JP3547334B2 - エレベータ用ロープの磁気探傷装置 - Google Patents

エレベータ用ロープの磁気探傷装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、エレベータに使用される主ロープの素線切れを探傷するエレベータ用ロープの磁気探傷装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
エレベータに使用される主ロープの素線切れを探傷する磁気探傷装置は、従来、検出部に備えられる2つの磁石を用いて磁気回路を形成し、損傷部から漏れる漏洩磁束を検出するようになっていた。また、前記漏洩磁束の検出をロープの全周に渡って高精度なものとするため、断面U字状の鉄心の開放側に、漏洩磁束を検出する第2の漏洩磁束検出手段を設けたものが提案されている。
【0003】
なお、この種のものとして、例えば特開昭62−110032、実開昭62−1165号公報に記載されるものを挙げることができる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、前述した従来の磁気探傷装置では、2つの磁石を用いて磁気回路を形成するため、漏洩磁束を検出する検出部が比較的大きく重いため、ロープの測定部分に前記検出部をあてがい保持するのが困難であった。また、前記検出部の構造が比較的複雑であり、製作費用が嵩むという問題があった。
【0005】
本発明はこのような従来技術における実情に鑑みてなされたもので、その目的は、検出部を小型かつ簡易な構造とすることのできるエレベータ用ロープの磁気探傷装置を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
この目的を達成するために本発明は、磁気を利用してロープの素線切れを検出する検出部を有するエレベータ用ロープの磁気探傷装置において、前記検出部は、前記ロープを挟み込むようにそれぞれが隔てられて配置される一対の磁性体と、これら一対の磁性体間に配置される一つの磁石と、前記ロープの同一縒り線上へ位置するよう前記一対の磁性体の前記ロープとの対向面にそれぞれは位置される一対の磁束検知素子とを備え、前記磁石のN極、前記一対の磁性体のうちの一方の磁性体、前記一対の磁束検知素子のうちの一方の磁束検知素子、前記ロープ、前記一対の磁束検知素子のうちの他方の磁束検知素子、前記一対の磁性体のうちの他方の磁性体、及び前記磁石のS極によって形成される磁気回路内を流れる主磁束を、前記一対の磁束検知素子で検知する構成にしてある。
【0007】
前記のように構成した本発明によれば、ロープの素線切れを検出する場合、検出部の磁性体をロープを挟み込むように配置する。これにより、磁束は、磁石のN極から、一方の磁性体、一方の磁束検知素子、ロープ、他方の磁束検知素子、他方の磁性体および磁石のS極の順で磁気回路を形成する。そして、前記磁束検知素子により検出された磁束に基づきロープの素線切れを判定する。このように、検出部を磁性体によってロープを挟み込むように構成することにより、従来2つの磁石を用いて磁気回路を形成していたところを1つの磁石とすることができ、したがって、検出部を小型および簡易なものとすることができる。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明のエレベータ用ロープの磁気探傷装置の実施の形態を図に基づいて説明する。
【0009】
図1は本発明のエレベータ用ロープの磁気探傷装置の一実施形態を示す上面図、図2は図1の磁気探傷装置の正面図、図3は図1の磁気探傷装置の全体構成を示す説明図である。
【0010】
本実施形態のエレベータ用ロープの磁気探傷装置は図3に示すように、磁気を利用してロープ2の素線切れを検出する検出部1と、後述する磁束検知素子を駆動するセンサ駆動回路4と、出力を調整する出力調整回路5と、ノイズの影響を小さくする2乗回路6と、素線切れか否かを判定する判定回路7と、判定の結果をカウントして表示するカウント表示回路8とを有している。
【0011】
そして、前記の検出部1は図1、2に示すように、ロープ2を挟み込むようにそれぞれが隔てられて配置されるL字形の磁性体1a、1bと、これらの磁性体1a、1b間に介設される磁石1cと、磁性体1a、1bのロープ2との対向面に設けられ、磁気回路の主磁束3を検知する磁束検知素子1d、1eと、磁性体1a、1bのロープ2との非対向面に配設される磁気遮蔽手段、例えば磁気遮蔽板1f、1gと、磁束検知素子1d、1eに接続される出力線1h、1iと、磁気遮蔽板1f、1gを磁性体1a、1bに固定する両面粘着テープ1k、1jとを備えている。なお、前記の磁束検知素子1d、1eは、それぞれがロープ2の同一縒り線上、すなわち同一縒り線の半周中央部に対になるように配置されている。
