JP3547596B2 - オートテンショナ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、伝動ベルトの張力を一定に保つためのテンションプーリの押圧動作を許容しながら、伝動ベルトから受ける振動や衝撃によるテンションプーリの位置変動を規制するオートテンショナに関する。
【0002】
【従来の技術】
上述したような機能を有するオートテンショナとしては、種々な構造が考えられているが、例えば、伝動ベルトが巻き掛けられるテンションプーリと、テンションプーリを回動自在に支持する揺動アームと、揺動アームを揺動可能に支持する固定の揺動支軸と、揺動支軸と揺動アームとの摺動部分に介装される摩擦板と、摩擦板側へ揺動アームを押圧するとともに揺動アームを一回転方向へ弾発付勢するねじりコイルバネとを少なくとも備える構造がある。
【0003】
前述のねじりコイルバネや摩擦板は、伝動ベルトの張力が緩やかに変化したときと激しい振動や衝撃が加わったときとで、異なる機能を発揮する。
【0004】
まず、伝動ベルトの張力が緩やかに変化したときは、ねじりコイルバネのねじり復元力(周方向の付勢力)により揺動アームが傾動する結果、伝動ベルトの張力が一定に保たれる。
【0005】
一方、伝動ベルトからテンションプーリに対して激しい振動や衝撃が作用したときは、その振動や衝撃が揺動アームのボス部に伝わるが、ねじりコイルバネの伸張復元力(軸方向の付勢力)によりボス部を摩擦板に押しつけているので、ボス部と摩擦板との間に大きな摩擦抵抗が発生し、振動や衝撃を吸収し素早く減衰するため、テンションプーリを支持する揺動アームの揺動が防止され、伝動ベルトに対する張力が一定に保たれる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上述したようなオートテンショナでは、使用経過に伴い摩擦板が摩耗するのであるが、この摩耗粉が、摩擦板とその摩擦相手部材との間に残存することがある。この摩耗粉の残存量が増えると、摩擦抵抗が変化し、振動や衝撃に対する減衰機能が低下するおそれがある。
【0007】
したがって、本発明では、オートテンショナにおいて、摩擦板の摩擦抵抗の変化を抑制できるようにすることを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明の請求項1のオートテンショナは、伝動ベルトの張力を一定に保つためのテンションプーリの押圧動作を許容しながら、伝動ベルトから受ける振動や衝撃によるテンションプーリの位置変動を規制するもので、テンションプーリを回動自在に支持する揺動アームとそれを揺動可能に支持する固定の揺動支軸との摺動部分に揺動アームに揺動抵抗を与える摩擦板が介装され、この摩擦板の接触相手面に摩擦板の摩擦粉を溜める凹部が設けられ、該凹部の径方向内側の端に外部への開口を有している。この場合、摩擦板の経時的な摩耗によって発生した摩耗粉が凹部に溜められる。これにより、摩擦板とその接触相手面との間から摩耗粉が排除されて残存しにくくなり、摩擦板の摩擦抵抗が変化しにくくなる。凹部の径方向内側の端に外部への開口を有しているから、凹部に溜められた摩耗粉が開口から外部へ逐次排出されるようになる。これにより、凹部内の摩耗粉が摩擦板と接触相手面との間へ戻ることが抑制される。
【0009】
本発明の請求項2のオートテンショナは、伝動ベルトの張力を一定に保つためのテンションプーリの押圧動作を許容しながら、伝動ベルトから受ける振動や衝撃によるテンションプーリの位置変動を規制するもので、テンションプーリを回動自在に支持する揺動アームと、揺動アームを揺動可能に支持する固定の揺動支軸と、揺動支軸と揺動アームとの摺動部分に介装される摩擦板と、摩擦板側へ揺動アームを押圧するとともに揺動アームを一回転方向へ弾発付勢するねじりコイルバネとを備え、摩擦板の接触相手面に、摩擦板の摩耗粉を溜める凹部が設けられ、該凹部の径方向内側の端に外部への開口を有している。この請求項2は、請求項1の構成を限定したもので、請求項1と同様の作用が得られる。
【0010】
