JP3547852B2 - 半導体装置 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
この発明は半導体装置に関し、例えば、Pチャンネル型の出力MOSFET又はプルアップMOSFETを含むトライステート型出力バッファならびにこれをを含む大規模集積回路装置に利用して特に有効な技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
図6に例示されるように、電源電圧VCCと出力端子OUTとの間に設けられ出力制御信号DOC及び内部出力信号DOがともにハイレベルとされるとき選択的にオン状態とされるPチャンネル型の出力MOSFET(金属酸化物半導体型電界効果トランジスタ。この明細書では、MOSFETをして絶縁ゲート型電界効果トランジスタの総称とする)P7を含むいわゆるCMOS(相補MOS)型の出力バッファOBがある。また、図6のような出力バッファOBを複数個備えるゲートアレイ等の大規模集積回路装置があり、例えば図5に示されるように、m個の大規模集積回路装置LSI1〜LSImを構成するn個の出力バッファOB11〜OB1nないしOBm1〜OBmnの出力端子をバスBUSの対応するビットに共通結合してなるデジタルシステムがある。
【0003】
図6において、出力バッファOBは、いわゆるトライステート型の出力バッファとされ、上記出力MOSFETP7に加えて、出力端子OUTと接地電位GNDとの間に設けられ出力制御信号DOCがハイレベルとされかつ内部出力信号DOがロウレベルとされることで選択的にオン状態とされるNチャンネル型の出力MOSFETN7を含む。この出力MOSFETN7は、出力制御信号DOCがロウレベルとされるとき、出力MOSFETP7とともにオフ状態とされ、これを受けて出力端子OUTがいわゆるハイインピーダンス状態とされる。
【0004】
ところで、出力バッファOBを構成する出力MOSFETP7の基板部となるNチャンネル型のウェル領域は、通常、出力バッファOBが搭載される大規模集積回路装置の高電位側電源電圧つまり電源電圧VCCに結合される。また、出力MOSFETP7には、そのドレインとなるP型拡散層をアノードとしN型ウェル領域をカソードとする寄生ダイオードDPが寄生する。したがって、出力バッファOBの出力端子OUTがバスBUSの対応するビットに共通結合されしかも3V(ボルト)及び5Vといった異なる電位の電源電圧VCCを動作電源とする大規模集積回路装置が混在する図5のシステムでは、3Vの電源電圧VCCを動作電源とする大規模集積回路装置の出力バッファOBがハイインピーダンス状態にありかつバスBUSの対応するビットに5Vの電源電圧VCCを動作電源とする大規模集積回路装置の出力バッファOBからハイレベルが出力される場合において、図6に点線で示されるようなリーク電流ILがハイインピーダンス状態にある出力バッファOBの出力MOSFETP7の寄生ダイオードDPを介して対応する大規模集積回路装置の電源電圧VCCに流れ込む。この結果、出力バッファOBの出力端子OUTが共通結合されるバスBUSの信号形態が制約を受け、デジタルシステムとしてのシステム柔軟性が低下するものとなる。
【0005】
つまり、電源電圧電位の異なる大規模集積回路装置が混在する図5のシステムでは、ハイインピーダンス状態にある出力バッファOBの電源電圧の電位をVCCとしその出力MOSFETP7に寄生する寄生ダイオードDPの順方向電圧をVfpとするとき、出力端子OUTつまりバスBUSの対応するビットに、
Vx>VCC+Vfp
なる外部電圧Vxが印加されることで選択的にリーク電流ILの流れ込みが発生する訳であるが、このことは、バスBUSに結合されるいずれかの大規模集積回路装置が電源切断状態にありかつバスBUSの対応するビットに、
Vy>Vfp
なる外部電圧Vyが印加された場合でも同様に発生する。
【0006】
これに対処するため、例えば、日経マグロウヒル社発行『日経マイクロデバイス』1992年10月号の第83頁ないし第88頁には、図7に例示されるように、出力端子OUTにおける外部電圧の電位がロウレベルのときはPチャンネルMOSFETP8をオン状態として出力MOSFETP7のウェル領域を電源電圧VCCにチャージし、上記Vxのような高電位とされるときはMOSFETP8をオフ状態として出力MOSFETP7のウェル領域をフローティング状態とし、電源電圧VCCに対するリーク電流ILの流れ込みを防止する方法が提示されている。