JP3544195B2 - 磁気センサ - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は磁気センサに関し、特に磁束の変化を検出する磁気センサに関するものである。このような磁気センサは一般に位置検出や回転数検出等に用いられ、特に内燃機関の位置検出に用いると有用である。
【0002】
【従来の技術】
図40乃至図48は、本発明の磁気センサの関連する従来の磁気センサを示す図であり、図40乃至図43は従来の磁気センサの使用例を示す図である。従来の磁気センサ1に於いて、2は円柱状の磁気コア、3は樹脂により形成されたボビン4を介し、フランジ5、6間で磁気コア2に巻回されてなるコイル、7はボビン4と一体の円筒形状をしたスリーブ(ガイド部)、8は円柱状の永久磁石、9は磁石8上に配置したスペーサ、10、11はコイル3から引き出された口出し線、12は口出し線10、11をスリーブ7上に固定するテープ、13はスリーブ7の他端に配設されて、口出し線10が巻き付けられ例えば半田(図示してない)により電気的に接続され固着された端子であり、スリーブ7を貫通して取付られており、他端は磁気センサ1のハウジング14のコネクタ部15内に延びている。
【0003】
ハウジング14は磁気センサの磁気コア2、コイル3、磁石8等からなるセンサ組立体を囲んで設けられた樹脂成形体であり、上述のコネクタ部15と、センサ組立体を収納した円筒形の本体部16と、磁気センサ1を所定位置に取り付けるための取付ブラケット17とを備えている。取付ブラケット17には位置決めピン18と取付ねじを受け入れる孔19とが設けられている。磁気センサ1は、その本体部16が支持構造20に設けた円形の取付孔21に挿入され、取付ブラケット17の位置決めピン18は支持構造20の位置決め穴22に挿入され、取付ねじを受け入れる孔19を通って支持構造20のねじ孔23にねじ係合した取付ねじ24により固着されて、所定位置に固定される。
【0004】
このような磁気センサ1は、図40に示す如く、その磁気コア2の先端が磁性体の信号検出プレートである回転体26の突起25の先端に対向できる位置に取り付けられて使用される。このような状態に於いて、磁石8からの磁束は磁気コア2を含む磁気回路を通って延びているが、回転体26の突起25は回転体26の回転に応じて磁気コア2の先端に対向する位置に周期的に存在することになる。
この位置に突起25が在るときと無いときとでは、磁気回路の磁気抵抗が変化するために磁気コア2を通る磁束の大きさが変化する。この磁束の変化はコイル3により電圧に変換されてコネクタ15から出力される。このような磁気センサに於いては、磁気コアから出る磁束の集中を図って磁気センサの位置検出精度を高めるために、磁気コアの先端面と回転体26の突起25とを略々同じ大きさの同じ形状にし、磁気センサの取付に注意を払って位置決めピン18等を用いて、磁気コア先端面と突起25とが正確に対向する位置となるようにしている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
図43は図40のA−A線に沿った断面図で、図44は図40のボビン4から口出し線10を引き出す部分の拡大図、図45は口出し線10がボビン4から引き出されてスリーブ7上に配線された状態を示す図である。
【0006】
磁気センサ1に使用されるボビン4は、コイル3を巻く円筒形の巻き芯27(図40参照)とその各端に設けられた2枚の円板状フランジ5、6とを備えており、
フランジ6に口出し線10、11の引き出し口28、29が設けられている。引き出し口28、29はフランジ6の外縁から内側に向かって略々径方向に互いに離間して延びた切欠である。図示の例では、口出し線10が引き出し口28の内側端から入ってボビン4上に巻かれて次第に積み重ねられる層をなしてコイル3となり、コイル3の外周から出て口出し線11として引き出し口29の外側端から引き出されている。従って、図から良く分かるように、口出し線11は引き出し口29の径方向外側の位置からフランジ6の外に出てスリーブ7上にまで径方向内側に延ばされ、スリーブ7上で口出し線10と共に軸方向に延びてテープ12により固着され、スリーブ7の他端で端子13に巻き付けられている。
【0007】
このように特に口出し線11は径方向に配線される部分があるため口出し線11に引っ張り応力がかかり、またハウジングである樹脂成形体16の成形時に熔融樹脂の圧力等を受けるので、口出し線11の断線が起こることがあるという問題がある。また、口出し線11は引き出し口29の浅い部分を通されているので、
引き出し口29から外れて位置が定まらなくなるという問題がある。
【0008】
口出し線10、11は接続部に於いて端子13に巻き付けられた後に、半田により固着されるが、半田付け作業中に高温の半田や半田ごてによってボビン4やスリーブ7が溶けたり焼けたりして損傷するという問題もあった。また、口出し線10、11と端子13との接続部は円柱形のハウジング本体16内に配置されるので、接続部がボビン4よりも径方向外側に突出しないようにしてある。このため、半田付け作業に半田浴への浸漬を用いることができず、半田ごてを用いる手作業をしなければならず、半田付け作業の自動化が困難となって製品価格を押し上げていた。
【0009】
