JP3547642B2 - 自力式の差圧保持ダンパー - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は自力式の差圧保持ダンパーに関し、特に屋外や隣室との圧力差を一定に維持することが要求されるクリーンルームなどにおいて、隣室等との圧力差を自力式で一定に保持するための差圧保持ダンパーに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
クリーンルームでは、周囲の粉塵などが室内に入らないように、隣室や屋外よりも室内の圧力を高く維持している。逆に、有害なガスや微生物などを取り扱う部屋では、室内の有害なガスや微生物が外部へ漏洩することのないように、隣室や屋外よりも室内の圧力を低く維持している。たとえばクリーンルームの場合、隣室等(以下、単に「隣室」という)との圧力差は、送風機等による室内への給気風量総計と室内からの排気風量総計との差である室圧保持風量を、隣室に面した開口部(すき間等)の面積に応じた所定の風量に設定することにより生じさせている。このため、送風機の運転風量の経時変化や室内設置機器の排気風量の変動などにより室圧保持風量が変動した場合や、隣室に面した開口部の面積が変化して所定差圧を保持するのに必要な室圧保持風量が変化した場合には、室間差圧に変化が生じることになる。
【0003】
また、クリーンルームなどにおいて、隣室との間にベルトコンベヤなどのための大きな貫通開口部があり、設定した室間差圧が大きい場合には、大きな室圧保持風量が必要である。このような場合、送風系への取入れ外気量の増加に伴う空調熱処理エネルギーや送風機動力などを多大に必要とするだけでなく、貫通開口部を通過する空気の風速が大きくなるのでベルトコンベヤ上の製品が倒れ易くなる。しかしながら、両室間の圧力差をなくすると、周囲の塵埃が貫通開口部を介してクリーンルームへ流入し拡散してしまう。このため、隣室との圧力差をなるべく小さく設定し、設定した所望の圧力差を確実に保持することのできる技術が求められている。
【0004】
クリーンルームなどにおいて室間差圧を一定に維持するための装置として、室圧保持風量(処理風量)がある範囲内で変動しても室間差圧をほぼ一定に保持する機能を有する自力式の差圧保持ダンパーが知られている。従来の自力式の差圧保持ダンパーは、スウィング式の差圧保持ダンパーとスライド式の差圧保持ダンパーとに大別される。
図10は、従来のスウィング式差圧保持ダンパーの構成および作用を示す図である。また、図11は、従来のスライド式差圧保持ダンパーの構成および作用を示す図である。なお、図10(b)および図11(b)において、縦軸は室間差圧(Pa)を、横軸は処理風量(m/h)を示している。
【0005】
図10(a)に示すように、スウィング式差圧保持ダンパーでは、上端部をピボットとして揺動自在に構成された遮蔽部材100によって隣室に面した開口部101を覆っている。
一方、図11(a)に示すように、スライド式差圧保持ダンパーでは、斜設された中心ガイドロッド110に沿って滑動自在に構成された皿状の羽根部材111によって隣室に面した開口部112を覆っている。
これらの装置では、気流によりダンパーを押し開く方向に働く開放力と、遮蔽部材や羽根部材のウェイトなどによりダンパーを元の閉止位置へ戻す方向に働く復元力とが拮抗し、双方の力が均衡した時点でダンパーの上流と下流との間に生じる圧力差が室間差圧になる。自力式の差圧保持ダンパーの場合、配線工事や電力は不要であり、機器も安価であるため、低コストでの設置が可能である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上述のスウィング式差圧保持ダンパーは、構造が単純であり、処理風量(室圧保持風量)の大きな装置の構成も容易である。しかしながら、スウィング式では、図10(b)に示すように、処理風量の増大につれてダンパー開度が増大し、ダンパー開度に依存する復元力も増大するため、室間差圧も増大してしまう。そのため、スウィング式の場合、制御範囲内として標榜している処理風量の範囲内においても、処理風量の増大にともなって室間差圧が上昇するので、室間差圧を精度良く一定に保持することができないという不都合があった。スウィング式以外であっても、処理風量の増大により復元力が増大するタイプの差圧保持ダンパーには同様の不都合がある。
