JP3547915B2 - 吸収式冷凍機及びその製造方法 - Google Patents

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    • Y02B30/62Absorption based systems

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は新規な吸収式冷凍機に係り、特に主要構成部材の表面に予め防食皮膜を形成することにより冷凍機の主要構成部材を高度に腐食防止した耐食性に優れた吸収式冷凍機とその製造法に関する。
【0002】
【従来の技術】
吸収式冷凍機は濃厚LiBr水溶液を吸収液とし、水を冷媒として用いている。吸収式冷凍機では、一般にLiBr濃度が高いほど高い冷凍効率が得られるため、例えば二重効用吸収式冷凍機において最も高い温度の部分では、LiBr濃度が65%、温度が約160℃に達する。このような環境においては、構成材料は激しく腐食するために、従来より特開昭58−224186号や特開昭58−224187号に記述されているように、タングステン酸塩やモリブデン酸塩等の適正なインヒビターを添加することによって、腐食を軽減してきた。これらのインヒビターは pH調整剤であるアルカリ金属の水酸化物と併用して用いられ、その酸化力によって材料に防食皮膜を形成することにより腐食が抑制される。
【0003】
冷凍機の運転中に防食皮膜を形成させる方法とは別に、特開平1−121663 号,特開平2−183778 号に記載されているように、腐食の最も激しい高温再生器の吸収液と接する内壁に防食皮膜を冷凍機の運転する前に形成することを目的に、高温再生器に皮膜形成液再循環経路と冷媒供給経路を設けて、冷凍機全体の運転前に、皮膜形成再循環経路により高温再生器で加熱濃縮される皮膜形成液を循環流動させて皮膜形成運転を行い、高温再生器の内壁およびこれに設けた再循環経路の配管等の吸収液と接する表面に腐食保護皮膜を形成させる方法がある。
【0004】
また吸収液を用いない防食皮膜形成法としては特開平6−249535 号に記載されているように、水蒸気分圧を10ppm 以下になるように露点をコントロールしかつ酸素分圧を10〜10kPa程度に調整したガス雰囲気で400℃以上に加熱することにより冷凍機内部に防食皮膜を形成する方法がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
インヒビターを用いて冷凍機運転中に防食皮膜を形成させる方法に関して、インヒビターとしてクロム酸塩や硝酸塩を使用した場合、その濃度がある一定以上になると構造材料に孔食を引き起こす可能性があることが懸念され、その使用にはインヒビターの濃度管理が重要となる問題点がある。一方モリブデン酸塩は LiBrに対する溶解度が小さく、さらに酸化力が弱いために安定な防食皮膜を形成するのに時間を要し、安定な防食皮膜が形成されるまで水素ガス発生による冷凍効率が低下する等の問題点があり、充分な防食効果を得ることが困難であった。また安定な防食皮膜が生成するまでにかなりの量のインヒビターが消費されるために、インヒビターの追加が必要であった。
【0006】
この問題点を解決するために、上記従来技術に記載したように、冷凍機全体の運転をする前に、皮膜形成再循環経路を用いて皮膜形成運転を行い、防食皮膜を形成させる方法がある。しかしこの方法において、皮膜形成運転で用いる皮膜形成液は冷凍機運転中に防食皮膜を形成させる方法で用いられるモリブデンを含むLiBr液であるために、運転中に水素発生による冷凍効率の低下の問題は解決できるが、モリブデン酸塩の溶解度が小さいこと、酸化力が弱いことによる防食皮膜形成に時間を要することおよびインヒビターが消費する等の問題点は解決することはできない。
【0007】
吸収液を使用しない上記従来技術に記載したガスを使用する防食皮膜形成方法ではモリブデン酸塩の溶解度が小さいこと、酸化力が弱いことによる防食皮膜形成に時間を要することおよびインヒビターが消費する等の問題点は解決することができる。しかし露点をコントロールするために不活性ガスを注入する工程,水蒸気を凝縮させ所定圧力以下に下げる工程,酸素ガスを所定圧力まで注入する工程が必要になり防食皮膜形成方法が複雑となるばかりでなく、それに伴う真空ポンプ,圧力計,質量分析器,冷却トラップ等の機器が必要となり装置的にも高コストの複雑なものになる。また、一度冷凍機内を不活性ガスで充満させた後(減圧した後に不活性ガスを導入するために冷凍機内の細部まで不活性ガスで置換される)に酸素ガスを注入する方法では、酸素ガスを流動させても冷凍機内の隙間部や対流部などは酸素ガスが行き渡らず均一に冷凍機内に酸素分圧を一定にすることが困難である。従って、ある部分は過剰の酸素により防食皮膜が生成するが、その反面ある部分では酸素不足の部分が生じ防食皮膜が生成されずまたは不完全な防食皮膜の生成によって腐食を低減できなくなる。
【0008】
本発明の目的は、容易な方法で吸収式冷凍機の内壁に冷凍機運転前に予め薄くかつ均一な高耐食性の防食皮膜を生成させることにより、冷凍機運転中における水素ガス発生による冷凍効率の低下の防止および防食皮膜による高耐食性を有する吸収式冷凍機及びその製造法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的は、運転前に予め冷凍機構成材料と高温の水蒸気または任意の露点を有する空気を接触させることにより防食皮膜を吸収式冷凍機内に生成させることによって達成することができる。
【0010】
具体的には、200℃から800℃(好ましくは330〜500℃、より好ましくは350〜450℃)の水蒸気または任意の露点の空気と冷凍機構成材料と接触させることにより生成する防食皮膜を有する吸収式冷凍機と、上記水蒸気または任意の露点の空気と吸収式冷凍機構成材料と接触させることにより生成する防食皮膜を生成させる方法と、この方法を実施するための上記水蒸気または任意の露点の空気を導入または接触させる装置から達成される。吸収式冷凍機構成材料と上記高温の水蒸気または任意の露点の空気とを接触させる方法として、吸収式冷凍機にガス導入口を設けそれより上記高温の水蒸気または任意の露点の空気を導入し防食する方法と、吸収式冷凍機の高温再生器や高温および低温熱交換器等の各パーツごとに上記高温の水蒸気または任意の露点の空気雰囲気にさらすことにより防食皮膜を表面に生成させた後に、防食皮膜を有した各パーツを組み立てるいずれの方法によっても達成される。
【0011】
本発明は、水を冷媒とし、ハロゲン化合物を吸収液とする吸収式冷凍機において、熱交換器及び高温再生器の少なくとも一方の表面、又は該冷凍機を構成する鉄系部材で前記吸収液に接する全表面に厚さ0.02〜5.0μm(好ましくは 0.1〜2.5μm、より好ましくは0.3〜2.0μm)又は青色,紫色,黒色又は灰色のいずれかの色又は水酸基を含む酸化皮膜が形成されていることを特徴とする吸収式冷凍機にある。
【0012】