図45にはボビン4にコイル3を巻回し、口出し線10、11のテープ12による配線も終わったセンサ組立体の部分平面図を示す。テープ12は、半田付け作業や樹脂成形作業時の高温に耐える高価な耐熱性のものを使用しなければならず、製品の価格を下げられない理由の一つとなっていた。また、テープ12による配線作業は、端子13への巻き付け半田付け作業の前、即ちコイル3の巻回作業の直後に実施しなければならず、この作業のためには専用の機械を用いるか手作業による別の工程が必要であるという問題があった。
【0010】
図46には従来の磁気センサ1の樹脂成形工程に用いる金型を示す概略断面図であり、磁気コア2、コイル3、ボビン4、スリーブ7、磁石8、スペーサ9等からなるセンサ組立体が、金型30、31および32により形成される空洞33内に収容され支持されている。即ち、磁気コア2の先端を下金型30の円筒形空洞の底面に設けられた凹部34の中にぴったりと嵌合させ、端子13のコネクタ15となる上端部分を中子金型31内に挿入して保持して、上金型32をその上からかぶせて空洞33を形成し、センサ組立体が空洞33内の所定位置に保持される。
【0011】
このような樹脂成形金型を用いた磁気センサに於いては、樹脂成形時に注入樹脂の圧力により磁気コア2が移動して、中心軸線が傾いて偏心してしまい、磁気センサの出力が不安定となって製品価値を著しく低下させてしまうという課題があった。また、端子13を中子金型31によって支持しているため、注入樹脂の圧力により端子13が曲げられてしまうという問題もあった。
【0012】
一方、磁気センサの信号取り出しを端子13を用いずにリード線により行う場合には、金型の空洞33内でセンサ組立体が磁気コア2だけによる一点支持されることとなり、不安定であるので樹脂成形作業が困難である。
【0013】
金型内での支持の安定性を得るために、下金型30の凹部34を深くして磁気コア2の突出部を十分に長くすることも考えられているが、磁気センサ1の磁気回路に於いて磁気コア2が長くされた場合には、それに比例して磁気抵抗が増加するために磁気センサ1の信号出力が低下してしまうという問題もあった。更に、
磁気コア2の突出部が長くなるとその露出面積が大きくなり、鉄粉等の磁性体の異物が吸着され易くなり、磁気センサ1の磁気回路を変化させて例えば信号出力の低下や信号発生タイミングのずれを起こすという問題があった。
【0014】
また、図47に示す磁気センサの例では、例えば完成した磁気センサの軸方向寸法に制約がある場合等にセンサ組立体の軸方向寸法を小さくするために、スペーサ9の一部がスリーブ7からはみ出して軸方向に突出している。このような場合には、スペーサ9とスリーブ7との当接面積あるいは接触面積が小さく、樹脂成形のための樹脂注入工程に於けるスペーサ9の安定性が悪く、スペーサ9とスリーブ7との間をシアノ系接着剤等により固定する必要があった。このように接着剤を用いると、磁気センサの製造に於いて工程数を増やして製品価格を上げることとなる。また、注入された接着剤がスリーブ7とスペーサ9との間を通ってスペーサ9と磁石8との間に入り込んで接着剤の薄膜、すなわち空隙層を形成し、
磁石8とスペーサ9との間の磁気抵抗を増大させ、磁気センサの出力低下を招くという問題もあった。
【0015】
また、図47に示す従来の磁気センサはシール機能を有し、図42に示す如く支持構造20に形成した取付孔21内に磁気センサの本体部分16を挿入し、その間を気密にシールすることができる。このために、ハウジング本体部分16の周囲には周方向の溝35に嵌められて、支持構造20の取付孔21の内周面に密接に接触するOリング36が設けられている。
【0016】
図48には、このようなOリング36をもつ磁気センサを製造するために樹脂成形工程で用いる金型を示す。この図に於いて、ハウジングである樹脂成形体14を形成する成形金型は、その空洞33内にセンサ組立体の軸を横向きに、コネクタ部分15を下向きに配置して成形するように構成されており、下金型37にはコネクタ15のための中子金型38が挿入され、下金型37上には2つ割りの上金型39および40が配置される。センサ組立体の軸を横向きに配置するのは、
ハウジング本体部分16の周方向の溝35がアンダーカットとならないようにするためである。
【0017】
このようにスペーサ9がスリーブ7から突出したセンサ組立体を金型内に横置きする場合には、スペーサ9のスリーブ7からの脱落の危険が更に増すので、上述の接着剤を用いてしっかりと固着する必要があり、作業性が悪く、製品単価を増大させると共に、完成した磁気センサの感度を悪くする恐れがあった。
【0018】
更に、磁気センサの樹脂成形に於いては、磁気センサの小型化およびハウジング本体部分の直径の縮小化の目的で、図40および図47に示すようにハウジングの本体部分16の厚さはコイル3を収容する部分で薄くされており、ボビン4のフランジ5、6の部分で特に薄くされている。このような構成にするために、樹脂成形用の金型とフランジ5、6との間の間隙が小さく設定されている。このため、樹脂成形時に注入樹脂がこの間隙に入りにくく、いわゆる湯回りの不良により樹脂成形が完全に行われず空洞を発生させる危険さえある。この湯回りの不良を改善するために例えば樹脂射出速度を上げたり、樹脂成形圧力を上げる方法も考えられるが、ボビン4のフランジ6の口出し線引き出し口28、29(図43)から出た口出し線10、11が樹脂の圧力により断線したりする問題があった。
【0019】
また、取付台座等の支持構造20に対する位置決めに関し、取付ブラケットを磁気センサの軸方向に平行な面内にして、センサ組立体を収納した本体部を支持構造の貫通孔に挿入せずに、取付ブラケットに設けた突起により位置決めを行う磁気センサに於いては、磁気コアの先端と位置決め突起との間の距離が長くなって、位置決め突起による磁気コア先端の位置精度が悪くなるという問題があった。
