JP3545935B2 - 画像の生成・表示方法及びこの方法を記録した記録媒体 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、コンピュータを用いて3次元データ構造の画像を生成・表示する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、3次元コンピュータ・グラフィックス等による画像は、線分データの集合で図形データを構成し、これら図形の集合で1つの画像データを構成し、さらに図形毎に位置や色情報を付加したデータ構造になる。
【0003】
画像の表示は、CRT表示装置等に表示されたり、プロッター等にハードコピー、フィルムに撮ってアニメーションとして表示される。
【0004】
以下、コンピュータ・グラフィックス等で生成・表示の対象となるものを「オブジェクト」あるいは「物体」と記す。
【0005】
また、画像の「生成」とは、オブジェクトの所持する3次元のデータ構造を解釈して2次元の画像に変換し、表示のための計算機のメモリにピクセル(画素)単位の色情報を書き込む作業であり、また、「表示」とは、前記メモリ内の色情報をディスプレイ上へ可視化することである。
【0006】
また、前記画像データを書き込む計算機のメモリのことを、フレームバッファまたは単にバッファと称する。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
従来、コンピュータ・グラフィックス等で3次元画像を生成・表示する場合、オブジェクトの構造が複雑になると、前記オブジェクトのデータを記述するためのデータ量、および生成・表示に関連する計算の量が増大し、記憶容量ならびに計算時間を多大に必要とする、という問題があり、特に前記対象を運動させるアニメーションにおいてその影響が顕著になるという問題があった。
【0008】
また、視点からオブジェクトまでの距離に応じて、オブジェクトのデータ構造を変化させるLOD(Level Of Detail)という手法があるが、オブジェクトに対し数段階のデータ構造を記述する必要があるうえ、オブジェクトの数の増大については効果がない、という問題があった。
【0009】
本発明の目的は、オブジェクトが持つ複雑なデータ構造を簡略化して画像の生成・表示ができる方法及びこの方法を記録した記録媒体を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記課題を解決するため、3次元のデータ構造を視点からの距離に応じて2次元のデータ構造で近似するようにしたもので、以下の方法を特徴とする。
【0011】
コンピュータを用いて画像を生成並びに表示する際に、3次元のデータ構造を有する複数の仮想物体を、2次元の画像に変換して表示する画像の生成・表示方法において、
前記3次元のデータ構造を有する仮想物体の近似を行う領域を視点からの距離によって決定する近似領域決定処理手順と、
該近似を行う領域に含まれる前記3次元のデータ構造を有する仮想物体を近似対象とする近似判定処理手順と、
前記近似を行う領域を平面上の画像データで近似するための投影面を近似領域の境界面として決定する近似投影面決定処理手順と、
前記近似対象とする前記3次元のデータ構造を有する仮想物体を前記投影面へ投影した画像データを生成する近似画像生成処理手順と、
前記画像データを記憶領域に記憶する近似画像データ記憶処理手順と、
前記投影面を表す領域を、平面あるいは曲面で構成される透明な属性を有する有限な領域を持つ面として生成する記憶面生成処理手順と、
前記生成された面に前記画像データを貼り付ける記憶画像データ貼付処理手順と、
視点位置の変更が生じた際に、前記画像データを貼り付けた面が近似領域に属している場合、前記近似領域決定処理手順および前記近似判定処理手順により、前記画像データとして投影された3次元データ構造を有する仮想物体を3次元データに還元して新たに近似を行うかどうかを新たな視点に基づいて判定し、前記判定により再近似を行わない判定をした場合に、すでに生成されている画像データと新たに生成された画像データを重ね合わせる再近似処理手順と、
を具備することを特徴とする。
【0014】
また、本発明は、上記課題を解決するために、本発明による記録媒体は、3次元のデータ構造を有する仮想物体の近似を行う領域を視点からの距離によって決定する近似領域決定処理手順と、
該近似を行う領域に含まれる前記3次元のデータ構造を有する仮想物体を近似対象とする近似判定処理手順と、
