作のタイムチャートである。
図60は実施例3gによる検知器の構成図である。
図61a〜図61jは実施例3gによる検知器の検知動作のタイムチャートである。
図62a〜図62jは実施例3hによる検知器の検知動作のタイムチャートである。
図63は実施例3iによる検知器の構成図である。
図64a〜図64jは実施例3jによる検知器の検知動作のタイムチャートである。
図65は実施例3jによる検知器の構成図である。
図66a〜図66jは実施例3jによる検知器の構成図である。
図67は実施例3kによる検知器の構成図である。
図68a〜図68jは実施例3kによる検知器野検知動作のタイムチャートである。
図69は実施例3lによる検知器の構成図である。
図70は実施例3mによる検知器の構成図である。
図71は参考例3nによる赤外線センサの構成図である。
図72は参考例3oによる温度センサの構成図である。
図73aは参考例3pによる圧力センサの平面図、及び断面図、図73bは同センサの回路図である。
図74は参考例3qによるガスセンサの構成図である。
図75は第4実施例に係る検知器の基本構成を示すブロック図である。
図76a〜図76eは光検出素子上の受光量分布を示す図である。
図77は比較回路、判別回路の内部構成を示すブロック図である。
図78a〜図78pは差動増幅器の出力および比較回路、判別回路の動作のタイムチャートである。
図79は受光出射より反射面の数の方が多い場合の検知器の構成を示すブロック図である。
図80は検知物体の位置に対する受光量の変化を示す図である。
図81は電源に電池を用い、電源の供給を間欠供給とした検知回路を示すブロック図である。
図82は太陽電池によって蓄電池に給電場合の検知器のブロック図である。
図83は水力発電によって蓄電池に給電される検知器の構成を示すブロック図である。
図84は検知器の位置の調整をする方法を示す模式図である。
図85は位置調整用のLEDを内蔵した受光部の構成を示す図である。
図86aは反射板を示し、第86b図は4分割PDの構成を示す図である。
図87は光検出素子とレンズの間に絞りを入れた光学系を示す図である。
図88は駐車場システムにおける検知器の配置を示す図である。
図89は駐車場システムの構成を示すブロック図である。
図90は路面上の車両検出システムの構成を示すブロック図である。
図91は車軸数を測定するシステムの構成を示すブロック図である。
図92はパスゲートシステムの構成を示すブロック図である。
図93はパスゲートにおける検知器の配置を示す図である。
図94は入退者数管理システムの構成を示すブロック図である。
図95は位置決め装置の構成を示すブロック図である。
図96は検知器のアナログ出力を示す図である。
図97は長さ測定装置の構成を示す模式図である。
図98は監視システムの構成を示すブロック図である。
図99は第5実施例における構成を示す模式図である。
図100は第5実施例に係る検知器を用いたエリアセンサを示す図である。
図101はエリアセンサの具体的使用例を示す図である。
図102〜図104は第5実施例における検知器を用いたエリアセンサの利用例を示す図である。
図105は実施例6aによる検知器の構成図である。
図106a〜図106lは実施例6aによる検知器の検知動作のタイムチャートである。
図107aは実施例6aによる検知器の補助投光部のかいいろずであり、図107bは実施例6aによる検知器の投光トリガ回路の回路図と論理図である。
図108は実施例6bによる検知器の構成図である。
図109は実施例6cによる検知器の構成図である。
図110a〜図110nは実施例6cによる検知器の検知動作のタイムチャートである。
図111aは実施例6cによる検知器の検知動作のタイムチャートであり、図111bはその検知動作の特徴を示す図である。
図112は実施例6dによる検知器の構成を示すブロック図である。
図113a〜図113eは検知動作のタイムチャートである。
図114は出力禁止回路の構成を示す図である。
図115は実施例6eによる検知器の構成図である。
図116は実施例6fによる検知器の構成図である。
図117は実施例6gによる検知器の構成を示す図である。
図118は電源リセット時出力禁止と電圧低下時出力禁止の両出力禁止回路を備えた検知回路の回路図である。
図119は検知動作のタイムチャートである。
図120は実施例6hによる検知器の警告表示回路の回路図である。
図121は実施例6iによる検知器の比較部、演算部、判断部の構成図、図122は出力禁止回路の回路図である。
図123は実施例6jによる検知器の構成を示すブロック図である。
図124a〜図124dは検知動作のタイムチャートである。
図125は実施例7aによる検知装置のブロック構成図である。
図126a〜図126iは実施例7aによる動作のタイムチャートである。
図127は初期設定の基本概念を説明する図である。
図128a及び図128bは作動演算器の基準電圧を変更する場合の回路図及びその時の基準電圧と2つのしきい値との関係を示す図であり、図128c及び図128dは増幅回路の増幅率の変更による場合の回路図及びその時の基準電圧と2つのしきい値との関係を示す図である。
図129a及び図129bは受光信号の減衰による場合の回路図及びその時の基準でんたうと2つのしきい値との関係を示す図であり、図129c及び図129dは増幅回路出力のDCオフセット値の変更による場合の回路図及びその時の基準電圧と2つのしきい値との関係を示す図である。
図130は実施例7bによる検知装置のブロック図である。
図131は実施例7aにおける初期設定のための具体的は回路図である。
図132は初期設定時にヒステリシス幅のみを変更する場合の要部回路図である。
図133は初期設定時にしきい値のみを変更する場合の要部回路図である。
図134aは初期設定時の変化量検出部の変形例を示す部分回路図、図134bはその動作を説明するタイムチャートである。
図135は初期設定時にしきい値を変更する場合の要部回路図である。
図136は本発明の実施例7cによる検知装置の受光部の回路図である。
図137a〜図137gはその動作を説明するタイムチャートである。
発明を実施するための最良の形態
(1) 第1実施例
本発明による物体等の検知装置の基本原理についてまず説明する。図3を参照して検知装置100は、投光部を持たず、受光部とその信号処理部からなる。複数の受光素子101,102は、複数の受光視野内の被検知物体からの光を受光するもので、信号処理部は、受光素子101,102からの信号を受ける増幅回路103,104及び105,106、差動増幅回路107,108、及び109、比較回路110、発振回路111、積分回路112、出力回路113とからなる。出力回路113は積分回路112の出力を所定の基準値との大小関係に基づいて2値とするものである。受光部101,102の構成を図4aに示す。上記受光素子101,102は、複数の受光視野を構成するレンズ116,117と、ポジション・センシング・デバイス(位置検出素子:以下、PSDという)118,119とを含む。図4b,4cは、検出物体がない時とある時のPSD上の光強度分布を示す。同図に示すように、受光視野内の像の変化によるPSD118,PSD119上の重心位置Gの移動又は複数の受光視野間の光量変動を感知することで、背景14の前に初期状態には存在していなかった検出物体15の有無検知を行う。
以下に上記原理を応用した各具体例を説明する。
(1a) 実施例1a
図5a〜図5dは本発明の実施例1aによる受光部とPSD上の光強度分布を示す。レンズ116とPSD118により受光視野aを構成し、レンズ117とPSD119により受光視野bを構成する。これらの視野には周囲からの自然散乱光(照明光、太陽光など)が照射されている。検出物体がない場合、PSD118,PSD119には自然散乱光に照らされた背景の像がレンズ116,117を通して映っている。背景にコントラストがない場合、図5bのように、PSD上の光強度分布は一様となるため、PSD118,PSD119共に光重心位置GはPSDの中心となる。背景にコントラストがあれば、光重心位置GがPSDの中心となるように初期設定を行う。
ここで、背景と同等以上の反射率の高い検出物体15が受光視野内にある場合は、検出物体15からの反射光が背景14からの反射光よりも大きくなるため、図5cのように、PSD上では検出物体15の像が映っている部分の光強度Pは大きく、背景14が映っている部分の光強度Pは小さくなる。よって、光重心位置Gが検出物体15側の像の方へ移動する。その移動量をPSD118ではΔLa、PSD119ではΔLbとする。
また、背景14と同等以下の反射率の低い検出物体15が受光視野内にある場合は、検出物体15からの反射光が背景14からの反射光よりも小さくなるため、図5bのように、PSD上では検出物体15の像が映っている部分の光強度Pは小さく、背景が映っている部分の光強度Pは大きくなる。よって、光重心位置Gは背景側の像の方へ移動する。
図6は実施例1aによる信号処理部のブロック構成を示す。
各PSDからはPSDへの入光パワーと光重心位置に応じた光電流が出力され、PSD118からは電流I1,I2、PSD119からは電流I3,I4が出力される。これら光電流は各々I/V変換回路で電圧に変換される。電流I1はI/V変換回路121で電圧V1に、電流I2はI/V変換回路122で電圧V2に、電流I3はI/V変換回路123で電圧V3に、電流I4はI/V変換回路124で電圧V4にそれぞれ変換される。電圧V1とV2は差動増幅回路107で引き算され、(V1−V2)を得、電圧V3とV4は差動増幅回路108で引き算され、(V3−V4)を得る。これらは差動増幅回路109でさらに引き算され、その出力は、
(出力)=(V1−V2)−(V3−V4)
となる。この結果は予め設定されたしきい値と比較回路110で比較され、ノイズ除去のための積分回路112を通った後、出力回路113より出力される。
このように実施例1aの物体等の検知装置は、自ら光を発せず、自然散乱光を光源として動作し、受光視野に初期状態には存在していなかった物体が侵入すると、受光素子上の光重心位置が変動し、その変動量を検知して、物体の有無を検出するため、低消費電流化を容易に図れる。しかも、図5aに示した受光視野a又は受光視野bのどちらか一方で変化があれば出力が得られるので、受光器が1個の場合に比べ、受光視野は広く取れ、また、視野の重なり部分では各PSDの移動量を足し合わせることになるため、感度も2倍となる。
(1b) 実施例b
図7a〜図7bは実施例1bによる受光部、PSD上の光強度分布及び信号処理部のブロック構成を示す。本実施例では、1個のレンズ116とPSD118により受光視野を構成する。この視野には周囲からの自然散乱光(照明光、太陽光など)が照射されている。検出物体がない場合、PSD118には自然散乱光に照らされた背景の像がレンズ16を通して映っている。背景14にコントラストがない場合、図7bのようにPSD上の光強度分布は一様となるため、PSDの光重心位置GはPSDの中心となる。背景14にコントラストがあれば、光重心位置GがPSDの中心となるよう初期設定を行う。
PSD118からはPSD118への入光パワーと光重心位置に応じた光電流が出力され、SPD118からは光電流I1,I2が出力される。これら光電流はI/V変換回路121,122で電圧に変換され、電流I1はI/V変換回路121で電圧V1に、電流I2はI/V変換回路122で電圧V2に変換される。電圧V1とV2は差動増幅回路107で引き算され、(V1−V2)を得る。この結果は予め設定されたしきい値と比較回路110で比較され、ノイズ除去のための積分回路112を通った後、出力回路113より出力される。
背景14と異なるコントラストを持つ検出物体15が受光視野内にある場合は、図7cのように、PSD上にその像が映り、光重心位置Gが移動し、PSDから出力される各光電流は背景像が映っている初期状態とは異なる。ここに、検出物体15がない場合(背景を検知している)のPSD18の出力電流をI11,I21とすると、I/V変換後の電圧はV11,V21、差動増幅後の電圧は(V11−V21)となる。検出物体15がある場合のPSD18の出力電流をI12、I22とすると、I/V変換後の電圧はV12、V22、差動増幅後の電圧は(V12−V22)となる。ここに、検出物体15がない場合の差動増幅回路107の出力値(V11−V21)の上下に比較回路10のしきい値は設定され、このしきい値を横切る信号、例えば(V12−V22)が入力されると、比較回路110からオン信号が出力され、その信号はノイズ除去のための積分回路112を通った後、出力回路113より検出物体の侵入信号を出力する。
このように実施例1bの検知装置は、自ら光を発せず、自然散乱光を光源として動作し、受光視野に初期状態には存在していなかった物体が侵入すると、受光素子上の光重心位置が変動し、その変動量に応じた光電流の差異を検知して、物体の有無を検出するため、低消費電流化を容易に図れる。これは、受光器を複数持つものに比べて、小型、コストの面で有利である。
(1c) 実施例1c
図8は実施例1cによる受光部及び信号処理部のブロック構成を示す。レンズ116と2分割フォトダイオード(PDという)131のPD1により受光視野1を構成し、レンズ116と2分割131のPD2より受光視野2を構成し、レンズ117と2分割PD132のPD3により受光視野3を構成し、レンズ117と2分割PD132のPD4より受光視野4を構成する。これらの視野には周囲からの自然散乱光(照明光、太陽光など)が照射されている。
各PDからはPDへの入光パワーに応じた光電流が出力され、PD1からはI1、PD2からはI2、PD3からはI3、PD4からはI4が出力される。これら光電流はI/V変換回路121〜124で電圧に変換され、電流I1はI/V変換回路121でV1、電流I2はI/V変換回路122でV2、電流I3はI/V変換回路123でV3、電流I4はI/V変換回路124でV4に変換される。電圧V1とV2は差動増幅回路107で引き算され、(V1−V2)を得、電圧V3とV4は差動増幅回路108で引き算され、(V3−V4)を得る。これらは差動増幅回路109でさらに引き算され、その出力は、
(出力)=(V1−V2)−(V3−V4)
となる。この結果は予め設定されたしきい値と比較回路110で比較され、ノイズ除去のための積分回路112を通った後、出力回路113より出力される。
検出物体がない場合、2分割PD131,132には自然散乱光に照らされた背景の像がレンズを通して映っている。背景にコントラストがない場合、PD1とPD2への入射光量、PD3とPD4の入射光量はそれぞれ等しくなり、差動増幅回路109の出力は0となる。背景にコントラストがあれば、PD1とPD2への入射光量、PD3とPD4への入射光量はそれぞれ異なり、差動増幅回路109の出力は0とならないので、これが0となるように初期設定を行う。
いま、背景と同等以上の反射率の高い検出物体15が受光視野1、4内にある場合は、検出物体15からの反射光が背景からの反射光より大きくなるため、PD上では検出物体15の像が映っている部分の光強度Pは大きく、背景が映っている部分の光強度Pは小さくなる。よって、
(V1−V2)>0、(V3−V4)<0となり、
差動増幅回路109の出力は0以上となり、初期状態とは異なるため、この違いを検知することで物体の侵入を検出できる。
また、背景と同等以下の反射率の低い検出物体15が受光視野1、4内にある場合は、検出物体15からの反射光が背景からの反射光よりも小さくなるため、PD上では検出物体の像が映っている部分の光強度Pは小さく、背景が映っている部分の光強度Pは大きくなる。よって、
(V1−V2)<0、(V3−V4)>0となり、
差動増幅回路109の出力は0以下となり、初期状態とは異なるため、この違いを検知することで物体の侵入を検出できる。
このように実施例1cの検出装置は、自ら光を発せず、自然散乱光を光源として動作し、受光視野に初期状態には存在していなかった物体が侵入すると、2分割PDへの入光量のバランスが崩れ、その変動量を検出して、検出物体の有無を検出するため、低消費電流化を容易に図れる。本実施例によれば、受光視野1、2、3、4、のいずれかの視野に変化があれば出力が得られるため、受光器が1個の場合に比べ、受光視野は広く取れ、大きな物体の検出が可能となり、また、視野の重なり部分では各PDの光量変化量を足し合わせることになるため、感度も2倍となる。
図9は上記実施例1cの変形例による信号処理部のブロック構成を示す。
同図には、上記I/V変換回路121〜124の出力以降の構成のみを示している。電圧V1とV2は差動増幅回路107で引き算され、(V1−V2)を得、加算器107′で足算され、(V1+V2)を得、電圧V3とV4は差動増幅回路108で引き算され、(V3−V4)を得、加算器108′で足算され、(V3+V4)を得る。さらに、割算回路135,136で各々の差を和で割り算し、(V1−V2)/(V1+V2),(V3−V4)/(V3+V4)を得て、さらに、差動増幅回路137で引き算され、(V1−V2)/(V1+V2)−(V3−V4)/(V3+V4)を得る。このような割り算処理を用いることにより、出力比を取り扱うことになるので、視野全体が明るく又は暗くなるといった変動に対しても正確に物体の検出が行える。
(1d) 実施例1d