本発明の請求項3のオートテンショナは、伝動ベルトの張力を一定に保つためのテンションプーリの押圧動作を許容しながら、伝動ベルトから受ける振動や衝撃によるテンションプーリの位置変動を規制するもので、伝動ベルトが巻き掛けられるテンションプーリと、一端にテンションプーリを回動自在に支持するプーリ支持部をまた他端に揺動支点となるボス部を有する揺動アームと、揺動アームのボス部が回動可能に外嵌され揺動アームを揺動可能に支持する固定の揺動支軸と、揺動支軸の自由端に設けられる摩擦板押さえ板と、摩擦板押さえ板と揺動アームのボス部の端面との摺動部分に挟持される摩擦板と、揺動支軸と揺動アームのボス部との嵌合部分の外周に取り付けられて摩擦板側へ揺動アームを押圧するとともに揺動アームを一回転方向へ弾発付勢するねじりコイルバネとを備え、揺動アームのボス部または摩擦板押さえ板の少なくともいずれか一方に、摩擦板の摩耗粉を溜める凹部が設けられ、該凹部の径方向内側の端に外部への開口を有している。この請求項3は、請求項1の構成を請求項2よりもさらに限定したもので、請求項1,2と同様の作用が得られる。
【0011】
本発明の請求項4のオートテンショナは、上記請求項1ないし請求項3のいずれかに記載のオートテンショナにおいて、前記凹部が、円周等配の複数箇所に設けられている。この場合、摩擦板から発生する摩耗粉を広域で凹部に溜められるようになる。これにより、凹部を1つにする場合に比べて摩耗粉の排除量が充分となり、かつ、摩擦板の摩擦面広域における摩耗粉の排除が可能となる。
【0013】
本発明の請求項5のオートテンショナは、上記請求項1ないし請求項4のいずれかに記載のオートテンショナにおいて、前記凹部が、径方向に沿う帯状溝とされている。この場合、摩擦板に対する揺動アームの回動方向または環状板に対する摩擦板の回動方向に対して凹部が直交しているので、凹部へ磨耗粉が集められやすくなる。
【0014】
本発明の請求項6のオートテンショナは、上記請求項1ないし請求項4のいずれかに記載のオートテンショナにおいて、前記凹部が、径方向に対して傾斜する帯状溝とされている。この場合、請求項5に近似した作用が得られる他、揺動アームの揺動により凹部内の摩耗粉が径方向内側へ寄せられるようになる。
【0015】
本発明の請求項7のオートテンショナは、上記請求項1ないし請求項4のいずれかに記載のオートテンショナにおいて、前記凹部がV字溝とされている。この場合、揺動アームの揺動つまり両方向での回転により凹部内へ摩耗粉が集められやすくなる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係るオートテンショナの実施形態について、図面に基づいて詳細に説明する。
【0018】
図1ないし図4は本発明の実施形態1に係り、図1はオートテンショナの正面図、図2は図1における(2)−(2)線断面を示す図、図3は図2の要部拡大図、図4はアーム支持部と摩擦板押さえ板との結合部分を示す斜視図である。
【0019】
図中、Aはオートテンショナ、Bは伝動ベルト、1は揺動支軸、2は揺動アーム、3はテンションプーリ、4はねじりコイルバネ、5は摩擦板、6は摩擦板押さえ板、7はすべり軸受としてのブッシュである。
【0020】
図例のオートテンショナAは、テンションプーリ3を揺動支軸1の先端よりも前方に突出した位置にオフセット配置した構造になっている。すなわち、揺動支軸1での揺動アーム2の軸支部の軸方向中心O1 に対して揺動アーム2でのテンションプーリ3の軸支部の軸方向中心O2 がオフセットをもって配置された構造になっている。
【0021】
揺動支軸1は、図示しないベルト駆動機構が設けられる取付対象に固定されるもので、先端側半分が截頭円錐形で基端側半分が円筒形のアーム支持部11と、このアーム支持部11の基端側から径方向外向きに延びてアーム支持部11の外周を囲むカバー部12と、カバー部12の外周で軸方向中心O1 の箇所に直径方向の両側に張り出し形成されるボルト取付片13とを備えている。この揺動支軸1はアルミニウムなどを用いたダイカスト成形により製作されるもので、アーム支持部11の截頭円錐部分の外周面は成形金型の抜き勾配に対応している。
【0022】
