JP3547576B2 - 防爆型密閉蓄電池 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電気自動車やレジャー用施設や電気機器の電源として用いられる防爆型密閉蓄電池に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の密閉蓄電池は、充電中に、モノブロック電池電槽内の夫々のセル室内の極板群から発生する水素ガスに外部から引火した場合に蓄電池が損傷することがある。これを防止するため、従来、防爆型密閉蓄電池として、図6示のように構成したものは公知である。即ち、該モノブロック電池電槽の上面に施された電槽蓋Aの蓋板A1の1側に、電槽内を仕切壁により区劃された複数個のセル室に対応する位置に排気口B,B,…を配設すると共に、これら排気口B,B,…に安全弁C,C,…を装着し、更に、その1側外方に防爆フィルターDと一括排気ノズルEを設け、これらの排気口B,B,…を囲繞すると共に該一括排気ノズルEに接続する囲枠Fを突設し、該囲枠F内の共通の排気用空間Gの上面を被覆する排気覆板Hを気密に結着して成る構成としたものである。図面でIは、一括排気ノズルEの外周に設けた排気チューブ挿嵌用接続孔、P及びNは、該蓋板A1の他側に配設した正極柱及び負極柱、PT及びNTは、これら正,負極柱P,Nに接続するスタッドボルト型正極端子及び負極端子を示す。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来の防爆型密閉蓄電池は、該防爆フィルターDは、これらの排気口B,B,…と同じ側に、即ち、これら排気口B,B,…に接近した位置に在るため、蓄電池の充電中に電池内に発生したガスが、その過剰ガス圧により開かれる安全弁C,C,…を介して該共通の排気用空間G内に排気され、そのガス中に含まれる酸霧により該防爆フィルターDが濡れて目詰まりし、防爆機能が早期に低下し或いは失われ、これに伴い蓄電池内の水素ガス濃度が早期に高くなるため、損傷の危険を生じ易かった。
また、該防爆型密閉蓄電池は、横倒しにして、その複数個を配置し、その相隣る正,負極間を接続する場合、端子間の接続作業をし易いように正,負極端子PT,NTを上位に位置させて横置するが、該一括排気ノズルEは下向きとなるので、該防爆フィルターDは一層酸霧により濡れて詰まり易く、防爆フィルターDとしての機能が一層早く損なわれるばかりか、遂には、該一括排気ノズルEから外部に電解液が漏れ出し、通常、筒状成形体から成る排気ノズルEに接続された排気チューブ内に電解液が漏れ出て良好な排気作用を阻害するのみならず、蓄電池の周辺を汚す等の不都合をもたらす。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記従来の防爆型密閉蓄電池の課題を解消した防爆型密閉蓄電池を提供するもので、夫々のセル室内に極板群を収容したモノブロック電池電槽の上面に施された電槽蓋に、その蓋板面のセンターラインの1側に夫々のセル室に対応する位置に排気口を配設すると共に夫々の排気口に安全弁を装着し、該センターラインの他側に防爆フィルターと一括排気ノズルを設け、これら排気口を囲繞し且つセンターラインを横断して該一括排気ノズルに接続する囲枠を突設し、該囲枠に該囲枠内の共通の排気用部空間の上面を被覆する排気覆板を施したことを特徴とする。
この場合、該囲枠をT字状又は方形状又はこれらの組み合わせた囲枠とすることができる。特に、T字状囲枠の場合は、ガス中の酸霧補足効果が向上する。また、方形状の囲枠の場合は、これに提げ手を取り付けることに利用し、これにより、蓄電池を提げて搬送できる便利さをもたらす。
【0005】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態の1例を添付図面に基づいて説明する。