図10は実施例1dによる受光部及び信号処理部のブロック構成を示す。本実施例では、受光素子として2分割PD140を用い、分割されたそれぞれのPDをPDa、PDbとする。PDaとレンズ116により受光視野aを構成し、PDbとレンズ116により受光視野bを構成する。これらの視野には周囲からの自然散乱光(照明光、太陽光)が照射されている。検出物体がない場合、PDa,bには自然散乱光に照らされた背景の像がレンズ16を通して映っている。背景にコントラストがない場合、PD上の光強度分布は一様となるため、PDa,bから出力される光電流は等しい。背景にコントラストがあれば、PDa,bから出力される光電流は異なる。
いま、背景と異なるコントラストを持つ検出物体15が受光視野内にある場合は、PD140上にその像が映り、PDa,bから出力される光電流は背景像が映っている初期状態とは異なる。検出物体15がない場合(背景)のPDaの出力をIa1、PDbの出力をIb1とし、検出物体がある場合のPDaの出力をIa2、PDbの出力をIb2とする。図10に示すように、PDaの光電流出力は、I/V変換回路121で電圧Vaに変換され、PDbの光電流出力は、I/V変換回路122で電圧Vbに変換される。検出物体15がない場合、Va1、Vb1が得られ、検出物体15がある場合、Va2、Vb2が得られる。これらは差動増幅回路109で引き算され、検出物体15がない場合、(Va1−Vb1)となり、検出物体15がある場合、(Va2−Vb2)となる。
検出物体15がない場合の差動増幅回路109の出力値(Va1−Vb1)の上下に比較回路110のしきい値は設定され、このしきい値を横切る信号、例えば(Va2−Vb2)が入力されると、比較回路110からオン信号が出力され、その信号はノイズ除去の積分回路112を通った後、出力回路113より検出物体15の侵入信号を出力する。
このように実施例1dの検知装置は、自ら光を発せず、自然散乱光を光源として動作し、受光視野に初期状態には存在していなかった物体が侵入すると、受光視野間の光量が変動し、その変動量を検知して、物体の有無を検出するため、低消費電流化を容易に図れる。これは、受光器を複数持つものに比べて、小型、コストの面で有利である。
(1e) 実施例1e
図11aは実施例1eによる受光部及び信号処理部のブロック構成を示す。本実施例では、受光素子として2個のPD141,142を用いる。PD141とレンズ116により受光視野aを構成し、PD142とレンズ117により受光視野bを構成する。これらの視野はお互いに分離しており、両視野に周囲からの自然散乱光(照明光、太陽光)が照射されている。
検出物体がない場合、PD141,142には自然散乱光に照らされた背景の像がレンズ116,117を通して映っている。背景にコントラストがない場合、PD上の光強度分布は一様となるため、PD141,142から出力される光電流は等しい。背景にコントラストがあれば、PD141,142から出力される光電流は異なる。
いま、片側の受光視野、例えば受光視野bに検出物体15が侵入する場合を考える。この時、PD142上にその像が映り、PD142から出力される光電流は背景像が映っている初期状態とは異なる。検出物体15がない場合、背景のPD141の出力電流はIa1、PD142の出力電流はIb1、検出物体15が受光視野bにある場合のPD141の出力電流はIa1のままであり、PD142の出力電流はIb2となる。図11aに示すように、PD141の光電流出力はI/V変換回路121で電圧Vaに変換され、PD142の光電流出力はI/V変換回路122で電圧Vbに変換されるから、検出物体15がない場合、Va1、Vb1が得られ、検出物体がある場合、Va1(変化なし)、Vb2が得られる。これらは差動増幅回路109で引き算され、検出物体15がない場合、(Va1−Vb1)となり、検出物体がある場合、(Va1−Vb2)となる。
検出物体がない場合の差動増幅回路109の出力値(Va1−Vb1)の上下に比較回転110のしきい値は設定され、このしきい値を横切る信号、例えば(Va1−Vb2)が入力されると比較回路110からオン信号が出力され、その信号はノイズ除去のための積分回路112を通った後、出力回路113より検出物体15の侵入信号を出力する。
このように実施例1eの検知装置は、自ら光を発せず、自然散乱光を光源として動作し、受光視野に初期状態には存在していなかった物体が侵入すると、受光視野間の光量が変動し、その変動量を検知して、物体の有無を検出するため、低消費電流化を容易に図れる。また、この場合、受光視野がお互いに分離していることで、受光視野を広く取れ、より大きな物体の検出ができるという利点がある。
次に実施例1eの変形例を図11bを参照して説明する。図11bを参照して、変形例においては、レンズ116、117の代わりに光ファイバ151、152が設けられている。それ以外の部分について図11aと同様であるので、その説明は省略する。
レンズの代わりに光ファイバを用いているため、受光視野は自在に設定できる。
(1f) 実施例1f
図12は上記実施例1eの信号処理に割算回路を用い、かつ電源回路を加えた場合のブロック図である。差動増幅回路に代えて割算回路144を用い、電圧VaとVbの比を取ると、その出力は検出物体がない場合、Vb1/Va1となり、検出物体がある場合、Vb2/Va1となるため、視野全体が同じ比率で明るくなっても暗くなっても、この比が変わらないから、自然散乱光の変化に強くなる。
上記図12の例では、電源として電池145を用いており、これにより電気工事が不要となり、商用電源がないような場所でも検知装置を設置することが可能で、取付場所の制約がなくなる。
上記図12の例では、検知装置51はI/V変換回路121,122、割算回路144、比較回路110、積分回路112、出力回路113などの信号処理部を含み、そこへの電源供給は、発振回路111のクロックで間欠供給するような電源回路146で行なう。これにより、一層、消費電流を低減することができる。
図13は図12に示した検知装置51の他の構成を示す。上述したような構成でなる検知器51の電源として太陽電池52を用い、その電力を大容量コンデンサ又は二次電池等でなる蓄電器53に供給する。その結果、電気工事が不要となり、検知器51の取付場所に制約を受けることがなくなる。
(1g) 実施例1g
図14は実施例1gによる装置の構成を示す。本実施例は、洗面台55の中に侵入されたた人の手などを検知器(感知器)51により検知して蛇口56に吸水する検知装置である。検知器(感知部)51が洗面台55の近傍に設けられ、この検知器51により手などが感知されると、通水路上に配された電磁弁(バルブ)57に対するバルブ開信号が制御部(バルブ駆動回路)58へ入力され、その出力で電磁弁57は駆動され、開く。この電磁弁57の開により吐水を行う。また、手が検知器51の検知エリアから外れると、検知器51からはバルブ閉信号が出力され、制御部58により電磁弁57は閉じられ、止水する。
また、通水路上に羽根車付きの水力発電機59を配設し、この発電機59による発電電力を蓄電池60に充電し、その出力を検知器51の電源としている。発電機59は、バルブ開の時、羽根車が水勢により回転され、その回転速度に応じた周波数の電流を出力し、この出力電流は整流回路61により全波整流され、充電回路62、ダイオード63を経て蓄電池60に供給され、これを充電する。この充電された電力により検知器51を動作させる。この構成によれば、外部から電源を供給しなくてもよいので、検知器51の無電源場所への設置や電気工事を必要としないという効果がある。
本実施例の検知器51は、図15に示すように、便器65に自動水洗を行うための人体検知にも適用できる。
(1h) 実施例1h
図16は実施例1hによる装置の構成を示す。検知器51の受光素子67は、太陽光を直接に受光すると、その強い光により受光素子67の光出力が飽和し、受光視野内への物体の侵入による光信号の変化に対する感度を失う。そこで、検知器51の光源としてその空間の照明器68を用い、その照明器68が発する光のうち、光量が大きい波長域を含む所定の波長域のみの光を透過させる光学フィルタ69を受光素子67の前面に配置し、照明光以外の光(主に太陽光)をできるだけカットする。図17は各種光源の分光分布を示している。同図から分かるように、例えば、光源に白熱灯を用いる場合は、700nm以下の光をカットする光学フィルタを用い、光源に蛍光灯を用いる場合は、550〜650nmの光以外をカットする光学フィルタを用いる。また、図18に示すように、光学フィルタ69をレンズ116,117の前面に配置する構成も考えられる。この場合は、光学フィルタ69を脱着構造とし、検知器51の空間の照明光の波長に合わせて後付けでも取り付けられるようにすればよい。
(1i) 実施例1i
図19a、19bは実施例1iによる装置の構成及び回路を示す。本実施例の検知器51は、テレビや案内表示器等のディスプレイ装置70の周辺に設置され、その前方の視野を検知器51によりモニタするものである。人がその視野に侵入すると、すなわち、人の存在が検知された時、検知器51はディスプレイ装置70の電源スイッチ71をオンする信号を出力し、人がその視野から外れると、電源スイッチ71をオフする信号を出力する。これにより、自動的にディスプレイ装置70の電源がオン・オフされる。
(1j) 実施例1j
図20a、20bは実施例1jによる装置の構成及び回路を示す。本実施例の検知器51は、パチンコ台や自動取引装置(ATM)、自動発券機、自動販売機などの個々の装置73(以下、パチンコ台という)の周辺に設置され、その前方の視野をモニタしている。各パチンコ台73の玉検知部74と検知器51からの検知信号は制御部75に伝えられる。制御部75は、検知器51がその視野に人を検知していない時には、玉出し部76から玉を出さないように制御する。また、自動取引装置や自動販売機の場合は、検知器の視野に人を検知していない時には、取引を行わないように制御する。これにより、防犯システムとして機能する。
(1k) 実施例1k
図21a、21bは実施例1kによる装置の構成及び回路を示す。本実施例の検知器51は、デスク78の前をモニタするように設置され、人がその視野に侵入すると自動的に照明器79のスイッチ71をオンし、視野から外れると自動的に照明器79のスイッチ71をオフにする。これにより、省エネルギー化が図れる。
(1m) 実施例1m
図22a、22bは実施例1mの装置の構成及び回路を示す。本実施例の検知器51は、部屋やトイレ内のドア80の周辺に設置され、人がその視野に侵入すると自動的に換気扇81のスイッチ71をオンし、人がその視野から外れると自動的に換気扇81のスイッチ71をオフする。これにより、上記と同様、省エネルギー化が図れる。また、換気扇の他に、エアコン等の空調機に適用して、直接に人のいる方向には風を吹かないような制御を行うこともできる。
(1n) 実施例1n
図23a、23bは実施例1nによる装置の構成及び回路ブロックを示す。本実施例の検知器51は、自動ドア82の付近をモニタするように設置され、その視野内に人が侵入すると、モータ制御部83に検知信号を送り、モータ84を駆動して、自動ドア82を開ける。このような自動ドアの構成は、上述したように検知器が電池電源で動作し得て取付場所の制約が少ないことから、後付けに適している。
(1o) 実施例1o
図24は実施例1oによる検知装置の構成及び回路図、図25はその動作のタイムチャートである。
レンズ116と2分割PD131のPD1より受光視野1を構成し、レンズ116と2分割PD131のPD2より受光視野2を構成し、レンズ117と2分割PD132のPD3より受光視野3を構成し、レンズ117と2分割PD132のPD4より受光視野4を構成する。これらの視野には周囲からの自然散乱光(照明光、太陽光など)が照射されている。
各PDからはPDへの入光パワーに応じた光電流が出力され、PD1からはI1、PD2からはI2、PD3からはI3、PD4からはI4が出力される。これら光電流はI/V変換回路で電圧に変換され、I1はI/V変換回路121でV1、I2はI/V変換回路122でV2、I3はI/V変換回路123でV3、I4はI/V変換回路124でV4に変換される。電圧V1とV2は差動増幅回路107で引き算され、(V1−V2)を得、電圧V3とV4は差動増幅回路108で引き算され、(V3−V4)を得る。ここで、V1〜V4にはオペアンプのオフセット電圧、蛍光灯に含まれる電源低周波ノイズ、受光素子や受光回路で発生する高周波ノイズなどのノイズが含まれている。受光信号は直流成分が支配的なので、オフセット電圧や低周波ノイズの除去が困難である。
そこで、各受光素子の出力ラインに挿入したアナログスイッチ91〜94をパルス信号SGで周期的にスイッチングすることにより、各受光素子からの出力を直流信号からパルス信号に変換する。その場合の、各I/V変換回路のオペアンプ1,4及び2,3の出力信号波形を図25c、25dに示す。これらの信号をコンデンサC1〜C4と抵抗R5〜R8で構成されたハイパスフィルタ(HPF1〜HPF4)に通し、オフセット電圧や低周波ノイズを除去する。その信号波形を図25e、25fに示す。さらに、コンデンサC5〜C6と抵抗R9〜R10で構成されたローパスフィルタにより高周波ノイズを除去する。そのオペアンプ5,6の信号波形を図25g、25hに示す。ノイズ除去されたこれらの信号は差動増幅回路109でさらに引き算され、その出力は、
(出力)=(V1−V2)−(V3−V4)
となる。その信号波形を図25iに示す。この結果は予め設定されたしきい値と比較回路110で比較され、ノイズ除去のための積分回路112を通った後、出力回路113より出力される。この比較回路110、積分回路112及び出力回路113の具体例については、後述する。
上記構成において、検出物体がない場合、2分割PD131,132には自然散乱光に照らされた背景の像がレンズ116,117を通して映っている。背景にコントラストがない場合、PD1とPD2への入射光量、DP3とPD4への入射光量はそれぞれ等しくなり、差動増幅回路109の出力は0となるが、背景にコントラストがあれば、PD1とPD2への入射光量、PD3とPD4への入射光量はそれぞれ異なり、差動増幅回路109の出力は0とならず、しかも、背景と検出物体15の反射率の関係によっては差動増幅回路109の出力は正、負両方の値を取る。そのため、感度設定回路95により検出物体15のない場合の出力V0が、しきい値Vth1とVth2(図25i参照)の中心になるように設定する。感度設定の方法は、可変抵抗により設定する場合、又は、差動出力V0をA/D変換し、マイコンにより設定する場合などがある。また、感度設定を行うところは検知装置の内外を問わない。
ここで、背景と同等以上の反射率の高い検出物体が受光視野1、4内にある場合は、検出物体からの反射光が背景からの反射光よりも大きくなるため、PD上では検出物体の像が映っている部分の光強度Pは大きく、背景が映っている部分の光強度Pは小さくなる。よって、
(V1−V2)>0、(V3−V4)<0となり、
差動増幅回路109の出力はVth1以上となり、初期状態とは異なるため、この違いを検知することで物体の侵入を検出できる。
また、背景と同等以下の反射率の低い検出物体が受光視野1、4内にある場合は、検出物体からの反射光が背景からの反射光よりも小さくなるため、PD上では検出物体の像が映っている部分の光強度Pは小さく、背景が映っている部分の光強度Pは大きくなる。よって、
(V1−V2)<0、(V3−V4)>0となり、
差動増幅回路109の出力はVth2以下となり、初期状態とは異なるため、この違いを検知することで物体の侵入を検出できる。
このように本実施例の検知装置によれば、自ら光を発せず、自然散乱光を光源として動作し、受光視野に初期状態には存在していなかった物体が侵入すると、2分割PDへの入光量のバランスが崩れ、その変化量を検出して、検出物体の有無を検出するため、低消費電流化を容易に図れる。また、受光視野1、2、3、4のいずれかに変化があれば検知信号が出力されるため、受光器が1個の場合に比べて、受光視野は広く取れ、大きな物体の検出をも可能となり、また、各PDの光量変化量を足し合わせることになるため、感度も2倍となる。
さらに、上記の比較回路110、積分回路112、出力回路113の具体例を図26に示す。これらの回路は、差動増幅回路109のパルス信号出力から、より確かな2値出力を得るための積分方式による判断部を構成する。比較回路110の入力端の可変抵抗VRは上記感度調整回路95に相当し、しきい値(ON/OFFレベル)を変えることができる。出力回路113の実質内容は比較回路113aである。図27a〜図27dは動作のタイムチャートである。作動増幅回路109の出力がしきい値ONレベルを越えると、比較回路110のCOM3の出力がLとなる。このとき、INV1により、積分回路112のトランジスタTR5はON状態で、コンデンサC2は電流I′により充電される。差動増幅回路109の出力がしきい値OFFレベルを下回ると、COM3の出力がHとなる。このとき、INV1により、トランジスタTR5はOFF状態で、コンデンサC2の充電電荷は抵抗R13を通して所定の時定数(C2×R13)で放電される。
上記構成を採用することにより、差動増幅回路109の出力が連続してONレベルを所定回数越えたときに、比較回路113aの出力が変化する。積分回路112の充放電は緩やかであるので、信号期間中に外乱があって、差動増幅回路109の出力が一時的に比較回路110のONレベルを下回るようなことがあっても、比較回路113aの出力はONが保持される。このように、信号は各パルス毎に2値化して扱われるため、パルス幅が小さくて波高の大きなインパルスノイズには反応せず、それによる誤動作はなくなる。なお、上記の図24に示した実施例は、一般の信号処理回路で発生するオフセットや低周波ノイズの影響を除去するための技術として知られているチョッパ型増幅器を導入したものと一見似ているが、チョッパ型増幅器は出力側に直流化のための平滑部を有するのに対して、本実施例では平滑部を用いず、上記の図26のような2値出力を得るための比較回路を含む判断部を用いている点で相違する。このため、本実施例では、上記のようにインパルスノイズによる誤動作防止という特有の効果が得られる。