また、位置決め突起を取付ブラケットと別個の部品として取付ブラケットに後から取り付ける場合、部品点数が増加すると共に、取付ブラケットへの位置決め突起の組み付け作業が必要となり、作業工程を増加させて製品単価を高めるという問題があった。
【0020】
また、位置決め方法の一例として、取付ブラケットのねじを受け入れるための貫通孔の内径を、取付ねじの雄ねじ部(図示してない)の外径よりも僅かに大きくし、この貫通孔に取付ねじを挿通することにより、磁気センサの位置決めをしながら固定する場合、貫通孔の内径の寸法公差を小さくしなければならない。このため、貫通孔の加工が困難で、切削加工をしたブッシュ等を用いねばならず、製品単価を高めてしまうという問題があった。
【0021】
この発明は従来の磁気センサの上述の如き課題を解決するためになされたものであって、その目的は製造が容易で安価であり、精度および信頼性が高い磁気センサを提供することである。
【0022】
【課題を解決するための手段】
この目的を達成するために、請求項1記載の磁気センサは、センサ組立体と、このセンサ組立体を囲んで設けられてハウジングを形成する樹脂成形体とを備え、上記センサ組立体は、磁束を発生する磁石と、磁気回路を形成する磁気コアと、上記磁気コアの周囲に巻かれて上記磁気コアを通る磁束の変化を検出するコイルと、フランジを持つコイルボビンを有し、上記磁石、上記磁気コアおよび上記コイルを組立体として支持する支持体とを備えた磁気センサに於いて、上記コイルボビンは、上記フランジの周縁に、樹脂成形時にそこを通して溶融樹脂を流すための樹脂通路である切欠を備えている。
【0023】
【作用】
請求項1記載の磁気センサは、樹脂成形時にの熔融樹脂がコイルボビンによって妨げられることがなく、熔融樹脂の湯回りが良くなり、磁気センサを小型にできると共に製品歩留まりも向上させることができる。
【0024】
【実施例】
図1乃至図3には本発明と共に用いることのできる磁気センサの参考例を示す。本発明と共に用いることのできる磁気センサ41の全体の構成は図40乃至42に示す磁気センサと同様であって、センサ組立体42と、このセンサ組立体42を囲んで設けられて磁気センサ43のハウジングを形成する樹脂成形体43とを備えている。
【0025】
センサ組立体42は、磁束を発生する比較的厚い円盤型の永久磁石44と、この磁束のための磁気回路を形成する磁気コア45と、磁気コア45の周囲に巻かれて磁気コア45を通る磁束の変化を検出するコイル46と、これら磁石44、磁気コア45およびコイル46を組立体42として所定の電磁誘導関係に支持する支持体47と、コイル46から引き出されて支持体47上にテープ48で留められた口出し線49,50が接続された接続部51を有する端子52とを備えている。支持体47は、磁気コア45に嵌合されて、巻き芯63の両端に設けられたフランジ53、54を有し、コイル46を巻き付けるためのボビン55と、このボビン55から一体に軸方向に延びて内部に磁石44を受け入れた円筒形のスリーブ56と、このスリーブ56内に挿入されて磁石44を所定位置に保持する磁性体のスペーサ57とを備えている。一体に成形されたボビン55とスリーブ56とは例えばPBT(ポリブチレンテレフタレート)、PP(ポリプロピレン)、ナイロン、エポキシ樹脂等で作られている。
【0026】
磁気センサ41のハウジングである樹脂成形体43は、支持体47と同じ材料で作ってある。樹脂成形体43は、磁気コア45の先端58を除きセンサ組立体42の略々全体を囲んで覆った円筒形の本体部分59と、本体部分59から径方向に延びて端子52を内部に備えたコネクタ部60と、本体部分59からコネクタ部60とは反対の径方向に延びた取付ブラケット61とを備えている。取付ブラケット61には図42に示す如く取付ねじを通して支持構造に固定するためのブッシュ付の取付孔62が形成されている。
【0027】
この発明と共に用いることのできる磁気センサ41は、支持体47のコイルボビン55のフランジ53に、樹脂成形体43の本体部分59の端面に設けられた2つの円形の開口64から露出した係合部65を備えている。この係合部65は、この例では図1乃至図3に示す如く突起表面であって、樹脂成形体43の成形金型66による成形時に、金型66に設けられている2つの環状突起67により形成される凹部に嵌合して係合し、センサ組立体42を成形金型66内の所定位置に位置決めし支持するものである。係合部65は平面形が円形であるが、他の任意の形状とすることもできる。
【0028】
このように構成された磁気センサ41に於いては、成形金型66内での支持が、
磁気コア45の先端58と成形金型66の凹部との係合による支持に加え、ボビン55のフランジ53に設けた2つの突起表面である係合部65を成形金型66の環状突起67との係合による支持も得られるので、成形金型66内でのセンサ組立体42の軸の傾きや軸回りの回転を含めた位置決め支持が、安定した正確なものとなる。
【0029】
更に、係合部65と成形金型66の環状突起67との係合のみによる位置決め支持も可能で、図49の磁気センサの如く、磁気コア45の先端58を成形金型66に係合支持させなくても同様の効果が得られる。
【0030】
