JP3544256B2 - 乾燥装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、多色グラビア印刷機に使用される熱風乾燥式の乾燥装置に関するものである。
【0002】
【発明が解決しようとする課題】
一般に、多色印刷を含むグラビア印刷機に使用される乾燥装置としては、蒸気や電熱による加熱ドラム方式、赤外線ランプ方式、熱風乾燥方式が知られているが、最近は消防法の規制などにより赤外線ランプ方式は少なく、また加熱ドラム方式も駆動するドラムの径差の問題や装置が高価であることからあまり用いられなくなってきており、現在では熱風乾燥方式の乾燥装置が主流になっている。この熱風乾燥方式は、複数のガイドローラでウェブを案内して走行させながら、印刷面にノズルから熱風を吹き付けて印刷インキを乾燥させる方式である。
【0003】
従来使用されている熱風乾燥方式の乾燥装置においては、乾燥性の悪いインキを印刷する場合や高速で印刷を行う場合、熱風温度を高くしたり、ノズル風速を上げたり、或いは装置自体の炉長を長くすることで乾燥効率を向上させるようにしている。しかしながら、乾燥温度を高くすると、印刷されるウェブの特性によっては必要以上の伸縮が起こるため、製品としての所定の寸法が維持できなかったり、多色印刷の場合には見当合わせが不安定になったりする問題が発生する。また、ノズル風速を上げることで対応しようとすると、乾燥装置の騒音が大きくなって作業環境が著しく低下するとともに、走行するウェブにバタツキが発生して見当合わせが不安定になる。また、装置自体の炉長を長くし乾燥時間を稼ぐことで対応しようとする場合には、装置寸法が大きくなって作業性が悪くなる、切替時の用紙ロスが多くなる、或いはウェブの走行が不安定になるといった問題が起こり、さらにはファン容量が大きくなってエネルギーコストも増大するといった問題が発生する。
【0004】
一方、塗布装置にて使用される乾燥装置として、図1に示すように、乾燥機1内でガイドローラを用いないで走行するウェブWの両面から熱風を吹き付けて浮上させながら乾燥させるフローティング方式が用いられており、乾燥効率もかなり高いことが知られている。しかしながら、この方式では熱風発生機2からの熱風を乾燥機1内のノズル3から吹き出し、この吹付けエアーによってウェブWを浮上させながら乾燥させるため、ウェブWのバタツキが大きく走行が不安定となりやすい。このためこの方式を多色グラビア印刷機に採用した場合、印刷見当が不安定となり品質の高いグラビア印刷を実現することができない。また、乾燥に使われた加熱エアーは、ウェブWに吹き付けられた後で排気装置4により外気に排出される。この時、加熱エアーに与えられた熱エネルギーのうちの数%はインキ乾燥のための溶剤蒸発に用いられるが、大部分は外気に放出されて使用されていない。
【0005】
本発明は、上記のような問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、多色グラビア印刷機において印刷見当などの印刷品質を低下させないで乾燥効率を向上させ、しかも熱エネルギーを有効活用することのできる乾燥装置を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明の乾燥装置は、複数のガイドローラに案内されて走行するウェブの印刷面に複数のノズルから熱風を吹き付けて印刷インキの乾燥を行う多色グラビア印刷機用の乾燥装置において、前記ウェブの裏面に熱風を吹き付ける複数の補助ノズルを前記ガイドローラの間に設置するとともに、印刷面に吹き付けられた後の熱風を前記補助ノズルに送るように構成したことを特徴とする。
【0007】
上述の構成からなる本発明の乾燥装置では、ウェブの印刷面と裏面の両面に熱風を吹き付けてインキの乾燥を行うため、熱風温度を高くしたりノズル風速を上げたりすることなく、また乾燥装置の炉長を長くすることなく、乾燥効率を向上させることが可能となる。しかも、印刷面に吹き付けられた熱風をウェブの裏面の乾燥に再利用することにより熱エネルギーが有効に利用される。