次に、上記積分方式の判断部の変形例を図28に示す。その動作のタイムチャートを図29a〜図29eに示す。比較回路110のCOM1の出力がL、パルス信号SGがHのとき、トランジスタTR1はON状態で、AND1はLレベルであるので、トランジスタTR4はOFF状態にあり、従って、コンデンサC1は電流I′により充電される。COM1の出力がH、パルス信号SGがHのとき、トランジスタTR1はOFF状態で、AND1はHレベルであるので、トランジスタTR4はON状態にあり、従って、コンデンサC1の充電電荷はトランジスタTR4を介して一気に放電されるようになっている。
比較回路110は、差動増幅回路109の出力が予め設定されたしきい値ONレベルを上回っていれば、Lレベルを出力し、予め設定されたしきい値OFFレベルを下回っていればHレベルを出力する。積分回路112は、比較回路110の出力信号がLレベルのとき充電され、コンデンサC1の充電電位は0[V]からVaとなり(図29cの▲1▼点)、その後、所定の時定数(C1×R5)にて放電され、次の入力信号までに充電電位はVaからVb(Vb>0)となり(図29cの▲2▼点)、次の入力でVbからVa+Vbとなり(図29cの▲3▼点)、比較回路110の出力がHレベルならば積分回路112は充電され続ける。一方、比較回路110の出力がLレベルならば(図29cの▲4▼点)、積分回路112は一気に放電され、0[V]となる。比較回路113aは積分回路112の出力信号が予め設定されたしきい値ONレベルを上回っていれば、Hレベルを出力し、物体等の存在を検出する。
このような判断部を持つことにより、図29a〜図29eに示したように、信号期間中でない時で信号と接近して外乱があって、差動増幅回路109の出力が一時的に比較回路110のONレベルを上回るようなことがあっても、比較回路113aの出力がONすることはなく、正確な2値出力が得られる。換言すれば、図28の構成を採用することで、所定以上の大きさの信号が所定期間あれば出力をONするといった処理が、該所定期間の直前の信号の履歴に影響されることなく行え、また、出力をON,OFFする条件を独立に設定できるという利点がある。
判断部のさらに他の例を図30に示す。この判断部は、パルスカウント方式であり、比較回路110と判断部96(ディジタルフィルタとして機能する)とから構成される。その動作のタイムチャートを図31a〜図31lに示す。比較回路110は、差動増幅回路109の出力がONレベルTh(OH)=R2×(I1+I2)を上回る入力があると、COM1の出力はHレベルとなる。差動増幅回路109の出力がOFFレベルTh(OFF)=R2×I1を下回る入力があると、COM1の出力はLレベルとなる。
判別部96において、R−Sラッチ1は、COM1の出力信号がHのとき、Q0=Hとなる。そして、Q0はRST信号(図31c)によりリセットされ、Lレベルとなり、次の入力信号を待つ。COM1の出力信号がLのとき、Q0=Lとなり、そして、RSTによりリセットされ、Lレベルを持続する。D−FF1〜3は、クロックCKの立ち上がりのタイミングのとき、D入力がHレベルならQ=H、D入力がLレベルならQ=Lとなる。AND1は、Q1〜Q3のANDを出力するので、Q1〜Q3が全てHレベル、つまり、図31aの▲1▼▲2▼▲3▼のように、所定回数、ここでは3回連続してCOM1のスレッシュレベルを上回る信号が入力されたとき、AND1の出力はHレベルに変化する。AND2は、反転Q1〜反転Q3のANDを出力するので、反転Q1〜反転Q3が全てHレベル、つまり全く入力がないとき、Hレベルとなるのに対して、1回でも入力があれば、Lレベルとなり、少なくとも3周期分はLレベルとなる。R−Sラッチ2は、AND1がHレベル、つまり3回連続入力信号があると、Q4=Hとして出力し、また、反転Q4により、COM1のスレッシュレベルがTh(ON)からTh(OFF)となる。この例においても、図28の場合と同様の利点が得られる。
(2) 第2実施例
以下、第2実施例を図面を参照して説明する。第2実施例においては、第1実施例の検知装置を始め、他の用途にも使用可能なパッシブ型検知装置を説明する。図32はパッシブ型の検知装置の基本構成を示す図である。図32を参照して、パッシブ型検知装置200は、検出素子211と、検出素子スイッチング信号SGをうけるアナログスイッチ212と、I/V変換器213と、ハイパスフィルタ214と、アンプ215とローパスフィルタ216と判断部217とを含む。検出素子211により検出対象の物理量が検出され、その検出出力はアナログスイッチ212により周期的に断続されてパルス信号とされ、I/V変換器213により電流から電圧に変換され、ハイパスフィルタ214、アンプ215、ローパスフィルタ216を通して信号処理され、判断部217に与えられる。判断部217は各パルス信号から検出対象の状態を2値出力する。なお、ハイパスフィルタ214とローパスフィルタ216は、アナログスイッチ212のスイッチング周波数を含む帯域の信号は通過させ、信号処理の回路で発生するオフセットや外来の低周波ノイズや高周波ノイズをカットする。
以下このパッシブ型検知装置を具体化した光検出器について説明する。
(2a) 実施例2a
実施例2aによる光検出器の構成を図22に示し、そのタイムチャートを図34a〜図34hに示す。検出部220は、検出素子211としての2つの受光素子(フォトダイオード:PD1,PD2)と2つのレンズ201,202で構成されており、それぞれ受光視野1と受光視野2を構成している。これらの視野は互いに分離されており、自然散乱光(太陽光、蛍光灯などの光)が照射されている。また、I/V変換器213a,213b、差動増幅器215、フィルタ回路214,16などの受光回路や、判断部217を構成する比較回路218、判別部219への電源(Vs、Vr)の供給は、スイッチング信号PG(周期:T、デューティ比tp/T)によるアナログスイッチ212c,212dのスイッチング(図34c)で断続的に行い、回路の低消費電流化を図っている。
また、PD1とPD2は入射光に応じた光電流を出力し、その光電流をアナログスイッチ212a,212bによりスイッチング信号SG(周期:T、デューティ比ts/T、PGに同期)でスイッチングする(図34b)。スイッチングされた光電流はそれぞれI/V変換器213a,213bで電圧に変換される。直流成分の支配的なPD1とPD2の受光信号には交流電源の低周波ノイズやI/V変換器213a,213bのオペアンプにより生じるオフセット電圧が含まれるが、これらのノイズ除去を行うため、上記のようにスイッチングすることにより、受光信号に高周波成分をもたせ(図34d)、後段のハイパスフィルタHPF214a,214bにより低周波ノイズを除去する(図34e、34f)。このとき、このハイパスフィルタのカットオフ周波数はスイッチング信号SGよりも低く、スイッチング信号PGよりも高く設定することで、オフセット電圧や電源低周波ノイズの除去が可能となり、受光信号のみ取り出せる。
低周波ノイズが除去された2つの受光信号(V1,V2)は、差動増幅器215で差動増幅され、(V1−V2)が得られる(図34g)。その後、ハイパスフィルタHPF214cにより再び、低周波ノイズを除去し、ローパスフィルタLPF216により高周波ノイズを除去し、その信号は図34hに示すものとなる。この信号は予め設定されたしきい値と比較回路218で比較される。ローパスフィルタのカットオフ周波数は、スイッチング信号SG、スイッチング信号PGよりも高い。
ここで、受光視野1のみに人又は物体が侵入すれば、PD1にはPD2よりも多くの光が入射し、(V1−V2)が大きくなる。この(V1−V2)がしきい値を上回ると、比較回路218はオン信号を出力し、その結果に基づいて判別部219は、ノイズ分を除去して人や物体の存在を知らせる信号を出力する。このようにパッシブ形の光検知装置においては、光学素子のスイッチングと、後段のフィルタ回路によりノイズ除去を行うことで、簡易かつ確実に高いS/N比の受光信号を取り出すことが可能となる。
(2b) 実施例2b
次に、スイッチ段のオン・オフの周期及びデューティ比を可変にした実施例2bについて、図35aないし図37を参照して説明する。図35aはスイッチング信号SGを生成する周期/デューティ比可変回路の構成例を示し、図35bはそのタイムチャートを示す。同回路は、電流源231と、それにより充電されるコンデンサC0と、スイッチング信号SGを出力するコンパレータCOM1等からなり、電流源231の電流Iで充電されるコンデンサC0の電位vは、COM1の負入力端子電位となる。COM1がONするしきい値をV1、OFFするしきい値をV2とすると、いま、電位vがV2とV1の間にあれば、COM1の出力はHであり、スイッチング信号SGはHである。このとき、トランジスタTR1はON、トランジスタTR2はOFFである。この時間は充電時間t1となる。
電位vがコンデンサC0の充電により上昇してV1に達すると、COM1の出力はLとなり、スイッチング信号SGはLとなる。このとき、トランジスタTR1はOFF、トランジスタTR2はONとなる。トランジスタTR2がONすると、コンデンサC0に充電された電荷は、抵抗R5を通って時定数(C0×R5)で放電される。コンデンサC0の電位vはV2に達するまで徐々に低下する。この時間が放電時間t2となる。電位vがV2に達すると、先のようにCOM1の出力はHとなり、スイッチング信号SGはHとなる。このようにして、スイッチング信号SGはコンデンサC0の充電時間t1の間、Hとなり、コンデンサC20の放電時間t2の間、Lとなり、これを繰り返し、発振を行う。電圧V1,V2、電流I、充電時間t1は、次式で表せる。
V1=R2/(R2+R1//R3)
V2=(R2//R3)/(R1+R2//R3)
I={Vs−Vbe(TR4)}/R6
t1=C0×(V1−V2)/I
なお、R1//R3などは、抵抗R1と抵抗R3との並列抵抗を、Vbe(TR4)はトランジスタTR4のベース−エミッタ電位を意味する。Vsは電源電圧である。
ところで、図35aでは、電流源231の電流値Iは可変抵抗R26の値により変更できることを示している。式(1)(2)では、コンデンサC20への充電時間t1は電流Iにより変更できることを示している。よって、スイッチング信号SGの周期(t1+t2)、及び、パルスデューティ比t1/(t1+t2)は可変抵抗R6の値により変更できる。
図36は実施例2bによる検知装置の構成を示し、パルス信号SGとハイパスフィルタHPF214のフィルタ周波数とを連動可変としたものである。スイッチング信号SGには、図35aの回路の出力を用いればよい。フィルタ周波数を可変とするために、電流源231とCOM1〜3、アナログスイッチ212b〜212d、コンデンサC1に並列的に接続されるコンデンサC2,C3,C4を用いている。COM1〜3の入力電圧V0は可変抵抗R6の値により変更できる。HPF214のカットオフ周波数fは、コンデンサC1〜C4の並列容量Ciと抵抗R8によって、また、COM1〜3の負入力電圧となるV0は、次のように表せる。
f=1/2πR8Ci
V0=I×R11
図37は、回路各部の状態とコンデンサC1〜C4の並列容量Ciとの関係を示している。HPF214のカットオフ周波数fは、電圧V0に応じて制御されるアナログスイッチ212b〜212dのON/OFF制御によってコンデンサC1〜C4の接続状態が決まり、それにより並列容量Ciの値が変わることで、変更することができる。例えば、可変抵抗R6を大きくすれば、電流Iは小さくなり、充電時間t1は長くなり、スイッチング信号SGの周波数は小さくなる。また、電圧V0は小さくなり、並列容量Ciは大きくなり、HPF214のカットオフ周波数fもスイッチング信号SGの周波数と連動して小さくなる。他方、抵抗R6を小さくすれば、電流Iは大きくなり、充電時間t1は短くなり、スイッチング信号SGの周波数は大きくなる。また、電圧V0は大きくなり、並列容量Ciは小さくなり、HPF214のカットオフ周波数fもスイッチング信号SGの周波数と連動して大きくなる。
このように本実施例では、スイッチング信号SGの周期、及びデューティ比を自在に変更できる構成であるため、使用環境の外来ノイズと異なる周波数に設定することで、外来ノイズを確実に除去でき、それによる誤動作を防止できる。
さらに、上記の判断部を構成する比較回路218、判別部219の具体例を図38に示す。これらの回路は、LPF216のパルス信号出力から、より確かな2値出力を得るための積分方式による判断部を構成する。比較回路218の入力端の可変抵抗VRは感度調整回路に相当し、しきい値(ON/OFFレベル)を変えることができる。判別部219は、積分回路219aと比較回路219bからなる。図39a〜図39dは動作のタイムチャートである。LPF216の出力がしきい値ONレベルを越えると、比較回路218のCOM3の出力がLとなる。このとき、INV1により、積分回路219aのトランジスタTR5はON状態で、コンデンサC2は電流I′により充電される。LPF216の出力がしきい値OFFレベルを下回ると、COM3の出力がHとなる。このとき、INV1により、トランジスタTR5はOFF状態で、コンデンサC2の充電電荷は抵抗R13を通して所定の時定数(C2×R13)で放電される。
上記構成を採用することにより、LPF216の出力が連続してONレベルを所定回数越えたときに、比較回路219bの出力が変化する。積分回路219aの充放電は緩やかであるので、信号期間中に外乱があって、LPF216の出力が一時的に比較回路218のONレベルを下回るようなことがあっても、比較回路219bの出力はONが保持される。このように、信号は各パルス毎に2値化して扱われるため、パルス幅が小さくて波高の大きなインパルスノイズには反応せず、それによる誤動作はなくなる。なお、上記の図36に示した実施例は、先の実施例と同様に一般の信号処理回路で発生するオフセットや低周波ノイズの影響を除去するための技術として知られているチョッパ型増幅器を導入したものと一見似ているが、チョッパ型増幅器は出力側に直流化のための平滑部を有するのに対して、本実施例では平滑部を用いず、上記の図38のような2値出力を得るための比較回路を含む判断部を用いている点で相違する。このため、本実施例では、上記のようにインパルスノイズによる誤動作防止という特有の効果が得られる。
次に、上記積分方式の判断部の変形例を図40に示す。その動作のタイムチャートを図41a〜図41eに示す。比較回路218のCOM1の出力がL、スイッチング信号SGがHのとき、トランジスタTR1はON状態で、AND1はLレベルであるので、トランジスタTR4はOFF状態にあり、従って、コンデンサC1は電流I′により充電される。COM1の出力がH、スイッチング信号SGがHのとき、トランジスタTR1はOFF状態で、AND1はHレベルであるので、トランジスタTR4はON状態にあり、従って、コンデンサC1の充電電荷はトランジスタTR4を介して一気に放電されるようになっている。
比較回路218は、LPF216の出力が予め設定されたしきい値ONレベルを上回っていれば、Lレベルを出力し、予め設定されたしきい値OFFレベルを下回っていればHレベルを出力する。積分回路219aは、比較回路218の出力信号がLレベルのとき充電され、コンデンサC1の充電電位は0[V]からVaとなり(図41cの▲1▼点)、その後、所定の時定数(C1×R5)にて放電され、次の入力信号までに充電電位はVaからVb(Vb>0)となり(図41cの▲2▼点)、次の入力でVbからVa+Vbとなり(図41cの▲3▼点)、比較回路218の出力がHレベルならば積分回路219aは充電され続ける。一方、比較回路218の出力がLレベルならば(図41cの▲4▼点)、積分回路219aは一気に放電され、0[V]となる。比較回路219bは積分回路219aの出力信号が予め設定されたしきい値ONレベルを上回っていれば、Hレベルを出力し、物体等の存在を検出する。
このような判断部を持つことにより、図41に示したように、信号期間中でない時で信号と接近して外乱があって、LPF216の出力が一時的に比較回路218のONレベルを上回るようなことがあっても、比較回路219bの出力がONすることはなく、正確な2値出力が得られる。換言すれば、図40の構成を採用することで、所定以上の大きさの信号が所定期間あれば出力をONするといった処理が、該所定期間の直前の信号の履歴に影響されることなく行え、また、出力をON,OFFする条件を独立に設定できるという利点がある。
判断部のさらに他の例を図42に示す。この判断部は、パルスカウント方式であり、比較回路218と判別部219(これはディジタルフィルタとして機能する)とから構成される。その動作のタイムチャートを図43a〜図43lに示す。比較回路218は、LPF216の出力がONレベルTh(ON)=R2×(I1+I2)を上回る入力があると、COM1の出力はHレベルとなる。LPF216の出力がOFFレベルTh(OFF)=R2×I1を下回る入力があると、COM1の出力はLレベルとなる。
