JP3543997B2 - エポキシ樹脂組成物、エポキシ樹脂組成物の製造方法および半導体封止装置 - Google Patents
エポキシ樹脂組成物、エポキシ樹脂組成物の製造方法および半導体封止装置 Download PDFInfo
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、加熱吸湿後の耐リフロークラック性、耐湿性、成形性に優れ、成形の自動化に対応したエポキシ樹脂組成物、その製造方法および半導体封止装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、ダイオード、トランジスタ、IC、LSI、超LSI等の半導体チップを外部雰囲気や機械的衝撃から保護するため樹脂封止することが行われてきた。樹脂封止法はセラミック等を用いる気密封止法に比べて、大量生産に適することから広く行われてきた。
【0003】
近年、半導体装置の軽薄短小化の進行と内部素子の大型化、微細配線化などにより半導体封止樹脂にはより一層の低応力化と、耐湿性の向上が求められている。一方、半導体装置の実装方式は、ピン挿入方式からパッケージ全体が 200℃以上の高温にさらされる表面実装方式へと移り変わり、加熱吸湿後の耐リフロークラック性、耐湿性への要求も厳しいものがある。更に半導体封止方法も人手で行っていた工程がコンピュータ制御の自動成形方式となり、成形時間の短サイクル化に対応した速硬化で成形作業性の優れたエポキシ樹脂組成物が求められている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたもので、低応力化により内部素子の保護機能に優れ、水分の吸湿を制御し加熱吸湿後の耐リフロークラック性、耐湿性に優れ、かつ自動成形方式に対応した、信頼性の高いエポキシ樹脂組成物、その製造方法および半導体封止装置を提供することを目的としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記の目的を達成しようと鋭意研究を重ねた結果、主たるエポキシ樹脂および無機質充填剤以外の特定エポキシドと特定フェノール樹脂を予め加熱分散し反応させ、次いで主たるエポキシ樹脂および無機質充填剤を加熱混練することによって、上記目的が達成できることを見いだし、本発明を完成させたものである。
【0006】
即ち、本発明は、(A)エポキシ樹脂、(B)ジシクロペンタジエンフェノール樹脂、(C)エポキシ基含有ポリブタジエン、(D)硬化促進剤および(E)無機質充填剤を必須成分とするエポキシ樹脂組成物を、予め前記(D)硬化促進剤の存在下で(B)ジシクロペンタジエンフェノール樹脂および(C)エポキシ基含有ポリブタジエンを加熱分散・反応させた後、樹脂組成物に対して前記(A)エポキシ樹脂および(E)無機質充填剤の合計量を 70 〜 90 重量%含有するように配合して加熱混練してなることを特徴とするエポキシ樹脂組成物である。また本発明は、(A)エポキシ樹脂、(B)ジシクロペンタジエンフェノール樹脂、(C)エポキシ基含有ポリブタジエン、(D)硬化促進剤および(E)無機質充填剤を必須成分とするエポキシ樹脂組成物を、予め前記(D)硬化促進剤の存在下で(B)ジシクロペンタジエンフェノール樹脂および(C)エポキシ基含有ポリブタジエンを加熱分散・反応させた後、樹脂組成物に対して前記(A)エポキシ樹脂および(E)無機質充填剤の合計量を70〜90重量%含有するように配合して加熱混練することを特徴とするエポキシ樹脂組成物の製造方法である。さらに本発明は、このエポキシ樹脂組成物の硬化物によって、半導体チップを封止してなることを特徴とする半導体封止装置である。
【0007】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0008】
本発明に用いる(A)エポキシ樹脂としては、その分子中にエポキシ基を少なくとも 2個有する化合物である限り、分子構造、分子量等に制限されることなく一般に使用されているものを広く使用することができる。例えば、ビスフェノール型、ビフェニル型等の芳香族系、シクロヘキサン誘導体等の脂環族系、さらに次の一般式で示されるエポキシノボラック系等のエポキシ樹脂が挙げられる。
【0009】
【化1】
(但し、式中R1 は水素原子、ハロゲン原子又はアルキル基を、R2 は水素原子、又はアルキル基を、n は 1以上の整数を表す)
これらのエポキシ樹脂は単独又は 2種以上混合して使用することができる。
【0010】
