JP3548746B2 - 形状記憶合金線材製造装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、形状記憶合金を線材として成形する装置、特に、携帯電話用アンテナの素材を成形する装置に関する。
【0002】
【従来技術】
従来から、携帯電話用のアンテナは、芯線をステンレス鋼材、バネ鋼線等により作られ、その芯線にナイロン、ビニールなどの高分子化合物のチューブを被膜し、さらに両端にストッパーを取付けて用いられていた。
また、近年の軽薄短小化の要求に答え、これら携帯電話用アンテナも、より細く、より軽くする傾向になった。
そのため、使用時または携行時に障害物にアンテナ線が引っかかり、ステンレス鋼材の弾性限界を越えてたわむことにより、残留歪によって曲がり、収納できなくなるという問題があった。
一般的に、鋼材の弾性限界は0.2〜O.5%であるのに対して、TiNi合金を初めとする形状記憶合金は、その超弾性効果を利用した場合、本質的に鋼材の塑性変形領域である8%もの弾性歪を示す。
よって、形状記憶合金は従来の鋼線と比べてアンテナ芯線として有用である。また、形状記憶合金としては、NiTi系合金、Cu系合金等が存在するが、一般的にはNiTi系形状記憶合金が用いられている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
合金の線材を製造するには、所定の分量に配合した原料を溶解し、丸型の鋳型に鋳込んで所定のインゴットにして、鍛造、圧延等の熱間加工で丸棒とした後、伸線加工にかけ丸棒をダイスの径を順次細いものに交換して、冷間穴ダイス伸線により所定の線径を得るものであった。
このような伸線加工後、連続して線材を次加工に送り所定長さに切断する場合を考えると、切断工程においては、線材が停止せずに移動している間に切断することは高度の技術を有するものであり、いったん線材の移動を停止して線材を切断することが必要となり、一方、伸線加工においては連続的に線材を送りだしているため、線材はループを作り、たわませることが必要となる。
そして、また、その後切断工程を経て切断された線材を集積する工程を設ける必要もある。
このような、たわみ工程、切断工程、集積工程等を伸線加工工程の後に付加して、一連のアンテナ製造装置を構成することは可能であるが、そうするとアンテナ線材専用製造装置を設けることとなり、他の合金線材を作ることができなくなる。
よって、伸線加工工程によって製造された合金線材は、いったんボビンに卷回して保管後、専用のアンテナ製造装置により切断加工されることが好ましいものである。しかしながら、その際にはボビンによる卷きぐせが残り湾曲されたアンテナ芯線が製造される恐れがある。
又、使用する商用電源の電圧が下がると、焼鈍時における温度が所定温度に設定できず、熱処理時間が十分にとれなくなるという問題があった。
又、複数の異なった線径を有する線材を製造するにはその数だけ製造装置を用意する必要があった。
本発明は、上述した事情に鑑み、形状記憶合金を用いて所定長さの直線状の線材を製造する装置を提供することを目的とするものである。
また、本発明の他の目的は、商用電源の電圧が下がっても十分な焼鈍時間がとれる装置を提供することである。
また、本発明の他の目的は、簡単な操作で異なった線径を有する線材を製造する装置に対応できる線材製造装置を提供することである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記目的を達成するために、形状記憶合金線材を加熱伸張し、直線状態を保持したまま冷却し、前記線材を所定の長さに切断して製造する形状記憶合金線材製造装置において、前記線材を導入して加熱する電気炉の入口側に設けられ、前記線材の接触面に押圧力を加えるローラ部と、前記電気炉の出口側に設けられ、前記線材を送出する駆動ローラ部とにより前記線材を伸張張力状態のまま加熱し、前記線材を伸張張力状態のまま、前記駆動ローラ部と前記電気炉の出口間に設けられた冷却槽により冷却した後、ループ形成部に前記線材を送出し、このループ量を検知して信号を送出するループ検知部の信号によりピッチ送り部が駆動し、熱処理切断部に線材が停止せずに移動して送出して前記線材の両端部を焼鈍した後に前記線材を所定長さに切断するように構成したものである。