【0007】
一方、スライド式差圧保持ダンパーでは、図11(b)に示すように、処理風量が増大しても復元力が一定であるため、スウィング式に比べて圧力制御性能に優れ、所定の処理風量制御範囲内であれば処理風量が変化しても室間差圧の変化は微小である。しかしながら、スライド式では、皿状の羽根部材111を中心ガイドロッド110に沿って低摩擦力のもとで移動させるためにベアリング113を用いており、この移動部分(羽根部材111+ベアリング113)の重量をある程度以下に小さくすることができない。その結果、この移動部分の重量に依存する室間差圧を、たとえば5Pa(水柱0.5mm)程度以下の微小な室間差圧に設定することができないという不都合があった。
【0008】
また、1台のスライド式差圧保持ダンパーの処理風量範囲を増大させるには、中心ガイドロッド110を長くするか、機器全体を大型化する必要がある。しかしながら、中心ガイドロッド110を長くすると、ダンパーの張り出しが大きくなる。また、羽根部材111の形状がたとえば円形であるため、機器全体を大型化すると装置の寸法が縦横同寸法比率で大きくなり、設置することのできる場所が限定されてしまう。そのため、スライド式差圧保持ダンパーを用いて処理風量を大きく設定するには、処理風量の小さい機器を並列的に多数配置するほかなく、結果としてダンパーの専有スペースが大きくなる。いずれの場合も、美観を損ない、空間の有効利用を損なうことになる。
【0009】
以上のように、従来の自力式差圧保持ダンパーのうち、スウィング式では室間差圧の制御能力が確実ではないという不都合があった。また、スライド式では、5Pa以下の微小な室間差圧を設定することができないという不都合があった。さらに、スライド式では、処理風量範囲を増大させようとすると、空間の有効利用が損なわれるという不都合があった。
【0010】
本発明は、前述の課題に鑑みてなされたものであり、空間の有効利用が損なわれることなく、微小な室間差圧を確実に保持することのできる、自力式の差圧保持ダンパーを提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するために、本発明では、低圧側の空間と高圧側の空間との間の圧力差をほぼ一定に保持するための自力式の差圧保持ダンパーにおいて、
設置状態において鉛直方向に沿って延びる中心軸線を有する筒状部材と、
前記高圧側の空間からの空気を前記筒状部材の下端部へ導くためのチャンバ部と、
前記チャンバ部を介して前記筒状部材の下端部へ導かれた前記高圧側の空間からの空気が前記筒状部材の内部において形成する上昇気流を受けて、前記筒状部材の内部で鉛直方向に沿って浮遊するフロート部材とを備え、
前記筒状部材の側面には、前記低圧側の空間に面した開口部が形成され、
前記筒状部材の側面に形成された前記開口部は、前記フロート部材よりも下方の領域における前記開口部の面積が前記フロート部材の浮遊高さ位置に応じて変化するように形成されていることを特徴とする差圧保持ダンパーを提供する。
【0012】
本発明の好ましい態様によれば、前記筒状部材の側面に形成された前記開口部は、鉛直方向に沿って分布した多数の小開口部を有することが好ましい。あるいは、鉛直方向に沿って延びる1つまたは複数のスリット状の開口部を有することが好ましい。
また、本発明の好ましい態様によれば、前記フロート部材は、所定の重量を有するウェイトを着脱自在に取り付けることができるように構成されていることが好ましい。さらに、前記フロート部材が前記筒状部材の内部から前記チャンバ部の内部へ落下するのを防止し、且つ前記フロート部材を支持した状態において前記チャンバ部と前記筒状部材との間における空気の流れを実質的に遮断するためのストッパを備えていることが好ましい。
【0013】