判別部219において、R−Sラッチ1は、COM1の出力信号がHのとき、Q0=Hとなる。そして、Q0はRST信号(図43c)によりリセットされ、Lレベルとなり、次の入力信号を待つ。COM1の出力信号がLのとき、Q0=Lとなり、そして、RSTによりリセットされ、Lレベルを持続する。D−FF1〜3は、クロックCKの立ち上がりのタイミングのとき、D入力がHレベルならQ=H、D入力がLレベルならQ=Lとなる。AND1は、Q1〜Q3のANDを出力するので、Q1〜Q3が全てHレベル、つまり、図43aの▲1▼▲2▼▲3▼のように、所定回数、ここでは3回連続してCOM1のスレッシュレベルを上回る信号が入力されたとき、AND1の出力はHレベルに変化する。AND2は、反転Q1〜反転Q3のANDを出力するので、反転Q1〜反転Q3が全てHレベル、つまり全く入力がないとき、Hレベルとなるのに対して、1回でも入力があれば、Lレベルとなり、少なくとも3周期分はLレベルとなる。R−Sラッチ2は、AND1がHレベル、つまり3回連続入力信号があると、Q4=Hとして出力し、また、反転Q4により、COM1のスレッシュレベルがTh(ON)からTh(OFF)となる。この例においても、図40の場合と同様の利点が得られる。
(2c) 参考例2c
本発明の参考例2cによる赤外線検出器の構成を図44に示す。検出部220の赤外線検出素子であるサーモパイル211aは、赤外線光量に応じた起電力が得られる素子である。検知エリア内に人が侵入すると、人から放射される赤外線はサーモパイル211aで検出され、バッファを介しアナログスイッチ212でスイッチング信号SG(周波数f)にてスイッチングされる。スイッチングされた信号は、カットオフ周波数がスイッチング周波数fより低いHPF214を通過し、アンプ215で増幅される。増幅された信号は、カットオフ周波数がスイッチング周波数fより高いLPF216を通過し、しきい値を上回れば比較回路218はON信号を出力し、判別部219で人の侵入及び存在があるかが判断され、出力される。
(2d) 参考例2d
本発明の参考例2dによる温度検出器の検出部の構成を図45に示す。検出部より後段の構成は図36と同様でよい。図中に示した温度検出素子の温度サーミスタRthは温度に応じて抵抗値が変化する素子である。その変化は、電圧値V0として検出され、温度の制御などに使用する。検出結果は2値化して出力されるので、それを用いてヒータのオン・オフ制御を行うことができる。また、温度検出器としては、熱電対等を用いてもよい。なお、温度サーミスタRthと抵抗Rとの接続点の出力電圧V0は、次式で表せる。但し、Vsで電源電圧である。
V0={R/(Rth+R)}Vs
(2e) 参考例2e
本発明の参考例2eによる圧力検出器の構成を図46a,46bに、等価回路を図46cに、その信号処理部を図46dに、そのタイムチャートを図47a〜図47hに示す。この検出器は、流体の圧力制御などに使用する。圧力検出素子は、図46a,46bに示すように、Si単結晶基板221上に感圧ダイヤフラム222が設けられ、ひずみゲージ(拡散抵抗)R1,R2,R3,R4が配置された構成である。ひずみゲージの圧力によるひずみは、半径方向のゲージR1,R3の変化率のほうが円周方向のゲージR2,R4の変化率より大きい。この差は、図46cの等価回路に示すホイーストンブリッジで検出され、図46dに示す信号処理部で処理され、出力される。この等価回路の出力電圧V0は、次式で表せる。
V0=(V1−V2)
={R4/(R1+R4)−R3/(R2+R3)}V1
検出部に圧力が加えられたとき、上記のように抵抗値が変化して、V1の電位は降下し(図47c)、逆に、V2の電位は上昇(図47d)する。そして、V1はアナログスイッチ212aで、V2はアナログスイッチ212bでそれぞれスイッチング信号SGでスイッチングされた後、HPF241,242で低周波ノイズをカットされる(図47e、47f)。その後、差動増幅器215で増幅され(図47g)、そして、LPF216で高周波ノイズは除去される(図47h)。検知信号がしきい値を上回れば、比較回路218はON信号を出力し、判別部219にて圧力が設定値より高いか低いかが判断され、出力される。この圧力検出器は、都市ガスの弁開放による異常減圧の検出等に適用可能である。
(2f) 参考例2f
本発明の参考例2fによる湿度センサの検出部の構成を図48に示す。検出部より後段の構成は図46dと同様でよい。この検出器は、空調器の制御などに使用できる。検知センサ素子225(R1)は検出対象空気中に配置され、補償センサ素子226(R4)は乾燥空気中に配置される。これらの素子225,226は湿度に応じて抵抗値が変化する素子で、他の抵抗R2,R3と共にブリッジ接続され、湿度に応じた抵抗値の変化は、検出端に電圧値V0に変換され、出力される。この湿度センサの出力は加湿器のオン・オフ制御に使用することができる。また、この湿度検出素子を混合ガスの混合比に応じて抵抗値が変化する素子に置き換えたものがガスセンサであり、混合ガスの制御やガス漏れ検知などに使用する。この場合、検知センサ素子225(R1)は検出対象ガス中に、補償センサ素子226(R4)は基準ガス中に配置される。抵抗値の変化量は電圧値V0に変換された後、検出される。このガスセンサは、都市ガス漏れセンサとして使用できる。
(2g) 実施例2g
本発明の実施例2gによる構成を図49に示す。この例は、検出素子211による検出信号をスイッチングするためのスイッチ212aを、FET(電界効果トランジスタ)で構成したものである。この構成によれば、高速でスイッチングが可能となり、漏れ電流がほとんどないので、微小量の検出が可能となる。また、FETは電圧制御のため低消費電力化が図れる。
(2h) 実施例2h
本発明の実施例2hによる構成を図50に示す。この例は、検出素子211による検出信号をスイッチングするスイッチ212bを、バイポーラトランジスタで構成したものである。この構成によれば、スイッチングによるスパイクノイズが小さいという効果がある。
(3) 第3実施例
以下、本発明の第3実施例を図面を参照して説明する。
(3a) 実施例3a
図51は実施例3aによる検知器のブロック図であり、図52a〜図52iはこの検知器の動作を示すタイムチャートである。検知器301は、検知器301の置かれる場所の自然散乱光(たとえば照明装置、太陽光)の背景14や検出物体15による反射光を受光することにより、検出物体の有無検知等を行なうパッシブ方式の検知器である。検知器301は、受光部としての受光用レンズ303と、この受光用レンズ303の背後に設けられた2分割フォトダイオード3,02(受光素子、以下、PD1,PD2と略す)により構成され、第1および第2の受光視野を構成している。なお図51には検出物体15が2つの受光視野内の一方(視野2)に侵入した状態を示している。
通常は、背景(例えば白色一面)14からの反射光がレンズ303を通してPD1、PD2に入射されている。PD1,PD2に入射した光は、ここで光−電流変換され、PD1からの検出電流I1、及びPD2からの検出電流I2は、スイッチSW1,SW2で断続的に受光回路308に送られる。このスイッチSW1,SW2は、発振回路307より供給される発振パルス信号SG1,SG2のクロックで交互にスイッチングされるようになっており、これにより、スイッチSW1,SW2を通過する電流I1,I2のタイミングは非同期で時分割となる。検出電流I1,I2は受光回路308で電圧に変換された後、増幅回路309で増幅され、検出電圧V1,V2となる。この電圧V1,V2はS/H回路310で発振回路307のサンプルホールド信号SHのタイミングでサンプリングされた後、A/D変換回路311でデジタル信号に変換され、それぞれ出力D1,D2となる。これら出力D1,D2は演算部312で差演算(D1−D2)され、演算結果D2を得る。この演算結果D2の上下にあるレベルに差を付けたしきい値(VT1,VT2)がしきい値設定回路314に設定される。
いま、検出物体(黒色一面)15が視野2に侵入すると、PD2への入光量が減少し、D2が小さくなる。この時の演算部による演算結果Dは先のDよりも大きくなる。これが上記しきい値(VT1,VT2)と比較回路316において比較され、図52のごとく、出力DがVT1を上回る、又はVT2を下回ると、比較回路316よりON信号が出力される。このON信号はノイズを除去するために積分回路317を通った後、出力回路318から検知器301外部にON/OFF信号として出力される。なお、積分回路317は、比較回路316出力のON信号が連続して3個以上になればON信号を出力し、比較回路316出力のOFF信号が連続して3個以上になれば、OFF信号を出力するものとなっている。
このように、2系統の検出信号(I1,I2)を交互にスイッチングし、各検出信号をペアとして、1系統の信号処理回路で処理するようにしたことにより、従来のセンサと比べて、受光出力数と同数の受光回路、増幅回路、S/H回路、A/D変換回路等が不要となるので、信号処理回路の規模の縮小を図ることができ、回路部品の削減、消費電流の低減、外形の縮小、コストの削減、製造不良率の低減等を図ることができる。また、回路構成を簡略化することにより、複数の回路の特性のマッチングを図る必要がなくなるので、高精度の部品が要求されることもない。また、この構成においては、投光電流が不要なパッシブ方式で検出を行うので、低消費電流化を図ることができる。また、この低消費電流化により、バッテリ駆動時においてはバッテリの長寿命化を図ることができる。
(3b) 実施例3b
図53は実施例3bに係る検知器のブロック図である。この検知器320は上述の図51に示した検知器301において、PD1,PD2と受光回路308間に備えられていたスイッチSW1,SW2を、増幅回路309とS/H回路310の間に備えるようにしたものである。PD1,PD2からの検出電流I1,I2はそれぞれの受光回路308a,308bで電圧に変換され、増幅回路309a,309bで増幅された後、スイッチSW1,SW2で信号SG1,SG2のクロックにあわせて交互にスイッチングされ、電圧V1,V2となる。このように、スイッチングを増幅回路309a,309bにおいて検出信号を増幅した後に行うようにしたことにより、インピーダンスの高いライン(微小信号ライン)にスイッチング素子を入れずにすむので、受光信号に重畳するスイッチングノイズを低減することができる。
(3c) 実施例3c
図54は実施例3cに係る検知器のスイッチ近傍の構成図である。本実施例3cはスイッチSWを電界効果トランジスタ(以下、FETという)で構成したものである。これにより、高速でのスイッチングが可能となり、また、漏れ電流がほとんどなくなるので、微小な検出電流の変化をとらえることができ、より正確な物体の有無検出が可能となる。さらに、FETは電圧で制御されるものであるので、より一層、消費電流を抑えることができる。
(3d) 実施例3d
図55は本実施例3dに係る検知器のスイッチSW近傍の構成図である。本実施例はスイッチSWをバイポーラトランジスタで構成したものである。バイポーラトランジスタはスイッチングによるスパイクノイズが小さいので、微小な検出電流の変化をとらえることができ、より正確な物体の有無検出が可能となる。
(3e) 実施例3e
図56は本実施例3eに係る検知器321のブロック図、図57a〜図57mはこの検知器の動作のタイムチャートである。この検知器321は、上述の図51に示した検知器301において、スイッチSW2を、信号SG2と第2の比較回路322の出力信号のANDでスイッチングされるようにしたものである。PD1,PD2で受光された光は検出電流I1,I2に変換され、この電流I1,I2は上述の実施例3aと同様、受光回路308、増幅回路309、S/H回路310、A/D変換回路311を通り、出力D1,D2になる。ここで、出力D1は、第2の比較回路322に入力され、この出力D1の値がサンプリングデータの前後で異っていると、比較回路322からON信号が出力される。この出力信号と信号SG2のANDによりスイッチSW2はスイッチングされる。一方、出力D2はデータ保持回路323で第2の比較回路322のON信号による解除信号が入力されるまで、前回のデータを出力し続け、第2の比較回路322のON信号による解除信号が入力されると、データ保持回路323に保持されたデータは更新される。この出力D2と出力D1は演算部312において差動演算され、演算結果Dが得られる。演算結果Dは、比較回路316で予め設定されたしきい値VT1,VT2と比較される。比較回路316は、演算回路DがVT1を上回るか、VT2を下回ることでON信号を出力する。このON信号が連続して3個以上になれば、積分回路317より2値化されたON信号が得られ、この信号は出力回路318より出力され、検知器321外部に受光視野内への検出物体15の侵入を知らせる。
このように、片側の経路(SW1)の信号(I1)をモニタし、それに変化があれば、もう一方の経路(SW2)を動作させるような構成としているので、上述の検知器301と比して、消費電流をより低減させることができる。また、パッシブ方式で得られた2系統の検出信号(I1,I2)を1系統の受光回路を含む信号処理回路で処理するので、信号処理回路の規模を縮小することができ、上述の第1の実施例と同様の作用効果を得ることができる。
(3f) 実施例3f
図58は実施例3fに係る検知器326のブロック図、図59a〜図59iはこの検知器の動作のタイムチャートである。この検知器326は、上述の図51に示した検知器301に変調回路328を加えたものである。この変調回路328は、発振回路327より供給されるsg1,sg2,sh,a/dの各正弦波をパルス時間変調し、SG1,SG2,SH,A/Dのパルス信号に変換するものである。
PD1,PD2に入射した光は、ここで光−電流変換され、PD1からの検出電流I1、及びPD2からの検出電流I2は、スイッチSW1,SW2で断続的に受光回路308に送られる。このスイッチSW1,SW2は、発振回路307より供給される発振パルス信号SG1,SG2のクロックで交互にスイッチングされるようになっており、これにより、スイッチSW1,SW2を通過する電流I31,I32のタイミングは非同期で時分割となる。検出電流I1,I2は受光回路308で電圧に変換された後、増幅回路309で増幅され、検出電圧V1,V2となる。この電圧V1,V2はS/H回路310で発振回路307のサンプルホールド信号SHのタイミングでサンプリングされた後、A/D変換回路311でデジタル信号に変換され、それぞれ出力D1,D2となる。これら出力D1,D2は演算部312で差演算(D1−D2)され、演算結果Dを得る。この値Dが、比較回路316でしきい値VTと比較され、VTを上回るとON信号が出力される。このON信号が連続して3個以上になれば、積分回路317より2値化されたON信号が得られ、この信号は出力回路318より出力され、検出器326外部に検出物体2の侵入を知らせる。
このように、パッシブ方式で得られた2系統の検出信号I1,I2を交互にスイッチングし、各検出信号をペアとしてサンプルホールドすることにより、データの保持を行い、1系統の受光回路を含む信号処理回路で処理するので、信号処理回路の規模を縮小することができ、上述の実施例3aと同様の作用効果を得ることができる。加えて、検出信号のスイッチングを行うクロック信号をパルス時間変調し、その信号と同期をとり、信号処理することで、周期的な検出対象と異なる物理量的なノイズや電気的なノイズを除去することができるので、高S/Nの検出信号を得ることができる。これにより、より微小な検出電流の変化を取り扱うことができるので、より正確な物体の有無検出が可能となる。
(3g) 実施例3g
図60は実施例3gによる検知器のブロック図、図61a〜図61iはこの検知器のタイムチャートである。この検知器330は、上述の図51に示した検知器301に、信号処理回路への電流供給のタイミングを制御するためのスイッチSW3を加えたものである。このスイッチSW3は発振回路307より供給される信号SG1,SG2とそれぞれ同期している信号AGによりスイッチングされる。これにより、電源の供給は図61のタイムチャートに示されるように、信号SG1,及び信号SG2のそれぞれに関わる信号処理に必要な時間だけ行われる。
このように、パッシブ方式で得られた2系統の検出信号I1,I2を交互にスイッチングし、各検出信号をペアとしてサンプルホールドすることにより、データの保持を行い、1系統の受光回路を含む信号処理回路で処理するので、信号処理回路の規模を縮小することができ、上述の実施例3aと同様の作用効果を得ることができる。加えて、各信号処理回路への電源の供給を信号処理に必要な時間だけ断続的に行うようにしたので、消費電流をより低減させることができる。また、信号SG1と信号SG2のそれぞれの発振パルス信号に応じて電源を供給しているため、電圧V1と電圧V2の信号がお互いに干渉しないように信号SG1と信号SG2のパルス間隔を広くとっても、低消費電流化の効果を維持したまま、過大入力検出信号に対応することができる。
(3h) 実施例3h
図62a〜図62jに実施例3hに係る検知器の動作のタイムチャートを示す。本実施例に係る検知器は上述の実施例3gによる検知器330と同じ構成である。スイッチSW3は発振回路より供給される信号SG1,SG2をペアの信号とし、このペアの信号に同期している信号AGによりスイッチングされる。これにより、電源の供給は、図62a〜図62jのタイムチャートに示されるように、信号SG1と信号SG2に同時にそれらに関わる信号処理に必要な時間だけ行われる。