本発明に用いる(B)ジシクロペンタジエンフェノール樹脂は、ジシクロペンタジエンとフェノールとの共重合構造のフェノール樹脂であって、その分子量、フェノール水酸基当量については特に限定されるものでなく、次式の一般式で示されるものが最適である。
【0011】
【化2】
(但し、式中R3 は水素原子又はメチル基を、n は 0又は 1〜5 の整数を表す)
なお、このジシクロペタジエンフェノール樹脂には、ノボラック型フェノール樹脂などのフェノール樹脂を併用することができる。
【0012】
本発明に用いる(C)エポキシ基含有ポリブタジエンは、1,2-ポリブタジエンの側鎖ビニル基の一部がエポキシ化されたものであって、例えば次式で示されるものが使用される。
【0013】
【化3】
化3において、1,2-ポリブタジエンの分子中あるいは分子末端にはエポキシ基およびビニル基を含有し、平均分子量は 500〜2000であるものが望ましく、またエポキシ当量で 150〜1000のものが好適である。
【0014】
本発明に用いる(D)硬化促進剤としては、有機ホスフィン化合物又は第3級アミンが使用され、これらは特に限定されるものではなく通常使用されるものを広く使用することができる。有機ホスフィン化合物としては、トリエチルホスフィン、ジフェニルホスフィン、トリフェニルホスフィン等が、また、第3級アミンとしては、2-(ジメチルアミノメチル)フェノール、2,4,6-トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、1,8-ジアザビシクロ[5,4,0] ウンデセン-7等が挙げられ、これらは単独又は 2種以上混合して使用することができる。
【0015】
本発明に用いる(E)無機質充填剤としては、一般に使用されているものが広く使用される。これらの無機質充填剤としては、例えば、シリカ粉末、アルミナ、三酸化アンチモン、タルク、炭酸カルシウム、チタンホワイト、クレー、ベンガラ、ガラス繊維、炭酸繊維等が挙げられ、これらの中でも特にシリカ粉末およびアルミナが好ましく使用される。無機質充填剤の配合割合は、樹脂組成物全体に対して25〜90重量%の割合で含有することが望ましい。その配合割合が、25重量%未満では、吸湿性が高く、半田浴浸漬後の耐湿性に劣り、また、90重量%を超えると極端に流動性が悪くなり、成形性に劣り好ましくない。
【0016】
本発明のエポキシ樹脂組成物は、エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエンフェノール樹脂、エポキシ基含有ポリブタジエン、硬化促進剤および無機質充填剤を必須成分とするが、本発明の目的に反しない限度において、また必要に応じて、例えば天然ワックス、合成ワックス、直鎖脂肪酸の金属塩、酸アミド類、エステル類、パラフィン類等の離型剤、三酸化アンチモン等の難燃剤、カーボンブラック、ベンガラ等の着色剤、シランカップリング剤、ゴム系シリコーン系の低応力付与剤等を適宜添加配合することができる。
【0017】
本発明のエポキシ樹脂組成物を成形材料として製造する場合の方法としては、(B)ジシクロペンタジエンフェノール樹脂、ノボラック型フェノール樹脂などの併用するフェノール樹脂、(C)エポキシ基含有ポリブタジエン、および(D)硬化促進剤をミキサー等によって十分均一に混合した後、さらにニーダ、押出機、熱ロールによる加熱反応、混合処理を行い、次いでこの加熱混合物に(A)エポキシ樹脂および(E)無機質充填剤その他各種の添加剤を配合し、ミキサー等によって十分均一に混合した後、さらにニーダ、押出機、熱ロールによる加熱混練処理を行い、冷却固化させ、適当な大きさに粉砕して成形材料を製造することができる。こうして得られた成形材料は、半導体装置をはじめとする電子部品あるいは電気部品の封止、被覆、絶縁等に適用すれば、優れた特性と信頼性を付与させることができる。
【0018】
本発明の半導体封止装置は、上述したエポキシ樹脂組成物を用いて、半導体チップを封止することにより容易に製造することができる。封止を行う半導体チップとしては、例えば、集積回路、大規模集積回路、トランジスタ、サイリスタ、ダイオード等で特に限定されるものではない。封止の最も一般的な方法としては、低圧トランスファー成形法があるが、射出成形、圧縮成形、注形等による封止も可能である。エポキシ樹脂組成物は封止の際に加熱して硬化させ、最終的にはこの組成物の硬化物によって封止された半導体封止装置が得られる。加熱による硬化は、150 ℃以上に加熱して硬化させることが望ましい。