前記近似を行う領域を平面上の画像データで近似するための投影面を近似領域の境界面として決定する近似投影面決定処理手順と、
前記近似対象とする前記3次元のデータ構造を有する仮想物体を前記投影面へ投影した画像データを生成する近似画像生成処理手順と、
前記画像データを記憶領域に記憶する近似画像データ記憶処理手順と、
前記投影面を表す領域を、平面あるいは曲面で構成される透明な属性を有する有限な領域を持つ面として生成する記憶面生成処理手順と、
前記生成された面に前記画像データを貼り付ける記憶画像データ貼付処理手順と、
視点位置の変更が生じた際に、前記画像データを貼り付けた面が近似領域に属している場合、前記近似領域決定処理手順および前記近似判定処理手順により、前記画像データとして投影された3次元データ構造を有する仮想物体を3次元データに還元して新たに近似を行うかどうかを新たな視点に基づいて判定し、前記判定により再近似を行わない判定をした場合に、すでに生成されている画像データと新たに生成された画像データを重ね合わせる再近似処理手順とを具備し、
コンピュータを用いて画像を生成並びに表示する際に、3次元のデータ構造を有する複数の仮想物体を、2次元の画像に変換して表示する画像の生成・表示方法をコンピュータに実行させるプログラムを、格納したことを特徴とする。
【0017】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明の実施形態を示す処理手順である。近似判定処理S1は、オブジェクトを近似するかどうかの判定を行い、近似化処理S2は近似判定処理S1によって判定されたオブジェクトの近似を行う。
【0018】
なお、処理S1の前に、通常のコンピュータ・グラフィックスで用いられる手法により、オブジェクトのデータ構造は解釈されており、仮想空間での視点や視線方向などのビューイング・パラメータやビューイング・ボリューム(視体積)などは決定されているものとする。
【0019】
以下、処理S1と処理S2を詳細に説明すると共に、画像生成の具体例を説明する。
【0020】
(処理S1)近似判定処理
近似領域決定処理S11は、例えば、計算機内の仮想空間において、オブジェクトの近似を行う領域を決定する。例えば、視点からある距離だけ離れた点を含み、視点と視線方向を結ぶ直線に垂直な平面を境界として、視点から遠い方の視体積を近似領域とする、などである。
【0021】
この領域はどのように定めても良い。例えば、前記のように視点からの距離によって視体積を2分しても良いし、さらに視体積を例えば上下方向に2分して、その中の一つを近似領域としても良い。また、奥行方向に閾値を複数設けても良い。
【0022】
既近似判定処理S12は、あるオブジェクトに対し、既に近似化されているかどうかの判定を行う。
【0023】
近似領域内判定処理S13は、オブジェクトが処理S11で決定した近似領域に含まれるかどうかを判定する。
【0024】
近似化決定処理S14は、処理S12あるいは処理S13の判定の結果、対象となるオブジェクトを近似するかどうかを決定する。
【0025】
再近似化決定処理S15は、既に近似化されているオブジェクトであっても、再度近似化するかどうかを決定する。
【0026】
(処理S2)近似化処理
近似投影面決定処理S21は、近似領域を平面上の画像データで近似するための投影面を決定する。
【0027】
近似画像生成処理S22は、近似領域内の近似を行うオブジェクトについて、処理S21で決定された投影面へ投影された画像データの生成を行う。即ち、通常のコンピュータ・グラフィックスにおけるレンダリング処理と同様の処理を行うが、投影する面が異なっている。
【0028】
図2はこの態様を示している。図2の(a)においては、円柱はより視点に近いオブジェクトであり、他のオブジェクトは近似されるものとする。この時、図2の(a)の点線で囲まれた面を投影面とみなし、図2の(b)に示すように、近似されるオブジェクトをその投影面に投影された画像として生成する。
【0029】
近似画像データ記憶処理S23は、処理S22で生成された画像を記憶領域に記憶する。
【0030】
記憶面生成処理S24は、前記投影面を表す領域を、平面あるいは曲面で構成される、有限な領域を持つ面として生成する。面は、どのような質感あるいは色情報などを所持しても良いが、完全に透明な属性を所持しているものが合理的である。
【0031】