図4乃至図6の本発明と共に用いることのできる磁気センサに於いては、支持体47のコイルボビン55のフランジ53に、図1乃至図3の係合部65と同様に、樹脂成形体43の本体部分59の端面に設けられた2つの円形の開口64から露出した係合部68を備えている。この係合部68は、突起表面ではなく、平坦表面であって、樹脂成形体43の成形金型69による成形時に、金型69に設けられている2つの突起70に当接して係合し、センサ組立体42を成形金型69内の所定位置に位置決めし支持するものである。
【0031】
このように構成された磁気センサ41に於いては、成形金型69内での支持が、
磁気コア45の先端58と成形金型69の凹部との係合による支持に加え、ボビン55のフランジ53に設けた2つの平坦表面である係合部68を成形金型69の2つの突起70との当接係合による支持も得られるので、成形金型69内でのセンサ組立体42の軸の傾き等の位置決め支持が安定した正確なものとなる。この例では、係合部68が円形の平面形を持った平坦表面であるが、他の任意の平面形状としても、平坦でなく窪みを持つ表面としても同様の効果を得ることができる。
【0032】
図7および図8には本発明と共に用いることのできる磁気センサのコイルボビン55の変形例を示す。このコイルボビン55は、スリーブ56側のフランジ71に口出し線49,50(図示してない)を通すための引き出し口72、73が設けられており、引き出し口72、73はそれぞれ互いにフランジ71の周方向に略々180度離れていて、引き出し口72、73を通された口出し線49、50がスリーブ56上で互いに接触するのを防いでいる。このようなコイルボビン55を用いた磁気センサに於いては、スリーブ56上に配置した口出し線49をフランジ71の引き出し口72に通してボビン55上に巻き付けてコイル46を形成し、コイル46の巻き終わりで周方向に180度離れた引き出し口73から再びスリーブ56上に引き出しテープ48で留めて端子52の接続部51に半田等で接続する。
このようなボビン55を用いた場合には、引き出し口72、73を通ってスリーブ56上に出る口出し線49、50間の距離が大きくなるので、互いに接触して短絡することを防ぐことができる。
【0033】
参考として図9に示すコイルボビン55は、スリーブ56側のフランジ75に設けられた2つの引き出し口76(1つだけ図示されている)が、コイルボビン55上のコイル46の口出し線49、50の巻回方向に近くなるように傾斜していて、口出し線49、50が引き出し口76で鋭い角度をもって曲げられないようにしてある。換言すれば、引き出し口76の軸線は口出し線49、50がコイル46内で延びている方向に対して例えば45度というような鋭角を成すようにフランジ75に対して傾斜している。
【0034】
このように構成されたコイルボビン55を備えた磁気センサに於いては、口出し線49、50と引き出し口76との当接が軽接触、即ち接触が軽度となり、口出し線49、50の曲げも小さくなるので、コイル巻回時に口出し線49、50に作用する張力による口出し線49、50の断線を防止できる。
【0035】
参考として図10及び図11に示す支持体47は、スリーブ78の外周面の高さが変化しており、コイルボビン55のフランジ79に形成された口出し線49、50の引き出し口80、81は、フランジ79の外縁から内側に向かって略々平行に互いに離間して延びており、引き出し口80の内端はスリーブ78の低い部分にあって比較的深く、引き出し口81の内端はスリーブ78の高い部分にあって比較的浅くなっており、コイルボビン55に巻かれたコイル46の外周と略々同じ径方向位置にある。口出し線49はスリーブ78の低い部分に沿って延びて引き出し口80の深い位置からそのフランジ79を越えてコイルボビン55に入ってコイルに巻かれ、コイル外周からそのまま軸方向に延びて引き出し口81を通ってフランジ79からスリーブ78の高い部分に引き出される。
【0036】
このような構成のコイルボビン55を持つ支持体47に於いては、2つの引き出し口80、81間の距離が周方向にも径方向にも比較的大きいので、スリーブ78上での口出し線49、50の短絡事故を防止できると共に、口出し線を径方向に折り曲げる必要がないために口出し線に過大な張力が作用せず、断線を防止することができる。
【0037】
図12には本発明と共に用いることのできる磁気センサに用いる更に別のセンサ組立体42を斜視図で示してある。このセンサ組立体42の支持体84は、図7に示すものと同様のコイルボビン55を持ち、フランジ71の互いに180度周方向に離間した引き出し口72、73から引き出された口出し線49、50がスリーブ56に巻き付けられている。この図では、スリーブ56の先端に端子52を保持する端子台85を備えており、口出し線49はスリーブ56上で軸方向に配線されて端子52との接続部51に至っているが、口出し線50は引き出し口73から接続部51に達するまでにスリーブ56上に巻き付けられて約半周している。
【0038】
このような構成によれば、引き出し口72、73から出てスリーブ56上に配線される口出し線49、50間の距離が大きいので、特にフランジ71に近いスリーブ56上での口出し線49、50の短絡事故を防止できる。図12には2つの引き出し口72、73が互いに180度離れて配置された例を示したが、2つの引き出し口72、73の周方向間隔を45度以上離間させれば同様の効果を得ることができる。また、2本の口出し線49、50のいずれを巻き付けてもあるいは両方を巻き付けても良い。
【0039】