【0019】
【作用】
本発明によれば、ジシクロペンタジエンフェノール樹脂、エポキシ基含有ポリブタジエン、硬化促進剤を加熱分散・反応させ、次いで加熱分散反応物にエポキシ樹脂および無機質充填剤を配合して加熱混練することによって、加熱吸湿後の耐リフロークラック性、吸湿性、成形方式の自動化に対応した成形性のよい、エポキシ樹脂組成物が製造でき、信頼性の高い半導体封止装置を得ることができた。
【0020】
【実施例】
次に本発明を実施例によって説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。以下の実施例及び比較例において「%」とは「重量%」を意味する。
【0021】
実施例1〜4
表1に示した組成を用いて、まずフェノール樹脂、ポリブタジエンおよび硬化促進剤を加熱混合反応させた後、エポキシ樹脂、無機質充填剤およびその他の成分を配合して混合し、さらに90〜95℃で混練冷却した後、粉砕して成形材料を製造した。
【0022】
比較例1〜3
表1に示した組成全体を常温で混合し、さらに90〜95℃で混練冷却した後、粉砕して成形材料を製造した。
【0023】
【表1】
【0024】
実施例1〜4及び比較例1〜3で製造した成形材料を用いて、半導体チップを封止し、170 ℃で加熱硬化させて半導体封止装置を製造した。成形材料及び半導体封止装置について、諸試験を行ったのでその結果を表2に示した。本発明のエポキシ樹脂組成物及び半導体封止装置は、耐リフロークラック性、耐湿性、成形性に優れており、本発明の効果を確認することができた。
【0025】
【表2】
*1 :成形材料を用いて、175 ℃の金型で 100kg/cm2 の圧力をかけてスパイラルの流動距離を測定した。
*2 :トランスファー成形によって直径50mm、厚さ3mm の成形品をつくり、これを127 ℃, 2.5気圧の飽和水蒸気中に24時間放置し、増加した重量によって測定した。
*3 :吸水率の場合と同様な成形品をつくり、175 ℃,8 時間の後硬化を行い、適当な大きさの試験片とし、熱機械分析装置を用いて測定した。
*4 :JIS−K−6911に準じて試験した。
*5 :トランスフアー成形によって成形した直後の成形試験片の硬度をバーコール硬度計(#GYZJ935)で測定した。
*6 :目視により試験片の離型性、表面状態等を総合的に評価した。
表中、◎印…優、○印…良、△印…可、×印…不可。
*7 :成形材料を用いて、 2本以上のアルミニウム配線を有するシリコン製チップを、通常の42アロイフレームに接着し、 175℃, 2分間トランスファー成形した後、175 ℃,8 時間の後硬化を行った。こうして得た成形品を予め40℃,95%RH,100 時間の吸湿処理をした後、250 ℃の半田浴に10秒間浸漬した。その後、127 ℃, 2.5気圧の飽和水蒸気中でPCTを行い、アルミニウム配線の腐蝕による断線を不良として評価し、試料の累積不良数が10%に達した時間を測定した。
*8 :8 ×8mm のダミーチップをQFP(14×14×14mm)パッケージに納め、成形材料を用いて175 ℃,2 分間トランスファー成形した後、175 ℃,8 時間の後硬化を行った。こうして得た半導体封止装置を85℃,85%,48時間の吸湿処理をした後、240 ℃の半田浴に 1分間浸漬した。その後、実体顕微鏡でパッケージ表面を観察し、外部樹脂クラックの発生の有無を評価した。
【0026】
【発明の効果】
以上の説明及び表2から明らかなように、本発明によれば、加熱吸湿後の耐リフロークラック性、耐湿性、成形性に優れ、吸湿の影響が少なく、自動化に対応した生産性のよいエポキシ樹脂組成物が得られ、この組成物を用いることによって信頼性の高い半導体封止装置を製造することができる。
【産業上の利用分野】
本発明は、加熱吸湿後の耐リフロークラック性、耐湿性、成形性に優れ、成形の自動化に対応したエポキシ樹脂組成物、その製造方法および半導体封止装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、ダイオード、トランジスタ、IC、LSI、超LSI等の半導体チップを外部雰囲気や機械的衝撃から保護するため樹脂封止することが行われてきた。樹脂封止法はセラミック等を用いる気密封止法に比べて、大量生産に適することから広く行われてきた。
【0003】