また、前記線材の両端部の焼鈍を行う焼鈍部が、前記線材を押圧する第1位置と、前記線材の押圧を解除する第2位置との間を移動可能に設けられた一対の押圧部材であって、この押圧部材の各々間に電圧が印加され、前記押圧部材が第1位置にあるとき、前記線材に通電して前記線材の通電部分を加熱して焼鈍する焼鈍部であるように構成すると好ましいものである。
また、商用電源の電圧変動を監視する電圧測定回路を有し、この電圧測定回路の電圧情報に応じて前記熱処理切断部における焼鈍のための前記線材への通電時間を制御するように構成すると好ましいものである。
また、前記線材と接触するローラは、回転する円形周面の線材が接触する部分に溝幅の異なる複数の線状溝を設け、線材の線径に応じて該線状溝を選択的に切り替え可能に構成すると好ましいものである。
【0005】
【作用】
次に、本発明の作用を説明する。
本発明は、上記目的を達成するために、形状記憶合金線材を加熱伸張し、直線状態を保持したまま冷却し、前記線材を所定の長さに切断して製造する形状記憶合金線材製造装置において、前記線材を導入して加熱する電気炉の入口側に設けられ、前記線材の接触面に押圧力を加えるローラ部と、前記電気炉の出口側に設けられ、前記線材を送出する駆動ローラ部とにより前記線材を伸張張力状態のまま加熱し、前記線材を伸張張力状態のまま、前記駆動ローラ部と前記電気炉の出口間に設けられた冷却槽により冷却して、前記線材の伸張状態を保存することにより、線材の直線化処理が行われる。
そして、直線化処理により連続して送出される前記線材をループ形成部に送出し、このループ量を検知して信号を送出するループ検知部の信号によりピッチ送り部が駆動し、前記線材を熱処理切断部に送出して前記線材の両端部を焼鈍した後に前記線材を所定長さに切断される。
また、前記線材を押圧する第1位置と、前記線材の押圧を解除する第2位置との間を移動可能に設けられた一対の押圧部材であって、この押圧部材の各々間に電圧が印加され、前記押圧部材が第1位置にあるとき、前記線材に通電して前記線材の通電部分を加熱するように構成してあるので、前記押圧部材により前記線材を押圧した後、その部分を通電することによって加熱して焼鈍することができる。
また、商用電源の電圧変動を監視する電圧測定回路を有し、この電圧測定回路の電圧情報に応じて前記熱処理切断部における焼鈍のための前記線材への通電時間を制御するように構成してあるので、基準値より電源電圧の低下により前記線材への通電時間を長くし、基準値より電源電圧の上昇により前記線材への通電時間を短くして、焼鈍時間を調整することができるものである。
また、前記線材と接触するローラは、回転する円形周面の線材が接触する部分に溝幅の異なる複数の線状溝を設け、線材の線径に応じて該線状溝を選択的に切り替え可能に構成した場合は、ローラの表裏を入れ換えてローラ軸に挿入することにより簡単に線径の異なる線材に対応することができるものである。
【0006】
【実施例】
以下、本発明を図に示した実施例を用いて詳細に説明する。但し、この実施例に記載される構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは特に特定的な記載が無い限り、この発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではなく単なる説明例に過ぎない。
【0007】
図1は、本発明に係る形状記憶合金線材製造装置の自動成形機概略図、図2は本発明に係る形状記憶合金線材製造装置のブロック回路図、図3はテンションローラ、送りローラ及び駆動ローラの説明図、図4は送りローラ、駆動ローラ及びピッチ送り部のローラの説明図、図5は熱処理切断部の要部を示す平面図、図6は図5の側面図、図7は図5の正面図、図8は製造される線材を示す図である。
【0008】