また、本発明は、冷凍機を構成する鉄系部材で前記吸収液に接する表面に形成される酸化皮膜が冷却塔を有する冷却水系,冷水系統及び蒸気系統の配管を構成する鉄系部材表面に形成される酸化皮膜の厚さより薄いことを特徴とする。
【0013】
更に、本発明は、ハロゲン化合物を有する水溶液を加熱し水蒸気を発生させる高温再生器,前記水蒸気を凝縮させる凝縮器,前記水蒸気を冷却する低温再生器,前記凝縮器より出た水を蒸発させ冷水を発生させる蒸発器,該蒸発器より出た水を高濃度のハロゲン化合物を含む水溶液に吸収させる吸収器及び該吸収器より出た冷媒を前記高温再生器に戻すとともに前記低温再生器より出た水と前記吸収器より出た冷媒とを熱交換させる熱交換器とを備えた吸収式冷凍機において、前記高温再生器及び熱交換器の少なくとも一方の表面、又は高温再生器,凝縮器,低温再生器,蒸発器,吸収器及び熱交換器の鉄系部材によって構成されかつ少なくとも前記水溶液,水蒸気及び水に接する部分に厚さ0.02〜5.0μm又は青色,紫色,黒色又は灰色のいずれかの色又は水酸基を含む酸化皮膜が形成されていることを特徴とする吸収式冷凍機にある。
【0014】
本発明は熱交換器及び高温再生器の他、上述の各機器構成要素毎に前述の酸化皮膜を形成させて、装置全体として組み立てることができるものである。
【0015】
本発明は、水を冷媒とし、ハロゲン化合物を吸収液とする吸収式冷凍機の製造法において、熱交換器及び高温再生器の少なくとも一方の表面を200〜800℃の温度で、酸化処理するとともにP=T(5+logt){但し、Tは加熱温度 (°K)、tは加熱保持時間(分)である。}によって求められるパラメータ (P)の値が3.5〜6.0×10,4.0〜5.5×10が好ましく、より4.4〜5.0×10がより好ましい)となるように加熱温度と加熱保持時間とを調整すること、又は水蒸気分圧0.0001 以上及び酸素分圧0.2 以上の酸化性雰囲気中で加熱し酸化皮膜を形成することを特徴とする吸収式冷凍機の製造法にある。
【0016】
本発明は、前述の熱交換器及び高温再生器の少なくとも一方、又は高温再生器,凝縮器,低温再生器,蒸発器,吸収器及び熱交換器の鉄系部材によって構成されかつ少なくとも前記水溶液,水蒸気及び水に接する部分を前述と同じ方法によって酸化皮膜を形成させることにあり、また、これらの各要素を個々に製造させるものである。
【0017】
吸収式冷凍機の構成材料の吸収液であるハロゲン化合物として臭化リチウムが用いられ、これによる腐食は、高濃度の臭素イオンが構成材料上に吸着することにより引き起こされる。通常腐食速度は、初期には大きいが、時間と共に減少する。これは、時間と共に材料表面に酸化皮膜が生成し、これが防食皮膜として作用するためである。すなわち表面に防食皮膜が生成すると、腐食に影響を及ぼす水,酸素,酸素イオンや鉄イオン等の拡散が防食皮膜によって抑制されるために腐食が抑制されるためである。従って、前酸化処理によって予め構成材料表面に防食皮膜を生成しておけば、直接的に構成材料と臭素イオンの吸着や接触を阻止することができ、それによって腐食を防止することができる。構成材料の多くに、鉄系材料が使用されている。防食皮膜には構成材料を直接酸化することによって得られる鉄の酸化物を使用することができる。防食皮膜の防食性能は、単に皮膜の化学組成だけではなく、皮膜の物理的性質によっても左右される。すなわち前述したように、防食皮膜は腐食に関与する物質の拡散を抑制するために、防食皮膜が緻密である方が拡散抑制能が高い。いくら酸化皮膜が厚くても緻密性が保たれてなければ、防食皮膜としての働きは小さい。また表面に水酸基が存在する場合、水酸基のプロトンによって皮膜内に強固な水素結合が生じ、耐食性のよい皮膜が生成する。
【0018】
このような防食皮膜を生成させる方法としては、高温水を使用する方法と高温ガスによる方法がある。高温水を利用する場合、高温高圧容器が必要となり大規模な設備が必要となり問題が生じる。それに対して高温ガスとして空気(水蒸気分圧をコントロールし、任意の露点の空気)や水蒸気を使用する方法は、酸素ポテンシャルや水蒸気分圧を任意にコントロールできるため、設備が単純であり容易に実施することが可能である。また空気雰囲気にある冷凍機またはその構成要素をそのまま酸化処理するので、少なくとも空気中の酸素分圧に対する酸素ポテンシャルを有するために、酸素枯渇により酸化皮膜生成が不完全になることはない。さらにこれらの雰囲気で生成する酸化皮膜の厚さは数百オングストロームから数万オングストローム程度と非常に薄くすることが重要であり、それにより緻密性が高いものが得られるために高い耐食性の防食皮膜として作用することができる。
【0019】
構造材料にステンレス鋼や低合金鋼を使用した場合においても同様に前酸化処理手段として前記高温ガスを使用することができる。
【0020】
また前酸化処理において皮膜が生成しているために、初期においてもインヒビターの消費がほとんどなく、インヒビターを補給する必要性がなくなる。事前の防食皮膜処理によって冷凍運転初期から冷凍機構成材料の腐食を心配する必要がなく、製品の信頼性を向上させることが可能となる。
【0021】
前記従来技術で示したガスを用い比較的厚い防食皮膜を生成する方法では一度不活性ガスで充満させた後に酸素ガスを充満させるため防食皮膜の剥離が生じ不均一性が生じるのに対し、本方法では前述したように、比較的薄い皮膜を形成する方法では予め空気がある部分へ高温の水蒸気または任意の露点の空気または酸素ガスを導入するために、少なくとも雰囲気の酸素分圧は空気中の酸素分圧以上は存在するために酸素分圧不足により防食皮膜が生成されないということはないので、均一な皮膜が形成される。
【0022】
吸収液は重量で臭化リチウム50〜70%,アルカリ金属水酸化物0.05〜 1重量%,モリブデン酸塩をMoO  ̄ として10〜150ppm 及び、硝酸塩をNO ̄として5〜350ppmを含み、更に好ましくは高級アルコール0.2〜3%を含み、残部が30重量%以上の水からなるものが好ましい。
【0023】
吸収式冷凍機を動力源・用途・構成によって大別しますと表1のようになる。補器を運転するための少量の電力を除けば、電力をほとんど使用する必要がなく、動力源としては、ガス,油,蒸気をはじめとして多くの物が利用できます。
【0024】
基本的には冷房用冷水を作ることが主目的であり、冬期の暖房用温水の製造又は、冷水,温水の同期取り出しなど1台の機械で種々の目的に使用することができる。
【0025】
冷媒として水を使用し、吸収剤として臭化リチウム水溶液を使用しているため、運転中の機内圧力は、常時大気圧以下であり、圧力容器にはならない。従って運転資格についても、冷凍機としては、特別な資格が不必要である。
【0026】
回転部分としては、器内の冷媒,溶液を循環させるための小容量のポンプがあるだけであり、機械式の冷凍機に比較すると、騒音,振動が少ないなどの利点がある。
【0027】
【表1】
Figure 0003547915
【0028】
代表的なものとして、直だき二重効用吸収冷温水ユニットの構成要素について示す。
【0029】