図面で1はモノブロック電槽、2は該モノブロック電槽1内の仕切壁、3は該仕切壁2により区劃形成されたセル室、4は各セル室3内に収容された極板群を示す。これら極板群4,4,…は、仕切壁3を介して対向するその正,負ストラップ4a,4bを常法によりセル間接続して両端のセル室3,3内の極板群4,4の正,負ストラップより夫々正極柱P、負極柱Nを直立させて電池に組立て、このように組立てた電池電槽5の上面に常法により接着剤又は熱溶着で電槽蓋6の蓋板6aの下向きの周縁6bを該電槽1の周側壁1aの上端に、その裏面を該電槽1の仕切壁2,2,…の上端に当接し、接着剤又は熱溶着を介して結着して気液密に施したものである。該電槽蓋6には、その長矩形の蓋板6aの短い側の幅方向における1側に、該電槽1内の夫々のセル室3,3,…に対応する位置に該蓋板6aを貫通して排気口7,7,…を一列に配設した。その各排気口7は、蓋板面6aより突設して円筒状壁7aをもつ筒状排気口に形成した。更に、各排気口7には、安全弁8を、図示の例では、柔軟弾性のゴム製帽体から成る安全弁8をその円筒状壁7aにその弾性により密嵌せしめ常閉弁としたもので、各セル室3内に発生したガスが所定の過剰圧となったとき、その放出を許容するようにした。
上記の構成は、従来の密閉蓄電池と変わりがない。
【0006】
本発明によれば、この蓄電池を防爆型密閉蓄電池とするには、次のように構成する。即ち、該蓋板6aの前記幅方向の他側に、即ち、その1側に配設した前記の排気口7,7,…とは反対側に、該蓋板6aの前記の幅方向におけるセンターラインX−Xを横断した他側に、防爆フィルター9と一括排気ノズル10を設けたことを特徴とし、更に、該蓋板6aに、これらの排気口7,7,…を囲繞し且つその1側から該センターラインX−Xを横断してその他側に延び、該一括排気ノズル10に接続する囲枠11を突設し、その囲枠11に、該囲枠11内の共通の排気用空間13の上面を被覆する排気覆板12を当接し、接着剤又は熱溶着により結着して施したことを特徴とする。
該防爆フィルター9は、センターラインX−Xを横断した他側に該一括排気ノズル10の近傍に設け、その1側において並ぶ排気口7,7,…から可及的に遠い位置に存せしめるようにした。かくして、これら排気口7,7,…から排気されるガスに含まれる酸霧は、該防爆フィルター9に到達する間に、その下方の該蓋板6aの表面、その上方の排気覆板12の裏面及び該囲枠11のセンターラインX−Xを横断して1側から他側に延び且つ該一括排気ノズル10に接続される囲枠壁11の内面に付着して除去されるので、該防爆フィルター9は酸霧により詰まり、防爆機能が損なわれることなく、長期に亘り防爆機能を維持でき、安全な防爆型密閉蓄電池をもたらす。
【0007】
該防爆フィルター9及び一括排気ノズル10の位置は、一列に配列されている排気口7,7,…列の中央に位置せしめ、これら排気口7,7,…列からの一括排気を左右から中央に集めて行うようにすることが好ましい。この場合の該囲枠11は、排気口7,7,…列に沿って延びるその内側の枠部11aをその中央部近傍において折れ曲がり、センターラインX−Xを横断して該防爆フィルター9及び該一括排気ノズル10に接続する左右の延長枠部11a1,11a1に形成し、その対向する延長枠部11a1,11a1間に狭幅の一括排気案内用凹溝13a1を形成した全体としてT字状の囲枠11aとすることにより、これら排気口7,7,…から排気されたガスは、該T字状囲枠11aにより囲繞されたT字状の共通の排気用空間13a及び13a1内の左右から中央に集中し、その凹溝13a1内に流入するので、その含有する酸霧は、その左右の延長枠部11a1,11a1の内壁に接触し、付着する機会が与えられるので、酸霧除去効果が向上し好ましい。