図1において、自動成形機1は、後述するCPU(中央演算素子)14の指令によって、350℃〜550℃に加熱する電気炉4を基台8上に有している。この電気炉4は、両側面4a,4bに小径の孔が開設され、該孔はボビン2に卷回されたNiTi系形状記憶合金の線材16が貫通可能に構成されている。
電気炉4の出口側には冷却槽7が設けられ、内部には電気炉4から送出された線材16が貫通自在であって、CPU14の指令によって線材16に放水可能に構成されている。
線材16の移動通路であって、電気炉4と冷却槽7を挟んで、電気炉4の入口側にテンションローラ部5および送りローラ部41、冷却槽7の出口側に駆動ローラ部6が設けられている。
テンションローラ部5は、ボビン台3に載置されたボビン2に卷回された線材16を電気炉4に送出するものであるが、駆動ローラ部6と共同して線材16に伸張張力を与えるものである。
したがって、駆動ローラ部6によって線材16は引っ張られるが、テンションローラ部5は、その引張り力に対してブレーキをかけるように作用するものである。
よって、側面5cに固定された上部テンションローラ5aに対して下部テンションローラ5bは、図示しない手段で若干線材16を押圧微調整可能に構成されている。
【0009】
送りローラ部41は、テンションローラ部5から送り出された線材を駆動ローラ部6に送り出すガイドの役目をするものであり、駆動ローラ21,22と共同して電気炉4および冷却槽7において線材16が直線状態で送られるように設けられている。そして、側面41cに固定された上部ローラ21に対して下部ローラ22は図示しない手段によって若干線材16を押圧微調整可能に構成されている。
また、駆動ローラ部6の側面6cに固定された上部駆動ローラ21は図示しない内部の送りモータに連結してモータ駆動力により回転するものであるが、下部送りローラ22は、下部テンションローラと同様に、図示しない手段で若干線材16を押圧微調整可能に構成されている。
これらテンションローラ部5の側面5c、送りローラ部41の側面41c及び駆動ローラ部6の側面6cは、図3に示すように、お互いに同一平面上であって、線材16の移送方向に対して平行に配置されている。また、ローラ5a,5b,21,22,は狭い溝160とそれよりやや広い溝17とを有し、それぞれ2種類の線材に対応できるように構成されている。よって、線材16は移送方向に直線状態で直線化処理が行われる。
やや広い溝17に対応する線材を使用する場合は、ビス18および21cを緩め、溝17が側面5c、41c、または6cに近くなるように、ローラ端面の表裏を入れ替えて取付ればよい。
【0010】
駆動ローラ部6の出口側にはループ形成部20が設けられている。駆動ローラ部6から送出された線材16は、このループ形成部20にループ状態で張架される。駆動ローラ部6からの線材16の送出量が増え、ループが下方に垂れ下がるると、そのループを検知して出力信号を送出する光センサ9が下方に設けられている。
ループ形成部20の出口側には、ピッチ送り部10が設けられている。このピッチ送り部10には、図4に示すように線材16をピッチ送りするローラ21および22が側面10aに設けられ、ピッチ送り部10の内部には、駆動モータが内臓されている。
ローラ21および22の外周は、図4(B)に示すように、0.3mmの空隙をもって側面10aに回転可能に設けられている。外周面に設けられた溝21aは細い線材に対応するものであり、溝21bはやや太い線材に対応するものである。これらのローラ21および22は、ビス21cおよび22cを緩めて、ローラの表裏を逆にしてビスを締め直すとやや太い溝21bおよび22bに対応する線材16に使用が可能である。尚、図4に示すものは、ピッチ送り部10のみでなく、駆動ローラ部6及び送りローラ部41に用いられるローラ21及び22に適用されるものである。
駆動モータは、図示しない減速機構によってローラ21に連結されている。
したがって、駆動モータが所定の回転数で所定時間回転すると、駆動力は減速機構を介してローラ21に伝達され、所定量の線材16を送出することができる。
【0011】