機器は、四つの熱交換器である蒸発器,吸収器,凝縮器,低温再生器を一つのシェルに収めた本体と、高温再生器,冷媒,溶液をそれぞれ器内に循環する冷媒ポンプ及び溶液ポンプ、ならびに、溶液同志の熱交換を行う溶液熱交換器とから成っている。
【0030】
蒸発器では約1/100気圧の真空下において、冷媒である水がチューブ群上に撒布されており、この時管内を流れる冷水から蒸発熱を奪って気化するので、管内の冷水は冷やされて冷房の目的に使用される。
【0031】
吸収器では、管内を流れる冷却水によって、適度に冷却された臭化リチウムの水溶液が、蒸発器よりもやや低い飽和圧力を示すので、蒸発器で発生した冷媒蒸気は吸収器に流れ、溶液に吸収される。冷媒を吸収して稀くなった稀溶液は、溶液ポンプによって、高温再生器と低温再生器に2分して送られ各再生器において加熱濃縮され、濃溶液となって再び吸収器に戻る。
【0032】
高温再生器では、外部からガス,油などの熱源が供給され炉中で燃焼しますので、この熱により稀溶液は濃縮される訳ですが、この時付随的に発生する蒸気を、低温再生器の管内に通してここでの加熱濃縮に利用する。
【0033】
低温再生器の管外側で発生した蒸気は、凝縮器において液化し、蒸発器に戻ることにより、サイクルは一巡する。
【0034】
吸収器からの稀溶液を、二つの再生器に送り込む方法には大別して二通りあり、液を2分して並行に送り込む方式をパラレルフロー及び二つの再生器に直列的に送り込むシリーズフローとがあり、前者は後者に比較して、運転中の高温再生器内動作圧力が低く、大気圧に対する余裕が大きいので運転がしやすいこと及びサイクル内の溶液循環量が少ないために、同じ効率を得るための熱交換器の大きさが小さくてすむ利点がある。
【0035】
直だき二重効用吸収式冷温水ユニット
一般ビルの冷暖房用に広く使われている主熱源機器であり、夏期の電力ピークに伴うエネルギー転換に利用され、省エネルギーに対する要望も高いため、高温再生器における燃焼排ガスのもつエネルギーを回収して効率をあげた特別省エネルギー形もある。
【0036】
また、この形は応用範囲も最も広く、太陽熱利用もできる太陽熱・直だき併用形,ガス・油の燃料切替えのできる切替専焼形,屋外形,冷温水同時供給形などに対応できるものである。
【0037】
蒸気二重効用,蒸気一重効用吸収式冷凍機
二重効用蒸気だきには、圧力8kg/cmG の蒸気を使用されるが、先に述べたパラレルフローの利点を生かし、5kg/cmG ないし、冷水冷却水の温度の選定によっては、2kg/cmG でも運転できる低圧蒸気二重効用吸収式冷凍機がある。
【0038】
また、1kg/cmG 程度の余蒸気のある工場では、一重効用吸収式冷凍機が有効である。
【0039】
排ガス利用吸収式冷凍機,冷温水ユニット
ディーゼルエンジン,ガスタービンなどの排気や、各種工場から得られる塗装排ガスなどを熱源とした冷凍機であり、250℃程度以上あれば二重効用として使用できるものである。
【0040】
機器の構成としては、直だき二重効用吸収式温水ユニットの高温再生器部分を、排ガス熱回収器に置き換えることができる。この排ガス利用形は、他の熱源、すなわち、蒸気,ガス,油などとの切替形ができる。
【0041】
ソーラ吸収式冷凍機
太陽熱温水の温度は85℃程度で比較的低いので、一重効用として使用されるが、熱源として安定していないので、何らかの形のバックアップが必要である。これには、太陽熱併用直だき吸収式冷温水ユニットが最適であり、太陽熱が十分に得られない時には、直だき二重効用でバックアップできるので、設備費,運転経費とも、最も有利な方法である。
【0042】
吸収式ヒートポンプ
冷凍機はもともと低温熱源から、何らかの動力源によって熱を高温部分にくみ上げる機械であり、低温部における吸熱を活用したものが冷凍機であり、一方、高温部における放熱を利用することもできる。冷凍機における熱バランスとしては、熱のくみ上げに要した動力源熱量に低温部からくみ上げた熱量を、加算したものが高温部における放熱量に等しくなるので、単に動力源をそのまま加熱に使用する場合に比較すると、約1.5〜2 倍の向上が得られる。これが吸収式ヒートポンプであり、主として工場プロセス用,ボイラ給水の予熱などを暖房に使用することができる。
【0043】
【発明の実施の形態】
[実施例1]
厚さ2mmの一般構造用圧延鋼板(SS400)を用い、エメリー紙#6/0番まで研磨後、アセトン中で超音波洗浄し、実験に供した。試験片の化学組成(重量%)は次のとおりである。
【0044】
C:0.05,Si<0.01,Mn:0.24,P:0.016,S:0.010, Fe:残部。この材料は室温の耐力25kg/mm以上,引張強さ41〜52kg/mm,伸び率21%以上のものである。
【0045】
また溶接部の腐食評価には、冷間圧延鋼板であるJIS SPCE鋼板を2枚重ねその一端をプラズマ溶接によって接合したものを試験片として用いた。大気酸化処理条件は、300℃(1h),400℃(1,5,10,20h)及び 500℃(1h)とした。いずれの試験片も、電気炉が所定の温度に達した後に試験片を挿入し、その時間を酸化処理時間開始時間とした。SPCE鋼は圧延方向での室温での引張強さ28kg/mm以上,伸び率36%以上を有するものである。
【0046】
さらに実際の製造行程でできる酸化皮膜の耐食性を調べるために、電気炉を使用し、実際の製造プロセスに従い、プレス加工した2枚のSPCE鋼板を溶接したものを1組とし、それを10組重ね合せて大気酸化処理をした。この場合は、電気炉に試験片を挿入した後温度をあげ、中心の温度が所定の温度に達した時点を酸化処理開始時間とした。
【0047】
腐食試験液は市販の一級試薬LiBr・HO をイオン交換水に溶解し、実機の条件を合せて65重量%に調整し、これに重量でLiOH(0〜0.5%),LiMoO(0〜0.035%)及びLiNO(0〜0.005%)を添加した。特に、本実施例では腐食液として重量で、LiBr65%,LiOH0.3%,LiMoO0.02%溶液を用い、160℃で実験した。
【0048】
SS400の腐食試験は、オートクレーブ内に試験片と試験液を入れ、アルゴンガスで1時間脱気し、その後真空ポンプで2mmHgまで真空にし、これを433Kに保持した恒温槽中に200時間保持して行った。
【0049】
SPCEの腐食試験はガラス管を用い、それに試験片と試験液を入れ、真空ポンプに接続して25℃で2mmHgの減圧下で脱気し、433Kに保持した恒温槽中に200時間保持した。
【0050】
腐食試験後、試験片から腐食生成物を除去し、水洗,乾燥後、重量測定した。
図2は、SS400の200時間後の腐食量に及ぼす大気酸化処理温度の影響を示す。300℃,1hで大気酸化処理を施した試料の腐食量は、3.5mg/dmから最大67.5mg/dmの広い範囲でばらついている。しかし腐食量の最大値は、酸化処理を施していない試料の場合よりは小さい。特に330℃以上、より350℃以上で30mg/dm以下の腐食量となる。大気酸化処理温度が 400℃以上では、ばらつきもほとんどなくなり、腐食量は1/10以下に低下する。腐食量の下限値は、温度の上昇とともに上昇する傾向がある。
【0051】