さらに、本発明の好ましい態様によれば、前記筒状部材の側面には、鉛直方向に沿って延びたスリット状の透明な窓部が形成され、前記フロート部材の側面において前記スリット状透明窓部に対応する位置には、所定のマークが形成されていることが好ましい。また、前記低圧側の空間と前記高圧側の空間との間に形成された壁部を前記チャンバ部の一部が貫通し、前記筒状部材の全部および前記チャンバ部の残部が前記低圧側の空間の内部に設置されていることが好ましい。あるいは、前記筒状部材および前記チャンバ部は、前記低圧側の空間と前記高圧側の空間との間に形成された壁部またはドア部の内側に設置されていることが好ましい。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明では、設置状態において鉛直方向に沿って延びる中心軸線を有する筒状部材を備え、その内部が空気流路を構成する。この空気流路には、クリーンルームのような高圧側の部屋からの空気がチャンバ部を介して導入される。一方、筒状部材の側面には、低圧側の部屋(たとえばクリーンルームの隣室)に面した開口部が形成されている。この開口部は、たとえば均一に分布した多数の小開口部からなり、隣室への空気流出部を構成する。また、筒状部材の内部には、クリーンルームからの空気が形成する上昇気流を受けて浮遊するフロート部材が収容されている。
【0015】
したがって、高圧側のクリーンルームからの空気はチャンバ部を介して筒状部材の内部へ流入し、上向きの気流となってフロート部材を所定の高さ位置まで押し上げる。そして、筒状部材の内部へ流入した空気は、筒状部材の側面に形成された多数の小開口部のうちフロート部材よりも下にある小開口部を介して、低圧側の隣室へ流出する。この場合、フロート部材は、小開口部から隣室へ流出する風量がクリーンルームから流入した風量と等しくなるまで上昇し、双方の風量がバランスする位置で静止する。通過風量に変化がなければ、フロート部材は、筒状部材の内部すなわち空気流路内で静止した状態を保つ。
【0016】
このフロート部材の静止状態におけるクリーンルームと隣室との間の室間差圧は、フロート部材の重量とフロート部材の受風面積とに基づいてほぼ規定される圧力値であり、その値はほぼ一定に保持される。そして、この状態から通過風量が増減しても、空気流路内の気流の増減に応じてフロート部材が上下するだけで、室間差圧は変化することなくほぼ一定に保持される。また、フロート部材に取り付けるウェイト(錘)の重量を増減させるだけで、室間差圧の設定値を容易に変更することができる。
【0017】
以上のように、本発明の差圧保持ダンパーでは、室間差圧がフロート部材の全体重量とフロート部材の受風面積とに基づいてほぼ規定されるが、フロート部材の上下移動に関して摩擦低減用のベアリングなどをフロート部材に取り付ける必要がないため、フロート部材の重さを所望の程度まで小さく抑えることが容易である。したがって、本発明では、フロート部材の重量を小さく構成することにより、従来技術において設定することのできなかった微小差圧も設定可能であり、処理風量が変化しても設定した微小差圧を精度良くほぼ一定に保持することができる。すなわち、本発明では、微小差圧を含む広い差圧範囲内において室間差圧を一定に保持する制御性が良好である。
【0018】
また、本発明では、筒状部材の断面形状について、中心軸線に沿って断面形状がほぼ一定であることを除き、断面形状自体に特に制約がない。すなわち、筒状部材の断面形状について、形状自由度が高い。したがって、処理風量範囲を広く設定するために、筒状部材の内側断面積(厳密にはその内部に形成される空気流路の断面積)を大きく設定しなければならない場合にも、筒状部材の断面形状を必ずしも縦横同比率で大きくする必要はない。したがって、本発明の差圧保持ダンパーでは、装置全体を壁部やドア部の内部へ組み込むことも可能であり、処理風量範囲を広く設定しても空間の有効利用が損なわれることがない。
【0019】
本発明の実施例を、添付図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の実施例にかかる差圧保持ダンパーの構成を概略的に示す斜視図である。また、図2は、本実施例の差圧保持ダンパーの設置状態における縦断面図である。
本実施例では、高圧側の部屋であるクリーンルームとそれに隣接する低圧側の部屋との間で室間差圧をほぼ一定に保持するための自力式の差圧保持ダンパーに本発明を適用している。
【0020】