近年、半導体装置の軽薄短小化の進行と内部素子の大型化、微細配線化などにより半導体封止樹脂にはより一層の低応力化と、耐湿性の向上が求められている。一方、半導体装置の実装方式は、ピン挿入方式からパッケージ全体が 200℃以上の高温にさらされる表面実装方式へと移り変わり、加熱吸湿後の耐リフロークラック性、耐湿性への要求も厳しいものがある。更に半導体封止方法も人手で行っていた工程がコンピュータ制御の自動成形方式となり、成形時間の短サイクル化に対応した速硬化で成形作業性の優れたエポキシ樹脂組成物が求められている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたもので、低応力化により内部素子の保護機能に優れ、水分の吸湿を制御し加熱吸湿後の耐リフロークラック性、耐湿性に優れ、かつ自動成形方式に対応した、信頼性の高いエポキシ樹脂組成物、その製造方法および半導体封止装置を提供することを目的としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記の目的を達成しようと鋭意研究を重ねた結果、主たるエポキシ樹脂および無機質充填剤以外の特定エポキシドと特定フェノール樹脂を予め加熱分散し反応させ、次いで主たるエポキシ樹脂および無機質充填剤を加熱混練することによって、上記目的が達成できることを見いだし、本発明を完成させたものである。
【0006】
即ち、本発明は、(A)エポキシ樹脂、(B)ジシクロペンタジエンフェノール樹脂、(C)エポキシ基含有ポリブタジエン、(D)硬化促進剤および(E)無機質充填剤を必須成分とするエポキシ樹脂組成物を、予め前記(D)硬化促進剤の存在下で(B)ジシクロペンタジエンフェノール樹脂および(C)エポキシ基含有ポリブタジエンを加熱分散・反応させた後、樹脂組成物に対して前記(A)エポキシ樹脂および(E)無機質充填剤の合計量を 70 〜 90 重量%含有するように配合して加熱混練してなることを特徴とするエポキシ樹脂組成物である。また本発明は、(A)エポキシ樹脂、(B)ジシクロペンタジエンフェノール樹脂、(C)エポキシ基含有ポリブタジエン、(D)硬化促進剤および(E)無機質充填剤を必須成分とするエポキシ樹脂組成物を、予め前記(D)硬化促進剤の存在下で(B)ジシクロペンタジエンフェノール樹脂および(C)エポキシ基含有ポリブタジエンを加熱分散・反応させた後、樹脂組成物に対して前記(A)エポキシ樹脂および(E)無機質充填剤の合計量を70〜90重量%含有するように配合して加熱混練することを特徴とするエポキシ樹脂組成物の製造方法である。さらに本発明は、このエポキシ樹脂組成物の硬化物によって、半導体チップを封止してなることを特徴とする半導体封止装置である。
【0007】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0008】
本発明に用いる(A)エポキシ樹脂としては、その分子中にエポキシ基を少なくとも 2個有する化合物である限り、分子構造、分子量等に制限されることなく一般に使用されているものを広く使用することができる。例えば、ビスフェノール型、ビフェニル型等の芳香族系、シクロヘキサン誘導体等の脂環族系、さらに次の一般式で示されるエポキシノボラック系等のエポキシ樹脂が挙げられる。
【0009】
【化1】
(但し、式中R1 は水素原子、ハロゲン原子又はアルキル基を、R2 は水素原子、又はアルキル基を、n は 1以上の整数を表す)
これらのエポキシ樹脂は単独又は 2種以上混合して使用することができる。
【0010】
本発明に用いる(B)ジシクロペンタジエンフェノール樹脂は、ジシクロペンタジエンとフェノールとの共重合構造のフェノール樹脂であって、その分子量、フェノール水酸基当量については特に限定されるものでなく、次式の一般式で示されるものが最適である。
【0011】
【化2】
(但し、式中R3 は水素原子又はメチル基を、n は 0又は 1〜5 の整数を表す)
なお、このジシクロペタジエンフェノール樹脂には、ノボラック型フェノール樹脂などのフェノール樹脂を併用することができる。
【0012】
本発明に用いる(C)エポキシ基含有ポリブタジエンは、1,2-ポリブタジエンの側鎖ビニル基の一部がエポキシ化されたものであって、例えば次式で示されるものが使用される。
【0013】
【化3】
化3において、1,2-ポリブタジエンの分子中あるいは分子末端にはエポキシ基およびビニル基を含有し、平均分子量は 500〜2000であるものが望ましく、またエポキシ当量で 150〜1000のものが好適である。
【0014】