【0008】
【発明の実施の形態】
図2は本発明に係る乾燥装置を示す概略図であり、この乾燥装置10は図示の如く圧胴5と版胴6を備えた印刷ユニット7毎に配設される。図3の要部拡大図にも示すように、乾燥装置10は複数のガイドローラ11に案内されて走行するウェブWの両側にそれぞれ印刷面乾燥フードAと裏面乾燥フードBを有した構造になっており、このうち印刷面乾燥フードAは、走行するウェブWの印刷面に熱風を吹き付けるための複数のノズル12と、吹付け後の熱風を吸引する排気口13とを備えており、一方裏面乾燥フードBは、ガイドローラ11の間にそれぞれ設置されウェブWの裏面に熱風を吹き付けるための複数の補助ノズル14と、吹付け後の熱風を吸引する排気口15とを備えている。
【0009】
この乾燥装置10では、外気から取り込まれたエアーが熱風発生機20によって加熱された後、印刷面乾燥フードAに供給され、ノズル12から印刷面に熱風エアーとして吹き付けられる。そして、印刷面に吹き付けられた熱風は印刷面乾燥フードAに設けられた排気口13から吸引され、送風装置21を通って裏面乾燥フードBに送られる。ここで、印刷面乾燥フードAから出てきた熱風の持っている熱エネルギーを無駄なく裏面乾燥フードBで使うため、熱風を送るダクトは断熱材で覆って外部に熱が逃げないようにする必要がある。このようにして印刷面乾燥フードAから供給された熱風は、ガイドローラ11の間に設置された補助ノズル14から印刷面の裏側に吹付けられる。裏面に吹き付けられた熱風は、補助ノズル14に隣接して設けられた排気口15より吸引され、排気装置22を通って外気に放出される。なお、図中23はダクトの途中に設けられたダンパーである。また、ウェブWの裏面に熱風を吹き付ける補助ノズル14は、図3のように乾燥装置10内のガイドローラ11の間にすべて設置してもよいが、乾燥効率を考慮して乾燥装置10の入口から前半部だけに設置するようにしてもよい。
【0010】
裏面乾燥フードBに設ける補助ノズル14を印刷面乾燥フードAに設けるノズル12と同形状とし、ウェブWの両面から同程度の風速で熱風を吹き付けると、ウェブWにバタツキが起こり、多色刷り印刷において見当合わせが不安定になるという問題が発生する。したがって、印刷面乾燥フードAに設けるノズル12は、スリット形状、多孔板形状等どのようなタイプでもよいが、裏面乾燥フードBに設ける補助ノズル14は、走行するウェブWが吹き付ける熱風によりばたつかないようにするため、スリット形状とし、しかもウェブWに対して斜めの角度で吹き付けるようにする必要がある。このような観点から、裏面乾燥フードBに設ける補助ノズル14と排気口15を組み合わせたものの好適な配置例を図4、図5に示す。
【0011】
本発明によって乾燥効率が向上することを確認するため、図6(a)に示すように、走行するウェブWの印刷面に熱風を吹き付ける多孔板ノズル31だけを設置して乾燥させた場合と、図6(b)に示すように、さらに印刷面の裏面に熱風を吹き付けるスリットノズル32を設置して乾燥させた場合とで乾燥効率の比較テストを行った。具体的には、乾燥性の悪い水溶性グラビアインキを使用し、それぞれの乾燥方式において熱風温度を各種設定し、印刷速度を徐々に上げていった時に、どのスピードでインキが乾燥しなくなり、ローラに付着するようになるかを比較した。すなわち、各種熱風温度に対応するブロッキング限界速度を見ることで乾燥効率の比較を行った。テスト条件は次のようである。
【0012】
(テスト条件)
ウェブ:東セロ製、OPPフィルム「U−1、#30」(30μm)
インキ:アクアエコール(大日本インキ製、水溶性グラビアインキ)
グラビア版:ヘリオ版80線、140°∠0
乾燥炉長:600mm
環境:気温24℃、湿度45%
ノズル風速:(1)多孔板ノズル30m/秒、スリットノズル27m/秒
(2)多孔板ノズル41m/秒、スリットノズル37m/秒
熱風温度:50℃、60℃、70℃、80℃