本実施例の差圧保持ダンパーは、矩形状の断面を有する筒状部材1を備えている。筒状部材1の内部は、ダンパーの作動状態において空気流路を構成する。筒状部材1の4つの側面には、ほぼ均一に分布する小さな円形開口部2が多数形成されている。これらの小開口部2は、ダンパーの作動状態において空気流出部を構成する。また、筒状部材1の内部には、フロート部材3が収容されている。フロート部材3は、筒状部材1の内側断面積(厳密には空気流路の断面積)よりもわずかに小さい断面積(受風面積に相当する)を有し、空気流路を構成する筒状部材1の内部において上昇する気流の作用により鉛直方向に沿って浮遊するように構成されている。また、フロート部材3は、所定の重量を有するウェイト(錘)7を着脱自在に取り付けることができるように構成されている。
【0021】
本実施例の差圧保持ダンパーはまた、筒状部材1の下端部に連結されたチャンバ部4を備えている。チャンバ部4は、空気の流入口を形成する開口部5を有し、この開口部5から流入した空気が筒状部材1の下端部へ導かれるように構成されている。
さらに、本実施例の差圧保持ダンパーには、フロート部材3が筒状部材1の内部からチャンバ部4の内部へ落下するのを防ぐためのストッパ9が設けられている。したがって、休止状態では、フロート部材3はストッパ9上に支持され、筒状部材1の内部において最も低い位置をとるとともに、筒状部材1とチャンバ部4との間における空気の流れを実質的に遮断する。
【0022】
図2の設置状態を参照すると、本実施例の差圧保持ダンパーは、高圧側の部屋であるクリーンルーム12と低圧側の部屋である隣室13との間の壁部11に取り付けられ、筒状部材1の中心軸線が鉛直方向と一致し且つチャンバ部4の開口部5がクリーンルーム12に面するように設置されている。すなわち、チャンバ部4は壁部11を貫通し、その開口部5に隣接する一部はクリーンルーム12の内部に突出しているが、筒状部材1の全体およびチャンバ部4の大部分は隣室13側に設置されている。
【0023】
以上の構成を有する本実施例の差圧保持ダンパーは、以下のように動作する。
高圧側のクリーンルーム12からの空気(気流)は、チャンバ部4の開口部5を介してダンパーに流入する。ダンパーに流入した空気は、チャンバー部4を介した後、上向きの気流となって筒状部材1へ流入する。筒状部材1の内部に形成された上昇気流は、ストッパ9上に支持されていたフロート部材3を所定の高さ位置まで押し上げる。その結果、筒状部材1へ流入した空気は、筒状部材1の側面に形成された多数の小開口部2のうちフロート部材3よりも下方の領域にある小開口部2aを介して、低圧側の隣室13へ流出する。この場合、フロート部材3は、小開口部2aの総面積が増えて所定の面積に達するまで、すなわち小開口部2aから流出する風量が開口部5から流入した風量と等しくなるまで上昇し、双方の風量がバランスする位置で静止する。
【0024】
通過風量に変化がなければ、フロート部材3は、筒状部材1の内部すなわち空気流路内で静止した状態を保つ。このときのクリーンルーム12と隣室13との間の室間差圧は、フロート部材3の重量とフロート部材3の受風面積とに基づいてほぼ規定される圧力値であり、その値はほぼ一定に保持される。そして、この状態から通過風量が増加しても、空気流路内の気流増加によりフロート部材3が上昇し、筒状部材1の小開口部2aを介して隣室13へ流出する風量が増加するため、室間差圧は変化することなくほぼ一定に保持される。一方、通過風量が減少した場合にも、空気流路内の気流減少によりフロート部材3が下降し、筒状部材1の小開口部2aを介して隣室13へ流出する風量が減少するため、室間差圧は変化することなくほぼ一定に保持される。
【0025】
室間差圧の設定値の変更は、たとえばフロート部材3に取り付けるウェイト7を増減させるだけで容易に達成可能である。フロート部材3に取り付けるウェイト7の重量を増大させた場合、すなわちフロート部材3の全体重量を増大させた場合、2室間の通過風量が同じであればフロート部材3の浮遊高さ位置は低くなり、フロート部材3よりも下に存在する小開口部2aの数も減少し、結果として空気流出部の面積は減少する。しかしながら、フロート部材3の重量が増加した分だけ室間差圧が大きくなっているので、筒状部材1の内部と低圧側の隣室13との間の圧力差も大きくなっており、小開口部2aを通過する風速が増大して、小開口部1個あたりの通過風量が増加する。
【0026】