このように、パッシブ方式で得られた2系統の検出信号I1,I2を交互にスイッチングし、各検出信号をペアとしてサンプルホールドすることにより、データの保持を行い、1系統の受光回路を含む信号処理回路で処理するので、信号処理回路の規模を縮小することができ、上述の第1の実施例と同様の作用効果を得ることができる。加えて、各信号処理回路への電力の供給を信号SG1と信号SG2の信号処理に必要な時間だけ行う構成としたので、信号SG1と信号SG2のパルス周期を長くすれば、電力供給時間がより短くなるので、より一層の低消費電流化を図ることが可能となる。
(3i) 実施例3i
図63は実施例3iによる検知器331のブロック図、図64はこの検知器のタイムチャートである。この検知器331は、上述の図60に示した検知器330において、スイッチSW3のスイッチングを発振回路307より供給される信号SG1,SG2により行うものである。このように、各回路への電源の供給と検出信号のスイッチングを同一の信号により行うことで、発振パルス信号を削減でき、発振回路7の構成を簡略化できるので、回路規模の縮小と消費電流の低減をより一層図ることが可能となる。
(3j) 実施例3j
図65は本実施例による検知器のブロック図、図66a〜図66jはこの検知器のタイムチャートである。この検知器332は上述の図51に示した検知器301において、PD1,PD2と受光回路308との間にスイッチSW4を加え、さらに、増幅回路309とS/H回路310との間に帯域通過フィルタ319を加えたものである。スイッチSW4は信号SG1,SG2とそれぞれに同期している信号FGによりスイッチングされるものである。
各PDからはPDへの入光パワーに応じた検出電流が出力され、PD1からは電流I1,PD2からは電流I2が出力される。この検出電流I1,I2はそれぞれスイッチSW1,SW2を通り、さらにスイッチSW4を通り、受光回路308に送られる。このスイッチSW304を制御する信号FGのパルス幅を、信号SG1,SG2のパルス幅よりも小さいものとしたので、検出電流I1,I2をチョッピングし高周波信号に変換することが可能となる。この検出電流I1,I2は受光回路308により電圧に変換され、増幅回路309で増幅され、電圧V1,V2となる。この電圧V1,V2を帯域通過フィルタ319に通すことにより、光源として蛍光灯を用いたときに発生する電源低周波ノイズや、受光素子PD1,PD2や受光回路308で発生する高周波ノイズなどのノイズを除去することができる。ノイズ除去された信号F1,F2はS/H回路310で発振回路307のサンプルホールド信号SHのタイミングでサンプリングされた後、A/D変換回路311でデジタル信号に変換され、それぞれ出力D1,D2となる。これら出力D1,D2は演算部312で差演算(D1−D2)され、演算結果Dを得る。この値Dが、比較回路316でしきい値VTと比較され、VTを上回るとON信号が出力される。このON信号が連続して3個以上になれば、積分回路317より2値化されたON信号が得られ、この信号は出力回路318から出力され、検出器332外部に検出物体15の侵入を知らせる。
このように、本実施例の検知器332によれば、パッシブ方式で得られた2系統の検出信号I1,I2を交互にスイッチングし、各検出信号をペアとしてサンプルホールドすることにより、データの保持を行い、1系統の受光回路を含む信号処理回路で処理するので、信号処理回路の規模を縮小することができ、上述の実施例3aと同様の作用効果を得ることができる。加えて、検出信号をチョッピングし、高周波信号に変換し、さらにフィルタ319でノイズ除去することで、光学的なノイズや、電気的なノイズを除去することができるため、高S/Nの検出信号が得られる。これにより、より微小な検出信号の変化を取り扱うことができるので、より正確な物体の有無検出が可能となる。
(3k) 実施例3k
図67は実施例3kによる検知器333のブロック図、図68a〜図68jはこの検知器のタイムチャートである。本実施例に係る検知器333は、スイッチSW1,SW2のスイッチング時において検出信号を高周波信号に変換するようにしたものである。すなわち、PD1からの電流I1、及びPD2からの電流I2は、スイッチSW1,SW2により信号SG1,SG2のクロックで交互にスイッチングされる。これらの検出電流I1,I2には、光源として蛍光灯を用いたときに発生する電源低周波ノイズが含まれている。それらを除去するために、スイッチSW1,SW32のスイッチング時に低周波ノイズと分離される高周波信号への変換も行い、その後、帯域通過フィルタ319に通す。
このように、パッシブ方式で得られた2系統の検出信号I1,I2を交互にスイッチングし、各検出信号をペアとしてサンプルホールドすることにより、データの保持を行い、1系統の受光回路を含む信号処理回路で処理するので、信号処理回路の規模を縮小することができ、上述の実施例3aと同様の作用効果を得ることができる。加えて、時間の規正と波形の整形を同時に行うことにより、波形整形のための専用のスイッチングゲートとそれに与える発振パルス信号が削除できるので、上述の検知器332と比して回路規模を削減することができる。
(3l) 実施例3l
図69は実施例31による検知器334のブロック図である。この検知器334は、上述の図67に示した検知器333において、発振回路307を複数の周波数の発振パルス信号を出力する構成とし、この発振周波数の変更に応じてフィルタ319の通過周波数を変更する構成とすることにより、使用環境の変化により生じるノイズ状況の変化に対応できるようにしたものである。
PD1,PD2に入射した光は、ここで光−電流変換され、PD1からの検出電流I1、及びPD2からの検出電流I2は、スイッチSW1,SW2で断続的に受光回路308に送られる。このスイッチSW1,SW2は、発振回路307より供給される発振パルス信号SG1,SG2のクロックで交互にスイッチングされるようになっており、これにより、スイッチSW1,SW2を通過する電流I1,I32のタイミングは非同期で時分割となる。電流I1,I2は受光回路308で電圧に変換された後、増幅回路309で増幅され、電圧V1,V2となる。電圧V1,V2は、帯域通過フィルタ319を通され、低周波ノイズを除去され、電圧F1,F2となる。この電圧F1,F2は、S/H回路310でサンプルホールド信号SHのタイミングでサンプリングされる。サンプリングされた検出信号は、A/D変換回路311でデジタル信号に変換された後、それぞれ出力D1,D2となる。これら出力D1,D2は演算部312で差演算(D1−D2)され、演算結果Dを得る。この演算結果Dが、比較回路316でしきい値VTと比較され、VTを上回るとON信号が出力される。このON信号が連続して3個以上になれば、積分回路317より2値化されたON信号が得られ、出力回路318から検出器334外部に検出物体15の侵入を知らせる。
検知器334の置かれた使用環境が変化すると、PDから出力される検出信号に含まれる電源低周波ノイズ等のノイズの周波数も変化する。従って、正確な物体の有無検出を行うためには、使用環境の変化に応じて発振回路307から出力される発振パルス信号SG1,SG2の発振周波数を変化させ、さらにそれに連動して検出信号のみを取り出すようにフィルタ319の通過周波数を変更する必要がある。本実施の形態に係る検知器334は、使用環境のノイズの周波数を避けるため、信号SG1,SG2の周波数を外部より変更するスイッチSW5を付加したものであり、このスイッチSW5の位置により、フィルタ319の低域遮断周波数1/(2πRsCs)を発振パルス信号SG1,SG2の発振周波数1/(2πRoCo)に連動して変更できるようになっている。
このように、パッシブ方式で得られた2系統の検出信号(I1,I2)を交互にスイッチングし、各検出信号をペアとしてサンプルホールドすることにより、データの保持を行い、1系統の受光回路を含む信号処理回路で処理するので、信号処理回路の規模を縮小することができ、上述の実施例3aと同様の作用、効果を得ることができる。さらに、受光信号の発振パルス信号SG1,SG2の発振周波数を使用環境のノイズ状況に応じて変更し、それと連動して、その信号のみを取り出すフィルタ19の通過周波数を変更することで、周期的な検出対象と異なる物理量ノイズや電気的なノイズを除去することができるため、高S/Nの検出信号が得られ、より微小な信号を取り扱うことができる
(3m) 実施例3m
図70は実施例3mによる検知器335のブロック図である。本実施例に係る検知器335は、発振パルスSG1,SG2の発振周波数の変化に連動して増幅回路309のゲインを変更することができる構成としたものである。
PD1,PD2に入射した光は、ここで光−電流変換され、PD1からの検出電流I1、及びPD2からの検出電流I2は、スイッチSW1,SW2で断続的に受光回路308に送られる。このスイッチSW1,SW2は、発振回路307より供給される発振パルス信号SG1,SG2のクロックで交互にスイッチングされるようになっており、これにより、スイッチSW1,SW2を通過する電流I1,I2のタイミングは非同期で時分割となる。電流I1,I2は受光回路308で電圧に変換された後、増幅回路309で増幅され、電圧V1,V2となる。電圧V1,V2は、帯域通過フィルタ319を通され、低周波ノイズを除去され、電圧F1,F2となる。この電圧F1,F2は、S/H回路310でサンプルホールド信号SHのタイミングでサンプリングされる。サンプリングされた検出信号は、A/D変換回路311でデジタル信号に変換された後、それぞれ出力D1,D2となる。これら出力D1,D2は演算部312で差演算(D1−D2)され、演算結果Dを得る。この演算結果Dが、比較回路316でしきい値VTと比較され、VTを上回るとON信号が出力される。このON信号が連続して3個以上になれば、積分回路317より2値化されたON信号が得られ、出力回路318から検出器335外部に検出物体15の侵入を知らせる。
検知器335の置かれた使用環境が変化すると、PD1,PD2から出力される検出信号に含まれる電源低周波ノイズ等のノイズの周波数も変化する。従って、正確な物体の有無検出を行うためには、使用環境の変化に応じて発振回路307から出力される発振パルス信号SG1,SG2の発振周波数を変化させ、さらにそれに連動して検出信号のみを取り出すように増幅回路309のゲインを変更する必要がある。本実施例に係る検知器335は、使用環境のノイズの周波数を避けるため、信号SG1,SG2の周波数を外部より変更するスイッチSW5を付加したものであり、このスイッチSW5の位置により、増幅回路309のゲインRf/Rsを発振パルス信号SG1,SG2の発振周波数1/(2πRoCo)に連動して変更できるようになっている。
このように、パッシブ方式で得られた2系統の検出信号I1,I2を交互にスイッチングし、各検出信号をペアとしてサンプルホールドすることにより、データの保持を行い、1系統の受光回路を含む信号処理回路で処理するので、信号処理回路の規模を縮小することができ、上述の実施例3aと同様の作用、効果を得ることができる。さらに、受信信号の発振パルス信号SG1,SG2の発振周波数を使用環境のノイズ状況に応じて変更し、それと連動して、増幅回路309のゲインを変更することで、周期的な検出対象と異なる物理量ノイズや電気的なノイズの除去をより正確に行うことができるため、高S/Nの検出信号が得られ、より微小な信号を取り扱うことができる。
(3n) 参考例3n
図71は参考例3nによる赤外線センサの構成を示す図である。本実施例による赤外線センサ340は、上述の3aないし3mの実施例に示した検出器において、PDに代えて赤外線検出素子342(サーモパイルなど)を備えたものである。これにより、検出エリア内への人等343の侵入を検出する赤外線センサ342の回路規模の縮小、及び簡略化を図ることができるので、センサ340の外形の縮小、コストの削減等を図ることができる。
(3o) 参考例3o
図72は参考例3oによる温度センサの構成を示す図である。本実施例による温度センサ344は、上述の3aないし3mの実施例に示した検出器において、PDに代えて温度検出素子345を備えたものである。これにより、成形機などの機器内の温度制御等に用いられる温度センサ344の回路規模の縮小、及び簡略化を図ることができる。
(3p) 参考例3p
図73a、73bは参考例3pによる圧力センサの構成及びその等価回路を示す図である。本実施例による圧力センサ346は、上述の3aないし3mの実施例に示した検出器において、PDに代えて圧力検出素子347を備えたものである。これにより、成形機などの機器の圧力部を制御する圧力センサ346の回路規模の縮小、及び簡略化を図ることができる。
(3q) 参考例3q
図74は参考例3qによるガスセンサの構成を示す図である。本実施例によるガスセンサ348は、上述の3aないし3mの実施例に示した検出器において、PDに代えてガス検出素子349を備えたものである。これにより、混合ガスの制御やガス漏れなどを検出するガスセンサ348の回路規模の縮小、及び簡略化を図ることができる。
(4) 第4実施例
次に第4実施例について説明する。第4実施例においては、第1実施例の背景14に明暗のパターンが設けられる。
(4a) 実施例4a
図75に第4実施例に斯かる物体検知器401の基本構成を示す。光学系部分は反射板414、受光レンズ403、光検出素子418で構成される。周期からの自然散乱光(照明装置、太陽光など)が反射板414、検出物体15で反射される。その反射光が受光レンズ403へと入射する。さらに受光レンズ403によって光検出素子418へ集光される。本実施例では、光検出素子418に2分割PDaPDbを用いる。各PDからは受光面に入射する光量に比例した電流が出力される。また他の光検出素子としてPSDを用いた場合には、受光面内の光量分布の重心位置に対応した電流が出力される。2分割PDを用いた場合、受光視野は図75のように受光視野a,bの2つとなり、それに対応して反射板のコントラストパターンは2パターンとなる。ここでは簡略化のため白と黒のパターンとする。
2分割されたPDa,PDbそれぞれの出力電流Ia,IbはPD出力ラインに挿入されたアナログスイッチ412a,412bによりパルス信号SGで周期的にスイッチングされ、直流信号からパルス信号に変換される。出力電流Ia,IbはI/V変換器421,422により電圧変換され、VaもVbとなる。次に差動増幅回路409でVb−Vaとなり、このVa−Vaが受光視野b,a間の光量差信号となる。
図76a〜76eに検出物体の位置とPDa,PDb上の受光量分布、光量差信号Vb−Vaの関係を示す。検出物体15なしの状態では、PDa,PDb上の受光量分布は図76aのようになり、反射板414のコントラストパターンに対応してPDaの受光量は小さく、PDbの受光量が大きくなる。PDからの出力電流はIb>Iaとなり、アナログスイッチ412a,412bによってスイッチングされた差動増幅回路409からの出力(光量差信号)Vb−Vaは、図76aのようになる。この検出物体15なしの状態に対して検出物体が受光視野内に侵入してきた場合、PD上の受光量分布、光量差信号は図76b→図76c→図76d→図76eへと変わっていく。
なお、図中wは検出物体が占める範囲を示す。また、図76aは検出物体15がない場合を示し、図76bは検出物体15が受光視野aを遮り始めた場合を示し、図76cは検出物体が受光視野aをすべて遮った場合を示し、図76dは検出物体15が受光視野bを遮り始めた場合を示し、図76eは検出物体15が受光視野bをすべて遮った場合を示す。
この検出物体15の有無による光量差信号の変化を見るために、検出器の感度調整は次のようにして行なう。検出物体15がある状態のVb−Vaは、検出物体15の反射率によって検出物体15なしの状態のVb−Vaよりも大きくなる場合と小さくなる場合の両方がある。そのため、しきい値はVth1、Vth2の2つのレベルとなる。感度調整回路411によって検出物体15なしの状態のVb−VaのピークレベルV0がしきい値Vth1、Vth2の中心にくるように設定する。感度設定の方法は、可変抵抗により設定する方法や、光量差信号Vb−VaをA/D変換し、マイコンにより設定する方法などがある。また、感度設定を行なうところは検知器401の内外を問わない。
この光量差信号Vb−Vaと感度調整回路411で設定したしきい値を比較回路410で比較し、判別回路412で出力のON,OFFを判別し、出力回路413からその判別結果を出力する。
図77に比較回路410、判別回路412の内部構成、図78a〜図78pにその動作のタイムチャートを示す。比較回路410は差動増幅信号がVth1を上回った場合、COM1の出力がHレベルとなり、下回った場合Lレベルとなる。同様にVth2を上回った場合はCOM2の出力がHレベルとなる。判別回路412では最初にCOM1,2の出力に対してAND1,2ゲートによってスイッチング周期との同期を取る(ゲート信号GATEとする)。次にDFF1,2ではクロック信号の立上がり(SG信号の立下がり)におけるCOM1,2の出力が出力される(図78a〜図78pのようなタイミングチャートとなる)。さらに、DFF1,2の出力に対してENORゲートによって差動増幅信号Vb−Vaがしきい値Vth1、Vth2の両方を上回るまたは下回る場合はHレベル、Vth1、Vth2の間にある場合はLレベルとなる論理構成とする。