また、特開平5−259883号には、図8に例示されるように、電源電圧VCCと出力端子OUTとの間に設けられたPチャンネル型のプルアップMOSFETPEを含む出力バッファOBに、そのアノードが電源電圧VCCに結合されそのカソードがプルアップMOSFETPEのウェル領域に結合されるダイオードD3を追加することで、同様にハイインピーダンス出力時又は電源切断時におけるリーク電流ILを阻止する方法が提示されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、図7の方法を採った場合、出力MOSFETP7のウェル電位が出力端子OUTにおける外部電圧の電位に左右されるため、出力MOSFETP7の動作特性が不安定になるとともに、外部電圧の電位によっては出力MOSFETP7のウェル領域が完全なフローティング状態となり、ラッチアップの危険性もある。また、図8の方法を採った場合、ダイオードD3が設けられることで電源電圧VCCに対するリーク電流ILの流れ込みを防止することはできるが、通常時においてプルアップMOSFETPEのウェル電位がダイオードD3の順方向電圧分だけ低くなり、結果的にその動作特性が影響を受ける。
【0008】
この発明の目的は、出力MOSFET又はプルアップMOSFETの動作特性に影響を与えることなく、ハイインピーダンス出力時又は電源切断時におけるリーク電流の流れ込みを防止することにある。この発明の他の目的は、出力バッファの出力端子が共通結合されるバスの信号形態に関する制約を解き、出力バッファを含むデジタルシステムのシステム柔軟性を高めることにある。
【0009】
この発明の前記ならびにその他の目的と新規な特徴は、この明細書の記述及び添付図面から明らかになるであろう。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本願において開示される発明のうち代表的なものの概要を簡単に説明すれば、次の通りである。すなわち、回路の電源電圧及び出力端子間に設けられるPチャンネル型の出力MOSFET又はプルアップMOSFETを含むトライステート型出力バッファにおいて、回路の電源電圧と出力MOSFET又はプルアップMOSFETのウェル領域との間に、バッファ制御信号の有効レベルを受けて選択的にオン状態とされるPチャンネル型の第2のMOSFETを設け、第2のMOSFETのゲート及びドレイン間に、第2のMOSFETとは相補的条件で選択的にオン状態とされるPチャンネル型の第3のMOSFETを設ける。
【0011】
【作用】
上記した手段によれば、ロウレベル出力状態又はハイレベル出力状態では、バッファ制御信号を有効レベルとし第2のMOSFETをオン状態として、出力MOSFET又はプルアップMOSFETのウェル電位を回路の電源電圧まで充分に引き上げ、ハイインピーダンス出力状態又は電源切断状態では、バッファ制御信号を無効レベルとし第2のMOSFETを第3のMOSFETによりダイオード形態として、電源電圧供給ノードに対するリーク電流の流入経路を断つことができる。この結果、出力MOSFET又はプルアップMOSFETの動作特性に影響を与えることなく、ハイインピーダンス出力時又は電源切断時におけるリーク電流の流れ込みを防止することができるため、複数の出力バッファの出力端子が共通結合されるバスの信号形態に関する制約を解き、出力バッファを含むデジタルシステムのシステム柔軟性を高めることができる。
【0012】
【実施例】
図1には、この発明が適用された出力バッファOBの一実施例の基本的回路図が示され、図2には、その一実施例の信号波形図が示されている。これらの図をもとに、まずこの実施例の出力バッファOBの基本的回路構成と動作ならびにその特徴について説明する。なお、この実施例の出力バッファOBは、特に制限されないが、ゲートアレイ等の大規模集積回路装置に搭載され、図1の各回路素子は、大規模集積回路装置に搭載される他の回路素子とともに、単結晶シリコンのような1個の半導体基板上に形成される。以下の回路図において、そのチャンネル(バックゲート)部に矢印が付されるMOSFETはPチャンネル型であり、矢印の付されないNチャンネルMOSFETと区別して示される。また、図示されるバイポーラトランジスタは、すべてNPN型トランジスタである。
【0013】
図1において、この実施例の出力バッファOBは、電源電圧VCC(第1の電源電圧)と出力端子OUTとの間に設けられるPチャンネル型(第1導電型)の出力MOSFETP1(第1のMOSFET)と、出力端子OUTと接地電位GNDとの間に設けられるNチャンネル型の出力MOSFETN1とを含む。このうち、出力MOSFETP1のゲートには、出力駆動信号DSPが供給され、出力MOSFETN1のゲートには、出力駆動信号DSNが供給される。
【0014】