本発明に用いる(D)硬化促進剤としては、有機ホスフィン化合物又は第3級アミンが使用され、これらは特に限定されるものではなく通常使用されるものを広く使用することができる。有機ホスフィン化合物としては、トリエチルホスフィン、ジフェニルホスフィン、トリフェニルホスフィン等が、また、第3級アミンとしては、2-(ジメチルアミノメチル)フェノール、2,4,6-トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、1,8-ジアザビシクロ[5,4,0] ウンデセン-7等が挙げられ、これらは単独又は 2種以上混合して使用することができる。
【0015】
本発明に用いる(E)無機質充填剤としては、一般に使用されているものが広く使用される。これらの無機質充填剤としては、例えば、シリカ粉末、アルミナ、三酸化アンチモン、タルク、炭酸カルシウム、チタンホワイト、クレー、ベンガラ、ガラス繊維、炭酸繊維等が挙げられ、これらの中でも特にシリカ粉末およびアルミナが好ましく使用される。無機質充填剤の配合割合は、樹脂組成物全体に対して25〜90重量%の割合で含有することが望ましい。その配合割合が、25重量%未満では、吸湿性が高く、半田浴浸漬後の耐湿性に劣り、また、90重量%を超えると極端に流動性が悪くなり、成形性に劣り好ましくない。
【0016】
本発明のエポキシ樹脂組成物は、エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエンフェノール樹脂、エポキシ基含有ポリブタジエン、硬化促進剤および無機質充填剤を必須成分とするが、本発明の目的に反しない限度において、また必要に応じて、例えば天然ワックス、合成ワックス、直鎖脂肪酸の金属塩、酸アミド類、エステル類、パラフィン類等の離型剤、三酸化アンチモン等の難燃剤、カーボンブラック、ベンガラ等の着色剤、シランカップリング剤、ゴム系シリコーン系の低応力付与剤等を適宜添加配合することができる。
【0017】
本発明のエポキシ樹脂組成物を成形材料として製造する場合の方法としては、(B)ジシクロペンタジエンフェノール樹脂、ノボラック型フェノール樹脂などの併用するフェノール樹脂、(C)エポキシ基含有ポリブタジエン、および(D)硬化促進剤をミキサー等によって十分均一に混合した後、さらにニーダ、押出機、熱ロールによる加熱反応、混合処理を行い、次いでこの加熱混合物に(A)エポキシ樹脂および(E)無機質充填剤その他各種の添加剤を配合し、ミキサー等によって十分均一に混合した後、さらにニーダ、押出機、熱ロールによる加熱混練処理を行い、冷却固化させ、適当な大きさに粉砕して成形材料を製造することができる。こうして得られた成形材料は、半導体装置をはじめとする電子部品あるいは電気部品の封止、被覆、絶縁等に適用すれば、優れた特性と信頼性を付与させることができる。
【0018】
本発明の半導体封止装置は、上述したエポキシ樹脂組成物を用いて、半導体チップを封止することにより容易に製造することができる。封止を行う半導体チップとしては、例えば、集積回路、大規模集積回路、トランジスタ、サイリスタ、ダイオード等で特に限定されるものではない。封止の最も一般的な方法としては、低圧トランスファー成形法があるが、射出成形、圧縮成形、注形等による封止も可能である。エポキシ樹脂組成物は封止の際に加熱して硬化させ、最終的にはこの組成物の硬化物によって封止された半導体封止装置が得られる。加熱による硬化は、150 ℃以上に加熱して硬化させることが望ましい。
【0019】
【作用】
本発明によれば、ジシクロペンタジエンフェノール樹脂、エポキシ基含有ポリブタジエン、硬化促進剤を加熱分散・反応させ、次いで加熱分散反応物にエポキシ樹脂および無機質充填剤を配合して加熱混練することによって、加熱吸湿後の耐リフロークラック性、吸湿性、成形方式の自動化に対応した成形性のよい、エポキシ樹脂組成物が製造でき、信頼性の高い半導体封止装置を得ることができた。
【0020】
【実施例】
次に本発明を実施例によって説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。以下の実施例及び比較例において「%」とは「重量%」を意味する。
【0021】
実施例1〜4
表1に示した組成を用いて、まずフェノール樹脂、ポリブタジエンおよび硬化促進剤を加熱混合反応させた後、エポキシ樹脂、無機質充填剤およびその他の成分を配合して混合し、さらに90〜95℃で混練冷却した後、粉砕して成形材料を製造した。
【0022】
比較例1〜3
表1に示した組成全体を常温で混合し、さらに90〜95℃で混練冷却した後、粉砕して成形材料を製造した。
