JP3544176B2 - 電動アクチュエータの制御装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は,電動アクチュエータの状態量より,該電動アクチュエータが所定の状態であるか否かを判定する電動アクチュエータの制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
電動アクチュエータの状態を把握する上で有効な状態量は,例えば,電動アクチュエータ内の温度,電動アクチュエータ出力軸のトルク等がある。
つまり,上記のような状態量を検出し,電動アクチュエータの状態を把握することで,電動アクチュエータが損傷に至ること等を防止することができる。
従来,上記のように電動アクチュエータの状態量を検出して,電動アクチュエータの状態を把握する制御装置が,例えば,特開平10−252922号,特開平10−252927号公報に記載されている。
上記公報記載の発明は,電動アクチュエータ内の温度,出力軸トルク等の状態量をセンサ等で検出し,該検出した状態量が設定された基準値を超えているか否かを判定することで,該電動アクチュエータが所定の状態,即ち電動アクチュエータに何等かの不具合が生じていると推測させるような異常な状態であるか否かを判定する発明である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上述の公知の発明では,センサ等で検出した状態量が基準値を超えると,電動アクチュエータが異常な状態であると判定し,直ちに電動アクチュエータの動作を停止させる。
しかし,上記発明では,センサ等で検出した状態量が偶発的に上記基準値を超えた場合であっても,電動アクチュエータが異常な状態であると判定し,電動アクチュエータの動作を停止させる。そのため,電動アクチュエータが上述のような偶発的な事由で停止する度に,システム全体を停止して装置業者等による検査等を行う効率の悪さがあった。
そこで,本発明は上記事情を鑑みてなされたものであり,その目的とするところは,電動アクチュエータの状態量が偶発的に異常となったのかどうかを確認しうるようにした電動アクチュエータの制御装置を提供することである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために本出願に係る第1の発明は,電動アクチュエータの温度を検出する温度検出手段と,
上記温度検出手段が検出した電動アクチュエータの温度と予めメモリに記憶された基準温度とに基づいて,上記電動アクチュエータの状態を判定する判定手段とを具備した電動アクチュエータの制御装置において,
動作時間を限時するタイマを具備し,
上記基準温度が上記電動アクチュエータが異常動作をする可能性の無い上限温度であり,上記電動アクチュエータが,上記基準温度より高い温度であると上記判定手段が判定した場合に,上記タイマの動作を開始させると共に,上記電動アクチュエータの動作を継続,又は停止させ,上記タイマの限時動作終了後,再び上記温度検出手段が上記電動アクチュエータの温度を検出し,該検出された温度が上記基準温度以内,又はこれを超えていると上記判定手段が判定した場合に,上記電動アクチュエータの動作を継続,又は停止させることを特徴とする電動アクチュエータの制御装置として構成されている。
また,第2の発明は,電動アクチュエータの出力軸の出力トルクを検出する出力トルク検出手段と,
上記出力トルク検出手段が検出した電動アクチュエータの出力トルクと予めメモリに記憶された基準出力トルクとに基づいて,上記電動アクチュエータの状態を判定する判定手段とを具備した電動アクチュエータの制御装置において,
動作時間を限時するタイマを具備し,
上記基準出力トルクが上記電動アクチュエータが異常動作をする可能性の無い上限出力トルクであり,上記電動アクチュエータが,上記基準出力トルクより大きい出力トルクであると上記判定手段が判定した場合に,上記タイマの動作を開始させると共に,上記電動アクチュエータの動作を継続,又は停止させ,上記タイマの限時動作終了後,再び上記出力トルク検出手段が上記電動アクチュエータの出力トルクを検出し,該検出された出力トルクが上記基準出力トルク以内,又はこれを超えていると上記判定手段が判定した場合に,上記電動アクチュエータの動作を継続,又は停止させることを特徴とする電動アクチュエータの制御装置として構成されている。
として構成されている。