図5、図6および図7は、熱処理切断部11の要部を示す図である。ここは線材16の両端部を700℃〜800℃に通電加熱して焼鈍して、250〜270HVの硬度にした後に、その焼鈍した中心部を切断するところである。
台座35、36、および37は、絶縁耐熱部材で形成され、これら台座上に設けられた押圧部材32、および34は伝導体で形成され、押圧部材33は絶縁耐熱部材で形成されている。これらの押圧部材はギヤ32a,33a,34aを回転することによって台座を押圧してバイスのごとき作用を行うものである。ギヤ32a,33a,34aの回転はギヤ列26〜31を介してモータ25の回転によって行われる。
線材16は押圧部材と台座の間に載置され、また、移送される。押圧部材が線材16を台座との間に挟んで押圧した状態で、配線34bおよび32bを介して電源が印加され、押圧部材32および34間が通電加熱される。
焼鈍の後に、カッター部15は線材16を押圧保持している押圧部材33の空隙33a内に回転するカッター15aが侵入して線材16を切断するように構成されている。
熱処理切断部11の後方には、搬送装置12が設けられ、アーム12aの先端に設けた把持部12bにより切断された線材16を集積する製品受13が設けられている。
【0012】
図2は、本発明に係る形状記憶合金線材製造装置のブロック回路図である。同図において、中央演算素子(CPU)14の入力端子T1には、図示しないスタートスイッチを閉成するとスタート信号が入来するように接続されている。
入力端子T2は、前述したループ形成部20に設けられた線材16のループを検出する光センサ9の出力端と接続され、線材16のループを検出すると入力端子T2に信号が入来するように構成されている。
入力端子T3は、カッター部15の出力端と接続され、カッター部15が線材16を切断するに十分な位置まで到達すると信号が入来するように構成されている。
入力端子T4は、バイス用モータ25の出力端に接続され、バイスが線材16を十分に押圧されると信号が入来するように構成されている。
入力端子T5は、商業電源の電圧を測定する電圧測定回路39の出力端に接続され、電圧の変動により異なった値が入力され、その入力信号によりCPU14は、後述する電源回路に出力する電源電圧を印加する時間を演算するように構成されている。
【0013】
出力端子T6は、電圧測定回路39の入力端に接続され、電源電圧測定値を出力する時期を制御するものである。すなわち、スタート信号38が入来してすぐに電源回路40の出力値を演算してものよいのであるが、実際は前述したように押圧部材32、34が線材16を押圧する直前までに電源回路40の出力値が演算されていればよいために、スタート信号38が入来後の所定時間経過後に読み込み信号が電圧測定回路39に送出され、その後に電圧測定回路39はCPU14に電圧情報を送出するように構成されている。
出力端子T7及びT8はバイス用モータ25に接続され、該モータ25は光センサ9が線材16のループを検出すると信号がCPU14に入来し、ピッチ送り部10が線材16をピッチ送りし、それが完了するに十分な時間の後に、出力端子T7から信号がバイス用モータ25に送出され、モータ25が正転し、押圧部材32、33、34が線材16を押圧し、負荷が増大するとモータ25は停止するとともに信号をCPU14の入力端子T4に送出してモータ25が線材を押圧して停止していることをCPU14に伝え、前述したカッター部15により線材16の切断完了信号が入力端子T3に入来すると出力端子T8は信号をモータ25に送出し、モータ25を逆転して線材16へのバイスの押圧を解除するように構成されている。
【0014】
出力端子T9はカッター部15に接続され、電源回路40が電圧測定回路39により測定された電圧により演算された、印加電圧の印加時間で線材16を通電した後に、信号を送出してカッター部15内に設けられている図示しないカッターモータの制御回路に、該モータの往復動を指令し、正転したカッターモータが線材を切断するに十分な位置に達すると、図示しないスイッチによりCPU14の入力端子T3に信号を送るとともにカッターモータ制御回路はモータを逆転させ初期位置にカッター部15を復帰させるように構成されている。
