JP3547113B2 - 廃牛乳の処理方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は廃牛乳の処理方法に関するものであり、スーパーマーケット等より賞味期限切れで生乳工場に返品されたミルクカートン入り等の廃牛乳の処分法に適用されるものである。
【0002】
【従来の技術】
廃牛乳の処理方法として従来行われていた方法は活性汚泥法の如き生物処理装置により汚泥化せしめた後に脱水することであった。
この場合、廃牛乳直接の処理は困難であり、10倍程度に水で希釈した後に生物処理が行われ、大型の処理設備が必要であり、新たに富栄養化物質を含む大量の廃水を発生する欠点があった。
また等電点法と呼ばれる蛋白質の処理方法があり、蛋白質含有廃水を酸性にして蛋白質を不溶化析出させるものであるが、該析出物は有機高分子凝集剤により凝集しない欠点があり、効率良い処理方法が求められていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明が解決しようとする課題は上記従来技術における問題点を解決することであり、活性汚泥法の如き生物処理装置により汚泥化せしめた後に脱水する場合、廃牛乳直接の処理は困難であり、10倍程度に水で希釈した後に生物処理が行われ、大型の処理設備が必要であり、新たに富栄養化物質を含む大量の廃水を発生する欠点があるのを解決することであり、また等電点法と呼ばれる蛋白質の処理方法において蛋白質を不溶化析出させ、該析出物を有機高分子凝集剤により凝集可能とする無希釈処理による効率良い処理方法を提供することである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明の請求項1の発明は、廃牛乳を酸性にした後にベントナイトを添加し、さらに高分子凝集剤を添加して凝集させた後に脱水操作を経ることを特徴とする廃牛乳の処理方法である。
【0005】
本発明の請求項2の発明は、廃牛乳のpHを3.0〜4.5に調節することを特徴とする請求項1に記載の廃牛乳の処理方法である。
【0006】
本発明の請求項3の発明は、ベントナイトの添加量が廃牛乳に対して0.5〜2重量%であることを特徴とする請求項1あるいは請求項2のいずれか一項に記載の廃牛乳の処理方法である。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明の第一の限定は、廃牛乳を酸性にした後にベントナイトを添加し、さらに高分子凝集剤を添加して凝集させた後に脱水操作を経ることを特徴とする廃牛乳の処理方法である。本発明の第ニの限定は、請求項1に記載の廃牛乳の処理方法において、廃牛乳のpHを3.0〜4.5に調節することを特徴とする。本発明の第三の限定は、請求項1あるいは請求項2のいずれか一項に記載の廃牛乳の処理方法において、ベントナイトの添加量が廃牛乳に対して0.5〜2重量%であることを特徴とする。
【0010】
廃牛乳は脂肪と蛋白質で構成されている為に等電点付近の酸性にするとたんぱく質が凝固し高分子凝集剤で凝集できる。 酸性化法は硫酸等の酸添加が一般的ではあるが、有機酸発酵等による酸生成でもPH低下はできる。 高分子凝集剤としてはアニオン系、ノニオン系、カチオン系、両性の各凝集剤を単独あるいは併用して使用することができる。本発明に用いる高分子凝集剤は水処理用薬品として市販されている公知の物質を用いる事ができ,アニオン性高分子としてはアクリルアミド・アクリル酸塩共重合物,アクリルアミド・アクリルアミド2メチルプロパンスルホン酸塩,ポリアクリル酸塩等を例示し,カチオン系高分子凝集剤としてはジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレートの塩または四級化物あるいはジアルキルアミノアルルキル(メタ)アクリレートの塩または四級化物あるいはジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリルアミドの塩または四級化物等のカチオンモノマーの(共)重合物,ポリジメチルジアリルアンモニウムクロライド,キトサン,ポリアクリルアミドのマンニッヒ変性物,ポリビニルアミン等を例示する事ができる。アニオン系高分子凝集剤とカチオン系高分子凝集剤を併用すると凝集力が増し,フロック強度が強まる。 同一高分子内にカチオン基とアニオン基を共に含有する両性も無機凝集剤と併用するなどして頻繁に使用される。高分子凝集剤添加の前にベントナイトを併用添加すると凝集力は高まる。廃牛乳は脂肪と蛋白質で構成されている為に等電点以上のpHにおいては負に帯電し,等電点以下のpHにおいては正に帯電する。ベントナイトは負に帯電している為にpHの低い状態では蛋白質と電気的に結合する。またベントナイトはpHの低い状態ではイオン交換作用により膨潤性を失う。この様にして凝結した懸濁物は高分子凝集剤により容易に凝集し脱水性の良好なフロックを形成する。予期せぬ効能として蛋白質と共に脂肪も除去される。