記憶画像データ貼付処理S25は、処理S24で生成された面に、処理S23によって記憶された画像データを貼付ける。その際、オブジェクトが存在しない部分を投影した部分は、透明な属性を記録する。
【0032】
奥行情報付与処理S26は、前記データを貼付けた多角形に対し、奥行情報を与える処理であり、この処理を用いない場合は、近似投影面決定処理S21で決定された投影面と同じ奥行情報を与えても良い。
【0033】
なお、近似化を行わないオブジェクトや、既に近似化が行われており、再近似を行わないオブジェクトは、通常のコンピュータ・グラフィックスのレンダリング処理にしたがって、フレームバッファに画素ごとの色情報として記憶される。
【0034】
この時、既に近似化が行われており、再近似を行わないオブジェクトは、仮想空間内のポリゴンとして描画されるため、複雑な3次元オブジェクトが他数存在していても、全て1枚の画像データを貼付した面で置き換えられる。
【0035】
以上の処理を、全てのオブジェクトにわたって繰り返し、フレームバッファに記憶されているデータを表示する。
【0036】
(画像生成の具体例)
本実施形態による画像生成は、例えば、図2の(a)のシーンに対して、図2の(b)のような近似化画像を得ることができる。図2の(a)では、視点から遠い3つのオブジェクトを、図2の(b)では1枚の画像で近似して表示している。例えば、さらに全オブジェクトが視点から遠くなるような場合は、近似された3種類のオブジェクトはこの1枚の画像を貼付された面で表せば良い。
【0037】
図2の例では、仮想的な近似領域の投影面を、近似領域の境界面として、さらに近似面を同じく近似領域の境界面としている。そして、この近似面の奥行の値を変更することも可能となる。
【0038】
以上の処理は、ビューイング・パラメータ、あるいはオブジェクトの位置などが変更される度に実行される。
【0039】
図3は、再近似の様子を示している。図3の(a)は、図2の(b)の近似化からさらに視点が遠くなった際、円柱状のオブジェクトも面で近似した例である。その際、既に近似してあるオブジェクトと、新たに近似されたオブジェクトとをまとめて近似したものが図3の(b)である。この時、一度3次元のデータ構造を所持するオブジェクトに還元し、新たに近似処理を行っても良いが、オブジェクトの存在しない面の部分が透明であるとすると、単に面を重ね合わせればよく、再計算の処理量が少なく抑えられるという効果がある。
【0040】
以上の処理S1とS2による近似判定と近似化処理及び近似化前のモデリング処理やレンダリング処理、表示処理を含めた処理フローを図4に示す。
【0041】
なお、本発明は、オブジェクトのデータを保存し、それらを自由に読み出し可能なハードディスクやそれに準ずる装置と、近似判定や近似化の計算等の処理を行う際のデータの保存等に必要なバッファやそれに準ずる装置と、所望の情報を表示、出力するディスプレイなどの出力装置と、キーボードやマウスなどの入力装置を備え、それらハードディスク、バッファ、出力装置及び入力装置などをあらかじめ定められた手順に基づいて制御するコンピュータやそれに準ずる装置により、図1や図4で示した本発明の方法の実施形態例での処理の手順ないし計算アルゴリズムをコンピュータ等に実行させるためのプログラムを該コンピュータが読み取り可能な記録媒体、例えばフロッピーディスクやメモリカード、MO、CD、DVDなどに記録して配布することが可能である。
【0042】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明は、3次元のデータ構造を視点からの距離に応じて2次元のデータ構造で近似するようにしたため、複雑なデータ構造を簡略化して画像生成・表示することが可能となり、さらに画像の生成に要する記憶領域、並びに計算量を減ずることが可能となるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態を示す近似化処理手順。
【図2】実施形態における画像の近似化処理例。
【図3】実施形態における画像の近似化処理例。
【図4】実施形態の処理フロー。
Claims (2)
- コンピュータを用いて画像を生成並びに表示する際に、3次元のデータ構造を有する複数の仮想物体を、2次元の画像に変換して表示する画像の生成・表示方法において、
前記3次元のデータ構造を有する仮想物体の近似を行う領域を視点からの距離によって決定する近似領域決定処理手順と、
該近似を行う領域に含まれる前記3次元のデータ構造を有する仮想物体を近似対象とする近似判定処理手順と、