揺動アーム2は、揺動支軸1のアーム支持部11に揺動自在に軸支されるもので、アーム支持部11の截頭円錐部分にすべり軸受としての截頭円筒状のブッシュ7を介して外嵌されるボス部21と、ボス部21に一体的に連設されかつボス部21の突出方向と逆向きに突設されたプーリ支持部22とを備えている。
【0023】
テンションプーリ3は、揺動アーム2のプーリ支持部22に転がり軸受9を介して回転自在に軸支されて外周に伝動ベルトBが巻き掛けられるもので、プレス材から製作されている。このテンションプーリ3は揺動アーム2のプーリ支持部22に螺着されたボルト8aにより抜け止め状態に取り付けられている。また、転がり軸受9に対して水分や異物がかからないようにするための軸受保護カバー10がボルト8aによって取り付けられている。
【0024】
ねじりコイルバネ4は、揺動支軸1のアーム支持部11の外周面および揺動アーム2のボス部21の外周面と揺動支軸1のカバー部12の内周面との間の環状空間にそれぞれの面に対して非接触でねじり圧縮された状態で配設されていて、その周方向の付勢力であるねじり復元力により揺動アーム2をその揺動方向の一側(図1では反時計方向)に向けて付勢し、揺動アーム2に軸支したテンションプーリ3を介して伝動ベルトBにテンションを付与するとともに、その軸方向の付勢力である伸張復元力により揺動アーム2のボス部21を摩擦板5に押し付けてボス部21に対して摩擦抵抗を付与するものである。ねじりコイルバネ4の両端側に径方向外向きに屈曲された係止部41,42が一体的に設けられており、これらの係止部41,42が揺動支軸1の底部に設けられたスリット状の切欠き14と揺動アーム2のボス部21に設けられたスリット状の切欠き23とにそれぞれ係止されている。
【0025】
摩擦板5は、揺動アーム2のボス部21に対して摩擦抵抗を与えるものである。摩擦板5はボス部21に対して軸心方向で対接している。揺動支軸1のアーム支持部11の截頭円錐部分の先端面に摩擦板押さえ板6が当接され、截頭円錐部分に螺着したボルト8bを締め付けることにより摩擦板押さえ板6をアーム支持部11に固定している。そして、ねじりコイルバネ4の伸張復元力によりボス部21を摩擦板押さえ板6側へ付勢し、この付勢力によりボス部21と摩擦板押さえ板6との間に摩擦板5を弾性的に挟持し、揺動アーム2の揺動に対して摩擦板5とボス部21との間に摩擦抵抗を働かせるように構成してある。
【0026】
摩擦板押さえ板6は、図4に示すように、環状板からなり、その内周部分に波状係止部6aが形成され、一方、揺動支軸1のアーム支持部11の先端面にも同様の形状の波状係止部11aが形成され、これら両波状係止部6a,11aが互いに嵌合することによって、摩擦板押さえ板6はアーム支持部11に対して回り止め状態に固定されている。
【0027】
そして、この実施形態1では、摩擦板押さえ板6において、摩擦板5に対接する面に、円周等配の複数箇所に摩擦板5から発生した摩耗粉を溜める凹部61が設けられている。この凹部61は、径方向に沿った帯状溝とされており、図3に示すように、凹部61の内径端が摩擦板5の内周縁より内側位置に延びて形成されることにより、この凹部61の内径端に外部に開放する開口62を有するものになっている。また、凹部61は、摩擦板押さえ板6に対するプレス成形で形成されており、そのため、凹部61の背面が隆起している。この隆起により、摩擦板押さえ板6の径方向や周方向での曲げ強度がアップするようになっている。この隆起部分に符号63を付している。
【0028】
次に、上記構成のオートテンショナAの動作を説明する。
【0029】
まず、伝動ベルトBの張力が緩やかに減少したときには、ねじりコイルバネ4のねじり復元力(周方向の付勢力)により揺動アーム2ひいてはテンションプーリ3が図1の左側に傾動する結果、伝動ベルトBの張力は一定に保たれる。一方、伝動ベルトBの張力が緩やかに増加したときには、ねじりコイルバネ4のねじり復元力に抗して揺動アーム2ひいてはテンションプーリ3が図1の右側に傾動する結果、伝動ベルトBの張力は一定に保たれる。伝動ベルトBの張力変化は、環境の温度変化や伝動ベルトの経時的な伸縮変化等によって発生する。
【0030】