【0008】
また、該囲枠11は、上記のT字上の囲枠11aに変えて、該排気口7,7,…に沿って延びる内側の枠部をその左右端近傍において他側方向へ折れ曲がり、センターラインX−Xを横断してその他側に延び、更に該一括排気ノズル10に接続するように延びる左右の延長枠部11b1,11b1に形成し全体として略方形状の囲枠11bとし、その内部を略方形状の共通の排気用空間13bに形成するようにしてもよい。かくして、該排気口7,7,…により排気されたガスは、広い方形の共通の排気用空間13bを介してその他側の該防爆フィルター9に達する間にその周囲の壁面に酸霧が付着し除去されるので、該防爆フィルター9の酸霧により濡れて防爆機能の低下を防止でき、長期に亘り防爆機能を維持できる。また、該成形囲枠11bを利用し、その1側の外側枠部とその他側の枠部に、その中央の該一括排気ノズル10の左右に一対の提げ手取付用の取付部14,14を設け、これに一対の提げ手15,15を取り付けるときは、手で搬送し得る防爆型密閉蓄電池に構成することができる。尚、提げ手15,15の把手部15a,15aは、該排気覆板12に形成した凹溝12aに収容するようにした。
【0009】
図示の実施例では、該蓋板6aに、該略方形状囲枠11bの内部に、該T字状囲枠11aを組み込んだ両囲枠11a,11bを突設したものに構成し、上記の夫々の作用、効果を有するものに構成した。図面で16は、合成樹脂成形により筒状の一括排気ノズル10と一体にその外周に設けた排気ホース接続用の円環状挿着用孔を示す。正極柱P及び負極柱Nは蓋板6aの他側に配設し、これら極柱P,Nに接続された正極端子PT及び負極端子NTは、蓋板6aの幅方向の中央に、即ち、該センターラインX−X上に配設されている。
【0010】
かくして、図示の本発明の蓄電池の構成によれば、該防爆フィルター9及び該一括排気ノズル10は、排気口7,7,…の位置する1側とは反対側の遠い位置に在るので、充電中において、電池内に発生するガスがこれら排気口7,7,…から排出され、その防爆フィルター9に到達する間に、ガス中に含有する酸霧の除去が良好に行われ、該防爆フィルター9は酸霧で濡れて目詰まりする危険性を著しく低減でき、防爆効果延長をもたらし、一層安全な密閉蓄電池をもたらす。また、該防爆フィルター9を通過して蓄電池を正,負極端子を上位に来るように横置して使用した場合、該一括排気ノズル10も上に向くので、該ノズル10から電解液が外部に漏出する心配は全くなくなり、安全に使用できる。また、必要に応じ、蓄電池の運搬は、手に提げて取り扱うことができる。
【0011】
尚、該防爆フィルター9は、図1及び図3に明らかなように、対向する該枠部11a1,11a1の端部に設けた円筒状壁17内に水平状態に嵌装せしめて設け、円筒状壁17の上端に該排気覆板12の裏面から突出させた1側に通気孔12bをもつ円筒状壁12cを当接し、該排気覆蓋12の裏面に左右一対の下垂導壁18,18を該枠部11a1,11a1の上端に当接せしめ、該一括排気用案内用凹溝13a1の上方に追加の一括排気案内用凹溝18aを形成し、共通の排気ガスを追加の該一括排気案内用凹溝18aを通過させ、該防爆フィルター9の上方から下方へ通過させるように構成する。然るときは、酸霧の捕集が更に向上する。尚、更に該左右一対の枠部11a1,11a1の内面に左右に所定間隙存して交互に複数の邪魔板19,19を突設するときは、更に酸霧の除去を良好に行うことができ、該防爆フィルター9の濡れを防止することができる。
【0012】
【発明の効果】