次のDFF3〜5は3段シフトレジスタであり、DFF3〜5の出力、反転出力のANDを取り、その出力をそれぞれRSFFのセット信号、リセット信号とすることによって、ENOR出力がSG信号を3周期以上HレベルでないとRSFFがセットされない。ENOR出力が同様にSG信号を3周期以上Lレベルでないとリセットされない。そして、このRSFF出力が出力回路へと送られ、センサ出力となる。つまり、差動増幅信号Vb−VaがSG信号を3周期以上の間Vth1、Vth2両方を上回るか下回る場合にセンサ出力がON、Vb−VaがSG信号を3周期以上の間Vth1、Vth2の間にある場合にセンサ出力がOFFとなる。
本実施例では、2つの受光視野の光量差信号を用いて反射板14と検出物体15の判別をしたが、2つの受光視野の光量の割算値、または光量差/光量和の値を用いて判別することも可能である。
(4b) 参考例4b
参考例4bでは、反射板は白と黒のパターンとしたが、検出物体がコントラストを持っている場合、逆に反射板はコントラストがないつまり、同一の反射率または反射指向性を持っている方が検出物体との差が付きやすい。また反射率も大きくことなる方が判別しやすい。たとえば、自動車の製造ラインで車体の通過検出をする場合、検出物体15が金属面つまりコントラストのない正反射面であるから反射板14はコントラストのある拡散反射面(たとえば白紙と黒紙を組合せたもの)である方がよい。また、梱包物の搬送ラインにおいて段ボール箱の通過検出をする場合、検出物体15が拡散反射面であるから、反射板は正反射面(たとえばミラー)の方がよい。
また、受光視野より反射面の数の方が多い場合もある。図79にその1構成を挙げる。図79に示すように、分割された4つの反射面に対して受光視野は1つである。検出物体15の位置に対応して、受光量は図80のように変化する。しきい値を図80のaまたはbのレベルに設定すれば検出物体15が反射板14上の▲1▼または▲3▼の領域にあることが判別できる。反射板▲2▼,▲4▼の部分と検出物体の反射率は同じとする。
(4c) 実施例4c
図81に電源に電池を用い、電源の供給を間欠供給とした物体検知装置の検知器450を示す。電源に電池416を用いたため、検知器設置時に電源配線のための工事が必要なく、取付場所の制約がなくなる。また、I/V変換回路421、差動増幅回路409などの信号処理部への電源供給を発信回路414のクロックで間欠的に供給することにより、さらに消費電力を低減でき、電池の寿命を長くすることができる。
図82に太陽電池417によって蓄電池416に給電される検知器を示す。太陽電池417により外部からの電源供給を全く必要としないため、設置後のメンテナンスが不要になる。
図83に水力発電432によって蓄電池416に給電される検知器450を示す。太陽電池を用いた検知器と同様に、設置後のメンテナンスが不要となる。
(4d) 実施例4d
従来の回帰反射型光電センサにおいてはセンサと反射板の位置調整が必要であるが、本検知器においても同様である。調整箇所を図84に示す。調整箇所は、図X軸周り、Y軸周りの2軸である。反射板14と検知器450との距離が短い場合には目視で位置調整をすることも可能であるが、距離が長くなると目視による調整は難しくなる。そこで、図85に示すように検知器451に投光用LED442を内蔵させ、その透光ビームを用いて検知器451と反射板414の位置調整を行なう方法がある。図85はダイクロイックミラー441を用いて受光素子光軸と投光用LED442の光軸を同軸にした構成を示す図である。ダイクロイックミラー441は投光用LED442の波長域の光のみを反射する特性を持つ。投光用LED442からの透光ビームはダイクロイックミラー441で反射され、受光レンズ403に入射し、反射板414へと透光される。位置調整時には、反射板414に映る透光ビームを見ながら検知器415の位置調整を行なう。
他の位置調整方法として、図86a,86bに示す反射板414と4分割PD418aを用いる方法がある。反射板414の中央の丸の部分は受光レンズ403によって4分割PD418a上に図80bの点線のように結像する。4分割PD418aからの出力I1,I2,I3,I4の差動出力I3−I1、I4−I2を用いると反射板414の中央の丸と4分割PD418aの中心のずれに応じた出力が得られる。反射板414中央の丸と4分割PD418aの中心が一致している場合、I3−I1=0、I4−I2=0となるが、たとえば図86bのように反射板中央の丸と4分割PD418aの中心がずれている場合は、I3−I1=0、I4−I2<0となる。I3−I1、I4−I2の出力を見れば反射板414の中央と4分割PD418aの中心のずれ方向がわかり、位置調整時に検知器451に設けた表示等でその方向を示せば調整を簡略化できる。
(4e) 実施例4e
光検出素子は点ではなく面であるため、距離が長くなるにつれて受光視野は広くなる。そのため、反射板414を遠距離に置いた場合受光視野が反射板414よりも大きくなり、反射板414外にある物体により受光視野内の光量が変化する場合がある。この場合、検知器451と反射板414との間に検出物がないのに、受光視野内の光量が変化して検出物体があると判別してしまうことがある。そのため、図87に示すように光検出素子418と受光レンズ403の間に絞り443を設けて受光視野を制御する。つまり受光視野を反射板内に収める方法がある。
(4f) 実施例4f
本検知器を用いた駐車場システムについて説明する。図88に検知器の配置図を、図89にシステム構成図を示す。駐車場としてはビルなどの屋内駐車場が考えられ、各駐車場の天井に検知器452が設置される。車のない状態での検知器452の受光視野内にはマーク447、たとえば駐車場の番号しかない。これに対して車446がある場合には、車のボディからの反射光が検知器452に受光され、車がない(マークだけある)場合と車がある場合の受光視野間の光量差を比較することによって駐車場に車があるかないかが検知器452から出力される。さらに各駐車場に設置された検知器452からの出力を処理部444で処理して表示ディスプレイ445に空いている駐車場を入口で表示することによって駐車場利用者はスムーズに車を停めることが可能である。
(4g) 実施例4g
本検知器を用いた車両検出システムについて説明する。図90にシステム構成図を示す。従来からある感応式信号機と同様で、検知器452から車があるという出力があれば信号制御部449で信号を赤から青に切換える構成となっている。検知器452の下の路上にマーク447を設けて反射板として用い、検知器452の下で停車する車の有無を判別する。
(4h) 実施例4h
本検知器を用いた車軸数測定システムについて説明する。図91にシステム構成図を示す。この車軸数測定システムは高速道路の無人料金所で用いる車種判別システムにおいて用いられる。検知器453の配置は検知器453と反射板414の間を車が通過する配置となっている。車が通過すると検知器453の出力がONする。検知器453からの出力をもとに車軸数カウント部461で車軸がカウントされ、さらにその車軸数出力を用いて判別部462で車種の判別が行なわれる。
(4i) 実施例4i
本検知器を用いたパスゲートシステムについて説明する。図92にシステム構成図を示す。図93に検知器配置を示す。駅の自動改札のパスゲートシステムは、通過できない切符が入った場合、出口のドアを閉めパスゲート463内に人がいなくなったことを確認してからドアを再び開けるというシステムになっている。本センサはパスゲート463内に人がいないことを確認するために用いる。反射板414と検知器454の間を人が通過するとき、通過方向を判別することによって通過者がパスゲート463に入っている人か出ていく人かを判別し、その出力を人数カウント部464で処理してパスゲート463内にいる人の人数をカウントする。パスゲート内の人の数が0であるかどうかを処理部465で判断する。もし0であれば、ドアを開けるという指示を制御部466に出力し、ドアが開く。
(4j) 実施例4j
本検知器を用いた入退者数管理システムについて説明する。図94にシステム構成を示す。検知器455は出入口の天井部分に設置される。その下に反射板(たとえば床にペイントしたマーク)414aを置く。検知器455と反射板414aの間を人が通過することによってその通過者が部屋を出て行く人か入って行く人かを判別でき、部屋への入退者数をカウントすることが可能である。
(4k) 実施例4k
本検知器を用いた位置決め装置について説明する。図95にその構成を示す。検知器456と反射板414の間を検知物15が通過する際、受光視野間の光量差信号は反射板414を遮る量によって変化する。その変化量を検知器456内で処理して図96のようなアナログ信号を出力する。その出力と位置設定部474で設定されたデータを用いて設定位置に検出物体15があるかどうかを判断する。設定位置にある場合には検出物体15を送り出すモータ471を処理部473を用いて制御して検出物体15の位置決めを行なう。
(4m) 実施例4m
本検知器を用いた長さ測定装置について図97を参照して説明する。本実施例では、検出物体15として車を用いているが、当然車以外でも検出可能である。検知器457の光検出素子としてはPDアレイを用いたリニアイメージセンサが考えられる。長さに応じたリニア出力が得られる。またリニアイメージセンサを使う代わりに反射板414を多数の反射面で構成してもよい。本実施例のように車が検出物の場合、長さWを測定することによって車種判別のデータとして用いたり、駐車場において駐車可能な車両幅かどうかを判別することができる。
(4n) 実施例4n
本検知器を用いた監視システムについて図98を参照して説明する。本システムは高価な美術品などの展示物472、つまりほとんど静止状態である物体が移動したことを検出するシステムである。受光視野内の光量差が少しでも変化すれば、検知器457の出力がONする。展示物472が動いたことを検出し、防犯監視システム473を通して展示物472に異常があったことを警備会社474に通報する。
(5) 第5実施例
第5実施例における検知器は基本的に第4実施例のものと同じである。反射板414の明暗パターンの明部を発光体とした点のみが異なる。
図99を参照して、第5実施例においては、反射板414は光源414aと基準面414bを含む。この構成により、夜間でも安定して検出物体15の通過を検知することができる。
検知器450は第4実施例のものと同様であるため、光源414eは指向性を持つ必要がなく、たとえば一般の照明器具のようなものでもよい。また、指向性を持つ必要がないため、図100に示すように、1つの光源で容易に複数エリアを検出できるエリアセンサを構成できる。
さらに図101に示すように、非常灯511などを光源とし、火災時の人体検知にも使用可能である。検知器450は極めて低消費電力で実現できるため、電池駆動と無線信号伝送とを組合せれば、既設の建物にも極めて容易に設置できる。また、平常時には非常灯の電球切れを検出する故障検知器としても使えるメリットがある。
図102−図104は本実施例の検知器450を用いたエリアセンサの利用例を示す図である。相互干渉のないエリアセンサを容易に実現することができる。本方式によれば、検出物体の有り、なしだけではなく、検出物体の移動方向も検出することができる。なお、常に照明がある場所では、光源の代わりにコントラストパターンを受光器の対向位置に配置しても同様の効果が得られる。
(6) 第6実施例
第6実施例においては、第1実施例に対して補助光が追加されている。以下、第6実施例の具体例を図面を参照して説明する。
(6a) 実施例6a
図105は実施例6aによる検知器600の構成を示す図、図106a〜図106lはその動作のタイムチャートである。この検知器600は、通常は検知器600の置かれる場所の自然散乱光(例えば照明装置、太陽光)の背景物14や検出物体15による反射光を受光することにより検知を行うパッシブ方式の検知器600であり、受光部601は、受光用レンズ602と、この受光用レンズ602の背後に配置された2分割フォトダイオード603により構成され、コントラストのある背景を対象として第1,及び第2の受光視野を構成している。なお、図105に示した検出物体15は受光部601の複数の受光視野の内の一方に進入した状態を示している。受光視野内に検出物体15が進入した時に補助光を投光し、その検出物体15における反射光を受光することにより検知動作を行うものである。
検出物体15の有無が図106a、周囲照度が図106bの状態のとき、2分割フォトダイオード603により光−電流変換された2つの受光信号は、低周波ノイズ除去のためパルス信号SG(図106c)によりパルス変調され、さらに、第1,及び第2の増幅回路606a,606bにより増幅される。この増幅された2つの受光信号(図106d,106e)は差動増幅器607により差動演算され、この差動演算出力(図106f)は第1,及び第2の比較回路608a,608bにより、予め設定された2つのしきい値Vth1,Vth2(Vth2<Vth1)と比較され(図106g,106h)、さらに、演算部609と判断部610からなる信号処理部611により処理される(図106i106j)。また、演算部609と判断部610の出力は投光トリガ発生回路613に与えられる。補助光を投光する補助投光器614は、投光トリガ回路613の出力を受けて動作する投光素子駆動回路615と投光素子616とからなる。発振回路617は発振出力を演算部609、判断部610、投光素子駆動回路615に与え、また、信号SGを出力する。上記信号処理部611において、第1,第2の比較回路608a,608bの出力(図106g,106h)は、演算部609により一致演算され(図106i)、演算部609の出力がパルス信号SGの3パルス分Hレベルであれば、判断部610はHレベル信号を出力し(図106j)、検知出力が出力回路612より出力される(図106l)。比較回路608a,608bの出力がHレベルで一致していると補助投光部614より補助光の投光が開始される(図106k)。また、判断部610がHレベル信号を出力すると補助光の投光は停止される。
このようにして、出力回路612からは、Vth2<(差動演算出力)<Vth1の場合に非検知出力(OFF:受光視野内に検出物体がない状態つまり背景物体のみ存在する)が出力され、(差動演算出力)<Vth2、または、Vth1<(差動演算出力)の場合に検知出力(ON:受光視野内に検出物体が存在する)が出力される。
ここで、補助投光方法について、図107a,107bを参照して説明する。図107aに示した投光素子駆動回路615においては、投光トリガ回路613からの投光トリガ信号がLレベルのとき、トランジスタTR1はOFF状態であるので、トランジスタTR2はOFF状態であり、投光素子616は点灯されない。投光トリガ回路613からの投光トリガ信号がHレベルのとき、トランジスタTR1はON状態となるので、トランジスタTR2は発振回路617の投光駆動パルスによりパルス駆動され、投光素子616は点灯される。また、図107bは、投光素子駆動回路615に投光トリガ信号を送る投光トリガ回路613の論理回路と論理図であり、論理図に示した通り、投光トリガ回路613は、演算部出力(図106i)がHレベルで、しかし、判断部出力(図106j)がLレベルのときにHレベルの投光トリガ信号を出力する。
このように、検出物体15が受光視野内に進入したとき、またはノイズにより演算部609の出力がHレベルとなったとき、補助光の投光が開始され、被検出物体面の照度が高くなり、差動演算の出力が大きくなるので、確実な検出を行うことができる。また、その投光時間も極めて短いため、その消費電流量は極めて小さく、バッテリー駆動させたときにも長時間の駆動を行うことができる。さらに、この構成は、補助投光に対する受光信号を処理するパッシブ方式の受光回路と自然散乱光に対する受光信号を処理する受光回路とを共用しているので、部品点数の削減ができ、ローコスト化を図ることができる。
(6b) 実施例6b
図108は実施例6bによる検知器の構成図である。本実施例の検知器は、上述の実施例6aの検知器をバッテリー駆動させ、さらに、同検知器にバッテリー量を検知する電池切れ検知回路618と、この電池切れ検知回路618の検知出力を表示する表示灯駆動回路619とを加えた構成としたものであり、この表示灯駆動回路619は、上述の実施例6aの投光素子駆動回路615と共用されている。即ち、この表示灯駆動回路619は、電池切れ検知回路618の出力信号と投光トリガ回路613の投光トリガに応じて投光パルスを変更する発振回路617のパルス信号により駆動される。また、この表示として点灯されるときの投光パルスと、補助投光の投光パルスは同期していないパルス信号である。
このようにして、本実施例の検知器は電池切れ検知回路618を備えたので、バッテリー量が少なくなったことを予め知ることができ、電源電圧低下による誤作動を少なくすることができる。また、補助投光器と表示灯を共用したので、部品点数の削減ができ、ローコスト化を図ることができる。
(6c) 実施例6c
図109は実施例6cによる検知器の構成図、図110はその動作のタイムチャートである。この検知器は、図105に示した構成の検知器に、しきい値補正回路620と補助光の受光信号を処理する受光回路621を加えたものである。この補助光の受光信号を処理する受光回路621は、足し算回路622と投光パルス周波数のみを通過させるB.P.F.23と第3の比較回路608cからなる。
以下、図110a〜図110nのタイムチャートを参照し、この検知器の検知動作について、上述の実施例6aとの相違点を挙げることにより説明する。
(1)演算部出力(図110i)と判断部出力(図110j)が一致していないときには、投光トリガがHレベルとなり投光行い(図110k)、補助投光による検出をする。