図3は、SS400の腐食量に及ぼす400℃の大気酸化皮膜厚さの影響を度す。ここで大気酸化皮膜厚さは、酸化処理時間によって調整した。1時間酸化処理をすると、表面には約1200nmの酸化皮膜が生成する。その試験片の腐食量は、7.2mg/dm ̄であり、酸化処理によって腐食量は急減する。大気酸化処理時間を長くし酸化皮膜を厚くしても腐食量はほとんど変化しない。
【0052】
図4は、大気酸化処理を施した試験片の腐食量の時間変化を示す。1000時間後においても10mg/dm以下のほとんど腐食量は増加していない。
【0053】
図5は、大気酸化処理を施した試料の腐食量に及ぼすLiMoO濃度依存性を示す。大気酸化処理条件は、400℃,1時間である。大気酸化処理を施さない場合も合わせて示した。腐食条件は、図2の場合と同様である。大気酸化処理条件は、400℃,1時間である。大気酸化処理を施さない場合は、腐食量はLiMoOの添加により急激に減少し、さらに添加量の増加とともに腐食量は減少する。一方、大気酸化処理を施した場合、腐食量はLiMoO濃度にほとんど依存しなく、添加の有無による差も生じない。
【0054】
図6は、大気酸化処理を施した試料の腐食量に及ぼすLiOH濃度依存性を示す。添加物のない65%LiBr水溶液中における腐食量は酸化処理の有無にかかわらず、腐食量は500mg/dm以上であり非常に多い。LiOHを添加しても、酸化処理を施していない場合は腐食量は若干減少するものの顕著な抑制作用は示さない。それに対して酸化処理を施した場合は、0.1% のLiOHの添加によって腐食量は急激に減少する。しかしLiOH濃度には腐食量はほとんど影響されない。
【0055】
大気酸化処理を施していないもの及び400℃で1時間大気酸化処理を施したSPCE鋼板の溶接部の断面の1000時間腐食させた後の状況を調べた。大気酸化処理を施さない場合は、デポ及びハズの部分に孔食が発生する場合があったが、大気酸化処理を施した試料に関しては孔食は発生しなかった。他の温度で大気酸化した場合においても孔食の発生は見られなかった。
【0056】
1000時間の腐食試験後のインヒビターの濃度を測定した。大気酸化処理を施さない場合、LiMoOが0.02wt%から0.007wt%に、LiNOが0.005% から0%に低減した。それに対して、350℃で1時間大気酸化処理を施した場合では、LiMoOが0.02wt%から0.018wt%に、LiNOが0.005%から0.0028%に低減し、特にLiMoOの低減を抑えることができた。これは、インヒビターであるLiMoOの追加時期の間隔を延ばすことが可能であることを示し、メンテナンス間隔を広げることができることを意味する。
【0057】
300,400及び500℃で1時間大気酸化処理を施したSS400試験片について腐食前のSEM写真観察を行った。300℃で1時間大気酸化処理しても表面には研磨傷が明瞭にみられ、生成している酸化物はかなり薄い。それに対して、400℃で大気酸化処理をした場合、表面には針状及び粒状の結晶が生成しており、表面には酸化物の割れが見られる。500℃になると、針状の結晶は少なくなり、粒状の結晶に均一に覆われるようになる。腐食試験後においては、300℃で大気酸化処理を施した場合、表面に酸化物が生成し研磨傷が薄くなっている。400℃で大気酸化した試験片では、腐食試験前に見られた針状の結晶は少なくなっているものの表面状態はほとんど変化していない。500℃で大気酸化した試験片では、腐食試験前に見られた粒状の酸化物がなくなり、その下の緻密な酸化物が残存している。大気酸化処理によって生成した酸化皮膜は(400℃以上で)、腐食試験によって一部表面が溶出するものの皮膜の大きな変化はない。
【0058】
図7,図8及び図9は、それぞれ300,400及び500℃大気中で1時間大気酸化処理したSS400の試験片とそれを160℃の65%LiBr−0.3%LiOH−0.02%LiMoO溶液中で200時間腐食試験した後のX線回折結果を示す。いずれにおいてもFe及びFeが検出されている。また腐食試験後の試験片に関してはFe及びFe以外に(LiFe),(LiFe,FeO0.98,LiFe)及び(LiMoO, LiMo)も一部検出されているものと考えられるが、明確な分離は不可能である。大気酸化処理によって生成する酸化皮膜の組成は温度によらず一定である。腐食試験後の酸化皮膜組成も本質的には腐食前と同じであり、SEM観察の結果と一致している。
【0059】
図10は、400℃,1時間大気酸化した後のAESによる鉄及び酸素の Depthプロファイルを示す。鉄と酸素の比率は1:1.2であり、マグネタイトの1:1.33 に近く、X線回折の結果と一致している。皮膜厚さは、AESの結果によれば1500nm(1.5μm)程度であった。酸化処理後の試験片を酸洗し、その重量差から求めた皮膜厚さは1200nm程度であり(皮膜をFeと仮定し、密度5.16g/cmとして計算)、AESの結果とほほ一致していることから、大気酸化できる皮膜はかなり緻密である。
【0060】
[実施例2]
図1は、吸収式冷凍機の構成図を示している。本実施例の酸化処理は、高温の空気を高温再生器1→熱交換器2→吸収器3の経路に循環させることにより行う。まず冷凍機をポンプ等の非耐熱機器を除いた段階で仮組み立てを行った後、高温再生器1付近に設置したガス導入管4へ加熱装置5を備えた空気送風機6を接続する。バルブ7aを閉じ次いでバルブ7bを開け、加熱した高温の空気を冷凍機内部に導入する。使用する空気は水蒸気分圧0.00782 の湿度を有する空気(25℃で湿度25%の空気)である。この際、高温再生器1→低温再生器8→凝縮器9(冷凍機運転時には水蒸気が通るライン)の経路は腐食性が低いために前酸化処理を施す必要性は小さく、高温空気が腐食性の高い高温再生器1→熱交換器2→吸収器3のラインに入るようバルブ7c,7dを閉じる。導入された空気は、高温再生器,熱交換器を通り吸収器に導入される。処理時間は、200から800℃の空気で構造材の温度がその温度に達してから1から4時間程度の酸化処理が適当である。
【0061】
この密閉循環型吸収式冷凍機を冷媒に水を、また吸収液として臭化リチウムの濃厚水溶液を用いている。この冷凍機は高温再生器1,低温再生器8,凝縮器9,蒸発器12,吸収器3およびこれらの間に吸収液および冷媒を循環させるポンプ類と、熱交換器2から構成され、各部分は各々次のように作動する。
【0062】
(A)高温再生器1はガス炉油等の火炎によって冷媒を加熱蒸発させるもので、容器と内部の熱交換器は炭素鋼によって構成され、フロートボックスの底板にSUS304ステンレス鋼が用いられる。
【0063】
(B)蒸発器12
蒸発器12の蒸発器管束の管内には冷水が通じており、管外には冷媒が散布され、その蒸発の潜熱によって冷水から熱を奪う。
【0064】
(C)吸収器43
臭化リチウム水溶液は同じ温度の水よりも蒸気圧が著しく低く、かなり低い温度において発生する水蒸気を吸収できる。吸収器3では蒸発器12で蒸発した冷媒は吸収器の管束の外面に散布された臭化リチウム水溶液(吸収液)に吸収され、この時発生する吸収熱は管内を通る冷却水により冷却される。
