JP3546133B2 - 車両自動発車装置 - Google Patents

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伸一 東
英臣 丹羽
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Mitsubishi Heavy Industries Ltd
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Mitsubishi Heavy Industries Ltd
East Japan Railway Co
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両を自動で発車させる車両自動発車装置に係わり、特に勾配区間においても車両の自動発車を可能とした車両自動発車装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、勾配区間における発車時に鉄道車両が後退するのを防止するため、運転士が列車を発車させる際に、力行ハンドルと同時にブレーキハンドルまたはブレーキ釦を操作してブレーキを作動させる。そして、発車後しばらくした後に、運転士の判断によりブレーキハンドルまたはブレーキ釦を解除していた。
【0003】
また、勾配区間発車用の専用釦がある場合、列車の操作盤面に勾配区間発車用の専用釦を設けてあり、運転士がこの専用釦を操作すると、ブレーキが作動するようになっている。そして、列車が発車後に自動的にブレーキが解除される。
【0004】
この車両の発車時における力行とブレーキのタイミングチャートを図3に示す。図3に示すように、勾配区間における車両が発車する際の時間t1において、運転手がまずブレーキハンドル又はブレーキ釦を操作し、ブレーキをオンとする。次に、車両の後退を防止するためにブレーキを作動させたまま力行ハンドルを操作する(タイミングt2)。そして、ブレーキを解除するか、又は専用釦により自動的にブレーキが解除される(タイミングt3)。このように、タイミングt1,t2,t3の順に作動させることで、勾配区間において後退することなく発車することが出来る。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来の勾配区間における発車方法では、以下に示す問題点を生じていた。即ち、勾配区間発車用の専用釦が無い場合、ブレーキハンドルまたはブレーキ釦を併用する従来の方式では、ブレーキハンドル又はブレーキ釦を解除するタイミングが運転者のノウハウに依存しているため、例えば発車後ブレーキが解除されるまでの時間t2〜t3が短すぎる場合、誤って車両が後退する危険性がある。また、ブレーキを解除するタイミングが遅い場合、過制動となる場合がある。さらに、この方式におけるブレーキ解除のタイミング操作は、運転者の負担となっていた。
【0006】
一方、勾配区間発車用の専用釦がある場合、車両が発車後ブレーキを自動的に解除する最適なタイミングは勾配条件に依存しているため、一意に定められなかった。従って、力行とブレーキが釣り合わず、後退又は過制動等の弊害が発生する危険性がある。
【0007】
本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、その目的とするところは、勾配区間における車両発車時の運転者による力行とブレーキのタイミング操作を不要とし、後退、過制動等の弊害を除去した車両自動発車装置を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明の車両自動発車装置は、車両の発車指令から一定時間経過するまで目標速度を零とし、一定時間経過後に目標速度を有限の値にする速度指令を与える速度指令部と、車両の現在速度を検出する速度検出器と、前記速度指令及び現在速度に基づいて速度偏差信号を演算する比較部と、この速度偏差信号に基づいて駆動モータを制御する駆動部とを具備したことを特徴とする。
【0009】
本発明の第一の望ましい形態としては、目標速度が零であるタイミングにおいてブレーキを解除する。
本発明の第二の望ましい形態としては、速度指令を目標速度零から徐々に上げていく。
【0010】
本発明の車両自動発車装置によれば、以下に示す作用・効果を有する。
勾配区間における車両発車時には、車両の後退を防止するため、ブレーキがかけられる。速度指令部は、この車両発車と同時に目標速度を零とする速度指令を比較部に出力する。比較部は、速度指令及び速度検出器で検出された現在速度の偏差を演算し、演算結果を駆動部に入力する。車両発車時においては車両の速度は零であり、また目標速度も零であるので、駆動部は車両速度を零とするように駆動モータを制御する。この場合、ブレーキが作動しているので、駆動モータには実際にはほとんど力が働かない。その後、ブレーキを解除した後であっても駆動モータは作動しているため、車両の後退や過制動等の弊害はない。
【0011】
このように、勾配区間における発車時に、駆動モータにより車両の速度を制御するため、運転者による力行及びブレーキのタイミング操作が不要となり、後退や過制動等の弊害無く発車することが可能となる。
さらに、目標速度を発車指令から一定時間経過後に徐々に上げる場合であれば、スムーズに車両を発車させることが可能となる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しながら本発明の一実施形態を説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る車両自動発車装置の全体構成を示すブロック部である。本装置は、鉄道の車両が発車した時からブレーキ4が解除された後一定時間経過後まで目標速度12を零とする速度指令を与える速度指令部1と、目標速度12及び現在速度14に基づいて駆動モータ3を制御する制御部2、車両5を回転させる駆動モータ3から構成される。また制御部2は、目標速度12及び現在速度14に基づいて速度偏差13を生成する比較回路2aと、この速度偏差13に基づいて駆動モータ3を制御する駆動部2bと、駆動モータ3の回転数から車両の現在速度14を検出する速度検出器2cから構成される。