図13および図14に示す本発明と共に用いることのできる磁気センサのセンサ組立体42に於いては、コイルボビン55のフランジ71の軸方向外側に離間して平行なフランジ86が設けられていて、間に周方向溝87が形成されている。フランジ86はフランジ71と略々同じ直径である。このフランジ86にはフランジ71の引き出し口(図示してない)とは周方向に離れた位置に径方向のスリット88が設けられていて、ボビン55のフランジ71から引き出された口出し線49あるいは50が周方向溝87を通って巻き付けられ、スリット88からスリーブ56上に引き出されている。
【0040】
この構成によれば、周方向溝87に口出し線49あるいは50が巻き付けられるので、2本の口出し線49、50間の距離を大きして短絡を防止できると共に、
口出し線49あるいは50の軸方向へのずれを防いで断線を防止することができる。この例ではフランジ86を用いているが、周方向溝87が形成できれば、図示の如き別個のフランジ86でなくとも他の形状の構造を採用しても良い。また、
周方向溝87に設けるスリット88を2つ設けて、口出し線49、50を周方向溝87にそれぞれ巻き付けてそれぞれのスリットから引き出すこともできる。
【0041】
参考として図15および図16に示すセンサ組立体42に於いては、スリーブ90が互いに離間した平行な2本の軸方向溝91、92を持ち、コイルボビン55のフランジ71から引き出された口出し線49、50が、これらの軸方向溝91、92内に配線されて、図示してない端子52にまで延びている。
【0042】
このような構成のセンサ組立体42を用いた磁気センサに於いては、口出し線49、50がスリーブ90の軸方向溝91、92内に埋設配置されているので、口出し線49、50の周方向のずれを防いで短絡を防止することができる。
【0043】
図17および図18は本発明と共に用いることのできる磁気センサのセンサ組立体42の別の例を示す斜視図であり、このセンサ組立体42の支持体94は、全体の構成は図12に示す支持体84と良く似ており、図10に示すものと同様のコイルボビン55を持ち、フランジ71の周方向に離間した2つの引き出し口80、81から引き出された口出し線49、50がスリーブ56に巻き付けられている。この図では、スリーブ56はその円筒形の周面に、引き出し口81から周方向に略々90度離れた位置に係合突起95を持っている。口出し線49は引き出し口80の内端から引き出されて軸心に略々平行に軸方向にスリーブ56に沿って配線されているが、口出し線50は引き出し口81の外端から引き出されてスリーブ56の円筒面に沿って係合突起95に向かって、引き出し口81から見て下方に螺旋状に延びて係合突起95に掛け回され、再び螺旋状に延びて端子台85の端子52の接続部51にまで配線されている。
【0044】
このような構成によれば、引き出し口80、81から出てスリーブ56上に配線される口出し線49、50の間の距離が係合突起95により広げられていて大きいので、引き出し口80、81間および端子接続部51間の距離が小さくとも、
スリーブ56上での口出し線49、50の短絡事故を防止できる。
【0045】
図19に示す参考例に於いては、スリーブ56上の係合突起96が、引き出し口81から見て下側の面に係合溝97を持ち、口出し線49がこの係合溝97内に通されて係合突起96に掛け回されている。
【0046】
この参考例に於いては、口出し線49、50間の接触による短絡事故を防止できると共に、係合溝97に挿入された口出し線49は容易に係合突起96から外れないので、口出し線49の位置ずれや断線を防止することができる。
【0047】
図20および図21に示す本発明と共に用いることのできる磁気センサのセンサ組立体42に於いては、磁石44、磁気コア45、コイル46等を組立体として支持する支持体98が、磁気コア45を受け入れるコイルボビン55と、コイルボビン55に一端で接続されて磁石44を受け入れるスリーブ56と、スリーブ56の他端に一体に設けられて係合凹部99を有する端子台100と、端子台100に設けられてコイル46からの口出し線49、50に接続部51で接続される端子52とを備えている。スリーブ56内で磁石44を保持しているスペーサ101の上端面には位置決め凹部102が形成されている。
【0048】
端子台100の係合凹部99は、図示の例では矩形の端子台100の各辺に沿ってスリーブ56の孔を囲むように形成された比較的細長い溝状のもので、センサ組立体42を樹脂成形したときに樹脂成形体43がこの係合凹部99内に入り込んで、樹脂成形体43と端子台100との間の接触界面の面積が大きくなり密着性が改善される。
【0049】
また、樹脂成形の際に成形金型内にセンサ組立体42を正確に安定して支持するために、スペーサ101の位置決め凹部102に成形金型のコアピン(図示してない)の先端を挿入して支持し、磁気コア45の先端58が成形金型の凹部に係合することによる支持とで2点支持とすることができる。この場合、完成した樹脂成形体43にはコアピンの抜き跡である貫通孔103が形成され、スペーサ101の位置決め凹部102が露出することになる。この貫通孔103には雨水等の導電性の流体が侵入することがあっても、図20および図21に示す如き係合凹部99を持つ端子台を使用すれば、樹脂成形体43と端子台100との間の境界面が広く、端子52の接続部51に至る距離が長くなり、水分による短絡を防ぐことができる。
【0050】