ここで、出力駆動信号DSPは、図2に例示されるように、“H”つまりハイレベル出力時において接地電位GNDのようなロウレベルとされ、“L”つまりロウレベル出力時及びHzつまりハイインピーダンス出力時には電源電圧VCCのようなハイレベルとされる。また、出力駆動信号DSNは、ハイレベル出力時及びハイインピーダンス出力時においてロウレベルとされ、ロウレベル出力時においてハイレベルとされる。出力バッファOBを搭載する大規模集積回路装置の動作電源が切断状態にあるとき、電源電圧VCCは接地電位GNDとともに0Vとなり、出力駆動信号DSP及びDSNはともにロウレベルとされる。
【0015】
出力バッファOBを搭載する大規模集積回路装置が電源投入状態にあり、出力駆動信号DSP及びDSNがともに接地電位GNDのようなロウレベルとされるとき、出力バッファOBでは、Pチャンネル型の出力MOSFETP1がオン状態とされ、Nチャンネル型の出力MOSFETN1はオフ状態とされる。したがって、出力端子OUTには、図2に例示されるように、出力MOSFETP1を介して電源電圧VCCのようなハイレベルが出力される。
【0016】
一方、出力駆動信号DSP及びDSNがともに電源電圧VCCのようなハイレベルとされるとき、出力バッファOBでは、Pチャンネル型の出力MOSFETP1はオフ状態とされ、代わってNチャンネル型の出力MOSFETN1がオン状態とされる。したがって、出力端子OUTには、出力MOSFETN1を介して接地電位GNDのようなロウレベルが出力される。
【0017】
次に、出力駆動信号DSPが電源電圧VCCのようなハイレベルとされ出力駆動信号DSNが接地電位GNDのようなロウレベルとされるとき、出力バッファOBでは、Pチャンネル型の出力MOSFETP1及びNチャンネル型の出力MOSFETN1がともにオフ状態とされる。したがって、出力端子OUTは、ハイインピーダンス状態となり、その電位は、例えば出力端子OUTに共通結合された他の出力バッファの出力電位に応じたものとなる。
【0018】
ところで、Pチャンネル型の出力MOSFETP1には、周知のように、そのドレインとなるP型拡散層をアノードとしその基板部となるN型ウェル領域をカソードとする寄生ダイオードDPが寄生する。このため、図2に例示されるように、出力バッファOBのハイインピーダンス出力時に、例えばバスの対応するビットに共通結合された他の出力バッファから出力端子OUTに対して、
Vx>VCC+Vfp
なる外部電圧Vxが印加された場合、出力バッファOBの寄生ダイオードDPを介して電源電圧VCCにリーク電流が流れ込む。なお、VCCは電源電圧VCCの電位を示し、Vfpは寄生ダイオードDPの順方向電圧を示す。
【0019】
これに対処するため、この実施例の出力バッファOBでは、電源電圧VCCと出力MOSFETP1のウェル領域つまり内部ノードn3との間にPチャンネルMOSFETP2(第2のMOSFET)が設けられ、さらにこのMOSFETP2のゲート及びドレイン間にはPチャンネルMOSFETP3(第3のMOSFET)が設けられる。このうち、MOSFETP2のゲートは、スイッチS1の中立端子に結合され、MOSFETP3のゲートは、スイッチS2の中立端子に結合される。スイッチS1のノーマリオン端子は、接地電位GNDに結合される。また、スイッチS2のノーマリオン端子は、電源電圧VCCに結合され、そのノーマリオフ端子は、接地電位GNDに結合される。MOSFETP2及びP3のウェル領域は、MOSFETP1のウェル領域に共通結合され、これによってMOSFETP1ないしP3はそのウェル領域を共有するものとなる。なお、スイッチS1及びS2は、図2に例示されるように、ともに出力バッファOBがハイレベル出力状態又はロウレベル出力状態とされ図1及び図2に示されないバッファ制御信号OBCがハイレベルとされるときオフ状態とされ、出力バッファOBがハイインピーダンス出力状態又は電源切断状態とされバッファ制御信号OBCがロウレベルとされるときオン状態とされる。
【0020】
出力バッファOBがハイレベル出力状態又はロウレベル出力状態とされスイッチS1及びS2がともにオフ状態とされるとき、出力バッファOBでは、MOSFETP2のゲートつまり内部ノードn1がスイッチS1のノーマリオン端子を介して接地電位GNDのようなロウレベルとされ、MOSFETP3のゲートつまり内部ノードn2はスイッチS2のノーマリオン端子を介して電源電圧VCCのようなハイレベルとされる。このため、MOSFETP3はオフ状態となり、MOSFETP2が完全なオン状態となって、出力MOSFETP1のウェル領域つまり内部ノードn3の電位は電源電圧VCCまで充分に高められる。
【0021】