(2)周囲照度が低下したときにも(図110b)、Vth1<(差動演算出力)となるので(図110f)、演算部609はHレベルとなり(図110i)、補助光が投光される(図110k)。しかし、補助光による検出によっても検出物体15の存在が検知されなかったときは、投光は停止され(図110k)、検知出力は出力されない(図110l)。そして,差動演算出力がしきい値の間に入るように、しきい値補正回路620により、しきい値が自動補正される(図110f)。
このように、演算部609の出力が検出物体15の進入によりHレベルになったのか、ノイズや照度変化、または、背景物体の変化によりHレベルになったのかを補助投光により確認することができるので、検出精度を上げることができる。また、しきい値の自動補正により、照度変化や、背景物体の変化に対しても誤動作せず、安定に検出を行うことができる。
次に、本実施例における補助投光のアルゴリズムについて、図111aのタイムチャートを参照して説明する。本実施例の検知方式は、下記の▲1▼〜▲4▼の方式が考えられる。
▲1▼検出物体15の受光視野への進入により演算部609の出力が反転しHレベルになると投光を開始し、検出物体15の存在が検知されると判断部610の出力が反転しHレベルになり、検知出力が出力され、同時に投光を停止する。そして、検出物体15が受光視野から出ていき、演算部609の出力が反転しLレベルになると投光を開始し、検出物体15の存在が検知されないと判断部610の出力が反転しLレベルになり、非検知出力が出力され、同時に投光を停止する。
▲2▼検出物体15の受光視野への進入により演算部609の出力がHレベルになり、判断部610により積分され出力が反転しHレベルになると投光が開始され、検出物体15の存在が検知されると検知出力が出力され同時に投光を停止する。そして、検出物体15が受光視野から出ていき、演算部609の出力がLレベルになり、判断部610により積分され出力が反転しLレベルになると非検知出力が出力され、同時に投光を停止する。
▲3▼検出物体15の受光視野への進入により演算部609の出力が反転しHレベルになると投光を開始し、検出物体15の存在が検知され判断部610の出力が反転しHレベルになり、検知出力が出力される。その後、投光による検知動作により受光視野内での検出物体15の存在が検知されなくなると、判断部610の出力が反転しLレベルになり、非検知出力が出力され同時に投光を停止する。
▲4▼検出物体15の受光視野への進入により演算部609の出力がHレベルになり、判断部610により積分され出力が反転しHレベルになると投光が開始され、検出物体15の存在が検知されると検知出力が出力される。その後、投光による検知動作により受光視野内での検出物体15の存在が検知されなくなると、演算部609の出力がLレベルになる判断部610により積分され出力が反転しLレベルになり、非検知出力が出力され同時に投光を停止する。
また、図111bは、上述の▲1▼〜▲4▼の検知方式の特徴を示す図である。同図に示すように、▲1▼〜▲4▼の検知方式は、検出精度、応答時間、消費電流において異なる特徴を持っている。従って、それぞれの特徴を生かすことにより目的にあった検知器を提供することができる。
(6d) 実施例6d
図112は実施例6dによる検知器の構成図である。この検知器は、自然散乱光(例えば照明装置、太陽光)の反射光を受光することにより検知を行うパッシブ方式の検知器に、検出照度に応じて出力を禁止する出力禁止回路624を加えたものであり、その他の構成で前述と同番号は同部材を示す。本実施例では上記各実施例とは違って、補助投光器を備えていない。
この検知器の検知器動作について、図113a〜図113eのタイムチャートを参照して説明する。図113aのように、自然散乱光の照度が低下し、パッシブ型では検出不可能な照度となったとき、2つの受光素子PD1,PD2の全受光量を足し算回路622で検出する照度検出器の出力(図113c)が比較回路608cのしきい値Vth3を下回り、出力禁止回路624からHレベル信号が出力される(図113e)。
出力禁止回路624の構成は図114に示す通りである。比較回路608cからLレベル信号が出力されると、D−フリップフロップ回路625の出力QはLレベルになこのLレベル信号はインバータにより反転され、Hレベル信号となる。このHレベル信号により信号処理部611内の出力強制OFF回路をなすトランジスタTR1はON状態となるので、検知出力は強制的にLレベルとなり、OFFされる。
このように、本実施例の検知器は、照度変化に応じて検知出力を禁止する出力禁止回路624を備えているので、検知器で制御する機器を誤動作させることがない。なお、この出力禁止回路624の出力を上述の実施例6aの投光トリガ回路613に接続すると、パッシブ方式では検出不可能な照度下でも補助投光により検出可能となり、検出し続けることができる。
(6e) 実施例6e
図115は実施例6eによる検知器の構成図である。上述の実施例6dの検知器は受光素子の全受光量を検出することにより照度検出を行っていたが、本実施例の検知器は1つの受光素子の受光量を検出することにより照度検出を行うものである。また、その検知動作は上述の実施例6dと同様である。これにより、上述の実施例6dの検知器と比して、部品点数を削減することができる。
(6f) 実施例6f
図116は実施例6fによる検知器の構成図である。本実施例は上述の実施例6dの構成に第2の受光部604bを加えたものである。この検知器は2つの受光部を備え、第1の受光部604aにより検出物体の検出を行い、第2の受光部604bにより照度検出を行うものであり、この第2の受光部604bの受光回路を照度検出に限定した仕様で設計できるので、精度よく照度の検出を行うことができる。また、照度検出の受光視野を検出物体とは別の視野、例えば、照明を見る構成とすると、照明の点灯、消灯を確実に検知することができ、精度良く検出を行うことができる。
(6g) 実施例6g
図117は実施例6gによる検知器の出力部付近の構成を示す回路図であり、本実施例は上述の実施例6d〜6fに示した検知器に、電源投入直後において検知出力が出力されるのを禁止する電源リセット時出力禁止回路を加えたものである。OR回路626には、照度変化に応じて動作する出力禁止回路624からの信号と電源リセット時出力禁止回路からの信号が入力される。そして、これら2つの信号のうち、どちらか一方がHレベル信号であれば、禁止信号を出力する。この禁止信号によりトランジスタ627はON状態となるので、信号処理部611からの検知出力は出力されない。このように、電源投入時において電源電圧が正常動作可能な電圧より低いときは、電源リセット時出力禁止回路が作動し、検知出力の出力を禁止するので、電源投入時における電源電圧の低下による誤動作を少なくすることができ、安定した検知動作を行うことができる。
なお、上述の電源リセット時出力禁止回路を電源電圧低下による出力禁止回路(以下、電圧低下時出力禁止回路という)としてもよく、そのような構成にすれば、検知動作時における電源電圧低下による誤動作を少なくすることができる。さらに、OR回路626を3つの入力端子を備えるものとしてもよく、この端子に3つの出力禁止回路(照度変化に応じて動作する出力禁止回路,電源リセット時出力禁止回路,電圧低下時出力禁止回路)を接続すると、より確実な検知動作を行うことができる。
ここで、電源リセット時出力禁止と電圧低下時出力禁止の両出力禁止回路を共用した構成を図118に示し、この検知回路の検知動作について、図119のタイムチャートを参照して説明する。
まず、電源リセット時出力禁止回路について説明する。スイッチSWにより電源が投入されると電圧VccはRCの時定数により徐々に上昇していくが、Vccが低電圧のときは、検知が不安定な状態にあるため、検知出力が出力されるのを禁止する必要がある。Vccが比較回路629のしきい値Vth1(検知器が正常動作可能な電圧)より低いときは、比較回路629はLレベル信号を出力し、このLレベル信号はインバータ631により反転されHレベル信号となり、OR回路626を介してトランジスタ627をON状態にするので、検知出力は出力されない。逆に、VccがVth1を上回ると、比較回路629の出力はHレベルとなり、禁止状態は解除される。
次に、電圧低下時出力禁止回路について説明する。電圧Vccが低下すると、検知が不安定な状態となるため、検知出力が出力されるのを禁止する必要がある。Vccが電圧検出器30の検知電圧Vth2より低くなると、電圧検知器630はLレベル信号を出力し、このLレベル信号はインバータ631により反転されHレベル信号となり、OR回路626を介してトランジスタ627をON状態とするので、検知出力は出力されない。逆に、VccがVth2を上回っているときは、電圧検知器630はHレベル信号を出力するので、検知出力は出力される。
この構成により、出力禁止により検知器を制御する機器を誤動作させることがない。また、2つの禁止回路の共用により部品点数の削減ができ、ローコスト化を図ることができる。
(6h) 実施例6h
図120は実施例6hを示し、上述の実施例6d〜6gに示したような出力禁止回路624の出力により検知が困難になったことを表示する警告表示器を備えたものである。出力禁止回路624の出力がHレベル信号であれば、トランジスタ633はON状態となり、発光素子634は点灯され、検知が困難となったことを表示する。一方、出力禁止回路624の出力がLレベル信号であれば、トランジスタ633はOFF状態となり、発光素子634は駆動されない。このようにして、周囲照度が低くなり検知動作を行っていないこと、また、電池電圧が低下して使用できなくなったことを使用者は知ることができる。
(6i) 実施例6i
図121、122は実施例6iを示し、出力禁止の方法について説明するものである。図121は検知器の比較部633、演算部609、判断部610の構成を示す図であり、図122は出力強制OFF回路の構成図である。上述した出力禁止回路624からの出力禁止信号によりトランジスタTR61はONし、強制的に検出信号をOFFする。OFFされる信号は、A,B,C,Dの4つの信号が考えられる。OFFされる信号が検知出力信号Dのときは、出力禁止の信号に対してすばやく出力が禁止される。それに対し、差動増幅器の出力信号A、信号処理部Ex−NOR出力信号B、信号処理部のシフトレジスタのANDゲートへの入力信号Cの信号をOFFする方法は差動増幅器に近いほど出力禁止信号に対して出力禁止遅れを生じるが、確実に検知出力の禁止をかけることができる。
(6j) 実施例6j
図123、図124a〜図124dは実施例6jを示し、出力禁止回路624を備えた検知器に、その出力禁止の出力に応じて検知器への電力供給パルスを変更する電力供給周期変更器を加えたものである。同図123にその構成、図124a〜図124dにその動作のタイムチャートを示す。電力供給周期変更器は、発振周期が互いに異なる第1,及び第2の発振回路635a,635bと2入力マルチプレクサ636からなる。この検知器は、通常は第1の発振回路635aから発振されたパルス周期により検知を行っており、周囲照度の低下などにより出力禁止回路624から出力禁止信号が出力されたときは、2入力マルチプレクサ36に選択信号が入力され、第1の発振回路635aから発振周期の長い第2の発振回路635bにパルス周期を切り換える。これにより、低消費電流化を図ることができる。
(7) 第7実施例
次に第7実施例について説明する。第7実施例においては、第1実施例における信号処理内容を特定している。
(7a) 実施例7a
本実施例の具体例を図面を参照して説明する。図125は実施例7aによる検知装置700のブロック図、図126a〜図126iは同検知装置における動作のタイムチャートである。検知装置700は、初期状態にはなかった物体等を検知するものであり、該検知装置700が設置される場所における照明光や太陽光などの自然散乱光により被検出物体15を検出する光検出部701と、検出された受光信号を処理し出力する差動増幅回路706等の各種の処理回路とから構成される。
光検出部701は、検出物体15や背景物体14から反射された自然散乱光を集光する受光レンズ703と、光を電流に変換する2つのフォトダイオードPD1及びPD2とから構成される。処理回路は、2つの増幅回路704及び705と、差動増幅回路706と、ハイパスフィルタHPF707と、比較回路708と、積分回路709と、出力回路710と、発振回路714とから構成される。また、初期設定を行うために、初期設定回路711と、初期設定時の変化量検出回路(調整量検出器)712と、弁別レベル設定回路(しきい値設定器)713とが含まれる。
検出物体15や背景物体14による反射光は、受光用レンズ703により集光され、このレンズ703を通過した光は2つの受光視野を構成する2つに分割されたフォトダイオードPD1、PD2(光検出部)でなる受光器で受光され、光−電流変換される。
これら光一電流変換された2つの受光信号は、スイッチングパルスSG(図126b)で高周波信号に変換され、それぞれ増幅回路704、増幅回路705により増幅される(図126c、126d)。ここに、検出物体15が1つの受光視野内に入ってきたことにより(図126a)、両増幅回路の出力は変化を示す。これら増幅された2つの受光信号は、差動演算回路706により差動演算される(図126e)。この差動演算された受光信号は、H.P.F.707で低周波ノイズを除去され(図126f)、比較回路108により、予め設定された2つのしきい値Vth1、Vth2(Vth2<Vth1)と比較される。
これらのしきい値は、受光信号のノイズ量により出力が不安定にならないように、積分回路709の出力で、大きい方のしきい値Vth1をVth1−βに、小さい方のしきい値Vth2をVth2+γ(β,γ>0)に、それぞれ変更される。比較回路708は、差動出力が弁別範囲を外れていればHレベル信号を、弁別範囲内を外れていなければLレベル信号を出力する(図126g)。
続いて、比較回路708の出力信号は積分回路709によりノイズを除去され(図126h)、出力回路710により出力される。具体的には、図126iに示すように、Vth2<(差動演算された受光信号)<Vth1の場合は、非検知出力(OFF:受光視野内に検出物体がない状態、つまり背景物体のみが存在する状態)がセンサ外部に出力される。また、(差動演算された受光信号)<Vth2、または、Vth1<(差動演算された受光信号)の場合は、検知出力(ON:受光視野内に検出物体が存在する)がセンサ外部に出力される。このように、2つの受光信号の変動に基づいて物体の検知を行うことができるのである。
次に、初期状態(検出物体がない状態)での受光信号について説明する。初期状態において、2つの受光視野間にコントラストが無いことはほとんどなく、いくらかのコントラストがあるので、差動演算回路706の差動出力の信号成分は、ある信号レベルがある。また、2つの受光視野から受光された受光信号に含まれるノイズ成分は受光量に応じて大きくなる。その2つの受光信号を差動演算すると、2つの受光信号に差がない(コントラストがない状態)と、2つの受光信号のノイズ成分はほぼ等しいので除去されて、差動出力のノイズ成分はほぼ0となる。逆に、2つの受光信号に差がある(コントラストがある)と、差動出力のノイズ成分は2つの受光信号の差、つまり、差動出力の信号成分の大きさに応じて大きくなる。
そこで、初期状態の差動出力の信号成分の変化や検知装置の使用される環境によらず適性に検知信号が出力されるように、検知装置は初期設定される必要がある。初期設定とは、初期状態(検出物体がない状態)における差動演算出力を2つのしきい値Vth1、Vth2(Vth2<Vth1)のレベル内に入れるための処置である。初期設定の対象は、初期設定回路711、初期設定時の変化量検出回路712、及び弁別レベル設定回路713である。
初期設定回路711は、検出物体がない状態で差動演算出力を2つのしきい値Vth1、Vth2のレベル内に入れるための回路で、差動演算出力を変更する方法と、差動出力は変更せずに、しきい値を変更する方法がある。
初期設定時の変化量検出回路712は、初期設定時に差動演算出力をどれだけ変更したか、または、しきい値をどれぐらい変更したか、その物理量を検出する回路である。弁別レベル設定回路713は、初期設定時の変化量検出回路712で検出した物理量に応じてしきい値とヒステリシス幅を設定する回路である。初期設定時に、差動出力は変更せずに、しきい値を変更する方法では、ヒステリシス幅のみを設定する。
このようにすることで、初期設定時の変化量(初期状態の差動出力の信号成分)に応じたしきい値、ヒステリシス幅の設定が可能であるので、より的確なしきい値のレベルを設定し得、使用環境に影響されて検知装置が誤動作することがない。また、しきい値を検知信号の上下に設定し、そのレベル内から外れたときに出力信号を出すので、受光出力の変化方向が限定されることがない。ここに、本実施例の検知装置によれば、検出物体を検知する視野や背景とのコントラストの関係を選ぶことなく物体の検出が可能となり、センサの感度が大いに向上する。
以下、初期設定の方法を図127ないし図129dを参照して説明する。図127ないし図129dにおいては、初期設定方法のみを示し、それによるしきい値、ヒステリシス幅の設定方法については示していない。それらについては図131以降で説明する。図127は初期設定の基本概念を説明する図である。この図に示すように、初期設定とは、検出物体がない状態で差動増幅出力の出力信号レベルVspを2つのしきい値Vth1、Vth2(Vth2<Vth1)のレベルの間に入れることである。