このように構成されているので,電動アクチュエータの温度や出力トルクが基準値を超えた場合にタイマを動作させ,その動作時間中一時的に電動アクチュエータの動作を停止,或いは継続させる。そして,上記タイマの動作終了後に再び温度或いは出力トルクを検出して基準値と比較することで,1回目に検出された温度或いは出力トルクが偶発的に基準値を超えたか否かが判定できる。つまり,上記温度或いは出力トルクが恒常的に基準値を超えているならば,電動アクチュエータが異常な状態であると判定することができる。
したがって,偶発的に上記温度或いは出力トルクが基準値を超えても誤って電動アクチュエータを停止させることはない。
【0005】
上記電動アクチュエータの温度或いは出力トルクが基準値を超えたと上記判定手段が判定して,上記電動アクチュエータの動作を停止させた場合に,外部に上記電動アクチュエータが停止していることを通知する出力手段を具備してなるように構成しても良い。
このように構成することで,例えば,出力手段がベル,ランプ等であれば,電動アクチュエータがプラント内に設置されている場合などに,停止している電動アクチュエータがあること,及びどの電動アクチュエータが停止しているかを直ぐに発見することができる。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下添付図面を参照しながら,本発明の実施の形態及び実施例について説明し,本発明の理解に供する。尚,以下の実施の形態及び実施例は,本発明を具体化した一例であって,本発明の技術的範囲を限定する性格のものではない。
【0007】
ここに,図1は本発明の実施の形態に係る電動アクチュエータの制御装置の概略構成図,図2は本発明の実施の形態に係る電動アクチュエータの制御装置の処理手順を示したフローチャート,図3は本発明の実施の形態に係る電動アクチュエータの制御装置の動作例のタイムチャートである。
【0008】
本発明の実施の形態に係る電動アクチュエータ101の制御装置100について図1を用いて説明する。
本発明の一実施形態としては,電動アクチュエータ101の状態量を検出する状態検出手段の一例として,電動アクチュエータ101の状態量の一例である温度を検出する温度センサ121と,外部通信機器126と通信する通信回路125と,通信回路125に接続されていて外部通信機器126より送信される各種情報や制御装置100で処理された各種情報などを記憶するメモリ123と,判定手段の一例として上記温度センサ121より検出した温度情報とメモリ123に予め記憶されている基準温度とを比較して電動アクチュエータ101の状態を判定する判定回路122と,電動アクチュエータ101が停止していることを外部に示す出力手段127と,動作時間を設定することが可能なタイマ124と,電動アクチュエータの出力軸の角度を検出する角度検出器112と,モータ130を駆動するモータ駆動回路113と,電動アクチュエータ101の出力軸の目標角度を設定する設定値入力器111と,上記各部を制御する制御部110とで概略構成されている。
【0009】
通常,電動アクチュエータ101の制御装置100は,角度検出器112で検出される角度が設定入力回路111に設定された目標角度となるように,モータ130を駆動するモータ駆動回路113を作動させて制御している。
本発明の実施の形態では,上記のようにモータを駆動する処理を行いながら,更に以下のような処理を行っている。
【0010】
図2を用いて,制御装置100の動作の一例を示す。
温度センサ121が電動アクチュエータ内部の温度を検出する(S10)。
判定回路122は,温度センサ121で検出された温度と,予めメモリ123に記憶されている基準温度とを比較し,どちらが高いかを判定する(S20)。
上記基準温度とは,例えば,電動アクチュエータ101が異常動作をする可能性のない上限の閾値のことであり,使用者が外部通信機器126等を用いてメモリ123に予め記憶させておく。
ステップS20において,温度センサ121で検出された温度が,上記基準温度より高ければステップS30へ,低ければ再びステップS10へそれぞれ手順が移行する。
【0011】
ステップS20で,温度センサ121より検出した温度が基準温度より高いと判定回路122が判定した場合に,その情報が制御部110へ送信され,制御部110はタイマ124を動作開始させる(S30)。
このタイマ124は,予め設定された時間中(ここでは,例えば,t=0からt=t1まで。)限時動作する。
制御部110は,更にモータ駆動回路113の動作を停止させ,電動アクチュエータの動作を停止させる(S40)。