一方、出力バッファOBがハイインピーダンス出力状態とされスイッチS1及びS2がともにオン状態とされると、出力バッファOBでは、MOSFETP3のゲートつまり内部ノードn2がスイッチS2のノーマリオフ端子を介して接地電位GNDのようなロウレベルとされる。このため、MOSFETP3がオン状態となり、MOSFETP2は、このMOSFETP3を介してそのゲート及びドレインが共通結合されることで、ダイオード形態とされる。言うまでもなく、MOSFETP2からなるダイオードのアノードは電源電圧VCCに結合され、そのカソードは出力MOSFETP1のウェル領域つまり内部ノードn3に結合される。このとき、出力MOSFETP1のウェル領域つまり内部ノードn3の電位は、電荷の放出経路がないために電源電圧VCCのままとされるが、出力端子OUTに図2に例示されるような高電位の外部電圧Vxが印加された場合、これが出力MOSFETP1の寄生ダイオードDPを介して伝達されるためにその順方向電圧Vfp分だけ低い電位つまりVx−Vfpに上昇する。
【0022】
しかし、この実施例の出力バッファOBでは、前述のように、MOSFETP2がそのカソードを内部ノードn3に結合すべくダイオード形態とされるため、出力端子OUTに外部電圧Vxのような高電位が印加された場合には、MOSFETP2が完全なオフ状態となり、これによって出力端子OUTから電源電圧VCCつまり電源電圧供給ノードに対するリーク電流の流入経路が断たれる。この結果、出力MOSFETP1の動作特性に影響を与えることなく、ハイインピーダンス出力時におけるリーク電流の流れ込みを防止できるため、複数の出力バッファの出力端子が共通結合されるバスの信号形態に関する制約を解き、出力バッファを含むデジタルシステムのシステム柔軟性を高めることができる。
【0023】
なお、出力バッファOBが電源切断状態とされるとき、MOSFETP3は、そのゲートがスイッチS2を介して接地電位GNDに結合されるものの、すべての内部ノードが接地電位GNDのようなロウレベルとされることで完全なオン状態とはならないが、出力端子OUTに例えば出力MOSFETP1の寄生ダイオードDPの順方向電圧Vfpより充分に高い電位の外部電圧Vyが印加された場合、これが内部ノードn3つまりそのソースに伝達されるために完全なオン状態となり、MOSFETP2をダイオード形態のままとする。この結果、電源切断時においても、出力MOSFETP1の動作特性に影響を与えることなくリーク電流の流れ込みを防止し、上記効果を得ることができるものとなる。
【0024】
図3には、図1の出力バッファOBの第1の実施例の具体的回路図が示されている。同図をもとに、出力バッファOBの具体的回路構成及び動作について説明する。なお、この実施例の出力バッファOBは、前記図1の実施例を基本的に踏襲するものであるため、これと異なる部分についてのみ説明を追加する。
【0025】
図3において、出力バッファOBを構成する出力MOSFETP1のゲートには、ナンド(NAND)ゲートNA1の出力信号つまり出力駆動信号DSPが供給され、出力MOSFETN1のゲートには、ノア(NOR)ゲートNO1の出力信号つまり出力駆動信号DSNが供給される。ナンドゲートNA1の一方の入力端子には、大規模集積回路装置の図示されない前段回路から所定の内部出力信号DOが供給され、その他方の入力端子には、大規模集積回路装置の図示されない制御回路から所定の出力制御信号DOCが供給される。また、ノアゲートNO1の一方の入力端子には内部出力信号DOが供給され、その他方の入力端子には出力制御信号DOCのインバータV1による反転信号が供給される。
【0026】
これにより、ナンドゲートNA1の出力信号つまり出力駆動信号DSPは、出力制御信号DOCがハイレベルとされかつ内部出力信号DOがハイレベルとされることで選択的にロウレベルとされ、この出力駆動信号DSPのロウレベルを受けて出力MOSFETP1が選択的にオン状態とされる。一方、ノアゲートNO1の出力信号つまり出力駆動信号DSNは、出力制御信号DOCがハイレベルつまりその反転信号がロウレベルとされかつ内部出力信号DOがロウレベルとされることで選択的にハイレベルとされ、この出力駆動信号DSNのハイレベルを受けて出力MOSFETN1が選択的にオン状態とされる。出力制御信号DOCがロウレベルとされるとき、ナンドゲートNA1の出力信号つまり出力駆動信号DSPは内部出力信号DOの論理値に関係なくハイレベルに固定され、ノアゲートNO1の出力信号つまり出力駆動信号DSNはロウレベルに固定される。このため、出力MOSFETP1及びN1はともにオフ状態となり、これを受けて出力バッファOBはハイインピーダンス出力状態とされる。
【0027】