図128a及び128bは差動増幅回路706の基準電圧を変更する場合の回路図及びその時の基準電圧と2つのしきい値との関係を示す図である。この場合、増幅回路の出力Vs[=Vref−(Rf/Rs)v]は、基準電圧Vrefを変更すること(Vref−Δe)により、図127に示したV0が変化して、Vspをしきい値のレベル内に設定する。この方法においては、増幅器のダイナミックレンジを有効に利用できる。
図128c及び128dは増幅回路706の増幅率の変更による場合の回路図及びその時の基準電圧と2つのしきい値との関係を示す図である。この場合、増幅回路706の増幅率(Rf/Rs)を変更することにより、出力Vsを変化させ、Vspをしきい値のレベル内に設定する。この方法においては、高照度な環境でも使用できる。
図129a及び129bは受光信号の減衰による場合の回路図及びその時の基準電圧と2つのしきい値との関係を示す図である。この場合、増幅回路の出力が、抵抗分圧で(Ra1/Ra)倍に減衰されることにより、出力Vsをしきい値のレベル内に設定する。この方法においては、構成が簡単であるのでコストの削減ができる。
図129c及び129dは増幅回路出力のDCオフセット値の変更による場合の回路図及びその時の基準電圧と2つのしきい値との関係を示す図である。この場合、増幅回路の出力のDCオフセットを変更することにより、図127に示したV0を変化させ、出力Vsが、Vs=Vcc×(RD2/RD)−(Rf/Rs)×vとなり、出力Vsをしきい値のレベル内に設定する。この方法においては、図129a、129bと同等の効果が得られる。
(7b) 実施例7b
図130に示す実施例は、検知装置の外部からの指令により、初期設定及びしきい値の設定を自動的に行うティーチング方式である。
図130において、差動演算された受光出力は、サンプルホールド回路715によりサンプルホールドされ、A/D変換回路716によりA/D変換され、比較回路108において、初期設定によりメモリ121に記憶された弁別範囲と比較され、比較回路708の出力はノイズ除去用の積分回路709を通過した後、出力回路710によりセンサ外部に出力される。
初期設定は、その実行命令をする外部スイッチSW1がONされると、初期設定回路717のトリガ信号により、複数のメモリ718、719で複数の受光出力が記憶される。その記憶された受光信号は演算回路720により演算され(例えば、平均値、最大値と最小値の中間値)、弁別範囲が設定される。その設定された値はメモリ721に記憶され、初期設定がなされる。この方式によれば、初期設定が非常に容易にできる。
次に、図131を参照して、上記の実施例7bの具体回路構成について説明する。図131において、初期設定回路711は、差動増幅回路706(図125)の出力段増幅器であるAMP1の基準電圧V0=Vcc×(R31/R3)を変更するものである。同回路711のバッファ出力V0は絶対値回路731に入力される。絶対値回路731により、増幅部の基準電圧値VrefとV0の差V1=Vref+|Vref−V0|が出力される。そして、差動増幅器722により、V1とVrefの差動演算をしてV2=VBE1+|Vref−V0|が出力される。電圧V2は電流源1により、電流I1=(VBE1+|Vref−V0|−VBE2)/R10≒|Vref−V0|/R10に変換される。検出装置の出力OFF時はhysがHレベルとなり、トランジスタTR3はOFF状態である。従って、I0=(R14/R16)×I1、Vth1=Vref+R17×I0、Vth2=Vref−R18×I0である。検出装置の出力ON時はhysがLレベルとなりトランジスタTR3はONする。従って、I0≒((R13//R14)/R16)×I1(尚、R13//R14は、R13とR14との並列接続抵抗を表わす。)、Vth1=Vref+R17×I0、Vth2=Vref−R18×I0である。従って、初期設定回路711の抵抗R31を変化させることで初期設定、しきい値、ヒステリシス幅を連動して変更することができる。この構成では最適な初期設定が容易にできる。
なお、絶対値回路731の動作については、V0<Vrefのとき、ダイオードD1がONして、ダイオードD1、増幅器AMP4、抵抗R5を通る負帰還ループができ、出力はV1=Vref+Vref−V0となる。V0≧Vrefのとき、ダイオードD1はOFFして増幅器AMP3と増幅器AMP4は切り離され、出力はV1=Vref−(Vref−V0)となる。
図132は、初期設定時の変化量に応じてヒステリシス幅のみを変更する方式の弁別レベル設定回路713の回路図である。初期設定時の変化量V2は、電流源1,2で、電流値I1=(V2−VBE1)/R1に変換される。また、電流源2の電流値はI2=(V2−VBE2−VBE3)/R6である。検出装置の出力OFF時はhysがHレベルとなり、トランジスタTR1はONする。従って、抵抗R4,R5には電流源1の電流I1と電流源2の電流I2の和が流れ、Vth1=Vref+R4×(I1+I2),Vth2=Vref−R5×(I1+I2)となる。検出装置の出力ON時はhysがLレベルとなり、トランジスタTR1はOFFし、I1=0となる。従って、Vth1=Vref+R4×I2,Vth2=Vref−R5×I2となる。従って、変化量V2に応じて電流源の電流値I1=(V2−VBE1)/R1が変化するので、初期設定時の変化量に応じてヒステリシス幅のみ変化し設定される。この構成によれば、初期設定時の差動演算出力が小さいところ(背景のコントラストがないところ)で、周囲照度に合わせて微妙な初期設定ができ、検出精度を向上できる。
図133は、初期設定時の変化量に応じてしきい値のみを変更する方式の弁別レベル設定回路713の回路図である。初期設定時の変化量V2は、電流源1,2で、電流値I1=(V2−VBE1)/R1に変換される。また、電流源2の電流値はI2=(V2−VBE2−VBE3)/R6である。検出装置の出力OFF時はhysがHレベルとなり、トランジスタTR1はONする。従って、抵抗R4,R5には電流源1の電流I1と電流源2の電流I2の和が流れ、Vth1=Vref+R4×(I1+I2),Vth2=Vref−R5×(I1+I2)となる。検出装置の出力ON時はhysがLレベルとなり、トランジスタTR1はOFFし、I2=0となる。従って、Vth1=Vref+R4×I1,Vth2=Vref−R5×I1となる。従って,変化量V2に応じて電流源の電流値I1=(V2−VBE1)/R1が変化するので、初期設定時の変化量に応じて、しきい値のみ変化し設定される。この構成によれば、初期設定時の差動演算出力が大きいところ(背景のコントラストがあるところ)での、初期設定が容易である。
図134a、134bは、上述した初期設定時の変化量検出回路712の変形例であり、AC信号の変化量を検出するのに適した回路を示す図で、図134aはその一部の回路図、図136bはそのタイムチャートである。上述した初期設定器が受光出力の減衰やDCオフセットの変更をする場合、本実施例はV0の大きさを検出し、その検出信号を図131の絶対値回路731に入力し変化量を検出する。そして、その変化量に応じて、上述の弁別レベル設定回路713によりしきい値、ヒステリシス幅の設定をする。V0の大きさの検出については、トランジスタTR1の制御信号CTLがHレベルのとき、ダイオードD1は導通せず、VS、VG間は同電位となりトランジスタTR1はON状態となる。従って、コンデンサCHはVSまで充電される。制御信号CTLがLレベルになると、ダイオードD1は導通し、VS、VG間に電位差が発生し、トランジスタTR1はOFF状態となる。従って、コンデンサCHはその直前の電位V0で保持される。バッファアンプ2によりV=V0と出力される。この構成は、変化量を検出したい信号がAC信号のときに有効である。
図135は、しきい値とヒステリシス幅を変更することで初期設定を行う方式の弁別レベル設定回路713の回路図であり、2つのしきい値レベルの中心値に応じて、しきい値とヒステリシス幅を変更する変更器を示している。しきい値の中心値は初期設定回路711としての抵抗R1のVRを変更することで行なう。VRはバッファを介して図131の初期設定時の変化量検出回路712のバッファの+入力へ入力され、図131の差動増幅器の出力V2に応じた電流源電流I1=(V2−VBE)/R1に変換される。検出装置の出力OFF時はhysがHレベルとなり、トランジスタTR1はOFF状態である。従って、I0=(R2/R4)×I1,Vth1=Vref+R8×I0,Vth2=Vref−R9×I0である。検出装置の出力ON時はhysがLレベルとなり、トランジスタTR1はONする。従って、I0≒((R2//R5)/R4)×I1,Vth1=Vref+R8×I0,Vth2=Vref−R9×I0である。従って、しきい値の中心値の電圧に応じて2つのしきい値間の電圧、ヒステリシス幅が変化する。この構成を採用すれば、差動増幅回路(図125の706)の変更がないので安定な受光信号が得られる。
(7c)実施例7c
実施例7cの回路図を図136に示し、その動作のタイムチャートを137a〜137gに示す。本実施例は、検出素子として3個のフォトダイオードPD1,PD2,PD3を有するものである。前述したように検出素子が2つの場合では、検出物体面にコントラストがなく、視野すべてを覆ってしまうような大きな物体の検出はできない。それに対して、検出素子を3つにして視野を広げ、それぞれの検出信号を図示のごとく増幅することにより、差動増幅器AMP3の出力でもって大きな物体の検出も可能となる。
このように検出物体の大きさや検出したいエリアに応じて検出素子の数を決めることでより確実な検出ができる。なお、初期設定は、上述した各種の方法のいずれかを用いて行えばよい。
産業上の利用可能性
以上のように、本発明に係る物体検知装置は、洗面所、トイレでの自動給水器や、人がいるときにのみ自動的に作動させる必要のある機械の運転用の検知器として有用であり、特に省エネルギが要求されるもとでの機器の自動運転制御に用いるのに適している。
Claims (27)
- 検知装置が自ら投光した光ではない光を受光することによって背景の手前に物体が存在するかどうかを検知する検知装置であって、
光学系と、
前記光学系を通過した光を受ける光検出素子を含み、前記光検出素子が受けた光量に基づく信号を出力する第1の検出部および第2の検出部と、
前記第1の検出部の出力および前記第2の検出部の出力について差演算または比演算を行なう第1の演算手段と、
第1のしきい値およびそれよりも小さな値の第2のしきい値を有し、前記第1の演算手段による演算結果の値が前記第1のしきい値と前記第2のしきい値との間にあれば物体無しを示す信号を出力し、それ以外の場合には物体有りを示す信号を出力する判別手段と、
前記第1の検出部および前記第2の検出部に対応する受光視野が背景のみで占められている状態において、前記演算結果の値が前記第1のしきい値と前記第2のしきい値との間にある状態となるように前記演算結果の値または前記第1のしきい値または前記第2のしきい値を調整し得る調整手段とを含む、物体検知装置。 - 前記第1の検出部および前記第2の検出部はそれぞれ単一の光検出素子を含み、
前記第1の演算手段は、前記各光検出素子の出力について演算を行なうものである、請求項1に記載の物体検知装置。 - 前記第1の検出部は、第1の光検出素子および第2の光検出素子と、前記第1の光検出素子の出力および前記第2の光検出素子の出力について差演算を行なう第2の演算手段とを含み、
前記第2の検出部は、第3の光検出素子および第4の光検出素子と、前記第3の光検出素子の出力および前記第4の光検出素子の出力について差演算を行なう第3の演算手段とを含み、
前記第1の演算手段は、前記第2の演算手段の出力および前記第3の演算手段の出力について演算を行なうものである、請求項1に記載の物体検知装置。 - 前記第2の光検出素子および前記第3の光検出素子は同一の光検出素子を共用したものである、請求項3に記載の物体検知装置。
- 前記光検出素子は、前記第1の検出部と前記第2の検出部とで共用される、受けた光の位置と光量に応じた第1の信号と第2の信号とを出力する位置検出素子であり、
前記第1の検出部は、前記位置検出素子および前記第1の信号の出力経路を含み、
前記第2の検出部は、前記位置検出素子および前記第2の信号の出力経路を含み、
前記第1の演算手段は、前記第1の信号および前記第2の信号について演算を行なうものである、請求項1に記載の物体検知装置。 - 前記光学系は光ファイバを含む、請求項1に記載の装置。
- 前記背景は第1の色と前記第1と異なる第2の色とからなるパターンを含む、請求項1に記載の装置。
- 前記第1の色は明るい色を含み、前記明るい色のパターンは発光体で形成される、請求項7に記載の装置。
- 前記光学系は受光用レンズを含む、請求項1に記載の物体検知装置。
- 前記2つの光検出素子または第1ないし第4の光検出素子に対応する受光視野は、互いに重複、隣接、または離隔していることを特徴とする、請求項2または3に記載の物体検知装置。
- 前記受光視野が、複数の前記光学系により構成されている、請求項1に記載の物体検知装置。
- 弁を開閉して給水を制御する給水部と、該給水部から給水される水洗器と、該水洗器が使用されたことを感知する感知部と、該感知部からの感知信号に基づいて前記給水部の弁を開閉する信号を出力する制御部とから構成され、電池を駆動電源とし、前記感知部に請求項1に記載の検知装置を用いたことを特徴とする給水制御装置。
- 人の存在が検知された時、取引処理が可能となる自動発券機等の取引装置において、その人体検知に請求項1に記載の検知装置を用いたことを特徴とする自動発券機等の取引装置。
- 人の存在が検知された時、電源がオンされるディスプレイ装置において、その人体検知に請求項1に記載の検知装置を用いたことを特徴とするディスプレイ装置。
- 人の存在が検知された時、電源がオンされるパチンコ玉出し装置において、その人体検知に請求項1に記載の検知装置を用いたことを特徴とするパチンコ玉出し装置。
- 人の存在が検知された時、電源がオンされる自動照明又は空調装置において、その人体検知に請求項1に記載の検知装置を用いたことを特徴とする自動照明又は空調装置。
- 人の存在が検知された時、ドアを自動的に開く自動ドア装置において、その人体検知に請求項1に記載の検知装置を用いたことを特徴とする自動ドア装置。
- 前記第1の検出部および前記第2の検出部は、前記光検出素子からの出力を増幅する増幅器と、前記光検出素子の出力の前記増幅器への伝達を周期的に断続するスイッチ手段とを含むことにより、パルス化された信号を出力するものである、請求項1に記載の物体検知装置。
- 前記スイッチ手段のスイッチング周波数を含む帯域の信号を通過させるフィルタをさらに含む、請求項18に記載の物体検知装置。
- 前記光検出素子からの各検出信号をそれぞれ時分割するゲート手段と、
前記各検出信号が前記ゲート手段を通過するタイミングが非同期で時分割となるように前記ゲート手段にパルス信号を供給するパルス発生手段と、
前記ゲート手段により時分割された前記各検出信号を組合せて1系統で演算を行う前記第1の演算手段とを含む、請求項1に記載の物体検知装置。 - 前記第1の演算手段への電源の供給を制御する制御手段を備え、
前記制御手段は、前記パルス発生手段のパルスと同期し、かつ前記組合せられた検出信号を前記第1の演算手段が処理するに必要な時間だけ電源を供給する、
請求項20に記載の物体検知装置。 - 前記第1または第2の検出部の出力または前記第1の演算手段の出力に応じて前記受光視野内に向けて補助光を投光する補助光投光手段とを含む、請求項1に記載の物体検知装置。
- 前記判別手段は、前記第1および第2の検出部が前記補助光投光手段とは異なる光源からの光を受光したときの第1受光信号と、前記補助光投光手段による補助光を受光したときの第2受光信号との組合せにより、前記被検出物体の有無を判断する、請求項22に記載の物体検知装置。
- 受光視野内の照度を検出する照度検出手段と、
前記照度検出手段により検出された照度に応じて前記判別手段の出力が外部に出力されるのを禁止する出力禁止手段とを含む、請求項1に記載の物体検知装置。 - 前記調整手段は、
前記第1の演算手段の出力を調整する演算出力調整手段と、
前記演算出力調整手段によって前記第1の演算手段の出力が調整された量を検出する調整量検出手段と、
前記調整量検出手段の出力に基づいて前記第1および第2のしきい値または各しきい値に与えられるヒステリシス幅を設定するしきい値設定手段とを含む、請求項1に記載の物体検知装置。 - 前記調整手段は、
前記第1の演算手段の出力が前記第1および第2のしきい値のほぼ中心値となるように前記第1および第2のしきい値を連動して調整するしきい値調整手段と、
前記しきい値調整手段によって前記第1および第2のしきい値に関して調整された量を検出する調整量検出手段と、
前記調整量検出手段の出力に基づいて前記第1および第2のしきい値の間隔または各しきい値に与えられるヒステリシス幅を設定するしきい値設定手段とを含む、請求項1に記載の物体検知装置。 - 前記調整手段は、前記演算結果の値のオフセット値または前記演算結果の値に対する信号増幅率を設定することにより、前記演算結果の値を調整する、請求項1に記載の物体検知装置。
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