出力端子T10は、駆動ローラ部6に接続され、スタート信号38に同期して線材16を駆動するように構成されている。
出力端子T11は、冷却槽7に接続され、スタート信号38に同期して伸張加熱された線材16を冷却するために放水するように構成されている。
出力端子T12は、ピッチ送り部10に接続され、光センサ9による線材のループを検出した信号により駆動するように構成されている。
出力端子T13は、押圧部材32、34によって押圧された線材16の部分に通電するための電源回路40に接続され、光センサ9による線材16のループを検出した信号に駆動するバイスモータ25の押圧完了による停止信号に同期して線材16に電源を印加するように構成されている。
出力端子T14は、電気炉4に接続され、スタート信号38に同期して線材16を加熱するように構成されている。
出力端子T15は、搬送装置12に接続され、カッター部15の線材16の切断完了信号を受けて信号を送出し、搬送装置12を駆動するように構成されている。
【0015】
次に、このように構成された本実施例の作用を説明する。
図2において、スタート信号38がCPU14の入力端子T1に入来すると、端子T14から信号を送り電気炉4を加熱させる。所定時間の後に電気炉4は350℃〜550℃に達する。
次に、CPU14は端子T10から駆動ローラ部6に信号を送り、図示しない駆動モータを駆動してローラ21を回転して線材16を引っ張る。この駆動モータの駆動により線材16は電気炉4内で伸張張力が付与された状態で、マルテンサイト変態発生温度以上の温度で加熱され、その状態のまま線材16は電気炉4から送出され、冷却槽7内に侵入する。
この時点でCPU14は端子T11から冷却槽7に信号を送り、線材16に冷却水を放出する。
【0016】
駆動ローラ部6のローラ21の回転により、線材16はループ形成部20に送出され、ループ状に張架される。ループが大きくなり、下に垂れ下がってくると、光センサ9がそれをキャッチし、CPU14の端子T2に信号を送出する。CPU14は端子T12から信号をピッチ送り部10に送出し、ローラ21を駆動し、線材16を熱処理切断部11に送出する。
所定時間後にピッチ送りが完了すると、CPU14は端子T7から信号をバイス押圧モータ25に送出し、モータ25を正転駆動して、線材16を押圧保持する。
モータ25は線材16の押圧により負荷が増大し、モータの正転が停止するとともに回転停止信号を送出する。
【0017】
端子T4によってモータ25の回転停止信号を受けると、CPU14は端子T13から信号を電源回路40に送出し、図5の押圧部材34および32間に配線34bおよび32bを介して電圧を印加して通電加熱する。このとき、電圧測定回路39により商用電源が低下していることを検出すると、その電圧低下分に見合う時間、電源回路40を駆動して線材16の接続部分に通電する。
所定時間通電加熱の後、CPU14は端子T9からカッター部15に信号を送り、カッター部15を駆動して回転するカッター15aにより線材16を切断する。
切断位置に停止したカッター部15のモータは所定時間後には、逆回転して初期位置に戻って停止する。
前記切断位置における停止信号をCPU14は端子T3に受けて、端子T8からバイス押圧モータ25に信号を送り、該モータを逆転させ、押圧部材32、33、および34の押圧保持を解除する。
搬送装置12の把持部12bは、図8に示されるように両端部16a,16bを焼鈍され、切断された線材16を把持して製品受13内に落下し、集積する。
【0018】
上述した実施例は、熱処理切断部のバイスの押圧部材をモータとギヤで上下させているが、かならずしもこれに限定されるものではなく、ラックとギヤまたはカムとレバー、もしくは手動のレバー操作でバイスを作動させてもよいものである。
【0019】
上述したように本実施例においては、素線を直線化処理する熱処理部と、通電加熱による端部焼鈍後定尺切断を行う2ラインから構成され、焼鈍する電圧及び処理時間は、線径に応じて、15V×3秒〜120V×0.5秒と調整設定することを基本とし、焼鈍時間も数秒以下と速く、また、バイスにより線材を押圧保持して切断しているため精度よく、切断長さ精度も従来品の±0.35mmに対して±0.22mmと向上し、線径精度も従来品が±0.15mmであるのに対して±0.0015mmと向上したものである。