このように本発明によるときは、電槽蓋の蓋板面に、そのセンターラインの1側に排気口を配設し、その他側に防爆フィルターと一括排気ノズルを設け、これら排気口を囲繞し且つ該一括排気ノズルに接続する囲枠を突設し、該囲枠にその内部空間の上面を被覆する排気覆板を施したので、これら排気口から該防爆フィルターまでの距離は長くなり、充電時、排気口より排出されるガス中の酸霧の除去効果が向上し、該防爆フィルターが濡れにくゝなり、防爆機能が容易に損なわれることがなく、防爆型密閉蓄電池の使用寿命を向上できる。この場合、該囲枠をT字状とするときは、酸霧の除去が更に向上する。また、該囲枠を方形状とし、これに提げ手を取り付けるときは、防爆型密閉蓄電池を手に提げて搬送できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明実施の1例の防爆型密閉蓄電池の排気覆板の半部を裁除した平面図。
【図2】図1のII−II線裁断面図。
【図3】図1のIII−III線裁断面図。
【図4】図1のIV−IV線裁断面図。
【図5】図1のV−V線裁断面図。
【図6】従来の防爆型密閉蓄電池の排気覆板の半部を裁除した平面図。
【符号の説明】
1 モノブロック電槽 2 仕切壁
3 セル室 4 極板群
5 電池電槽 6 電槽蓋
6a 蓋板 X−X 蓋板面のセンターライン
7 排気口 8 安全弁
9 防爆フィルター 10 一括排気ノズル
11 囲枠 11a T字状囲枠
11a1,11a1 延長枠部 11b 略方形状囲枠
11b1,11b1 延長枠部 12 排気覆板
13 共通の排気用空間
13a T字状囲枠内の共通の排気用空間
13b 略方形状囲枠内の共通の排気用空間
【発明の属する技術分野】
本発明は、電気自動車やレジャー用施設や電気機器の電源として用いられる防爆型密閉蓄電池に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の密閉蓄電池は、充電中に、モノブロック電池電槽内の夫々のセル室内の極板群から発生する水素ガスに外部から引火した場合に蓄電池が損傷することがある。これを防止するため、従来、防爆型密閉蓄電池として、図6示のように構成したものは公知である。即ち、該モノブロック電池電槽の上面に施された電槽蓋Aの蓋板A1の1側に、電槽内を仕切壁により区劃された複数個のセル室に対応する位置に排気口B,B,…を配設すると共に、これら排気口B,B,…に安全弁C,C,…を装着し、更に、その1側外方に防爆フィルターDと一括排気ノズルEを設け、これらの排気口B,B,…を囲繞すると共に該一括排気ノズルEに接続する囲枠Fを突設し、該囲枠F内の共通の排気用空間Gの上面を被覆する排気覆板Hを気密に結着して成る構成としたものである。図面でIは、一括排気ノズルEの外周に設けた排気チューブ挿嵌用接続孔、P及びNは、該蓋板A1の他側に配設した正極柱及び負極柱、PT及びNTは、これら正,負極柱P,Nに接続するスタッドボルト型正極端子及び負極端子を示す。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来の防爆型密閉蓄電池は、該防爆フィルターDは、これらの排気口B,B,…と同じ側に、即ち、これら排気口B,B,…に接近した位置に在るため、蓄電池の充電中に電池内に発生したガスが、その過剰ガス圧により開かれる安全弁C,C,…を介して該共通の排気用空間G内に排気され、そのガス中に含まれる酸霧により該防爆フィルターDが濡れて目詰まりし、防爆機能が早期に低下し或いは失われ、これに伴い蓄電池内の水素ガス濃度が早期に高くなるため、損傷の危険を生じ易かった。