一方、伝動ベルトBからテンションプーリ3に対して激しい振動や衝撃が作用すると、テンションプーリ3を支持している揺動アーム2のボス部21にその振動や衝撃が伝わる。ねじりコイルバネ4の伸張復元力(軸方向の付勢力)により揺動アーム2のボス部21を摩擦板5に押し付けているので、揺動アーム2のボス部21に振動や衝撃が伝わってきたときに、ボス部21と摩擦板5と摩擦板押さえ板6との三者の間に大きな摩擦抵抗が発生し、その振動や衝撃を吸収し素早く減衰する。したがって、揺動アーム2は揺動することが低減され、テンションプーリ3の位置は実質的に変化しないので、伝動ベルトBに対するテンションは一定に保たれる。その結果として、伝動ベルトBがテンションプーリ3から不測に外れることを確実に防止している。
【0031】
ところで、上述した動作に関連して、摩擦板5が経時的に摩耗することは不可避であるが、この摩耗により発生した摩耗粉は、摩擦板押さえ板6における円周数カ所の凹部61に良好にかつ周方向で均等に溜められるとともに、凹部61の開口62から逐次に外部へ排出されるようになる。この実施形態1では、凹部61を1カ所でなく、円周数カ所に設け、さらに径方向に沿った帯状溝としているので、揺動アーム2の揺動動作に関連して広域の摩耗粉を集めやすくなるなど、摩耗粉の排除が良好に行われるようになる。このように、摩擦板5と摩擦板押さえ板6との間から摩擦板5の摩耗粉を排除できるので、摩擦板5の摩擦抵抗が長期にわたって変化しにくくなるなど、振動や衝撃に対する減衰機能の低下を抑制することができる。
【0032】
また、この実施形態1で例示したオートテンショナAのように、テンションプーリ3が揺動支軸1に対してオフセット配置された構造の場合、伝動ベルトBからテンションプーリ3に作用する荷重がテンションプーリ3をオフセット方向の面に沿って傾かせるモーメントMとして働くので、揺動アーム2のボス部21から摩擦板5に対して大きな荷重がかかり、摩擦板5の摩耗がオフセット配置構造でないものに比べて若干多くなりやすい。しかし、前述しているように、摩擦板5の摩耗粉を排除できるようにしているから、このようなオフセット配置構造の場合に特に有効となる。
【0033】
なお、本発明は上記実施形態1で説明したものに限定されるものではなく、種々な応用や変形が考えられる。
【0034】
(1) 本発明の実施形態2を図5および図6に示す。この実施形態2では、上記実施形態1での凹部61の外径端を、摩擦板5の外周面より外側位置に延ばすことにより、凹部61の外径端にも外部に開放する開口64を設けている。この場合、凹部61に溜まった摩耗粉が、内径側と外径側の2つの開口62,64から効率よく逐次排出されるようになる。これにより、凹部61の摩耗粉が摩擦板5側へ戻ることを確実に防止できるようになる。
【0035】
(2) 本発明の実施形態3を図7および図8に示す。この実施形態3では、上記実施形態1での凹部61を、径方向に対して例えば30〜40°程度傾斜させている。なお、傾斜の方向は、凹部61の外径端を図7の反時計方向にずらせた形態になっていて、ねじりコイルバネ4のねじり復元力(周方向の付勢力)とは同じ方向に設定されている。この場合、上記実施形態1と同様の摩耗粉の排除効果が得られる他、伝動ベルトBの張力が増加して揺動アーム2が時計方向に揺動した場合に、凹部61内の摩耗粉を内径側の開口62へ寄せることができるので、摩耗粉の排出が促進されるようになる。
【0036】
(3) 本発明の実施形態4を図9および図10に示す。この実施形態4では、揺動アーム2のボス部21の端面に、上記実施形態1と同様の凹部を形成している。この場合、上記実施形態1と同様の摩耗粉の排除効果が得られる。なお、この実施形態での凹部24は、揺動アーム2をアルミニウムからダイカスト成形するときに、成形型からの転写により同時に形成することができる。
【0037】