また、両端部の焼鈍部分以外の硬度が320〜380HVであるのに対して、焼鈍部分は250〜270HVと低く、他の機構部品との連結を容易ならしめるものである。
そして、本発明は形状記憶合金を用いているので、弾性力の大きい所定長さの直線状の線材を提供できるものである。
また、商用電源の電圧を監視する装置により、商用電源の電圧変動があっても十分な焼鈍時間がとれるものであり、ローラを取り替え可能に設けることによって、簡単な操作で異なった線径を有する線材を製造する装置を提供できるものである。
【0020】
【効果】
以上説明したように、本発明は、形状記憶合金を用いることにより、弾性力の大きい直線状の線材を提供できるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る形状合金線材製造装置の自動成型機の概略図である。
【図2】ブロック回路図である。
【図3】テンションローラ、送りローラ及び駆動ローラの説明図である。
【図4】送りローラ、駆動ローラ及びピッチ送り部のローラの説明図である。
【図5】熱処理切断部の要部を示す平面図である。
【図6】熱処理切断部の要部を示す側面図である。
【図7】熱処理切断部の要部を示す正面図である。
【図8】製造される線材を示す図である。
【符号の説明】
1 自動成形機
2 ボビン
3 ボビン台
4 電気炉
5 テンションローラ部
6 駆動ローラ部
7 冷却槽
9 光センサ
10 ピッチ送り部
11 熱処理切断部
12 搬送装置
14 CPU
15 カッター部
41 送りローラ

Claims (4)

  1. 形状記憶合金線材を加熱伸張し、直線状態を保持したまま冷却し、前記線材を所定の長さに切断して製造する形状記憶合金線材製造装置において、
    前記線材を導入して加熱する電気炉と、
    この電気炉の入口側に設けられ、前記線材を前記電気炉に導入するとともに前記線材の接触面に押圧力を加えるローラ部と、
    前記電気炉の出口側に設けられ、前記ローラ部と共同して前記線材の送出方向に伸張張力を与えるとともに前記線材を送出する駆動ローラ部と、
    この駆動ローラ部と前記電気炉の出口間に設けられ、前記線材を伸張張力状態のまま冷却する冷却槽と、
    前記線材の両端部を焼鈍した後所定長さに切断する熱処理切断部と、
    この熱処理切断部に前記線材を送るピッチ送り部と、
    このピッチ送り部と前記駆動ローラ部間にあって前記線材のたわみループを形成するループ形成部と、
    このループ形成部のループ量を検知して前記ピッチ送り部に信号を送出するループ検知部とを備え、
    前記駆動ローラ部から送出された前記線材が所定量張架された後、前記熱処理切断部に線材が停止せずに移動して送出されることを特徴とする形状記憶合金線材製造装置。
  2. 前記線材の両端部の焼鈍を行う焼鈍部が、前記線材を押圧する第1位置と、前記線材の押圧を解除する第2位置との間を移動可能に設けられた一対の押圧部材を具え、この押圧部材の各々間に電圧が印加され、前記押圧部材が第1位置にあるとき、前記線材に通電して前記線材の通電部分を加熱して焼鈍する焼鈍部であることを特徴とする請求項1記載の形状記憶合金線材製造装置。
  3. 商用電源の電圧変動を監視する電圧測定回路を有し、この電圧測定回路の電圧情報に応じて前記熱処理切断部における焼鈍のための前記線材への通電時間を制御することを特徴とする請求項1記載の形状記憶合金線材製造装置。
  4. 前記線材と接触するローラは、回転する円形周面の線材が接触する部分に溝幅の異なる複数の線状溝を設け、線材の線径に応じて該線状溝を選択的に切り替え可能に構成したことを特徴とする請求項1記載の形状記憶合金線材製造装置。
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