また、該防爆型密閉蓄電池は、横倒しにして、その複数個を配置し、その相隣る正,負極間を接続する場合、端子間の接続作業をし易いように正,負極端子PT,NTを上位に位置させて横置するが、該一括排気ノズルEは下向きとなるので、該防爆フィルターDは一層酸霧により濡れて詰まり易く、防爆フィルターDとしての機能が一層早く損なわれるばかりか、遂には、該一括排気ノズルEから外部に電解液が漏れ出し、通常、筒状成形体から成る排気ノズルEに接続された排気チューブ内に電解液が漏れ出て良好な排気作用を阻害するのみならず、蓄電池の周辺を汚す等の不都合をもたらす。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記従来の防爆型密閉蓄電池の課題を解消した防爆型密閉蓄電池を提供するもので、夫々のセル室内に極板群を収容したモノブロック電池電槽の上面に施された電槽蓋に、その蓋板面のセンターラインの1側に夫々のセル室に対応する位置に排気口を配設すると共に夫々の排気口に安全弁を装着し、該センターラインの他側に防爆フィルターと一括排気ノズルを設け、これら排気口を囲繞し且つセンターラインを横断して該一括排気ノズルに接続する囲枠を突設し、該囲枠に該囲枠内の共通の排気用部空間の上面を被覆する排気覆板を施したことを特徴とする。
この場合、該囲枠をT字状又は方形状又はこれらの組み合わせた囲枠とすることができる。特に、T字状囲枠の場合は、ガス中の酸霧補足効果が向上する。また、方形状の囲枠の場合は、これに提げ手を取り付けることに利用し、これにより、蓄電池を提げて搬送できる便利さをもたらす。
【0005】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態の1例を添付図面に基づいて説明する。
図面で1はモノブロック電槽、2は該モノブロック電槽1内の仕切壁、3は該仕切壁2により区劃形成されたセル室、4は各セル室3内に収容された極板群を示す。これら極板群4,4,…は、仕切壁3を介して対向するその正,負ストラップ4a,4bを常法によりセル間接続して両端のセル室3,3内の極板群4,4の正,負ストラップより夫々正極柱P、負極柱Nを直立させて電池に組立て、このように組立てた電池電槽5の上面に常法により接着剤又は熱溶着で電槽蓋6の蓋板6aの下向きの周縁6bを該電槽1の周側壁1aの上端に、その裏面を該電槽1の仕切壁2,2,…の上端に当接し、接着剤又は熱溶着を介して結着して気液密に施したものである。該電槽蓋6には、その長矩形の蓋板6aの短い側の幅方向における1側に、該電槽1内の夫々のセル室3,3,…に対応する位置に該蓋板6aを貫通して排気口7,7,…を一列に配設した。その各排気口7は、蓋板面6aより突設して円筒状壁7aをもつ筒状排気口に形成した。更に、各排気口7には、安全弁8を、図示の例では、柔軟弾性のゴム製帽体から成る安全弁8をその円筒状壁7aにその弾性により密嵌せしめ常閉弁としたもので、各セル室3内に発生したガスが所定の過剰圧となったとき、その放出を許容するようにした。
上記の構成は、従来の密閉蓄電池と変わりがない。
【0006】
本発明によれば、この蓄電池を防爆型密閉蓄電池とするには、次のように構成する。即ち、該蓋板6aの前記幅方向の他側に、即ち、その1側に配設した前記の排気口7,7,…とは反対側に、該蓋板6aの前記の幅方向におけるセンターラインX−Xを横断した他側に、防爆フィルター9と一括排気ノズル10を設けたことを特徴とし、更に、該蓋板6aに、これらの排気口7,7,…を囲繞し且つその1側から該センターラインX−Xを横断してその他側に延び、該一括排気ノズル10に接続する囲枠11を突設し、その囲枠11に、該囲枠11内の共通の排気用空間13の上面を被覆する排気覆板12を当接し、接着剤又は熱溶着により結着して施したことを特徴とする。
該防爆フィルター9は、センターラインX−Xを横断した他側に該一括排気ノズル10の近傍に設け、その1側において並ぶ排気口7,7,…から可及的に遠い位置に存せしめるようにした。かくして、これら排気口7,7,…から排気されるガスに含まれる酸霧は、該防爆フィルター9に到達する間に、その下方の該蓋板6aの表面、その上方の排気覆板12の裏面及び該囲枠11のセンターラインX−Xを横断して1側から他側に延び且つ該一括排気ノズル10に接続される囲枠壁11の内面に付着して除去されるので、該防爆フィルター9は酸霧により詰まり、防爆機能が損なわれることなく、長期に亘り防爆機能を維持でき、安全な防爆型密閉蓄電池をもたらす。