一方、フロート部材3の全体重量を減少させた場合、2室間の通過風量が同じであればフロート部材3の浮遊高さ位置は高くなり、フロート部材3よりも下に存在する小開口部2aの数は増大し、空気流出部の面積は増大する。しかしながら、フロート部材3の全体重量が減少した分だけ室間差圧が小さくなっているので、筒状部材1の内部と低圧側の隣室13との間の圧力差も小さくなっており、小開口部2aを通過する風速が減少して、小開口部1個あたりの通過風量も減少する。
【0027】
また、本実施例の差圧保持ダンパーは、上述のような圧力制御機能だけでなく、逆流防止機能および室圧保持風量の簡易表示機能も備えている。以下、この点について説明する。
清浄度の高いクリーンルーム12において空調機器を停止させたりドアの開閉を行うと、両室間で圧力差がなくなったり、圧力差が逆転することがある。この場合、本実施例の差圧保持ダンパーでは、フロート部材3が自重により速やかに下降し、ストッパ9上に支持される状態で停止して2室間の気流を遮断する。その結果、粉塵等の汚染物質が隣室13からクリーンルーム12へ逆流することを防止することができる。
【0028】
さらに、上述したように、フロート部材3の浮遊高さ位置は、2室間を通る空気の量に依存する。このため、フロート部材3が静止している高さ位置を読み取ることにより、2室間を流れる風量すなわち室圧保持風量を検出することができ、ひいては室圧保持風量が適切な範囲内にあることを容易に把握することができる。なお、フロート部材3の高さ位置は、筒状部材1の側面に形成された多数の小開口部2を介して目視により把握することができる。あるいは、図1に示すように、筒状部材1の側面に鉛直方向に沿って延びたスリット状の透明な窓部8aを形成し、フロート部材3の側面においてスリット状透明窓部8aに対応する位置にマーク8を形成し、スリット状透明窓部8aを介してマーク8を目視することによってフロート部材3の高さ位置を読み取ることもできる。
【0029】
図3は、本実施例の差圧保持ダンパーにおける処理風量−室間差圧特性を模式的に示す図である。図3において、縦軸は室間差圧(Pa)を、横軸は処理風量(m/h)を示している。
図3に示すように、本実施例の差圧保持ダンパーでは、1Pa(水柱0.1mm)〜50Pa程度までの広い差圧設定範囲に亘って室間差圧を精度良くほぼ一定に保持することができる。特に、1Paという従来技術では設定不可能であった微小差圧も設定可能であり、処理風量が変化しても設定した微小差圧を精度良くほぼ一定に保持することができる。
【0030】
以上のように、本実施例の差圧保持ダンパーでは、室間差圧がフロート部材3の全体重量とフロート部材3の受風面積とに基づいてほぼ規定されるが、フロート部材3の上下移動に関して摩擦低減用のベアリングなどをフロート部材3に取り付ける必要がないため、フロート部材3の重さを所望の程度まで小さく抑えることが容易であり、ひいては室間差圧を小さく設定することが容易である。したがって、本実施例では、フロート部材3の重量を小さく構成することにより、従来技術において設定することのできなかった1Pa程度の微小差圧も設定可能であり、処理風量が変化しても設定した微小差圧を精度良くほぼ一定に保持することができる。
【0031】
なお、上述の実施例では、正方形に近い矩形状の断面を有する筒状部材の4つの側面に小開口部を形成しているが、筒状部材の1つの側面に小開口部を集中させたり、筒状部材やフロート部材のアスペクト比(縦横比)を大きくしても、フロート部材の安定性は大きく変化しない。したがって、筒状部材のアスペクト比(すなわちその内部に形成される空気流路断面のアスペクト比)を大きく設定し、且つ筒状部材の1つの側面に小開口部を集中させることにより、壁やドア等と一体化した構造をとることも可能である。この場合、従来のスウィング式やスライド式とは異なり、壁面から室内側に突出する部分を全くなくすることもできるため、室内空間の有効利用および美観の向上を図ることができる。この構成は、処理風量が大きい場合に特に有利である。
【0032】
具体的には、図4の断面図および図5の正面図に示すように、差圧保持ダンパー全体を、すなわち筒状部材1およびチャンバ部4をクリーンルーム12と隣室13との間に形成された壁部11の内部に組み込むことができる。この場合、チャンバ部4の開口部5がクリーンルーム12に面しており、筒状部材1の1つの側面に形成された小開口部2が隣室13に面していることはいうまでもない。また、図6の正面図に示すように、差圧保持ダンパー全体をクリーンルーム12と隣室13との間に設けられたドア部14の内部に組み込むこともできる。