【0065】
吸収器3で冷媒を吸収した希溶液は濃度が低下し、吸収力が弱くなる。そこで溶液ポンプ13により、一部は高温再生器1に送られ、高温蒸気等によって加熱され、冷媒蒸気が蒸発分離し、溶液は濃縮され濃溶液は吸収器3に戻る。さらに吸収器3から出た希溶液の一部は溶液ポンプ13により低温再生器8に送られ、高温再生器1で発生した冷媒蒸気により加熱濃縮され、濃溶液は吸収器3に戻る。高温再生器1で分離された冷媒蒸気は凝縮器9で管内を流れる冷却水によって冷却され、凝縮液化し、蒸発器12に戻る。
【0066】
(D)熱交換器2
吸収器3から高温再生器1に向う低温の希薄溶液を高温再生器1から吸収器3に向う高温の濃溶液によって予熱し、再生器加熱量を減少させる。
【0067】
(E)溶液ポンプ13
溶液ポンプ13は濃溶液,希薄溶液および冷媒を循環させる。
【0068】
吸収器3,高温再生器1および溶液ポンプ13が圧縮式冷凍機の圧縮機と同じ機能をする。吸収液は、冷凍機運転中に熱交換器2を介して高温再生器1と吸収器3の間を循環する。吸収液の濃度が高いほど、一般に冷凍効率も高まる故、吸収液を濃縮するために、高温再生器1はより高温に保持する必要がある。
【0069】
(F)冷却塔19
冷却塔19は凝縮器9から出た冷却水を外部の冷媒によって冷やすもので、モータ(M)でファン18を回転させるとともに、冷却水が噴霧される。
【0070】
凝縮器9,低温再生器8,蒸発器12,吸収器3内の真空容器内のパイプは銅が用いられ、他は炭素鋼によって構成されており、酸化膜の膜厚として青色,紫色,灰色,黒色のいずれかの色になるように酸化処理される。高温再生器1及び熱交換器2は炭素鋼によって構成され、同様の厚さと組成を有する酸化皮膜が形成される。炭素鋼はJIS規格の一般構造用圧延鋼材SS400が用いられる。炭素鋼の組成は重量で、C0.03〜0.13%(好ましくは0.04〜0.08%),Si0.5%以下(好ましくは0.05%以下),Mn0.5%以下,残部Feが好ましい。特にP及びSは0.02% 以下が好ましい。更に冷間圧延鋼板を用いることが好ましい。真空容器外の外囲りの配管は熱間によるマンネスマン継目無管が用いられ、表面に0.8〜3μm の厚さの黒色の酸化皮膜が形成されている。本実施例における酸化皮膜は水酸基又は水分を含み、内層にマグネタイト、外層にヘマタイト又はその水酸化物が形成される。
【0071】
図11は、高温再生器の部分の入り口のガス温度を800℃に調整するとともに水蒸気分圧0.00782 を有する空気(任意の露点の空気で本実施例では 25℃で湿度25%の空気)を用いて2時間酸化処理を処理を実施した場合と前酸化処理を実施しない場合の、冷凍機運転時における水素ガス発生量を示す。水素ガスは鉄の腐食反応によって生成するため、鉄の腐食量と水素ガス発生量は比例関係にある。図11に示すように本発明を実施した場合の水素ガス発生量は、しない場合と比較して、500時間冷凍機運転後において1/20以下であった。しかも200から1000時間においてはほとんど水素発生量は変化しなく水素発生速度に換算すると0.02ml/minとなる。それに対して本発明を実施しない場合は、200から1000時間において水素発生量は増加しており水素発生速度は2ml/min で、本発明を実施した場合の約100倍と非常に大きい値となる。
【0072】
図12は、本発明を実施した場合としない場合の冷凍機運転時におけるインヒビターの消費量を示している。本発明を実施した場合は、1000時間運転後におけるインヒビターの消耗量は極わずかであり、特に600時間以降ではインヒビターは全く消費していない。それに対して本発明を実施しない場合はインヒビターは500時間で既に約半分以下に減少し、さらに1000時間以降においても減少し続けている。従って本発明を実施した場合はインヒビターの補充回数が極端に削減できることがわかる。本発明を実施することにより、腐食,ガス発生量およびインヒビター消費量を非常に低く抑さえることができ冷凍機の性能,信頼性および耐久性を向上させることが可能となった。
【0073】
[実施例3]
別の前酸化処理方法としては、酸化処理の熱源に高温再生器で使用する加熱源を使用し、実施例2と同様の酸化皮膜を形成する。この際、図1に示す加熱装置5は不要となる。高温再生器の加熱源を使用して高温再生器内を所定の温度まで加熱した状態でガス送風機を作動させることにより、高温の空気を冷凍機内部に供給することができ、冷凍機構成材の内面に酸化皮膜を付けることができる。
【0074】
[実施例4]
図13は、水蒸気を使用して防食皮膜を形成する場合に使用する水蒸気発生装置である。ガス送風機によって送られた空気または酸素は水蒸気発生機内の水中にバブリングされる。水蒸気発生機内は熱源を有しており加圧状態下にある。バブリングされたガスは、水蒸気発生内で水蒸気を多分に含んだガスとなり、それがさらに加熱装置によって任意の温度まで加熱される。ガス導入管4を通して図1に示すバルブ7bに接続することによって、水蒸気による防食皮膜を形成することができる。これらのいずれの方法においても、高温のガスをブロワー等で循環させるため、いくら保温しているとはいえ温度降下が生じる。そのためにガスの吹き出し温度は高い方がよく、本実施例では800℃としたところ、下流側である吸収器においても400℃であり酸化処理には充分な温度であった。この方法では直接、凝縮器には高温のガスは導入されないが系内全体が高温になるためにその余熱により300℃まで加熱されるために、吸収器と同様に酸化処理には充分な温度で実施例2と同様に所望の色を有する酸化皮膜を形成することができる。
【0075】
水蒸気を有する雰囲気によって形成した酸化皮膜は冷媒に対する表面濡れ性が高く、高い冷却効率が得られる。
【0076】
[実施例5]
本実施例においては、実施例2のガス導入管4および加熱装置5を備えた空気送風機の代わりに、ポンプ,減圧弁などの非耐熱機器を除いて吸収式冷凍機を仮組上げた後の吸収液および冷媒を封入する前の段階において、冷凍機全体を20℃,湿度60%の水蒸気を含む空気中(水蒸気圧14.255mmHg ,水蒸気分圧0.01875)で400℃の電気炉内で2時間加熱処理(P=4.76×10)を施した。本実施例の処理を行った冷凍機の腐食量,ガス発生量およびインヒビター消費量は、実施例2の場合と同様に非常に低く抑さえることができ冷凍機の性能,信頼性および耐久性を向上させることが可能となった。この方法では冷凍機全体を加熱するために、細部に渡って均一で密着性の高い酸化皮膜を付けることができるという利点がある。また、冷凍機全体を加熱するために、全ての接液部に防食皮膜を生成することが可能であり、格段に防食性能を高めることができる。
【0077】
水蒸気を使用する場合は、電気炉に設置した冷凍機に図13に示した水蒸気発生装置を取り付けることにより防食皮膜を生成させることができる。
【0078】
[実施例6]
図14は、波型プレート熱交換器の外観斜視図を示す。これは板厚0.5mm の炭素鋼SS400を用い、波型にプレス加工した板を複数枚重ねて周囲を溶接した構造となっている。図中の斜線部が波型が形成されている部分で白地は波型はなく平らな部分及び○は配管が接続される。