【0007】
該防爆フィルター9及び一括排気ノズル10の位置は、一列に配列されている排気口7,7,…列の中央に位置せしめ、これら排気口7,7,…列からの一括排気を左右から中央に集めて行うようにすることが好ましい。この場合の該囲枠11は、排気口7,7,…列に沿って延びるその内側の枠部11aをその中央部近傍において折れ曲がり、センターラインX−Xを横断して該防爆フィルター9及び該一括排気ノズル10に接続する左右の延長枠部11a1,11a1に形成し、その対向する延長枠部11a1,11a1間に狭幅の一括排気案内用凹溝13a1を形成した全体としてT字状の囲枠11aとすることにより、これら排気口7,7,…から排気されたガスは、該T字状囲枠11aにより囲繞されたT字状の共通の排気用空間13a及び13a1内の左右から中央に集中し、その凹溝13a1内に流入するので、その含有する酸霧は、その左右の延長枠部11a1,11a1の内壁に接触し、付着する機会が与えられるので、酸霧除去効果が向上し好ましい。
【0008】
また、該囲枠11は、上記のT字上の囲枠11aに変えて、該排気口7,7,…に沿って延びる内側の枠部をその左右端近傍において他側方向へ折れ曲がり、センターラインX−Xを横断してその他側に延び、更に該一括排気ノズル10に接続するように延びる左右の延長枠部11b1,11b1に形成し全体として略方形状の囲枠11bとし、その内部を略方形状の共通の排気用空間13bに形成するようにしてもよい。かくして、該排気口7,7,…により排気されたガスは、広い方形の共通の排気用空間13bを介してその他側の該防爆フィルター9に達する間にその周囲の壁面に酸霧が付着し除去されるので、該防爆フィルター9の酸霧により濡れて防爆機能の低下を防止でき、長期に亘り防爆機能を維持できる。また、該成形囲枠11bを利用し、その1側の外側枠部とその他側の枠部に、その中央の該一括排気ノズル10の左右に一対の提げ手取付用の取付部14,14を設け、これに一対の提げ手15,15を取り付けるときは、手で搬送し得る防爆型密閉蓄電池に構成することができる。尚、提げ手15,15の把手部15a,15aは、該排気覆板12に形成した凹溝12aに収容するようにした。
【0009】
図示の実施例では、該蓋板6aに、該略方形状囲枠11bの内部に、該T字状囲枠11aを組み込んだ両囲枠11a,11bを突設したものに構成し、上記の夫々の作用、効果を有するものに構成した。図面で16は、合成樹脂成形により筒状の一括排気ノズル10と一体にその外周に設けた排気ホース接続用の円環状挿着用孔を示す。正極柱P及び負極柱Nは蓋板6aの他側に配設し、これら極柱P,Nに接続された正極端子PT及び負極端子NTは、蓋板6aの幅方向の中央に、即ち、該センターラインX−X上に配設されている。
【0010】
かくして、図示の本発明の蓄電池の構成によれば、該防爆フィルター9及び該一括排気ノズル10は、排気口7,7,…の位置する1側とは反対側の遠い位置に在るので、充電中において、電池内に発生するガスがこれら排気口7,7,…から排出され、その防爆フィルター9に到達する間に、ガス中に含有する酸霧の除去が良好に行われ、該防爆フィルター9は酸霧で濡れて目詰まりする危険性を著しく低減でき、防爆効果延長をもたらし、一層安全な密閉蓄電池をもたらす。また、該防爆フィルター9を通過して蓄電池を正,負極端子を上位に来るように横置して使用した場合、該一括排気ノズル10も上に向くので、該ノズル10から電解液が外部に漏出する心配は全くなくなり、安全に使用できる。また、必要に応じ、蓄電池の運搬は、手に提げて取り扱うことができる。