次に、出力バッファOBを構成するMOSFETP2のゲートつまり内部ノードn1は、ダイオードD1(第1のダイオード)のカソードに結合され、さらにNチャンネルMOSFETN2を介して接地電位GNDに結合される。ダイオードD1のアノードは、PチャンネルMOSFETP4(スイッチ手段)を介して電源電圧VCCに結合される。MOSFETN2のウェル領域は接地電位GNDに結合され、MOSFETP4のウェル領域は電源電圧VCCに結合される。また、これらのMOSFETN2及びP4のゲートには、バッファ制御信号OBCのインバータV2による反転信号が共通に供給される。なお、バッファ制御信号OBCは、出力バッファOBがハイレベル出力状態又はロウレベル出力状態とされるとき接地電位GNDのようなロウレベルとされ、ハイインピーダンス出力状態とされるとき電源電圧VCCのようなハイレベルとされる。
【0028】
これにより、MOSFETN2は、出力バッファOBがハイレベル出力状態又はロウレベル出力状態とされバッファ制御信号OBCがロウレベルとされるとき選択的にオン状態とされ、図1のスイッチS1として作用する。また、MOSFETP4は、出力バッファOBがハイインピーダンス出力状態とされバッファ制御信号OBCがハイレベルとされるとき選択的にオン状態とされ、MOSFETP2のゲート電位つまり内部ノードn1における電位のロウレベルからハイレベルへの変化を補助し、高速化する。このとき、ダイオードD1は、出力端子OUTに高電位の外部電圧Vxが印加されたことによるリーク電流がMOSFETP4を介して電源電圧VCCに流れ込むのを阻止すべく作用する。MOSFETN2がオン状態とされMOSFETP4がオフ状態とされるとき、内部ノードn1はロウレベルとされ、MOSFETP2がオン状態とされる。また、MOSFETN2がオフ状態とされMOSFETP4がオン状態とされるとき、MOSFETP2は、前述のように、MOSFETP3がオン状態とされることでダイオード形態とされ、オフ状態とされる。この結果、MOSFETP4は、MOSFETP2とは相補的条件で選択的にオン状態とされるものとなる。
【0029】
一方、MOSFETP3のゲートつまり内部ノードn2は、PチャンネルMOSFETP5を介して電源電圧VCCに結合されるとともに、NチャンネルMOSFETN3を介して接地電位GNDに結合される。このうち、MOSFETP5のウェル領域は、電源電圧VCCに結合され、MOSFETN3のウェル領域は、接地電位GNDに結合される。また、これらのMOSFETP5及びN3のゲートには、前記バッファ制御信号OBCが共通に供給される。
【0030】
これにより、MOSFETP5は、出力バッファOBがハイレベル出力状態又はロウレベル出力状態とされバッファ制御信号OBCがロウレベルとされるとき選択的にオン状態となり、MOSFETN3は、出力バッファOBがハイインピーダンス出力状態とされバッファ制御信号OBCがハイレベルとされるとき選択的にオン状態となって、図1のスイッチS2として作用する。なお、MOSFETP5には、そのドレインとなるP型拡散層をアノードとしその基板部となるN型ウェル領域をカソードとする寄生ダイオードD2(第2のダイオード)が寄生するが、この寄生ダイオードD2は、出力バッファOBが電源切断状態とされMOSFETP5及びN3が完全なオン状態とならない場合でも、内部ノードn2の電位を電源切断時の電源電圧VCCつまり0Vよりその順方向電圧分だけ高い電位に保持し、出力端子OUTに外部電圧Vxのような高電位が印加されたときMOSFETP3を確実にオン状態とすべく作用する。
【0031】
図4には、図1の出力バッファOBの第2の実施例の具体的回路図が示されている。なお、この実施例の出力バッファOBは、前記図3の実施例を基本的に踏襲するものであるため、これと異なる部分についてのみ説明を追加する。
【0032】
図4において、この実施例の出力バッファOBは、電源電圧VCC及び出力端子OUT間に設けられる出力トランジスタT1と、出力端子OUT及び接地電位GND間に設けられる出力トランジスタT2とを含む。このうち、出力トランジスタT1のベースには、インバータV3及びV4とPチャンネルMOSFETP6及びNチャンネルMOSFETN4からなるもう1個のインバータとを介してナンドゲートNA1の出力信号が供給される。また、出力トランジスタT2のベースは、NチャンネルMOSFETN5のソース及びNチャンネルMOSFETN6のドレインに結合される。MOSFETN5のドレインは抵抗R1を介して電源電圧VCCに結合され、そのゲートはインバータV6の出力端子に結合される。また、MOSFETN6のソースは接地電位GNDに結合され、そのゲートはインバータV6の入力端子つまりインバータV5の出力端子に結合される。インバータV5の入力端子は、ノアゲートNO1の出力端子に結合される。
