JP3545374B2 - 橋梁支承部における水平荷重吸収構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は橋梁支承部における橋梁の橋長方向への水平荷重に対する吸収構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
図1に示すように、橋梁1は一端と他端を橋台2に支承し、橋長が長い場合には更に橋台2間に橋脚3を設け、該橋脚3に橋梁1の要所を支承する架橋構造を採っており、該支承手段としてはゴム支承4が主流となっている。
【0003】
図2に示すように上記ゴム支承4は金属板から成る上沓5と同下沓6間に積層ゴムブロック7を介在してユニットを構成しており、これを橋脚1と橋脚3間に介在し、上沓5を橋梁1に一体に取り付けると共に、下沓6を橋台2及び橋脚3に一体に取り付け、橋梁1を橋脚3に荷受けする構成である。
【0004】
上記ゴム支承4は橋梁1の垂直荷重を荷受けしつつ地震や車輌による縦震動を、その圧縮弾性作用により吸収する機能を有し、更に地震や温度差等により橋梁1が橋長方向へ変位(移動と伸縮)した時に、上記ゴム支承4が図1に破線及び実線で示すように、追随的に橋長方向へ弾性変形し上記橋梁変位を吸収する機能を有している。図1は橋梁1が地震により図中右方向へ変位し、これに追随してゴム支承4が右方向へ弾性変形した場合を示している。
【0005】
又橋梁1の両端面と橋台2の段差部間に遊間8を設定し、該遊間8によって橋梁変位を許容しており、この遊間8はゴム支承4の橋長方向の許容弾性変位量が大きい程大きくなる。この遊間8には遊間架設部材が設けられる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
然るに上記ゴム支承4の寸法は、保耐法(保有水平耐力法)レベルの地震が作用した場合の水平変位量(橋長方向への変位量)の許容値に従い決定されることが多く、これは震度法レベルの地震が作用した場合に必要となるゴム支承4の大きさに比べ、かなり大きなものが必要となる。その大きさは橋梁1の規模や橋梁工事場所における地震に対する設計条件によって更に大形となる。
【0007】
このゴム支承4は各橋脚3の橋幅方向に複数設ける場合が多く、一つの橋梁工事において多数のゴム支承4が用いられることと、ゴム支承4自体の単価が非常に高価であるため、多額の工事費用を要する。
【0008】
更にゴム支承4は寸法を大きくすると、地震時の橋長方向の変位量も大きくなり、橋台2や橋脚3の橋座幅や前記遊間8及び遊間架設部材を大きく設定せねばならず、工事費用を更に押し上げる原因となっている。
【0009】
又橋梁工事においては橋梁1内若しくは橋梁1に沿わせて橋長方向へ複数本の鋼線を緊張状態で張設し、強度を増強する工事が行われているが、この緊張力が常時橋梁1に加わって該橋梁1を収縮せしめ、この収縮は数年の間に数十ミリに達し落ち着く。
【0010】
従って仮に上記ゴム支承4を架橋当初に垂直に設置したとすると、上記橋梁1の収縮によって上記ゴム支承4が上記緊張スパンの中心を境に左方又は右方に弾性変形し、即ち常時剪断力が加わった状態で定常状態となり、短期にゴム支承4の疲労を招来し、機能を喪失する。
【0011】
而して従来は上記問題を防止するため、ゴム支承4の製作工場において、予めゴム支承4を上記予測収縮量に相当する寸法だけ逆方向へ弾性変形しておき(プレツイストをかけておき)、固定装置によりこのプレツイスト状態を保持して架橋現場に持ち込み、上沓5と下沓6を橋梁1と橋脚3に取り付け、プレツイスト状態での橋梁支持状態を形成している。