【0023】
【表1】
【0024】
実施例1〜4及び比較例1〜3で製造した成形材料を用いて、半導体チップを封止し、170 ℃で加熱硬化させて半導体封止装置を製造した。成形材料及び半導体封止装置について、諸試験を行ったのでその結果を表2に示した。本発明のエポキシ樹脂組成物及び半導体封止装置は、耐リフロークラック性、耐湿性、成形性に優れており、本発明の効果を確認することができた。
【0025】
【表2】
*1 :成形材料を用いて、175 ℃の金型で 100kg/cm2 の圧力をかけてスパイラルの流動距離を測定した。
*2 :トランスファー成形によって直径50mm、厚さ3mm の成形品をつくり、これを127 ℃, 2.5気圧の飽和水蒸気中に24時間放置し、増加した重量によって測定した。
*3 :吸水率の場合と同様な成形品をつくり、175 ℃,8 時間の後硬化を行い、適当な大きさの試験片とし、熱機械分析装置を用いて測定した。
*4 :JIS−K−6911に準じて試験した。
*5 :トランスフアー成形によって成形した直後の成形試験片の硬度をバーコール硬度計(#GYZJ935)で測定した。
*6 :目視により試験片の離型性、表面状態等を総合的に評価した。
表中、◎印…優、○印…良、△印…可、×印…不可。
*7 :成形材料を用いて、 2本以上のアルミニウム配線を有するシリコン製チップを、通常の42アロイフレームに接着し、 175℃, 2分間トランスファー成形した後、175 ℃,8 時間の後硬化を行った。こうして得た成形品を予め40℃,95%RH,100 時間の吸湿処理をした後、250 ℃の半田浴に10秒間浸漬した。その後、127 ℃, 2.5気圧の飽和水蒸気中でPCTを行い、アルミニウム配線の腐蝕による断線を不良として評価し、試料の累積不良数が10%に達した時間を測定した。
*8 :8 ×8mm のダミーチップをQFP(14×14×14mm)パッケージに納め、成形材料を用いて175 ℃,2 分間トランスファー成形した後、175 ℃,8 時間の後硬化を行った。こうして得た半導体封止装置を85℃,85%,48時間の吸湿処理をした後、240 ℃の半田浴に 1分間浸漬した。その後、実体顕微鏡でパッケージ表面を観察し、外部樹脂クラックの発生の有無を評価した。
【0026】
【発明の効果】
以上の説明及び表2から明らかなように、本発明によれば、加熱吸湿後の耐リフロークラック性、耐湿性、成形性に優れ、吸湿の影響が少なく、自動化に対応した生産性のよいエポキシ樹脂組成物が得られ、この組成物を用いることによって信頼性の高い半導体封止装置を製造することができる。
Claims (3)
- (A)エポキシ樹脂、(B)ジシクロペンタジエンフェノール樹脂、(C)エポキシ基含有ポリブタジエン、(D)硬化促進剤および(E)無機質充填剤を必須成分とするエポキシ樹脂組成物を、予め前記(D)硬化促進剤の存在下で(B)ジシクロペンタジエンフェノール樹脂および(C)エポキシ基含有ポリブタジエンを加熱分散・反応させた後、樹脂組成物に対して前記(A)エポキシ樹脂および(E)無機質充填剤の合計量を 70 〜 90 重量%含有するように配合して加熱混練してなることを特徴とするエポキシ樹脂組成物。
- (A)エポキシ樹脂、(B)ジシクロペンタジエンフェノール樹脂、(C)エポキシ基含有ポリブタジエン、(D)硬化促進剤および(E)無機質充填剤を必須成分とするエポキシ樹脂組成物を、予め前記(D)硬化促進剤の存在下で(B)ジシクロペンタジエンフェノール樹脂および(C)エポキシ基含有ポリブタジエンを加熱分散・反応させた後、樹脂組成物に対して前記(A)エポキシ樹脂および(E)無機質充填剤の合計量を70〜90重量%含有するように配合して加熱混練することを特徴とするエポキシ樹脂組成物の製造方法。
- (A)エポキシ樹脂、(B)ジシクロペンタジエンフェノール樹脂、(C)エポキシ基含有ポリブタジエン、(D)硬化促進剤および(E)無機質充填剤を必須成分とするエポキシ樹脂組成物を、予め前記(D)硬化促進剤の存在下で(B)ジシクロペンタジエンフェノール樹脂および(C)エポキシ基含有ポリブタジエンを加熱分散・反応させた後、樹脂組成物に対して前記(A)エポキシ樹脂および(E)無機質充填剤の合計量を70〜90重量%含有するように配合して加熱混練したエポキシ樹脂組成物の硬化物で、半導体チップを封止してなることを特徴とする半導体封止装置。
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