【0033】
また、上述の実施例では、筒状部材の側面においてほぼ均一な分布にしたがって小開口部を形成しているが、図7に示すように不均一な分布にしたがって小開口部2を形成することもできる。この場合、筒状部材の上部領域または下部領域に小開口部を集中的に分布させ、ある一定の処理風量の増減に対するフロート部材の移動量を任意に設定することができる。これは、流量の簡易表示機能を利用する場合に、フロート部材の浮遊高さ位置と処理風量とがほぼ比例するように調整する場合などに有用である。また、多数の小開口部に代えて、図8に示すように鉛直方向に沿って延びたスリット状の開口部2bを形成することもできる。
【0034】
さらに、上述の実施例では矩形断面を有する筒状部材を用いているが、フロート部材の上下移動に支障がなく且つ側面に小開口部やスリット状の開口部を形成することができる限りにおいて、円形や他の適当な断面形状を有する中空の筒状部材を用いて本発明の効果を得ることができる。
また、空気流路を形成すべき筒状部材として、格子状の筒状部材や、通気性を有する布(織物や不織物)からなる筒状部材や、メッシュ金網からなる筒状部材など、空気流出口を有する適当な素材からなる筒状部材を用いることができる。
【0035】
また、筒状部材の内部空間によって形成される空気流路の断面形状についても、三角形、四角形、多角形、円形、楕円形など様々な形状を適用することができる。
さらに、筒状部材の断面形状はその中心軸線に沿ってほぼ一定であることが必要であるが、必要に応じて、上方に向かってわずかに広がるような形状に設定したり、上方に向かってわずかに細くなるような形状に設定することもできる。これらの形状設定は、たとえば処理風量と室圧制御性の要求レベルとの組み合わせなどに基づいて適宜決定される。
【0036】
また、本発明において、フロート部材の材質について特別な制限はない。ただし、その内面(たとえば受風面に対応する面およびその反対側の面)はある程度変形してもよいが、その側面の外形形状が容易に変形することがないように、ある程度硬い材質であることが好ましい。また、微小な差圧設定を可能にするためには、たとえば軽量プラスチックなど比重の軽い材質を用いることが好ましい。
【0037】
上述したように、フロート部材の全体重量をフロート部材の受風面積で除した値がほぼ差圧設定値となるが、場合によっては2つの値の間に補正係数を介在させることになる。この場合、フロート部材の全体重量を調節して所望の差圧設定値を実現するには、フロート部材の交換によりフロート部材本体の重量を調整したり、フロート部材本体に加える錘(ウェイト)の重量を調節したりする必要がある。ところで、ウェイトの形状または形態は、多層平板状であっても、ブロック状であってもよい。多層平板状のウェイトの場合、たとえばフロート部材に設けられた縦棒に対して穴付き平板を重ねる取り付け形態が可能である。また、ブロック状のウェイトの場合には、たとえばフロート部材に形成された窪みの中にブロック状のウェイトを入れて蓋をする形態や、フロート部材から紐を介してブロック状のウェイトを吊り下げる形態などが可能である。
【0038】
一方、フロート部材の形状または形態は、平板状であってもよいし、上方に向かって開口した箱型(図9(a)参照)や下方に向かって開口した箱型、または中空の箱型(図9(b)参照)や上下二枚の平板を距離を隔てて結合した平板結合型(図9(c)参照)であってもよいし、箱型フロート部材の受風面を曲面状に形成したドーム型であってもよい。特に、平板状のフロート部材や厚みの薄い箱型のフロート部材の場合、フロート部材の姿勢制御のために、所定の錘を紐などによりフロート部材から吊り下げることが好ましい。
また、上述の実施例では、クリーンルームに対して本発明を適用しているが、有毒ガスや有毒微生物などを扱う部屋に対して本発明を適用することもできる。
【0039】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明では、室間差圧がフロート部材の全体重量とフロート部材の受風面積とに基づいてほぼ規定されるが、フロート部材の上下移動に関して摩擦低減用のベアリングなどをフロート部材に取り付ける必要がないため、フロート部材の重さを所望の程度まで小さく抑えることが容易である。したがって、フロート部材の重量を小さく構成することにより、従来技術において設定することのできなかった微小差圧も設定可能であり、処理風量が変化しても設定した微小差圧を精度良くほぼ一定に保持することができる。