【0033】
これらのことから、出力トランジスタT1は、ナンドゲートNA1の出力信号がロウレベルとされるとき、つまりは出力制御信号DOC及び内部出力信号DOがともにハイレベルとされるとき選択的にオン状態とされ、出力端子OUTにおける出力信号のレベルを比較的急速に電源電圧VCCよりそのベースエミッタ電圧分だけ低いハイレベルとする。また、出力トランジスタT2は、ノアゲートNO1の出力信号がハイレベルとされるとき、つまりは出力制御信号DOCがハイレベルとされかつ内部出力信号DOがロウレベルとされるとき選択的にオン状態とされ、出力端子OUTにおける出力信号のレベルをほぼ接地電位GNDに近いロウレベルとする。出力制御信号DOCがロウレベルとされるとき、出力トランジスタT1及びT2は内部出力信号DOの論理値に関係なくオフ状態とされ、出力バッファOBの出力端子OUTはハイインピーダンス状態とされる。
【0034】
この実施例において、出力バッファOBは、さらに、電源電圧VCCと出力端子OUTとの間に設けられるPチャンネルMOSFETP1を含む。このMOSFETP1のゲートは、インバータV4の出力端子に結合され、そのウェル領域は、MOSFETP2を介して電源電圧VCCに結合される。これにより、MOSFETP1は、ナンドゲートNA1の出力信号がロウレベルとされるとき、つまりは出力信号の論理値に応じて選択的にかつ出力トランジスタT1とともにオン状態とされ、出力トランジスタT1の比較的大きな駆動能力により比較的急速に電源電圧VCCよりそのベースエミッタ電圧分だけ低いハイレベルに引き上げられた出力信号のレベルを電源電圧VCCまで充分に上昇させ、いわゆるプルアップMOSFETとして機能する。
【0035】
前述のように、MOSFETP2は、出力バッファOBがロウレベル出力状態又はハイレベル出力状態とされバッファ制御信号OBCがロウレベルとされることで選択的にオン状態となり、プルアップMOSFETP1のウェル電位を電源電圧VCCに引き上げる。また、出力バッファOBがハイインピーダンス出力状態又は電源切断状態とされバッファ制御信号OBCがハイレベルとされるときには、MOSFETP3を介してダイオード形態とされ、出力端子OUTからその寄生ダイオードDPを介して電源電圧VCCに流れ込もうとするリーク電流を阻止する。したがって、この実施例の出力バッファOBにおいても、前記図1及び図3の実施例と同様に、プルアップMOSFETP1の動作特性に影響を与えることなく、ハイインピーダンス出力時又は電源切断時におけるリーク電流の流れ込みを防止することができるため、複数の出力バッファOBの出力端子OUTが共通結合されるバスの信号形態に関する制約を解き、出力バッファOBを含むデジタルシステムのシステム柔軟性を高めることができるものとなる。
【0036】
図5には、図1の出力バッファOBの一実施例を示す接続形態図が示されている。同図をもとに、この実施例の出力バッファOBを含む大規模集積回路装置ならびにデジタルシステムのバス接続形態について説明する。
【0037】
図5において、この実施例のデジタルシステムは、バスBUSを介して結合されるm個の大規模集積回路装置LSI1〜LSImを備え、これらの大規模集積回路装置のそれぞれは、n個の出力バッファOB11〜OB1nないしOBm1〜OBmnを搭載する。大規模集積回路装置LSI1〜LSImに搭載される出力バッファOB11〜OB1nないしOBm1〜OBmnの入力端子には、対応する内部出力信号DO11〜DO1nないしDOm1〜DOmnがそれぞれ供給され、その出力端子は、バスBUSの対応するビットに順次共通結合される。また、各大規模集積回路装置に搭載されるn個の出力バッファOB11〜OB1nないしOBm1〜OBmnの制御端子はそれぞれ共通結合され、対応する出力制御信号DOC1〜DOCmがそれぞれ共通に供給される。
【0038】
これにより、大規模集積回路装置LSI1〜LSImの出力バッファOB11〜OB1nないしOBm1〜OBmnは、対応する出力制御信号DOC1〜DOCmのハイレベルを受けてそれぞれ選択的にしかもn個ずつ一斉に動作状態とされ、対応する内部出力信号DO11〜DO1nないしDOm1〜DOmnの論理値に従ったレベルの出力信号をバスBUSの対応するビットに出力する。
【0039】