【0012】
これによって上記鋼線の緊張力に起因する橋梁1の収縮が生じ安定した時、上記ゴム支承4がその軸線が略垂直に復元し、上記問題を解消することができる。
【0013】
然しながら上記工場において、ゴム支承4にプレツイストをかける作業、或いはこのプレツイスト状態を保持する固定装置が大掛かりとなり、製作コストが嵩み、現場施工も煩雑となる問題を有している。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記問題点を適切に解決する橋梁支承部における水平荷重吸収構造を提供する。即ち本発明は既知の油圧シリンダに代表される流体圧シリンダの圧縮特性に着目し、この流体圧シリンダを橋脚に橋梁を荷受けする橋梁支承部に付設して、橋梁の橋長方向への変位(地震による橋長方向への移動)に対し流体圧抗力を生じつつ同方向に伸縮せしめるようにし、橋梁の水平変位量を減殺しつつ、橋梁支承部の変形量の減殺を図る構造を採る。
【0015】
流体圧シリンダはその特性により、地震時における急激で且つ大きな水平荷重が加わった時の橋梁の橋長方向への変位量を有効に抑制しつつ伸縮し、支承部と協働して同水平荷重を吸収すると共に、支承部に加わる負荷を軽減する。
【0016】
又上記流体圧シリンダは、上記鋼線の張力や環境温度差に起因する橋梁の橋長方向への緩やかな変位(橋梁の橋長方向への収縮)に対しては、大きな流体圧抗力を生ずることなく追随的に緩やかに収縮又は伸長して橋梁収縮を吸収し、支承部の負荷を軽減する。
【0017】
上記により、ゴム支承等の支承部構造体を可及的に小形・安価にし、且つその設置数の削減をも可能にする。加えてゴム支承等の耐用寿命を向上し、総じて工費の削減に寄与する橋梁支承部における水平荷重吸収構造を提供できる。
【0018】
上記ゴム支承は橋梁に取り付けた上沓と橋脚に取り付けた下沓間に積層ゴムブロックを介在して構成されるが、上記流体圧シリンダはこの上沓と下沓間に介装し、殊に地震による急激で大きな水平荷重に対し流体圧抗力を生じつつ同方向に伸縮せしめる構造にし、加えて温度差や鋼線の張力に起因する橋梁の収縮に対しては、流体圧シリンダが緩やかに収縮又は伸長してこれを吸収する構造にし、既知のゴム支承の上沓と下沓を利用して流体圧シリンダを介在する簡素な構造でゴム支承と協働せしめ、所期の目的を達成する。
【0019】
又上記上沓と下沓間に介在した流体圧シリンダにより前記プレツイスト状態を容易に形成することができ、従来行っていたプレツイスト作業を大幅に改善できる。
【0020】
上記流体圧シリンダは橋梁の橋長方向への水平荷重を受圧して相対伸縮する少なくとも一対の流体圧シリンダを用い、両流体圧シリンダ間を流体圧逃がしパイプにて連結し、一方の流体圧シリンダが収縮動作し、他方の流体圧シリンダが伸長動作した時、流体圧を該流体圧逃がしパイプを通じて一方から他方へ逃がし、その逃がし量によって所定の流体圧抗力が得られるようにする。
【0021】
上記流体圧シリンダの他例として、橋梁の橋長方向への水平荷重を受圧して相対伸縮する互いに逆方向に突出された一双のプランジャーを有する流体圧シリンダを用い、該流体圧シリンダの両端を流体圧逃がしパイプにて連結し、一方のプランジャーが収縮動作し、他方のプランジャーが伸長動作した時、流体圧を該流体圧逃がしパイプを通じて一方から他方へ逃がし、その逃がし量によって所定の流体圧抗力が得られるようにする。
【0022】
更に上記流体圧逃がしパイプに流体逃がし量を調整する流体圧コックを設け、上記流体の逃がし量を調整し且つ設定できるようにする。
【0023】
【発明の実施の形態】