脂肪すなわちn−Hx抽出物は曝気時に活性汚泥に気泡を付着させ沈降槽で浮上スカムを発生するもととなるのでその存在は忌避される。本発明の後処理として活性汚泥処理により残存不純物を除去処理するうえで非常に有効な特性である。ベントナイトは無毒であり飼料とする事も問題無い。硅藻土等の濾過助剤と比較して少ない添加量で有効であり,薬品費は安価である。しかしながら賞味期限を過ぎた牛乳を飼料とする事には安全性の面で問題があり焼却又はコンポスト化が現実的な処理方法である。ミルクカートンの離解物を混合して廃牛乳を処理すると脱水処理が容易となるうえに、コンポスト化時の炭素比率を高めたんぱく質の微生物分解に適当な組成となる。本発明の範囲には、請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載の廃牛乳の処理方法において、高分子凝集剤添加工程以前の段階において、廃牛乳にミルクカートン離解物を混合し脱水操作を経ることも含まれる。本発明の他の範囲には、請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載の廃牛乳の処理方法において、脱水物をコンポスト化することも含まれる。析出物の固液分離にはベルトプレスやフィルタープレス等の加圧濾過機,ベルトフィルターやオリバーフィルターの様な真空濾過機,あるいはデカンターの様な遠心分離機等の公知の脱水機を使用する事ができる。本発明に用いるベントナイトは膨潤性の高い微細粒子が好ましいが市販のベントナイトは支障なく使用できる。添加形体は5〜10%のスラリーとして使用するのが最も便利ではあるが,粉末を直接投入する事も可能であり任意の添加方法を選ぶ事ができる。添加量は対廃牛乳液当たり0.5〜2.0重量%程度であり,凝集状態により適宜選定する。ベントナイト併用処方に用いる高分子凝集剤は水処理用薬品として市販されている公知の物質を用いる事ができ,アニオン性高分子としてはアクリルアミド・アクリル酸塩共重合物,アクリルアミド・アクリルアミド2メチルプロパンスルホン酸塩,ポリアクリル酸塩等を例示し,カチオン系高分子凝集剤としてはジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレートの塩または四級化物あるいはジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリルアミドの塩または四級化物等のカチオンモノマーの(共)重合物,ポリジメチルジアリルアンモニウムクロライド,キトサン,ポリアクリルアミドのマンニッヒ変性物,ポリビニルアミン等を例示する事ができる。 アニオン系高分子凝集剤とカチオン系高分子凝集剤を併用すると凝集力が増し,フロック強度が強まる。高分子凝集剤を添加する前に鉄,アルミニウム,カルシウム,マグネシウム等の多価金属塩を添加する事により,pH5以上の状態でも凝集処理を行う事は可能であるが,脱水性の低下や金属による汚染等が問題になる場合もあり,ベントナイトの非膨潤化手段としては酸によるpH調整が最も好ましい。pHの調整時期はベントナイト添加の前が望ましい。
【0011】
【実施例】
(実施例−1)
廃ミルク200mlを300mlのガラスビーカーに取り,pHを硫酸又は苛性ソーダにより調整した後ベントナイトを加え,150rpmの攪拌強度で1分間攪拌を行い,次いで高分子凝集剤を加えて,150rpm20秒攪拌を行う。
この時形成されたフロックの径を測定する。
この様にして凝集させたミルク凝集物を直径7cmのブフナー漏斗にNo.2の濾紙をしいて,700mmHgの減圧下に100mlの濾液を得るまでの時間を測定する。
本実験で用いたベントナイトは,国峯砿化工業株式会社製のクニゲルV1であり,5%分散液に調整した。 高分子凝集剤は,ハイモ株式会社製のアニオン系高分子凝集剤ハイモロックSS−120及びカチオン系高分子凝集剤ハイモロックMP−173Hであり,それぞれ,0.1%に溶解して使用した。
ハイモロックSS−120はポリアクリルアミド部分加水分解物(アニオン化率 40モル% 極限粘度 25dl/g)であり,ハイモロックMP−173Hはポリメタクリロイロキシエチルトリメチルアンモニウムクロライド(極限粘度5.4dl/g)である。
得られた実験結果を表−1に示す。
【0012】
【表1】
【0013】
【発明の効果】
本発明のPH範囲において処理することが望ましく、特にベントナイト併用で脱水効果の高いことがわかる。
【表−1】
Figure 0003547113

Claims (3)

  1. 廃牛乳を酸性にした後にベントナイトを添加し、さらに高分子凝集剤を添加して凝集させた後に脱水操作を経ることを特徴とする廃牛乳の処理方法。
  2. 廃牛乳のpHを3.0〜4.5に調節することを特徴とする請求項1に記載の廃牛乳の処理方法。
  3. ベントナイトの添加量が廃牛乳に対して0.5〜2重量%であることを特徴とする請求項1あるいは請求項2のいずれか一項に記載の廃牛乳の処理方法。
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