【0079】
図15は波型の積層構造を示すプレート熱交換器の断面を示し、1,3,5層目…の奇数部分がA液が流れ、2層目,4層目,6層目の偶数の部分にB液がそれぞれ並流になるように溶液入口,出口と接続されている。
【0080】
プレート熱交換器は、小型で大面積を有するために、熱効率が非常に良い反面、大面積であるために腐食によって発生するHが大量であるために、これが性能低下を引き起こす。また熱効率を良くするために1枚のプレートの厚さは0.5 mm以下と非常に薄いために腐食を抑制することは非常に重要となる。
【0081】
波型プレート型熱交換器は、複数の温度および濃度が異なる吸収液が混在するという腐食には厳しい条件であるにもかかわらず、伝熱特性上0.4〜0.5mmという非常に薄い鋼板を使用している。腐食によって孔が空くと伝熱性能が急激に低下するため、この部分の防食が特に重要となる。
【0082】
図16は、波型プレート熱交換器の作成方法のフローチャートを示している。鋼板を所定の寸法に切り出した後、プレスを用いて波型に成型する。脱脂工程を経た後、所定の枚数を重ね合わせ周囲をそれぞれ溶接によって接合し、熱交換器を成形する。成形した熱交換器を実施例1と同じ空気中にて電気炉内に挿入し、電気炉内に設けられたファンを回わして流動空気中にて一定時間加熱する。酸化処理後、表面の色を観察し、青の干渉色から灰色を含む黒色の範囲であれば次の工程に移る。この工程においては、生成した皮膜が健全なものであるかどうか、すなわち良い耐食性を示す厚さが保持できているかどうかを判定している。生成する酸化皮膜が薄過ぎる場合は、腐食反応に関与する物質の拡散抑制能が低い。酸化皮膜の厚さを調べる方法として、オージエ分光分析等の機器分析がある。しかし生産ラインにこれを使用することは難しいが、生成する酸化皮膜は薄いために色によっておおよその厚さを判別することが可能である。各温度および時間を任意に設定して空気および水蒸気を用いて酸化処理を行い、表面の色とオージエ分光分析による酸化皮膜厚さの関係を求めたところ、各々1時間の加熱で、200℃でくすんだ金属面では30Å(オングストローム),300℃(P=3.88×10)では青の干渉色で300Å,400℃(P=4.56×10)では紫の干渉色で2000Å,500℃(P=5.24×10)では灰色で6000Å, 650℃(P=6.26×10)では黒色で12000Å以上であった。従って、表面の色がくすんだ金属面の場合にはまだ酸化処理が不十分であるために、酸化処理温度または時間の検討を行い更に酸化処理を継続する。この際酸化処理温度を上昇させる等の処理が行われる。本実施例では密閉型電気炉を用い、この電気炉中に波型プレート型熱交換器の全体を入れて、ガスとして実施例2と同じ空気を用い、表面に酸化皮膜を形成したものについて述べる。酸化温度および時間を150℃で1.0 時間(P=2.87×10)(酸化処理時間は、図17に示すようにその温度にさらされている時間を意味する、以後同様)とした場合、酸化処理後の表面の色はくすんだ金属面の色を呈していたため、温度を300℃にあげてさらに1.0 時間酸化処理を行った。その結果、表面の色は、青の干渉色となった。
【0083】
図18は酸化処理温度と酸化皮膜の厚さとの関係を示す線図である。
【0084】
次の工程においては、表面の酸化皮膜の剥離の有無が検討される。酸化皮膜の厚さと耐食性との間には相関性があるわけではない。酸化皮膜が厚すぎる場合、皮膜成長時や前酸化処理後の冷却時の残留などにより皮膜自身ひび割れや界面剥離を生じやすくなり、防食皮膜としての役割を果たさなくなる。例えば炭素鋼において温度を1000℃にした場合、表面には黒色の酸化皮膜が生成したが、一部に酸化皮膜の剥離が見られ、その部分には下地の金属色が確認された。この酸化皮膜では皮膜内に無数のクラックが生じているために、防食皮膜としての役割を果たさなかった。しかし温度を600℃に下げて酸化処理を施すと、酸化皮膜の剥離減少は見られなかった。酸化皮膜の剥離を左右する原因の一つには、昇温速度の影響もあげられる。図17は炭素鋼に実施例2と同じ空気を用いて、熱処理を施した際の温度履歴を示している。酸化処理後は炉冷である。(1)に示すように酸化処理温度を300℃,昇温速度を300℃/hとした場合、表面の色は青の干渉色であり酸化皮膜の剥離も観察されなかった。しかし(2)に示すように、酸化処理温度を500℃,昇温速度を300℃/hとした場合、表面の酸化皮膜の色は灰色であったが、表面の一部に酸化皮膜の剥離が見られた。そこで(3)に示すように昇温速度を250℃/hにすると酸化皮膜の剥離は見られなくなった。酸化処理温度が500℃を超える場合においても500℃の場合と同様であった。従って、空気を使用した場合は、昇温速度は酸化処理温度が300℃の場合は300℃/h程度、500℃以上の場合は250℃/h程度が適している。水蒸気を使用した場合は、酸化処理温度が500℃以上の場合で昇温速度が300℃/hにおいても皮膜の剥離は見られなかった。酸化皮膜の剥離が見られなかった場合は吸収式冷凍機の組み立て工程に送られる。酸化処理後、本実施例は炉冷の場合を示したが、空冷の場合でも同様の結果を得ることができた。
【0085】
プレート熱交換器は、プレートを2枚一組として周囲をプラズマ溶接し、それを複数組重ね合せて(一例として10組)、Box におさめた構造となっている。この構造に対して、所定の温度で1時間,大気酸化処理を施した。
【0086】
図19〜図21は、SPCE鋼を用いて実際の製造プロセスで作製し、300〜450℃の各温度で1時間、大気酸化処理したプレート熱交換器から切り出し、その腐食量の時間変化を示す。腐食試験液は、実施例1のSPCE溶接部の腐食評価の場合と同様である。各ナンバーは、図15に示すプレートナンバーから切り出した試験片のデータであることを示している。300℃においては、腐食量は広い範囲でばらついている。No.8−1に関しては、実際に500時間以降で急増したわけではなく、酸化処理の効果はほとんどなく、酸化処理を施していない試料の場合とほぼ同じ腐食量である。大気酸化処理温度が350℃では、腐食量のばらつきにはなくなり、その量も大気酸化処理を施さない場合と比較して1/10以下になる。400及び450℃においても350℃の場合と同様である。またSS400の場合と同様に大気酸化処理温度が高いほど腐食量が多くなる傾向がある。特に、図20,図21に示すように本発明の処理材は腐食量が 1000時間においても20mg/dm以下の優れたものである。また、その腐食量が10mg/dm以下のものも得られる。
【0087】
[実施例7]
図22は高温再生器の構成図を示す。吸収器で希釈された吸収液は、高温再生器に送られ、そこでバーナ(直だきの場合)で加熱・濃縮される。加熱・濃縮された吸収液は高温熱交換器へ送られる。一方高温再生器で発生した冷媒蒸気はミスト分離器を通って、凝縮器へ送られる。
【0088】