この実施例において、大規模集積回路装置LSI1〜LSImに搭載される出力バッファOB11〜OB1nないしOBm1〜OBmnは、前記図1,図3又は図4の出力バッファOBからなり、この出力バッファOBは、前述のように、その出力端子に前記外部電圧Vxのような高電位が印加されることにともなうリーク電流の流れ込みを防止する機能を持つ。したがって、例えば図5に示されるように、大規模集積回路装置LSI1の動作電源となる電源電圧VCCを3Vとし、同じバスBUSに共通結合される大規模集積回路装置LSImの動作電源となる電源電圧VCCを5Vとしたとしても、大規模集積回路装置LSImに搭載されハイレベル出力状態にある出力バッファOBm1〜OBmnから大規模集積回路装置LSI1に搭載されハイインピーダンス出力状態又は電源切断状態にある出力バッファOB11〜OB1nへのリーク電流の流れ込みは生じない。
【0040】
周知のように、近年、ゲートアレイ等の大規模集積回路装置においては動作電源の低電圧化が進みつつあるが、その過程では、異なる電位の電源電圧を動作電源とする大規模集積回路装置が同一システム内に混在する可能性も高い。上記のように、本発明の出力バッファOBを用いてバスBUSを含むデジタルシステムを構築することで、バスBUSの信号形態に関する制約を解き、電源電圧の異なる大規模集積回路装置の混在を許容できるとともに、同一バスに結合される大規模集積回路装置を部分的に電源切断状態とすることも可能となり、デジタルシステムとしてのシステム柔軟性を高めることができるものとなる。
【0041】
以上の実施例から得られる作用効果は、下記の通りである。すなわち、
(1)回路の電源電圧及び出力端子間に設けられるPチャンネル型の出力MOSFET又はプルアップMOSFETを含むトライステート型出力バッファにおいて、回路の電源電圧と出力MOSFET又はプルアップMOSFETのウェル領域との間に、バッファ制御信号の有効レベルを受けて選択的にオン状態とされるPチャンネル型の第2のMOSFETを設け、この第2のMOSFETのゲート及びドレイン間に、第2のMOSFETとは相補的条件で選択的にオン状態とされるPチャンネル型の第3のMOSFETを設けることで、ロウレベル出力状態又はハイレベル出力状態では、バッファ制御信号を有効レベルとし第2のMOSFETをオン状態として、出力MOSFET又はプルアップMOSFETのウェル電位を回路の電源電圧まで充分に引き上げ、ハイインピーダンス出力状態又は電源切断状態では、バッファ制御信号を無効レベルとし第2のMOSFETを第3のMOSFETによりダイオード形態として、電源電圧供給ノードに対するリーク電流の流入経路を断つことができるという効果が得られる。
【0042】
(2)上記(1)項により、出力MOSFET又はプルアップMOSFETの動作特性に影響を与えることなく、ハイインピーダンス出力時又は電源切断時におけるリーク電流の流れ込みを防止できるという効果が得られる。
(3)上記(1)項及び(2)項により、複数の出力バッファの出力端子が共通結合されるバスの信号形態に関する制約を解き、出力バッファを含むデジタルシステムのシステム柔軟性を高めることができるという効果が得られる。
【0043】
以上、本発明者によってなされた発明を実施例に基づき具体的に説明したが、この発明は、上記実施例に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることは言うまでもない。例えば、図2において、内部ノードn1〜n3のレベルや出力駆動信号DSP及びDSNならびにスイッチS1及びS2等との時間関係は、この実施例による制約を受けない。図3において、ダイオードD2は、寄生ダイオードではなく、例えばショットキーバリヤダイオード等からなる独立の素子としてもよいし、MOSFETP4及びダイオードD1は、その位置を互いに入れ換えることができる。図4において、ハイレベル出力用の出力トランジスタT1を、NチャンネルMOSFETにより実現してもよいし、逆にロウレベル出力用の出力トランジスタT2をNチャンネルMOSFETにより実現することもできる。各実施例において、出力バッファOBの具体的回路構成や電源電圧の極性及び絶対値ならびにMOSFET及びトランジスタの導電型等は、種々の実施形態を採りうるし、バス構成も任意である。
【0044】
以上の説明では、主として本発明者によってなされた発明をその背景となった利用分野であるゲートアレイ等の大規模集積回路装置に搭載される出力バッファに適用した場合について説明したが、それに限定されるものではなく、例えば、出力バッファとして単体で形成されるものや同様な出力バッファを搭載する各種のメモリ集積回路装置等にも適用できる。この発明は、少なくともPチャンネル型の出力MOSFET又はプルアップMOSFETを含む半導体装置ならびにこのような半導体装置を含む装置及びシステムに広く適用できる。
【0045】
【発明の効果】