(4) 本発明の実施形態5を図11および図12に示す。この実施形態5では、上記実施形態4での凹部24の形状を異ならせている。つまり、この実施形態5では、揺動アーム2のボス部21の端面にVの字状の凹部24を形成している。この凹部24のVの字の両端つまり外径端には、摩擦板5の内周縁より内側位置にまで延びて形成されていて、この外径端に開口25が設けられている。このように、ダイカスト成形品である揺動アーム2のボス部21に凹部24を形成することから、凹部24を複雑な形状にしても、容易に形成することができる。そして、この実施形態5の場合だと、揺動アーム2の時計方向および反時計方向の動きに伴い、Vの字状の凹部24に溜まった摩耗粉をいずれかの開口25に向けて移動させることができるので、摩耗粉の排出が促進されるようになる。
【0038】
(5) 上記実施形態1〜5では、摩擦板5の片側の摩擦相手部材(6または21)のみに凹部24,61を形成した例を挙げているが、摩擦板5の両側の摩擦相手部材(6または21)のそれぞれに凹部24,61を設けるようにしてもよい。この場合、摩擦板5の両側の摩擦相手部材に形成する凹部の形状は、同じにしてもよいし、上記実施形態1〜5のいずれかを別々に組み合わせるようにしてもよい。
【0039】
(6) 上記実施形態1〜5で種々な形状の凹部24,61を示したが、その形状や数は特に限定されない。例えば凹部をXの字状やYの字状とすることができる。この他、例えば上記実施形態2,4での凹部24,61は、実施形態3のように、径方向に対して傾斜させてもよい。上記実施形態3,4,5での凹部24,61に対して、実施形態2のように、摩擦板5の外径側の開口を形成してもよい。上記実施形態1〜3での凹部61は、実施形態5のように、Vの字状とすることができる。上記実施形態2での凹部61については、その内径側の開口62を省略してもよい。
【0040】
(7) 上記実施形態1〜5では、凹部24,61を円周等配に形成しているが、円周不等配に形成してもよい。
【0041】
(8) 上記実施形態1〜5では、テンションプーリ3が揺動支軸1に対してオフセット配置された構造のオートテンショナAを例示しているが、オフセット配置構造でないオートテンショナに対しても本発明を適用できる。
【0042】
【発明の効果】
本発明に係る請求項1ないし請求項3のオートテンショナにおいては、摩擦板の経時的な摩耗によって発生した摩耗粉が摩擦板の摩擦相手面の凹部に溜められるようにしているから、摩擦板とその接触相手面との間から摩耗粉が排除されて残存しにくくなり、結果的に、摩擦板の摩擦抵抗を長期にわたってほぼ不変にできて、伝動ベルトからテンションプーリにかかった振動や衝撃に対する元帥機能を長期にわたって維持できるようになる。また、凹部に溜められた摩耗粉が開口から外部へ逐次排出されるようにしているから、凹部内の摩耗粉が摩擦板と接触相手面との間で戻ることを抑制できる。
【0043】
本発明に係る請求項4のオートテンショナにおいては、摩擦板から発生する摩耗粉を広域で凹部に溜められるようにしているから、凹部を1つにする場合に比べて摩耗粉の排除量が充分となり、かつ、摩擦板の摩擦面広域における摩耗粉の排除が可能となる。
【0045】
本発明に係る請求項5のオートテンショナにおいては、摩擦板に対する揺動アームの回動方向または環状板に対する摩擦板の回動方向に対して凹部を直交させているから、凹部へ摩耗粉が集められやすくなり、摩擦面からの摩耗粉の排除効果が増す。
【0046】
本発明に係る請求項6のオートテンショナにおいては、請求項5に近似した効果が得られる他、揺動アームの揺動により凹部内の摩耗粉が径方向一方へ寄せられるようになる。
【0047】
本発明に係る請求項7のオートテンショナにおいては、揺動アームの揺動つまり両方向での回転により凹部内へ摩耗粉が集められやすくなるようにしているから、摩擦面からの摩耗粉の排除効果が増す。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態1のオートテンショナの正面図
【図2】図1における(2)−(2)線断面を示す図
【図3】図2の要部拡大図
【図4】実施形態1で、アーム支持部と摩擦板押さえ板との結合部分を示す斜視図
【図5】本発明の実施形態2のオートテンショナの正面図
【図6】図5における(6)−(6)線断面を拡大して示す図
【図7】本発明の実施形態3のオートテンショナの正面図
【図8】図7における(8)−(8)線断面を拡大して示す図
【図9】本発明の実施形態4のオートテンショナの正面図