参考として図22に示すセンサ組立体42に於いては、スリーブ56の他端に設けられてコイル46に接続された端子52の接続部51が、コイルボビン55の外径よりも径方向外側に突出している。図20および図21のセンサ組立体も、端子52が端子台100に設けられている違いがあるが、端子52の接続部51がコイルボビン55の外径よりも径方向外側にある点では、図22のものと同じであり、また図21から明らかな如く、径方向に突出した接続部51は樹脂成形体43の取付ブラケット61の厚さの中に埋め込まれていて、樹脂成形体43の本体部分59の直径を大きくしないようにしてある。
【0051】
この構成によれば、センサ組立体42の軸を横向きにして接続部51を下向きにし、図22に示す如く半田槽104内の半田浴105に浸漬して接続部51の半田付を行っても、例えばコイル46やコイルボビン55等のセンサ組立体42の他の部分が高温の半田浴105に触れることがないため、半田付け作業を人手に頼ることなく、半田浴を用いた自動化ができ、作業性が著しく改善される。
【0052】
図23乃至図25には本発明と共に用いることのできる磁気センサのセンサ組立体42を示す。このセンサ組立体42に於いては、支持体47のスリーブ56の貫通孔108の内周面109に、この内周面109から突出した3本の軸方向に長い突起部110を備えている。この突起部110は内周面109よりも径方向内側にあり、突起部110に接する円の直径は内周面109の円よりも小直径となるため、内周面109の小直径部であるということもできる。スペーサ57の外径は突起部110に接する円よりも大きく貫通孔108よりも小さい寸法にされており、また突起部110の長さは図25から明らかな通りスリーブ56のスペーサ57が入り込む位置に対応する長さであって、磁石44はスリーブ56の貫通孔108の内周面により支持されている。
【0053】
センサ組立体42の組み立てにあたっては、スリーブ56の貫通孔108内にまず磁気コア45を挿入してその先端部がコイルボビン55から出るようにし、次に磁石44を挿入して磁気コア45に当接させ、最後にスリーブ56の貫通孔108内にスペーサ57を挿入する。このとき、スペーサ57の外径は突起部110に接する円よりも大きく貫通孔108よりも小さい寸法にされているので、スペーサ57を貫通孔108に圧力をもって挿入すれば、スペーサ57はスリーブ56内に圧力嵌めにより保持されることになる。図示の例では突起部は3本の突条であるが、スリーブ56の貫通孔108内にスペーサ57が圧入できさえすれば、突起部の数および形状は任意である。また突起部110をスペーサ側に設けることもできる。
【0054】
このような構成のセンサ組立体42に於いては、スペーサ57をスリーブ56の貫通孔108内に圧入すれば磁気コア45、磁石44を所定位置に保持することができるので、組み立て作業を簡単かつ容易にすることができ、自動化が容易にできる。
【0055】
図26乃至図29に示す本発明と共に用いることのできる磁気センサのセンサ組立体42に於いては、スリーブ56の貫通孔111にその全長に亙って延びるキー溝112が形成されており、磁気コア45のフランジ113にキー溝112に嵌合するキー114が形成され、更に磁気コア45の先端115は両側から平行に面取りされて端面116が小判型あるいは長円形にされている。磁気コア45の端面116をこのように長円形として、その軸線を検出対象(例えば図40の回転円板26の検出片25)の移動方向に対して直角に配置すれば、出力信号の立ち上がりが鋭くなって検出対象の位置の検出が正確になる。従って、長円形の端面116の軸線の向き、即ち、磁気コア45の中心軸回りの回転位置が重要である。
【0056】
組み立てにあたってキー114をキー溝112に係合させて磁気コア45をスリーブ56に挿入すると磁気コア45の軸心回りの位置が定められ、従って、磁気コア45の先端115の長円形の端面116の軸線も定められ、磁気センサの取付を正確に行えば、磁気コア45の端面116の姿勢を正しく所定の方向にして取り付けることができる。この意味で、スリーブ56のキー溝112と磁気コア45のキー114とは、磁気コア45およびスリーブ56間に設けられて互いに係合してスリーブ56に対して磁気コア45を位置決めする位置決め装置であるといえる。キー溝を磁気コアに設け、キーをスリーブに設けても同様の効果が得られる。
【0057】
図30および図31に示す本発明と共に用いることのできる磁気センサ120は、センサ組立体42と樹脂成形体121とを備えており、センサ組立体42は、磁石44、磁気コア45、コイル46、スペーサ57およびこれらを所定の位置関係に保持して組立体とする支持体47を備えている。樹脂成形体121は、磁気コア45の先端58を突出させてこのセンサ組立体42を囲んでおり、磁気センサ120のハウジングを形成している。この磁気センサ120の樹脂成形体121は、センサ組立体42を囲み図示してないコネクタを収容した円筒形の本体部分122と、この本体部分122から径方向外向きに延びて磁気センサ120の軸心に直角な方向の取付孔123を持つ取付ブラケット124と、樹脂成形体121から突出した磁気コア45の先端58の近傍で樹脂成形体121の円筒面から突出して設けられた位置決め装置である位置決めピン125とを備えている。位置決めピン125は、取付ブラケット124の取付孔123と同様、磁気センサ120の軸心に直角方向に延びている。
【0058】