本願において開示される発明のうち代表的なものによって得られる効果を簡単に説明すれば、下記の通りである。すなわち、回路の電源電圧及び出力端子間に設けられるPチャンネル型の出力MOSFET又はプルアップMOSFETを含むトライステート型の出力バッファにおいて、回路の電源電圧と出力MOSFET又はプルアップMOSFETのウェル領域との間に、バッファ制御信号の有効レベルを受けて選択的にオン状態とされるPチャンネル型の第2のMOSFETを設け、この第2のMOSFETのゲート及びドレイン間に、第2のMOSFETとは相補的条件で選択的にオン状態とされるPチャンネル型の第3のMOSFETを設けることで、ロウレベル出力状態又はハイレベル出力状態では、バッファ制御信号を有効レベルとし第2のMOSFETをオン状態として、出力MOSFET又はプルアップMOSFETのウェル電位を回路の電源電圧まで充分に引き上げ、ハイインピーダンス出力状態又は電源切断状態では、バッファ制御信号を無効レベルとし第2のMOSFETを第3のMOSFETによりダイオード形態として、電源電圧供給ノードに対するリーク電流の流入経路を断つことができる。この結果、出力MOSFET又はプルアップMOSFETの動作特性に影響を与えることなく、ハイインピーダンス出力時又は電源切断時におけるリーク電流の流れ込みを防止することができるため、複数の出力バッファの出力端子が共通結合されるバスの信号形態に関する制約を解き、出力バッファを含むデジタルシステムのシステム柔軟性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明が適用された出力バッファの一実施例を示す基本的回路図である。
【図2】図1の出力バッファの一実施例を示す信号波形図である。
【図3】図1の出力バッファの第1の実施例を示す具体的回路図である。
【図4】図1の出力バッファの第2の実施例を示す具体的回路図である。
【図5】図1の出力バッファの一実施例を示す接続形態図である。
【図6】従来の出力バッファの一例を示す回路図である。
【図7】従来の出力バッファの他の一例を示す回路図である。
【図8】従来の出力バッファのさらに他の一例を示す回路図である。
【符号の説明】
OB・・・出力バッファ、S1〜S2・・・スイッチ、DSP,DSN,DS3,DS4・・・出力駆動信号、OUT・・・出力端子。
DO・・・内部出力信号、DOC・・・出力制御信号、OBC・・・バッファ制御信号。
DP・・・寄生ダイオード、D1〜D3・・・ダイオード、P1〜PF・・・PチャンネルMOSFET、N1〜NF・・・NチャンネルMOSFET、V1〜V7・・・CMOSインバータ、NA1〜NA2・・・ナンド(NAND)ゲート、NO1〜NO2・・・ノア(NOR)ゲート、T1〜T4・・・NPN型バイポーラトランジスタ、R1〜R2・・・抵抗、
BUS・・・バス、LSI1〜LSIm・・・大規模集積回路装置、OB11〜OB1nないしOBm1〜OBmn・・・出力バッファ、DO11〜DO1nないしDOm1〜DOmn・・・内部出力信号、DOC1〜DOCm・・・出力制御信号、VCC・・・電源電圧、GND・・・接地電位。
Claims (3)
- 第1の電源電圧と出力端子との間に設けられ出力信号の論理値に応じて選択的にオン状態とされる第1導電型の第1のMOSFETと、第1の電源電圧と上記第1のMOSFETのウェル領域との間に設けられバッファ制御信号の有効レベルを受けて選択的にオン状態とされる第1導電型の第2のMOSFETと、上記第2のMOSFETのゲート及びドレイン間に設けられ第2のMOSFETとは相補的条件で選択的にオン状態とされる第1導電型の第3のMOSFETとを含むトライステート型出力バッファを備え、
上記バッファ制御信号は、上記出力バッファがロウレベル出力状態又はハイレベル出力状態にあるとき選択的に有効レベルとされ、ハイインピーダンス出力状態又は電源切断状態にあるとき選択的に無効レベルとされるものであることを特徴とする半導体装置。 - 上記第1ないし第3のMOSFETは、そのウェル領域を共有するものであることを特徴とする請求項1の半導体装置。
- 上記出力バッファは、そのアノードが上記第2のMOSFETとは相補的条件で選択的にオン状態とされるスイッチ手段を介して選択的に第1の電源電圧に接続されそのカソードが上記第2のMOSFETのゲートに結合される第1のダイオードと、そのアノードが上記第3のMOSFETのゲートに結合されそのカソードが第1の電源電圧に結合される第2のダイオードとを含むものであることを特徴とする請求項1又は請求項2の半導体装置。
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