【0013】
図7(a),(b)はそれぞれノズル風速を上記(1),(2)のように設定した場合の比較テストの結果を示すグラフである。グラフの横軸は設定した熱風温度(℃)、縦軸はブロッキング限界速度(m/分)であり、●は多孔板ノズル31だけで乾燥させた場合、□は多孔板ノズル31とスリットノズル32を併用して乾燥させた場合である。この結果から、印刷面に熱風を吹き付ける場合と比較して、裏面からも同時に熱風を吹き付けることによって、乾燥効率が10〜20%程度向上していることが判る。なお、この比較テストでは、ウェブが横方向に進行する乾燥装置を用いたが、通常のグラビア印刷機の乾燥装置のように、ウェブが縦方向に走行するタイプの乾燥装置でも同様な結果が得られる。
【0014】
ところで、裏面吹付け併用式の乾燥装置として、本発明の方式以外に、図8や図9に示すような方式も考えられる。図8に示すものは、一つの熱風発生機20から印刷面乾燥フードAと裏面乾燥フードBにそれぞれ別のダクトを通して熱風を供給するようにしたものであり、図9に示すものは、印刷面乾燥フードAと裏面乾燥フードBにそれぞれ別の熱風発生機20から熱風を供給するようにしたものである。これらの方式においては、表1に示すように、乾燥能力はアップするものの、従来の乾燥装置と比較して2倍程度の熱エネルギーが必要となる。これに対して、本発明の乾燥装置においては、印刷面の加熱に用いられた熱風を裏面の加熱に用いるため、使用する熱エネルギーは従来の方式と同じで乾燥能力をアップすることができた。
【0015】
【表1】
【0016】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の乾燥装置によれば、ウェブの印刷面に加えて裏面にも熱風を吹き付けて印刷インキを乾燥させるようにしたので、従来のように熱風温度を高くしたりノズル風速を上げたりする必要がなく、また装置自体の炉長を長くする必要もないことから、印刷見当などの印刷品質を低下させずに乾燥効率を向上させることができ、さらに印刷面に吹き付けられた後の熱風を裏面に吹き付けるようにしたため、熱エネルギーを有効活用して印刷物の生産効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】塗布装置にて使用されている乾燥装置を示す概略図である。
【図2】本発明に係る乾燥装置を示す概略図である。
【図3】図2に示す乾燥装置の要部拡大図である。
【図4】ノズルの配置例を示す概略図である。
【図5】ノズルの別の配置例を示す概略図である。
【図6】乾燥効率を確認する比較テストに使用した乾燥装置を示す概略図である。
【図7】比較テストの結果を示すグラフである。
【図8】本発明の乾燥装置と比較した別の乾燥装置の概略図である。
【図9】本発明の乾燥装置と比較した別の乾燥装置の概略図である。
【符号の説明】
10 乾燥装置
11 ガイドローラ
A 印刷面乾燥フード
12 ノズル
13 排気口
B 裏面乾燥フード
14 ノズル
15 排気口
20 熱風発生機
21 送風装置
22 排出装置
23 ダンパー
31 多孔板ノズル
32 スリットノズル
Claims (1)
- 複数のガイドローラに案内されて走行するウェブの印刷面に複数のノズルから熱風を吹き付けて印刷インキの乾燥を行う多色グラビア印刷機用の乾燥装置において、前記ウェブの裏面に熱風を吹き付ける複数の補助ノズルを前記ガイドローラの間に設置するとともに、印刷面に吹き付けられた後の熱風を前記補助ノズルに送るように構成したことを特徴とする乾燥装置。
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1995
- 1995-11-01 JP JP28495295A patent/JP3544256B2/ja not_active Expired - Fee Related
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