タイマ124の動作時間がt=t1となってタイムアップすると,再び温度センサ121が電動アクチュエータ101の温度を検出する(S50→S60)。
【0012】
判定回路122が,温度センサ121より検出された温度を,ステップS20と同様に判定する(S70)
ステップS70で,温度センサ121より検出された温度が,基準温度より低いと判定回路122が判定した場合には,制御部110がモータ駆動回路113を作動させて電動アクチュエータ101の動作を開始させる(S90)。S20で検出された温度が,偶発的なものと解することができるからである。
【0013】
同じくステップS70で,温度センサ121より検出された温度が,基準温度より高いと判定回路122が判定した場合には,制御部110はモータ駆動回路を作動させず,出力手段127を用いて電動アクチュエータが停止していることを外部に示す(S80)。高温が継続していることから,異常が恒常性をもっていると判断できるからである。
この出力手段127の具体例としては,例えば,ベル,ランプ等電動アクチュエータ101が停止状態にあることを示すことができれば如何なるものでも良い。
【0014】
【実施例】
上記実施の形態に示した電動アクチュエータ101の制御装置100の動作パターンは,図3のパターン1の場合を説明したものである。
このパターン1以外に,例えば,パターン2に示したようなものが考えられる。これは,上述のステップS20において,温度センサ121より検出した温度が,基準温度より高いと判定回路122が判定しても電動アクチュエータ101の動作をさせておく。そして,再び判定回路122で温度センサ121より検出した温度を判定し,その温度が基準温度より高ければ電動アクチュエータの動作をその時に停止するようにしたものである。
また,メモリ123にEEPROM(Electrically Erasable Programmable ROM)を用いることが望ましい。このEEPROMは,データの読み書きが自由にでき,更にデータを保存するための電源等も必要ないので制御基盤上の構成を簡略化することができる。
更に,温度センサ121で検出した温度が基準温度より高かった場合に,その記録をメモリ123に自動的に記憶し,後ほど通信回路125を介して読み出して解析できるようにしても良い。
また,上記のケースでは電動アクチュエータ101の状態量の一例として,温度に関して述べてきたが,もちろん電動アクチュエータ101の状態量として出力軸のトルクを検出しても良い。この場合,状態検出手段の一例としてトルクセンサを設け,上述の場合と同様にメモリ123に基準トルクを予め記憶させておき,トルクセンサで検出されるトルクが基準トルクより大きいか,小さいかを判定して電動アクチュエータ101の状態を判定しても良い。
【0015】
【発明の効果】
以上述べたように,本発明は,電動アクチュエータの温度(或いは出力トルク)を検出する温度(或いは出力トルク)検出手段と,
上記温度或いは出力トルク検出手段が検出した電動アクチュエータの温度或いは出力トルクと予めメモリに記憶された基準温度或いは出力トルクとに基づいて,上記電動アクチュエータの状態を判定する判定手段とを具備した電動アクチュエータの制御装置において,
動作時間を限時するタイマを具備し,
上記基準温度或いは出力トルクが上記電動アクチュエータが異常動作をする可能性の無い上限温度或いは出力トルクであり,上記電動アクチュエータが,上記基準温度或いは出力トルクより高い(或いは大きい)温度或いは出力トルクであると上記判定手段が判定した場合に,上記タイマの動作を開始させると共に,上記電動アクチュエータの動作を継続,又は停止させ,上記タイマの限時動作終了後,再び上記温度或いは出力トルク検出手段が上記電動アクチュエータの温度或いは出力トルクを検出し,該検出された温度或いは出力トルクが上記基準温度或いは出力トルク以内,又はこれを超えていると上記判定手段が判定した場合に,上記電動アクチュエータの動作を継続,又は停止させることを特徴とする電動アクチュエータの制御装置として構成されている。
このように構成されているので,電動アクチュエータの温度或いは出力トルクが基準値を超えた場合にタイマを動作させ,その動作時間中一時的に電動アクチュエータの動作を停止,或いは継続させる。そして,上記タイマの動作終了後に再び温度或いは出力トルクを検出して基準値と比較することで,1回目に検出された温度或いは出力トルクが偶発的に基準値を超えたか否かが判定できる。つまり,上記状態量が恒常的に基準値を超えているならば,電動アクチュエータが異常な状態であると判定することができる。