【0040】
また、本発明では、筒状部材の断面形状について、中心軸線に沿って断面形状がほぼ一定であることを除き、断面形状自体に特に制約がない。すなわち、筒状部材の断面形状について、形状自由度が高い。したがって、処理風量範囲を広く設定するために、筒状部材の内側断面積を大きく設定しなければならない場合にも、筒状部材の断面形状を必ずしも縦横同比率で大きくする必要はない。したがって、本発明の差圧保持ダンパーでは、装置全体を壁部やドア部の内部へ組み込むことも可能であり、処理風量範囲を広く設定しても空間の有効利用が損なわれることがない。
さらに、本発明では、上述のような圧力制御機能だけでなく、逆流防止機能および室圧保持風量の簡易表示機能を備えた実施形態も可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例にかかる差圧保持ダンパーの構成を概略的に示す斜視図である。
【図2】本実施例の差圧保持ダンパーの設置状態における縦断面図である。
【図3】本実施例の差圧保持ダンパーにおける処理風量−室間差圧特性を模式的に示す図である。
【図4】壁部またはドア部に組み込まれた本発明の差圧保持ダンパーを示す断面図である。
【図5】壁部に組み込まれた本発明の差圧保持ダンパーを示す正面図である。
【図6】ドア部に組み込まれた本発明の差圧保持ダンパーを示す正面図である。
【図7】筒状部材の側面に形成される空気流出口の変形例を示す図である。
【図8】筒状部材の側面に形成される空気流出口のもう1つの変形例を示す図である。
【図9】箱型のフロート部材の断面形状を示す図である。
【図10】従来のスウィング式差圧保持ダンパーの構成および作用を示す図である。
【図11】従来のスライド式差圧保持ダンパーの構成および作用を示す図である。
【符号の説明】
1 筒状部材
2 筒状部材の空気流出用の開口部
3 フロート部材
4 チャンバ部
5 チャンバ部の空気流入用の開口部
7 ウェイト(錘)
8 マーク
8a 透明窓部
9 ストッパ
11 壁部
12 クリーンルーム
13 隣室
14 ドア部

Claims (4)

  1. 低圧側の空間と高圧側の空間との間の圧力差をほぼ一定に保持するための自力式の差圧保持ダンパーにおいて、
    設置状態において鉛直方向に沿って延びる中心軸線を有する筒状部材と、
    前記高圧側の空間からの空気を前記筒状部材の下端部へ導くためのチャンバ部と、
    前記チャンバ部を介して前記筒状部材の下端部へ導かれた前記高圧側の空間からの空気が前記筒状部材の内部において形成する上昇気流を受けて、前記筒状部材の内部で鉛直方向に沿って浮遊するフロート部材とを備え、
    前記筒状部材の側面には、前記低圧側の空間に面した開口部が形成され、
    前記筒状部材の側面に形成された前記開口部は、前記フロート部材よりも下方の領域における前記開口部の面積が前記フロート部材の浮遊高さ位置に応じて変化するように形成されていることを特徴とする差圧保持ダンパー。
  2. 前記フロート部材は、所定の重量を有するウェイトを着脱自在に取り付けることができるように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の差圧保持ダンパー。
  3. 前記フロート部材が前記筒状部材の内部から前記チャンバ部の内部へ落下するのを防止し、且つ前記フロート部材を支持した状態において前記チャンバ部と前記筒状部材との間における空気の流れを実質的に遮断するためのストッパを備えていることを特徴とする請求項1または2に記載の差圧保持ダンパー。
  4. 前記筒状部材の側面には、鉛直方向に沿って延びたスリット状の透明な窓部が形成され、
    前記フロート部材の側面において前記スリット状透明窓部に対応する位置には、所定のマークが形成されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の差圧保持ダンパー。
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