前記近似を行う領域を平面上の画像データで近似するための投影面を近似領域の境界面として決定する近似投影面決定処理手順と、
前記近似対象とする前記3次元のデータ構造を有する仮想物体を前記投影面へ投影した画像データを生成する近似画像生成処理手順と、
前記画像データを記憶領域に記憶する近似画像データ記憶処理手順と、
前記投影面を表す領域を、平面あるいは曲面で構成される透明な属性を有する有限な領域を持つ面として生成する記憶面生成処理手順と、
前記生成された面に前記画像データを貼り付ける記憶画像データ貼付処理手順と、
視点位置の変更が生じた際に、前記画像データを貼り付けた面が近似領域に属している場合、前記近似領域決定処理手順および前記近似判定処理手順により、前記画像データとして投影された3次元データ構造を有する仮想物体を3次元データに還元して新たに近似を行うかどうかを新たな視点に基づいて判定し、前記判定により再近似を行わない判定をした場合に、すでに生成されている画像データと新たに生成された画像データを重ね合わせる再近似処理手順と、
を具備することを特徴とする画像の生成・表示方法。 - 3次元のデータ構造を有する仮想物体の近似を行う領域を視点からの距離によって決定する近似領域決定処理手順と、
該近似を行う領域に含まれる前記3次元のデータ構造を有する仮想物体を近似対象とする近似判定処理手順と、
前記近似を行う領域を平面上の画像データで近似するための投影面を近似領域の境界面として決定する近似投影面決定処理手順と、
前記近似対象とする前記3次元のデータ構造を有する仮想物体を前記投影面へ投影した画像データを生成する近似画像生成処理手順と、
前記画像データを記憶領域に記憶する近似画像データ記憶処理手順と、
前記投影面を表す領域を、平面あるいは曲面で構成される透明な属性を有する有限な領域を持つ面として生成する記憶面生成処理手順と、
前記生成された面に前記画像データを貼り付ける記憶画像データ貼付処理手順と、
視点位置の変更が生じた際に、前記画像データを貼り付けた面が近似領域に属している場合、前記近似領域決定処理手順および前記近似判定処理手順により、前記画像データとして投影された3次元データ構造を有する仮想物体を3次元データに還元して新たに近似を行うかどうかを新たな視点に基づいて判定し、前記判定により再近似を行わない判定をした場合に、すでに生成されている画像データと新たに生成された画像データを重ね合わせる再近似処理手順とを具備し、
コンピュータを用いて画像を生成並びに表示する際に、3次元のデータ構造を有する複数の仮想物体を、2次元の画像に変換して表示する画像の生成・表示方法をコンピュータに実行させるプログラムを、格納したコンピュータ読取り可能な記録媒体。
Priority Applications (1)
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---|---|---|---|
JP12260098A JP3545935B2 (ja) | 1998-05-06 | 1998-05-06 | 画像の生成・表示方法及びこの方法を記録した記録媒体 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP12260098A JP3545935B2 (ja) | 1998-05-06 | 1998-05-06 | 画像の生成・表示方法及びこの方法を記録した記録媒体 |
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JPH11316857A JPH11316857A (ja) | 1999-11-16 |
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JP12260098A Expired - Fee Related JP3545935B2 (ja) | 1998-05-06 | 1998-05-06 | 画像の生成・表示方法及びこの方法を記録した記録媒体 |
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JP3646969B2 (ja) * | 1998-05-25 | 2005-05-11 | 富士通株式会社 | 3次元画像表示装置 |
-
1998
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