【図10】図9における(10)−(10)線断面を拡大して示す図
【図11】本発明の実施形態5のオートテンショナの正面図
【図12】図11における(12)−(12)線断面を拡大して示す図
【符号の説明】
A オートテンショナ
B 伝動ベルト
1 揺動支軸
11 アーム支持部
12 カバー部
2 揺動アーム
21 揺動アームのボス部
22 プーリ支持部
3 テンションプーリ
4 ねじりコイルバネ
5 摩擦板
6 摩擦板押さえ板
61 凹部
62 開口
63 隆起部
Claims (7)
- 伝動ベルトの張力を一定に保つためのテンションプーリの押圧動作を許容しながら、伝動ベルトから受ける振動や衝撃によるテンションプーリの位置変動を規制するオートテンショナであって、
テンションプーリを回動自在に支持する揺動アームとそれを揺動可能に支持する固定の揺動支軸との摺動部分に揺動アームに揺動抵抗を与える摩擦板が介装され、この摩擦板の接触相手面に摩擦板の摩擦粉を溜める凹部が設けられ、該凹部の径方向内側の端に外部への開口を有している、ことを特徴とするオートテンショナ。 - 伝動ベルトの張力を一定に保つためのテンションプーリの押圧動作を許容しながら、伝動ベルトから受ける振動や衝撃によるテンションプーリの位置変動を規制するオートテンショナであって、
テンションプーリを回動自在に支持する揺動アームと、揺動アームを揺動可能に支持する固定の揺動支軸と、揺動支軸と揺動アームとの摺動部分に介装される摩擦板と、摩擦板側へ揺動アームを押圧するとともに揺動アームを一回転方向へ弾発付勢するねじりコイルバネとを備え、
摩擦板の接触相手面に、摩擦板の摩耗粉を溜める凹部が設けられ、該凹部の径方向内側の端に外部への開口を有している、ことを特徴とするオートテンショナ。 - 伝動ベルトの張力を一定に保つためのテンションプーリの押圧動作を許容しながら、伝動ベルトから受ける振動や衝撃によるテンションプーリの位置変動を規制するオートテンショナであって、
伝動ベルトが巻き掛けられるテンションプーリと、一端にテンションプーリを回動自在に支持するプーリ支持部をまた他端に揺動支点となるボス部を有する揺動アームと、揺動アームのボス部が回動可能に外嵌され揺動アームを揺動可能に支持する固定の揺動支軸と、揺動支軸の自由端に設けられる摩擦板押さえ板と、摩擦板押さえ板と揺動アームのボス部の端面との摺動部分に挟持される摩擦板と、揺動支軸と揺動アームのボス部との嵌合部分の外周に取り付けられて摩擦板側へ揺動アームを押圧するとともに揺動アームを一回転方向へ弾発付勢するねじりコイルバネとを備え、
揺動アームのボス部または摩擦板押さえ板の少なくともいずれか一方に、摩擦板の摩耗粉を溜める凹部が設けられ、該凹部の径方向内側の端に外部への開口を有している、ことを特徴とするオートテンショナ。 - 請求項1ないし請求項3のいずれかに記載のオートテンショナにおいて、前記凹部が、円周等配の複数箇所に設けられている、ことを特徴とするオートテンショナ。
- 請求項1ないし請求項4のいずれかに記載のオートテンショナにおいて、前記凹部が、径方向に沿う帯状溝とされている、ことを特徴とするオートテンショナ。
- 請求項1ないし請求項4のいずれかに記載のオートテンショナにおいて、前記凹部が、径方向に対して傾斜する帯状溝とされている、ことを特徴とするオートテンショナ。
- 請求項1ないし請求項4のいずれかに記載のオートテンショナにおいて、前記凹部が、V字溝とされている、ことを特徴とするオートテンショナ。
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US6565468B2 (en) * | 1999-12-21 | 2003-05-20 | The Gates Corporation | Tensioner with damping mechanism |
-
1997
- 1997-09-24 JP JP25829897A patent/JP3547596B2/ja not_active Expired - Fee Related
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