【0012】
この実施形態にあっては、磁気を利用してロープ2の素線切れを検出する場合、検出部1の磁性体1a、1bによりロープ2を挟み込む。これにより、主磁束3は、磁石1cのN極から、磁性体1a、磁気検知素子1d、ロープ2、磁気検知素子1e、磁性体1bおよび磁石1cのS極の順で形成される磁気回路内を流れており、この主磁束3は常に磁束検知素子1d、1eにより検知され、出力信号として出力線1h、1i、センサ駆動回路4、出力回路5および2乗回路6を介して判定回路7に送られており、この判定回路7により素線切れか否かが判定される。
【0013】
すなわち、ロープ2に素線切れが無い場合、主磁束3は安定しており、磁束検知素子1d、1eは一定の出力信号を出力するが、素線切れがあると、前記磁気回路の磁気抵抗が増加するため主磁束3は減少し、これに伴い磁束検知素子1d、1eにより出力される出力信号も減少する。この出力信号の減少に応じて判定回路7は素線切れと判定して、カウント表示回路8により判定の結果を表示する。
【0014】
また、一般にエレベータには複数本のロープが備えられているため、ロープ2には他のロープが隣接しており、検出部1によりロープ2の探傷作業を行っている際に磁性体1a、1bが図示しない他のロープに接触することがある。このように他のロープに磁性体1a、1bが接触すると、等価的に前記磁気回路に新たな磁気回路が接続されることになり、結果的に主磁束3に変化が生じてしまい、ロープ2に素線切れが無くとも、あたかも素線切れがあるような検出信号を得ることがある。しかし、本実施形態の磁性体1a、1bには、ロープ2との非対向面に磁気遮蔽板1f、1gが備えられているため、他のロープに接触しても磁気回路が接続されることがない。
【0015】
このように構成した実施形態では、検出部1を磁性体1a、1bによりロープ2を挟み込むように構成することによって、従来2つの磁石を用いて磁気回路を形成していたところを1つの磁石とすることができ、したがって、検出部1を小型および簡易なものとすることができる。具体的には検出部1を従来のものの1/2以下に小型化することができ、また、製作費を1/5以下に低減することができる。また、磁性体1a、1bのロープ2との非対向面に磁気遮蔽板1f、1gを備えることにより、非検出対象の他のロープに接触しても磁気回路が接続されて磁気が乱されることがなく、したがって、高精度の検出を行うことができる。
【0016】
【発明の効果】
本発明は以上のように構成したので、検出部を磁性体によってロープを挟み込むように構成することにより、従来2つの磁石を用いて磁気回路を形成していたところを1つの磁石とすることができ、したがって、検出部を小型および簡易なものとすることができる。これによって、ロープの測定部分に検出部をあてがい保持するのが容易となり、作業性に優れたものとすることができるとともに、製作費用の低減を図ることができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のエレベータ用ロープの磁気探傷装置の一実施形態を示す上面図である。
【図2】図1の磁気探傷装置の正面図である。
【図3】図1の磁気探傷装置の全体構成を示す説明図である。
【符号の説明】
1 検出部
1a、1b 磁性体
1c 磁石
1d、1e 磁束検知素子
1f、1g 磁気遮蔽板
2 ロープ
3 主磁束

Claims (2)

  1. 磁気を利用してロープの素線切れを検出する検出部を有するエレベータ用ロープの磁気探傷装置において、
    前記検出部は、前記ロープを挟み込むようにそれぞれが隔てられて配置される一対の磁性体と、これら一対の磁性体間に介設される一つの磁石と、前記ロープの同一縒り線上へ位置するよう前記一対の磁性体の前記ロープとの対向面にそれぞれ配置される一対の磁束検知素子とを備え、
    前記磁石のN極、前記一対の磁性体のうちの一方の磁性体、前記一対の磁束検知素子のうちの一方の磁束検知素子、前記ロープ、前記一対の磁束検知素子のうちの他方の磁束検知素子、前記一対の磁性体のうちの他方の磁性体、及び前記磁石のS極によって形成される磁気回路内を流れる主磁束を、前記一対の磁束検知素子で検知することを特徴とするエレベータ用ロープの磁気探傷装置。
  2. 前記磁性体のそれぞれは、前記ロープとの非対向面に磁気遮蔽手段を備えたことを特徴とする請求項1記載のエレベータ用ロープの磁気探傷装置。
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