したがって,偶発的に上記温度或いは出力トルクが基準値を超えても誤って電動アクチュエータを停止させることもない。
【0016】
また,本発明においては,上記電動アクチュエータの温度或いは出力トルクが異常動作をする可能性の無い上限温度或いは出力トルクであると上記判定手段が判定して,上記電動アクチュエータの動作を停止させた場合に,外部に上記電動アクチュエータが停止していることを通知する出力手段を具備してなるように構成しても良い。
このように構成することで,例えば,出力手段がベル,ランプ等であれば,電動アクチュエータがプラント内に設置されている場合などに,どの電動アクチュエータが停止しているかを直ぐに発見することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係る電動アクチュエータの制御装置の概略構成図。
【図2】本発明の実施の形態に係る電動アクチュエータの制御装置の処理手順を示したフローチャート。
【図3】本発明の実施の形態に係る電動アクチュエータの制御装置の動作例のタイムチャート。
【符号の説明】
100………制御装置
101………電動アクチュエータ
110………制御部
111………設定値入力器
112………角度検出器
113………モータ駆動回路
121………温度センサ(状態検出器手段)
122………判定回路(判定手段)
123………メモリ
124………タイマ
125………通信回路
126………外部通信機器
127………出力手段
130………モータ

Claims (4)

  1. 電動アクチュエータの温度を検出する温度検出手段と,
    上記温度検出手段が検出した電動アクチュエータの温度と予めメモリに記憶された基準温度とに基づいて,上記電動アクチュエータの状態を判定する判定手段とを具備した電動アクチュエータの制御装置において,
    動作時間を限時するタイマを具備し,
    上記基準温度が上記電動アクチュエータが異常動作をする可能性の無い上限温度であり,上記電動アクチュエータが,上記基準温度より高い温度であると上記判定手段が判定した場合に,上記タイマの動作を開始させると共に,上記電動アクチュエータの動作を継続,又は停止させ,上記タイマの限時動作終了後,再び上記温度検出手段が上記電動アクチュエータの温度を検出し,該検出された温度が上記基準温度以内,又はこれを超えていると上記判定手段が判定した場合に,上記電動アクチュエータの動作を継続,又は停止させることを特徴とする電動アクチュエータの制御装置。
  2. 電動アクチュエータの出力軸の出力トルクを検出する出力トルク検出手段と,
    上記出力トルク検出手段が検出した電動アクチュエータの出力トルクと予めメモリに記憶された基準出力トルクとに基づいて,上記電動アクチュエータの状態を判定する判定手段とを具備した電動アクチュエータの制御装置において,
    動作時間を限時するタイマを具備し,
    上記基準出力トルクが上記電動アクチュエータが異常動作をする可能性の無い上限出力トルクであり,上記電動アクチュエータが,上記基準出力トルクより大きい出力トルクであると上記判定手段が判定した場合に,上記タイマの動作を開始させると共に,上記電動アクチュエータの動作を継続,又は停止させ,上記タイマの限時動作終了後,再び上記出力トルク検出手段が上記電動アクチュエータの出力トルクを検出し,該検出された出力トルクが上記基準出力トルク以内,又はこれを超えていると上記判定手段が判定した場合に,上記電動アクチュエータの動作を継続,又は停止させることを特徴とする電動アクチュエータの制御装置。
  3. 上記電動アクチュエータの温度が上記基準温度以上であると上記判定手段が判定して,上記電動アクチュエータの動作を停止させた場合に,外部に上記電動アクチュエータが停止していることを通知する出力手段を具備してなる請求項1又は請求項2のいずれかに記載の電動アクチュエータの制御装置。
  4. 上記電動アクチュエータの出力トルクが上記基準基準出力トルク以上であると上記判定手段が判定して,上記電動アクチュエータの動作を停止させた場合に,外部に上記電動アクチュエータが停止していることを通知する出力手段を具備してなる請求項1又は請求項2のいずれかに記載の電動アクチュエータの制御装置。
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