図1、図2に基づき説明したように、橋梁1は一端と他端を橋台2に支承し、橋長が長い場合には更に橋台2間に橋脚3を設け、該橋脚3に橋梁1の要所を支承する架橋構造を採っており、該支承手段としてはゴム支承4が主流となっている。
【0024】
又上記ゴム支承4は金属板から成る上沓5と同下沓6間に積層ゴムブロック7を介在してユニットを構成しており、これを橋脚1と橋脚3間に介在し、上沓5を橋梁1に一体に取り付けると共に、下沓6を橋台2及び橋脚3に一体に取り付け、橋梁1を橋脚3に荷受けする構成である。
【0025】
上記ゴム支承4は橋梁1の垂直荷重を荷受けしつつ地震や車輌による縦震動を、その圧縮弾性作用により吸収する機能を有し、更に地震や温度差により橋梁1が橋長方向へ変位(伸びや移動)した時に、上記ゴム支承4が図1に破線及び実線で示すように、追随的に橋長方向へ弾性変形し上記橋梁変位を吸収する機能を有している。図1は橋梁1が図中右方向へ変位し、これに追随してゴム支承4が右方向へ弾性変形した場合を示している。実施に応じ橋台2上のゴム支承4は橋梁の橋長方向への変位に追随してスライドするように設置する。
【0026】
前記したように、橋梁1の両端面と橋台2の段差部間には遊間8を設定し、該遊間8によって橋梁変位を許容しており、この遊間8には遊間架設部材が設けられる。
【0027】
請求項並びに以下の説明における「橋脚」とは、橋台2及び橋脚3を意味する。上記ゴム支承4等によって形成する橋梁支承部における水平荷重吸収構造として、既知の油圧シリンダに代表される流体圧シリンダ9を適用する。この流体圧シリンダ9は既知の圧縮特性を有し、この流体圧シリンダ9を橋脚3に橋梁1を荷受けする橋梁支承部に付設して、橋梁1の橋長方向への変位(水平荷重)に対し、殊に地震による水平荷重に対し大きな流体圧抗力を生じつつ同方向に伸縮せしめ、橋梁1の水平変位量を減殺する。又同時に橋梁支承部の変形量を減殺し、負荷を軽減する。
【0028】
上記流体圧シリンダ9は上記橋梁支承部において、一端を橋梁1側に支持し他端を橋脚3側に支持する。即ち橋梁1側に該橋梁1と一体に変位するシリンダ加圧部材10を設け、橋脚3側にシリンダ受圧部材11を一体に設け、該受圧部材11と加圧部材10を橋長方向において対向せしめ、上記流体圧シリンダ9を該シリンダ加圧部材10とシリンダ受圧部材11間に介装し、該流体圧シリンダ9の一端、即ちプランジャー9a又は流体密閉筒9bの一方を上記加圧部材10又は受圧部材11の一方に固定支持して横設し、プランジャー9a又は流体密閉筒9bの他方を上記加圧部材10又は受圧部材11の他方に当接する。
【0029】
よって橋梁1が橋長方向に変位した時、加圧部材10も一緒に同方向に変位し、これにより流体圧シリンダ9を加圧して橋長方向へ収縮し、受圧部材11にて受圧する。即ち橋脚3と一体な下沓6にて受圧する。
【0030】
上記流体圧シリンダ9は地震時における急激で且つ大きな震動が加わった時の圧縮に対する流体圧抗力が大であり、この特性により橋梁1の橋長方向への変位量を有効に抑制しつつ伸縮し、水平荷重を吸収する。他方流体圧シリンダ9は環境の温度変化による収縮、乾燥収縮、前記鋼線の緊張力による収縮等のような緩やかに作用する橋長方向の水平荷重に対しては、殆ど抵抗なく追随して伸縮する特性を有し、これら環境温度等と地震に対する水平荷重吸収手段として有効である。
【0031】
上記流体圧シリンダ9を利用した水平荷重吸収構造は、ゴム支承4等の橋梁支承手段との併用により、同ゴム支承4等を可及的に小形・安価にし、且つその設置数の削減をも可能にする。加えてゴム支承4等の耐用寿命を向上し、総じて橋梁支承部の工事費用を大幅に削減する。