このような磁気センサ120は、図示の如く、支持構造である取付台座126に対してその軸心を平行にして横置き配置されて取付られる。即ち、取付ブラケット124は取付台座126に平行に置かれてその取付孔123は取付台座126のねじ孔127と整列させられ、図31に示す如くねじ128によりしっかりと固着することができる。位置決めピン125もまた取付台座126の位置決め穴129内に嵌合して、磁気センサ120の磁気コア45の先端58を取付台座126に対して正確に位置決めしている。図40乃至図42に示す従来の磁気センサに於ける如く、本体部分を取付台座の開口に嵌め込む必要がない。
【0059】
このような磁気センサ120に於いては、磁気コア45の先端58の極めて近くに位置決めピン125が設けてあるので、位置決めの精度を極めて高精度にすることができる。このことは、一般に磁気センサに於いては、出力信号のばらつきを減少するために磁気コアと信号検出用のプレートとの間の距離を精度良く一定にする必要があるので、極めて有用な利点である。また磁気センサの本体部分を取付台座に貫通させる必要が無く、取付台座に平行に配置することができるので、磁気センサの配置の自由度が大きい。
【0060】
図32および図33には本発明と共に用いることのできる磁気センサの更に別の参考例を示し、この磁気センサは、磁気コア45を有するセンサ組立体130と、磁気コア45の先端58を突出させてセンサ組立体130を囲んで磁気センサのハウジングを形成する樹脂成形体131と、磁気コア45の樹脂成形体131から突出した先端58の側面132を少なくとも一部囲む覆い133、134を備えている。
【0061】
図32の例では、磁気コア45の先端58の側面132を囲む覆い133は樹脂成形体131から一体となって連続して、磁気コア45の先端58に沿って全長に亙って延びた被覆133である。また、図33の例では、樹脂成形体131から突出して延びた磁気コア45の先端58の側面132は、支持体47のコイルボビン55から一体となって連続して、先端58に沿って全長に亙って延びた被覆134によって覆われている。いずれの例でも先端58の端面135は被覆されていない。
【0062】
このように構成された磁気センサに於いては、磁気コア45の先端58の側面132を樹脂の被覆133あるいは134によって覆ってあるため、磁気コア45の側面に磁性体の異物が吸着されてしまうのを防止できると共に、耐食性を高めることができる。被覆133あるいは134は磁気コア45の先端58の側面132の一部だけを覆うものでも或る程度の効果は得られるが、側面132全体を覆うのが望ましい。磁気コア45の端面135は被覆されていないので、磁気検出の妨害とはならない。
【0063】
図34乃至図37に示す参考例に於いては、磁気センサは、センサ組立体136と、このセンサ組立体136を囲んで設けられてハウジングを形成する樹脂成形体137とを備えており、樹脂成形体137の円筒形の本体部分138には周方向溝139が形成されていて、この周方向溝139内にはOリング140が嵌め込まれている。また、センサ組立体136は、磁束を発生する磁石44と、磁気回路を形成する磁気コア45と、磁気コア45の周囲に巻かれて磁気コア45を通る磁束の変化を検出するコイル46と、これらの磁石44、磁気コア45およびコイル46を組立体として支持する支持体47とを備えている。
【0064】
支持体47は、磁気コア45を受け入れると共にコイル46を巻回すべきコイルボビン55と、コイルボビン55に一端で接続されて磁気コア45および磁石44を受け入れるスリーブ56と、磁気コア45および磁石44をスリーブ56内に保持するスペーサ57と、スリーブ56の他端に設けられてコイル46に接続される端子52と、スペーサ57をスリーブ56内に保持するキャップ142とを備えている。キャップ142は、樹脂成形体の樹脂材料と同等あるいは同じものを使用し、特に熱膨張係数が樹脂成形体と同じものを用いるのが望ましい。そのような材料の例は、PBT,PP,ナイロン、エポキシ樹脂である。
【0065】
このキャップ142は、例えば図36に示す如き形状で、スペーサ57のスリーブ56からはみ出した部分に嵌合させられて、その縁部143でスリーブ56の縁に接着剤により固着されている。キャップは図37に示す如く、係合片144を持つキャップ145としても良く、この場合にはキャップ145の係合片144はスリーブ56の外周に形成した凹部(図示してない)に弾性的に係合させて固着する。
【0066】
このようなキャップ142あるいは145は、図35に示す如く、Oリング140用の周方向溝139を持つ磁気センサ41を樹脂成形する場合には、先に説明したように周方向溝139がアンダーカット(抜き取りの妨げとなる成形金型の突出部分が形成されること)とならないように、成形金型37乃至40内にセンサ組立体136をその軸を横置きにかつ端子52を下向きにして配置して成形する場合に、センサ組立体136を横置きにしたときにスリーブ56からスペーサ57が脱落するのを防ぐ作用をする。この時点では磁石44はまだ着磁されてないので、スペーサ57の脱落の危険があるのである。このように、センサ組立体は、樹脂成形前にも磁気コア、磁石およびスペーサが、スリーブ内に確実に保持でき、製造作業の自動化が可能である。また、キャップ142は僅かな接着剤でスペーサ57に接着できるので、接着剤がスペーサ57と磁石44との間に入り込んで磁気抵抗となる恐れも無い。図37に示す弾性係合片144を持つキャップ145を用いれば、接着剤は全く不要で一動作でキャップ145を固着でき、
作業性が良い。係合片144の個数および形状はキャップ145をスリーブ56に固定できれば任意である。
【0067】
実施例1.