高温再生器では、吸収液であるLiBrが65%,160℃と高濃度,高温となるためにここの腐食は著しく防食が不可欠である。本実施例においても実施例5と同様に密閉電気炉内に高温再生器全体を入れて同様に酸化処理したものである。
【0089】
このように処理した構成要素を組み立てた吸収式冷凍機における水素発生量およびインヒビター消費量は、組み立て後に酸化処理を施した場合の図11,図 12の結果と同様の結果を得ることができ、冷凍機の耐食性および信頼性を確保することができた。酸化処理に当ってはバーナは取りはずして行った。容器及び熱交換部のパイプ及びそのパイプをつなぐ管板はいずれも炭素鋼である。本実施例での膜厚は紫色の濃い3000〜4000Åの厚さが良い。
【0090】
ここで示した検査方法は、それぞれの構成要素を組み立てた後にその全体を電気炉に挿入するために検査は外表面を検査することができる。実施例5に示した場合も、冷凍機全体を電気炉内に挿入するために、検査は冷凍機の外表面の観察で実施することができる。それに対し、実施例2の場合は冷凍機内部に高温のガスを導入するために、検査は冷凍機内部を観察するのが望ましく、そのためにファイバースコープ等を使用して検査しても良い。また、高温ガスを導入するために冷凍機外表面も加熱されるため、外表面は接している空気によって酸化されるために、その外表面の観察を内部の観察に代用することも可能である。
【0091】
また、前述のパイプには銅のリング状のフィンが多数設けられ、その表面にも酸化皮膜が形成されている。
【0092】
[実施例8]
本実施例は、配管21の前酸化処理方法を示したものである。配管21の場合、配管全体を電気炉22に入れる必要はなく、図23に示すようにある長さを有する管状炉内に配管を通し、ある一定の速度でその配管を移動させることにより配管内面を酸化処理することができる。図24に示すように配管内に筒状のヒータ23を挿入し配管を固定したままヒータを移動することにより配管内面を酸化処理することができる。
【0093】
[実施例9]
冷凍機構成材としてのSS400炭素鋼を100,200,300,400,600または800℃の温度領域において実施例2と同じ空気環境下においてそれぞれ1時間酸化処理を実施した。酸化処理後の表面の色は、200℃でくすんだ金属色、300℃で青色の干渉色、400℃で青紫の干渉色、600℃で青みがかった黒色、800℃で黒色であった。これらの方法で酸化処理を施した炭素鋼材を、吸収式冷凍機の一番過酷な条件である160℃のLiBr50〜70 wt%水溶液中に1000時間浸漬した。インヒビターとしてLiOH0.05 〜1.0wt%,LiMoO10〜150ppm(MoO  ̄として)、LiNO5〜350ppm (NO ̄として)を共存させている。表面に存在する酸化皮膜を除去し見かけの腐食量を求め、それから酸化処理によって浸漬前に生成している酸化皮膜量を差し引いて、真の腐食量を求めた。
【0094】
図25は腐食量と時間との関係を示す線図である。酸化処理を施していない場合も合わせて示した。酸化処理温度が100℃の場合の腐食量はほとんど無処理の場合と変わらないが、酸化処理温度が200℃になると腐食量は約半分に低減できる。さらに酸化処理温度が300℃以上になると、腐食量は約1/10以下に低減でき、しかも600時間以降で腐食はほとんど進行しなくなる。図15に示した実施例は、雰囲気コントロールをしていない、すなわち任意の露点のその場の湿度分の水蒸気圧を有する空気(28℃で湿度65%)を使用したものである。酸化処理後(腐食試験前)における酸化皮膜のX線回折を用いて性状を調べたところ、無処理および100℃では酸化物を検出することはできなかった。 200℃以上では、マグネタイトおよびヘマタイトが検出された。XPSの測定から表面には3価の鉄が検出されたことから、皮膜の構造は内層がマグネタイト,内層がマグネタイトから成る複合酸化皮膜である。また同様にXPSによって炭素鋼表面には、水分子または水酸基の存在が確認された。それに対し、乾燥空気(酸素濃度10ppm 以下)で酸化処理したものには、水分子または水酸基の存在は確認されなかった。
【0095】
尚、図25では400℃以上で酸化処理したものは高い耐食性を示しているが、構造物では600℃以上のものは酸化皮膜の剥離が見られ、腐食量が多くなること、また、300℃では線図のものより若干腐食量が多くなるものも見られた。
【0096】
[実施例10]
炭素鋼(SS400)及びステンレス鋼(SUS304)に関する結果を表2に示した。腐食条件は、実施例8と同じである。炭素鋼に関して、酸化雰囲気を実施例2と同じ空気を用い、酸化温度が300℃、昇温速度が300℃/h、酸化時間が0時間(300℃になった時点で冷却を開始)の場合、腐食量は200℃,1時間の場合と同様に約半分に減少する。酸化時間を1時間にすると前述したように腐食量は約1/10以下に低減することができる。酸化時間が4時間でも温度を400℃以上にした場合、酸化時間が0時間でも300℃,0時間の場合と異なり腐食量は、300℃,1時間の場合と同様に約1/10以下に低減することができる。これは300℃以上にさらされている時間が1時間以上になっているためである。前述したように、800℃においても同様の良い耐食性を示した。しかしFe−FeC 系状態線図によれば、723℃で変態を起こす。従って、薄板を酸化処理する場合は、300〜500℃,1〜4h程度が最も適しているといえる。しかし隙間等を有する複雑な冷凍機構成要素に関しては、部分によってはすぐに空気中の酸素を枯渇してしまう部分もある。このような構成要素に関しては、空気中の酸素の拡散を早めるために比較的高い500〜800℃程度で酸化するのが望ましい。厚板であれば、変態による変形も少なく加工する上で、問題とはならない。
【0097】
【表2】
Figure 0003547915
【0098】
500℃以上での炭素鋼に対する酸化処理は小さな試料に対しては雰囲気,加熱速度,冷却速度等の制御が容易で、均一な酸化皮膜が形成できるが、大型又は複雑な形状を有する熱交換器,高温再生器等の実際の製品においては酸化皮膜の剥離等が生じる均一な皮膜が形成されないので、300〜500℃未満、好ましくは380〜470℃、より400〜450℃が好ましい。
【0099】
図23及び図24の例は前述の任意の露点のその場の湿度分の水蒸気圧を有する空気(28℃で湿度65%)を使用して酸化処理するものである。従って、露点をコントロールする場合には装置および作業が非常に複雑になりデメリットがあるが、大気中で酸化処理する場合は装置および作業工程が非常に単純になるため、後者の方が酸化処理法として優れている。
【0100】
雰囲気を水蒸気にした場合は、500℃付近で腐食量が一番小さくなるため、薄板の場合400〜600℃で酸化処理するのが望ましい。水蒸気を使用した場合は、表面の水濡れ性が酸化処理をしていない金属面や空気酸化した面と比較して非常に優れており、これを吸収器に適用することによって冷凍効率を格段に向上させることができた。このために吸収器等水濡れ性が問題となる部署においては水蒸気酸化が、その他の部署においては空気酸化が適している。水蒸気酸化させた試験片表面には、X線光電子分光分析(XPS)により任意の露点の空気での酸化処理の場合と同様水酸基または水分子の存在が確認された。