【0032】
図3,図4に示すように、上記ゴム支承4は橋梁1の橋桁下面に一体に取り付けた上沓5(座板)と、橋脚3の頂部座面に一体に取り付けた下沓6(座板)間に積層ゴムブロック7を介在して構成されている。この積層ゴムブロック7は上面側を上沓5に一体に固着し、下面側を下沓6に一体に固着するかスライド可能に支持する。
【0033】
上記流体圧シリンダ9はこの上沓5と下沓6間に介装し、殊に地震による急激で大きな水平荷重に対し流体圧抗力を生じつつ同方向に伸縮せしめる構造にし、加えて温度差や鋼線の張力に起因する橋梁1の収縮に対しては、流体圧シリンダ9が緩やかに収縮又は伸長してこれを吸収する構造にし、既知のゴム支承4の上沓5と下沓6を利用して流体圧シリンダ9を介在する簡素な構造でゴム支承4と協働せしめ、所期の目的を達成する。
【0034】
更に詳述すると図3乃至図5に示すように、上記下沓6の対向する二辺、即ち橋幅方向において対向する二辺から、積層ゴムブロック7の同方向において対向する二側面に沿い受圧部材11を立ち上げ、他方上沓5の同方向において対向する二辺に切欠部15を設け、該切欠部15内に受圧部材11の上端を臨ませ、該受圧部材11上端の橋長方向の一側面と、これに対向する切欠部15の一側面間に第1流体圧シリンダ9を介装して橋長方向において伸縮するように配向(横設)すると共に、該受圧部材11上端の橋長方向の他側面と、これに対向する切欠部15の他側面間に第2流体圧シリンダ9を介装して橋長方向において伸縮するように配向(横設)する。
【0035】
即ち第1,第2流体圧シリンダ9は上沓5と下沓6間において、互いに逆方向に相対伸縮する。
【0036】
上記流体圧シリンダ9は上記橋梁支承部において、一端(プランジャー9a又は流体密閉筒9bの一方)を上記加圧部材10たる上沓5の切欠部15一側面又は他側面に固定支持して横設し、同他端(プランジャー9a又は流体密閉筒9bの他方)を上記受圧部材11の一側面又は他側面に当接する。
【0037】
而して上記流体圧シリンダ9は図4に例示するように、橋梁1の橋長方向への変位に伴う水平荷重を受圧して相対伸縮する少なくとも一対の流体圧シリンダ9にて構成し、両流体圧シリンダ9間、即ち両流体密閉筒9b間を流体圧逃がしパイプ13にて連結し、一方の流体圧シリンダ9が収縮動作し、他方の流体圧シリンダ9が伸長動作した時、流体圧を該流体圧逃がしパイプ13を通じて一方から他方へ逃がし、その逃がし量によって所定の流体圧抗力が得られるようにする。
【0038】
上記流体圧シリンダ9の他例として図7に示すように、橋梁1の橋長方向への水平荷重を受圧して相対伸縮する互いに逆方向に突出された一双のプランジャー9aを有する流体圧シリンダ9を用い、該流体圧シリンダ9の両端、即ち流体密閉筒9bの両端を流体圧逃がしパイプ13にて連結し、一方のプランジャー9aが収縮動作し、他方のプランジャー9aが伸長動作した時、流体圧を該流体圧逃がしパイプ13を通じて一方から他方へ逃がし、その逃がし量によって所定の流体圧抗力が得られるようにする。
【0039】
上記両プランジャー9aは橋長方向において対向する橋梁1と一体の加圧部材10に当接又は一体に固定し、流体密閉筒9bを橋脚3と一体の受圧部材11に一体に固定するか又は当接する。又は上記両プランジャー9aは橋長方向において対向する橋脚3と一体の受圧部材11に当接又は一体に固定し、流体密閉筒9bを橋梁1と一体の加圧部材10に一体に固定するか又は当接する。
【0040】