【0013】
上記車両自動発車装置の勾配区間での始動時の車両走行信号11,目標速度12,ブレーキ4それぞれのタイミングチャートの一例を図2に示す。図2に示すように、時間t4、即ち車両停止時においては、車両走行信号11及び目標速度12をオフに、ブレーキ4をオンにしておき、ブレーキ4の作動により車両が停止している(A区間)。時間t5において、運転者が走行を開始しようとするとき、車両走行信号11をオンとする。このタイミングt5においては、ブレーキ4はまだ有効に作動しており、目標速度12も0km/hである。次に、時間t6においてブレーキ4がオフとなる。さらに時間が経過して時間t7になったとき、目標速度12が上昇していき車両が前進する。
【0014】
上記実施形態の動作を説明する。
勾配区間において車両が停止しているとき、即ち図2における時間t4〜t5のA区間においては、速度指令部1へ入力される車両走行信号11はオフであるので、本装置は作動していない。このタイミングにおいて、車両を停止させているのはブレーキ4である。
【0015】
車両の走行を開始する場合、即ち図2における時間t5のタイミングにおいて、まず車両走行信号11をオンにする。この車両走行信号11を受けて、速度指令部1は、比較回路2aに目標速度12を入力する。比較回路2aは、目標速度12及び速度検出器2cで検出された現在速度14に基づいて、速度偏差13を算出し、駆動部2bに入力する。駆動部2bは、速度偏差13を零とするように駆動モータ3を駆動させる。ここで、走行開始時は、現在速度14は零であり、また目標速度12も零になるように設定されている。従って、このタイミングにおける車両を停止させる力はブレーキ4である。
【0016】
次に、時間t5から任意の時間経過した時間t6において、ブレーキ4がオフとなる。このタイミングにおいても目標速度12が零であり、速度検出器2cの検出信号との速度偏差13が零になるように駆動モータ3が制御されている。この駆動モータ3により、車輪5は回転しないように制御されている。従って、ブレーキ4がオフとなっても車両は停止した状態のままを保つことが可能となり、誤って車両が後退することはない。
【0017】
上記タイミングt6からさらに時間が経過したタイミングt7において、目標速度12が徐々に上昇していく。この目標速度12が比較回路2aに出力され、駆動部2bに伝えられると、回転しないように駆動部2bにより制御されていた駆動モータ3が回転を開始し、車輪5が回転する。従って、車両はスムーズに加速していく。
【0018】
このように、発車時の目標速度12を一定時間零とし、その間は駆動部2bが零信号に従って車両速度を零とするように駆動モータ3を制御するため、車両は停止した状態を保持することができる。従って、勾配区間であっても運転者による力行及びブレーキのタイミング操作が不要となり、発車時の後退、過制動等の弊害を除去することが可能となる。また、目標速度を零から徐々に上げていくことにより、車両をスムーズに発車させることが可能となる。
【0019】
なお、本実施形態では鉄道の車両を制御対象としたが、本発明を勾配区間において使用する電気自動車,モノレール,スキー場のリフト等にも適用可能であることは勿論である。また、車両走行信号11がオンしてから一定時間経過後にブレーキ4が解除される場合を示したが、駆動モータ3による車輪5の制御が車両走行信号11の入力から即行えるものであれば、車両走行信号11と同時にブレーキ4がオフとなるものであってもよいことは勿論である。
また、本実施形態における制御装置に加えて補助的にブレーキハンドル又はブレーキ釦を併用することも可能である。
【0020】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、車両発車時に速度が零の目標速度により車両を停止させておくため、勾配区間であっても発車時の運転者による力行とブレーキのタイミング操作が不要となり、後退、過制動等の弊害を除去することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る車両自動発車装置の全体構成を示すブロック図。
【図2】同実施形態における車両自動発車装置の各部のタイミングを示す図。
【図3】従来の車両発車方法のブレーキ及び力行ハンドルのタイミングを示す図。
【符号の説明】
1 速度指令部
2 制御部
2a 比較回路
2b 駆動部
2c 速度検出器
3 駆動モータ
4 ブレーキ
5 車輪
11 車両走行信号
12 目標速度
13 速度偏差
14 現在速度

Claims (1)

  1. 車両の発車指令から一定時間経過するまで目標速度を零とし、一定時間経過後に目標速度を有限の値にする速度指令を与える速度指令部と、車両の現在速度を検出する速度検出器と、前記速度指令及び現在速度に基づいて速度偏差信号を演算する比較部と、この速度偏差信号に基づいて駆動モータを制御する駆動部とを具備したことを特徴とする車両自動発車装置。
JP2844798A 1998-02-10 1998-02-10 車両自動発車装置 Expired - Lifetime JP3546133B2 (ja)

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JPH11234812A JPH11234812A (ja) 1999-08-27
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