【0101】
ステンレス鋼に関しても腐食量は、炭素鋼とほぼ同様の結果が得られている。しかし腐食量は、全体的に炭素鋼の1/3〜1/4となっている。これらの実験は、オーステナイ系ステンレスであるSUS304に関して実施したものであるが、フェライト系ステンレス鋼や低合金鋼に関しても同様の結果が得られた。しかしステンレス鋼は、特にオーステナイト系において、長時間、500〜900℃の温度領域にさらされると鋭敏化を生じる。1時間という短時間では鋭敏化の度合いは小さいが、応力がかかるような部材に関しては300〜500℃の温度領域が最も適しているといえる。
【0102】
[実施例11]
図26〜図31は吸収式冷凍機の構成を示す図である。図27は図26の左側及び図28は図26の右側側面図である。図29は全体斜視図であり、図20は図29に接続される冷却水系と冷水系統の装置システム図及び図31は同じく図29に接続される蒸気系の装置システム図である。
【0103】
本実施例に示す吸収式冷凍機は図1に示す装置構成を有している。本実施例においては、熱交換器2は図6及び図7に示す波型プレート熱交換器によって構成されるとともに、高温再生器1は図11によって構成されている。これらはいずれも装置全体に組込む前に各々実施例6及び実施例7と同様に酸化処理を行った。いずれも主な構成材料はSS400の炭素鋼からなり、酸化処理条件として温度25℃,湿度60%の大気にて450℃,1h保持,300℃/hの昇温速度で行った結果、約0.4μm の厚さの酸化皮膜を形成した。酸化皮膜の色は濃い色の紫色の干渉色であった。また、図30の冷却水系統と冷水系統及び図31の蒸気系に接続される配管は同じく炭素鋼管からなり、その表面に厚さ1〜5μmの黒色の酸化皮膜を形成したものを用いた。酸化処理は予め酸化処理したものを購入又は同じ大気を用い、650℃×1h保持,300℃/hの昇温速度で酸化処理することにより得られる。
【0104】
本実施例の装置を用い、重量で臭化リチウム65%,水酸化リチウム0.15 %を含む市販の吸収液(LiBr溶液)にLiNOをNO ̄として350ppm 添加した吸収液として封入し、全負荷で100時間運転し、次いで該吸収液に LiMoOをMoO  ̄ として75ppm 添加し、複合インヒビターとした場合について全負荷で100時間運転したが、機内で発生するHガス量は非常に少ないものであった。
【0105】
【発明の効果】
本発明によって、吸収式冷凍機構成材料の表面に予め耐食性及び密着性の良い特定の色調を有する皮膜を生成することによって防食効果が高く、製品の信頼性を向上させることが可能となった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を示す吸収式冷凍機のシステム構成図。
【図2】腐食量と大気中酸化との関係を示す線図。
【図3】腐食量と酸化膜の厚さとの関係を示す線図。
【図4】腐食量と腐食時間との関係を示す線図。
【図5】腐食量とLiMoO量との関係を示す線図。
【図6】腐食量とLiOH量との関係を示す線図。
【図7】X線回折結果を示す線図。
【図8】X線回折結果を示す線図。
【図9】X線回折結果を示す線図。
【図10】酸化皮膜のFe及びOのプロファイル図。
【図11】本発明および従来法による吸収式冷凍機内に発生する水素発生量を比較する図。
【図12】本発明および従来法による吸収式冷凍機内のインヒビターの残存量を比較する図。
【図13】本発明の水蒸気による酸化処理を施す装置を示す図。
【図14】熱交換器の斜視図。
【図15】図14の内部を示す断面図。
【図16】本発明の一実施例になる吸収式冷凍機に使用される熱交換機の作成方法のフローシート。
【図17】本発明に関する酸化処理の際の温度−時間曲線を表す図。
【図18】酸化皮膜の厚さと酸化温度との関係を示す図。
【図19】腐食量と時間との関係を示す図。
【図20】腐食量と時間との関係を示す図。
【図21】腐食量と時間との関係を示す図。
【図22】高温再生器の断面図。
【図23】本発明に関する配管を電気炉により作成する方法を表す図。
【図24】本発明に関する配管内にヒータを設けて作成する方法を示す図。
【図25】本発明および従来法による腐食量の時間経過を比較する図。
【図26】吸収式冷凍機の構成図。
【図27】図26の左側側面図。
【図28】図26の右側側面図。
【図29】吸収式冷凍機全体構成を示す斜視図。
【図30】冷却水系統及び冷水系統を示す装置のシステム図。
【図31】蒸気系を示す装置のシステム図。
【符号の説明】
1…高温再生器、2…熱交換器、3…吸収器、4…ガス導入管、5…加熱装置、6…ガス送風機、7a,7b,7c,7d…バルブ、8…低温再生器、9…凝縮器、10…蒸発器、11…膨張タンク、12…蒸発器、13…溶液ポンプ、 14…冷媒ポンプ、15…ドレンクーラ、16…操作盤、17…主回路盤、18…ファン、19…冷却塔。

Claims (5)

  1. 水を冷媒とし、ハロゲン化合物を吸収液とする吸収式冷凍機において、熱交換器及び高温再生器の少なくとも一方の表面で前記吸収液に接する表面に酸素分圧0.2 以上の気相中で形成された酸化被膜であって、マグネタイトと、ヘマタイト又はその水酸化物と、で構成される厚さ0.02〜5.0μmの酸化皮膜が形成されていることを特徴とする吸収式冷凍機。
  2. 請求項1記載の吸収式冷凍機であって、上記酸化被膜は水酸基を有する酸化被膜であることを特徴とする吸収式冷凍機。
  3. ハロゲン化合物を含む水溶液を加熱し水蒸気を発生させる高温再生器,前記水蒸気を凝縮させる凝縮器,前記水蒸気を冷却する低温再生器,前記凝縮器より出た水を蒸発させ冷水を発生させる蒸発器,該蒸発器より出た水をハロゲン化合物を含む水溶液に吸収させる吸収器及び該吸収器より出たハロゲン化合物を含む水溶液を前記高温再生器に戻すとともに前記低温再生器より出た水と前記吸収器より出たハロゲン化合物を含む水溶液とを熱交換させる熱交換器とを備えた吸収式冷凍機において、前記熱交換器及び高温再生器の少なくとも一方の表面で前記吸収液に接する表面に酸素分圧0.2 以上の気相中で形成された酸化被膜であって、マグネタイトと、ヘマタイト又はその水酸化物と、で構成される厚さ0.02〜5.0μmの酸化皮膜が形成されていることを特徴とする吸収式冷凍機。
  4. 請求項記載の吸収式冷凍機において、前記酸化被膜は、該冷凍機を構成する鉄系部材表面であって、前記ハロゲン化合物を含む水溶液に接する全表面に形成されていることを特徴とする吸収式冷凍機。
  5. 請求項または記載の吸収式冷凍機において、前記酸化被膜は200〜800℃の温度で、P=T(5+logt){但し、Tは加熱温度(°K)、tは加熱保持時間(分)である。}によって求められるパラメータ(P)の値が3.5〜6.0×103 となるように加熱温度と加熱保持時間とを調整して酸化処理されていることを特徴とする吸収式冷凍機。
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