これを図4の構造に即して説明すると、上記一双のプランジャー9aを有する流体圧シリンダ9を下沓6から立ち上げた受圧部材11と、上沓5の加圧部(例えば切欠部15の一側面)間に介装し、上記の如くプランジャー9aと流体密閉筒9bの一方を固定し、他方を当接する。
【0041】
更に上記流体圧逃がしパイプ13には流体逃がし量を調整する流体圧コック14を設ける。該流体圧逃がしパイプ13は一方のプランジャー9aが収縮動作し、他方のプランジャー9aが伸長動作した時、流体圧を該流体圧逃がしパイプ13を通じて流体密閉筒9bの一端から他端へ逃がし、その逃がし量によって所定の流体圧抗力が得られるようにする。
【0042】
上記流体圧シリンダ9の他例として図6に示すように、橋梁1の橋長方向への変位に伴う水平荷重を受圧して伸縮する単一のプランジャー9aを有する流体圧シリンダ9を用い、該流体圧シリンダ9の両端を流体圧逃がしパイプ13にて連結し、プランジャー9aが伸縮動作した時、流体圧を該流体圧逃がしパイプ13を通じて流体密閉筒9bの一端から他端へ逃がし、その逃がし量によって所定の流体圧抗力が得られるようにする。
【0043】
上記プランジャー9aは橋梁1と一体の加圧部材10に当接又は一体に固定し、流体密閉筒9bを橋脚3と一体の受圧部材11に一体に固定するか又は当接する。又は上記プランジャー9aは橋脚3と一体の受圧部材11に当接又は一体に固定し、流体閉筒9bを橋梁1と一体の加圧部材10に一体に固定するか又は当接する。
【0044】
これを図4の構造に即して説明すると、上記単一のプランジャー9aを有する流体圧シリンダ9を下沓6から立ち上げた受圧部材11と、上沓5の加圧部(例えば切欠部15の一側面)間に介装し、上記の如くプランジャー9aと流体密閉筒9bの一方を固定し、他方を当接する。
【0045】
更に上記と同様、流体圧逃がしパイプ13には流体逃がし量を調整する流体圧コック14を設ける。該流体圧逃がしパイプ13はプランジャー9aが伸縮動作した時、流体圧を該流体圧逃がしパイプ13を通じて流体密閉筒9bの一端から他端へ逃がし、その逃がし量によって所定の流体圧抗力が得られるようにする。
【0046】
何れの例においても、上記流体圧シリンダ9は地震時の橋梁1の橋長方向への変位量を少なくし、この流体圧シリンダ9の伸縮量に応じゴム支承4を弾性変形し、同支承の変形量を減殺し、同支承の小形化を達成し、疲労劣化を改善する。
【0047】
【発明の効果】
以上のように本発明は既知の流体圧シリンダの圧縮特性を利用し、橋梁の橋長方向への変位(水平荷重)に対し流体圧抗力を生じつつ同方向に伸縮して橋梁の水平変位量を有効に減殺しつつ、橋梁支承部の変形量を減殺することができる。
【0048】
即ち流体圧シリンダは地震時における急激で且つ大きな震動(急激な水平変位力)に対しては、大きな流体圧抗力を生じ、この特性により橋梁の橋長方向への変位量を有効に抑制しつつ伸縮し、震動を吸収する。他方流体圧シリンダは環境の温度変化、乾燥収縮、鋼線の緊張力による収縮等のような緩やかに作用する橋長方向の水平荷重に対しては、殆ど抵抗なく追随して伸縮する特性を有し、これら環境温度等と地震に対する水平荷重吸収手段として有効である。
【0049】
又ゴム支承等の支承部構造体を可及的に小形・安価にし、且つその設置数の削減をも可能にする。加えてゴム支承等の耐用寿命を向上し、総じて工費の削減に寄与する。
【0050】
上記流体圧シリンダはゴム支承を形成する上沓と下沓間に介装し、橋梁の橋長方向への変位(水平荷重)に対し流体圧抗力を生じつつ同方向に伸縮せしめる構造にし、既知のゴム支承の上沓と下沓を利用して流体圧シリンダを介装する簡素な構造でゴム支承と協働する水平荷重吸収構造が適切に形成できる。