【0011】
尚、該防爆フィルター9は、図1及び図3に明らかなように、対向する該枠部11a1,11a1の端部に設けた円筒状壁17内に水平状態に嵌装せしめて設け、円筒状壁17の上端に該排気覆板12の裏面から突出させた1側に通気孔12bをもつ円筒状壁12cを当接し、該排気覆蓋12の裏面に左右一対の下垂導壁18,18を該枠部11a1,11a1の上端に当接せしめ、該一括排気用案内用凹溝13a1の上方に追加の一括排気案内用凹溝18aを形成し、共通の排気ガスを追加の該一括排気案内用凹溝18aを通過させ、該防爆フィルター9の上方から下方へ通過させるように構成する。然るときは、酸霧の捕集が更に向上する。尚、更に該左右一対の枠部11a1,11a1の内面に左右に所定間隙存して交互に複数の邪魔板19,19を突設するときは、更に酸霧の除去を良好に行うことができ、該防爆フィルター9の濡れを防止することができる。
【0012】
【発明の効果】
このように本発明によるときは、電槽蓋の蓋板面に、そのセンターラインの1側に排気口を配設し、その他側に防爆フィルターと一括排気ノズルを設け、これら排気口を囲繞し且つ該一括排気ノズルに接続する囲枠を突設し、該囲枠にその内部空間の上面を被覆する排気覆板を施したので、これら排気口から該防爆フィルターまでの距離は長くなり、充電時、排気口より排出されるガス中の酸霧の除去効果が向上し、該防爆フィルターが濡れにくゝなり、防爆機能が容易に損なわれることがなく、防爆型密閉蓄電池の使用寿命を向上できる。この場合、該囲枠をT字状とするときは、酸霧の除去が更に向上する。また、該囲枠を方形状とし、これに提げ手を取り付けるときは、防爆型密閉蓄電池を手に提げて搬送できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明実施の1例の防爆型密閉蓄電池の排気覆板の半部を裁除した平面図。
【図2】図1のII−II線裁断面図。
【図3】図1のIII−III線裁断面図。
【図4】図1のIV−IV線裁断面図。
【図5】図1のV−V線裁断面図。
【図6】従来の防爆型密閉蓄電池の排気覆板の半部を裁除した平面図。
【符号の説明】
1 モノブロック電槽 2 仕切壁
3 セル室 4 極板群
5 電池電槽 6 電槽蓋
6a 蓋板 X−X 蓋板面のセンターライン
7 排気口 8 安全弁
9 防爆フィルター 10 一括排気ノズル
11 囲枠 11a T字状囲枠
11a1,11a1 延長枠部 11b 略方形状囲枠
11b1,11b1 延長枠部 12 排気覆板
13 共通の排気用空間
13a T字状囲枠内の共通の排気用空間
13b 略方形状囲枠内の共通の排気用空間
Claims (5)
- 夫々のセル室内に極板群を収容したモノブロック電池電槽の上面に施された電槽蓋に、その蓋板面のセンターラインの1側に夫々のセル室に対応する位置に排気口を配設すると共に夫々の排気口に安全弁を装着し、該センターラインの他側に防爆フィルターと一括排気ノズルを設け、これら排気口を囲繞し且つセンターラインを横断して該一括排気ノズルに接続する囲枠を突設し、該囲枠に該囲枠内の共通の排気用空間の上面を被覆する排気覆板を施したことを特徴とする防爆型密閉蓄電池。
- 該囲枠はT字状である請求項1記載の防爆型密閉蓄電池。
- 該囲枠は方形状である請求項1記載の防爆型密閉蓄電池。
- 該囲枠は、T字状囲枠と方形状囲枠の組み合わせである請求項1,2又は3記載の防爆型密閉蓄電池。
- 該方形状囲枠に提げ手を取り付けて成る請求項1,3又は4記載の防爆型密閉蓄電池。
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