図38および図39に示す本発明の磁気センサの実施例に於いては、支持体47のコイルボビン150のフランジ151の外縁のコイル46が巻回される部分よりも外側の部分に複数の切欠152が設けられている。この切欠152は、成形金型内にセンサ組立体を入れて樹脂成形する際に、そこを通して熔融樹脂が流れ得るようにするための樹脂通路である。
【0068】
切欠152の形状および数は様々に変形できるが、コイル46の巻回作業、巻回したコイル46、注入樹脂の流れ(湯回り)に悪影響を及ぼしてはならない。例えば、切欠152の数は1個でも良い。切欠152をもう1つのフランジ153だけに設けても、あるいは両方のフランジ151、153に設けても良い。また、切欠152の形でなくとも、フランジ151の全周あるいは一部について直径を巻回されたコイル46の直径と同じにしても良い。
【0069】
この磁気センサに於いては、樹脂成形時に熔融樹脂がコイルボビン150のフランジ151あるいは153によって妨げられることがなく、熔融樹脂の成形金型内の流れ即ち湯回りが良くなり、磁気センサを小型にできると共に、製品歩留まりも向上させることができる。
【0070】
【発明の効果】
請求項1記載の磁気センサは、センサ組立体と、このセンサ組立体を囲んで設けられてハウジングを形成する樹脂成形体とを備え、上記センサ組立体は、磁束を発生する磁石と、磁気回路を形成する磁気コアと、上記磁気コアの周囲に巻かれて上記磁気コアを通る磁束の変化を検出するコイルと、フランジを持つコイルボビンを有し、上記磁石、上記磁気コアおよび上記コイルを組立体として支持する支持体とを備えた磁気センサに於いて、上記コイルボビンは、上記フランジの周縁に、樹脂成形時にそこを通して溶融樹脂を流すための樹脂通路である切欠を備えているので、樹脂成形時に熔融樹脂がコイルボビンによって妨げられることがなく、熔融樹脂の湯回りが良くなり、磁気センサを小型にできると共に、製品歩留まりも向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明と共に用いることのできる磁気センサの参考例を示す断面図である。
【図2】図1の磁気センサの位置決め用の係合部を示す端面図である。
【図3】図1の磁気センサを成形金型内に配置した状態を示す部分断面図である。
【図4】この発明と共に用いることのできる磁気センサの位置決め用の係合部の変形例を示す部分断面図である。
【図5】図4の磁気センサの係合部を示す端面図である。
【図6】図4の磁気センサの係合部を成形金型内に配置した状態を示す部分断面図である。
【図7】この発明と共に用いることのできる磁気センサのコイルボビンを示す斜視図である。
【図8】図7のコイルボビンのフランジを示す断面図である。
【図9】この発明と共に用いることのできる磁気センサのコイルボビンの変形例を示す側面図である。
【図10】この発明と共に用いることのできる磁気センサのコイルボビンの別の変形例を示す斜視図である。
【図11】図10のコイルボビンのフランジを示す断面図である。
【図12】この発明と共に用いることのできる磁気センサのセンサ組立体を示す斜視図である。
【図13】この発明と共に用いることのできる磁気センサのコイルボビンの別の変形例を示す側面図である。
【図14】図13のコイルボビンに口出し線を配線した状態を示す断面図である。
【図15】この発明と共に用いることのできる磁気センサのコイルボビンの別の変形例を示す側面図である。
【図16】図15のコイルボビンに口出し線を配線した状態を示す断面図である。
【図17】この発明と共に用いることのできる磁気センサのセンサ組立体を示す斜視図である。
【図18】図17のコイルボビンと係合突起とへの配線状態を示す断面図である。
【図19】図18のコイルボビンと係合突起との変形例を示す断面図である。
【図20】この発明と共に用いることのできる磁気センサのセンサ組立体の支持体の端子部分を示す斜視図である。
【図21】図20の支持体を用いた本発明と共に用いることのできる磁気センサの参考例を示す断面図である。
【図22】この発明と共に用いることのできる磁気センサのセンサ組立体の端子部分の半田付作業を示す概略図である。
【図23】この発明と共に用いることのできる磁気センサの支持体のスリーブとスペーサとの関係を示す平面図である。
【図24】図23のセンサ組立体の分解斜視図である。
【図25】図23のセンサ組立体の断面図である。
【図26】この発明と共に用いることのできる磁気センサの磁気コアの変形例を示す斜視図である。
【図27】図26の磁気コアの底面図である。
【図28】図26の磁気コアとスリーブとの関係を示す斜視図である。
【図29】図26の磁気コアとスリーブとの関係を示す断面図である。
【図30】この発明と共に用いることのできる磁気センサの変形例を示す斜視図である。
【図31】図30の磁気センサの取付状態を示す断面図である。
【図32】この発明と共に用いることのできる磁気センサの変形例を示す断面図である。
【図33】この発明と共に用いることのできる磁気センサの変形例を示す断面図である。
【図34】この発明と共に用いることのできる磁気センサのキャップを有するセンサ組立体を用いた参考例の断面図である。
【図35】図34の磁気センサのための成形金型を示す断面図である。
【図36】図34の磁気センサのキャップを示す斜視図である。
【図37】この発明と共に用いることのできる磁気センサのキャップの変形例を示す斜視図である。
【図38】本発明の磁気センサのコイルボビンを示す斜視図である。
【図39】図38のコイルボビンの断面図である。
【図40】従来の磁気センサの断面図である。
【図41】図40の従来の磁気センサを示す斜視図である。
【図42】図40の従来の磁気センサの取付状態を示す断面図である。
【図43】図40の従来の磁気センサのコイルボビンのフランジを示す断面図である。
【図44】図40の従来の磁気センサのセンサ組立体の配線状態を示す断面図である。
【図45】図40の従来の磁気センサのセンサ組立体の配線状態を示す側面図である。
【図46】図40の従来の磁気センサの樹脂成形工程を示す断面図である。
【図47】従来の磁気センサの別の例を示す断面図である。
【図48】図47の従来の磁気センサの樹脂成形工程を示す断面図である。
【図49】図3の磁気センサの変形例を示す断面図である。
【符号の説明】
42 センサ組立体、44 磁石、45 磁気コア、46 コイル、55 コイルボビン、47 支持体、43 樹脂成形体、152 樹脂通路。
Claims (1)
- センサ組立体と、このセンサ組立体を囲んで設けられてハウジングを形成する樹脂成形体とを備え、上記センサ組立体は、磁束を発生する磁石と、磁気回路を形成する磁気コアと、上記磁気コアの周囲に巻かれて上記磁気コアを通る磁束の変化を検出するコイルと、フランジを持つコイルボビンを有し、上記磁石、上記磁気コアおよび上記コイルを組立体として支持する支持体とを備えた磁気センサに於いて、
上記コイルボビンは、上記フランジの周縁に、樹脂成形時にそこを通して溶融樹脂を流すための樹脂通路である切欠を備えたことを特徴とする磁気センサ。
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