【0051】
更に上記流体圧逃がしパイプ又は流体逃がし量を調整する流体圧コックにより、上記流体圧シリンダの伸縮時における流体圧の逃がし量を適正に調整し且つ設定でき、現場において即応できる。
【0052】
又ゴム支承の上沓と下沓間に介在した流体圧シリンダにより積層ゴムブロックを弾性変形させた状態で流体圧コックを閉鎖することにより、前記プレツイスト状態を容易に形成することができ、従来行っていたプレツイスト作業を大幅に改善し、製作コストを低減できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】橋脚による橋梁の支承構造を概略示する側面図である。
【図2】上記支承構造を形成するゴム支承を拡大示する断面図。
【図3】上記支承構造を形成するゴム支承部に油圧シリンダを設けた水平荷重吸収構造を拡大示する断面図。
【図4】同水平荷重吸収構造をゴム支承部を形成する上沓の上面側から観た平面図。
【図5】同水平荷重吸収構造をゴム支承部を形成する下沓の上面側から断面示する平面図。
【図6】上記水平荷重吸収構造において図4とは別の油圧シリンダを用いた例を示す同水平荷重吸収構造の拡大断面図。
【図7】上記水平荷重吸収構造において図4,図6とは別の油圧シリンダを用いた例を示す同水平荷重吸収構造の拡大断面図。
【符号の説明】
1 橋梁
2 橋台
3 橋脚
4 ゴム支承
5 上沓
6 下沓
7 積層ゴムブロック
8 遊間
9 流体圧シリンダ(油圧シリンダ)
9a プランジャー
9b 流体密閉筒(油密閉筒)
10 加圧部材
11 受圧部材
13 流体圧逃がしパイプ(油圧逃がしパイプ)
14 流体圧コック(油圧コック)
15 切欠部
Claims (2)
- 橋梁の橋桁下面に一体に取り付けた上沓と橋脚の頂部座面に一体に取り付けた下沓間に積層ゴムブロックを介在して橋梁を橋脚に荷受けするゴム支承部を構成すると共に、上記上沓と下沓間に橋梁の橋長方向への水平荷重を受圧して橋長方向に伸縮する流体圧シリンダを設け、橋梁に加わった水平荷重を該流体圧シリンダを介し上記橋脚と一体な下沓にて受圧する構成としたことを特徴とする橋梁支承部における水平荷重吸収構造。
- 橋梁の橋桁下面に一体に取り付けた上沓と橋脚の頂部座面に一体に取り付けた下沓間に積層ゴムブロックを介在して橋梁を橋脚に荷受けするゴム支承部を構成した橋梁支承部において、上記下沓の橋幅方向において対向する二辺から積層ゴムブロックの橋幅方向において対向する二側面に沿い受圧部材を立ち上げ、他方上沓の橋幅方向において対向する二辺に切欠部を設け、該切欠部内に上記受圧部材の上端を臨ませ、該受圧部材上端の橋長方向の一側面とこれに対向する切欠部の一側面間に橋梁の橋長方向への水平荷重を受圧して橋長方向に伸縮する第1流体圧シリンダを介装すると共に、該受圧部材上端の橋長方向の他側面とこれに対向する切欠部の他側面間に橋梁の橋長方向への水平荷重を受圧して橋長方向に伸縮する第2流体圧シリンダを介装し、上記第1,第2流体圧シリンダは上記水平荷重に対し上沓と下沓間において互いに逆方向に相対伸縮して上沓に加わった上記水平荷重を第1又は第2流体圧シリンダを介して受圧部材にて受圧する構成としたことを特徴とする橋梁支承部における水平荷重吸収構造。
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CN104040213A (zh) * | 2012-01-10 | 2014-09-10 | 奥依列斯工业株式会社 | 隔震机构 |
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